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知事定例記者会見(2024年11月5日)

令和6年11月5日

(県政記者クラブ主催)

知事定例会見にて壇上で話す三日月知事の写真。知事の横に資料表示用の大きなモニターが映っている。

【知事】

 今日もどうぞよろしくお願いいたします。先週末、県内にも警報が出る雨量で雨が降りましたが、幸い現時点大きな被害は出ていないということでございます。そのおかげ様というか琵琶湖の水位が若干回復いたしまして今朝の時点でマイナス32センチということでございます。

 先週いくつか出させていただいた公務で申し上げれば10月30日、秋の園遊会に参列させていただきました。奇跡的に好天に恵まれ、多くの方がお越しになられていました。前を通られた両陛下にもお声掛けをいただいて、近江八幡から献上された「むべ」のお礼を賜ったということと、来年の国民スポーツ大会、障害者スポーツ大会を楽しみにしていますという、お声がけをいただいたところです。

 また土曜日にはこちらもあいにくの雨模様でしたけれども、滋賀ミライEXPOをびわ湖ホール等で開催させていただき、大変多くの方がお越しいただきました。空飛ぶクルマの展示、最新式人型ロボットの展示、また子どもたちのいろんな体験コーナーなど、トークイベント、チアダンスなどたくさんの盛り上げをいただいて盛況だったと思います。やはりいろんな実物を見たり、お話を聞くことで、期待・イメージが膨らむところもあるのだと実感いたしましたので、またこういった機会をつくっていければと。いよいよ本番に向けていろいろなPR、機運醸成に努めていきたいと思います。

 日曜日はTHEしがパークフェスタ2024をびわこ文化公園にて開催いたしまして、素晴らしいお天気の下、5,000人以上の方が来訪されました。湖岸緑地、陶芸の森、びわこ地球市民の森など様々な遊びや体験のコーナーを設置いただきましたし、11月3日はビワイチの日ということでサイクリングとコラボの企画もあったということでございます。こういった形で晩秋から初冬にかけてのイベント目白押しということでございます。

 大阪・関西万博までいよいよ159日。未来を担う滋賀の子どもたちが万博を体験して、将来の進みたい方向、社会課題にチャレンジする姿勢、夢を育むきっかけとなることを目的に子どもたちの無料招待を行う事業の一般申込みを11月1日(金)から開始しております。学校の教育旅行等で訪問しない子どもたちに対して、個人や家庭などからのお申込みにより、県から万博の入場チケットを提供させていただくものでございます。申込期間は来年の9月26日までとなっておりますが、既に今朝8時半の時点で約300件の申込みもあるということでございます。

 また資料を配布させていただいておりますが11月6日、明日、北の近江現場訪問ということで、この数年来、濁りが出ております高時川の発生源の一つと言われておりますスキー場跡地その是正工事の進捗状況を現地で確認させていただく予定でございます。報道各位御都合が合えば取材等、御検討いただければ幸いでございます。

 それでは資料に基づきまして今日は2点、御紹介させていただきます。一つは介護の話題でございまして、11月11日が介護の日になっております。この介護の日に「滋賀県介護現場革新サポートデスク」を新規開設することといたします。県内介護事業者への様々な支援を一括いたしまして、適切な支援に繋ぐワンストップ型の窓口ということでございます。このサポートデスクはチラシにも御紹介しておりますように介護ロボットやICT機器の活用、介護業務の切り分けによる負担軽減などを通して、介護職員の皆さんの働きやすい職場環境づくりを支援するため、主に四つの事業を行います。一つ目は介護現場革新のための研修企画、二つ目は滋賀介護現場革新アドバイザー等による専門相談支援、この支援を行うアドバイザーは一定の要件を満たされた介護職員の方を本県独自の制度により認定するものです。今年度、令和6年度よりスタートし、現在13名の方がアドバイザーとして活躍されておられます。三つ目は介護ロボットやICT機器等の体験展示会です。利用者の移乗や入浴等を支援する介護ロボットや記録の作成を効率化させる音声入力が可能な介護ソフト等を展示するものです。今年度はサポートデスク開設に先立ち8月に開催しております。四つ目は介護ロボットやICT機器の試用、お試しの貸し出し支援であります。介護ロボットやICT機器等を介護事業所内で試験的に御利用いただくための支援を行うものです。利用者への適性確認や導入後の業務オペレーションの検討に繋げていただければと考えております。またこの他にもハローワークやシルバー人材センター等の関係機関とも連携をとりながら、相談内容に応じた支援を実施いたします。これらの事業を進めて介護版三方よし。介護職員は専門性を生かして働きやすくなって支え手よし、利用者は質の高いケアを受けられて受け手よし、そして安定的な介護サービス提供体制が確保されて社会よし、の三方よしを目指していきたいと思います。今週末8日(金)14時半に県庁におきまして、開設記念セレモニーおよび講演会も開催予定でございますので、ぜひお越しいだければと存じます。

