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第21回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手葵機械工業株式会社の皆さん

葵機械工業株式会社の皆さん

今回は、葵機械工業株式会社の皆さんと対話を行いました。

葵機械工業株式会社は、1943年に創業され、1950年に現在のダイハツ工業株式会社の資本参加を得て、現在の社名に社名変更されました。1982年に水口工場、2001年に湖南工場の操業を開始され、2008年に本社を湖南市に移転されました。主な事業内容として、自動車部品および産業機器部品を製造されています。

今回は、法人県民税・法人事業税の適正な申告と確実な納税により、県税収入の確保に貢献いただいている企業に知事が感謝の意を表するため、納税顕功法人知事感謝状を贈呈するとともに、企業の取組やそこに携わる皆さんの仕事や暮らしの中での想いなどについて、知事と語り合っていただきました。

知事から

今回の対話について

  • 今日は、納税を通じて多大なご貢献をいただいている貴社に感謝状を贈呈させていただくと同時に、モノづくりの現場である工場を見学させていただいたうえで、そこで働く社員の皆さんとお話させていただこうとお伺いした。県庁職員や県議会議員の方々とのやり取りも重要だが、県民の皆さんの生活や仕事の現場で対話することから得られるヒントやアイデアを大事にしたいと考えているので、忌憚のないご意見をいただくよう、よろしくお願い申し上げる。
  • 私自身は京都生まれの大津育ちだが、三日月家のルーツはこちらのお隣の甲賀市にある。現在は、県庁の隣の公舎に住まい、熊本出身の妻と、高校生と中学生の三人の子どもを育てながら、知事の職に就いている。
  • 先ほど工場を見学させていただいたが、少量ずつ多品種の部品を、非常に精緻につくられている現場の一端を拝見して、金型づくりの繊細さや膨大な製品を管理する生産管理などに感動を覚えた。こうした精緻さ繊細さが、モノづくりにかかわる多様な産業や技術が集積する滋賀の強みであり、日本の強みであると感じている。こうした力は、教育面でも物流面でも大事にしていきたいと考えているので、今日は教育やインフラ整備などについても、ご意見がいただければありがたい。

