令和6年12月24日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
今日もよろしくお願いいたします。クリスマスイブということですので楽しい一日をお過ごしいただければと存じます。まず、来年の夏オープン予定の木育拠点施設、野洲市の県立近江富士花緑公園内にございます森林と書いて「森林(もり)のわくわく学習館」こちらを改修し、木のおもちゃや遊具がたくさんある、滋賀らしい木育施設の整備を進めているところです。その愛称を今年の夏に募集いたしましたところ、200を超えるたくさんの名前の応募を全国各地からいただきました。審査の結果、「しがモック」という名前に決定いたしました。滋賀や琵琶湖に繋がる山、森さらには木育というものを連想でき、呼びやすく、覚えやすい子どもから御高齢の方まで愛着が持てる楽しい名前になったんじゃないかなと思っております。この施設のオープン時期につきましては当初来年の春と御案内しておりましたが、施設の改修に若干時間を要しているということで来年の夏に延期をさせていただくということとなりましたので、また改めてオープンの時期はお知らせしたいと思います。全ての世代の方々が木とふれあい・学び、木と暮らす、そういったことをこれから進めていきたいと思います。
「世界湖沼の日」制定という嬉しいニュースがございました。国連総会において採択されたことをお伝えいたしましたが、8月27日というのは御案内のとおり第1回世界湖沼会議、滋賀県大津市で行われたこの会議の開会日でございました。(モニタを指し)これが当時の写真ということでございます。「世界湖沼の日」この日が開会の日で、当時の皇太子同妃両殿下をお迎えし、武村知事が御挨拶をされている様子でございます。またその時のレセプションの写真も残っております。現在の上皇上皇后両陛下を前にスピーチをされています。そして、これが石けん運動の時の写真ですね。こういうゆかりのある武村正義知事に「世界湖沼の日」が8月27日に決まったことを御報告に行こうということで、今週末仕事納めの後の時間を利用いたしまして、御遺族の方にも御理解をいただいて墓前に報告に行く時間を取りたいと思っております。詳細はまた紙面等でお知らせいたしますので、御取材希望される方についてはお越しいただければと存じます。当時一緒にこの世界湖沼会議をつくってこられた細谷卓爾さん、そして藤井絢子さんも行こうということで今予定をされているそうでございます。
さて、10大ニュースについてでございますが、資料に記載のとおり今年もいろいろあった1年でございましたが、1から10まで特に印象に残る事柄等を並べさせていただきました。能登半島の地震発生から始まった1年でございましたが子ども若者部の新設をはじめ、子どもの政策を様々前進させることができましたし、近江鉄道が公有民営という新たな運行をスタートしたということもございます。パートナーシップ宣誓制度をはじめたということでありますとか、ブラジル リオグランデドスール州のレイテ知事が来県されたということも印象に残っております。「世界湖沼の日」が国連総会で制定されたということは嬉しいお知らせでございました。滋賀県職員の志(パーパス)を3月に公表し4月以降その具現化等についても取り組んでいるところでございます。
そういった事々を受けて今年の漢字というのは「大」。大きいという字を記しました。今もお話したとおり大地が一番大きく揺れて始まった、甚大な被害が出た、羽田でも事故が起こったというそういう1年、スタートではありましたけれども、大河ドラマ「光る君へ」も大変好評を博したということもございます。パーパスで大きな志、大志をみんなで確認してスタートしたということでありますとか、近江鉄道の大改革、一歩踏み出したということもございます。大の里、大谷選手、大橋選手の活躍は大変勇気と感動を与えるものでもございました。また、宮島未奈さんが本屋大賞を受賞されたことも滋賀県にとって弾みのつく出来事だったのではないでしょうか。大名統治が肯定的に評価され、彦根城の世界遺産に大きく前進した一年でもございましたし、大学の存在というのは立命館大学30周年をはじめ来年は滋賀県立大学30周年など大きな力を与えてくれております。大統領選挙もございました。また韓国やシリア、ロシアで大統領を巡る様々な事々も起こったということでございます。大きな願いである大願が成就し、「世界湖沼の日」が制定されたことは大きな喜びでございましたが、私自身プライベートなことで恐縮ですが、大きな悲しみとしては母が天国に行ったということもございましたので、自分自身そういったことも込めて、この「大」という字を記しました。いよいよ来年は大きな行事、一大イベントが、わたSHIGA輝く国スポ・障スポということで開催されますし、大阪・関西万博も開催されますので、飛躍の一年となりますように思いを込めて記したところでございます。私からは以上です。