 2点目は安土城についてです。こちらも資料をお手元にお配りしておりますが幻の安土城復元プロジェクト事業の一つとして行っております、安土城考古博物館の展示リニューアルに際し、クラウドファンディングを実施したいと考えております。安土城考古博物館につきましては、現在第一期の展示改修を実施中でございまして来年令和7年3月のリニューアルを予定しております。その目玉として安土城天主と同じ八画形の壁面を利用した五面スクリーンを用いたシアターを新設いたします。こちらで唯一無二の映像空間をつくっていこうと。これまでの調査研究で培ってきた安土城の調査結果を最大限に生かし高精細なCGで再現をしたいと考えております。映像は「織田信長と安土城」「よみがえる安土城」の2つを現在作成中でございまして、ドラマ仕立てで歴史に興味が今の時点でちょっと薄いなという方でも楽しめる、また当時の世界に入り込んだ感覚で楽しんでいただけるものになる予定でございます。私も一部見ましたけど宣教師も出てきて非常に楽しみな内容になっています。クラウドファンディングは明日11月6日(火)から12月27日(金)までの52日間で実施いたします。御協力いただける方は専用のサイトからクレジットカード等で御寄附いただくことができます。御協力いただいた方には安土城の魅力を体感できる返礼を考えているところでありまして、実際に信長が書いた手紙の文言を引用して作成する信長からのお礼状ですとか、現在実施しております安土城跡の発掘調査の体験なども予定しておりますし、一定金額以上、これはまだ検討中と聞いていますが御寄附いただいた方のお名前をこのCGコンピュータグラフィックの映像末尾に掲載をして御紹介するようなことも考えているところです。チラシの右側に第一目標金額1400万円と書いてありまして、なぜ1400万円なのかということなのですが、いろいろ手数料等を差し引いて1000万は確保できたらいいなということなのですが、直前に協議いたしまして築城が始まった1576年、1576万円を目指して頑張ろうということを言い合ったところでございますので、多くの方々に御協力いただければ幸いでございます。長くなりましたが私からは以上でございます。

 

[中日新聞]

 サポートデスクについて、事務局は県の職員が運営されるのでしょうか。

 

[担当者]

 滋賀県社会福祉協議会への委託で運営します。

 

[中日新聞]

 滋賀は福祉の面では先端の県だと思うのですが、これは他の都道府県でも実施されている取組なのでしょうか。

 

【知事】

 同様の取組は昨年度末時点では、北海道、青森県、山梨県、兵庫県、愛媛県で開設されていると聞いております。

 

[中日新聞]

 安土城に関して、安土城はすごいロマンがたくさん詰まったお城だと思うのですが、知事はどういったところにロマンを感じておられますか。

 

