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第10回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手ダイキンレクザムエレクトロニクス(株)の皆さん

ダイキンレクザムエレクトロニクス(株)の皆さん

今回は、ダイキンレクザムエレクトロニクス(株)の皆さんと対話を行いました。

同社は1986年(昭和61年)に草津市に設立されています。主な事業内容として、空調関連の電子デバイスの開発、生産、販売をされています。

今回は、法人県民税・法人事業税の適正な申告と確実な納税により、県税収入の確保に貢献いただいている企業に知事が感謝の意を表するため、納税顕功法人知事感謝状を贈呈するとともに、企業の取組やそこに携わる皆さんの仕事や暮らしの中での想いなどについて、知事と語り合っていただきました。

知事から

今回の対話について

  • 県庁の中だけで考えるのではなく、できるだけ皆さんのもとへ出向き、一緒に関わりを持って、みんなで滋賀県を盛り上げていきたいと考えて、いろいろな現場を回らせていただいている。
  • 平成27年度から4年間の新しい県の基本構想を、今、つくっているところ。新しい豊かさを追求しませんかと提唱している。今だけ、物だけ、お金だけ、自分だけの豊かさではなく、すべての人が実感できる、みんなで支え合い、将来も持続的に享受できる、心で実感できる豊かさというものを滋賀からつくろうと提案している。例えば、環境に配慮したものづくりなど。製造業の皆さんとも連携しながらこうしたものづくりを進めていくための基本構想をつくろうということで、今、皆さんとの対話をさせていただいている。
  • 事業の中でのこと、地域の中でのこと、暮らしの中でのことなど、いろいろとご意見をいただき、県政に活かしていきたいと思う。忌憚のない率直なご意見をいただければと思う。よろしくお願い申し上げる。

ダイキンレクザムエレクトロニクス(株)の皆さんから

主な業務内容や担当されているお仕事、仕事や暮らしの中での想い

  • 約23年前に入社した。元々は岐阜県に住んでいたが、20歳の時に滋賀県に引っ越してきた。最初に1人で滋賀県に来た時は、その時はたまたま夜だったが、周辺に街灯や建物などの明かりが少なく暗かった印象がある。今はすっかり変わった。色々と商業施設などもできて活性化していると感じている。
  • 当社製品の元になる部品の調達を担当している。十数年前はこれらの部品は国内ですべて揃えることができた。現在は、国内からの調達が6~7割だが、件数的には海外から調達するものの方が多い。中国、タイ、マレーシアで調達することが多い。国内での調達と国外から調達が均衡してきている。海外で調達する部品のサポートも担当している。
  • 製造部で作ったものの納品作業をしている。県内に住んでいる。社員会の役員もしている。
  • 業務を改善する仕事を担当している。人による手仕事をコンピューター化することが主な改善方法になる。例えば、事務所で在庫管理につながる仕組み、棚卸しまでできる仕組みにしてあることなど。自動車の運転が趣味なこともあり車で通勤している。
  • 製造部でクリーンルームの中での管理をしている。管理計画をつくることや、従業員の教育育成も担当している。自動車で通勤している。大津駅は、県庁所在地の駅なのに賑わっていないので、もっとよくしてほしいと思う。県庁もあるのに買い物をする施設などがない。
  • 約15年前に入社した。以前はパートタイムの従業員だったが、5年前にパートタイム従業員から正社員として採用になった。正社員になり、以前にはよく知らなかった正社員としての様々な仕事があることがわかった。正社員になるチャンスをいただいたが、立場によって仕事の見え方がこんなにも違うものかと感じた。違う立場を経験でき、会社に感謝している。
  • 大津市内は、大津駅から外れたところにある大規模商業施設などが賑わっている。大津駅周辺は、京都駅の駅ビルなどが近過ぎるためか、市の中心施設なのに活気がない。米原駅周辺も、新幹線が停車する駅で、北陸の玄関口でもあるのに活気がない。
  • 栗東市にある旧東海道の道は、土日にはリュックサックを背負った観光の中高年の方がよく歩いているが、道幅が狭い。草津駅からまっすぐのびる道も整備されてきているが、旧道は整備が進んでいない。大きな道には信号や歩道が整備されて良くなっているが、旧東海道の道は良くならない。
  • 道路が整備されると交通量が増えるのではと懸念している。草津駅前のあたりは慢性的に渋滞している。済生会滋賀県病院から向こうは新しく道が整備されると聞いた。
  • 国道1号線は、大津市の瀬田のあたりから片側1車線ずつしかない。大津市内では、今年のお正月の積雪の時に大渋滞していた。
  • 現在の円安の状況を受けて、日本企業の国内回帰の大きな流れになり、海外から国内に製造が戻ってきている。製造の現場では従業員を増やそうとしているが、特に中小企業では、従業員が足りなくなってきている。企業の人材に県内に来てもらえるよう、住みやすい環境を整えていくことも必要ではないかと思う。
  • 県内の子ども達は、京都、大阪の大学に行ってしまう。もっと県内の大学に進学する子どもが増えるように、大学を増やすことなども必要ではないか。
  • 滋賀県のPRといえば、以前に民間向けの広告で滋賀県のコマーシャルがあった。「『マザーレイク』預かっているのは滋賀県です」というメッセージで、全国的に滋賀県を発信、PRできていたと思う。あのメッセージが大好きだった。細かいことは言わずシンプルに「マザーレイク」と発信しており、滋賀県の格が非常に上がったと感じられた。あのような形のものをもう一度できないかと思う。クイズ番組で琵琶湖の面積の質問に滋賀県の2分の1と答えた人がたくさんいた。それくらい滋賀県は知られていない。琵琶湖しか知られていないので、それを逆手にとってはどうか。実家に帰る時にも、滋賀県にもたくさんのお土産があるが、京都のお土産を買ってしまう。発信するものが他に無ければ無いで、琵琶湖一筋で発信していくのも一つの方法。もう一度、民間放送で滋賀県をPRするような取組をしてはどうか。
  • 家庭では育児をしている従業員も多いが、手のかかる時期の子どもを預かってもらえるところが少ないとよく聞く。そのあたりをもう少し何とかできないかと感じている。預けるところがないと、働きたくても働けなくなってしまう。
  • 県内では、住宅が増えているのにそうした子ども達を預けるところが増えていない現実がある。
  • 保育の現場では保育の実務を担う人材の不足がある。家族がパートタイムで保育の現場で働いているが、時間的な制約があっても、人が足りないので今日は勤務しないといけないとよく聞いている。保育士の方を募集しても募集人員を充足できないと聞いている。