[読売新聞]
先週、体力テストの結果が発表され、滋賀県では小学校5年生女子が全国最下位であったり、小学校5年生男子、中学校2年生女子も全国平均を下回るという結果でしたが、それに関しての知事の受け止めと、子どもたちがスポーツが好き、運動が好きという気持ちになるためにはどうしたらいいのかお伺いします。
【知事】
都道府県ごとの比較で順位がどうだったということについてはあまり気にしておりませんが、経年で見ると体力が低下してきていると。子どもたちの体力が低下してきているということについてその状況を見てこれを上げていかなければいけないなという思いをもっておりますので、詳細は保健体育課をして調査をしてもらってですね、来年国スポ・障スポもございますのでそのレガシーとして、どういったことができるのかということを考えていこうと思っております。遊びを通じて体を動かすとか、スマホやテレビだけではなくて運動するとか、楽しく体を動かして運動能力が上がる、体力をつける、そういったことが試行できればいいなというふうに思っております。
[NHK]
グローの女性活躍認証を年内に取り消す意向ということでしたが、その後検討の結果はいかがでしょうか。
【知事】
先般も申し上げましたが12月12日に現地調査を行いまして内容を検討し、本日12月24日付けで取消しをさせていただこうと思っております。調査の結果としては法律に基づいて定められている「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に対して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」に規定されるハラスメント防止対策が講じられているということは確認できたそうでございますが、令和6年11月28日に法人が公表されたハラスメント防止に関する取組、これは外部評価の仕組みの導入ですとか、役員体制の見直し等、こういったものの実施が現時点では確認できなかったということでございますので、この女性活躍推進企業認証実施要綱の第11条第1項第3号に基づいて認証を取り消させていただく予定でございます。
[NHK]
今日、取り消されるのでしょうか。
【知事】
そうですね、今日付けで、公表する予定です。
[NHK]
その判断は知事としては妥当なのか、残念なのか、受け止めはいかがでしょうか。
【知事】
こういった大切な事業を担う、役割を担っていただいてる法人がこういったセクシャルハラスメントの問題で指弾されるということでありますとか、私たちが大事に考えている女性活躍とりわけそれを推進する企業の認証ということについて一旦認証された企業、事業所がその認証を取り消されるということはとっても残念なことだと考えています。
[NHK]
県の2施設の指定管理への影響はありますか。
【知事】
こちらの施設については影響がないものと考えております。指定管理の条件に沿って事業運営をしていただくように期待をしたいと思います。
[NHK]
今日はクリスマスイブということで、子どもたちはサンタさんにお願いをしているかと思いますが、滋賀県としてお願いしたいプレゼントはありますか。
【知事】
そんなお願いさせてもらっていいんですかね。そうですね。子どもの頃ですね、この日をワクワクしながら迎えていたのは覚えています。自分の子どもに対してもこの日に向けてどんな願い事をするのかなということで子どもたちに聞いてみたり、そういうときのことは強く覚えてますね。私が今滋賀県知事としてもし願い事をして、それが叶えていただけるとすれば平和です。平和がほしい。戦争のない平和な時代が欲しいと。子どもたちがミサイルで命が奪われるとか、その戦禍を受ける子どもたちがいるとか解消したいと思います。祈ることも大事ですし、そういったことのために私たちが出来ること、努力・取組を地道に積み重ねていきたいなと思います。
[京都新聞]
北陸新幹線の小浜ルートについて与党の委員会等が来年度の着工を断念するという事態に至りました。駅の接続をめぐりルートが一つに絞り込めなかったというところが大きいと思うのですが、知事は連合長としても一刻も早い完成を求めておられますが先延ばしになったことへの受け止めをお願いします。
【知事】
広域連合長としても、またその一員である滋賀県知事としても、敦賀まで来た新幹線が1日も早く京都・大阪に繋がることを願い、要望もしてきましたので年末のルートの決定、そして来年度着工に向けた予算案の策定というのが見送られそうにあるという、こういったことについては残念に思います。が、かかる課題等がまだまだあると承知をしておりますので、また、そのことを巡る住民の皆様方の大きな不安というものもあるように伺っておりますので、そういったものが解決・解消されるよう関係者の努力が実るよう願っております。
