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第2回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手草津市環境・福祉推進グループ 草津ほほえみの会の皆さん

「草津市環境・福祉推進グループ 草津ほほえみの会 」の皆さん

 今回は、「草津市環境・福祉推進グループ 草津ほほえみの会」の皆さんと対話を行いました。

 「草津ほほえみの会」の皆さんは、「自分たちの町は自分たちで綺麗にしよう」と声を掛け合い、平成4年に同会を発足されました。

 草津駅から琵琶湖に向かう道路の側道の除草・清掃活動や、街路樹の根元に花の苗を植え四季折々に美しい花を咲かせる活動、湖岸の清掃活動などを地道に続けてこられ、道行く人たちからの「ありがとう」の声を力に、地域の人たちの心を癒す「街づくり」に努力されています。

 これらの活動の他、県赤十字血液センターや地域の総合病院、障害児施設でのボランティアなどにも参加され、災害支援にも協力されるなど、幅広い活動に取り組まれています。

 こうした取組と滋賀の未来への想い(県基本構想)について知事と語り合っていただきました。

知事から

今回の対話と滋賀の未来への想いについて

  • 正にほほえみは幸せの元になるもの。日頃はまちを綺麗にしていただくなど、草津ほほえみの会の皆さんの様々なお取り組みに心から敬意と感謝を申し上げる。
  • 今、来年度からの県の目標である基本構想をつくっている。産業はどうするか、農業はどうするか、子育てはどうするかということなどをつくっていく基になる目標。この4年間をどのような目標でやるかということでつくっている。2040年、今から25年くらい後、私たちの子どもが子育てをしている時代にどういう滋賀県でありたいか、そのためにこの4年間どうするかを皆で議論して考えている。県庁内だけで議論するのではなく、皆さんのご意見も聞かせていただきたいということで開催させていただいた。
  • 皆さんの活動にも通じるが、自分だけではなく人の幸せも考えられる滋賀県にしたい。また、将来も豊かで、物だけでなく心の豊かさを感じられる滋賀にしたいと考えている。これからは子どもが安心して産み育てられる滋賀県にしておきたい。高齢者も障害者もすべての人に居場所と出番がある社会にしたい。長生きで、いつまでも自分のことは自分でできる、食べられるよう健康寿命を伸ばしていきたい。エネルギー、環境の問題についても、原発だけに頼るのではなく、新しいエネルギー源をつくっていかなければならない。琵琶湖は大切に守りたい。30年前の石けん運動は滋賀県の活動の原点。こうしたことを大切にしたい。これから10年後に、国体、障害者スポーツ大会を滋賀県で開催する。そこに向けてスポーツと文化で生き生きと暮らしていける滋賀県にしたい。そうしたことを基本構想案に書かせていただいている。
  • 今日は、日頃皆さんが活動されていて、こういうことに取り組めばいいのではないかということなどをお教えいただき、今後の滋賀県づくりのためにご意見をいただきたい。

草津市環境・福祉推進グループ 草津ほほえみの会の皆さんから

(1) 草津ほほえみの会のこれまでの活動

  • ちょっとした思いつきからボランティアを始めたのが草津ほほえみの会。きっかけは、草津駅から琵琶湖に向かう道路、下笠線の銀杏並木の華やかさの中に、犬の糞やごみの散乱が目に付いた。自分たちの町は自分たちで綺麗にしようと声を掛け合い、平成4年に「地域の環境を守る会」としてボランティア団体を発足した。側道の街路樹の根元に花を植え、草むしりや水やり、掃除をして今日まで続けている。春には春の花、秋には秋の花を植えた。ごみが散乱した道が人の目を楽しませてくれる道になった。その後、草津市で「犬の糞放置防止条例」が制定され、地道な活動が認められたと確信した。
  • 当初は空き缶拾いやエコ活動から団体の活動費を捻出し手作りの活動を進めてきた。花の苗は自分たちで育て、それを街路樹に持っていき植えた。その後、来るべき高齢化社会に備えて、すべての人が住んでよかったと感じてもらえるまちづくりを進めることが必要と感じ、団体の名称を草津市環境・福祉推進グループ 草津ほほえみの会と変更し、福祉の活動にも取り組むことになった。
  • 平成6年秋に、車いすを押し、JR草津駅から生活道路など草津市内一円のまち歩き体験を実施し、身を持って体験した状況を市長に報告し段差などの改善を提言した。この体験を皮切りに様々な障害者福祉や高齢者福祉のボランティアを推進することになった。主な事業として、草津市「いきいきふれあい大運動会」の支援、びわこ学園のシーツ洗濯と交換、福祉施設のバザーの支援、障害児の放課後活動の支援、日赤血液センターでの支援。このように素朴な活動を20年以上進めてきた。平成24年からは、医療関係施設の案内ボランティアの活動もさせていただくことになった。
  • おかげさまで、びわ湖放送の「びわこほのぼの大賞」を平成19年には環境部門、平成25年には福祉部門でいただいた。平成23年には「生活環境改善事業・環境美化功労者」として知事表彰をいただいた。平成24年には「全国緑の愛護功労者国土交通大臣表彰」を受賞させていただくことができた。これらは、私たち会員を支えいただいている家族をはじめ、皆さんのご支援により受賞させていただいたもので、改めて感謝を申し上げたい。
  • 今では会員数も50名を超えた。まち行く人たちの「ごくろうさん」「ありがとう」の声を励みに長年継続できたことに感謝し、これからも市の各種事業や福祉、医療関係施設で積極的にボランティア活動を進めていきたい。

