文字サイズ

第8回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手(株)ノエビアの皆さん

(株)ノエビアの皆さん

今回は、(株)ノエビアの皆さんと対話を行いました。

同社は1964年(昭和39年)に設立され、1982年(昭和57年)に八日市市(現東近江市)に滋賀研究所(現グループ総合研究所)・滋賀工場を開設されています。主な事業内容として、化粧品、医薬部外品の製造、販売をされており、滋賀工場では化粧品、医薬部外品等の製造を、隣接する研究所では化粧品、医薬部外品、医薬品、食品の処方開発や安全性評価などをされています。

今回は、法人県民税・法人事業税の適正な申告と確実な納税により、県税収入の確保に貢献いただいている企業に知事が感謝の意を表するため、納税顕功法人知事感謝状を贈呈するとともに、企業の取組やそこに携わる皆さんの仕事や暮らしの中での想いなどについて、知事と語り合っていただきました。

知事から

今回の対話について

  • 来年度4月からの新しい県の基本構想をつくっている。基本構想が一番上位にあり、その構想に基づいてプランをつくり、予算をつくり、組織をつくることになる。その基本構想の核となる考え方として、新しい豊かさをつくり、求めませんかということを提唱している。新しい豊かさとは、今だけ、物だけ、お金だけ、自分だけではない豊かさを滋賀からつくりませんかというもの。例えば、環境のことを考えたモノづくり、水のこと、空気のこと考えてモノをつくること。滋賀県は環境基準が、おそらく47都道府県の中で一番厳しいと思う。そうしたことは少し負担に思われることもあるが、実は、そのことが評価される時代に入ってきた。お米も野菜も環境こだわり農業ということで、農薬と化学肥料を半分以下にして、その代わり草刈りが大変だが、農家の方に頑張ってもらっている。消費者の皆さんから、環境こだわり農産物としてたいへん喜ばれる食べ物になってきている。そういう新しい価値を滋賀から発信できないかと考えている。
  • 例えば、電力・エネルギーの問題では、原発が動かせないとしても暮らしていける、モノをつくっていける仕組や社会をつくりませんかということで、いろいろと事業者の皆さんに、補助金を使って研究開発に取り組んでいただいたり、大学や工業高校でも、そうした次の時代のいろいろな種の研究を始めていただいて、それを企業とマッチングさせて事業化する、そうした取組を滋賀から始めて、それを世界の方々に見ていただき、来ていただき、買っていただく、そういう取組を進めていきたいと思っている。
  • 昨日も、湖北の企業の皆さんとの意見交換で、子どもを育てながら暮らし働いていくための学童保育の問題や、若い人がもっと定住・移住できるような仕掛けを一緒に考えることなどの話をさせていただいた。
  • 皆さんから、いろいろな考え方や取組のお話などをお聞かせいただきたい。忌憚なくご意見をいただけるとありがたい。本日はよろしくお願い申し上げる。

