令和7年2月12日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
今日もよろしくお願いいたします。なお事前に告知しておりました話題提供の1つ「都市公園湖岸緑地の今後の適正利用促進方策」につきましては、少し調整しないといけない事項がありましたので、私の判断で今日の会見での説明は取り下げさせていただきたいと思います。また改めて御説明、御報告させていただきたいと思います。何がどうだったんだというようなことにつきましてもまた後ほど御質問があれば承りたいと思います。
いくつか申し上げます。まず先週5日間フランス・パリを訪問いたしまして、文化観光のプロモーション活動をさせていただきました。現地旅行業者を対象にした商談会を開催いたしまして、私からも直接、滋賀の自然・歴史・文化またそういった中で育まれてきた精神性などについてプレゼンテーションさせていただくと同時に、参加者の皆さんと意見交換をしたり、滋賀の地酒やペアリングした食べ物等の御説明をさせていただきました。今回は旅行業者の方が訪日ツアーなどを組成される旅行業者の方メインでお招きいたしましたので、そういった方向けのお話、そういった方々からの御関心という、こういうことでございました。また期間中にですね、ユネスコ本部を訪問させていただくと同時に、パリ市内の交通政策、交通まちづくりの状況を視察させていただきました。特に私も以前から繋がりのあるヴァンソン藤井由実さんにお時間をいただきまして、急遽でありましたけれどもパリの様々なまちづくりについて現地案内いただきながら、特に道路空間の開放というような事とか、学校前の安全な道路空間づくりというようなことについて様々な御示唆をいただいたところでございます。またコロナの折から一緒に勉強会させていただいておりますクロード・ルブランさん。この『山田洋次が見てきた日本』という、こういう大作を記されている、寅さんがお好きな、またローカル鉄道に大変造詣の深いクロード・ルブランさんとの会見もさせていただきました。その他、フランス滋賀県人会の皆様との交流、地酒を含む日本酒類のコンクール「Kura Master」を企画される皆様とも面会し、意見交換をさせていただきました。またパリ五輪の際におもてなしを担当された副市長と、ナイトミュージアム・ナイトアミューズメントについてパリの観光について意見交換をさせていただくと同時に、(右上、右下の)写真にありますようにポンピドゥー国立芸術文化センターの総裁はじめ関係者と会見・会談をさせていただきました。特にポンピドゥー国立芸術文化センターでは、この真ん中の方がローラン・ルボン総裁、左側が保坂健二朗県立美術館のディレクターですけれども、一緒に参りましてアール・ブリュットの作品収集で、ポンピドゥーは900点、そして滋賀県立美術館が700点と。世界ではある意味、双璧のような収集力を持っておりますので、そういったことに関する連携でありますとか、「ミル・フォルムス(MilleFormes)」という子ども向けのプログラムを地方都市と連携してポンピドゥーでは行われておりますので、そういったことのコラボレーションをしないかという話をさせていただきました。具体の、また実務的な協議を始めることについて合意をいたしましたので今後に繋げていきたいと考えているところでございます。以上、短い限られた期間ではありましたけれども、滋賀そして大阪・関西万博が開催される関西に向けてフランスからの誘客に繋げてまいりたいと考えているところでございます。
話題を変えますが県立高専につきまして令和10年開校を目指し、今様々な準備をさせていただいております。昨年9月に写真にもありますように北村隆行さんを初代校長予定者に内定いたしまして具体の準備を進めています。また「県立高専共創フォーラム」への参画企業数も200を超えてきまして関心の高さを実感しているところでございます。明日でございますが2月13日、第3回目となります「滋賀県立高専共創フォーラム」を開催させていただきます。北村先生にも初めて御登壇いただくと同時に、県立高専の目指す姿についてお話をいただきます。また企業と県立高専との連携・共創をテーマに、様々な意見交換もさせていただければと。また当日は国立高専機構の谷口理事長も御臨席いただける予定と聞いておりますし、地元の櫻本野洲市長もお越しいただけるということでございます。少しこんな学校になるんじゃないかという設計を映像化したものも紹介させていただける予定でございますのでイメージを持っていただける場としてぜひ皆様方に御注目・御参加いただければと思います。
