JAしが女性協議会の皆さんから「コロナ募金(滋賀県がんばる医療応援募金)」を贈呈いただいた後、コロナ禍における工夫しながらの社会貢献活動等について意見交換を行いました。
○募金の贈呈にあたり、一言ご挨拶申し上げる。
○平素は三日月知事を先頭に、本県の農業振興と、JAグループ滋賀、ならびにJAしが女性協議会の事業運営に格別のご協力を賜っておりますこと、厚くお礼を申し上げる。
○新型コロナウイルス対策については、様々な県の支援を講じていただいているところであるが、農家、組合員の営農と暮らし、また県民の生活には大きな影響が出ている。今後も悪影響の拡大を懸念するところ。
○一方で医療従事者の皆さんは自らの感染リスクを顧みず、日々感染された方々の治療や看護等にあたってくださっている。
○今回、JAしが女性協議会と県内各JA女性部では、県民の命を守るために最前線で闘ってくださっている医療従事者の皆さまに何か協働の力で、そして、私たちの感謝の気持ちを届けたいという思いから、独自の手ぬぐいを使ったエコバッグづくりを通じて募金活動を実施した。
○本県のJA女性部では過去に琵琶湖を守るためのせっけん運動にも取り組んできた。現在はレジ袋の削減にも貢献する等、環境問題にも思いを込めている。
○県内の医療環境の整備や医療体制の充実のために活用いただき、支援の一助としていただければ幸いと存じる。
●ありがとうございます。コロナ禍が長引く不安とあわせて、医療・介護や保健所の現場もそうであるが、年末年始も、夜間もなく、自らの感染リスクと闘いながら対応いただいている。そういう意味で今日賜った温かいお心を医療現場にもしっかりと届けられるようにしたい。
●このような形で、ご苦労を思い、温かいご寄付をいただくことは、医療現場の方々にとって大層励みになる。そういう意味でも本当にありがたいお志に感謝する。
●『家の光』(JAグループの出版・文化団体 家の光協会の家庭雑誌)を講読しているが、1月号に皆さんの取組が載っていた。最新の2月号でも東びわこのニンジン、北びわこの食農教育の取組等、色々なことを教えていただき、改めて農業、営農、農家の現場の知恵、取組の大切さを学ばせていただいている。
●特に滋賀県は農業県なので、その力を大事にしていかないといけない。農家の方々はもちろん頑張っていただいているが、協働の力で助け合っていこうという姿勢もまた尊いと感じている。
●今日はそのような取組についてご紹介いただき、今後の県政運営のヒントとさせていたければと考えている。
○本県におけるJA女性運営の状況であるが、「正組合員の女性の割合」や「総代の女性の割合」はわずかではあるが年々増えている。
○また、「JAにおける女性役員の割合」は、令和2年度は15.03%であり、全国で愛知に次いで2位の比率になっている(全国平均は約8%)。
○次に、中央会における女性の運営参画についての取組についてであるが、女性役員にリーダーとしての役割を発揮いただくため、平成22年度から「JA女性役員研修会」を開催する等、色々な取組を行っているところ。
○今後は、県でも進めていただいているSDGsの「ジェンダー平等の実現」という点を意識して取り組んでいく。
○女性の方々は、農業振興だけではなく地域振興等、色々な活動をしていただいており、今後ともJA運営に多様な意見を反映するため、さらに女性のJA運営への参画を進めていきたい。
Aさん
○JA甲賀管内から、中央会の女性協議会の会長として出席
Bさん
○JAしが女性協議会の副会長としてJAグリーン近江から参加
○JAしが女性協議会の協議会として、コロナ禍の自粛の中でも、手づくりのものを家庭で楽しんだり、3密を避けて活動できたりといったことを模索しながら、身近なことを共有できるよう、家の光誌を用いて取り組んできた。
○やはり、一人の力では何もできないけれども、このような家中活動を通して、絆の力、仲間の力の大きさというものを実感した。
※家中活動:第1弾:料理レシピ・エッセイ・ハンドメイド作品の募集 第2弾:近江米にあうおかずレシピの募集
なお、第1弾、2弾とも最優秀作品の副賞として、消費拡大を応援する意味合いから近江牛を選定
○わが家は専業農家であり、ミニトマトをつくっている。家族で露地の野菜やお米を作っているが、ベトナムから来てくれていた研修生が帰れなくなったり、来る予定の青年が来られなくなったりということがあった。その後、研修期間が延長となり、再び仕事も進めていくことができたのでありがたい。
○露地野菜の農家さんも、急にキャンセルが入ったり、出荷ができなかったりと、思いも寄らないこともあったが、なんとか皆さんが努力しておられるので、共にがんばっていきたい。
