今回は、「ミシガン州立大学連合日本センター(以下「JCMU」という。)」の外国人留学生の皆さんと対話を行いました。
JCMUは1989年に滋賀県と姉妹友好州であるアメリカ合衆国ミシガン州の姉妹提携を記念して設立され、今年で30周年を迎えます。JCMUにおいては、ミシガン州の15の州立大学からの留学生が日本文化・日本語を学びながら、積極的に地域との交流を行っており、彦根市を中心にインターンシップやホームステイを経験する等、地元にも受け入れられています。
また、滋賀県とミシガン州の関係のみならず、修了生はミシガン州で日系企業に就職したり、外務関係の職に就いたり等、日米の架け橋となっているケースも多くみられます。
今回は、JCMUの留学生の皆さんと三日月知事が、滋賀に来た理由や学びたいこと、外国人の皆さんが考える滋賀県の魅力等について語り合いました。
●JCMUのような施設は、世界を見渡しても貴重であり、私たち滋賀県民にとっての誇りである。
●昨年、ミシガン州と滋賀県が姉妹提携を結び50年となる節目を迎えた。創立30周年を迎えるJCMUでは、これまで8千人以上の方たちが学ばれ、文化交流等に尽力いただいている。
●滋賀県とミシガン州にとどまらず、様々な友好の輪を世界中に広げていきたい。そのためのヒントを今日はいただきたいと考えている。
●私たちにとって、ここは「夢を目指す場所」であると考えており、私自身、JCMUがなかったらこんなに日本語を話せるようになっていなかったと思う。学生たちにとっても、日本語を学んだり、日本の文化に触れたりといった夢を叶えるきっかけとなっている。
30年もの長きにわたり、琵琶湖の近くで、ミシガン州からの学生が日本の文化と日本語を学ばせていただくことができたのは、本当に滋賀県の皆さんのおかげだと思っており、この先30年、50年、100年と続けることができるようにお願いしたいと思う。
●留学中に2カ月程度の長期ホームステイに参加するのは5、6人程度。金曜日から日曜日までの週末ホームステイには、半数近くの学生は参加することになっている。受け入れたいと申し出てくれる方の方が学生の人数より多くなることもあり、本当にありがたい。
●高校生の時、ミシガン州と滋賀県の留学プログラムで滋賀に来たことがあったが、JCMUのおかげで、こうしてまた日本に来るきっかけをいただいた。元々、父の仕事の都合で色々な国に行く機会があったが、他の国の文化を感じることができたのは自分の成長にとって非常に大きな意味合いがあったと考えている。
●ミシガン州立大学(以下「MSU」という。)で日本語を専攻しており、クラスの友人に勧められてJCMUに来た。
●言語学を専攻し、3年間日本語を勉強しており、将来は研究者になりたいと思っている。
●大学での副専攻が日本語である。日本に来ることがずっと夢であったので、とてもうれしく思っている。和食を食べたり、日本人の友達をたくさんつくったりと、色々なことをしたいと考えている。
●6年前に長野県に行ったことがきっかけで外国に興味を持ち、大学ではフランス語も勉強した。もう一度日本で学びたいと思い、こうしてJCMUに来た。
●将来、日本の会社で働きたくて日本語を勉強している。3年前、高校生の時に愛媛県に留学したが、もう一度日本で学びたいと思い今回の留学にも参加した。
●小さい頃から、日本語が話せるようになりたかったが、あまり勉強する方法がなかった。JCMUのおかげで、こうして日本に来て、念願の日本語を勉強することができ、うれしく思う。
●2年前にもJCMUを通じて留学した。その時まで日本語を勉強する機会がなかったので、JCMUと滋賀県に感謝している。違う国に行って様々な文化を感じてみた方が自分の考え方も広がると思う。
●日本全体において言えるが、滋賀県も過疎が進み、人口が減っている地域があると学んだ。他の県と比べて、特にどんな問題があるのか知りたいと思っている。
●滋賀にはいつも良いイメージがある。先週末、近江八幡でホームステイをしたが家族はとても優しかった。道に迷っても、皆が親切に助けてくれる。