 

知事から

対話を振り返って

  • 大津駅周辺の活性化の取組として、大津百町にみんなで賑わいをつくろうということで、県内企業の役員の方などが中心になり、「大津をプラチナ世代(60代)で盛り上げよう」「愛犬と共生できる町にしよう」という活動をされている。
  • 米原駅周辺の活性化のために、新幹線の「のぞみ」を停めてもらうことや、琵琶湖線には何本か乗り入れている「はるか」を湖西線にも乗り入れてもらうことも考えている。
  • 名神高速道路の栗東インターチェンジから降りて野洲に行く方向の国道8号線のバイパス道路の整備を進めている。国道1号線のバイパス道路が湖南市から栗東市を抜けて整備される予定で、来年度に名神高速道路と接続して、もう一つ栗東東インターチェンジができる。それを草津市山寺の方につないできて、立命館大学の前に流れるようにする事業を進める。
  • 近江大橋を無料化したことで、瀬田の唐橋などは交通量が減ってきたが、最近は少し混雑するようになった。
  • どれだけ設備や機械を揃えても最後は人材が重要になる。人材を確保するために、暮らしやすさや、産みやすさ、育てやすさ、これらをつくることが課題になる。このため、県でも、様々な子育て支援や環境、医療、福祉などを充実させて、滋賀県に住みたいと思ってもらえるようしたいと考えている。製造の国内回帰の流れの中で、企業の皆さんが従業員の方や研究者の方に滋賀県に来てもらう時に「滋賀県なら行ってもいい」と言ってもらえるように、そうした施策を充実させていきたい。
  • 滋賀県は特に自然が豊かで環境が良い。湖南地域は医療面で病院が多く整備されていることから好まれている。災害も少ない。地震などが統計的にみると少ないことから、BCP(ビジネスコンティニュイティプラン)対策での災害時を想定した拠点づくりの立地として評価を受けている。交通の便もよく地の利がある地域。滋賀県をもう一段良くしようとすると教育環境を整備することも必要と思う。こうしたことが更に整えば、もっと滋賀県が選ばれるのではないかと考えている。
  • 県内には13の大学がある。大学生は約3万5千人いる。龍谷大学ではこの4月に瀬田キャンパスに農学部を開設される。学生が減っており新学部の創設はなかなか認めてもらえないが、滋賀で農学部ということに将来性を見出していただいて新設が認められた。他にも医科大学、バイオ大学などがある。こうした大学のことももっと発信できないかと考えている。大学をもう一つ、県内に増やせないかと考えている。例えば、大学の水産学部に滋賀県で魚の研究をしてみないか提案してみたい。
  • テレビCMや新聞広告などは、滋賀県のイメージを持ってもらいPRしていくためには、非常にわかりやすく良い方法だと思う。滋賀県のお土産の種類はもっと増えるとよいと思う。県では近江米の宣伝を進めている。滋賀県は米作りの農家が非常に多い米どころで、そのお米も美味しい。しかし、以前に比べるとお米を食べなくなった。お米がたくさんできるのに食べなくなると余ってしまい値段が下がる。そうすると収入が減り採算がとれなくなって米作りをやめてしまおうということにつながるので、もっと近江米を食べようと提案しているところ。近江米を使ったお菓子作りやお酒づくりなどを進めていくことも考えられる。近江牛も美味しい。
  • 現在、改めて、子ども達の保育の需要調査をしている。それぞれの地域で、子どもを連れて転入してくる人達や子どもを出産する予定の人達、受入れ可能な人数はどれくらいかなど。それを基に保育施設を計画的につくっていこうと考えている。一度、保育施設をつくった場合、その後のある程度の期間は施設が継続できる需要が想定されることが必要。子ども達を預ける需要が減ると、途中で施設の運営が続かなくなる。そうなるとその後の子ども達の受入れができなくなり、保護者の皆さんが困ることになる。
  • 県内の保育園の園長や理事長の皆さんから、全国を走り回って、保育園で働いてもらえる保育士の方達を探していると聞いている。大学で保育士の資格取得の勉強をしている人にも勧誘をしていると聞く。保育士の方の確保については課題があると感じている。今、県では「保育士さんありがとう」という事業をしている。保育士の方にやりがいを感じてもらえるように、保護者や子ども達から保育士の方達への感謝などのメッセージを募集している。
  • 保育士の方達だけでなく、全体的に人が足りない状況がある。介護のヘルパーの方、看護師の方、土木の作業員の方も不足している。必要なのに働いてもらえる人がいないので苦慮されている分野の方が多い。高齢者の方にも手伝ってもらおうということで、定年退職後も、元気な方に働いてもらい、助けてもらう仕組みをつくっていく必要があると考えている。