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第23回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手フジテック株式会社の皆さん

フジテック株式会社の皆さん

今回は、フジテック株式会社の皆さんと対話を行いました。

フジテック株式会社は、1948年にエレベータ、エスカレータの開発・製造・販売・据付・保守を目的として大阪で創業されました。2000年にエレベータの主力工場として滋賀製作所が稼働し、2006年には今回の会場となった「ビッグウィング」が、本社・研究開発・生産の各機能を統合した施設として、彦根市と米原市にまたがる地に完成しています。

今回は、法人県民税・法人事業税の適正な申告と確実な納税により、県税収入の確保に貢献いただいている企業に知事が感謝の意を表するため、納税顕功法人知事感謝状を贈呈するとともに、ランドマークとなっている地上高170mのエレベータ研究塔、工場などの施設見学後に、企業の取組やそこに携わる皆さんの仕事や暮らしの中での想いなどについて、知事と語り合っていただきました。

知事から

今回の対話について

  • 今日は貴社を訪問する機会を得て、地上約150mのスカイロビー内まで登って見学させていただき、天気にも恵まれて絶景を楽しませていただき感謝している。また、快適なエレベータで、あっという間に昇れることに感動した。
  • 一昨日から5日間、長浜市木之本の杉野という山間地の集落に体験移住をしており、木之本から大津まで通勤している。公共交通機関で通勤したいのだが、6時半の始発バスでも県庁の始業時間に間に合わないので、しかたなく駅まではタクシーを使った。こうした地域の暮らしの実情も、短期間とはいえ、そこで暮らすことで見えてくると考えている。今日は長浜市にお住まいの方も出席されていると思うが、明後日までは私も長浜市民なので、よろしくお願いしたい。
  • スカイロビーからはJRや近江鉄道の線路や米原駅などもよく見えたが、私は以前にJR西日本で駅員や電車の運転手をしていた。働くことを通じて、また結婚や子どもが生まれることを通じて政治に対する関心が芽生え、国会議員となった。その後、滋賀県から全国に、また世界にいろいろな理念を発信していきたいと滋賀県知事になり、現在2年目に入った。今年45歳になるが、中高生の難しい時期の3人の子どもがおり、一人の父親として悩みながら教育の問題なども考えている。
  • 今日は、多額の納税等でご貢献いただいている貴社を訪問させていただいて感謝状を贈呈すると同時に、工場などでモノづくりの現場を見学させていただいた。この機会に社員の皆さんと、モノづくりのことはもちろん、滋賀県で暮らし働く中でお考えになっていることなどもお伺いして、県政に反映させていきたいと、この場を設けさせていただいた。限られた時間ではあるが、遠慮なく意見を聞かせていただくよう、よろしくお願い申し上げる。