[京都新聞]
北陸新幹線を巡っては並行在来線の問題があると思います。まだ駅の接続方法も決まってないということですが、JR西日本から滋賀県ないしは沿線自治体に対して並行在来線に関するお話は今のところないという理解でよいでしょうか。
【知事】
滋賀県にもないと思っておりますし、当然私のところにもありませんし、県内の自治体でそういったお話をきいていらっしゃるところは今のところはないと承知をしております。
[京都新聞]
改めて県内に北陸新幹線の並行在来線はないという認識でしょうか。
【知事】
今検討されているルートは敦賀を出て、小浜を通って、京都府内を通って、大阪ですので、滋賀県通りませんので。通らない滋賀県に並行在来線が存在しないという、こういう私達は考えを持って主張をさせていただいております。
[京都新聞]
竜王町で水道管の関係の漏水の事故が発生していました。水道管がかなり老朽化しているものも多いと思うのですが、今回の事故を受けて改めて何か点検なり、対応対策をとられる予定はございますか。
【知事】
12月19日から20日にかけて、竜王町内の水道サービスが多くの町民の皆さんに大変な御負担をおかけしたということがございます。現在、その原因については竜王町と協力しながら調査中と聞いていますが、この竜王の配水ラインは1975年に敷設されて50年ということです。そのため、管理点検等は行われていると思いますが、経年による様々な課題があるとすれば、こういったものをどのように更新していくのかということもとても重要なことだと思います。また、上水に限らず下水も含めた主に地中にある配管をどのように維持更新していくのかという大きな課題に対して、財政的、組織的にどのような体制を構築していくのか。県にとっても大変重要な話だと思いますので、関係部局とも協議してこれからにつなげていきたいと思います。
[毎日新聞]
能登地震のことでお伺いします。政府が、この間の会議で各都道府県に地域防災力強化担当の職員を配置するということを決めたと思うのですが、これに対するお考えをお願いします。
[知事]
私達も能登震災を教訓とし、南海トラフ地震を想定しながら、防災力を保ち高めていくことは大変重要であると考えています。また、基礎自治体だけではなく、私達広域自治体、そして広域連携、広域連合もそうです。さらには国によってどのような体制を整えていくのかについても、例えば防災庁の設置を検討されていますし、災害が起こった時の備蓄品等につきましても、他国や他の事例を参考にしながらどのように強化していくのかということについても問題提起をしようとしているところでございます。今お尋ねのあった各都道府県にそういった人を指定、配置して国との連携をさらに強化しようという方向性については、私は賛同できるもの、必要なものではないかと考えております。身分をどうするのか、どういう使命で動いていくのかというようなことは確認をし、必要な協議をしていきたいと思います。
[毎日新聞]
また、本来でしたら8月ごろに完成予定であったと思うのですが、仮設住宅がやっと完成したということです。これから仮設住宅で寒い冬を越されると思うのですけれども、県としての現在の支援体制であったり、今後の支援体制に向けての知事のお考えをお聞きしたいです。
【知事】
発災当初から、能登の地域、また自治体に寄り添った対応をしてきましたし、現在も滋賀県内の住宅に避難、居住されている方もいらっしゃいますので、例えばそういった公営住宅の賃貸、入居については、引き続き期間を延長してお住みいただける状況をつくっているところでございます。したがって、住宅の建設というのもその自治体、地域、またそれぞれの人によって考えが様々でしょうから、なかなか難しい課題だと思います。何をもって建てるのか、そこでどれぐらい住むことを想定して建てるかなどもあるようでございますが、私自身県内で大きな災害があったときにどういった対応をしていけばいいのかということについても、これは不断に検証し、改善していきたいと思います。実は今日、この前に行われた県政経営会議でも主に県職員の配置、発災直後にどのような形で動くのかということについて議論し、一定の方向性を持ったところでもございますので、こういった事々をこれからも不断に積み重ねたいと思います。
[共同通信]
北陸新幹線の延伸に関して、京都の仏教会が小浜ルートについて最悪のルートだという申入れを京都府知事にしたということが先週あったのですが、改めて米原ルートについてどのように考えているかお聞かせください。
【知事】