また1つ話題を変えまして世界湖沼の日の制定を記念いたしまして、草津市立松原中学校の中学3年生の皆さんが制作されたモニュメントを2月17日月曜日から28日金曜日まで県庁本館1階の県民サロンで展示をさせていただきます。既に一部報道もされておりますが、この松原中学校では英語学習の一環として、世界湖沼の日をテーマに学習を進めていただいておりまして、昨年11月にはインドネシアの中学生の皆さんともオンラインで交流をされているということだそうでございます。世界湖沼の日は琵琶湖から世界に視野を広げながら、琵琶湖のために、また湖・沼・水のために私達がどんなことできるのかと考えるきっかけとして、大事にしていきたいと考えているところでございます。まずは今回の展示の内容をぜひ御覧いただいて、中学生もこういう関心を持って、行動し始めているんだということを御確認いただければと存じます。
なお関連いたしまして、琵琶湖博物館の来館者が1,300万人に到達したというそういった情報も入っておりますのでまた改めて御注目いただければと存じます。
それでは今日は資料に基づいて1点、ゲストもお招きしておりますので、御紹介をさせていただきます。わたSHIGA輝く国スポ・障スポ、いよいよ近づいてまいりました。様々な心身の特性、心や体の特性、考え方を持つ人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことのできる大会にしたいと。そのためにスタッフや運営ボランティアなど、支える人向けのリーフレットを龍谷大学社会学部の皆さんと連携して作成しましたのでお知らせをいたします。専門的知見を持つ社会学部の教授と社会学を学ぶ学生の皆さんにより、学生ならではの視点をいかした誰にでもわかりやすいリーフレットを作成していただきました。この場にはですね、取り組んでいただいた学生の皆さんを代表して、福浦さんと十露木さんにお越しいただきました。後ほど、会見・インタビューの機会はあるそうでございますが、この場で私からいくつか質問をするように言われておりますので、させていただきます。
このリーフレットをつくろうと思ったきっかけは何だったんですか。
[十露木さん]
まずこのようなプロジェクトがあると大学から紹介あって、今まではスポーツをする側で携わっていたのですが、支える側として、携わりたいと興味を持ったからです。
【知事】
なるほど。ちなみに十露木さんはどんなスポーツをなさるんですか。
[十露木さん]
私はバレーボール部に入っていました。
【知事】
する側から支える側に入ってみようということでございますが、この事業やってみて大変だったことは何ですか。
[福浦さん]
はい。大変だったことは表現の仕方や知識としては理解していても、人に伝えるリーフレットという形で伝えるということが難しかったところです。
【知事】
伝えたいことを紙の媒体にして、文字にして、リーフレットで伝えるって、なかなか難しいんですよね。やってみてわかることってあると思いますので、そういったことに取り組んでもらったっていうことはとても意味のあることじゃないかなと思います。将来どんな仕事をしたいですか。
[福浦さん]
私の笑顔でいろんな人を幸せにできたらなって思っています。
【知事】
いいですね。十露木さんの方は何か思っていますか。
[十露木さん]
私はメディアの方で何か携わりたいと思っています。
【知事】
「メディアの仕事がしたい」、「笑顔をいかした仕事がしたい」。素晴らしいことだと思います。この経験をこれから行われるわたSHIGA輝く国スポ・障スポとか、またこれからの学生生活にこんなふうにいかしてみたいなって思うことはありますか。
[十露木さん]
はい。リーフレットをつくって終わるだけではなくて、これからまちなかとかでヘルプマークの方だったりを見かけた際には、積極的に気にかけていきたいと思います。
【知事】
なるほど。福浦さんは何か思うことはありますか。
[福浦さん]