 

(2) 日頃の活動の中で感じたこと

  • 地域の環境を良くしよう、自分たちのまちは自分たちで守ろうという考えで発足して、動くボランティアとして活動している。街路樹の根元の花植え、草引き、水やり、肥料やり、清掃など世話をしている。春にはチューリップや水仙、黄色に輝くガザニアが咲き誇る。その道を通るのが楽しみであり私たちの喜び。滋賀県を訪れた方に、琵琶湖の素晴らしさに加え四季折々の草花が咲き誇る素晴らしい環境の滋賀県を満喫していただきたいと考えている。そのためにも、もっと多くの環境ボランティアの育成が必要と考えている。
  • 血液センターでのパンフレット整理などのお手伝いをしている。近年献血する方が少ないと聞いており駅周辺で街頭啓発もしている。健康な時に献血をして、万が一輸血が必要になれば血液センターで提供してもらえる良いシステムはもっと啓発させてもらいたい。効果的な良い方法があれば提案したい。
  • 健康の大切さを啓発している。この会はボランティアで環境、福祉など幅広く活動している。おかげさまでたいへん長く続けられている。これは会員自身が健康であるからこそ続けられるもの。会員の平均年齢は72歳。活動を続けていることが自然と健康の大切さの啓発にもつながるので、健康に気を付けて頑張っていきたい。
  • この会は、環境や福祉に関心を持つ地域住民が積極的に参加して始まった。ここで皆さんとともに行動し、人が本来持っている優しさ、思いやりを周囲の人々や、生き物、自然環境保持のために役立てることが自分自身の成長につながっている。ボランティア活動は自分自身の成長のバロメーターである。
  • 病院でのボランティアはプライバシーへの配慮があるので、患者さんと深く関わることはできないが、年老いて一人で診察に来られる方が多いのに驚いた。そうした方々が少しでも癒され、健康を取り戻すお手伝いができればと活動を頑張っている。今は、草津総合病院で活動している。
  • 障害児の学童保育の日中一時支援のお手伝いをしている。週2日程度、障害のあるお子さんとのふれあいの中で、命の大切さや人と人の交流の大切さを学んでいる。子どもたちの将来を考えると、子どもたちの特徴を見出し、それを活かし、働ける場が必要だと考えている。将来自立して生活できる環境を整備することが大切と考えている。
  • 湖岸道路、湖畔の辺りで日曜祭日に多くの人が来て食事などをする。後日にはゴミが散乱している。自分たちのゴミは自分たちで持って帰ってくださいとお願いを書いたビラを手作りして、来ている人に手渡している。そして翌日にゴミを拾いに行く。この活動を当初から長年してきた。毎月は難しく年2回程度声を掛け合いしてきた。相手の世代も私たちとは違うのでビラもなかなか受け取ってもらえなかった。「何だ、このおばさんたちは」と言う感じで当初は本当に苦労した。最近は快く二つ返事で受けてくれる。そうして地道に何かやろうということで、皆で知恵を出して手作りでしている。補助金はもらわないことにしており、自分たちで空き缶拾いをし、それを花の苗や肥料代にしている。自分たちでやろうと発足したので、他に頼らずにやってきた。5~6年前から行政の方でも気を付けていただいて備品代程度は出していただいている。皆でやろうというところで活動が長持ちしている。
  • 1人の力は弱くても、集まると大きな力になる。
  • やはり自分たちでやらないといけない。災害の時などにも、行政ばかりでなく皆さん自発的にされている。それがやはりよいと思う。
  • 当初と比べて最近変わったことは、花の水やり。当初は、一斗缶に水を入れ一輪車に載せて水やりしていた。家で水を汲んで到着したら半分くらいに減っていたり大変だった。水汲みもバケツに紐をつけて汲んでいた。10年くらい前から、ペットボトルを使って会員が自宅で水を入れ車で持ってくるようになり、持ちやすくなったので、ずいぶんやりやすくなった。銀杏の木660本の所に花を植えている。下笠線のうち約3kmある。花も落ち着いて、ガザニア座布団と言われている。それまで銀杏の木の下は雑草だらけだった。知り合いの生産組合から土を譲り受け、地域の男性の方に運んでもらい、土づくりから始める。草取りをして、土を運び、肥料をやり、花を植えて、今に至っている。順番に増やしてきた。町内の方から花を植えてと頼まれた所もある。初めは、側道の花を植える場所に面したお宅のほとんどに「植えさせてください」と試供品持ってお願いに行った。植えないでくださいと言う方もあり、様々。
  • 会員は、そうした活動を見て私も参加したいという人がほとんど。特に募集していない。現在53名で主に女性。男性は少ないが、力仕事で、チューリップを植える穴あけ作業や、土を運んでもらっている。
  • 男性会員としても、少しでもお手伝いできたらと老体に鞭打って頑張っている。土や腐葉土をもらってきたり、銀杏は根が張っているので、チューリップを植えるとき土に穴を開けるのに力とコツがいる。深めに5~10cm穴をあけ、肥料と腐葉土など入れて球根を植える。チューリップと水仙を植える時、チューリップの球根は800個ある。水仙の球根はもっと多い。
  • 妻が医療現場のボランティアに入ってから私も手助けができればと参加した。実例として、愛知県のある半島に大きな看板に530運動(ゴミゼロ運動)と書いてある。そこは車で走っていて綺麗でゴミがない。南草津界隈を車で走ると、バイパスの中央分離帯に空き缶やナイロン袋などが捨ててある。町内会では中央分離帯の清掃は危なくてできない。業者が剪定してくれているが、それらを見ていると、知事が言われた「みんなで取り組む」というキーワードに行き着くのではないかと思う。地道に活動をされている所の一つの草津の上笠界隈は綺麗になっている。全く手が回っていない所を見ると寂しい思いがする。みんなでできるところからやっていくということが広まっていけばよいと思う。地道な活動をされている会員を支えられる部分があればありがたいと受け止めている。

