令和7年1月28日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
おはようございます。だいぶ日脚が伸びてききました。今日もよろしくお願いいたします。資料に基づいてお話する前にいくつかあったことをお伝えしたいと思います。第97回選抜高校野球大会の出場校の発表がありました。既に知事コメントも出させていただいておりますが、本県からは滋賀学園高校と滋賀短期大学附属高校の2校が選出されたということでございます。県内から複数校選出されるのは7年ぶりということでとても嬉しく思っております。ちなみにこの情報をいただいた時、私は大阪に向かう途中で、いずれの学校も大阪の強豪校を破って出場されたということ、大阪府からは90数年ぶりに1校もお出にならないそうでございまして、そういった学校の思いも受けて頑張って活躍してくれることを期待したいと思います。また26日日曜日からは第79回国民スポーツ大会冬季大会が開幕しております。「わたSHIGA輝く国スポ」での総合成績にも繋がる重要な大会です。速報等既に皆さんとも共有していると思いますが昨日までの結果で、ショートトラック1000m成年女子・山名選手が優勝。またスピードスケート500m成年男子では川目選手が2位入賞ということで、着実にポイントを重ねてくれております。山名選手は昨年に引き続き二連覇と。また川目選手は滋賀県勢初のスピードスケートでの入賞ということでございまして、これまでの競技力向上・強化の成果が表れていると思います。国スポ・障スポもありますし、11月には国内初のデフリンピックも開催されるということでございますので、大事なスポーツイヤーでございます。それぞれの御活躍を期待すると同時に皆で応援していきたいと思います。
また、株式会社シガウッド様と「建築物木材利用促進協定」を締結することとなりましたのでお知らせいたします。本県としては3件目。一昨年の11月にたねや様、昨年9月の東レ建設様に次ぐ3件目となります。シガウッド様は長浜で住宅用パネルの製造など従来から木材を扱う仕事をなさっておられます。以前、県の研究開発事業でびわ湖材を活用した枠組壁工法用の製材品を開発され(手話での通訳が難しいんですけれども)、農業用倉庫や工場などの木造化に積極的に取り組まれているところでございます。今回の協定を契機といたしまして、県の北部地域から森林資源の循環利用、林業や木材産業といった地域の活性化の取組が広がっていくことを期待したいと思います。御案内のとおり、協定の締結式は今週31日金曜日に行いますので、御取材等いただければ幸いでございます。
もう一点、来月2月2日ウィリアム・メレル・ヴォーリズさんが滋賀県に来日されちょうど120年の節目となります。私達はこのことを大変誇りに思っているところです。これを記念いたしまして2月2日に近江八幡市の男女共同参画センターにおきまして記念講演会が開催されます。これはヴォーリズ来日120年記念事業「バンザイなこっちゃ!」協議会が主催するものでございます。ヴォーリズさんは「バンザイなこっちゃ」とよくおっしゃってたそうですね。私は直接お伺いしたことないんですけれども。この協議会は滋賀県も委員として参画しておりまして、私も顧問として関わらせていただいております。国会議事堂の鍵がヴォーリズ先生ゆかりの会社によって提供されたものであることをみんなで調査しに行ったりですね、県内ゆかりの場所に赴いてみんなで勉強会をしたり、この数年このヴォーリズ先生の御足跡を皆で学ぶ取組をしてきた一つの集大成でもあります。当日は神戸女学院大学名誉教授の内田樹先生に御講演いただきます。ヴォーリズさんの精神から何を感じ、学ぶべきなのか、貴重な御示唆もいただけるのではないかと思います。今回の講演会以外にも今後様々なテーマを設定しながら関連イベントが行われる予定でございます。御来日120年のこの機会にヴォーリズさんが目指した「愛と平和に満ちた共
