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知事定例記者会見(2024年6月18日)

令和6年6月18日
(県政記者クラブ主催)

知事定例会見にて壇上で話す三日月知事の写真。知事の横に資料表示用の大きなモニターが映っている。

【知事】

 昨夜からこれまでにないまとまった雨が降っております。警報には至らないという話もございますが、これまでにないまとまった雨でございますし、交通機関の乱れ等も想定されますので、十分情報入手していただき早めの御対応を呼びかけたいと思います。梅雨入りはまだしておりませんが既に出水期に入っておりますので、県といたしましてはこういった洪水期に対する体制、対応を改めて再確認し、万事ぬかりなく対応していきたいと考えております。県民の皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。

 自動運転の実証・実装に向けた調査事業の実施についてお知らせします。これは西日本電信電話株式会社様、NTTビジネスソリューションズ株式会社様、さらには株式会社マクニカ様とコンソーシアム協定を締結いたしまして、共同で、国土交通省の「自動運転社会実装推進事業」に応募したところ、採択されたというものでございます。EVが自動で走行し、公道も走行するということでございまして、こういった社会実装の実験を実施します。既に昨日も議論していましたが、「滋賀地域交通ビジョン」を策定しております。既存の公共交通だけでは全ての移動ニーズを充足することはできない、また運転手が不足している等について考えておりますので、自動運転は重要な選択肢の一つでもあります。しかし、様々乗り越えていかなければならない課題もございますので、まず今年度はこの採択された事業を活用して、来年度、実際に実証運行をすることを見据えた自動運転に適したフィールドの調査を行うことといたします。そのために、移動の特性、どんなニーズがあるのか、人口密度はどうなのかということを調べるということでございます。当然、市町も御参画いただく必要があると思うのですが、県を含めた、自動運転分野における先ほど申し上げた企業様4社の公民連携のもと、自動運転技術に適した地域やニーズを洗い出してその可能性を探る、そして新たなソリューションを見いだしていくということに努めていきたいと存じます。

 それでは資料に基づきまして2点御案内申し上げます。

 1点目は、滋賀の未来の地域交通についてみんなで集まり、考え、議論する「未来アイデア会議」滋賀地域交通ワークショップを開催し、その参加者を募集しますということでございます。私達は、「誰もが、行きたいときに、行きたいところに移動ができる持続可能な地域交通」という地域交通の姿をつくろうとしております。ワークショップでは県内を6か所に分け、それぞれの地域ごとに地域が抱える課題、ライフスタイルに合わせた交通施策についてどんな暮らしがしたいのか、どんなような移動がいいのか、そのためにどんな交通がいいのか、またそのための施策といったような事々も、その財源のあり方とともに議論していくという試みでございます。まず第1弾といたしまして、7月13日土曜日に湖北地域(長浜市・米原市)を対象に、第1回「湖北地域」ワークショップを開催いたします。参加者の募集期間は、本日、6月18日火曜日から7月5日金曜日までとさせていただき、県内に御在住の方、また県内に勤務、通学される方、今申し上げた湖北地域の長浜市・米原市、この対象地域の交通に御関心のある方が対象となります。御高齢の方、若者、子育て世代の方、学生、企業など幅広い方々に御参画をいただき、それぞれの多様な視点から街の構造、その街をつくる交通のことなどについて幅広く、そして熱く議論をしていただける場になればと考えているところでございます。なお、今回は先行して湖北地域から御案内申し上げますが、湖北地域以外の5つの地域につきましては、8月から9月に開催を予定させていただいております。日程が決まり次第、県のホームページ等で周知させていただきたいと思います。また、10月から12月には、2回目のワークショップが6地域でできたらいいなということも考えているところでございます。ぜひ、これからのまちづくり、暮らし方について、そしてそれを支える公共交通についてみんなでイメージを共有し、考える機会にしたいと思いますので、奮っての御参加を御案内申し上げます。