フジテック株式会社の皆さんから

  • エレベータの動きを制御するソフトウエアの設計を担当している。実家のある大津から車で通っており、毎日通る琵琶湖大橋の通行料金の問題には関心を持っていた。
  • 京都市内在住だが、アメリカ勤務を経て、現在は彦根のビッグウィングに勤務している。京都では外国人観光客が非常に増えているが、そういった観光客の方々に対して、滋賀の魅力をアピールするにはどうすればよいかということに非常に興味がある。
  • エレベータを動かす駆動装置、巻上機の開発などを担当している。彦根生まれの彦根育ちで、大学の4年間以外は彦根にずっと住んでいる。滋賀県は車社会だが、観光客も増えてきており、車道や歩道などの道路整備について関心がある。
  • 資金部で売上債権管理を担当している。昨年からロードバイクを始め、琵琶湖一周にチャレンジした。非常に魅力を感じたので、「ビワイチ(註:自転車で琵琶湖を一周すること)」について、もっと発信していってほしいと感じている。
  • 入社以来ずっと総務部に所属し、現在は互助会などを担当している。モノづくりに直接は携わっていないが、社員の皆さんができるだけ働きやすい職場環境を作る手助けができればと考えて働いている。長浜出身で、現在も夫と子供と実家の近くで暮らしている。日々の暮らしの中で気になっていることとしては、福井の原子力発電所が近距離にあるため、琵琶湖への影響や生活面などで不安を感じている。
  • 大津出身で現在は守山に住んでいる。海外の工場勤務などを経て、現在は総務部に在籍している。総務部の業務は多岐にわたるが、地域の方との関わりが非常に深く、3年ほど前にオープンハウスという企画を行った際には、多くの近隣の方を本社へお招きした。知事にも上っていただいたエレベータ研究塔に皆さんに上っていただいたが、お孫さんと一緒に来られたお年寄りが「夢がかないました」とおっしゃって下さったのは本当にうれしかった。
    また、小さな子どもさんたちにもエレベータに乗っていただき、興味を持ってもらう機会にもなった。大学で遠いところへ行ったとしても、卒業後は地元に帰ってきていただいて、当社に入っていただければ非常にありがたいと感じており、今後もオープンハウスなどで地域との関わりを保っていければと考えている。
  • 電機部品の調達や在庫管理業務を担当しており、労働組合の役員もしてきた。他県の出身だが、現在は彦根で暮らしている。結婚して子供もいるのでワークライフバランスに関心が高く、組合活動を通じて、子育て世代へのサポートなどで、皆さんに貢献できればと考えている。
  • 当社は県の女性活躍推進企業認証制度(註:女性の活躍推進に取り組む企業・団体を応援するために滋賀県が実施する認証制度で、高い水準の女性活躍推進の取組を行っている企業・団体に対して、取組状況に応じて「一つ星」「二つ星」「三つ星」の3段階の認証を行っている)に申請し、去年の10月に「二つ星」の認証をいただいた。
  • 大阪の工場から転勤し、現在は社内の安全関係全般の取りまとめを担当している。エレベータは安全・安心が重要であり、製造においても安全・安心を心掛けている。滋賀県には最近、大手の商業施設が次々と建設され、多くの施設で当社のエレベータが使われており、当社もかかわりを持つ中で滋賀県がどんどん発展していっていることを実感している。
  • 県庁の隣に開所する危機管理センター(註:自然災害やテロなどが発生した際に、自衛隊や警察、消防、医療、ボランティアなどの防災関係機関が集結する拠点施設。平成28年1月15日開所。)にもフジテック製のエレベータが使われている。
  • 大阪から引っ越して県内に住宅を購入したが、滋賀は住みやすいと感じている。地元の小学校は、その学校に入りたいと近隣で家を探す人も多く、教育環境も優れていることに転居後に気づいた。
  • 国体開催に向けて、これから滋賀県では運動施設の整備を進めて行くと思うが、私は知事と同じでテニスが趣味なので、テニスコートの整備をしてほしいと感じている。希望ヶ丘文化公園のテニスコートによく行くが、テニスコートは整備状況があまり良くない。
  • 私もテニスが趣味だが、私の住んでいる京都にはテニスコートが少ないので、テニスコートが多い滋賀県をうらやましく感じている。
  • 京都から通勤しており、乗り換えで米原駅を利用している。米原駅は新幹線を使えば京都から20分しかかからず、京都からの移動時間は在来線利用時の湖南地域と変わらないのに、その利便性が生かされていない。海外からの観光客は「ジャパン・レール・パス(註:JRグループが海外からの観光客向けに販売する切符で、新幹線を含むJRグループ全線(「のぞみ」「みずほ」を除く)に有効期間中乗り放題となる。7日間、14日間、21日間用がある。)」を使えば、新幹線も乗り放題なので、例えば、京都から東京へ移動する際に途中下車して米原を観光するといった使い方もできるが、うまくアピールできていないと感じる。海外からの観光客に対して京都からの利便性を上手くアピールできれば、米原で途中下車する観光客が増えると思う。
  • エレベータは安全・安心が最も重要であり、何重にも安全を確保する仕組みが付いている。エレベータの人や荷物を乗せるかごは、ガイドレールに沿って走っており、万が一ロープが切れた場合、瞬時に停止させると、かごへの大きな衝撃が加わってかえって危険な状態になる。そのため高速のエレベータが異常を感知した際には、一定の減速度で停止させる装置が取り付けられている。予期せぬ原因で最下階を通過してしまった場合も、床面への衝突時のショックを吸収し、安全に停止させる装置が取り付けられている。扉についても、内側と外側のすべての扉が閉まった状態でないと動かないように安全対策をしている。
  • 未来のエレベータでは、電気がいらないエレベータといった発想もありうるかも知れない。宇宙開発の分野では、大気圏外の宇宙ステーションまで行くための「軌道エレベータ」という構想(註:大量のエネルギーを消費するロケットを使わずに、常設のエレベータで宇宙ステーションと地上を行き来することで宇宙開発のコストダウンと効率化を図る構想)もある。「軌道エレベータ」は、現在使われているエレベータとはまったく異なる構造が必要で、重りなどの構造がない「自走式エレベータ」になるのだろうと思う。これからの新しい開発には、常識を覆す発想が必要になってくると感じる。