京都で大切な役割をされている、また多くの方が加入されている仏教会という団体が、現在考えている計画ルートに対して大変強い言葉で非難、反対されている状況は、先ほども一部申し上げましたが、ルート決定に係る住民の皆様方の大きな不安の表現の1つだと理解をしています。そういった大きな不安をどのように取り除いていくのかということが、早くルートを決めて着工にこぎつける重要な鍵だと思います。米原ルートについては、以前私は滋賀県知事として、関西広域連合の一員として米原に繋ぐのが最も早く、そして安くなるのではないかということで主張をし、ルート決定の議論に臨みましたが、最終的に様々種々検討された結果、米原ルートではなく小浜を通り、京都、大阪を通るルートで決定されましたので、その決定に沿ってできるだけ早く課題を克服して着工につなげていくことが私は望ましいと考えております。しかし、そういった声が例えば石川県のほうで上がっているとか、いろいろな政党の方がおっしゃるといったことを受けて、どのように検討されていくのかということについては、国でもよく議論されることではないかと思います。
[中日新聞]
県政から外れる故にここには載ってないかなと思うのですが、県内であった大きな事件として保護司の事件があったと思います。あの事件に関しては国の方でも保護司のあり方について検討されるというような流れもありました。その点についても、今年の振り返りということでコメントをいただければと思います。
【知事】
保護司を務められ、その中心的、まさに「KANAMEプロジェクト」というプロジェクトを組成され、運営しようとされていた新庄さんが事件に巻き込まれ亡くなられたということは大変大きな衝撃でございました。また、保護司という大切な仕事をされていたがゆえに、保護司の活動について大きな話題を呼び、国をして保護司制度のあり方を検討されてきたということもございますので、私達はその新庄さんの御意志、思いをしっかりと引き継いで、こういった保護行政が、また更生の取組が遅滞、停滞、後退することがないように皆で力を合わせて頑張ろうと思います。滋賀県でも更生保護の取組、再犯防止の取組は、他県に先立つ形で様々な取組をしていることもございますので、そういったことをさらに前に進められるように取り組んでいきたいと思います。
[中日新聞]
今年の1文字のときにも少しお話があったと思うのですが、来年は盛りだくさんの1年だと思います。来年に向けて、どのような1年にしたいかについてお願いいたします。
【知事】
まず、無事な1年、無事に過ごせる1年にしようということを祈ります。と同時に、私だけではなくて全ての方々が無事に1年過ごしていけるように県として役割をきっちりとして使命を果たしていきたいと思います。その上で、大きなイベントが開催される年でもありますので、年末年始で抱負等は考えますが、わたSHIGA輝く国スポ・障スポ大会を成功に導くとともに、その中で得られた感動、そしてその中で培われたレガシー、教訓を次の施策に生かしていけるような取組をつくっていきたいと思います。
[時事通信]
ふるさと納税についてお尋ねします。先週、アマゾンジャパンがふるさと納税の仲介業者に参入するという発表がありました。その点で、全国の物流のネットワークを通じて返礼品を最短で寄附翌日に配送するという仕組みも設けるということで、一部利用者には利便性が高まるという点もあるかと思います。実際、県内の市町でも一部同制度を採用していることもありまして、そのことから関連して2点お伺いします。このアマゾンジャパンの参入についての見解を1点と、県としてこれからふるさと納税の寄附額の増額に繋げる点でも、仲介業者として同社を利用する予定などありましたら教えていただけますでしょうか。
【知事】
まず、納税者がどこに納税したいのかということを、一部思いが返礼品にあったとしても、納税の意思を示せるということについては私は歓迎したいと思います。かつ、そういった制度をよりよくするために様々なサービスが行われる、かつそのサービスを向上させるために民間事業者が参入されることはとても良いことだと思います。しかし、過度にそういった返礼品競争になるだとか、そういったことが大きく一部の都市、自治体の減収等につながるということであれば制度改善の議論は必要だと思います。また、現時点、個別の企業の参入を受けて何か導入の可否を検討するつもりはありませんが、どういう要件、条件があるのか、掛かる費用がどのくらいかを見て、かつ比較して必要な検討は行っていきたいと思います。しかし、1点、翌日に届く、無料で届くとかということは謳うのは簡単です。ときとして求める自分もいますが、運ぶ人、運ぶことに掛かるコストといったことにも目を向けた議論や対策もいるのではないかと思いますので、私も交通の仕事をしていたこともありますので、そういったことには常に思いを向けて、必要な施策も行っていかなければならないと思います。
