令和7年3月3日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
今日は3月3日ということで「ひな祭り」「耳の日」ということでございます。今週末には「びわ湖開き」が開催されますし、9日には3回目となるびわ湖マラソンが行われます。7,000名を超えるランナーの皆様をお迎えし、2,000名を超えるボランティアの方々にもお手伝い、また応援をいただきますので、みんなで盛り上げていけるように頑張ってまいりたいと思います。
3月8日土曜日は国際女性デーでございます。御案内のとおり1904年、ニューヨークで行われた婦人参政権を求めるデモが起源となって、国連によって1975年3月8日、国際女性デーが制定されたされたと聞いております。この国際女性デーにあわせて県庁の本館と新館を繋ぐ2階から4階の各連絡通路で、ヤンマーホールディングス株式会社様との連携によるパネル展示を3月17日まで実施をしております。また、今週金曜日には連合滋賀の皆さんと連携をして大津駅、草津駅での街頭啓発を実施いたします。固定的な、染みついてしまっている性別役割分担意識ですとか、アンコンシャスバイアスをできるだけ払拭しながらですね、よりよい社会づくり、職場づくりに繋げていきたいと思いますので、ぜひ皆さんも御協力、御参加いただければと存じます。
また既に資料を配付させていただいておりますが、本日と明日の2日間、在ニカラグアの荻野日本国特命全権大使が滋賀県を訪問されます。中南米に位置しております、このニカラグアという国で、滋賀県の環境学習船「うみのこ」の取組にならわれ2021年からニカラグアにあるマナグア湖において、ニカラグア版の「UMINOKO」の運行が行われていると。既に先日リリースした資料をお配りしておりますが、大使は今日の夕方に大津港において「うみのこ」の船内を御視察いただく予定と。明日は琵琶湖博物館などを御視察いただいた後、県庁にお越しになるということでございます。国連において、滋賀県にゆかりのある8月27日という日が世界湖沼の日として制定され、各国が湖沼にたたえられている水を持続可能な形で保全していく取組が大変重要だという、そういう時代・状況でもございますので、今後ニカラグアをはじめとする国々とも、特に次世代の教育とか環境体験学習など、様々な連携・協力を構築していければと考えているところでございます。(モニターを指し)これがニカラグア湾の「UMINOKO」なんだそうです。これは泊まれるの。
【担当者】
これは日帰りになっています。
【知事】
日帰り航海だそうです。
それでは一点、今日は資料に基づいて御紹介・御案内をいたします。3月8日土曜日ビバシティ彦根1階にございます無印良品で開催する障害福祉サービス事業所による商品販売会についてのお知らせです。この販売会「つながる市~ほほえみマルシェ~」は県内の障害福祉サービス事業所の経営力強化および販路開拓により、そこで働く障害のある方の就労収入の向上を目的とするものです。県が無印良品と連携した販売会を実施するのは初めてということだそうです。今回、お蕎麦屋も営業をする事業所のこだわりの「そば粉クッキー」ですとか、手織りだからオンリーワンになっております「さをり織の靴紐」、このカラフルでおしゃれな靴紐、また、環境に配慮した「カラフルおざぶ」など、また添加物を使っていない「おせんべい」など6つの事業者が約40種類のこだわりの商品を販売されるということです。出店される事業所は、商品の魅力向上に関する研修を受講されたり、無印良品ビバシティ彦根様の御協力のもと無印良品の社員の皆さんに対して自分たちの商品をプレゼンする商談会も行われたりということで販売会の成功に向けて商品およびその魅せ方にも準備と工夫を重ねてこられているということでございます。障害のある人がつくったからではなくて、商品に魅力を感じたからという理由で商品を手に取っていただけること、まだ御購入いただくことを目指した販売会となっているため多くの方に御来場いただいたり、お手に取っていただければと考えているところです。県といたしまして、障害福祉サービス事業所が自分たちの商品の価値向上や販路の確保・拡大に取り組まれることを支援し、働く障害のある方の豊かな社会生活に繋げていきたいと考えているところです。私からは以上でございます。