【知事】

 それを語りだしたら1時間でも2時間でも語れるのですが、まずは戦乱の時代、いろいろとあった時代に多くの地域を治めつつあった信長公がなぜ安土を選んで、このお城を建てたのかということですね。そして当時まだ入ってきて間もない、それでいて全国に広がっていると言われてなかったキリスト教の布教も、またセミナリヨでの教育もある意味では認めてこの地で行ったという多文化共生の先駆けです。そして商業を様々自由に、この地域では営むことができたのではないかという、ある意味では経済の先進地域でもありましたし、当時は琵琶湖と繋がる水運が利用できる山城だと言われていますが、やはりこの琵琶湖の水運というものを最大限に生かしたお城というものにも魅力を感じます。この時代にも信長公はおそらく戦乱のない、世界とも繋がる平和な地域をつくろうとされていたのではないかと思います。どういう構造で、どういうまちを、まちも含めてつくられたのかというのは、ぜひ丁寧に調べてわかったことを皆さんに御紹介したいなと思っているところです。

 

[中日新聞]

 クラウドファンディングの目標額が1576万円とあったと思うのですが、一段階目の目標が1400万円でせっかくならそこを目指そうということでしょうか。

 

【知事】

 そうですね。事務的に固く真面目に1400万円としてくれていたのですが、どうせ目指すなら1576万円を目指したらということで、第一目標は記載の通り1400万円を目指します。その上で皆様方には築城450年に向けたお力添えをいただけたらありがたいなと思っているところです。

 

[中日新聞]

 先週いじめの認知件数の調査結果が発表され、県内ではいじめ認知件数と不登校数のいずれも過去最多になったということでした。このことに関して受け止めをお願いします。

 

【知事】

 県で設置しておりますいじめ等の委員会等でこの内容を分析してどうなっているのか、どうすべきなのかというのは関係機関と共有していきますが、やはり暴力、いじめ、不登校、いずれも増加しているということでございますので、その背景というか原因、そしてどういう対処・対応ができているのかということをよく注意深く見て必要な対策をとっていくということが重要だと思います。どの項目も大変重要なんですけど、特に私が近年問題視しておりますのは、中学校の暴力行為です。この2年で急増しています。したがって中学校の暴力行為については、特にどういう状況なのか、どこでどういう事柄が多いのか調べて対策しようということを指示させていただいたところです。

[日本経済新聞]

 (安土城考古博物館のクラウドファンディングについて)1576万円のところがよくわからなかったのですが、第1目標額の1400万円というのは仮置きみたいなものなのでしょうか。

 

【知事】

 いえいえ、まず1400万円なくして1576万円はないので、まず1400万円を第1目標にします。ただせっかく安土城のクラウドファンディングをやるので、1400万円を通過点にして1576万円を目指そうじゃないかということを私が申し上げたということです。

 

[日本経済新聞]

 期間は資料のとおりでしょうか。

 

【知事】

 (モニターを示しながら)期間はあくまでこのとおりです。

 

[日本経済新聞]

 クラウドファンディングで得たお金は博物館のリニューアルのためだけに使用し、令和の大調査の方に使うということはないということでしょうか。

 

【知事】

 今回のものはこのリニューアルのためのクラウドファンディングです。安土城考古博物館の展示事業に係るお金に使わせていただきます。

 

[日本経済新聞]

 返礼品の詳細については、クラウドファンディングのホームページを見ればでていますか。

 

[担当者]

 まだホームページがオープン前なので詳細については後ほどお伝えさせていただきます。

 

[日本経済新聞]

 2026年が安土城の築城が始まってから450年ということで、そのタイミングで県として観光事業にもなるよう大きな取組を行うなどの予定はあるのでしょうか。

 

【知事】

 今まさにそれを組み立てているところです。2026年に向けて地元の近江八幡市や安土の皆さんとどういうことをやっていくのか。万博の後でもありますし様々なデスティネーションキャンペーンなどとどう連携させることができるのか。何らかのことはやっていきたいなと思っています。

 

[日本経済新聞]

 びわこビジターズビューローなども連携してですか。

 

【知事】

 そうですね、城づくりが始まったということは、完成する年次もその後450年と言えますし、いろいろなものを少し単年度に終わらせない形で形づくることができるのかどうか。また、城ということで言えば、同時代に関わりを持っていた坂本城や大溝城などもありますので、何か絡めてできることがあるのかもしれません。

 

[日本経済新聞]

 彦根城の世界文化遺産に向けた動きとはあまり絡めないのでしょうか。

 

