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第63回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手『「スカーレット」で甲賀を盛り上げる推進協議会』の皆さん

『「スカーレット」で甲賀を盛り上げる推進協議会』の皆さん

今回は、『「スカーレット」で甲賀を盛り上げる推進協議会』の皆さんと対話を行いました。

協議会においては、信楽を舞台とした連続テレビ小説「スカーレット」の今秋からの放送に伴い、ドラマの放送をきっかけとした地域の活性化に取り組み、信楽だけにとどまらず、東海道や忍者をはじめとする地域の魅力を発信していくために、甲賀市商工会や観光協会、信楽経済団体、区長会、自治振興会等が中心となって発足され、信楽を中心とした甲賀市への観光客の受け入れ、おもてなしの体制づくりや、撮影のサポートなどの取組を行っておられます。

 今回は、協議会の皆さんと三日月知事が、ドラマの放送をきっかけとした観光誘致の取組や地域資源を活かした地域の魅力発信・地域活性化について語り合いました。

 

 

知事から

今回の対話にあたって

●昨日から5日間、信楽の多羅尾を住まいにさせていただき、今日は午前中から現地の視察、午後からはこの信楽界隈の窯元散策をさせていただいており、その魅力と可能性、価値なるものに、あらためて魅せられたところ。

●連続テレビ小説「スカーレット」が放映されるなど、信楽・甲賀市にとって大きなチャンスにあるとは思うが、それをどう生かしていくのか、単なる一過性のブームに終わらせることなく、窯元の皆さんや地域の皆さんにとって実り多きものになり、持続可能なものになるためにはどうしたらいいのか、ぜひ、一緒に考えられたらなと思っているのでよろしくお願いします。

 

 

信楽の陶器職人に受け継がれる伝統的料理「茶がゆ」の試食

●6時間ずつ4人で交代しながら、昼夜を問わず窯で陶器を焼き続けるので、この「茶がゆ」でさっと食事をとっていた。その名のとおり、ご飯に茶を注いでつくる。窯は高温になり、夏場は食欲も減退するなかとてもおいしく召しあがることができる。最近は食べられるところは少ないが、そういう意味で信楽の名物の一つとなっている。

●焼物が全て焼きあがったら皆ですきやきを食べていた。当時は、めったにすき焼きなんて食べられなかった。地域にとってそれくらい一大行事であった。

協議会の皆さんから

協議会の取組について

●3月末に立ち上がった本協議会は、このまちのため、地域振興を考えたりするため、21団体から選出された会である。

●当初は、応援部会、活性化部会等々をつくり、ロケのおもてなしや広報活動を始めたが、団体の人数も多くなり、この地域のことを考えれば考えるほど、もっと深掘りをして活動をしていかねばならないということになり、その後、6つの委員会(おもてなし委員会、まちなみ委員会、交通対策委員会、イベント委員会、物産開発委員会、情報発信委員会)を立ち上げさせていただき、広報や、町並みを『スカーレット』色に染めていく仕掛け等、各委員会で活動を行っているところ。

●委員会を発足してからは、委員が議論を積み重ね、ホームページをつくったり、イベントを実施したり、少しずつではあるが取組を進めている。

●昨年12月2日に「スカーレット」の放送が決まった時点で、これまで連続テレビ小説のモデルとなった他県市の調査に向かい、お聞きした取組について報告させていただいた。学生のような若い人たちのアイデアも借りながら、今後も甲賀市と協力して取り組んでいきたいと考えている。

 

ドラマ放送をきっかけとした地域の活性化について

●おもてなし委員会において、ロケ関係者の宿泊、滞在地の確保等をはじめ、信楽に来られたお客さんにいかに甲賀市内を回遊してもらうかということを考えている。まず、一つは、緋色(スカーレット色)のブームを起こそうとしているところ。

●市内で採れた緋色・赤い食材を使った食材を提供してくれる協力店を、飲食店の事業者から募集し、回遊される場合のポイントにしてもらいたいと考えている。

●訪れた場所でスタンプを集め、抽選で甲賀市内の名物とか、そういうものを商品としてもらっていただくというようなスタンプラリーのシステムをつくろうとしているところ。

●甲賀市全体の景観について、緋色ののれんをお店に掛けていただき、スカーレット色の町並みをつくり、訪れたお客さんに「ああ、ここは『スカーレット』を盛り上げているな」と、感覚としてわかってもらえるようにしたいと考えている。今回は「スカーレット」という、ずばり色のタイトルが付いているから、ビジュアル的に分かりやすいイメージが出来上がれば面白いと思う。

現状の課題と対策について

●道路、鉄道、バス等、交通対策が急務である。特に、周辺道路は、大型連休や行楽シーズンに今でも大渋滞を起こしている。駐車場に入れず、車が滞留するのが渋滞の原因の一つであり、例えば、アプリを使い、民間駐車場と連携するといった方法もあるが、それだけで渋滞が解消されるわけではない。