[京都新聞]
まず資料提供いただいた部分でお伺いしますが、今回ビバシティ彦根での販売会ですが、物価高騰などで原材料費が上がっている中で障害のある方がつくっていらっしゃる商品の販売という中でも付加価値をどう高めていくのかというところが重要になってきているのかなと思うのですが、県としてそういった分野の付加価値を高めたり販路を開拓していく重要性というのを認識されて、今回無印良品と連携したこういうイベントをされるということですが、それ以外はどういった支援を講じていらっしゃるのでしょうか。
【知事】
まず今月から「滋賀京都新聞」ありがとうございます。念願叶って「滋賀」という県名の入った新聞ができたことを大変嬉しく思っております。また様々な情報をしっかり御提供できるように努めてまいりたいと思います。今お尋ねいただいた物価高騰の折、賃金や工賃をいかに向上させていくのかというのはとても大事な取組だと思っておりまして、その一環としてこの無印良品さんといろいろな商品開発とか売り方とか、こういうふうにしたらもっと手に取っていただけるんじゃないかというアドバイスももらいながら、障害があるから買おうということではなくて「これおしゃれだね」「かわいいね」「美味しいね」と言って買っていただけるような、こういう取組をしながら付加価値を上げたり、もって賃金や工賃を上げるという取組もそうですし、個別の事業所に専門アドバイザーの派遣を行って、今回出店される方だけではなくて、こういうものづくりをされている方、サービスをされている方々の能力を上げていく取組、また県の各機関はいろいろな調達をしますので、物品や役務の調達の際に優先調達をするような取組なども行っているところです。今回どういう反応があるのかというのもよく見ながら今後に繋げていけたらいいなと思っております。
[京都新聞]
もう1点御紹介いただいた在ニカラグア日本国特命全権大使の訪問の件で、向こうで「うみのこ」の取組をされているというところで、知事は、湖沼を通じた各国との連携のお話を以前からされていると思うのですが、何か今回その訪問をきっかけに両地域の取組で、こういう分野で広げていきたい、こういう前進を期待しているといったところはございますでしょうか。
【知事】
今回大使が御来県・御来庁されますので、琵琶湖の「うみのこ」を御覧いただいたり、琵琶湖博物館に行っていただいた後、県庁にお越しいただきますので、大使ともよくお話したいなと思いますね。(モニターの写真を指して)あまり子どもたちが楽しそうな顔をしていないんですけど、どんなプログラムでこのニカラグア版「UMINOKO」が実施されているのか興味がありますし、このマナグア湖がどういう現状なのか、たぶん各国・各湖、置かれている状況は様々だと思いますね。いろいろな知見・経験の共有をすることも、それぞれ携わっている、例えば先生方や研究をされている方のいろいろな励み、糧にもなるでしょうからそんなことからやってみたいなと思います。
[京都新聞]
最後別件なのですが、先日滋賀県立大の職員の方が情報漏洩の容疑で逮捕されるという事態がありました。県から派遣という形で県立大の方で勤務されている方だということですが、県立大の方は会見も開かれて説明もされていたと思います。ただ派遣している県として今回の事態というのはどのように受け止めていらっしゃるのか。またこういった事態が起きないように今後どういう取組をされていくのかをお願いいたします。
【知事】
滋賀県立大学において県から派遣している職員が地方独立行政法人法違反の容疑で逮捕されたということをとても重く受け止めておりますので、県立大学とともにですね、この捜査に全面的に協力をしながら事実の解明と、そしてそれが起こった要因、そういったことが起きないための対策、こういったことを検討し必要に応じて、また皆様方にも御説明していきたいと思っております。こういうことは県立大学をはじめ、公的に発注する様々な契約取引の信頼性公正性を歪めるものでもありますので厳に起こらないようにしていきたいと思っております。
[中日新聞]