それでは資料に基づいて2点申し上げます。1点目は「令和7年国勢調査滋賀県実施本部」の設置についてであります。本年10月1日を調査日といたしまして実施いたします令和7年国勢調査に向けて、調査事務の円滑な運営に万全を期すため来月2月4日に「令和7年国勢調査滋賀県実施本部」を設置いたします。国勢調査は御案内のとおり5年に一度実施される国の最も重要な統計調査でございます。その結果は人口というものはもちろんのこと、福祉や防災といった各種行政施策の基礎資料として欠かせないデータとなります。一方、最近の特殊詐欺の増加や個人情報保護意識の高まりによる調査への協力意識の低下、またオートロックマンションや共働き世帯の増加による面接困難世帯の増加により調査環境が厳しくなっているという事情がございます。加えまして、今回は調査が始まる9月に「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」を開催させていただきますので更に厳しい調査環境になるのではないかと危惧されております。特に市や町の職員の皆さんの事務負担が過重になるという事情もございます。そのため、県民の皆さんや関係各団体の御理解と御協力が不可欠であります。国勢調査につきましては、御自身のスマートフォンから都合の良いときに回答ができる「インターネット回答」の他、「郵送での回答」また「調査員回収」から選択ができます。回答する側、回収する側ともに事務負担が少なく、簡単で、便利で、安心なインターネットによる回答を進めていきたいと考えております。ちなみに滋賀県は前回が全国で3番目。前々回が全国で1番インターネット回答が多かったという実績もございます。今回QRコードを読み取ることで回答画面に直接ログインできるようになり、利便性が向上したと聞いております。今後9月下旬の国勢調査実施に向けまして、適宜情報提供してまいりますので報道機関各位・皆様方におかれましてもPRに御協力賜れれば幸いでございます。なお2月4日の実施本部設置行事は11時半から県庁内の統計課前で行う予定でございます。
最後もう一つは観光プロモーションについてでございます。来る2月5日から2月9日までフランス・パリを訪問いたしまして、インバウンド向け高付加価値ツアーのトッププロモーションを実施いたします。フランスの観光行政部門や文化芸術施設も訪問させていただいて、施策についての意見交換を実施いたします他、現地で活動されている県人会の皆さん、それぞれの団体の皆さんとも面会し活動状況等についてお伺いする予定でございます。2月7日金曜日には現地の旅行事業者を対象とした商談会を開催し、今年度新たに造成いたしましたモデルツアーをPR、本県の魅力とともにPRさせていただく予定です。ツアーコンセプトは「Shiga : The Origins of Japan」。滋賀だからこそ発展した文化や伝統工芸などを切り口に、他とは一味違う特別な体験を提供し、日本の源流を滋賀で感じていただけるような内容となっています。この「The Origins of Japan」フランス語に直して現地でPRできるようにしていきたいと思います。商談会をとおして本県の魅力ある自然や歴史、文化資源を発信することで滋賀県内のコンテンツを含むツアーの造成、販売が定着し、インバウンドの早期回復および更なるインバウンド誘客に繋がることを目指していきたいと思います。また、今回のプロモーションには県立美術館の保坂館長・ディレクターにも同行いただく予定です。アール・ブリュットなどの芸術・文化的な側面からも滋賀県の魅力を発信するとともに、現地での取組状況等を踏まえ、本県施策に生かすことができるようにしたいと思います。時間がどれだけあるか分かりませんがパリオリ・パラ後のレガシー創出の取組やフランスは公共交通、自転車等の交通まちづくり政策についても学ぶべきところがたくさんあるように思いますので、そういった視察等も可能な限りしていきたいと考えております。私からは以上です。
[読売新聞]
琵琶湖疏水の感謝金について据え置きで合意したという報道が一部でありましたが、そういうことでしょうか。県側としては物価等々の上昇を踏まえて増額を求めていたが相手方はなかなか経営も厳しいということで据え置かれてということのようですが、そのあたりの経緯を御説明いただけたらと思います。
【知事】
この琵琶湖疏水感謝金については、どういう結果になったのか、そのことについてどう考えるのかということをちょっと改めて、きちんと会見で申し上げたいと思います。今お話があったように現状2億3000万円という金額が毎年度の一定額としてございます。この10年間、そういった形で京都市からいただいているということがございますし、何より琵琶湖疏水というのは明治の先人が築いた偉大な文化遺産でもございます。水という大切なものを京都市内にお届けする。滋賀と琵琶湖、そして京都市・京都を繋ぐ大切な水の繋がりということでもございますが、一方でその水を綺麗に保つための努力、また水を必要とする需要の減少、物価の高騰、こういったことを受けて、どのような設定をするのか、この間協議がございました。そういった事々をまた改めて機会を設けて皆様方に御説明したいと思いますので、今日は少し情報量も私のところで限られていますので、改めて説明させていただければと思います。