[日本経済新聞]
北陸新幹線延伸のやり取りを聞いていて、知事の態度が変わったのかなと思ったところがあります。これまで米原ルートに関しては私も含めていろいろな記者が質問をして、結構にべもなくもう決まったことだということで、それ以上の話はなかったのですが、今回は石川県も含めていろいろな話があるし、国でも考えるだろうということでした。これは整備新幹線の話、法律の話なので、国とJR、地元自治体と話してということなのですが、それでもやっぱり米原ルートをもう1回考えてくれというふうに仮に滋賀県が言われたら、やはり考えるという意味なのでしょか。
【知事】
まず、私の考えは変わっていません。そのため、どのように受け止められるかはあるのかもしれませんが、主に与党を中心に法律に従って議論をされ、決定をされたということですので、敦賀-小浜-京都―新大阪とできるだけ早く着工条件を整えて工事をしてほしいということは、これまでどおり言っていきたいと思います。しかし、一部絞り込まれましたが今回ルートを決定することができなかったこととか、国会においても衆議院だけですが与野党のバランスが変わったことからすると必要な予算を計上したとしても、そのことに全ての方の賛同もしくは議決するだけの賛意が得られるのかということも併せて考えていかなければいけないということもあるので、政治、政党をして様々な議論が行われるのではないかということを申し上げたところです。
[日本経済新聞]
この先にはルートの変更の可能性もあるという思惑があるのではないかなと思うのですが、そのあたりいかがでしょうか。
【知事】
可能性、一般論として、決めたからすべてその通りに動くということではないのかもしれません。それは皆さんがいろいろなことを考えて決めていかれるのではないかと思います。しかし、通る自治体には確かにいいこともありますが、これまで新幹線があるところにつないでいくという議論は、ないところに通していく議論とは違う熱量がありますので、これまでと同じ負担をして、そしてルールを守って分担しながら通していくということだけでは理解していただけない面もあるのではないでしょうか。例えば、京都、米原だってそうです。乗り換えだけと言われると、やはりそのためだけに自治体が多額の費用を負担することは理にかなわない、住民の理解が得られないということもあるのだと思います。
[日本経済新聞]
今の知事の答えを聞いていると、何となくその条件闘争のように聞こえるのですが、新幹線を米原に通す場合に、その必要な費用を滋賀県が負担しないとか、あるいは何か別の特典があれば考えるといったふうにも聞き取れるのですが、そういったことは頭にありますでしょうか。
【知事】
今はそういったことを何か考えているということはありません。しかし、そういった今決めているルート以外に、例えば米原ルートがあるとか、もしくは以前決定した舞鶴ルートを考えるべきだとか、小浜からもともと京都駅を通らずに大阪に通す予定であったではないかといった事々を議論される際に、当然、沿線となる自治体のいろいろな意見が聞かれてしかるべきではないかと思いますので、その際に必要なことは申し上げていきたいと思います。
[日本経済新聞]
「世界湖沼の日」について、ちょっと控えめに重大ニュースの9番目にあります。武村さんの墓前に報告するということも含めて、かなり知事としても思い入れのある、そして来年初めての日を迎えるわけですが、以前の会見でも話したかもしれませんが、この日、来年の8月27日に何か県で主催して大きなイベントをやるといったことを考えていますでしょうか。
【知事】
順番は主に時系列で並べましたので、大きな喜びだったけれども9番目ではないかということではなく、ここにあまり意味はつけなかったつもりです。来年の8月27日は何をするのかということについては、現在検討中です。
しかし、1日だけ、何かイベントだけやって終わりにするということよりも、多くの主体が琵琶湖をはじめとする湖沼、その保全やより良い環境にするために何か行動を起こすという、まさにマザーレイクゴールズにも記してあるようなことを達成するためにどういうやり方をするのがいいのかということは、よく熟慮したいと思います。
[日本経済新聞]
7月1日の「びわ湖の日」とややかぶる気がしますけれども、何か一緒にするといったことはありますでしょうか。
【知事】
まだこれは議論の段階ですが、7月1日「びわ湖の日」から8月11日「山の日」、そして8月27日「世界湖沼の日」。ちょうど子どもたちが夏休みになるタイミングでもあるので、何かそういったことを絡めて期間を設定してムーブメントを起こしていきたいなという話はしています。
[日本経済新聞]
最後に、年末年始の知事の御予定はいかがですか。今年は非常に長い休みのようですが。
【知事】