●遠くから来ていただく観光客のためにも、信楽インターを降りたところあたりにでも、「信楽の市街まで○分」等の渋滞状況を知らせる案内掲示板があればよいと思う。「そんなに渋滞しているなら、市内の他の場所に行こうかな」と思っていただけるだけでも違うはず。救急車が通れないとか、そういった事案が発生する恐れもある。市民の皆さんにも御協力をいただきながら、渋滞対策に取り組んでいきたいと思っている。渋滞緩和という意味では、自転車好きに既に認知されはじめている栗東の方からの峠道を抜けて来ていただくのも一つだと思う。

●ぜいたくな話ではあるが、甲賀市には信楽焼以外にも、お茶、宿泊町といった色々な宝がある。協議会としてやらないといけないことは、やっぱり『スカーレット』を契機に、信楽はもちろん、甲賀市内の魅力を発信していくというのが一番だと思う。甲賀市全体を盛り上げるため、まずは信楽をスポットとして、突破口にできればいいのではないかと思う。どうしても拠点は信楽界隈になってくると思うが、訪れたお客さんに、甲賀の酒やお茶を飲んでもらったり、泊まってもらったりし、甲賀市内を周遊してもらえるようになるのが一番である。

●他の事例を調査した際、ドラマ放送開始当初はそうでもなかったのに、連休等を境に今まで見たこともないくらい人が来て、あるお店に置いてあったものはほとんど売り切れ、観光客にせっかく来たのに何も買うものはないと、残念がられたとの話をきいた。最近流行のワンハンドグルメのような、手軽に食べられる目玉の食品を開発できればよいと思う。

●ドラマに登場する地域の名物料理はものすごく話題になる。これまでの事例で、売り上げが放送前の10倍程度まで増えたものもある。例えば、信楽というとケーキがおいしいところというイメージを持っている若者が多く、実際にすごく有名になっているケーキ屋さんもある。「甲賀に行けば○○が食べられる!」といった、信楽、甲賀市全体に新しいイメージができればいいと思う。

●SNSを活用しない手はないと考えている。情報発信はもちろん、例えば、渋滞解消のために、おすすめの周遊コース等を紹介したり、滋賀県出身の著名人にPR発信してもらったりもできればよい。

●「スカーレット」を契機に自然と観光の気運は盛り上がってくると思うが、それがどういう形で持続可能なものになってくるのか、どこに行くのか、何をするのか、という部分をどうツーリズムとして形作っていくのかなというのが今後の課題になってくるのかと思う。

 

ドラマ放送を契機として、将来にわたって地域を活性化するために

●SNSも含めて観光客の皆さんが発信した、どこに行った、何を食べたという個々の情報により、自然と観光ルートが完成していくということもあると思う。観光客の人が欲しがっている情報とそのタイミングにアンテナを張り巡らせ、こちらが発信したいことは発信していくということが必要。

●今回のドラマを信楽、甲賀の活性化のチャンスととらえ、地元としてやるべきことはやるが、一過性のもので終わらせない、やりすぎない、今だけでなく将来を見据えて持続的に盛り上げていく、という見方も大切にしていきたい。

知事から

対話を振り返って

●初めて茶がゆをいただいたが、お茶の香りがすごく際立っていておいしい。食べられるようになった経緯も含め、ぜひとも信楽の名物として、PRしていただきたい。

●緋色ののれんはすごく面白い取組だと思う。道路や鉄道といった関係機関とも連動して実施することができればよいと思う。

●信楽だけに留まらず、甲賀全体を盛り上げるためには、例えばお茶やお酒、市内で採れた野菜やお菓子と信楽焼のコラボ等、信楽なり信楽焼にスポットライトが当たるなら、そういったところを切り口として市全体を盛り上げていけるのではないかと思う。

●「スカーレット」放送期間中は、例えば、甲賀の街道沿い等で、月に数回でも市場や市を開くといった方法もある。観光客以外の、地元の方にも足を運んでいただき、特産物に触れていただくことができ、盛り上がると思う。

●交通渋滞の問題について、渋滞を完全になくすのは無理だとしても、なるべく渋滞しない環境をつくるということが大切。今から新たにバイパスを通すようなことは難しいが、既に実施していることを含め、今からできることがないか対応したい。

●SNS上での動画によるPRはとてもインパクトがあってよいと思う。音楽が付いているとか、最近流行の自虐的なものや、ちょっとおしゃれなもの、色々なやり方が考えられる。

●観光に訪れた方が発信した情報について 高評価を得たものだけでなく、率直な意見、場合によっては苦情にも機敏に対応できるようにしておかないといけない。この情報化社会において、ドラマの放送終了後も引き続き地域の活性化を図っていくためには、そういった部分はとても重要である。

●今回のチャンスを活かさない手はないが、「無理してやった割にその後は全然だな」というような一過性のものにしないため、今後も皆で知恵と力を出していければと思う。