【知事】

 絡めないことはないと思います。ちょっと時代は違いますが同じお城ですので。ただ琵琶湖のそばに立っていたお城として、戦のない平和な時代を築こうとしたお城としては絡めて御紹介することができると思います。

 

[日本経済新聞]

 来年万博があって、その後に関西の一つの賑わいみたいな感じでやっていこうということですか。

 

【知事】

 彦根城は2027年に世界遺産への登録を目指していますし、2026年に安土城のこういったイベントができれば、一つの機運の盛り上げにも繋がると思います。

 

[日本経済新聞]

 それは県が中心になって地元の自治体とも協力してやっていくということですか。

 

【知事】

 はい。やっていきたいと思っています。

 

[日本経済新聞]

 米原市長も甲賀市長も無投票で決まりましたが、知事はこのことについてどうお考えでしょうか。

 

【知事】

 私は無投票で選挙を経たということはないので、そのあたり何が原因・作用しているのかはわかりませんけれども、選挙はあった方が、選挙の機会に言えること、聞けることがありますし、見れるものもありますし。私の持論ですけど選挙は人を強くもするし優しくもするということなので、選挙のない形で選ばれるというのはいささか残念な気もしますが、無投票という評価を有権者の方がされたということであれば、一定のその間の評価もあるのかもしれませんので、そこは一概には言えない面もあると思います。

 

[京都新聞]

 介護のサポートデスクの必要性についてお伺いしたいと思います。介護現場の負担軽減を考える上でどういうニーズがあって、これを満たすことで県としてどういう介護の充実を後押ししていきたいというふうにお考えでしょうか。

 

【知事】

 現場では大変多くの従事者の皆さんが献身的にまた御苦労もいただきながら、丁寧に優しく御対応いただいております。このことには心から感謝したいと思います。やはり現場のお声を聞いていますと、業務の負担がどうしても過重であったり、故に長続きしなかったり、なかなかそのイメージがついて入職者が十分入ってこられなかったりということもあるようですので、やはり業務の負担を軽減して、ケアの質の向上を目指していきたいという思いでこの革新サポートデスクをつくってきたということがあります。こういう様々な相談対応、お試し等をやっていただくことで、次の課題というのも見えてくると思うので、もっと行政のサポート、国のサポート、介護保険のサポートなどがあれば、さらによりよくなるのになとか、そういうこともぜひコミュニケーションしながら今後の業務負担軽減にも繋げていける取組になればと思っています。

 

[京都新聞]

 日本酒などの伝統的酒造りについてユネスコの評価機関が無形文化遺産に登録するように勧告し、正式決定される見通しであると報じられています。滋賀も酒どころであり、こういった動きを滋賀としてどのように受け止められて滋賀のお酒の魅力発信にどういうふうに生かしていこうとお考えでしょうか。

 

【知事】

 私も報道で接しました。とてもいいことだと思います。滋賀も伝統的な酒造りを各地で長く、大切に行っていただいておりますし、そういった方々の励みになると思いますので、どういうことが評価されてそのような段階に来ているのかということも少し詳しく調べた上で、生産者や関係者の皆さんと共有して今後の発信等に生かしていきたいなと思います。折しも京都の駅ビルで今、酒マルシェが12月1日まで開催されており、滋賀から28蔵の酒が紹介されており大変好評いただいていると聞いています。そういったことにも弾みをつけることになるのではないでしょうか。

 

[京都新聞]

 衆院選の後の先般の知事会見の折に、どういう政策を重視して政権の枠組みがつくられるかというのを注視されているというお話でした。国では国民民主党が103万の壁をなくすということを呑んでもらえばという交渉が行われているという報道もある一方で、この103万円の壁を取り去った場合に税収が少なくなってしまうという懸念もされています。地方の税収も含めて。知事は年収の壁というものを失くそうとする動きをどのように見ていらっしゃいますか。

 