障害を持たれた方を駅とかで見かけたとき、実際に声をかけて、声のかけ方とかも全てこのリーフレットに記載してるので見ていただいて一緒に私達と、このわたSHIGA輝く国スポ・障スポを盛り上げられたらなって思っています。
【知事】
はい、ありがとうございます。素晴らしい取組をしていただいた学生の皆さん心から拍手を送りたいと思います。ありがとうございました。また手話通訳の田渕さんに御協力いただいていますが、手話を始めとする様々なコミュニケーションツールにも関心を広めていただくそんな機会になればいいなと思いますね。来週2月19日水曜日の14時から福浦さんと十露木さんをはじめ、この作成に関わっていただいた5名の学生の皆さんが講師となって県や市町職員を対象に作成に当たっての活動の報告、また心のバリアフリー、この冊子の発表をしていただくことになっております。ぜひ御取材いただければと思います。
関連いたしまして、昨年6月3日の会見で紹介いたしましたICTを活用して、視覚障害のある方にもスポーツ観戦を楽しんでいただく事業の第2弾についてもお知らせをいたします。PlatCast(プラットキャスト)という機材を通じてスマホに配信される実況を聞きながら、試合会場で観戦を楽しんでいただくというこのモデル事業でございますが、今回、東レアローズ滋賀の皆さんに御協力をいただいて来る2月16日日曜日にYMITアリーナで行われる東レアローズ滋賀対SAGA久光スプリングスの試合で試行させていただきます。バレーボールのトップリーグ、SVリーグで同様のこうした試みが行われるのは全国初めてということでございます。解説があったり、音がライブで共有できるという、こういうことでございますので臨場感のある試合観戦をお楽しみいただければと思います。この事業や先に紹介いたしました心のバリアフリーリーフレットなどをしっかりと活用いたしまして、わたSHIGA輝く国スポ・障スポ開催を機にスポーツをすること・見ること・支えることで、心の豊かさまた幸せ心と身体の健康、「健康しが」づくりを進めていきたいと思いますので、報道機関各位の御協力、また御支援を賜れればと存じます。私からは以上でございます。
[読売新聞]
冒頭お話があったのであえて聞きますが、湖岸緑地の駐車場について、県としてどういう方針なのかということと、また今日どういう事情があって発表を見送ることにしたのかもう少し御説明をお願いします。
【知事】
誠に申し訳ございませんでした。都市公園湖岸緑地の駐車場等の適正利用を促進するために、これまでやってきた社会実験をもとに、今後の方向性についてこのようにやりたいということを御説明させていただく予定だったのですが、規約や条例との兼ね合い等で整備しなければいけないこと、確認しなければいけないことがあるのではないかということになりましたので、この時点ではまだ発表させていただくのを控えさせていただいて、今しばし確認の時間をいただきたいということでございます。
[読売新聞]
詳細が煮詰まって詰めなければならない部分はあるが、一部駐車場については有料化するということで条例とか規約ということをおっしゃっているのでしょうか。
【知事】
これまで社会実験をさせていただいていて、一定料金等御負担いただくことも含めて検討してきましたので、概ねその方向で今準備をしているところですが、どこで、どれぐらいで、どのような方式でということについて、少し確認をした上で発表させていただきたいと思います。
[読売新聞]
もう言っている間に新年度になりますけれども、ごく近いうちに改めて発表するということでしょうか。始めようと思っていた時期がずれるとか、そういうことではないのでしょうか。
【知事】
始める時期をずらすところまでは今考えていませんが、発表させていただいて、世の中の皆さんに周知させていただく前に確認しなければいけないことを確認した上で、近く発表させていただければと思います。
[読売新聞]
陸上自衛隊の饗庭野駐屯地で砲弾の行方がわからなくなったという事案について、改めて受け止めと、捜索をしているということかと思いますが、その後何か情報は入っていますでしょうか。
【知事】
