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第57回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手「滋賀県青少年広報レンジャー」の皆さん

「滋賀県青少年広報レンジャー」の皆さん

今回は、「滋賀県青少年広報レンジャー」の皆さんと対話を行いました。

県では、多くの若者に県政への関心を高め、県政参加のきっかけとしていただくことを目的に、滋賀県青少年広報レンジャー(以下、レンジャー)を設置しています。

2年目となる今年度は、昨年6月に10名の高校生・大学生等に委嘱を行い、県関連事業等への参加、県Facebookを通じた県政情報の発信など積極的に活動いただいています。

今回は、レンジャーの皆さんと三日月知事が、レンジャー活動を通じて感じたことや滋賀県への思いについて語り合いました。

知事から

今回の対話にあたって

  • 皆さんがレンジャーの活動を行うなかで感じられたこと、日頃学校や大学等で感じておられること、地域にお住まいになって感じておられることを聞かせていただきたい。
  • 10代・20代の皆さんならではの考えや意見を聞かせていただけるのを楽しみにしている。

「滋賀県青少年広報レンジャー」の皆さんから

レンジャーに応募した理由

  • レンジャーに応募した理由は県政に関わりたかったから。県政モニターにも登録しており、県政モニターへのお知らせでレンジャーを知った。高校生、大学生の方と交流できるし、たくさんの経験をしたいと思ったので応募した。今年18歳になり、選挙権を得た。これを機に、自分の住んでいる町を変えることができたら良いという思いで参加した。
  • 私も県政モニターをしており、そこでレンジャーの取組を知った。滋賀県についてもっと知りたいと思い応募した。
  • レンジャーをやってみたいと思ったのは、将来的に仕事として、滋賀県の良いところや魅力を、県内だけでなく、県外にもアピールしたいと思っているから。レンジャーを通して何かやれたらと思って応募した。滋賀県が最近PRしているビワイチを父と祖父とよくしている。滋賀県の魅力を自分自身の目で見ていくことが、今後にも活かせると思っている。
  • 大阪で育って、県内の大学に通っている。去年5月頃から、彦根に移り住んで下宿している。古民家でシェアハウスをしており、集落の人達と色々と交流することが好きである。そのようなことに関わっているうちに、滋賀県はすごく良いところだと思った。レンジャーになって、その過程で滋賀県の魅力や課題を色々発見できたらと思い、志望した。
  • レンジャーに参加しようと思ったのは、所属しているゼミの先生が、もともと滋賀県庁に勤めておられたことがきっかけ。滋賀県内で公務員として働きたいと思っているのを知っていた先生に声を掛けていただき、興味があったので参加した。

レンジャー活動を行って感じたこと

  • レンジャーとして5回活動した。そのうちの2つがSDGs(=Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)関係であった。SDGsは、世界と私たちの共通目標ということで掲げられており、滋賀県でも取り組んでいて、持続的可能な滋賀の未来について考えているという興味深い話を聞かせていただいた。そのなかで、一番印象的だったのが、パートナーシップとはどういうことかということ。真のパートナーシップは、企画の段階から皆が集まって、こうしていこうと進めていくことだという話を聞いて、すごく印象的だった。大学では、SDGsのアンバサダーをしている。他の大学でSDGsの活動をしているところに取材に行くという、大使のような役割をしている。
  • 「びわ湖の日」のイベントに参加した。滋賀県に住んでいても、農産物やイベントなど知らないことがたくさんあることが分かった。レンジャーの活動を通じて、イベントなどをたくさん知れたので、今後は積極的に参加していければと思っている。
  • びわ湖放送で放送されている県の広報番組である「テレビ滋賀プラス+1(プラスワン)」に出演した。出演について伝えていなかったのに、昔の塾の先生が「見たよ」と年賀状に書いてくださってうれしかった。番組では、UCC滋賀工場とコクヨ工業滋賀に工場見学に行った。知らないことをたくさん知れたし、紙やノートができていくところを見るのも面白くて、楽しかった。テレビ収録が初めてだったので、番組の裏側なども色々知ることができて、すごく勉強になった。工場が公共交通機関から遠かった。見学に来られた観光客が足を伸ばすのは大変だと思うので、その辺の整備が進んでいくと、滋賀県にもたくさんの工場があって、面白い工場見学ができることが伝わるのではないかと思う。それが広まっていくと、最終的に滋賀県の活性化につながっていくのではないかと思っている。
  • 計量検定所に行った。タクシーの走行メーターが正しく作動しているかということや商品のグラム数が記載どおりであるかというチェックなどをしておられた。こういうところは、なかなか県民の目には見えず、自分たちが知らないところで、安全を守って頑張ってくれている人がいることを知った。それを知ったうえで、商品を購入するのとそうでないのとでは、購買意欲などにも何か影響をしてくるのかもしれないと思った。数字で見ると合っているのに、実際の量が違うというのは、自分たちでは分からないので、そこを不正されていても、自分たちで調べることができない。そういうところを、行政が見ていると安心できると思う。
  • 危機管理センターに行った。大学でお世話になっている先生が東日本大震災が起こった直後に岩手県の陸前高田市の副市長をされていた。その先生が、毎年岩手県へ行かれるので、一緒に行かせていただいた。東日本大震災で一番被害が大きかった町に行ったが、震災から何年も経っているのに、まだまだ復興しておらず、本当にびっくりするような町の光景であった。滋賀は他県と比べると、災害が少ない方だと思う。滋賀の人は「津波は来ないから関係ない」と思っている人も多いと思うが、それは自分がもし滋賀にいたらの話で、もしかしたら出張や旅行などで、別の場所にいるかもしれない。そういう時に、自分は災害に関係ないと思っているのと、もしかしたら自分も被害にあうかもしれないと思っているのとでは、違ってくると思う。滋賀県の危機管理センターのように、情報収集や情報発信をしている貴重な場所があるのは、すごく大きいことだと感じている。
  • 平和記念館に行った。近くに住んでいるのに、平和祈念館の存在を知らなかったので、どんなところだろうと興味を持って行ってみた。戦時中に滋賀県の人々がどういう生活をしていたのかが展示されていた。滋賀県について、全然知らないこともあるので、自分から行かないといけないと思った。せっかくそういう貴重なところがあるのに、行かないのはすごくもったいないと思った。私が行った時は、来館者が自分一人だったので、もっとこういうものがある、良いものがあると発信して、活用する必要があると思った。

