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第58回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手「子ども編集委員」の皆さん

「子ども編集委員」の皆さん

今回は、「子ども編集委員」の皆さんと対話を行いました。

平成29年度子ども県議会で「子どもにも楽しい観光を!」というテーマで、子ども用観光パンフレットの作成について提案がなされたことを受けて、平成29年度の子ども県議会議員のうち小学5年から高校1年までの18人が編集委員を務め、フィールドワークや編集会議での意見交換等を行いながら、子ども目線で滋賀県の観光情報を紹介するパンフレットづくりに取り組みました。パンフレットデザインには滋賀県立大の学生も参加しています。

今回は、子ども編集委員の皆さんと三日月知事が、活動を通じて感じたことや滋賀県の魅力発信などについて語り合いました

知事から

今回の対話にあたって

  • 子ども用の観光パンフレットをつくったらどうかと、子ども県議会で平成29年度に提案をいただき、昨年12月に取組の経過報告をしてもらった。パンフレットの出来上がりと今日の懇談をとても楽しみにしていた。おうちの方にも色々とお手伝いをいただいたり、支えていただいたりしたと思うので感謝申し上げる。今日は私もしっかりと皆さんとお話ししたいと思う。

「子ども編集委員」の皆さんから

取組概要について

  • 平成29年度の子ども県議会で提案された本取組では、子どもが親にこんなところへ行きたいと伝えるきっかけになるようなパンフレットをコンセプトに、18名の子ども編集委員と滋賀県立大学の学生さんと一緒に、今まで5回の編集会議を開催し、編集作業に取り組んできた。
  • 完成したパンフレットは1万部印刷し、県内観光施設および公共施設、県外の滋賀県関連施設で配布する。
  • 第1回編集会議では、大人目線でつくられたパンフレットの良いところ、足りないところを話し合った。良いところは「色がカラフル」、「みんなで遊べるゲームがあるところ」で、足りないところは「字が細かくて読みにくい」、「読み仮名がなくて読めないところがある」等、たくさんの意見が出た。
  • 第2回編集会議では、おすすめスポットを話し合った。「黒壁スクエアの真っ黒なソフトクリームおいしいよね」「私も友達も最近歴史にはまっているよ」などパンフレットの題材になるような意見が出た。
  • 第3回編集会議では、滋賀県の現在の観光の状況を知るために大津市にある「滋賀県南郷水産センター」と甲賀市にある「甲賀の里忍術村」に行った。「滋賀県南郷水産センター」では、主にアユのつかみ取り体験をした。みんな最初はうまく取れなかったが、時間が経つにつれてアユの動きについていけるようになり、全員がアユを捕まえることができた。取ったアユは焼いて食べることができ、自分の力で取ったアユは売られているものよりはるかにおいしかった。普段、街中ではできない自然を活かしたアクティビティーなので、体験した人は全員目がきらきらと輝いていた。昼食には琵琶湖でしか取れないビワマスを使ったビワマス丼を食べた。他県の方はもちろん県内の人達でもなかなか食べることができないものなので、このビワマスもたくさんの人に伝えられるものだと思った。午後は「甲賀の里忍術村」に行った。ここでは忍者の衣装をレンタルでき、忍者の気分になれる。忍者といえば手裏剣を思い浮かべる人も多いと思うが、「甲賀の里忍術村」では実際に手裏剣を投げることができる。とても難しいが、的に当てられたときの達成感は、「甲賀の里忍術村」へ行って実際に体験してみないと分からないと思う。ぜひ日本の子どもだけでなく、海外の子ども達にも体験してほしいと思った。実際に体験すると面白いものは多いが、体験したことのない子ども達にどのように楽しさを伝えるのかが今後の課題だと思った。
  • 第4回編集会議では、パンフレットで紹介するスポットと、パンフレットのデザインについて話した。パンフレットで紹介するスポットは、滋賀県の小中学生や子ども編集委員がおすすめするものから選んだ。滋賀にしかないもの、滋賀の魅力を伝えられるもの、自分達が実際に行って面白かったものなどが、パンフレットで紹介するスポットとして選ばれた。また、パンフレットのデザインは子どもでも分かるようなデザインを考えた。例えば、小さな子どもでも読めるように漢字に振り仮名を付ける、手に持ちやすいような大きさにする、子どもが楽しみながら読めるような工夫をするという意見が出た。
  • 第5回編集会議では、滋賀県立大学の学生と観光交流局が作成したパンフレットのデザイン案について、もっとこうすると良いという意見を出した。「パンフレットの文字をもっと目立つようにする」、「書いている文章の意味をもっと分かりやすくする」などの意見が出た。そして最後に私達がパンフレットに出るということで、みんなで写真を撮った。
  • このようにして会議を進め、ついに2月上旬に最終のデザインが完成し、それぞれ家で確認作業を行って、3月に完成することができた。