[読売新聞]
日本電気硝子さんが本社を京都市内に移されるというお話があるようですが、その件についての受け止めと、滋賀県に対する影響等をお伺いします。県内では、有力企業の1つかと思います。そういった企業が移転していくことに対して、滋賀県としては今後どのように企業を引き止め、またさらに誘致していくことについてどのように対策を打っていくのかお考えをお願いします。
【知事】
発表に先立って、県庁の商工観光労働部に日本電気硝子社様からおおむねの御説明をいただいたと聞いております。本県創業、本県ゆかりの大企業様の本社が県外に移転されるということについては、大変残念に思うというのが率直な私の気持ちです。しかし、企業様の大きな御判断であり、この間いろいろな御相談も受けてきましたし、いろいろな協議をさせていただいておりましたが、結果的にそのお心にかなう場所が県内になかったということでございますので、これは受け止めてまいりたいと思います。しかし、同社様の生産の拠点、工場等は県内に複数ございますので、そういった場所での操業環境をさらに高めていく取組、また投資を行っていただくための取組、またこの間それ以外でも様々な地域貢献活動、御協力をいただいておりますので、そういったことが継続拡大するような協議、調整等を今後も誠実に行っていきたいと思います。
[読売新聞]
パリ訪問について、インバウンドの呼び込みはコロナ過前から滋賀県にとっては課題だったと思います。インバウンドが国内ではかなり訪れる京都市がすぐ隣接しているにもかかわらず、滋賀県に全く少ないということがかねてから課題だったのかなと思っているのですが、インバウンドの呼び込みを図っていく中でパリを選ばれた理由と、今後パリも含めて、どのような国々をターゲットにして呼び込んでいこうと考えていらっしゃるのか、そういう戦略みたいなものがあるようでしたらお願いします。
【知事】
まず全国的にそういう傾向があり、訪日外国人の数はコロナ前までには戻っていませんが、円安の影響もあってか、欧・米・豪からの個人旅行が大変増えています。この欧・米・豪というのは、私どもも開拓市場であるということでございまして、ちなみに本県では、コロナ過前を超えている状況にあるということでございます。また、ヨーロッパの富裕層の皆さんは、インバウンド市場、いわゆる日本に来ていただくということに対して、新しいことへの挑戦、文化や起源に対する知的好奇心、そういったものの満足感等を重視していらっしゃるということがございまして、フランスでは特に伝統文化や芸術、豊かな自然、食やお酒、ローカルフードなどが期待されていると聞いております。あわせて、フランスから滋賀県への来訪者数は、欧州の中ではトップ3に入っているということからも、一定数この滋賀への誘引というものの可能性は相対的にも高いのではないかという判断もございまして、滋賀県の文化や歴史、文化施設などをフランスの富裕層の皆さんに訴求するという力は、可能性とともにあるのではないかと考えましたので、今回フランスをターゲットに訪問して、トッププロモーションをさせていただくことといたしました。ぜひそういった目的が叶うように頑張っていきたいと思います。
[NHK]
フランスではパリ市の副市長ともお会いされるとスケジュールにあるのですが、2010年かと思いますけれども、前知事の嘉田由紀子さんとグローの北岡さんがパリ市から勲章を受けられていると思います。今回その北岡さんが元職員への性加害の事実を認める判決を受けられたことを、パリ市に報告をされるのかどうかというところが非常に気になるのですが、いかがでしょうか。
【知事】
今お尋ねいただいたようなことは予定しておりません。パリ市の副市長とも、アポイントメントをいただくべく最終調整をしておりますが、文化財を活用した観光誘致の取組ですとか、オリパラなどのビッグイベントを通じたまちづくりやおもてなし、そういったことを経験された市の幹部として、本県にも様々な御示唆をいただければということで面会を予定しておりますので、今お尋ねいただいたようなことは考えておりません。
[NHK]
アール・ブリュットの関係で県立美術館の保坂館長も行かれるということで、2010年に滋賀県がアール・ブリュット・ジャポネ展を行い、非常に大盛況だったということで、北岡さんと当時の嘉田知事が市から勲章を受けたということなのですが、その後、その勲章を受けた方がいわゆる被告になってしまったというか、民事裁判で性犯罪という判決を受けたことについて、県としてどのように報告されるお考えでしょうか。