昨今話題になっている2馬力選挙について、知事としてはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
そういうことをする方が出現することを、私もそうですし、法律も想定していないという、選挙に出ても当選すること、その後負託を受けて仕事をすることも考えずに、他の方を応援して選挙をするという信じられない、ある意味での愚行、暴挙のようなことが起こるということを私達はどう受け止めるのかということだと思います。したがって、国でも今、公営掲示板に様々なポスターをどう掲出するのかという新たなルールづくりが行われていると承知をしておりますし、こういった他の方を応援しながら、同じ選挙に立候補、出馬するということを規制する検討も行うように、今全国知事会の有志で議論をしながら検討しているところでございますので、公正な選挙が行われるような対策をこれからも注視し、求めていきたいと思います。
[中日新聞]
それに関して、千葉県知事選で、それを宣言しながら出馬表明されているというのがあったかと思うのですが、まだ出馬を表明されていないですが来年知事選も控えて、知事が選挙に出られる際にそういった事案があったとしたら、知事としてはどのような対応を取りたいとか、そういった思いはありますでしょうか。
【知事】
選挙というのは法律において認められている運動がありますので、その範囲内で運動することでより多くの方の支持が得られるようにするということが行われてきたし、行われているし、私もやってきました。この中で、できることというのはたくさんありますので、選挙に出る人は、一生懸命その活動を期間中行っていくということに尽きるのではないでしょうか。しかし、時代とともに、例えばSNSの活用をどうするのかとか、いろいろな感染症の対策、時間や場所による配慮といったことの工夫や改善というのは不断に行われるべきだと思いますが、基本は法律で認められた運動を精一杯やるということだと思います。
[中日新聞]
最後に、国際女性デーに関して、今、県庁内で知事としてはこういったアンコンシャスバイアスがまだ残っているというふうに考えてらっしゃるのか、どれぐらい進んでいると思ってらっしゃいますか。
【知事】
まだまだ残っていると思います。私含め、知らず知らずの中で男性というのはこうあるもの、女性というのはこうあるもの、夫とは妻とはという、こういうものがあるんだと思います。もちろん御自身の考えに沿って選択や行動をするということは大事にしたいと思いますが、やはり1人1人が持っている能力を性別に関わらず、もちろん国籍や障害の有無に関わらず、最大限発揮できる、生かしていける、こういう社会づくりというのはみんなにとって幸せな社会に繋がると思いますし、とりわけ女性だから男性だから、夫だから妻だからという部分をどれだけ廃して、みんなで協力し合っていけるのか。これは県庁内の職場づくりにおいても、これからもっともっと取り組んでいかなければならないことだと思います。ずいぶんいろいろな呼びかけで、いろいろな取組で改善されてきているところも多いと思います。育休を皆で取ろうとか、その中で得られたことを仕事に生かそうとか、これは女性も男性もやってくれていますし、女性の参画による防災の取組などもとても有効な手立てが提案されてきているようにも思いますので、これからもっと実を上げていきたいなと思います。
[びわ湖放送]
先週の火曜日25日に発生しました長浜市木之本での陥没の件について、長浜土木事務所木之本支所が原因を調査しているということで、県は今後の対応を検討するというお話を聞いているのですが、現在の検討の状況とこの消雪装置、要は雪を溶かすためのところのパイプだという話なので、そのあたり県としてどのように今後点検されていくのかというのも含めて教えていただければと思います。
【知事】