 もう1点は、7月1日「びわ湖の日」の取組についてでございます。7月1日は「びわ湖の日」、滋賀で暮らす人々の「びわ湖を守りたい」という思いから生まれた象徴的な日です。先月5月にはインドネシア・バリで開催された「世界水フォーラム」におきましても、琵琶湖の取組等について発信させていただきました。先週には一部の地域で清掃活動も実施していただいたところでございますが、今年も「びわ湖の日」を迎え、琵琶湖をつくる「森‐川‐里‐湖」で様々な取組を行っていきたいと考えております。今日御案内するのは5点です。1点目は6月29日土曜日、30日日曜日、ピエリ守山で「『びわ湖の日』親子で楽しむ環境イベント」を開催いたします。2点目は、県では「びわ湖材」の活用について条例を使って促進を図ろうとしておりますが、県と包括的連携協定を締結していただいております日本郵便株式会社様が、滋賀県産木材である「びわ湖材」を使った木の名刺をつくられ、発売をされます。マザーレイクゴールズ(MLGs)の達成に大きく貢献するものになればと期待しております。3点目は、龍谷大学瀬田キャンパスに「びわ湖材」を利用した新しい施設が完成し、7月4日にオープニングセレモニーが実施される予定ということでございます。学生の皆様が利用され、そしてこういったことに関心を持っていただければと思います。また4点目は、龍谷大学が進める、びわ湖の日チャレンジ100地点環境DNA調査について、今年は滋賀県共催とさせていただいて、8月に地域団体、企業の皆様とともに調査をしようということでございます。ネイチャーポジティブの実現に向けた行動を具現化していければと考えているところです。最後5つ目は、6月25日からローソン様の店舗で「びわ湖の日」を記念して、近江牛を使用したおにぎりやカレーパンのほか、新種のイチゴ「みおしずく」を使ったエクレアが近畿エリアで発売されます。また、平和堂様において、「びわ湖の日」応援商品として、近江牛入りキーマカレーやびわこ牛乳を使用したクリームパンが6月27日から5日間限定で販売されるということでございます。この後、それぞれの事業者様から説明もございますし、既に廊下に現品・現物が展示されておりますので御覧いただければと思います。ぜひ「森‐川‐里‐湖」へ広がる様々な水の繋がり、その中に大きく広がる琵琶湖の存在、その価値に目や心を向けていただく機会にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

[びわ湖放送]

 自動運転の実証実験について、自動運転のニーズに適した場所をこれから探すとのことでしたが、今の段階で、知事としては高齢者が多い地域であるとか、街中で使うとか、どのような方向でお考えなのでしょうか。

 

【知事】

 採択された旨の連絡をもらってから、どこで何をするかについてずっと議論しております。今おっしゃったように、街中でやるパターンや、閑散とした、過疎、御高齢の方が多い地域などでやるパターンと、いくつかあるかなという思いを持っています。まだどこでといったことは決まっておりません。そもそも可能なのか、その町の御協力が得られるのか、どれぐらいの費用がかかるのか、当然こういうものが公道も走行するということであれば安全に対する様々な理解・協力も不可欠なので、そういう環境が整うのかというようなことも考えていく必要があると思います。しかし、せっかく実施する実証実験なので、その後に繋がる、また多くの方が関心を持っていただけるというのも大事なことではないかと思います。この時点で来年度以降の確約がされているわけではないので、その辺りのつくり込みも、来年度以降に繋がるような仕掛けが必要ではないかと思います。

 

[びわ湖放送]

 これから市町に協力してくれるかお願いしていくというところでしょうか。

 

【知事】

 はい。喜ばしくも企業の皆様との関係の中でこのような協定が結ばれ、補助率10分の10という国の事業費補助金の採択を受けましたので、精力的に調整をし、様々な取組に繋げていきたいと思います。

 

[びわ湖放送]

 自動運転については大津市も実証実験されていて、なかなかいろいろな課題があるかと思うのですが、改めての決意をお願いできますでしょうか。

 

【知事】

 全て個々一人一人が運転して人を乗せるということだけでは、全ての移動ニーズを充足することができなくなってきております。したがって、自動運転で人の移動を担っていくということは大きな可能性があると思います。しかし、安全面や他の交通との兼ね合いなどで乗り越えなければいけない課題がいくつかありますが、今回、幸いにもこういった通信関係の会社様などの御協力も得られるということですので、その知見やノウハウを生かして、これからのサービス、またビジネスに繋がるような実験ができたらと思います。今、モニターを見ていただくだけでも、こういうモビリティが走る空間というのは、何となく今までにない空間として楽しみだな、どうなるのかなという期待感を抱かせるものになると思います。こういうこともぜひ皆様に御紹介しながら、御協力いただけるように環境づくりに取り組んでいきたいと思います。