パンフレットづくりで頑張ったことやパンフレットの見どころについて

  • パンフレットづくりに取り組む中で一番大変だったことは、たくさんの意見を取り入れてパンフレットをつくること。例えば、パンフレットの形についてでも、巻物型というアイデアや冊子型というアイデア、冊子型でも縦開き、横開き、手裏剣の形にするなど、さまざまな意見があった。このようなたくさんの良いアイデアの中からどのようにするか決めると、どうしてもいくつかのアイデアを使うことができなくなってしまう。たくさんのアイデアがある時に、話し合いでそれぞれの良いところを紹介し、残念ながら使うことができなかったアイデアをパンフレットの他のところで活かすことができないか考えることができた。
  • みんなが楽しんで読めるようにするというところが難しかった。小さい子でも目につくようなデザインなどを考えるのも難しかった。
  • 面白いデザインになったと思っている。県内の人にも渡せるし、県外の人にも分かりやすいものだと思う。
  • 今回のデザインではアニメ「ねこねこ日本史」に出てくる滋賀県にゆかりのある歴史上の人物のキャラクターを使わせていただいている。滋賀に関わりのある歴史上の人物はたくさんいる。織田信長が、琵琶湖を交通の要所として押さえておきたかったらしいということをお母さんから教えてもらった。
  • アイスクリームを紹介するページに匂いをつけようという案があった。アドベリーの匂いをつけようと言っていたが、予算や特定のページだけに匂いをつけるのが難しいなど色々な問題があり、できなかった。
  • 今までのパンフレットは、大人が読んだら見やすかったかもしれないが、子どもが読んだら、分からないところが結構あった。
  • パンフレットの中のコメント欄は、子ども達が実際に感じたことをそのまま載せているので、子ども目線のおすすめポイントが掲載されている。
  • パンフレットに掲載するスポットについては、子ども編集委員だけでなく、県内の小中学生からも募集しており、それを合算して応募が多かったスポット順に掲載している。
  • 最後のページは工作ができるようになっている。「飛び出るここ滋賀」ということで、手順に沿って作ると、東京にある滋賀のアンテナショップ「ここ滋賀」が飛び出てくるという工夫をした。
  • 県の観光パンフレットを子ども達と一緒に作ったところは他にない。日本初である。
  • 琵琶湖の面積についてのクイズも載せた。実際は滋賀県の面積の6分の1だが、滋賀県というと、琵琶湖しかないと思っている人が多く、2分の1ぐらいあるというイメージを持っている人が多い。