長いですね。風邪をひかないように過ごしたいなというのと、自分自身もいろいろな意味でリフレッシュして、新たな年を迎えられるようにしたいなと思います。まだ何か計画を立てているわけではありませんが、主に県内で過ごすことになると思います。
[読売新聞]
立憲民主党の京都府連が与党、政府だけで新幹線の意思決定をしているということについて疑問を呈して、立憲民主党への情報提供と意思決定への関与を求めて先日会見をされました。現在新幹線を巡る意思決定は整備委員会やプロジェクトチームでほぼ物事が決まっていっていると思いますが、この意思決定のあり方について知事はどう考えておられますか。
【知事】
そうですね。私も今お尋ねいただいた事柄については報道を通じて知っております。総選挙の結果を受けて当然出てくる御主張だろうなと思います。そういったことを受けてどういうルート決定に向けた議論をする仕組みをつくっていくのか政治の知恵が試されているのではないでしょうか。私も一時期与党にいて、こういった整備新幹線のことに携わったことがありますが、やはり与党には与党の責任、関わる人には関わる人の責任というものがありますので、そういったことを自覚されて野党もしっかりと加わっていこうということだと受け止めますので、そういう中で建設的な議論が進められることを期待したいと思います。
[読売新聞]
意思決定や議論の枠組みに野党の方が入るということについては良いか悪いかというとどうお考えですか。
【知事】
どう入るのかということにもよると思います。ただもう既に秋から冬にかけての予算の議論、また政治資金を巡る様々な立法作業が与党野党の協議によりそれぞれ案を出し合って成案を経てきたという過程を見ても、与党野党が議論をして物事を決めるということは、必ずしも決まらないということではなくて、むしろみんなが願うこと、望むことに決まっていくということに繋がるとすれば、これは新幹線のルート決定の際にも当てはまることがあるのかもしれません。
[読売新聞]
2024年を振り返ってこれをやろうと思っていたけどちょっとできなかった、未達成だったということはありますか。
【知事】
体重を減らしたかったんですけど、減らなかったというのはあります。これは個人的なことですけれども。あとそうですね、おかげさまでとてもたくさんのことができた一年だったと思っていますが、やろうと思ってできなかったことはなにかあったかな。あんまりなかったな。ちょっと今から考えておきます。
[読売新聞]
政策的にもうちょっと実現したかったけどできなかったこととかそういうことでも構いませんが。
【知事】
いやこれはもういつもの課題ですし、また年明け以降予算の議論の際も皆さんからも問われ、試されることでもありますが、業務見直し、もう少しスリム化したり統一化したり、DXで便利にする、キャッシュレスにする、いくつかできたこともあるんですけど、もっとやらないと新たな課題に取り組めないなと思います。これは来年力を入れないといけないと思っています。
[読売新聞]
来年特に取り組みたいこと、成し遂げたいことはなんでしょうか。
【知事】
また年末年始に振り返って考えたいと思いますが、今年の10大ニュースでも書いていますが、2の子どもに関することはおかげさまで様々なことが前進した一年でありましたが、子どもを取り巻く様々な課題、またたくさんの可能性、こういったこともございますので、さらにこの「子ども・子ども・子ども」というテーマでどういったことをやらなければいけないのかは考えていきたいですし、世界湖沼の日が定まったということは琵琶湖をお預かりする滋賀県に新たな責任が付与されるということも自覚して、どういう取組をするのかということも考えていきたいと思います。
[朝日新聞]
長い時間軸で考えることの重要性ということについてお聞きしたいと思います。「気候正義」という言葉があります。英語で言うと「Climate Jusutice」であまり聞きなれない言葉ですが、地球温暖化による異常気象や災害というのは化石燃料を使用し原因をつくった先進国よりも、その事態を招いたことの責任が小さい発展途上国の方がより多くの影響を受けるのは不正義、不公平ではないかという考え方による言葉です。責任がないところがより大きな影響を受けるというのは発展途上国だけではなくて将来世代に対してもだと思います。将来世代に対して重大な責任を持つというのは温暖化対策などだけでなく、例えば滋賀の自然あるいは滋賀の町を50年100年先の将来世代にどういうふうに残すのかという長い時間軸で施策の是非を考えることが重要だと思いますが、このことについて知事はどんな思いを持ちながら、どのように施策に取り組んでおられるのでしょうか。
【知事】