 

[びわ湖放送]

 万博への子どもたちの招待について、昨日も全滋賀教職員組合から子どもたちを連れて行くには各学校の判断に委ね、強制することがないようにとのことでした。知事は4歳以上の滋賀県の子どもたちを万博に招待したいという思いがあるかと思うんのですが、改めてその思いと、どのように進めていかれるのかお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

 

【知事】

 「いのち輝く未来社会のデザイン」大阪・関西万博は、世界各国のそれぞれの企業、団体等が「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマで、様々な技術や挑戦テーマを展示したり、披露したり、また投げかけたりする場だと思います。当然私達もどんなものが出てくるのか見てみたいし、これから勉強する、そしてどんな仕事に就きたいかなという未来が私達以上に広がる子どもの世代、若者世代にはそのチャンスを与えてあげられたらいいなというふうに思い、滋賀県では4歳から高校生までで1度は万博に行っていただく機会をつくろうということで準備をさせていただいております。学校の校外学習、修学旅行でそういう機会に使われるという学校の計画もあるかと思いますし、そういうことが可能になるような調整を始めているところです。何もこれは強制するものではなくて、それぞれ学校の都合もあるでしょうし、それぞれお子さんの希望等もあると思いますので、そこは十分酌み取られながら丁寧に推進していくものだと思います。

 

[びわ湖放送]

 安全面についての懸念もあるかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

 

【知事】

 安全面については、建物や暑さなど様々な御案内含めて、十分配慮した設計や施工について御案内がされるものと思っておりますが、おそらく工事現場で起こった爆発事案などを捉えた御懸念、御心配があると思います。どういう対策がとられ、万全の安全管理体制になっているのかということをきちんとお知らせできるように博覧会協会にも求めていきたいですし、私達は1役員でもありますので確認していきたいと思います。

 

[産経新聞]

 本日の大雨について、今のところ県内に大きな被害というのはいかがでしょうか。

 

【知事】

 現在、何か被害が出ているという報告は受けておりません。

 

[産経新聞]

 地域交通ビジョンが策定され、ワークショップの御案内も先ほどしていただきましたが、そういったことに対して、この自動運転が与える影響や効果はどういうところがあるでしょうか。

 

【知事】

 昨日の税制審議会で地域交通計画策定に向けた議論をしていただいているときにも、例えばライドシェアについてどう考えるのかという投げかけ、御指摘をいただきました。乗り物をシェアする仕組み、運転する人がいない乗り物で人を運ぶということは現状できないかもしれないが、私たちが展望する例えば2040年代ではそういったことが可能になると想定されますので、当然、既存の交通システムだけではなく、こういった新たな交通システムもどのように位置づけていくのかということを含めた議論をしていくことになると思います。しかし、今ないものを想定してどれぐらいかかるんだろう、いつになったらできるのだろうというのは不確実な要素もありますので、そういったこともぜひ議論していただく方と共有できればと思います。

 

[NHK]

 自動運転のことについてなのですが、地域公共交通確保維持改善事業費補助金の交付決定後から来年の2月までが採択事業としてあって、自動運転の実証実験に向けた適切なフィールドを探していくということですが、これは2月までに適切なフィールドが見つかれば、実証実験を行う際にはまた、国に事業採択してもらうための応募をするということなのでしょうか。

 

【知事】

 詳しいことについてはまた担当とも確認しますが、基本的には年度毎で区切られていると承知をしておりますので、まず今年度、決められた期間までにどこまで来年度に向けて調査できるのか、またその調査をもとに、来年度以降このような事を行うため、来年度の補助金を申請する、ということになるのだと思います。そのような事業のやり方がどうかという思いは持ちつつ、しかしそのような仕組みであるならば、その仕組みの中で採択されるように努力していきたいと思います。

 

[NHK]

 あくまで可能性の話で恐縮なのですが、もし採択されなかった場合は自動運転の実験を、どのようにされるお考えなのでしょうか。

 

【知事】

 あまり採択されなかった場合というものだけを想定して進むというのは生産的ではないと思いますが、こういった共同でつくらせていただく企業様と、まずは今年度の調査を最大限実りあるものとして、来年度以降このような計画でこのような調査でこのような形でやってみては、と思っていただけるような調査を今年度行っていきたいと思います。