(株)ノエビアの皆さんから

主な業務内容や担当されているお仕事、仕事や暮らしの中での想い

  • 守山市で育ち、その後湖南市に移住して生活している。大学時代と入社してしばらくは他府県で生活した。滋賀県歴は35年くらいある。自分も滋賀で過ごし、子どもも滋賀で育っている。
  • 就職してからずっと滋賀県で暮らしている。滋賀歴10年くらい。佐賀県の出身で少し不便な所に住んでいたので、今は不自由な思いは感じていない。子どもは保育園に預けているので、学童保育は気になる問題。研究所では製品や原料の安全性を見る仕事をしている。
  • 出身は兵庫県。この会社に就職してこちらに来ることになった。滋賀県歴は5年。グループ全体の化粧品・医薬部外品の品質保証の仕事をしている。
  • 同じく品質保証の仕事をしている。大学を出るまで愛媛県にいた。就職でこちらに来て、今は地元よりこちらの方が長くなった。子ども達は、保育園、学童保育の大変な時期は終わったが、学年が上がったなりにいろいろと違うことがあり、自分たちの育った時代とは変わっていることを感じる。地域による違いなのか、時代の違いなのかわからないが、皆頑張っているのだが、うまくかみ合っていないと感じる時がある。
  • 生まれは埼玉県だが小学校の頃に滋賀県に来ている。東近江市内に住んでおり、今月末にもう一人子どもが生まれる予定。工場の最終工程で機械の充填の仕事をしている。
  • 生まれた時から東近江市に住んでいる。化粧品の包装仕上げで箱に詰めお客様に届ける仕事をしている。子育てのため、働きながら産休、育休を取らせていただいて、今年度の始めに職場復帰させていただいた。大変なので今は時間短縮勤務の制度を使わせていただいて頑張っている。育休は最大3年取得できるので、10ヶ月程取得した。
  • 通勤では会社の最寄りの公共交通機関はバスになる。雪が降るといつ到着するかわからない状態になる。ちょうどいい時間のバスがなく、9時始業だが8時前に着いてしまう。次のバスは9時1分に着くので間に合わない。
  • 学童保育と保育所のことだが、小さい子どもにとっては、少し狭すぎる環境ではないかと感じている。施設の広さに対して子どもの人数が多い。上の子どもは学童保育、下の子どもは保育園に行っており、今は世話が大変。夫も仕事の帰りが遅く、ほぼすべての世話を私がしている状況。勤務を時間短縮にして家に帰っていないと、家の中がメチャメチャになり、子どもたちもストレスが溜まってしまう。
  • 学校でのことだが、先生は、保護者に対して、一対一で話をしている時は積極的だが、学校の全体会になると決まりきったお話しか出てこなくなる。生徒が物を壊したりすると学年集会があるが、先生からは、家庭でも協力して見守ってくださいというお話はあるが、学校でどんなことが起こり先生はどう対応されたのか具体的なお話が出てこない。オブラートに包んだような状況説明しかない。子ども達の方が何が起きたのかよく知っている。子ども達と話し合おうと思っても、保護者が何が起きたかよくわからないのでは話ができない。先生方も個人情報の管理を厳しく問われていることもあると思うが、保護者との意思疎通がうまくいかないように感じている。親側も事情がよくわからないと不満が出てくる。先生は先生で問題のあった生徒も指導して育てなければならない。そうかといってその生徒を避けるわけにもいかないし、他の子ども達はそのことに時間を取られて授業が進まないことが起きる。難しいと思うが、何かうまくいっていないように思う。
  • 近江鉄道の料金が高い。子ども達が成長して高校や大学に行くときに近江鉄道を利用することになる。そうすると負担が大きくなるので車の利用も考えないといけなくなる。赤字との話も聞くので、お正月のお参りには多賀大社まで近江鉄道を使って行くことにしている。
  • 今、賃貸のアパート暮らしなので、先々のことを考えると、買って住む場所を探したりしなければならない。若い人が住みやすい制度などがあると移住してくる人が増えるのではないか。
  • 仮に次に家をどこに建てるか考えるとした時に、もう一度子育てのことから考えたとすると、田舎がいいのはわかるが、学校はどうするのか、受験はどうするのかなどをまず考える。受験生が県の南部の高校にどんどん流れていくという話も聞く。小中の一貫校のように目玉になる皆が行きたいと思うものを北部に持っていき、地域の人は皆そこに通えるというような、子どもを含めた親の移住を考えてみてはどうか。行政や企業などがそうした施設を用意して、この地域なら子どもの教育は問題ない、小中一貫校でよい教育を受けられると言われると、少し遠いけれど環境はいいし、子どもの教育に心配がなく任せられるなら住んでみようと思えるので、魅力的ではないかと思う。田舎に行くと塾が無いのではないかなどの不安があると住めないと考えてしまう。子育てなどを含めて、この地域だったら子ども達は皆その学校へ行って勉強は心配しなくていいので預けておけばいいですよというところがあれば住みやすい。
  • 守山に住んでいるが特に困ることはない。湖西線が止まると琵琶湖線にも影響が出ることがあり、それは少し困る時がある。

 