活動を行って感じたことや新たに発見した滋賀の良いところについて

  • 活動の中で、「滋賀県南郷水産センター」ーや「甲賀の里忍術村」に行って、滋賀の良いところを発見したが、それは思い出がたくさんできることだと思う。自然や文化もたくさんある滋賀で活動する中で、「滋賀県南郷水産センター」のコイの迫力がすごかった、「甲賀の里忍術村」で友達と忍者修行を頑張ったなど、琵琶湖のように大きな思い出ができた。
  • アイスクリームの紹介ページに載っている「炭より黒いアイスクリーム」はおいしかった。炭の味でなく、チョコレート味。同じページに載っている「しょうゆソフトクリーム」は公募で出てきたものである。
  • 色々と意見交換するのも楽しかったし、思い出もたくさんできたので、とても楽しい活動だった。
  • パンフレットに載せている、盛り放題の抹茶ソフトクリームは自分でも食べてみたいと思った。土山の道の駅「あいの土山」で売っており、自分で好きなだけ盛れる。
  • 滋賀県には昔忍者がいて、今は外国の人にも人気がある。また、滋賀には体験型のアクティビティーがいっぱいあるので、他県や外国から人が来てくれたら、すごく喜ばれるだろうと思った。
  • 「甲賀の里忍術村」では、忍者の衣装に着替えて丸太の上を歩いた。丸太の上は不安定で滑りやすいので、私達は恐る恐る歩いたが、スタッフの方は忍者の走り方で、さっと渡っていた。
  • 子ども編集委員の活動で行く前に、一度、「甲賀の里忍術村」に行ったことがあるが、その時にスタッフの方が修行をしていると言っていた。速いスピードで丸太渡りをやっていた。
  • 「甲賀の里忍術村」では、忍者の全国大会を開催しておられる。自分達で滋賀を盛り上げるんだという思いが伝わってきた。
  • 滋賀県ならではのスポットがいっぱいあるところが滋賀の良いところだと思った。
  • みんなで滋賀県の色々なところに行けたのが面白かった。滋賀県に住んでいても、行ったことがないところはたくさんある。滋賀県は緑が多いし、琵琶湖があって、とても水がきれいで、食べ物もすごくこだわっていて、人に優しいところだと思った。
  • 滋賀県には琵琶湖がある。そういうところで歴史や文化が生まれていると思う。
  • パンフレットづくりに関わってくださった県立大学のお姉さんとお話しするのも楽しかった。色々なことを分かりやすく教えてくださった。大学生になったら、子ども県議会のサポーターとしてお手伝いしたいと思っている。
  • 家で考えてくる課題が多かったので、家族や親戚に聞いて参考にしてまとめた。
  • 自然が好きで、小さいころから甲賀市水口町にある「甲賀市みなくち子どもの森」には何度も何度も行った。そこをパンフレットで紹介できたのはうれしかった。ここにはアケボノゾウの模型がある。
  • 今回の提案のもとになった子ども県議会という取組がある滋賀県は、とても子どもに優しい県だと思う。私は、4、5年生と2期連続で議員をした。そのおかげで、学び、考えること、仲間と意見を交わすこと、そして自分から様々な提案をすることができるようになった。
  • 小学校で計画委員会の委員長をしていた。他の学校でいう児童会の役割をしている委員会だが、そこで児童会室を使ってハッピー教室というものをつくった。昼休みに誰でも気軽に遊びに来ることのできる教室である。たくさんの学校でいじめが問題になっているが、私の学校でも仲間外れなどが少なからずある。先生やおうちの人が相談に乗ってくれ、解決に導いてくれるが、私達子ども自身にできることはないかと考えた。友達や仲間になることは、私達子どもにしかできないことなので、委員会で提案し、「学年が違っても親友になれるよ」というスローガンでハッピー教室を創設することができた。年齢が違っても仲間になれるということは、子ども県議会の時に経験したこと。たくさんの人が来てくれて、大盛況だった。中には一人で来てくれる人もいた。将棋やゲームをみんなでして、一人で来た人も、「また来るね」と笑顔で帰ってくれた。計画委員会のみんなでハッピー教室をより良いものにするため活動してきた。こういった取組ができたのも子ども県議会で色々と学んだおかげだと思っている。