 

[NHK]

 もし採択されなかった場合も考えられるとは思いますが、来年度上手くいって自動運転の実験を行った場合に、地域交通計画の策定のスケジュールが来年度末までを予定されていると思いますので、実験の時期と計画を考える時期が重なってくると思うのですが、地域交通計画に自動運転のことを入れ込みたいという考えはありますか。

 

【知事】

 今の時点でこれからつくる計画に、明確に全ての地域で自動運転を実施することを記載できます、と言えるまで、まだ私達は経験や実験をできているわけではないと思っています。ただ先ほども申し上げたように、ビジョンの中ではそういった新しいテクノロジーの活用可能性についても記載していますし、これから具体、ビジョンを実現するための計画づくりの中で、当然2040年代の展望をすれば、今にはない仕組み・システムというのは可能になってくることが想定されます。現に例えば、滋賀県でこういった実験ができるとすれば、議論していただく参加者の皆さんにも、自動運転に対する可能性というのは広がるのだろうと思います。そのためにも、今年度行う調査というのはとても大事になってくるのではないかと思います。

[NHK]

 ワークショップの話を伺いたいのですが、昨年度のビジョンを策定した際には昨年の夏に県民の方に行っていたアンケートの結果などが反映されていたと思いますが、今回のワークショップはどのような形で地域交通計画に落とし込んでいこうとお考えなのでしょうか。

 

【知事】

 まさに今おっしゃったようなことを侃侃諤諤の議論をしながら、このようなワークショップを行ったことがないので、そもそもこうして湖北地域から募集させていただいておりますが、どれぐらいの方が御参加いただけるのかというのも不安ですし、でも大事な私達の暮らし、そしてその移動を支える交通というものをみんなで考えようという投げかけですので、御参加を期待したいと思います。当然、昨年度までにビジョンづくりのために行ったこととも、一定の連続性を持って、今おっしゃったアンケート調査の結果なども皆さんに御紹介しながら、そしてそれぞれの地域に落とし込んだ時にどうなっているのか、どうなればいいのかということは共有して、今の人たち今のことだけではなくて、少し未来のことも考えて、昨日も税制審議会で御指摘いただいていましたが、そういう視点・視座に立った議論というのを投げかけていくようなことが大事ではないかと思います。それと同時に私達はそれを実現するための財源、負担分担のことからも逃げずに議論できればと考えております。

 

[NHK]

 ワークショップに関連して、税制度を含めた検討の進め方ということで、県民の方々と交通税の導入も視野に入れた上でワークショップを行っていくと思うのですが、これまで私たちも何度も交通税の報道をさせていただいてきておりますけれども、県民の方々にとってはまだピンときていないというか、頭の中に素地がない状態といった段階だと思っていて、このワークショップはそういったことも含めて県民の知識レベルというか、そういった素地をつくっていく狙いもあるのではないかと思っているのですが、知事としてはいかがでしょうか。

 

【知事】

 今お尋ねいただいたその際に使われた素地という言葉を私達が使うほどおこがましい姿勢にはなれないのかなと思いますが、私達が一緒に住んでいるこの地域社会を支える交通というものがどうなっているのか、というこの現状はみんなで共有できるようにしたいなと思います。現にここ数年、以前にも増して多くの県民の皆様方の実感覚として、何かちょっと変わってきたな、私達の移動が危うくなってきたな、という感覚も醸成されつつあるのではないかと思います。自分の住んでいる場所だけではなくて、周りは、そして市は、そして県域はどうなっているのかというのを考えながら、あとは自分のことだけではなくて、例えばお孫さんのこととか将来のことを考えて、どういう形でやればいいだろうかといったことに対し、様々なコンセンサスが得られるとすれば、それを誰の負担で、どういう財源でやるのかということも、一緒に議論できればと思います。当然、国の補助金も貰う、事業者にも頑張ってもらう、利用者が負担する、行政の私達が今頂いている税金の中から工面する、というのもありますが、それで足りないとすれば、どういうことをするのかということを議論していく、その選択肢の1つに、交通税というものがあればどうなのか、という議論をしてみたらどうなるか、ただ、昨日の税制審議会の数字の出し方や資料のつくり方は工夫しないと誤解が独り歩きして、中身の議論ができなくなる可能性もあるのではないかという御質問もいただいたので、そこは慎重に見極めて考えていきたいと思います。