2月3日の夕方、防衛省から着弾が確認できないという第1報を受けました。翌日には知事コメントも出させていただいておりますし、防衛省から県庁の方にも報告をいただいて、防災危機管理監が対応させていただいたということでございます。既にコメントも出していますが、以前にもございましたし、再発防止徹底を求めている中でこういった事案が発生したということについては、極めて重大かつ遺憾だということでございます。なお、まだどこに着弾したのかということが特定できていない、捜索中だと聞いております。したがって、まずはどこに飛んでいったのか、着弾したのかということを特定した上で、なぜそういったことが起きたのかということ。そういったことが起きないようにするためにどういったことをするのかということを、今後、防衛省に対して説明を求めていくことになると思います。今、捜索中ということなのですが、雪で現地がなかなか確認しづらい状況もあると聞いております。できるだけ早く確認できるよう求めていきたいと思います。
[読売新聞]
ここ数年、今回のような砲弾以外のものも含めて4例ぐらい、場外ないしはほぼ場外に飛んでいるような事案が確認されているようです。相次いでいることに対して、再発防止策であるとか、その連絡体制を含めてどのようなことを自衛隊なり、防衛省に求めていきたいのか、県としてどうお考えでしょうか。
【知事】
私が知事になって以降でも、重機関銃弾が跳ねてよそに飛んでいって民家の屋根を貫通するとか、81ミリ迫撃砲弾が場外に飛んでいって民間車両の窓ガラスを破損するといったことが起きており、その都度、謝罪とともにこういったことが原因でした、こういう再発防止をとりますという説明等を受けておりますが、今回もどこに飛んでいったかわからないという状況が起きているということは極めて遺憾だと言わざるを得ません。そのため、まずは今回のものがどこに飛んでいったのか、なぜそういったことが起きたのかということを知り、共有させていただくことが大事だと思いますし、その結果を受けてどういう対策を取ろうとされているのかということについては、よく確認をさせていただいた上で今後の対応を検討していきたいと思います。
[読売新聞]
射撃訓練の実施について、当然自衛隊は中止されていると思いますが、継続していくことについてはどのようなお考えでしょうか。
【知事】
演習場ですので、基本は演習をすることによって練度を高めていくという施設でございますので、そういった射撃も含めた訓練する場という前提だと思いますが、今回のような事態を受けて、まずは訓練再開に向けては今しばし時間が必要だということでしょうし、そもそも訓練をしていた人たちがどういう状態になっていて、故にこういったことになったのかということについては、当該地を持たせていただいております、一緒に住んでいる高島市や、そして滋賀県が共有して納得しなければいけない事案だと思います。防衛省も同じ見解だと思いますが、そのあたりの対応を求めていきたいと思います。
[NHK]
今、国会で議論が進んでいる高校無償化の話について、知事はどう見てらっしゃって、県内への影響や効果というのはどういうふうに予測されているかというところをお願いいたします。
【知事】
まず、高校の授業料を、例えば公私の別なく、所得制限なく無償にしていく、すなわち公費で負担をしていくということについては、多くの方が求められている、これまで全国知事会等でも累次にわたり、国費で自治体の財政力の差なく実施できるように措置すべきであるということを申し上げて参りました。そういったことなどを受けて、政党間で議論されているテーマだと承知をしておりますので、その動向は注視していきたいと思います。しかし、その財源を、例えば地方に重く求めるとか、その先行きが見えないということであれば、これは不安でございますし、決定内容等が現場に混乱をもたらすことがないように十分御配慮いただきたいというふうに思っておりますが、その制度をどう決着するかによって、都道府県もしくは公立私立の学校の選択にも影響が出ることも想定されますので、そういったことも含めてよく見ていきたいというふうに思います。
[NHK]
私立高校を含めるか含めないかというところが1つ議論になっているのかなと思うのですが、そこは知事のお考えはいかがでしょうか。
【知事】
私立の学校であれば、建学の精神であるとか、自由、こういうものは一定保障されるべきだと思いますが、公私の別なく、所得の制限なく、無償化に向けた動きが取られるということは、その年代の子どもたちの学校選択の選択肢が広がることになると思いますので、これは歓迎すべきことではないかと思います。