まず、2月25日早朝、国道303号の道路が陥没したと。その原因が消雪施設の送水管、消雪施設に水を送る送水管が老朽化して漏水したことが原因だということで、ここの道路を通行された車が、一部破損、パンクをしたと。埼玉県の下水道管由来と思われる道路陥没とは規模は違いますけれども、一歩間違えば大惨事になるというこういう事態ですので、私達はまず被害に遭われた方にきちんと誠意を持って補償するということと併せて、同様の事態が起こらないか点検するように指示をし、目視点検の結果ですけれども既に異常がないということを確認しております。しかし、まだ雪があったり、実際動かさなければならない地域もございますので、この雪寒期終了後、順次この抜本的な対策、必要であれば行っていこうとしているところでございます。下水道管、上水管のみならず、こういった地中に管を入れて水を出したり水を送ったりというような施設も当然つくったその日から古くなる、時間がたてば老朽化するという事態になりますので、継続的、定期的に点検することや、必要に応じて更新するこの作業をしっかりと行っていきたいと思います。間違っても道路が陥没してしまったりということが今後繰り返されないように努めていきたいと思います。
[びわ湖放送]
国からの下水道の点検もそうなのですが、基本的にこの点検というのは道路上からの点検もあれば、中をしっかり見てということもあると思います。今回こういう消雪設備の送水管ということなので、下水道の点検とはちょっと違うところでの発生だったと思うのですが、その辺りというのは県としてはそれに限らず、そういう地中の何かしらの水を送る管というかパイプというところの特に気を付けなければいけない、特に昭和50年というと他の下水道管も同じように大体その時期につくられてというのが全国でもあると思いますので、県としてはそこをどのように注視されていくかというのを改めてお聞きします。
【知事】
例えばこの消雪設備は県内でおよそ152キロメートルあり、一番長い距離を持っているところが当然雪の多い長浜市、次いで高島市という状況になっていますので、いつ敷設されたのかによって、当然異常が出る、老朽化する、発生確率が高くなる可能性がありますので、重点的に点検をして更新する、もちろん季節ごとに通水実験をしながら出てくるのか出てこないのか、出てこないとすればどこで漏れているのかっていうことも都度確認されていると思いますが、今回の事態を受けてどうやって点検するのか、また更新するのか、道路部局を中心に今後の調査手法や事業スケジュールについても検討させたいというふうに思います。いちいち掘り起こして異常ないか確認するのはなかなか手間もいりますので、然らばどういう方法で点検していくのか、これは下水道も同じですが、知恵と技術が試されるところでもあると思います。
[日本経済新聞]
先日、高校の授業料の無償化については3党合意がなされて、おそらく来年度、それから再来年度の国家予算で手当されると。かなり論争になっており、私立にかなり生徒が流れるのではないかということがあり、はっきりしたデータを持ってないのですが、滋賀県の場合はやはり県立高校の方が圧倒的に多いですよね。それでアクセスもいいので、京都とか大阪、兵庫県に出やすいというところもあって、現状で虎姫高校など、県の中でも北の方に住んでいる高校生が南の高校を志願する、北の方が定員割れを起こしているといった事例があって、さらに県内の高校に入ろうという人が京都とか大阪の県外の私立高校を志願するといったケースが増えてくるのではないかということも想定されます。そうなってくると、量的にも質的にも、県内の県立高校は地盤沈下があるかもしれないというのは容易に想像できると思うのですが、そのあたり知事はどういったお考えですか。
【知事】
高校の授業料無償化をはじめ、こういった高校に進学する子どもたちの公私隔てなく、例えば私立に行く子どもたちの授業料も無償化に向けて公費が今よりも多く投入されるというのは、選択肢を広げるという意味において私はいいことだと思います。しかし、一方で今おっしゃったように、選択肢が広がった分、全県一区は前からやっておりますが、公立から私立に流れる生徒が出るとすれば、公立の存在意義、魅力というものも問われてきますので、国会でも一部議論されていると聞いていますが、公立とりわけ専門高校などへの魅力向上、施設機能充実のための、同様といいますか、そこまでいかなくともそれなりの公費の投入ということも言われておりますので、そういったことは私達も同じように求めていきたいと思います。また、県でも既に始めていますが、特に普通科の魅力の向上、こういったことを今よりもさらに力を入れてやっていかなければならない、今よりも児童生徒が減っていくという状況の中で、どうやって公立高校の存在意義を保ち高めていくのかということが今よりもさらに求められていく状況になっていくと思います。週末に出された公立高校の出願確定状況を見る限りにおいて、まだそういった私立高校無償化の影響が従前と比べて色濃く出ているような状況は確認できませんが、これからはおそらくもっと出てくることも予想されますので、注意深く見ていきたいと思います。