 

 

[日本経済新聞]

 今回の自動運転の実証実験については、レベル4については福井県の永平寺町で、ゴルフカートで初めて実験が行われたかと思いますが、今回の実験はそれに次ぐものとなるのでしょうか。

 

【知事】

 レベル4までいけるのか。

 

【交通戦略課】

 おっしゃるとおりレベル4の実験を行ったのは、現時点で永平寺町のみで、今回やろうとしている公道でレーザーを使ってやっている例はまだありませんので、来年度すぐというわけにはいかないと思っています。

 

[日本経済新聞]

 レベル4の実験を行うかどうかは分からないということでしょうか。

 

【知事】

 今回、その実験ができる場所探し、そしてこのレーザーレーダーがどの程度安全性が担保されているか心配される方もいると思いますので、まずは適地を探したいと思います。

 

[日本経済新聞]

 基本的にはレーザー誘導型なのですね。

 

【知事】

 実物を見たわけではないですが、こういった装備が十分な役割を果たすのだと思います。

 

[日本経済新聞]

 大津市が行っていたのはレベル2で、レベル3まで市販されていますが、今回の実験ではレベル3ぐらいで始めるというお考えでしょうか。

 

【知事】

 せっかくレベル4仕様の車両を今回使用しますので、やはり目指すべきところはレベル4だと思います。ただ、それができる環境にあるのかという見極めを特に今年度行った上で、来年度臨んでいきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

 永平寺町の場合、昨年10月に事故があり、今年の3月まで中断したという背景があり、それについては市町も認識しているかと思いますので、レベル4の実証実験を行う場合はかなり説得が必要ではないかと感じます。また永平寺町の場合は有料で、大人一人100円ぐらいで行っていますが、今回の実験も同様に有料での利用をお考えでしょうか。

 

【知事】

 今、重要なことを2つ御指摘されたと思います。そういった安全には最大限に配慮しつつも、事故や失敗などを乗り越えて、このサービスをつくっていくという視点は、我々も大事に持たなければいけないと思います。またどういう料金でどういうサービスでこの実験を行うのか、ということもすごく大事な話なので、今回の適地を探す過程でそういったことも含めて調査をし、固めていきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

 この車両はバス型ですが、将来的に自動運転のバスを走らせたいという思いが知事の頭にあるのでしょうか。

 

【知事】

 知事の頭というよりもこの事業者様のミッションやビジョンの中に強くおありなのだと思います。カートも良いですが、やはり安全性や快適性を担保した移動手段も一定必要だと思いますので、そういったことを志向してつくられているものだと思いますので、それが可能になるような実証運行実験ができればと思います。

 

[日本経済新聞]

 今回4社で計画書をつくって、国に対して補助金の申請を行う過程で、県の意向も伝えられていますか。

 

【知事】

 もちろんそうです。

 

[日本経済新聞]

 将来的にはやはり自動運転バスが、一つのモデルや視野に入ってくるといった話をされているのでしょうか。

 

【知事】

 今回NTT様との関わりや、色々な繋がりの中でこのような協定が結ばれ、事業提案、事業採択に至ったと聞いています。また市町村レベルでこういうものを志向され、手を挙げられるところが多いのですが、県レベルでこういった手を挙げて、アライアンスを組んで提案するということも珍しいことだと聞いています。やはりこれは、地域公共交通というものに真正面から向かい合おうとしている滋賀県の姿、挑戦なども一定加味されているのではないかと思いますので、そういったことにできるだけ沿うような事業の中身に仕立て上げていきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

 来年、万博の中でもレベル4の実験を行うという計画が進められていて、それとほぼ同時期に行う可能性もありますか。

 

【知事】

 そうなればいいですよね。今私達はまさにこの会見前にレガシーの本部で議論してきました。国スポ・障スポ大会や大阪・関西万博のレガシーの1つにこういうものがなるのだろうと思います。

 

[日本経済新聞]

 市町で手を挙げているところはありますか。

 

【知事】

 まだ手が挙がっている市町の話は聞いていません。ただもちろん安全のことは第一にお気になさるでしょうけども、この1、2年だけでも相当減便が続く中で、どのように市民、町民の移動を支えるかということに悩んでいらっしゃる首長さんや行政の職員も多いと思うので、県もしっかり間に入って、精力的に調整していきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