【知事】
県としてということよりも、今回の目的と照らして、どのようなことに時間と心を砕くのかということは、総合的に考えていきたいと思います。
[NHK]
日本電気硝子さんの件について、報道によると採用強化のためにアクセスの良い京都駅南口の方がということと、京都というブランド力もあるのかなと思うのですが、そういうことを考えたときに、今後、採用というのが企業の中で優先事項が高くなっていく中で、アクセスの良さであったり、ブランド力であったりというところで、京都だけではないですが比較されるようなことが今後も出てくると予測されます。その辺りのお考えはいかがでしょうか。
【知事】
企業の皆さんが、本社、生産拠点をどこにと考えられることは極めて大きな判断と思いますので、今おっしゃったように、そういったまちが持つブランド力でありますとか、交通至便の状況がどうなのかということはよくお考えになられると思います。また、隣接する、例えば京都府などと、そういった面で比較検討される、ある意味では競争にさらされるという現実はあるのだと思います。そういう中にありましても、本県にも、例えば京都府内創業で、県内で多数、研究拠点や生産拠点をお持ちのところもありますし、更なる投資をお考えになっていらっしゃるような、現にその工事が進んでいるようなプロジェクトなどもございますので、そこは滋賀の持っている良さ、優位性というものをきちんとお伝えしながら、様々な立地や投資の拡大に繋げていけるようにしていくということとともに、今お尋ねの中にもありましたけれども、人材をどのように確保していくのかということが、企業の皆さんの極めて重要な、また難しい課題だと聞いております。本県でも、大学との接続であるとか、共同研究であるとか、新たに高専を設置していくというような取組などをお伝えしながら、そういった企業の御事情にも寄り添う産業立地、誘致というものを進めていければと考えております。
[NHK]
昨日発表されました医療福祉拠点の事業者募集の結果、公募がなかったという件について、これについての受け止めをまずお願いいたします。
【知事】
私どもは県庁に隣接する公有地を使わせていただいて、これからの滋賀県にとって必要な医療福祉の人材を養成することでありますとか、様々な機関、健康危機管理事案の司令塔としての機能を持たせることを考えて、特に人材養成機能というものにつきましては、民間の学校法人等の御参画を得て養成していただきたいと考え、プロポーザルの条件等も提示してきたところでございます。しかし、この時点において手を挙げられる方がいらっしゃらなかったということは残念に思っております。1つの結果として、これは真摯に受け止めなければいけないと思います。それだけこういった分野、市場等の厳しさ、そういう中での経営の難しさというものもあるのではないかと推察いたします。なお、どういう状況になっているのか、どういう背景があるのか、どういう御意向がこの分野にあるのかということをさらに調べさせていただいて、今後の条件設定や、スケジュールの再設定につなげていきたいと思います。
[NHK]
スケジュールについて、開業時期のおよそ目途が立てられていますが、そこの影響はいかがでしょうか。
【知事】
まず、琵琶湖に近い方の土地については、令和9年4月に、仮称ではありますが「第二大津合同庁舎」を開設、供用をすべく、必要な予算の計上を予定しておりますし、この人材養成機能の大学につきましては、令和10年4月開設を目指して、条件設定させていただいておりましたが、この今回の不調、応募なしという結果を受けて、この令和10年4月の開設は難しい状況だと言わざるを得ないと思いますが、然らばいつになるのかということの見極めはもう少し時間をいただいて、改めて御説明させていただきたいと思います。
[京都新聞]
日本電気硝子さんの関係で、先ほどのお話の中で商工労働観光部さんにお話があってということだったと思うのですが、日本電気硝子さん側も創業の地である滋賀県でまずは本社の移転先を探されていたが、適当な場所がなくてといったような経過があったのでしょうか。
【知事】
全てこういう場でつまびらかにすることはできませんが、日本電気硝子社様もこの創業の地である本社が今ある滋賀、大津市というのをとても大事に思っていらっしゃったことは事実ですし、場所をお探しになるときに大津市、滋賀県をまず第1にお考えいただいていたことはあると思います。
[京都新聞]