[日本経済新聞]
維新の政策で、一足先にそういった無償化を打ち出している大阪府のデータだと、はっきり公立高校を志願する人が減って倍率が落ちているというのが出ています。現状で滋賀県の北の方の高校の魅力を高めるために、例えば虎姫高校でバカロレアを導入するとかやっていますけれども、そういった形での魅力向上を滋賀県の他の高校でもやっていくといったことでしょうか。知事の言っている魅力を高めるというのは。
【知事】
メニューはいろいろあると思います。この4月から伊香高校の「森の探究科」、守山北高校の「みらい共創科」、地域と一緒になって様々な森づくりやものづくりをしていく、ことづくりをするということにも可能性を感じていますし、虎姫高校のバカロレアはじめ、これから他の高校でも特色を生かし、魅力を高める取組をもっともっと進めていきたいと思います。
[日本経済新聞]
おっしゃったように生徒自身、15歳人口が減っていく、これは確実です。やはりそうなってくると高校の統廃合といった話にもなってくるのではないかと思うのですが、その辺りももう視野に入っていますか。
【知事】
ここは教育委員会ともよく議論したいと思います。今の高校生の教育内容を充実させるための少人数学級ということであるとか、規模は小さくなってもそれぞれの地域において中核となる施設、学校としての役割をどのように考えるのかとか、また、今話題にしていただいた特色、魅力をどうつけて選ばれる学校をつくるのかということにも可能性を感じますので、現時点で何か統廃合に向けた計画やスケジュールがあるということではないのですが、確実に子どもが減っていく中でどういう体制を維持していくのか。持っていると老朽化のいろいろな課題を抱え続けることにもなりますので、これは大事なテーマだと思います。
[日本経済新聞]
もう一つそれと関連して、県の人口が140万人を割った際に知事はありきたりなコメントというよりは、人口が減っていく中でこれまでできなかったことをやるといったチャンスになるんじゃないかという結構ポジティブなコメントをされておられました。こういった高校生が減っていくというのも現象の一つだと思いますが、知事が思い浮かべる人口減少社会の中での良い面、我々の生活にとってポジティブな面、こういったものは具体的にどういったことを想定されていますか。
【知事】
数は力というところがあると思いますし、この国は有史以来ずっと人口は大きな戦争や飢饉がない限り、大きな災害のときには一時減ったこともあるのでしょうけれども、概ね増加傾向の中で暮らしてきましたので、減少局面に入るということの受容、受け入れができない私達がいると思います。が、やはりこの人口急増時代に失ってきたもの、抱えてきたものというのも同時にあって、歩くスペースが狭い、住むところが狭い、様々な自然環境との関係などもあろうかと思いますので、例えば1人1人を大事にするとか、歩く空間や住む空間を広くするとか、こういうむしろ一緒に住む人数が減ったことによるポジティブな面をどれだけ感じ、また広げていけるのか、受容と同時にそういう前向きな面もこの議論の中で反映できるようにしていきたいと思います。
[滋賀報知新聞]
大きく二つ伺います。まず一つ目ですが先週金曜日2月28日に当時現職の県議会議員だった方に対して政務活動費の詐取で懲役1年6か月執行猶予5年という有罪判決が出ました。まずこれについて県政の両輪である滋賀県知事としての受け止めを伺ってもいいでしょうか。
【知事】
二元代表制の県議会、そしてその中で長く県議会議員をされていた方が詐欺罪で有罪判決を受けられたことは私も承知をしておりますが、大変遺憾に思っております。残念なことです。