葵機械工業株式会社の皆さんから

  • 工場でも見ていただいた各種のプレス部品について、金型の調達や工程整備、製造への引き渡しまでの一連の業務を担当している。
  • 大阪出身だが、工場が東大阪から移転した際に転勤してきて以来、湖南市に住んでいる。結婚したのを機に、湖南市内に家を建てた。
  • 溶接や組立関係、工程計画と、量産へ向けての準備を担当している。京都から転勤して来て以来、10年以上野洲に住んでいる。
  • 休日は家族で硬式テニスを楽しんでいるが、滋賀県は施設が多いうえに、利用金額も他県よりも安い。子どもも目標を持ってテニスに取り組んでおり、東京オリンピックや、2024年に滋賀県で開催される国体に向けて、この環境を利用して小中高校生の選手の強化に力を入れていってほしいと考えている。
  • 社内で生産できない小物部品などを、協力メーカーから調達する仕事を担当している。大阪出身だが、結婚を機に近江八幡に居を構えた。敷地内に家庭菜園スペースが設けられた住宅で、休日は少し暇があれば畑仕事をして野菜をつくっており、その野菜を家族で食べる暮らしを楽しんでいる。
  • 二人の子どもがおり、休日には「イクメン」としておむつ交換などをしている。平日はなかなか早く帰宅できず、妻には苦労をかけているので、休日は家族サービスに重点を置いて暮らしている。
  • 社内設備の設計などを担当しており、昨年度には、電気機器組立て技能検定という国家技能検定の資格を取得した。知事には、昨年の技能競技大会での表彰式で祝辞をいただいたが、一生懸命勉強した成果が実を結び、女性でも頑張れば技能競技でも表彰いただき、認められたことをうれしく思っている。
  • 日常業務では上司や先輩に指導していただいているが、技能検定については独学で1年ほどかけて勉強した。公的な機関で手軽に技能資格について学べる場があれば、モノづくりに興味を持つことにつながり、後に続く後輩たちの育成にも役立つと思う。県内にも工業技術総合センターやポリテクセンターなどの施設があるが、研修期間が長期であったり、平日に通わねばならないなど、仕事をしながら通うにはハードルが高いので、もっと身近に技術を身につける場があればと感じている。
  • プレス部門で業務に当たっており、「安全」にもっとも重点を置いて日頃から仕事に取り組んでいる。大阪から単身赴任で滋賀に来たが、その後甲賀市に住宅を購入し、10年以上暮らしている。
  • 草津線沿線地域では、駅から住宅街までの道に街灯が少なく、大津や草津などに比べてインフラが追いついていないと感じている。病院などの医療機関も少なく、診察の待ち時間も長いなど、住みやすい環境が整っていない。若い人が集まる場所も少ないので、もっと地域を活性化してもらえればと考えている。
  • 大阪から転勤し、湖南市へ転居して家族と暮らしている。子どもの一人が障害を持っているが、大阪に住んでいたころに比べると、障害者に対する行政サービスが充実しており、ありがたく感じている。通っている養護学校の先生のアフターフォローも良いので感謝している。
  • 私の部署は正社員比率が約6割で、4割を派遣社員に頼っている。年間を通じて派遣社員の募集をかけているが、大阪や愛知などの大都市圏の求人に比べてなかなか集まらない。草津線を複線化して地域の活性化を図るなど、もっと若い人が滋賀県に魅力を感じる環境づくりを、ぜひお願いしたい。
  • 家族は大阪市内に住んでおり、私はこちらに転勤して単身赴任の状態で暮らしている。先ほど話に出たように、もっと住みやすい町、住みたい町にしていってほしいと感じている。その部分が、求人がうまく行かないことに繋がっており、地元で採用したいと考えているが、技術と人を育てるためには、まず住みやすい街づくりが必要だと思う。
  • 湖南市に住んでいる。滋賀は住みにくいところだと思っていたが、思ったより住みやすいと感じている。甲西駅の近辺に住んでいるが、市役所や銀行などが集まっているので便利で、妻も住みやすいと言っている。
  • 連携して仕事をする相手を探すために、産業支援プラザから紹介を受けて自動車産業以外の業界等を含めて様々な県内企業を回ったが、同じようなプレスなどを手掛ける会社でも、業界が異なると企業文化が異なることなどから話がまとまらなかった。そういったギャップを埋めていくような施策を県で考えてもらえれば、滋賀県内での「地産地消」につながると思う。
  • 新名神高速道路ができて、草津や大津に出るのも早くなり、大阪までの時間もかなり短縮された。1号線の渋滞も減り、会社の近くにも大きなお店もできたが、若者向けの店などは少ないので、若い人にとって魅力的な街になったとは言えない。竜王のアウトレットには若い人も来るが、高速からアウトレットへ直行して、そのまま高速に乗って帰ってしまう。
  • 求人の状況についてもう少し詳しく話すと、地元の方の採用が難しく、とくに大卒の方になかなか集まってもらえない。他府県の大学に進んだ滋賀県出身者が戻って来るUターン就職は応募があるが、地元の大学からの就職が少ない。地元大学出身者が集まるような優遇制度などがあれば嬉しい。
  • 地元の工業高校から採用したいと考えているが、滋賀県は大手メーカーが多いために工業高校卒業生の採用は競争が激しく、年に1名とれるかとれないかという状況にある。地元の高校とも連携を取りながら、今後も地元採用に取り組んでいきたい。

知事から

対話を振り返って

  • 甲賀地域の活性化のためには草津線の複線化が重要な課題と考えている。駅の改修や忍者を活用した観光振興など色々な取組によって乗客数を増やしていき、運行本数の増加や、ひいては複線化につなげていきたいと考えている。
  • 多産業間の連携の仕組は、これからの課題だと考えている。情報技術の活用によって工業の高度化を目指す「インダストリー4.0」をドイツが進めているが、これからは電機産業と自動車産業など産業間の連携なども進めていく必要があり、滋賀にはその土台があるとも考えているので、取り組めることがないか考えていきたい。
    県内企業との情報交換会の場である「近江金石会」などで、県内立地企業の横のつながりをつくろうと試みており、こういった場でアイデアを募ってみたい。
  • 提案いただいた、技能資格を目指す方への支援については重要性を感じる。とくに平日だけではなく、学びやすい仕組みを作っていくことができないか検討したい。
  • 県内には3万人の大学生がいるが、そのうちの1万5千人が理工系となっており、県内の学生が就職してくれないというご指摘についても、県内の大学や高校と県内企業のマッチングができるよう努力したい。
  • 障害のあるお子さんのお話があったが、障害があっても暮らしやすい・学びやすい環境については、滋賀県、とくに湖南市を中心とした地域は伝統的に大事にしてくださっている。この障害者に優しい環境は、もっともっと高めていきたいと考えており、障害の有無にかかわらず一緒に学べる環境づくりや、卒業後のフォローなどについても、いっそう取組を進めていきたい。