レンジャー以外の取組や普段感じている問題意識について

  • 大学のゼミで琵琶湖の湖岸が、気候変動による風の変化によって、これからどう変化するかを調べている。その結果から、どういう政策を行うのが良いかを研究している。昔に戻すだけではなく、これからに合わせた環境の湖岸整備を見いだせれば良いと思っている。
  • 高校時代に生徒会長をしており、その時に東京で開催された全国生徒会大会に行った。3泊4日ほどで高校生ならではの問題を話し合い、最終日にプレゼンテーションをする大会であった。そこで出会った友人に「滋賀県は島だよね」と言われた。意味が分からず、どういうことか聞いたら、その子は本当に真面目で賢い子であったが、琵琶湖と陸を逆に思っていた。琵琶湖が陸で、滋賀県の陸が琵琶湖だと思っていた。その時の衝撃が本当に大きくて、それと同時に、すごく悔しくなって、もっと滋賀の良さをアピールしたいと思うようになった。その大会をきっかけに、関西の他府県の生徒会の人たちと高校の悩みなどを解決していく関西生徒会連盟という組織もつくった。
  • 大学に進学して学ぼうとしていることが、まちづくりや都市計画である。通っている高校が草津市にある。草津は人口が集中していて都会であるが、家のある彦根の方に帰っていくと、途中から田んぼがどんどん増えていく。南部だけでなく、他の地域にも分散して、滋賀県にたくさんの人が住んで、広々と、伸び伸びと生活していただけるような町になったらいいと思っている。
  • 私は大学で滋賀県に来てから、まちづくりなどに興味を持ち始めた。滋賀県だったから興味を持てたと思っている。住んでいるところは田んぼが広がっているが、すごく住みやすい。スーパーなどは遠いが、むしろすごく便利だと感じる。人もすごく温かい。よそ者が入っていって、どういうふうに受け入れられるかが不安だったが、開放的で、割と新しいもの好きの方が多かった。受け入れてくれる心がすごく良いと思った。新しいものを取り入れようという意識が、滋賀県は強いのかと思う。世界的な取組であるSDGsを、他人事ではなく、自分たちも同じだというふうに考えてやっていることなど、グローバルな視点があると思っている。日本は外国人を受け入れようとしているが、滋賀県も受け入れる土壌がもしあるなら、人手不足の課題などもあるので、受け入れて、もっと滋賀県が豊かに過ごせるということを、みんなに知っていただいて、誰でも楽しく過ごせればと考えている。
  • いとこが神奈川県に住んでいて、関西へ修学旅行に来たことがあった。滋賀県にも来たと言われたので、どこへ行ったのか聞いてみたら、滋賀へはホテルに泊まりにだけ来たと言われた。せっかく来たのだから、観光してほしかった。関東の人に、滋賀に住んでいると言うと、「滋賀は何があるの?」と聞かれる。関東や東北へのアピールをもっと強めていったら、滋賀の良いところがもっと伝わっていくのではと思った。
  • 国際経済科で、国際的な面を勉強している。現在も様々な国際問題がある。こういう問題は、一見、滋賀は関係ないように思えるが、そうではない。国際情勢を滋賀も見ていくべきだというところを深く考えている。さらにそこで、滋賀の良さ、魅力を、いかに使っていけるか。まったく関係ないように思うところでも、意外とこういうところで使えるという滋賀の魅力があると思う。滋賀は、もちろん食もおいしいし、水もおいしいと思うが、やっぱり一番は、利便性だと思っている。滋賀は、鉄道、新幹線、高速道路もある。中山道や東海道があり、昔から物流の中心的な存在であった。滋賀県は大阪、京都、名古屋の間にあるので、周りを活かすまちづくりができるのではないかと思う。京都は観光収入も多く、たくさん人が来ていると思う。全く同じにするのではないが、それを滋賀も見習う。例えば修学旅行で、京都、大阪を見に行って、滋賀は泊まるだけという時に滋賀の良さを、来た人に伝えていく、見てもらうという取組が、これからは重要だと思う。
  • 滋賀は南に人口が多くて、北に人口が少ない。私は田んぼに囲まれたところに住んでおり、コンビニは車で行かないとないぐらいだが、困ることはなく過ごしやすいと思っている。ただ、私が過ごしやすいと思うのは、自分も親も車を持っているし、移動しやすいからである。年を取った時のことを考えるとたぶん暮らしづらいと思う。高齢者にとっては、電車が1時間に1本しか走っていないところや運賃が高いところがあることも問題かと思う。そこを改善すると、もっと滋賀県が全体的に暮らしやすくなると思う。
  • 滋賀県は昔から環境推進県で環境保全にすごく取り組んでいる県ですごいと思う。だが、私の周りには、琵琶湖で泳いだことがあるという滋賀県民はあまりいない。魅力を伝えるには、滋賀県民自体が琵琶湖の良さや、滋賀県の魅力を知らないと発信のしようがないと思う。滋賀県民がもっと滋賀県を愛して、魅力を知って、発信できるような滋賀県が良いと思う。
  • 野洲以降、米原方面への電車の本数がすごく少なくなる。こういう面で、米原方面に来る観光客が少なくなってしまうのではないかと思っている。近江鉄道沿線もたくさん観光地はあるが、本数が少ないと来る人が少なくなる。観光地に行く人を増やすには、JR以外の交通の便も強くしていけば良いのではないかと思う。
  • 電車移動は寝てしまったりして、周りの景色を見ない人も多いと思う。琵琶湖の良さを活かすためには、電車だけでなく、琵琶湖の船も活用していければ良いと思っている。県内各地に港があるが、運賃が結構高い。一つ目線を変えてみれば、これからの観光業として使えるところかと思う。交通の便をもっと多様化していくことが、これからの滋賀に必要ではないかと思う。