[京都新聞]
湖岸緑地の件について、昨年の秋に実証実験をされてから年明けには方向性をというお話もあったかと思うのですが、時間がかかっている要因といいますか、どういうところが方向性を考えていく上で難しい部分になっているのでしょうか。
【知事】
大きく申し上げて、これまで無料でどなたも自由に御利用いただけているものについて、一部料金をいただくとすればどうなるのかというこういった取組ですので、これはやはり慎重にも慎重を期して、その影響を勘案していかなければならないということだと思います。また、例えば料金をいただくということにした場合、実験のときは職員がな立っていただいたりしましたけれども、そういったことは指定管理者との関係においても、費用対サービス、便益の点で持続可能ではないということだとすれば、その工事費用をどのように見積もるのか、また料金設定をどうするのか、実際にやった場合にどういう影響が他の公園等に出てくるのかということも合わせて考えた上で、実施に踏み切るとすれば皆さんにお伝えをしていかなければならないということだと思います。やはり、公のパーク、園を一部でも、駐車場だけでも料金を徴収するとすれば大きな制度変更にも繋がるということだと思いますので、もちろんいたずらに時間をかけさせていただいているわけではありませんが、慎重にも慎重を期して多くの皆さんに御理解、御納得いただける形でお伝えすることが、むしろそれが誠意だろうと判断いたしまして、時間をかけさせていただいております。
[京都新聞]
冒頭にお話のあったパリの部分で、ポンピドゥー国立芸術文化センターを訪問されたあと、実務者の協議をこれからしていくというお話があったかと思うのですが、それはアール・ブリュットの部分と、そういう体験事業の部分と両方で連携していくというお話でしょうか。
【知事】
まず、今回は観光のプロモーションがメインのミッションでしたけれども、全ての行程ではありませんでしたが県立美術館の館長、保坂ディレクターも同行していただいて、例えばナイトミュージアムの視察でありますとか、今回ポンピドゥー国立芸術文化センターの訪問をいたしまして、今お尋ねいただいたアール・ブリュットと、子ども向けのプログラム「mille formes」の取組については、特に重点的にお話を伺った上で、可能性を模索しようということで臨みました。特に、お尋ねいただいたアール・ブリュットと子ども向けのプログラムにつきましては、これはセットで議論を始めようではないかということになったと思いますが、具体スケジュールをどうするのか、費用負担をどうするのか、聞いていますとポンピドゥー国立芸術文化センターは近く改修のため閉館をされるそうでございまして、そういったことからも他国や地方にいろいろと動きをとっておられるようなこともあるようですし、アール・ブリュットの担当の方にも来ていただいて滋賀県の作家さんの作品も収集されておりますので、そういう連携ですとか、特に0歳から6歳の子ども向けのプログラムは、既に地方都市とも様々な連携策をつくられ始めているようですので、フランス以外の国の、もしくは自治体との連携ということになれば初めての取組になるそうですが、非常に意欲を持ってお話をしていただいたと受け止めました。
[京都新聞]
今週末に公共交通の県民フォーラムが予定されていますが、改めてこのフォーラムを県として、知事としてどういう場にしたいかというところを、公共交通の将来に向けたビジョンであったり、負担、分担の部分の議論も含めてどういう場にしたいというふうにお考えでしょうか。
【知事】