 いずれにしろ今年度を使ってそのフィージビリティスタディもやって、リスクアセスメントもやって、ある程度の計画をつくって、来年度できるといい、という感じですか。

 

【知事】

 そうですね。来年度できるようにしたいと思います。

 

[京都新聞]

 今の流れに関連して自動運転なのですが、知事は国スポ・障スポ大会の輸送の話をよくされていて、順調にいけば、その自動運転の実験を国スポ・障スポ大会で行いたいとお考えですか。

 

【知事】

 今お尋ねいただいたようなことをここで明確に持てるほど、色々な経験や実験をできているわけではないと思っています。やはり国スポ・障スポ大会は多くの方が一か所から目的地まで、時間の定めの中で御移動なさいますので、そこで実験にかかる試乗を勧めるような類のものとは違うと思っています。そのため、主たる移動のニーズは今ある仕組みの中で、充足していかなければいけないと思っていますが、万博も行われ、こういう半世紀に一度のビッグイベントが行われたときにデモンストレーションとして、こういったものが設けられるのかどうかというのは考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

 びわ湖の日についてですが、色々な関連イベントがされて、親子向けのイベントも直前の週末に予定されていますが、もしびわ湖の日が休日だったらびわ湖の日にイベントを実施されていたのかなと思っておりまして、かねてより何度か質問が出ているかと思うのですが、びわ湖の日を休日にするというところの知事のお考えというのは、何か変わっていらっしゃるのでしょうか。

 

【知事】

 平成29年に提案させていただいた7月1日を休日にしませんか、という提案ですね。休日にすること自体が目的というよりも、今まさにおっしゃっていただいたとおり、休みの日になればもっと参加する人が増えるのではないか、もっと関心持っていただけるのではないか、ということが目的としてありますので、まずはそういったことが可能になるような、もう休日にしてもいいのではないか、となるほどの参加や関心が高まるような取組をまずはやっていきたいと思います。折しもラーケーション、休み方改革、私達はそれを休み方や働き方だけではなくて、暮らし方の改革という視点でも今議論をしているところですけども、そういう視点に立って、まさにびわ湖の日、それに絡む環境の取組にも合致すると思うので、その日の休日化だけではない広い取組を志向していきたい、その先に休日にしてもいいのではないか、そういうゴールというものもあり得るのだと思います。

 

[京都新聞]

 そのゴールとしての休日、そこに固執するわけではないですが、休日化というものも、一応まだお考えの中にはあるのでしょうか。

 

【知事】

 そうですね。休日にしたらどうなるのか、という思いも常に持っています。

 

[京都新聞]

 その前段階として、今議論されているラーケーションとも組み合わせてびわ湖の日の参加者への関心を高めていくという取組をまずしていくということでしょうか。

 

【知事】

 はい。

 

[共同通信]

 万博への子どもたちの招待についてですが、昨日申し入れをされた教職員組合の方々は県が県教委を頭越しにして招待するという計画を進めているように感じていらっしゃるというお話がありました。もちろん県教委としても県としても、それぞれ今までいろんな段階を踏みながら招待することをお伝えしてはいるとは思うのですが、現場の方々からはそうではなくて、県が頭越しに進めているとお感じになっていることについて、知事としてはもっと丁寧なやり方があったのかというお考えはあったりされますか。

 

【知事】

 当該団体の会見された方々が、どういうことを前提に、どういう文脈でそういったことをおっしゃったかというのは定かではありませんが、私達は決して頭越しに頭ごなしに強制的に何かものを申し上げたというつもりはありません。ただせっかく行われる万国博覧会という機会を、子どもたちにとっても夢を醸成したり、あるいは新たな発見ができる、体験ができる場として活用したいという思いで申し上げたところですし、その準備をしているつもりです。ただ、先ほど申し上げたように、いろいろな学校の事情と都合があるでしょうから、スケジュールもあるでしょう、距離もあるでしょう、校外学習にする修学旅行にするという事情は必ずしも一様一律に決められるものではないと思います。当然強制されるものでもありません。でもそこは丁寧にやっていきたいと思います。

 

[京都新聞]