【知事】

 まず前提として選挙の結果、野党が提案された政策がクローズアップされ、与党と協議に入っているということを評価したいと思います。全て与党の一存だけで物事が決まってこなくなり、野党も良い政策を掲げれば、こうして協議によって実現するかもしれないということが出てきているということは、新たな国会の審議のスタイルができつつあるということを評価したいと思います。その上で、103万円という年収の壁が昔、最低賃金が定められた時と比べて変わっておらず、もっと引き上げてもいいのではないか、またこの壁があるがために、ちょうど今頃そうかもしれませんけど、上限に達するのでもうこれ以上働きませんと。ただでさえ人手がいない、例えば先ほどの介護の現場、そしてモノづくりの現場、そこでこういった雇用調整が図られるとするならば、先般県市の行政会議でもある市長からそういった問題提起がなされましたけれども、これは早急に是正すべきことだと思います。ただ、控除額が引き上げられるということは、納められる税収が減ることにもなりますので、そういったことに対する手当というのは当然地方自治体としても求めていかなければなりません。ただ一方で、税収が入らないということは、納税者の方のお財布に使えるお金が残るということからくる経済効果また税収効果というのもあるでしょうから、そういったものを丁寧に見ていく必要もあるんだと思います。いずれにしろ、丁寧な協議がなされて実現することを期待したいと思います。

 

[NHK]

 万博への子ども招待についてですが、県の調査でもまだ学校の教育旅行として利用するかどうかを決めかねているという学校が相当数あり、11月末にもそのことについてヒアリングをするということでした。そのように決めかねている学校が相当数ある中で、個人申込みが始まるとなると、親の考え方と学校の考え方の違いが非常に表面化するという懸念もあると思います。この時期に申込受付を開始した理由というのはどこにあるのでしょうか。

 

【知事】

 いろいろな事務なり、準備の都合上、できるだけ早く皆様方にお知らせをしておいた方がいいだろうということで、もちろん学校を通じて校外学習や修学旅行等で行かれるという選択肢も我々丁寧に対応いたしますし、小さいお子さんですとか、学校で行かないことが決まっている子どもさんとか家族で行きたいということを知り希望される方々もいらっしゃるでしょうから、そういった方々に対してできるだけ早く情報提供ということで準備いたしましたが、来年9月までありますんで、いろいろな学校の行事予定が決まり次第申込みとか、そういうことも十分可能ですので早い順とかということでは決してないのでゆっくりと考えてお決めいただいたらいいなと思います。

 

[NHK]

 在籍する学校が教育旅行でこの制度を活用するかどうかは、ステップ1に登録された後事務局から申請者にメールでお知らせしますということで、事務作業もまた増えてしまうんじゃないかというのと思うのですがどうお考えでしょうか。

 

【知事】

 ありがとうございます。当然そういった個人でも申し込みされ、その子どもさん、児童生徒さんが行かれている学校でも行かれることになっていますがどうしますかというやり取りを、ひと手間かけなければいけないということは事務として発生いたしますがそこは丁寧にやっていきたいと思います。当然、学校で行くなら学校で行きますということでしょうし、学校で行くけれども個人でいきたいという場合ももしかしたらあるのかもしれませんので、そこのやり取りはやりながら、また改善をしていきたいと思います。

 

[NHK]

 安土城について、こういうクラウドファンディングをされるというのは初めてのことなのでしょうか。それともこれまであるのでしょうか。

 

【知事】

 安土城に関しては初めてです。

 

[NHK]

 こういう県の博物館とか県のリニューアル工事、県営の施設に対してのクラウドファンディングというのは事例があるのでしょうか。

 

【知事】

 琵琶湖博物館の水槽などでも一部御協力、お力添えいただいておりますので、初めてではありません。

 

[NHK]

 クラウドファンディングは競争が激しくなっているというのが課題になっています。クラウドファンディングが増えすぎてというか、寄附の行き先が競争になっているというのが、一部で問題になっているところがあるのですが、そういうことを考えたときにこういった県の施設は県の税金でしっかり修繕、保全すべきではないかという意見もあると思います。このクラウドファンディングを選ばれた理由というのを改めて教えていただけますでしょうか。