限られた時間ですが、これまで県内各地でのワークショップ、これはビジョンをつくって、そして計画をつくるための話し合い、意見交換をしてきました。そのため、こういう御意見がありましたね、そしてこんなふうになったらいいなというお話もございました、こんな困りごとがあったねということを、まず共有させていただく場というのが必要だと思います。その上で、どんな暮らしがしたいのか、コロナが開けて、そして私達日々老いていって、学生の皆さんは通学に、働く人たちは通勤に、休みの日には遊びに行く、買い物に行く、通院をする。こういったときにどんな暮らしをしたいのか、そして公共交通というのがどうあればいいのか。でも、聞いていると運転手が足りないっていうし、経営も厳しいっていうし、どうすればそういったものは持続可能なのかな。山間部もあれば都市部もあるし、事情が違うよねというようなことを、みんなで、滋賀県としてどういう方向性に持っていけばいいのかということについて、一定のコンセンサスが得られる道筋を見出していければいいなと思っています。しかし、やってみないとわかりませんし、今週もまた明日以降もどういう内容で臨むのか、知事はどんな顔して何を言うのかトレーニングをしなければいけませんので、最善の準備をして臨みたいと思います。
[共同通信]
饗庭野演習場の件について、発生が2月3日の14時40分頃だったのですが、4日の12時に防衛省が発表し、県は当日の16時から17時ぐらいに把握されていたということを担当者がおっしゃっていたんですけども、県民の安全性などを考えるのであれば、当日発表という判断もあったのかなと思っています。防衛省とネゴシエーションなどいろいろあったと思うんですけども、次の日に発表になった対応の経緯についてお聞かせ願えればと思います。
【知事】
まず第一報、これは私に対しては、2月3日の18時半頃に防災危機管理局から保安用地を含め演習場外に着弾した可能性がある旨の報告をいただいたところですが、今おっしゃったように、そういう連絡のあり方、もっと早く言えたんじゃないかとか、当日はどこに飛んでいったかわからない、まだ確認できないという状況の一報がまず入った段階でしたので、どこに飛んでいったんだと、どこにあるんだということの確認をしてから伝えようという思いもあったのかもしれませんので、そういうやり取り共有のあり方も含めて今後確認をしていかなければならない、また必要に応じて説明をしていかなければならない事項ではないかなと思います。
[日本経済新聞]
パリの公共交通システムについて滋賀に応用できるとか、何か参考にできそうなところはありましたか。
【知事】
公共交通そのものには私は乗らなかったんですけれども多くを見ました。もちろん首都ですのでパリ市だけで224万人105キロ平方メートルただイルド・フランスといういわゆる首都圏ということでいけば人口が1200万人面積が1万2000平方キロメートル、いわゆる市と都市圏というものをそれぞれ分担持ち合いながら交通システムを運営されているということですので、一概に比較はできないと思いますが、8年前に行ったときより車の数が減っていたというか、車が通れる空間が減っていたというのが適切な言い方でしょうね。したがって、平日はものすごい渋滞を起こし、ドライバーに対するハラスメントではないかというぐらい町で酷評されるぐらいの話も聞きましたが、その分スイスイと横を通る自転車、そしてタクシー、そして悠然と歩かれる歩行者がとても印象に残りました。したがって、そのお話は先ほど申し上げたヴァンソン由美さんと一緒に街を歩くときに、道路空間の再配分ですとか、広場を自動車から解放することなど、この間パリ市が進めている取組が市内各地で効果を生み出しつつある状況というのを確認することができました。こういう思想全てを滋賀県に適用できるわけではありませんが、いくつか参考になることもありましたので、これからのまちづくりや、暮らしのあり方、公共交通のあり方の議論に結びつけていけたらいいなと思っているところです。
[日本経済新聞]
参考になることとは具体的にはどんなことですか。
【知事】
そうですね、歩行者に優しい空間づくりというのは我々も横断歩道を歩く人のために車は止まろうという取組していますので例えばそういうことであるとか、あと中心市街地にマイカーをできるだけ入れないようにして歩きやすい公共交通で移動しやすいまちづくりというのは、既に県内ではあまりやっていませんが全国でやられている事例もあるので、そういったことを導入できる場所があるのかないのかとか、あとはやはり、これはパリ市の市長をはじめ皆さんのリーダーシップと努力によるものだと思いますが、市民も参加する話し合いの場、合意形成のプロセスをとても大事にされていますね。もう釈迦に説法ですけど、フランスはいろいろな取組について、そういう話し合いと合意形成を大事にしますので、今我々も公共交通に関連してやり始めていますが、そういうプロセスもとても参考になるのではないかなと。