滋賀の良さをもっと伝えていくために今後できることについて

  • パンフレットを学校でも配れたら配りたいと思っている。
  • 滋賀本来の良いところがあると思う。都会や大きな観光地に憧れて、その真似をすれば観光客が増えるのではないかとつい勘違いしてしまうが、私はそうではないと思う。滋賀には人の心やふるさとのぬくもりがある。新しいテーマパークなどをつくるよりも、疲れた時に、滋賀の自然やぬくもりで「お帰り」と温かく迎えてくれる人々の優しさをアピールすると良いと思う。
  • 編集会議で、色々な人から意見をもらったが、自分達で滋賀県をつくりたいという思いから、意見が出てきたと思うので、滋賀県の人の意識の高さや優しさが伝わると良いと思った。
  • インターネットなどで滋賀県について調べていたら、滋賀県の悪いところの一つに観光地が少ないという意見があった。滋賀県は自然が多く、山などは車でないと行けない。「ブルーメの丘」に最近アスレチックができて、そういうところに人がたくさん集まると思うが、私の友達にも家に車がない人が何人かいるので、もう少しバスなどをたくさん整備した方が良いと思う。
  • 今後、滋賀のことをもっと伝えていくために、2024年に滋賀で行われる「国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会」に来てくださる方に、スポーツだけでなく、滋賀のことについても知ってもらえるようにPRをしたら良いと思う。その時に子ども用観光パンフレットの配布もすれば、子どもから大人まで滋賀の良いところがどんどん伝わっていき、たくさんの人に滋賀の良いところを知ってもらえると思う。その頃にはこのパンフレットも少し更新しなくてはならないと思うが。
  • 滋賀の良いところを伝えるためには、まず私達が滋賀の良いところをよく知っておかなくてはならないと思う。
  • 滋賀には、近江商人の理念の「三方よし(売り手によし、買い手によし、世間によし)」があるが、滋賀の魅力を日本、世界に発信し、四方八方よしの県と言われるぐらいにしていきたい。そのためにも色々な経験、学習をし、様々なことをもっと提案していければと思う。
  • PR隊を結成して全国を回れたら良いと思う。
  • 新しい高速道路をつくるなど、交通の便を良くしたら良いと思う。工事期間中には交通規制があるかもしれないが、完成したら、遠いところでも「交通の便が良いし、行ってみようか」となりそうだと思う。
  • 『翔んで埼玉』という埼玉の映画のように、滋賀をモデルにした映画で、まちおこしをしたいと思う。例えば『三成さんは京都を許さない』という漫画があるが、そういうのを映画にしてみても良いかと思った。
  • 観光列車をつくったら良いと思う。その列車に乗って、色々な滋賀のスポットに回って、滋賀の良さを知ってもらえたら良いと思う。
  • 滋賀を有名にするためには、チャームポイントというかアピールポイントがあった方が良いと思うので、「○○で有名な滋賀県」とか「○○ですごい滋賀県」というのをつくったらどうか。自分なら「○○」には、自然が多いとか、県民の県を大切に思う気持ちがすごいということを入れる。

知事から

対話を振り返って

  • パンフレットには、「ねこねこ日本史」のかわいいキャラクターがいっぱいいて良い。
  • 滋賀県の良いところを知ってもらおうと思って、東京に「ここ滋賀」をつくったので、このパンフレットも「ここ滋賀」に置く。
  • パンフレットを学校の友達や先生、塾の友達、スポーツ少年団のお友達、子ども会のお友達などに紹介してほしい。
  • 今度、全国の知事さんと滋賀県に集まって色々なことを話し合う機会があるので、その時にこのパンフレットを紹介する。滋賀県の子ども県議会で提案があって、それをきっかけにみんなでつくったと言って紹介させてもらう。
  • 滋賀県は歴史上ゆかりのある城や寺、場所などがたくさんあるので、こうやってパンフレットづくりに関わったことから、そういう勉強もしてみると面白いと思う。
  • 自然の中でちょっとほっとするとか、安らげるとか、そういうことが滋賀県らしいと言ってくれる人は多いと思っている。色々な意見があるので、意見を調整して、どんな滋賀県にするのか、どうやって観光を盛り上げるのかというのは、なかなか難しい。
  • パンフレットは大人がつくるのも良いし、多くは大人がつくっているが、自分達の県の観光なので子どもの目線でつくるのも大事だと思う。小さい子どもも漢字が読めるように振り仮名を振ってくれた。こういうパンフレットは子ども達にも良いが、日本語を勉強し始めたばかりの外国の人にも良いと思った。みんなに優しい、みんなが楽しいパンフレットという視点はとても大事だと勉強させてもらった。