 

(3) 県の取組や行政に対して日頃の活動や日々の生活の中で考えること

  • 当初から言っていたが、このような環境ボランティアをしている人たちの交流ができるとよい。他の団体のやり方も参考にして、活動を広げていくこともできる。今は自分たちのやり方だけでしかやっていけないし、それが良いとは決まっていない。行政がパイプ役になってもらわないと、私たちだけでは難しい。特に、補助金を受けて活動されている団体ではなく、私たちと同じような環境で立ち上げてこられた方たちとの交流がほしい。今まで知らなかったやり方があるかもしれないし、そこから活動を広げていけるということがある。また、その機会に行政の方からも研修などをしていただけるとよい。
  • 「犬の糞放置防止条例」制定につながった活動の始まりには、銀杏の木に「犬の糞はお持ち帰りください」という手作りの看板を吊るした。看板を外されても続けた。以前には、夏は朝5時か6時頃に水やりをしていたが、朝から犬の糞があった。当初はどこを見ても犬の糞だらけ。最近は本当に少なくなった。このように綺麗にしていると、犬を連れている人も気が引ける気持ちが出てくるのではないか。
  • 自治会などとは別に活動をしている。当初から、補助金を出すので学区や町内会でやってほしいと声をかけてもらった。花を植える道沿いには三町ある。補助金を受けると行政の縛りを受けたり、行事へ参加しなければならなくなるのでもらっていない。今は好きに活動できる。私たちは動くボランティアなので、行政にも足を運んで支援を頼むと行政も理解してくれるし、活動していることも知ってもらえる。
  • 当初、草刈りをしていたら、近くを営業で回っている人が何をしているのか尋ねてきて、その後、年2回の空き缶拾いに協力してくれたこともあった。子どもたちも空き缶拾いに協力してくれた。空き缶はトラック1台分くらい集まらないと取りに来てくれない。保管する間も大変。多いと千円くらいと引換えてもらえる。それを花の苗代にしていた。会員から家に植えているガザニアは持ちが良い花と提案があり、会員の家でミニポットで芽出しし植えていった。肥料は少しいるが世話要らずの花でたいへんよかった。
  • いろいろなところから活動の見学に来られている。立命館大学の学生さんも参考にするということで来てくれたことがある。私たちのような取り組みは小さいところから大きくなっていく。上から降りてくるより自分たちでした方が活動が長続きする。自分たちで下から綺麗にしていきたいし、気持ちの持ち方が全く違う。
  • これだけできたから、次も頑張ろう、これを絶やしてはいけないと思えてくる。暑い日も寒い日もあるが。
  • 平成4年までは街路樹の根元の草刈りは市から業者に委託されていた。私たちが花を植え始めてからは、ついでに草刈りもするので、委託はされなくなった。
  • 車や自転車も通るので、平均72歳で高齢だから気を付けてくださいと言われる。それで黄色のユニフォームを着て活動している。行政の「道サポーター」にも入っているので、そのベストを着て、帽子も揃えている。冬はグリーンのジャンパーを上から着て、できるだけ目立つようにしている。
  • 病院でのボランティア活動の中で、車いすの方に手を差し伸べようとしても一定の歯止めがあり、ボランティアができる部分とできない部分がある。病院や患者さんとの距離感が難しい。
  • ボランティアで行く施設の障害のある子どもさんの中には、薬をチューブで飲まれる方もある。会員が施設のスタッフの方に、使い終わったチューブは要らないのかと尋ねたら、要らないと言われたので、会員は捨ててもいいものだと思い捨てた。その後、子どもさんが家に帰ると保護者の方がチューブがないと気付いて、チューブをどうしたのかということで、扱った会員の家まで連絡がありトラブルになった。責任はどこが取るのか私たちも話合いに行ったが、当会が責任を問われることになった。どこまでがボランティアの責任なのかについて、福祉施設のボランティアでは、かみ合っていないところがある。そのことがあってから、そうした方からボランティアは離してもらうように、こちらからお願いしている。しかし、人手が足りないので、やむなく手伝うことになる場合がある。