知事から

対話を振り返って

  • 学力の問題では、滋賀県は全国学力テストの正答率が他府県と比べて低かったので、どうなっているのかとよく問われる。確かにテストの点数は低いより高い方がいいが、本当にそれだけを見て議論することはどうなのかと感じている。「学力」の漢字二文字の間にひらがなの「ぶ」を入れて「学ぶ力」を上げませんかということを、今、申し上げている。全国学力テストは、具体的には、4月に小学校6年生と中学校3年生の全児童生徒を対象に実施されている。全国で実施するので都道府県別に正答率が並ぶ。実はそのテストに加えてもう一つしていることがある。それは校長先生を対象にしたアンケート調査で、例えば、すべての児童生徒が「何時間テレビを見ているか」などの調査をしている。その調査項目の中に興味深いデータがある。「あなたは学校の先生に良い所を認めてもらっていると思いますか」という質問があり「はい」「いいえ」「わからない」のいずれかを回答するもの。滋賀県は全国平均よりも「はい」と回答した生徒の率が低い。先生に認めてもらっていないと感じている子どもが多い。これは小学校も中学校も同様。「国語・算数は社会の役に立つ科目だと思いますか」という質問で「はい」と回答した生徒の率が、これも全国平均より低い。学校の授業の中で、先生が「何々君よく頑張ったね」ということが言えていなかったり「この科目を勉強すると社会でこのような役に立つんだよ」ということが言えてない。それならば、そこから改善した方がいいのではないかということを、今、議論しながら、滋賀の学力環境を向上していこうと思っている。ぜひ保護者の皆さんとして協力していただきたい。
  • 学校の先生も悩みながら生徒や保護者に対応しているのだと思う。学校内で問題が起きても、その加害、被害の両方の子どものことを考えながら話をしないといけないので、何があったのかわかりにくくなることもあると思う。今は、保護者から様々な意見が学校の先生に寄せられるので、そのような対応になることがあるのだろうが、学校だけの責任を問わずに一緒にやろうという社会的な風土が必要なのではないかと感じることがある。
  • 進学校とともに、工業高校、商業高校、農業高校などを充実させたいと考えている。また、障害のある子ども達と障害のない子ども達ができるだけ一緒に学びあえる環境を整えたいと思っている。特別支援学校や特別支援学級の児童生徒が増えており、同じ学年で、同じ地域に住んでいても同じ学校で学べないが、卒業後は同じ地域にいる。それならばできるだけ同じ学校で学びあえて、特別支援が必要な子ども達にはその学校で必要な支援が受けられるような、そういう仕組みを滋賀からもう一度つくり直すことを提案している。
  • 草津線を頑張って複線化したい。
  • 近江鉄道は北は米原から南は水口貴生川、近江八幡とたくさんの市町を通っており、行政との関わりが難しいようなので、県もしっかりと寄り添いながら支援しないといけないと考えている。信楽高原鉄道は、線路と土地は市が所有して運行だけを会社がしている。上下分離方式というが、そういう形にすると少し経営が安定して料金低減に繋がるのではないかと考えている。近江鉄道は大事に残したいと思っており、もっと多くの方に利用してもらえるようにしたい。
  • 多賀大社をもっと皆さんに知ってもらいたい。伊勢神宮の神様の親にあたる神様が祀られているが、伊勢神宮にあれだけたくさんの人がお参りに行くのに多賀大社には来てもらえない。
  • 高速道路をもう少し利用しやすくしたい。湖東三山と蒲生にはスマートインターチェンジができて、ずいぶん便利になり喜ばれている。それでもまだインターチェンジ間の距離が長いので、今後の10年間で二つの新しいスマートインターチェンジをつくることを検討している。例えば多賀のサービスエリアや伊吹のパーキングエリア、菩提寺などで乗り降りできないか検討している。
  • 米原駅にのぞみを停めてもらうことも考えている。それに合わせて北向きの列車や近江鉄道などのダイヤ改善もしたい。東近江とはエリアが違うが、湖西線が強風で止まり過ぎるので、風が吹いても止まらないようにしたい。
  • 野洲、守山間で国道8号線が混雑しているので、そこから済生会滋賀県病院のところまでバイパスをつくる計画が進められている。栗東インターチェンジを降りて、すぐ渋滞にならないような環境をつくりたい。こうした交通対策を考えている。
  • 湖北、湖西の課題として、東近江、守山、野洲はもうしばらく人口が増えるが、長浜、高島は今でも人口が減ってきているので、そこをどうするのかという課題がある。子どもを育てる環境としては自然があり遊ぶ場所もあり良い面もある。来月2月に1週間木之本町に住んで県庁に通うことにしている。住んでみないとわからないことがある。始発のバスに乗っても県庁の始業時間に間に合わない。ダイヤの改善なども考えてみたい。木之本町杉野に空き家を活用した移住体験の家があり、そこに住む。自然も豊かで、冬は雪が多くて大変だが、雪のおかげで、水が綺麗で、琵琶湖の水が循環して魚のために良い環境をつくる。そういう地域のこともよく考えないといけないと思っている。
  • 先程も会社の代表の方から、滋賀県は水がいいというお話をいただいて嬉しく思った。
  • 最近、工場建設や増設を考える方々から、滋賀にはBCP(ビジネスコンティニュイティプラン)対策で工場をつくるというお話を聞く。滋賀県は災害が少ないので、他府県の工場とのバックアップ体制が取れる立地として非常に高い評価を受けている。水害や地震が統計的にみると非常に少ない地域。そういうことも売りにしながら企業立地を進めていけるとよいと考えている。
  • 子ども達が学べる環境をつくることも考えていきたい。
  • 9年後に滋賀県で国体をする。この機会に滋賀のスポーツ施設の改善、体育館が古いところや、Jリーグが見られるスタジアムもないところなども改善して、スポーツと文化で滋賀を盛り上げようという取り組みをしていきたい。