話は変わりまして、県の情報公開についてのお考えを伺いたいです。基本的に県の事業で決定したこと、あるいは応募が行われてその応募が締め切られた後の状況といったようなことは、議案等で議会の審議が必要な場合を除けば、報道機関が問い合わせた場合にお答えいただくのが自然と思うのですが、知事のお考えはいかがでしょうか。
【知事】
締切を設定して、そしてその結果がどうだったのかということについては、それがわかった時点でお伝えするのが基本だと思います。
[京都新聞]
それで言わせていただくと、医療福祉拠点について先週金曜日の時点で問い合わせたときに、企画提案の期限が29日まであるので答えられないといったような対応でした。しかし、その企画提案というのは応募表明をされたところが対象になり、応募表明されたところは昨年末の時点でなかったということで、昨日の政策協議会でもきちんと御説明いただいたと思います。そういったことであれば、先週の金曜日の時点で当方の問い合わせに対して回答するのが当然の対応だと思うのですが、いかがでしょうか。
【知事】
お尋ねいただいたような御批判というのは、これは真摯に受け止めなければいけないと思いますが、一方で、そういった結果を受けて、どのように考えるのかということの説明責任もついてまいりますので、そういったこととセットで御説明することを追求した結果、こういった情報公開、情報開示ということになったのではないかと思います。
[京都新聞]
一定お考えはわかるのですが、それであればそういう説明をすべきですし、期限などを盾にしてその期限までに答えるのは公平性に問題があるのでといったような真実と異なるような説明をされるというのは、取材に対して真摯さを欠くと思いますので、今後は御対応に配慮いただければと思います。
【知事】
今の点はきちんと受け止め、今後の対応に生かしたいと思います。
[日本経済新聞]
知事は、知事の職務としてフランスに行くのは初めてでしょうか。
【知事】
観光のプロモーションで行くのは初めてですが、知事としては、おそらく私の記憶が正しければ2度目だと思います。
[日本経済新聞]
インバウンドを誘致したいという気持ちは前からあり、戦略として2つあると思います。今おっしゃった先進国の富裕層、それからこれも富裕層かもしれないが、いわゆる新興国です。この間の会見で、来年度の方針としてグローバルサウスとおっしゃっていたので、途上国の例えばインドとか、中国といったところから誘致するのかなと思いましたが、戦略的にはやはり先進国の富裕層を中心に考えていくということなのでしょうか。
【知事】
これは両面あると思います。今回のフランスでのトッププロモーションは、フランスの一定の周遊を計画されている方々に対して、滋賀をコースに入れていただくこと、来ていただくことを呼びかけるということですし、グローバルサウスということで言えば、26日にもインド共和国のナショナルリパブリックデー、これは神戸でレセプションが行われましたけれども、私自身が、おそらく知事では唯一参加させていただき、シビ・ジョージ大使などとも懇談をさせていただいて、私の挨拶、スピーチでも世界湖沼の日の制定を機に、更なる交流をしていきたいと申し上げました。大使からは、地方と地方の交流の重要性についても、御挨拶されましたので、その可能性はさらに追求していけるなと思い帰ってきたところです。
[日本経済新聞]
来年度はスケジュール的にお忙しいと思いますけれども、こういったインバウンドの誘致を目標とした外遊はいくつか計画されていますか。
【知事】
おっしゃったとおり来年度は国スポ・障スポまた万博もありますので、かなりタイトなスケジュールになると思いますが、可能な限り現地にも伺って、滋賀県との交流拡大、また訪日と来県を呼びかけるそういう可能性というのを探っていきたいと思います。
[日本経済新聞]
その場合は途上国なのか先進国なのか今の時点で考えはありますか。
【知事】
何をもって先進国、途上国と申し上げるかというのはいろいろあると思いますが、これまで行ったことのあるところばかりではなくて、新たな関係づくりというものも大切になると思いますので、そういう視点は常に持って挑戦していきたいと思います。
[日本経済新聞]
パリではモデルコースの紹介をされるとありますが、何か決まっているコースなどはあるのでしょうか。必ずここは入るという場所などはありますか。
【知事】