 

【知事】

 県有県立施設ですので、県の責任において必要な改修等させていただく、リニューアルをさせていただくというのが基本だと思いますが、全て財政が厳しきおり、予算を賜わる税収補助金等だけでやるのではなく、より多くの御協力をいただいて、歳入を確保させていただいて実施するということも我々今考えていますので、その一環でもあります。また、このクラウドファンディングを呼びかける過程で、より多くの方々にそういうことをしているのかということを知っていただいて、それならいこうというPR発信効果というのもございますし、あとは払われる方の意思ですね。これは納税ではありませんけれども、御寄附される方の意思を尊重して、こういうことをやってほしいということがどれぐらい表していただけるのか、いただけないのかということを確認する意味合いもあるのではないかなと思います。ただ基本は、県がしっかりとやらせていただくというのが基本になると思います。

 

[共同通信]

 長浜市で回収されたはやぶさから高病原性鳥インフルエンザが検出されたというニュースがあったのですが、こちらについて県民などへの呼びかけはありますでしょうか。

 

【知事】

 ずいぶん寒くなってきまして、この高病原性鳥インフルエンザが発生する季節に入ってきました。他県でも既に出ておりますし、滋賀県においても野鳥のはやぶさから高病原性鳥インフルエンザの検出が確定したということでございまして、既に養鶏等をされている方々は対策をとられていると思いますが、これまで以上に注意、警戒しながら防疫対応をしていただくということを呼びかけていきたいと思いますし、鳥を中心に家畜のそういった異変にできるだけ早く察知をして、対応していくということに努めていきたいと思います。

[朝日新聞]

 ちょうど鳥インフルエンザの御指摘がありましたが、この鳥インフルエンザについては家畜伝染病予防法あるいは農林水産省のガイドラインで、確認された養鶏場の鶏は全て殺処分するという運用が行われています。2023年に滋賀県で発生した際は、約4000羽の鶏が殺処分されて、しかも営業用ではないエミューも処分対象になり5羽殺処分されたかと思います。感染拡大を防止するという封じ込め策として、こうした対応を取るというのは確かに必要なことだと思いますし、法律に基づいての行為だとは思うのですが、本当にこれほど多くの命を奪うということがあっていいのかということは考えてみるべきだと思います。鶏やその卵が取れなくなることで市場が混乱するということだけではなく、動物の命を大切にするということは、滋賀県としても生きとし生けるものを大切にするという考え方を持って行政を行っている上で、本当にこれだけたくさんの命を奪わなければならないのか、あるいは奪うとしたら何か改善点があるのではないかということも考えていくべきと思うのですが、これについて知事はどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

 今回も根源的な御指摘、お尋ねをいただいてありがとうございます。おっしゃるとおりで、我々は命をいただきながら、肉や卵にしろ経済動物ではありますけれども、このことには思いを馳せて大切にいただくということが基本になると思います。一旦発生すれば、この鳥インフルエンザ対応において大変多くの殺処分をすることになります。そのことについては、法律に基づくことでありますので発生予防しつつも、もし発生した場合には、法に則って対応するということが基本になりますが、昨年、発生農場の殺処分対象を限定すべきだと、こんなに多く殺さなければいけないのかということについて都道府県の方から全国知事会を通じて問題提起をいたしまして、農場を複数に分割して別農場として扱うという新たなルールに基づく対応をされております。そのため、この間の経験を踏まえながら、殺さなくてもいい命まで殺さずに済む対応方法も、今追求されているということでございます。何よりそういう殺処分を行わないためにも発生させないという、この防疫措置を適切に行うことも重要ですので、養鶏農家等にそういった呼びかけを徹底していきたいと思います。

 

[朝日新聞]

 今、知事のおっしゃられた分割するというやり方は、農林水産省がいろいろ呼び掛けている分割管理のことと思うのですが、1つの農場で分割して管理をするというやり方で、発生したとしても調査し殺処分する鳥を限定的にするというこのやり方については、実際やっている農場については県に届出が求められているとのことですけれども、滋賀県内ではどれぐらいの農場でこのような分割管理をやっているのでしょうか。