Cさん
○JAおうみ冨士から参加
○JAおうみ冨士女性部では、コロナ禍における活動自粛で何もできなかったが、役員会において自宅でできる活動を考えた。
○マスクが売っていないのなら、「皆で作って販売しよう」「その売り上げの一部を募金しよう」ということになり、多くの方にお買い求めいただき、今回の募金に繋げられた。
○また、牛乳の消費が減るなか、酪農家を応援するため、牛乳をみんなで飲み、空の牛乳パックで椅子を作ろうと呼びかけた。1脚あたり24パック要るが、多くの方に家族ぐるみで協力いただいたりして、たくさんの椅子を作っていただいた。子どもさんがすごく喜ばれるとのこと。
○「コロナに負けるな」「ラジオ体操で健康維持しよう」ということで、参加者を募集してラジオ体操カードを配布し、体操を実施した。165名ほどの参加があり、今も継続して実施いただいている方もいる。
○他にも、JAおうみ冨士女性部で農園を借りて畑作をした。個人的にも米農家であり畑はしたことがなかったので、野菜の収穫の喜びを感じることができた。ピンチをチャンスに変えていこう、これからも頑張っていこうと活動している。
○JAしが女性協議会は昭和24年に全国に先駆けて設立。生産者と消費者で構成されている組織であり、県下の女性部員は令和2年4月現在、11組織、5,609人で活動している。全国のJA女性部員は約50万人である。
○令和2年度活動方針について、JA女性組織3カ年計画の2年目として、「JA女性地域で輝け50万パワー☆」の実践目標(5つの重点実施事項)を掲げ、
「1:食を守る、2:農業を支える、3:地域を担う、4:仲間をつくる、5:JA運営に参画する」
を実践する中で新しいことに挑戦し、協同組合の一員として学習し、食・農・地域の活性化を目的に活動している。
○コロナ禍において、活動に大きな制約がある中でも出来ることはと試行錯誤を重ねた。その中で、日夜頑張っていただいている医療従事者の方々を鑑み、募金活動を始めようという声が上がった。
○そのツールとして、JA滋賀中央会にも協力をいただき、JAグループのキャラクターである笑味ちゃんをプリントした手ぬぐいを作製し、それを使ってエコバッグを作ることを通じて寄付を募った。知事のお手元にもあるバッグがそうである。
○収益金を「滋賀県がんばる医療応援寄附」を通じて、県内の新型コロナウイルス感染対策への寄付に充てた。一部のJA女性部では、軽トラ市の収益金を独自の募金活動にも充てられた。
○エコバックにプリントされている野菜は滋賀県で生産されている農産物であり、買い物のビニール袋の削減にも貢献し、環境問題への思いも込められている。コンビニのお弁当も、ペットボトルのお茶も入る。
○収穫の秋、本来なら県内の各地でJAまつりが開かれ、近江米のPRが行われる時期であったが、実施できなかった。
○そこで、家中活動第2弾として近江米に合うおかず募集をした。近江米振興協会、滋賀県米消費拡大推進連絡協議会にも協力をいただき、県民にも広く募集を行った。12月までの応募は55件あり、今月末に審査会を行う予定。
知事
●コロナ禍においても、精力的な活動をしようと考えてくださっているのは『農業新聞』等でも色々紹介されており、拝見している。
○コロナ禍だから何もできないではなく、「コロナ禍だからこそやれる」という気持ちで活動に取り組んでいる。これまでに得た知識から創意工夫し、事務局の指導も仰ぎ、北から南までの広い環境の中で連携を図り、切磋琢磨し考えている。
知事
●『家の光』でも取り上げられた、この手ぬぐいは以前から作られていたものか。滋賀の野菜が愛らしく描かれていて、とてもかわいい。
○今回の寄付のために、新たに作ったものである。手ぬぐいのアイデア自体はコンビニのレジ袋が有料化になったということがきっかけである。滋賀県は琵琶湖という大きな水がめがあり、本当に環境にこだわった県。当協議会は粉せっけんを初めて使った組織であるので、やはり琵琶湖に優しい取組をしたいと考えた。
知事
●40年前のせっけん運動の際、先頭に立って運動してくださったJAの女性部の皆さんが今もこうして琵琶湖の事を思い行動してくださっている。本当に感謝申し上げる。
●以前、守山で琵琶湖の底さらいをしたが、ミルフィーユのようにビニールがたまっていた。それらを上げると、レジ袋はもちろんであるが一番多かったのは、多かったのは農業資材。今は農業関係者の皆さんも、頑張ってそういったものを出さないよう、流れないようにしようと頑張って考えてくださっている。やはり、農業の分野からエコ・環境のために取組むということはすごく分かりやすくて大切。