今まさにプレゼンテーションの最終調整をしているところです。限られた時間ですので効果的なプレゼンテーションをしようということで、かといってあんまりたくさんのことを申し上げても心に残らないのではないかということで、4つぐらいのコースを紹介する方向で今調整していると思います。どこというのは具体的には申し上げられないんですけど、ただフランスの方はジャポネということもそうなのかもしれませんが、日本文化に対して幅広く奥深く知りたい、もしくは学びたいという御意欲をお持ちだということも仄聞していますので、やはりこちら側も何か通り一辺倒の表面的なことだけではなくて、精神性とか哲学とかそういうものとセットで場所の御案内をするということが必要だということで綿密に準備をしているところです。
[日本経済新聞]
日本電気硝子の本社移転が県の税収にどれぐらい影響するか試算はされているのでしょうか。
【知事】
本社機能が移転するということですので、当然、法人の従業者数というものが県から県外に動くとすれば、税収にはマイナスの影響が出るとは思います。
[日本経済新聞]
それは主に法人住民税、個人住民税のどちらでしょうか。
【知事】
両方に出るんじゃないでしょうか。本社が移転することによってお住まいになっている場所まで移される方がどれぐらいいらっしゃるのかということはあるかと思いますが、確かに税収はマイナスに働くと思います。
[日本経済新聞]
それは具体的な数字で計算などはしていませんか。
【知事】
具体的にまだどれぐらいの数の方が御移動になるのかもわかりませんし、そこは把握しておりません。
[日本経済新聞]
毎月発表される県の人口を見ていますが、多分遠からず140万人を割ると思われるのですが、このことについてどう受け止めておられますか。
【知事】
おっしゃるとおりで私も毎月の人口の統計というのは気にしながら見ています。今おっしゃったとおり1月1日現在で140万100人余という人口になってきましたので、早晩140万人を切って130万人台になっていくということが想定されますが、まずはその数の増減に一喜一憂するということよりも、今ここにいる人、また来られる方の幸せとか満足感をどれだけ保ち高めていくのかということが重要だと思います。例えば県が今進めている健康しがの様々な取組をしっかりとつくり、お届けするということでありますとか、関係人口を増やしていく取組をさらに進めていくことで、滋賀に行ってみようか、滋賀と関わってみようか、そして滋賀に住んでみようかという人たちに呼びかけていく取組を追求していきたいと思います。その延長線上に人口減少が緩やかなスピードで迎えられる、もしくは人口が減っても幸せな暮らしが実現できるということがあるんじゃないかと思います。
[朝日新聞]
昨日フジテレビの会見を見ていたら記者の質問が長すぎるという意見も結構ありましたが、ただこういう貴重な機会なので知事のお考えをお聞かせいただければと思います。県議会あるいは首長会議でも、滋賀県は他府県に比べて企業誘致が進んでいないんじゃないかという批判の声があったり、日本電気硝子が本社を大津市から京都へ移転するということについては知事も残念とおっしゃいましたし、いろいろ落胆する声やこのことについての県の取組に対する厳しい声などもあります。ここで考えてみたいのは誘致する企業の数、あるいは出ていく企業があるとかないとかということだけではなく、誘致した企業がどういう企業なのか、あるいはその企業とどういう関係をつくっていけるのかということが非常に重要ではないかと思うのですがこれについて知事はどのようにお考えでしょうか。
【知事】
まず冒頭お触れいただいたテレビ局の様々な対応から私どもも学ぶところというのは大事にしたいと思います。人権に対する考え方であったり、また都合の悪いこと、ネガティブ事案があったときの初動の大切さなど学ぶべきところは大きいと思います。寝る前に会見をやられていて、起きたらまだ会見をされていましたので、相当長い時間会見されていたんだなということは私も確認をさせていただきました。なお今お尋ねいただいた主要なお話である企業誘致につきましては、お尋ねいただいた内容には私も強く同意をするところでもあります。おかげさまで滋賀県内にはグローバル企業であるとか日本を代表する企業、さらにはそれらに届けられる物々を優秀な技術で生産されている中小企業などが多数立地していただいております。この力というのは大事にしたいと思いますし、次の時代を見通して、更なる投資を促したり、更なる企業誘致をするということにもっと力を注いでいこうという気持ちがあることも私達は受け止めて対応していかなければならないと思っていますが、数がどうだとかだけではなくて、やはりそこで何をつくろうとされているのか、これもとても重要だと思いますので私達は重点8分野を定め、半導体を始めとするこれからの時代を担う生産活動をされている企業の皆さんに来ていただいて、一緒に経済活動をしたいということで企業誘致を進めています。