知事から

対話を振り返って

  • SDGsは2030年をゴール、ターゲットイヤーにしている。それまでに貧困をなくそう、飢餓をなくそう、水の状態をよくしよう、ジェンダーをなくそうと、いろんなことを目標にしているので、ぜひ皆さんも色々な形で関わってくれたら嬉しい。国連で定めて、国が取り組むが、私達も国の一員なので、関わらないといけないと思い、滋賀県も関わっている。新しいことをやるのではなくて、琵琶湖を守ること、子どもたちや福祉のことを考えることというように、今までからも色々と取り組んでいることである。
  • いざという時は危機管理センターに集まって対応を行うので、危機管理センターには最新の免震装置や発電を付けている。でも私がいつも考えているのは、それでも危機管理センターが壊れた時どうするか、また、平時にどう使うかということ。危機管理センターでは、情報発信や展示、防災のために学び話し合う防災カフェを開催している。色々なところで起こっている災害を他山の石にして、いつも備えておかないといけない。
  • 平和祈念館では、平和を祈念、希求するために、戦時中の様子について資料展示している。レンジャーの皆さんの世代はおじいさん、おばあさんも戦争に行っていないと思うので、より戦争がリアルでないと思う。そういう世代だからこそ、当時どうだったのかということを、もっともっと知らないといけない。そこで、平和祈念館に来てくださいというだけでなく、学芸員が学校に出掛けていく取組も積極的に行っている。
  • 私は中学校の時に生徒会活動をやっていた。どうしていいのか分からないことがあった時に、先生に隣の中学校は何をしているか聞きたいと頼んで、隣の中学校に行かせてもらった。隣の中学校の取組が分かったら、次は大津の他の中学校が何をやっているのか知りたいということで、大津市の中学校生徒会サミットをやってもらった。他の人が何をやっているかを知ることは良いと思う。皆さんもこれから研究活動など様々な活動をする時に、他の人は何をやっているのかを知って取り入れる視点は大事にしておくと良いと思う。私達も他の都道府県や知事が何をやっているのか、いつも興味を持っている。
  • 滋賀県は琵琶湖があるから環境保全に熱心だが、なぜ琵琶湖があるからといって、熱心なのか。もちろん琵琶湖を汚さないようにしようという思いはあるが、滋賀県の人は周りの人のことを考える人が多いことに理由があるのではないかと思っている。先のことを考える人や、下流のことを考える人が多い。できるだけきれいな水で流さないといけない、周りに迷惑を掛けてはいけない、自分だけが良かったら良いのではなく周りの人にも良くなってもらわないといけないと考える人が多いと思う。
  • 世界との関わりは、滋賀県は絶対に無縁ではないと思っている。これからも、もっともっと世界に開かれた滋賀をつくろう、世界とのつながりのなかで滋賀をつくろうとしている。外国人労働者にしても、ただ労働者として働いてもらうだけではなく、一緒に住もう、フレンドリーな滋賀をつくろうということに取り組み始めている。