○そういうものを大切にする気持ちが自分たちの未来、環境にも繋がっているということを伝えたいと思っており、子どもたちが滋賀県を愛する一つの手だてになるかと考える。
知事
●確実になると思う。学校給食でおいしいご飯が食べられたら、やはりうれしいし、近くで獲れた野菜とか、旬のものをいただけるのはありがたいこと。
●コロナ禍においても、ブラジルや、朝鮮学校など外国人の子どもたちにお米とかお肉を届けたら大層喜ばれた。食べることの繋がりは、僕らもよく覚えているのと同じように、子どもたちにとっても忘れられない取組になるのだと思う。
○『愛の米』の贈呈式という取り組みを、過去からずっと継続させていただいている。全国のJAでうちが一番長く続けている取組である。
○社会福祉協議会等を通じ、知事がおっしゃったように外国人の子どもたちや生活困窮者の方々の施設等に配分してお届けしている。フードバンクにもお届けしている。
○外食が自粛されている中、米の消費が思うほど伸びず、だんだんと備蓄量が増えている。この秋にはどれ程になるのだろうかと。
○生産と消費のバランスがあまり取れていない。自給と需要のバランスが家族内でも取れていない状態なので、滋賀県の子どもたちにもっと近江米を食べさせたいと考えている。
○知事が学生の時に湖国寮に住まわれていた際の温かいお話を聞いたことがある。米の大凶作のときに、滋賀県からお米が届き、本当に元気が出たというお話である。
知事
●いやあ、あれは本当にうれしかった。すごく鮮明に覚えている。米不足でどこに行っても国産米が食べられず、長いパサパサのお米ばかりしかスーパーの店頭に並んでいないときに「近江の若人、ひもじい思いすることなかれ」と言って、近江の袋が届いた。
●当時の寮長が寮生を集め、「ほら見ろ。おまえら滋賀からこうやってどっさり送ってもらってるやないか。滋賀県はええとこや。農家の皆さんに感謝せないかん。」と言っておられた。いつか滋賀に恩返ししたいと思ったきっかけでもある。
●今回のコロナ禍においても、少しばかりではあったが、県内外の学生の皆さんにお米を送ったらやはり反応はあった。御礼のお手紙もいただいたりした。
○コロナ等の社会情勢において、本当にかわいそうな時期に子どもたちが闘っているなと感じている。牛乳も余っている。近江牛、牛肉も消費が伸びていない。そして、一番に思うのは米。やはり日本人の体をつくる米を子どもたちに、給食でしっかりと食べさせたいなというのが夢である。
知事
●滋賀県の子どもたち、主に小学校なのでしょうが、米飯給食はどの程度なのだろうか。
○月曜日から金曜日の5日間のうち、だいたい3.5日である。全ての市町の公立小学校において近江米を食べていただいていると聞いている。
知事
●また滋賀県は結構小麦の産地でもあり、県産小麦でパンをつくり、給食に届けようと頑張ってくださっている人もいる。給食で県産のものを食べられるようになるための取組というのは大切であると考えている。滋賀県は全国でも有数の小麦の産地、作付面積も5位と聞いている。
○やはり、朝ご飯をしっかり食べている子ども、例えば福井県は本当に食育が進んでいる県であり、学力的にも全国トップクラスという結果が出ている。滋賀県の学力低下というのは、朝ご飯をしっかり食べさせていないということも一因なのではないかと考えられる。
○食農教育ともいうが、「食」と「農」の大切さは私たちが次の世代に伝えていきたい、また、伝えないといけないことと思っている。
○県広報誌1・2月号の知事と農業女子との新春対談を読ませていただいた。こんなにも頼もしい人たちがいてくださり、未来は明るいなというようなことを感じた。あの方たちは私たちの嫁や娘の世代であるが、その上の私たちの世代が、次の若い人たちに伝承料理、伝統野菜、滋賀県の風習といった、受け継がれてきたことを伝えることの大切さというものを実感している。
知事
●気候変動の中、「琵琶湖の深呼吸」(全層循環)もようやく今年はできるのではないかという状況であるが、これ以上暖かくなるのをなんとか回避するため、CO2をできるだけ減らしていこうと取組を進めている。
※ 2月1日(月)琵琶湖環境科学研究センターの水質調査により全層循環が確認されました。
●考えようによっては野菜や緑は逆にCO2を吸ってくれるので、そういういい意味での循環を滋賀県で行っていけたらと思っている。
●前のせっけん運動と同じように、SDGs等とも絡め、ぜひ女性部、女性協議会の中でもそういった取組を広めていただければと思う。頑張っていきましょう。