そういった方々との対話、これは近江金石会をはじめ定期的に積み重ねながら、例えば社会インフラ整備がどうだとか人材確保でどうだとかいろいろな御事情等を市町と一緒に聞いていますし、電力事業者、エネルギー事業者、金融関係の皆さん、大学ともコミュニケーションを取っていますので、様々な連携策をつくっていきたいと思います。また琵琶湖をはじめとする自然環境、生物多様性などの保全にも御協力、御貢献いただいていますので、例えばそういうことを企業価値を高める一助にしていただけるような取組も一緒にできたらいいなと思っておりますので、どのように企業と連携するのかということの大切というのは自覚をして行動しているつもりですが、さらに磨いていきたいと思います。
[朝日新聞]
日本電気硝子は琵琶湖のほとりで創業してから生産拠点を滋賀県内につくり、滋賀県とも協力しながら地域への貢献、あるいは自然との共生ということに非常に力を入れている企業だと思います。会社のホームページなどを拝見するとJクレジットの購入や県立大学との連携など地域との繋がりも非常に大切にしている会社だなという印象も受けました。今回、本社機能を移転することで従業員数が減り、法人二税がある程度減少するという影響はあるとしても、移転についてはある種経営判断なのでいかんともしがたいところがあると思います。滋賀県と日本電機硝子の関係において重要なことは今まで築いてきた関係というのをどのように維持発展させていくかということだと思いますが、今後の日本電気硝子との取組について知事はどんなことを考えておられるでしょうか。
【知事】
今、まさにおっしゃったことを私も思っています。琵琶湖のほとりを創業の地とされて長くこの滋賀県に本社を置いて事業を営まれてこられ、県内に多くの生産拠点をお持ちでガラスの製造技術などについては世界からも大変注目されている企業様です。本業以外でも様々な御貢献をたくさんいただいておりますので、そういう関係を大事にして、そういう活動をさらに広げていただけるよう我々も様々な協議、協力をしていきたいと思っておりますし、日本電気硝子社様以外にもそういった企業様が県内にはたくさんありますので、そういった企業の皆さんとの対話はこれからも丁寧に行っていきたいと思います。
[朝日新聞]
こうした地域社会への貢献、あるいは環境への配慮ということは、今投資を評価する分野でESGと言われている環境・社会・ガバナンスという評価項目そのもので、こうした取組というのがその企業の価値あるいは評価を上げていくことに繋がるというのであれば、滋賀県での取組そのものが企業価値を上げる一つの要素になってくる。その活動の結果、地域社会が良くなりあるいは地球環境にも貢献するというのであれば、自治体にとってもあるいは企業にとっても社会にとっても良いというまさに滋賀県の哲学の三方よしに繋がるような形であるならば、滋賀県の企業誘致あるいは企業との関係というのは、とにかく他府県に比べて数を増やすというよりはこうした関係を含めて相互にメリットを築いていくという形を目指すということが必要なのかなと思います。とはいえ、いろいろな場で企業誘致が進んでいないんじゃないかという批判があると思います。企業の数が減ってもいいというわけではもちろんないですが、そこはやはり企業の誘致ということがどういう意味を持つのかということを見据え、何が大事なのかということを首長あるいは議員とも考え方の共有を目指していくことが必要なのかなと思います。こうしたことはこれから議会とのやり取りにも出てくると思いますが、知事はどのように考え方を伝えようと思っていらっしゃいますか。
【知事】
おっしゃったとおり数だけではなくて、もちろん数も大事なのかもしれませんが、そこで何をつくっていただくのか。またそのことを通じてどういう社会をつくっていくのか。本業以外にどのような貢献をしていただけるのか。こういったことは大事ですし、企業の皆さんも、そのことはよくよくわかって滋賀県での創業とか投資というものを考えていただいていると思いますので、そういったことを、例えばお取引先もしくはこれから働こうかなという方にも一緒に訴求していけるような取組をさらに強化していくことで、企業の皆さんの悩みにも寄り添えるでしょうし、世界に向け滋賀の価値を発信していけることにも繋がるんだと思います。まさに世間も良くなる、また未来も良くなる、そういう生産活動を滋賀で一緒にやりませんか、そういう説明なりプロモーションをこれからもしていきたいと思います。