[日本経済新聞]
ポンピドゥー・センターは2025年末から5年間閉館するので、14万点ぐらいある所蔵品をフランスの中の美術館にその間預かってほしいということを行っていますが、例えば県立美術館がアール・ブリュットの作品を何年か預かるとかそういったところまで発展する可能性はあるのでしょうか。
【知事】
今後の話し合い次第だと思いますね。今おっしゃった閉館されるので、かつ長期間閉館されるのでその間どうやって収蔵物をお楽しみいただけるのか、活動するのかということを強く使命感を持って検討されている様子は伺えました。アール・ブリュットというテーマの日本の第一人者ならびに主たる美術館が滋賀県立美術館だという評価は作者の数だとか、保坂ディレクターの存在だとか、いろいろな会話の中でも実感することができましたので、連携してやるなら滋賀県立美術館だろうという認識は先方にも持っていただけたのではないかなと思いました。
[日本経済新聞]
所蔵品を預かるというよりは何点かお借りして両方の美術館の名前を掲げて共同でエキシビションをやるということなのかなと思いますがそういった方向で考えているという感じですか。
【知事】
作品そのものをやりとりするということもあるのかもしれませんし、モンペリエとかクレルモン・フェランとか地方で既にこのポンピドゥーと連携した様々なプログラムを展開されているようでしたので、そういうものを一緒にやるとか、これはもう具体的なこれからの話し合いによるところではないかなと思います。
[日本経済新聞]
県立高専についてですが、教員のリクルートなどは順調にいっていますか。
【知事】
順次教員の採用に向けて実務的にも対応していると聞いていますが、少しまだ開校まで時間がありますし、なかなか簡単じゃないようですね。今いらっしゃる学校を離れられないとかですね。専門も様々ですので、なのでちょっとそこは時間かけてやりたいなと思っています。ジェンダーの視点とか。
[日本経済新聞]
おっしゃるように時間がかかるんでそろそろ結構ちゃんとやらないと間に合わないっていうかね。
【知事】
おっしゃるとおりでもう既に始めていますし、カリキュラムをつくろうと思っても、そういった現場のことをわかる先生が必要ですので、そういったスタッフには入ってきていただいておりますが、なお開校に向けてはドンと数もいりますのでいろいろなタイプの方を揃えていく必要があるので、そこは時間をかけて丁寧にやっていきたいと思います。
[日本経済新聞]
今ジェンダーとおっしゃったから、いわゆる女性比率を2割とか3割とか決めて、そこに向けてリクルートしていくというふうに捉えてよろしいですか。
【知事】
このジェンダーの視点はこれからの高専をつくる際に大事な視点ではないかと私は思っていますが、現実この高専の先生方、また入校される方はまだまだ男性に偏っているようですので、そういう既存の層の中からそういうスタッフを集めてくることの難しさはあるようですけど、これからの高専をつくる使命は果たせるようにしていきたいなと思っています。
[日本経済新聞]
ジェンダーというのは生徒の方も含めてですよね。
【知事】
おっしゃるとおりで。女性も男性もいわゆる理系的な思考を持ったり、ものづくりに関心を持ったりということは、これは滋賀県もこれから進めていきたい、広げていきたいと思っていますので、そういう意味でも先生方とか、あと学校施設のあり方とか、そういうものでジェンダーの配慮というのは不可欠だと思います。
[日本経済新聞]
将来的に募集するときに2割は女性だとか、何か性別に定員を設けるといったこともありうるのでしょうか。
【知事】
まだこれから考えたいと思います。
[時事通信]
パリ視察の関係で1点だけお尋ねします。先ほど知事もおっしゃられていたナイトミュージアムの事例の関係で、滋賀県立美術館でも昨年10月に一部ナイトミュージアムの実施もされたかと思いますが実際勤務後であったりとか、勉強が終わった学生さんなど一部の来場者のニーズも夜間ミュージアムの点ではあるかと思います。また文化的機会であったりとかそういったものの確保という点でも重要なのではないかなと思いますが、今後定期的にもしくは恒常的にこういったナイトミュージアムの催しを県として開催されるお考えはありますでしょうか。