 自動運転の実証実験については、一昨年に大津市の方でもされていましたが、実験中に事故があって以来、実質的には実験が再開していない状況になっています。新技術の実験というのはこのような事故やトラブルがつきものだと思いますが、どの程度までのリスクだったら許容できるといったお考えはありますか。

 

【知事】

 基本、実証実験であったとしても、人の安全は前提にしながら行うというのが大事だと思います。ですが、そういった事故やトラブル等があったからといって、やめるということだけだと進歩はないので、どういう対策を講じてそういったことがないように工夫をしているということや、(大津市の実証実験で)事故のあったシステムと今回やろうとしているシステムにはこういう違いがありますとか、当然車両に乗っているシステムもあるでしょうし、地上もしくは衛星通信等で監視するシステム等もあるでしょうから、そういうものを丁寧に説明もしながら、開示もしながら御理解を得ていくということだと思います。ただいずれにしろ、次の時代を見通した挑戦というのもみんなでやっていかなければならないと思います。

 

[京都新聞]

 もし、人身事故がちょっとした怪我とかのレベルでもあった場合、知事としてはいろいろな想定があるでしょうけども、実験は続けるべきではないというふうに今の段階でお考えでしょうか。

 

【知事】

 その仮定の質問にお答えするのは難しいと思います。まずは事故、そういったトラブル等がないように実証実験をつくる。そして実施するということだと思います。もし仮にそういった事態が起こったとすれば、その内容、原因によると思います。

 

[朝日新聞]

 保護司の事件のことでお尋ねします。先週の会見で知事は国とも連携して保護司の支援について検討していきたいということをおっしゃっていました。滋賀県としては、滋賀県再犯防止推進計画あるいは再犯防止三方よしということで、保護観察対象者への支援については独自の取組を進めてきていると思います。ただ、今回報道されていることが事実であれば、保護司が支援している対象の人に保護期間中に殺害されたというのは、これまで例がないことになります。こうした前向きな取組をしている滋賀県で、しかも被害者の方がこの取組の中心人物である滋賀県更生保護事業協会事務局長だということは、この取組のどこかに何かしらの課題があったのではないかと考え直す必要があるかと思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか。

 

【知事】

 まず更生保護、再犯防止の取組、また保護司制度、こういったことは国で定められた制度です。ですが、滋賀県でも、一緒に住んでいる地域住民の安全安心をみんなでつくるんだ、社会的更生を進めていくんだ、塀の中だけで、また施設収容だけで、こういった更生というのは行うものではなくて、社会全体で居場所と出番をつくってみんなで更生保護を支えていこうという観点で、私が知事に就任して以来、再犯防止、更生保護の取組にはかなり力を入れてやってきたと自負しております。今御紹介いただいた法務省法務大臣との三方よしの宣言でありますとか、再犯防止推進計画は第二次までつくってきましたし、県だけではなくて、実際生活をされる市町レベルでこの計画をさらに落とし込んでいくということにも取り組んでいるところです。何より、保護司会はじめ、いろいろな関係団体との連携というのを大事にしてきました。その中心人物の1人が今回亡くなられた新庄さんでありましたので、そういった意味での悲しみ、ショックこれは非常に大きなものがあります。ただ、被害に遭われたことの事実はありますが、加害者が誰なのかということはまだ定まっておりませんので、そのことは予断をもって語るのは慎みたいと思いますが、こういった一生懸命やってきた県の中心人物が亡くなられたということを受けての衝撃をどのように緩和していくのかという視点ですとか、前も申し上げましたが、アンケートを取ってもヒアリングをしても、保護司のなり手がいないとか、保護観察期間を終えた後の過ごし方が心配だとか、そういったお声をたくさんいただいています。負担も重いよねとか、高齢化してくるとつらいねとか、そういうことをこの機に改めて共有させていただいて、国も保護司をどうやって確保していくのか議論をされておりますので、滋賀県はその議論を主体的にやっていく必要があるのではないかと思います。

 

[朝日新聞]