●彦根にはそれほど外国人がいないのかと思っていたが、滋賀大学に行った際、たくさんの中国人留学生に出会った。よく見ると街中にも様々な外国人がいる。人と人とが直接繋がり、実際に他の国の文化を肌で感じ、学ぶということはすごく大切であり、その国の人にとっても国際交流の機会が増えるのはとてもいいことだと思う。
●大きく、きれいな琵琶湖を実際に目の当たりにして、とても感動した。インターンシップで大津のミシガンクルーズに乗船したのがとてもいい経験になった。滋賀県の山や川、湖といった自然は本当に美しく、素晴らしい。
●インターネットで、京都や大阪といった大きなまちの記事や口コミについてはよく見かけるが、せっかくこのきれいな琵琶湖があるのに、滋賀県に関する情報にはあまりヒットしない。インターネットやSNSをもっとうまく活用することにより、滋賀県独自の魅力を広く知ってもらうことができると思う。
●お話をお聞きし、JCMUが皆さんにとっての「夢への一歩」であり、私たちにとってアメリカ、ミシガン州と繋がる大切な場所だということを、改めて実感した。このような施設を創っていただいたことに感謝しており、大切にしていく必要があると考えている。
●今後ますます大切にしたいと思うのは、ダイバーシティ、「多様性」についてである。滋賀県の人は昔からダイバーシティを大事にしてきたと思うが、更に様々な交流を大切にし、一緒に地域を創っていく必要があると考えている。今、滋賀県に来る方や、滋賀県に住む外国の方も増えているが、もっと様々な国の人たちと一緒に暮らし、働くことができるようにしていきたいと思っている。
●近江八幡の話が出たが、古い街並みや自然や水辺の景観もとても大切にしているまちであり、水郷は国の重要文化的景観にも選ばれている。是非とも皆さんに訪れてほしい場所の一つ。
かつて、近江八幡を拠点に様々に御尽力いただいた、ウィリアム・メレル・ヴォーリズというアメリカ人の先生がおられた。様々な建物を建てたり、薬の作り方を教えてくださったりと、とても大切な文化をもたらしてくださった。私たちは古くからのものを大切にするが、それらをもたらしてくれたのは実は外国人の方々でもあったということを覚えておかないといけない。これからも様々な国の方と交流し、色々なことを学んでいけたらと思う。
●知事としてミシガンには3回行ったが、州知事をはじめ、ほぼ毎年、ミシガンの方々とは交流している。ミシガンのグレート・レイクスは、琵琶湖よりもはるかに大きいが、湖の環境問題をはじめ、人権についてや、教育や産業をよりよくするためにはどうすればいいのか等、どんどん意見交換するようにしている。
●滋賀県には昔から、“売る人”、“買う人”、そして“世間”にもよしという、「三方よし」という言葉があり、これは「多様性」を図るうえでとても重要な考え方だと思う。今後も、海外の人と話す場合にはぜひともこの考え方を話していきたい。
●世界にはまだまだ滋賀県のことを知らない人が多いので、例えばインターネットやSNSで、この美しい滋賀の風景やJCMUのことを、日本語だけでなく様々な言語や視点から発信していきたいと考えている。
●日本は高齢社会に入っているが、世界の国々がいつか経験するのであろう課題を、先に経験しているというようにも考えることができる。そういう意味で、私達日本人のそういった経験は、世界の他の国においても活かしていただけると思う。
●滋賀県も人口が減り始めているが、他の県よりも減り方自体はゆるやかであり、若い人も多い。ただ、人口や高齢化の問題に対しては、先のことを十分に考え、今のうちから議論していく必要があると思っている。
●JCMU、彦根、滋賀県での生活を楽しんでほしい。ここでの勉強の成果が、皆さんの人生にとって有意義なものになるのはもちろん、社会や日米の関係、世界にとって有益なものになればいいと考えているし、そうなると確信している。勉強は大変かもしれないが、頑張ってください。応援しています。