【知事】
県庁で仕事をした後に、ミュージアムで勉強できるとか、家族で仕事が終わった後に夕食の後を少し楽しんでみるとか、こういう可能性というのはあるなと思います。従って、それぞれの分野の博物館がありますが、ナイトミュージアムを広げていく視点というのは万博もありますので、今関西全体で取っているところです。滋賀県も積極的にやっていきたいと思います。今回ナイトミュージアムの短い時間でしたけど、パリ市立近代美術館を保坂ディレクターの御案内で見させていただいたときに、テーマが原子力でした。極めて難しく重いテーマ。当然被ばくのいろいろな要素も出ていましたけれども、むしろ原子力、原爆の投下を肯定するかのような展示内容があってですね、こういうテーマをタブーなく世の中に問える、そしてそれらをみんなが写真を撮りながら作品の前でいろいろな話をしながら、いろいろな年代の方が鑑賞なさっている様子を見て、芸術を通じてテーマを深く考えるフランスならではだなと思いました。やはり美術・芸術というのはある意味こういう効果・役割もあるんだなと思いましたので、そういったことを時間の別なくより多くの方に楽しめる環境づくりというのは、これから我々も追求していかなければならないテーマではないかと思います。
[朝日新聞]
時間がないということですけれども、非常に大事な話なのでお聞きしたいと思います。先ほどの陸上自衛隊の件について、知事への報告が2月3日の18時半にあり、公表されたのが翌日の昼過ぎというのは、やはり問題意識からすれば遅いというふうにまず思います。先ほど知事の説明の中で、その発表というか公表するのに時間がかかった理由として、その砲弾がどこに飛んでいったのか確認してからというようなお話がありましたけれども、これは防衛省がそういう考え方なのか、あるいは県としてそういうふうに考えたのかどういうことなのでしょうか。
【知事】
まず情報の一報を受けたのはその時間なんですけれども、その時点でまだわからないことがたくさんありました。かつ、おそらくこれはどうやって確認しているのかわかりませんけれども、弾の数で確認しているのか、着弾を目視しているのか、その内容によっても我々に報告できることというのが限られていたのかもしれません。何かこの時点で何時までにこれここまでの報告ということを決めているものはありませんので、その都度その都度起こったことについて、できるだけ早く共有をするということで取り組んでいると。ただ今回のこういった確認もしくは報告がこれでよかったのかというこの省察はこれからしていかなければならないのではないかと思います。
[朝日新聞]
ちょっと考えればもう夜になってどこに着弾したのかというのが、まず探してわかるということは非常に可能性が低いわけなので、それが翌日なのか夜であろうがあまり自体は変わらないはずだと思います。例えば夜の時点で公表することが何かしら市民の側に混乱を引き起こすとかそういうことがないのであれば、やはりしでかした側としてはなるべくきちんと情報を揃えた上でということは考えるでしょうけども、やはり県としてはこういう由々しきことが現場で起こされたということがあるわけで、そこはもっと県民市民の側に立てば、やはり場外に着弾したという事実だけでも夜のうちにちゃんと知らせるべきであったのではないかなと思います。それから防衛省の発表自体が翌日の昼だったということですが、これは防衛省に先んじて県がこういうことが防衛省から報告があったということを公表することについては、何かしら問題があるというふうにお考えですか。
【知事】
まず今回もっと早く伝えるべきではなかったのか、そして県に伝えられたとすれば伝えられたということをみんなに知らせるべきではなかったのかという今おっしゃったことというのは受け止めたいと思います。ですからそういうやり方も含めてこの間の対応がどうだったのかというのは我々検証しなければいけないと思っています。と同時に、防衛省も場外に着弾した可能性があるということがわかっているだけで、どこに着弾していたのか、どういうことが考えられるのかということをできるだけ集めた上で、伝えることが誠実であろうと考えたことも一定理解をいたしますが、(情報を)受け取った県がどういう立場で防衛省とは別にものを言っていくべきかということについても今後考えていきたいと思います。