知事から

対話を振り返って

  • 皆さんのお話から、県政の様々な課題について興味を持っていただいていることがよくわかり、ありがたく感じている。
    琵琶湖大橋については、引き続き通行料をいただくこととなったが、ETCの導入や、橋の東西の渋滞箇所の道路整備を計画しており、渋滞が起こりにくいようにしていきたい。
  • 滋賀県でも外国人観光客は増加しているが、大阪や京都には滋賀県とは桁違いのインバウンドがある。京都や大阪にはないものを滋賀は持っているので、滋賀の魅力を分かりやすくPRし、おもてなしやご案内ができる環境をしっかりつくることで、さらに多くの観光客の方々に来ていただけるようにしたいと考えている。
    とくに「ビワイチ」は観光コンテンツとして期待しており、道路環境やレンタサイクル、休憩所等を整備していきたいと考えている。こちらの地元では、米原駅前にビワイチの拠点となるサイクルステーションを設置する社会実験を昨秋に行ったが、他にも漁船を使って自転車を運ぶ漁船タクシーという取り組みなども進めている。私も先日、守山から近江八幡までサイクリングして、長命寺港から船で対岸の高島に渡り、高島から琵琶湖大橋を渡って自転車で守山まで帰ってくるという行程を体験した。白鬚神社を琵琶湖側から眺めるなどの得難い経験もでき、大きな可能性を感じた。
  • ご指摘いただいたとおり、米原については京都からの時間距離の短さが十分に訴求できていないので、きちんとアピールしていけば、大きな可能性があると感じる。一方で、来ていただいたお客様が「どこへ行き、何をするのか」という部分を作っていく必要がある。サイクリングもその一つだが、湖東・湖北エリアには、観音信仰や城郭など文化的資源が豊富なので、そういったものをストーリーにして、パンフレットや観光コースとして提案する取組を進めて行きたい。
  • 原子力発電所への不安についても話題に出たが、原子力に依存しないエネルギー社会をつくっていくことは、たいへん重要な問題だと考えている。ただし、電力は必要不可欠なものであり、安定供給という面も考えねばならない。原子力発電所が近くに存在している以上は、動いていようと動いていなかろうと、それらをどう管理していくかということについては、いま生きている我々に大きな責任がある。立地する自治体だけに任せるのでなく、滋賀県も周辺自治体として、しっかりと関与、参画していきたいと考えている。
  • 近く国体が開催されることもあり、県内のスポーツ施設の整備を進めているところだが、お話しいただいた希望ヶ丘文化公園のテニスコートについても、多くの方々にご利用いただいている重要な生涯スポーツの拠点でもあり、しっかり整備して、かつPRもしていきたい。
  • ワークライフバランスの話題があったが、ぜひ皆さんも仕事以外の生活の部分も充実させてほしい。県庁職員にも同様に言っており、滋賀県全体がワークライフバランスに取り組む県にしたいと考えて、取り組みを進めている。今日の対話にも女性が二人参加していいただいており、私に随行している秘書も女性で、頑張ってくれている。女性と男性が同じように働き、意思決定にも参加する県庁を目指して戦略を立てて、採用や研修をしていくように検討中なので、女性活躍推進企業の認証を受けられた貴社からも、いろいろな取り組みを教えていただけたらと思う。