 

[担当者]

 県内の方ですけれども、今のところ取り組みされているところはありません。全国的には大きなところで分割管理しやすい農場での取組というところは増えてはきているのですが、本県ではまだ取組はないという状況です。

 

[朝日新聞]

 この分割管理というやり方も含めて、去年から近江牛についてはアニマルウェルフェアの考え方に基づく飼育のやり方も見直していくということがあったと思います。鶏の場合は、かなりぎゅうぎゅうに押し込めたような鶏舎というのも見受けられて、それが発生したときの感染の広がりにも関わってくることを考えれば、この鶏舎についてもアニマルウェルフェアの観点から、鶏舎の管理の仕方として見直すことがこうした鳥インフルエンザの殺処分を減らすということにも繋がってくるかと思います。そのため、利用者の皆さんも経費もかかって大変だとは思うのですが、以前のNHKの子ども科学電話相談を聞いていたときに、鳥インフルエンザのときは何で全部殺さなくちゃいけないのかという子どもからの質問があり、回答する側も感染予防のためという回答がありつつ、やはり答える側もあまり子どもの納得が得られていないなというふうなやり取りがあったのが非常に印象的でした。やはり、命を大切にするということそのものが、子どもに教育的な問題もありますし、滋賀県として何かしら取組ができるのであれば、こうしたところからやっていくことも1つかなと思います。しかし、今は分割運営管理をやっている農場はないということですけれども、これをもっと進めていくというような考えがあればお聞かせいただけますか。

 

【知事】

 NHKの子ども科学電話相談は私も大好きな番組で、その中のやり取りからハッとさせられること、学ぶことはたくさんあると思います。今の御指摘を受け止めて、どういうことができるのか考えてみたいと思います。当然経済性もあるでしょうし、採算性もあるのだと思います。価格転嫁がどれぐらい可能なのかということもあるでしょうけれども、動物の命、鳥たちの命のことを考えてどういうことをやればいいのか、規模にもよるのかもしれませんが、分割管理することが防疫上、感染予防にもなるとすれば、一定の合理性が成り立つのかもしれませんので、いずれにしろ、どういうことができるのか考えていきたいと思います。

 

[朝日新聞]

 殺処分の対象を、去年のエミューに関してはここまでやるのかというのがすごく心に残っています。滋賀県だけではなく、いろいろな動物園、例えば和歌山県のアドベンチャーワールドではガチョウやアヒルなど60羽以上殺処分したり、あるいは名古屋の東山動物園でも、園で飼育している鳥を殺処分せざるを得なかったということがあったと思います。これは封じ込めの論理と果たして本当に合致するのかというところももう少し考えて、例えばペットや動物園の飼育している家きんまで殺処分を対象にするべきなのかということも考えていいのではと思います。また、ウイルスがあったとしても肉や卵は科学的に食べても特に問題ないというのが科学的な見解であるということを考えた場合、安心安全な業者さんや営業の人たちのためを思えば、かなり手広くやるということが大事かもしれませんけれども、フードロスもあり、非常にいろいろなものを大事にしなければならない時代にあって、こうしたあり方というのが本当にいいのかということは、運用あるいは法自体の見直しも含めて、知事会として提案されたケースもあるということですけれども、考え直していくことも必要ではないかと思います。特に滋賀県は琵琶湖があるので、水鳥がたくさん飛来するので水鳥が基本的にはウイルスの宿主になっているということがあれば、滋賀県からいろいろ提案していくということもあっていいかなと思いますので、その点もお考えいただければと思います。

 

【知事】

 私も防疫の専門家ではないので、動物を介した感染症というもののリスクがどれぐらいあるのかないのかという観点から、こういう措置の適正性がどうなのか、また広く殺してしまってその肉などの食としての活用の可能性というものをどのように追求すればいいのかという問題提起だったと思いますので、県の獣医師をはじめ、防疫の専門家とこういう御指摘があったけれども、どういうふうに考えて対応すればいいかというのを検討してみたいと思います。

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