  • 現場のスタッフの方は手伝ってほしいと思っている。こちらも用意はできる。ここまではボランティアにやってもらってよい、是非助けてくださいというように、うまくコミュニケーションが図れると、ボランティアに行きやすい。何かあるといろいろ言われるままでは、手伝いにくい。
  • ボランティアに行く先の施設などに、何かあった時には責任をとりますと言ってもらえるとよいのだが。
  • これからさらに高齢化社会になる中で、年を取っていてもできる部分があればということでボランティアへの参加が必要になっていくとしたら、そういう部分は避けて通れないところ。そこをうまく図れる場があればよいと思う。
  • 障害のある子どもたちのボランティアでは、私たちの年代は子どもも孫も育ててきたことから、子どもたちへの対応がうまくいっているように感じる。子どもたちからすると、会話の仕方や声のかけ方、世話の仕方など、若いスタッフと少し違うらしい。一時期は、先程話した件もあり手を引くと言ったこともあるが、また来てほしいと言ってもらった。
  • 黄色い服を着て私たちが行くと、子どもたちが喜んで寄ってきてくれる。それは有り難いこと。
  • 専門的な知識はいらない、それは施設にスタッフがいるからということでボランティアを受けさせていただいたのだが、今は少し引いて活動している。
  • 若い間は生活もあるので給料や時間が気になるが、定年になると自分の余った時間をつかうことになるので、物事の考え方、捉え方が大きく変わる。
  • 私たちもこの歳でいろいろと勉強をさせてもらって学んでいる。今までの経験をどこかで活かすということが大事だと考えている。地道な活動だか、知恵を出し合って頑張りたい。

知事から

対話を振り返って

  • 皆さんのお話にあった「みんなでやろう」がこれからの一つのキーワードになると考えている。行政だけや、施設だけにお願いするのではなく。
  • 是非、県内にも皆さんのような取り組みを広めていきたい。
  • 障害があっても、地域で自立して生活していけるというようになるといい。
  • 花を植え、福祉のお手伝いや、病院での付き添いのお手伝いをされるなど、こんなに幅広くされているところはあまりないと思う。福祉なら福祉、環境なら環境に特化して活動されている団体はあるが。団体同士の交流のご提案はおもしろいと思う。
  • 皆さんの活動は、これからの活動のモデルになると思う。
  • このような活動は他では主に自治会が中心ではないか。それを超えて活動されているのは珍しいと思う。皆さんからも滋賀県に活動を広めていただければと思う。基本構想でも「みんなでやりましょう」「新しい豊かさを作りませんか」という呼びかけ型の目標にしようとしている。押し付けがましく、やらされ感があるものは続かない。
  • ボランティアはできる人ができることからというのが大事。施設や病院だけでは今は間に合わなくなってきている。そういうところで、責任分担や役割分担を整理する必要があると思う。
  • 皆さんが愛情をもって接しているから、子どもさんもそれがわかるのではないか。トラブルがあってもそうして必要とされるのは、本当に必要とされているからではないかと思う
  • 勉強させてもらっているという、そういう姿勢が大事。
  • ご提案のボランティアの人たちが交流できる場については、持ち帰って県内いろいろ探してみる。
  • 現場に行って、みんなのために活動されている皆さんのような方とお話をすると、滋賀県は良いところで、もっと良くしたいという気持ちがますます強くなる。皆さんの活動を、いろいろなところで紹介させてもらいたい。