 保護司については、法務省も安全対策あるいは保護司が持っている不安解消をどうしたらいいかということを進めているということですが、それはもちろん大事なことだと思います。ただ、その方向性として今知事がおっしゃったように、保護司だけに任せるというのではなくて、警察、教育委員会、あるいは市町、民間企業など地域社会全体で支えていこうという方向性、目指していることというのはあるべき姿かなとは思います。それを本当に実現しようとしたことがまさにこの新庄さんが中心になってやられていた「滋賀KANAMEプロジェクト」だったと思います。その中で何が足りないものだったのか、というのはまた改めて考えてみるべきだと思います。そこで滋賀県が2023年9月に実施した再犯防止推進についてのアンケートの結果を見たところ、再犯防止推進計画または再犯防止三方よし宣言について知っているかという調査に対して、どちらも知らないという人が77.6%と8割近くいたという調査結果があります。実際の回答の中には、再犯防止三方よしは知っているが、現実的に機能しているのかという疑問が出されていたり、効果のある具体策が見えないという御指摘もありました。せっかく良いプランを立てて、社会全体で支えていこうというこの取組の方向性としてはあるべき姿かとは思いますが、そうしたものが本当に実効力を持って、効果的になっているのかどうかというのは、どこまでそれが浸透しているかということにもよるのかなと思います。そうしたところに、もっと知恵とか工夫とか協力というのを注ぎ込んでいくことが必要なのではと今回の事件を見て感じているところですが、そうした取組について知事としてのお考えをお聞きします。

 

【知事】

 問題意識、強く共感します。おっしゃったように、この再犯防止ですとか更生保護の取組は保護司さんだけでなくて、就労とか教育とか医療、様々な団体組織が連携してやるんだということがとても重要だと思っています。そのまさに中心を滋賀KANAMEプロジェクトで新庄さんはじめ、関係者の皆さんがやってくださっていたということですので、そういう取組の中にどういう課題があるのか、これは今回の事件があって注目されていることもありますが、不安、動揺が多く広がっているというこの機に、改めてみんなで(課題を)出し合って解決に向けて取り組んでいくということも重要だと思いますし、宣言して終わり、計画つくって終わり、みんな知らないじゃないか、具体の取組がまだまだじゃないかという問題意識を私も持っています。ですので、そういう観点視点に立った政策の充実というのも志向していきたいと思います。

 

[中日新聞]

 小児保健医療センターについて、県議会6月定例会議に、県立総合病院との統合などに係る改正条例案を提出されようとしているかと思います。一方でまだ小児保健医療センターの独立維持を願う声や、そういった病床数が減ることに対する懸念の声ということでたくさんの署名が集められて届けられているかと思います。そういった声をどう受け止めていらっしゃるのかということと、やはりそういったことが訴えられている方が多いのであれば、説明をするべきだと思うのですが、そういった説明責任についてはどうお考えでしょうか。

 

【知事】

 来る明後日から始まる議会に小児保健医療センターと総合病院を統合させていただく条例案を提出する予定でございます。そのことに対して多くの御不安、それらに関する署名が届けられているということは重く受け止めたいと思います。かねてから申し上げておりますとおり、小児保健医療センターはとても大事な機関、組織だということで御期待も御評価もいただいている故のことであるということです。私達はまず(小児保健医療センターの)機能を大事にしていきたいと思っています。ただ、成人後の診療をどのように担保していくのかということでありますとか、様々な疾患をお持ちになりながら過ごされていくというのをカバーしていく体制が必要ですので、そういったことが可能になるような体制づくりということも目的にして、総合病院との統合を提案させていただいているところですので、そういったことをきちんと御理解いただけるように御説明していきたいと思います。大事な組織、大事な機能であるがゆえに、持続可能な、そして新たに出てきたニーズにも対応できるような体制をつくるという責任もあると思いますし、特に御利用いただいている当事者の皆様方はいろんな思い等もおありでしょうから、そのあたりにきちんと向き合って、御説明していくように努めていきたいと思います。

 

[中日新聞]

 地元関係者への説明や直接意見を聞くような機会というのは今後設けられていくのでしょうか。

 

【知事】

 まず、今回の組織統合の際にもくっつけて終わりということだけではなくて、今申し上げたこれまで担ってきた小児保健医療センターの機能というものの重要性から、こども医療センターと言われる組織をつくりますという御説明もさせていただいておりますし、この統合の意義等については、まだまだこういった署名が寄せられているということは、さらに説明をし、御理解を得るということが必要だと思います。機会を見つけて、また様々な機会を生かして、それぞれの方々へみんなで説明していくということが重要だと思います。

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