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第22回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手TMTマシナリー株式会社の皆さん

TMTマシナリー株式会社の皆さん

今回は、TMTマシナリー株式会社の皆さんと対話を行いました。

TMTマシナリー株式会社は、東レエンジニアリング、村田機械、帝人製機(現ナブテスコ)の合繊機械メーカー3社の共同出資により2002年に設立され、合成繊維製造設備の開発、設計、製造、販売等を主な事業内容とされています。県内では、大津市で石山工場を操業されています。

今回は、法人県民税・法人事業税の適正な申告と確実な納税により、県税収入の確保に貢献いただいている企業に知事が感謝の意を表するため、納税顕功法人知事感謝状を贈呈するとともに、企業の取組やそこに携わる皆さんの仕事や暮らしの中での想いなどについて、知事と語り合っていただきました。

知事から

今回の対話について

  • 本日は、滋賀の地でモノづくりに取り組むことで、納税を通じて県に多大なご貢献をいただいている貴社に感謝状を贈呈させていただくと同時に、この機会に社員の方々とお話しをさせていただき、皆さんのお考えなどをお聞かせいただこうとお伺いした。
  • 私は昭和46年生まれだが、今日は同世代の方や、私より若い方にもご参加いただいている。私自身も悩みながら中高生の子ども達の子育てをしているので、皆さんからも、モノづくりに関係することだけでなく、滋賀県での日ごろの生活のこと等についてもお聞かせいただければと考えている。
  • 鉄道会社に勤務していた時には、電車の運転士や営業職、労働組合の役員等を経験しており、知事としても働く人たちの気持ちの分かる県政をつくっていきたいと考えている。今年は、特に働き方改革を行おうと考えており、男女共同参画やワークライフバランス等に力を入れようということを、年頭の挨拶でも述べた。今日は皆さんからいろいろな考えを聞かせていただきたいと思っているので、よろしくお願いしたい。

TMTマシナリー株式会社の皆さんから

  • 品質管理の仕事に就いており、製品の検査を行う中で、通常の設備では対応が難しい場合は、県外の機関に検査に出すことがある。県立の工業技術総合センターなどに、いろいろな設備があるのは知っているが、使い方が分からないこともあって活用できていない。
  • 県立の工業技術センターには、利用したい装置はあるのだが、使い方がよくわかっていないために、腰が引けてしまう。興味はあるが活用できていない企業は他にもあると思うので、使い方を含めた講習会を開催してPRしてほしい。
  • 知事とは同世代で、入社当初は組立て現場に就いていたが、会社の内部留学制度を利用して短大に通い、その後は生産設備の管理の部署に所属している。日本のモノづくりは最近、従来のやり方が通用しなくなってきており、その変化が非常に速いスピードで進んでいるために、どの企業も、効率を上げるための変革を求められている。そういった中で、この石山工場でものをつくっていく価値をどのように見いだすかを、日ごろから考えながら業務にあたっている。
  • 機械関係一筋で勤務しており、仕事の半分ぐらいは海外のスーパーバイザー業務となっているが、国内にいる時は、組立ての管理業務に就いている。いま問題となっているのが、若い世代への技術の伝承で、結果が出るまでに非常に時間がかかることから、いろいろな方法を模索しながら取り組んでいる。技術に関する勉強ができる公的な施設などがあればと感じている。
  • 外部に部品を発注する仕事に従事しているが、2013年に高島で水害が発生した際に、発注先のメーカーが被災され、復旧に長い時間がかかった。復旧に時間がかかると、中小企業にとっては死活問題となるので、早期の復旧のために県や国からの援助があればと感じた。
  • 知事とは同年代で子どもの数も同じで家族構成も似ており親近感を覚えている。以前は、海外で制御盤や機械を据え付ける仕事を担当していたが、現在は生産計画の部署に所属している。組立てや工作のラインを止めないように後方支援的な仕事をする中で、ラインの方々にストレスを感じずに仕事をしてもらうためにはどうすべきかを、いろいろ模索している。今日、話していく中でいいヒントがあればと考えている。
  • 常に機械と隣り合わせで仕事をしているので、どんなときでも安全を第一に考えて作業している。安全意識の感受性を高める「安全活動」で定期的にトレーニングをしながら、仕事に就いている。
  • 技術の伝承が先ほども話題に挙がったが、社員の年齢構成に偏りがあって、新規採用については県内の工業高校などからも採用できているが、30代の中間層が少ないために、ベテラン社員が退職するまでに技術の伝承ができるのかということが課題となっている。50代、40代の技術を持つ社員から若い層への技術の伝承を、課題に挙げて仕事に取り組んでいる。
  • 地元で消防団活動をしている。火事や自然災害に対しての防災訓練はよく行われているが、原子力発電所の事故に対する訓練はまだ取組が少なく、地域の皆さんにも浸透していない。有事の際の対応について県から市町に働きかけるなどして、原子力発電所の事故に対する防災訓練も、火事や自然災害への対策と同様に行うようにしてほしい。

知事から

対話を振り返って

  • 県立の工業技術センターが開放している試験機器については、より有効に活用していただけるように、周知に力を入れていきたい。滋賀県には、それぞれの専門分野を持つ県立の工業技術センターが栗東・信楽・長浜・彦根の4カ所にあるが、関西広域連合としても、各府県のセンター間の連携も行っており、そういったことも周知していきたい。
  • 2013年に高島で発生した水害についてお話しいただいたが、当時、被災地の中小企業の窮状を直接お聞きしていたので、状況はよく理解できる。水害などの災害への対策については、まず災害が起こらないよう備えることが第一であり、避けられない場合には被害を最小限にとどめ、万が一被害を受けた際には早期の復旧と、必要なところへの支援といったことを、ぜひ、頑張ってやっていきたい。
  • 県立の工業高校からも採用いただいているとのことで、ありがたく思っている。県内の高校や大学の卒業生については、県内企業に就職したいというニーズが非常に大きく、企業側にも地元採用のニーズがあるので、求人側と求職側のマッチングについて、色々な形で取り組んでいきたいと考えている。
  • 先ほど工場を見学させていただいたが、ヘルメット着用や指さし確認といった安全のための行動原理が徹底されている様子を拝見し、安全第一という行動原理を改めて意識する機会となった。原子力発電所については稼働していても止まっていても、そこにある以上はリスクが伴う存在であり、万が一の事態が起こると放射性物質が拡散し、目に見えない危険が長期にわたって続くことになってしまう。まずは事故が起こらないように、我々もしっかり関与してチェックすると同時に、先ほど指摘いただいたとおり、事故が起こった際の対策についても考えていかねばならない。
    滋賀県の多くの地域は、国が定めている原発から30キロ圏内の原子力災害対策重点区域には入らないが、福島の事故の際にも30キロ圏内だけに被害がとどめられたわけではなく、より広い地域での対策が必要となる。このことから、全県を対象に、消防団を核とした地域の防災リーダーを中心に原子力防災講習会を開催し、原子力災害時の対応について知識の普及を行っているが、まだまだ知られていないので周知していく必要があると考えている。