本当に大事なことだと思います。三つのことを今の御質問を聞きながら思いました。一つは私達コロナ禍の時に光を見出そうということで、様々な有識者と勉強会を重ね、その際に出た大事にしなければいけない考え方の一つに「良き祖先になるべきだ」というものがあります。アメリカ先住民の方々が7世代先のことを考えて色々な取組をされているということで、このことからどのように学ぶのか。7世代先と言うとおそらく200年以上先になるのでこういったことをどう展望するのか。その際に二つ目はおっしゃったとおり先進国、現世代だけではなく、例えば、発展途上国もしくは新興国、グローバルサウスを始め、G7だけではない様々な立場とか、また生き物とか自然環境からどのように学んでいくのか、あらゆるものとの対話の必要性、これは謙虚に対話しなければなりませんし、私達はマザーレイクゴールズの文脈の中で琵琶湖を鏡にし自分の暮らしを見つめ直そう、琵琶湖は世界の環境変化を見通す窓と表しているので、その実践。そして三つ目は今、「しが2100未来研究会」というものを立ち上げて、経済界の皆さんと有識者の方々をお招きして勉強を重ねています。昨日も藤原辰史さんにお越しいただいて90分濃密な議論をいたしましたし、その前は寺島実郎さんにお越しいただいて議論いたしました。寺島さんと議論をしたときに2100年を展望することの必要性について寺島さんらしい言い方で素晴らしい御示唆をいただきました。私たちが2100年を展望すると言ったとき、県庁職員の一部からは、いやいやいやそれはちょっと、もちろん任期も越えるし、どうなるかわからない。それは県民のみなさん、もしくは代表の県議会議員の御理解を得られるでしょうか、という話がありました。私は寺島実郎さんの話を聞いてむしろやらなければいけない、やるべきだという確信を得たのですが、明治維新から終戦までが77年、終戦から現在までが77年、明治から終戦まで行ってきた日本と戦後歩んできた日本の道筋を比較・対照しながら、その先2100年までがちょうど76、7年というターンの中で何をするのかという考えを深めることはとても重要ではないかという御示唆をいただきましたので、そういうことからすると気候正義の観点からも、どういう行動を取るべきなのかということは常に滋賀県だからこそ考えられる視点を持って考えていきたいと思います。
[朝日新聞]
今の考え方についてですけれども、先ほど世界湖沼の日制定について話された際もおっしゃっていましたが、知事はよく「琵琶湖をお預かりしている」と言われます。琵琶湖は今生きている県民だけのものではないという考え方からの言葉だと思います。これは長い時間軸の中で考える上で非常に重要なことだと思うのですが、琵琶湖は県域の6分の1で残りの6分の5についても、やはりこれもお預かりしているものであるという考えでいけば、山や森、あるいは川、土地、町というのはいずれもお預かりしているものであり、将来世代にどう残していくかと考えた上でいろいろな取組をすべきであると思います。例えば今、山を削って開発することについてはどうなのか。あるいは森林を伐採したらどうなるのか。あるいは、今そこにトンネルを掘るべきなのかどうか。あるいはこの土地を産業用地として開発すべきなのかどうかというのは、もちろん今現在居住している人たちの利害利益を考えることは非常に重要ですが、やはりその先2100年のことを想定した上でのあるべき姿というのを考える施策が必要だと思います。特に自然については一度壊してしまったら、なかなかそれを戻すことは非常に困難であるということは知事も余呉のスキー場跡地に行かれたときに非常に実感されたと思うんですけども、こうした今あるものをどうしていくのか、特に自然について、どんなふうに政策決定を考えていくべきなのかということについて知事のお考えをお聞かせいただければと思います。
【知事】
非常に深いテーマなので、また別途お時間をいただいて議論できたらなと思いました。今と未来を見るために、歴史と世界を常に見ることは大事にしたいと思います。有史以来初めてと言ってもいい人口減少の局面に入っていますので、人間の利用から自然に戻していくプロセスに入っているのかもしれません。また一度開発をすると自然の復元力はありますが取り返しのつかないダメージを与えてしまうようなことがあり得ますので、謙虚さを持って自然と向き合っていくということも重要だと思います。やはり琵琶湖をお預かりしている滋賀県だからこそわかること、言えることがあると思いますので、そういう視点は大事にしながら施策、行政を進めていきたいと思います。
[司会]
ありがとうございました。そうしましたらお時間が参りましたので本日の会見を終了いたします。
【知事】
今年1年もいろいろとお世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください。そして来る年もよろしくお願いいたします。