[滋賀報知新聞]
政務活動費の詐欺だったということですけれども、この政務活動費というもののあり方、現行のルールの見直しも含めて、何か知事の御所見ありましたら伺ってもいいでしょうか。
【知事】
ちょっとその内容は精査する必要があると思っていますが、制度的に何か問題があってこういう事態に陥ったのか、多くの方、いやほとんどの方、この当該県議以外はルールを守って執行されているわけですから、むしろそれを守らない側に問題があったのか、この辺りは検証しながら必要な対策を講じていきたいと思います。
[滋賀報知新聞]
大きな二つ目について、国が進めている高額療養費制度の自己負担額の引き上げについてですが、いろいろ話題が広がっており、懸念であったり不安であったりというのが湧き出している現状なのかなと拝察をしております。2月18日には島根県知事が会見の中でこの話題に触れ、「国家的殺人未遂だ」と痛烈な批判をされたという報道が出ておりました。知事の高額療養費制度の見直しが進められていることについての受け止めを伺ってもいいでしょうか。
【知事】
高額な費用を負担されながら、すなわち高度な治療であったり、また難病重病を高額な薬等を投与されながら治療される方というのは、まさに命の危険性と日々隣合わせの中で過ごされているわけですから、そういった方々に関係する制度を変えていくということについてはこういった不満、不安がどっと世の中に吹き上がる前にですね、十分にも十分な調整相談が行われてしかるべきだったと思います。当然今総理をはじめ、関係大臣等も協議を重ねられて、このあたり、国会での指摘・追及、団体からのいろいろな御要望等を受けて検討されていると聞いておりますので、国会の予算審議の中で合理的な着地点を見いだしていただけるように期待したいと思います。ただ、支え手が減っていく中でこの医療費全体をどのように適正化していくのかという議論は同時に必要なことだと思いますので、今回この高額療養費だけが少しクローズアップされていますが、薬をどうするのか、また様々な医療ネットワークをどのようにつくるのか維持するのかということと合わせてですね、大きな議論が展開されることも併せて期待したいと思います。
[滋賀報知新聞]
今年の8月から導入の予定ということで審議が進められていますが、そうなってくると地方自治体としてこれに対応する措置を求めるような声も出てくるのではないかと思いますが、県として何かそのようなお考えであったり政策はあったりするんでしょうか。
【知事】
県としての見解ということよりもまずその制度自体をどうするのか。そして新たな制度変更を加えるとすれば、いつから誰を対象にどの程度(負担増を)求めていくことになるのか。ただ今回のこういった批判や議論を受けて経過措置を設けるのか。新たな負担軽減策をつくるのか。こういったこともよく注視して足りない部分を地方でという議論も理論的にはあるのかもしれませんが、やはり基本的には国においてこの保険制度の中できちん制度担保されることが基本だと思いますのでそこは確認していきたいと思います。
[朝日新聞]
先ほどもちょっと触れられましたけれども、ジェンダー平等あるいはダイバーシティについての考え方あるいは政策についてお尋ねしたいと思います。今のトランプ政権が世界を振り回しているところでありますけども、トランプ大統領がDEIという多様性、公平性、包摂性のプログラムを終了するという大統領令に署名をし、多様性という方向がどんどん後退している局面にあります。この考え方については能力よりもその属性を重視したということが逆差別に当たるのではないかという言い方をしていて、これについては多様性については行き過ぎている、あるいは多様性疲れがあるということで一定支持する声もあったりします。このアメリカ政府の方針に対してMetaとかAmazon、あるいはマクドナルドといった企業が、やはりこのDEIの取組をどんどん抑制していくという動きもあります。これらは日本にも非常に関係の深い企業でありますけれども、こうした動きについて知事はどのように受け止め、考えていらっしゃるのでしょうか。
【知事】
そういう動きがアメリカにおいて新たな政権が誕生したことによって、またその前からその傾向があったのかもしれませんが、大きく動いているということについては私も承知をしております。DEIですか、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン、ただその動きと私の考えは方針を異にしていると考えています。このより戻しというか、変更というのも政治的、経済的、社会的な様々な要因の中で動いてきていると聞いておりますが、私は法的政治的にも人権というものが保障されるということや多様性がイノベーションを生むということ、また社会に包摂性がある方が1人1人全ての人にとって居やすい社会になるという考えのもとでDEIというのは地域、職場、国家においてもさらに進めるべきものであると思いますし、日本とりわけ滋賀県はこの多様性の中でつくられ発展してきた地域でもあると思いますので、その点は我々は強く堅持していきたいと思っています。
【朝日新聞】
そうした知事のお考えは来年度の予算案についても、掲げている政策の中でも伺えるところで、企業に対するジェンダー平等についてのオンライン講座をやるとかですね、あるいは農業従事者に対して女性活躍を進めるといった取組を新たに事業として盛り込んでいるなどそういったところは感じられるところでありますけども、一方で足元である県庁あるいは県職員に対してについてはどうなのかということは、先ほど知事もアンコンシャスバイアスについてはまだまだという御見解もありましたけど、県庁内の取組についてもやっぱり考えてみる必要があるのかなと思います。例えばトイレなんですけども、いわゆるLGBTというか性的少数者にとってみて、特にトランスジェンダーの方については公共施設のトイレが使いにくいということは切実な問題になっています。御自身が使いたいトイレがなかなか使えないという現実があるということです。滋賀県庁職員のガイドラインを見ますと、こうした場合の対応として多目的トイレを含めた選択肢を示すというふうなことがガイドラインとしては書かれているわけです。ただ、これだけ広い県庁内の庁舎内において多目的トイレというものが一体どこにどれぐらいあるのかという数的な制約もありますし、あるいは便器を製造しているメーカーのTOTOがアンケートを行ったところ、トランスジェンダーの方で実際に多機能トイレを使ったことがある人に聞いたところ、車椅子使用者やベビーカー利用者が並んでいたので非常に気まずい思いをしたという人が35パーセント近くあったというようなこともあります。この性的少数者の思いにも寄り添うということを考えた場合に、性別に関わらず利用できるトイレがこれから必要になっていくのだろうと考えます。今年の秋に開かれる国スポ・障スポの会場内では性的少数者のことにも配慮した性別によらないようなトイレを設置するということがあれば、性的少数者にも寄り添うという形での多様性の象徴にもなるかと考えますがそうした取組などは何か考えていらっしゃいますか。
【知事】
まずジェンダー平等については県庁内、県の職場にとっても、より進めていく必要があるのではないかという問題意識を私も共有いたします。とりわけトイレ、トランスジェンダーの方であるとか、いわゆる性的少数者だといわれる方々にどういう配慮、また紹介をしていくのか。こういったことも現状がどうなっていて、さらにどういう対策が必要なのかということについては、少し見て考えてみたいと思います。加えて、国スポ・障スポというのは多くの方が来場され、トイレ含め御利用されることも多いときにそういったトランスジェンダーの方々にどういう配慮もしくは設定をするのかというのも、とても重要なことだと思いますのでこの辺りも確認してみたいと思います。
[朝日新聞]
国スポ・障スポでそういう取組がなされ、こういった取組が新たな県の関連施設、例えば医療福祉拠点などに繋がっていけば、まさに国スポ・障スポのレガシーとして引き継いでいかれる形としてありうるのかなと考えるところでございますので、多様性を重視する滋賀県として先頭を切って取り組んでいただければと思います。よろしくお願いします。
【知事】
ありがとうございます。しかと受け止めて今後の対応に生かしたいと思います。