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知事定例記者会見(2024年5月27日)

令和6年5月27日
(県政記者クラブ主催)

知事定例会見にて壇上で話す三日月知事の写真。知事の横に資料表示用の大きなモニターが映っている。

【知事】

おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。資料に基づく説明に入ります前に、何点か、御紹介・御報告させていただきます。

先週5月19日から21日にかけまして、インドネシア・バリで開催された第10回の世界水フォーラムに参加させていただきました。世界水フォーラムは、第3回の会議を2003年だったと思いますが、滋賀、京都、大阪、琵琶湖淀川水系で、開催された経緯がございます。また、バリには2016年だったと思いますが、世界湖沼会議が開催された折、私自身が訪問させていただきました。今回の会合、テーマは「繁栄を共有するための水」ということで、世界各地から2万人以上の方が参加され、水に関する課題、また取組等につきまして、活発な議論が行われたということでございます。私は様々な出展、見学をさせていただくとともに、21日だったと思いますが、湖沼を対象に議論するハイレベル・パネルディスカッションに参加させていただき、琵琶湖の取組を紹介しながら、世界湖沼デー制定に向けた国際的な連携を呼びかけさせていただいたところでございます。閣僚宣言を近日中に公表が予定されているということだそうでございます。世界湖沼デーにつきましては、国連総会での決議を目指していこうという旨が記載される、盛り込まれると、聞いております。今後とも、この世界湖沼デーが実現するように、また、世界湖沼デー制定のみならず、具体の取組が各現場で連帯して進められるように、滋賀県も連携して主導的に役割を果たしてまいりたいと存じますので、メディア報道機関各位のお力添えをいただければと思います。

また、出張中だったのですが、プロバスケBリーグ2部で私達の滋賀レイクスが埼玉県の越谷アルファーズに連勝いたしまして、見事B2リーグで優勝に輝いたということでございます。今日の午後4時からそのレイクスの代表選手の表敬訪問をお受けする予定でございます。また、スポーツ分野での活躍ということでいうと、今年2月、台北市で開催された第1回世界ろう野球大会において、日本代表チームが見事優勝されたということでございまして、滋賀県出身の2名の選手が凱旋報告に来ていただきます。本日13時15分ということでございます。

湖国・滋賀にまつわるスポーツ選手の活躍・躍進は「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」を来年に控え、大変喜ばしいニュースでありますので、皆さんとともに盛り上げ、また弾みにしていきたいと存じます。

また、先週5月23日、大阪・関西万博の会場である夢洲の視察を三重県の一見知事、また大阪府の吉村知事らとさせていただきました。私達が準備しております関西パビリオンを始め、隣接いたします大阪府市の大阪ヘルスケアパビリオン、また大変注目されてますリング、木製リングですね、これらを見学させていただき、ずいぶん工事がおかげさまで進んできてるなということを実感いたしました。4月13日開幕ということでございますので、今後、鋭意準備を進めていくと同時にどういう展示がなされるのか、関連してどういう取組をしていくのかということを発信しながら、機運醸成に努めてまいりたいと存じます。

関連いたしまして今週5月の30日朝、明々後日になりますが、開幕300日前に合わせまして多くの方々と協力しながら、「いのち育む“水”のつながりプロジェクト」の一環として、淀川河川敷でのごみ拾い「ごみゼロ(530)大作戦」を開催させていただきます。山極先生も来ていただくということだそうでございますし、吉村知事らも参加されるということですので、ぜひ皆様方御取材等いただければと思いますし、こういったイベントをこれからずっと定期的に、つくり、積み重ねていってですね、万博後のレガシーに繋げていければということを考えているところでございます。

それでは資料に基づきまして2点御紹介させていただきます。

一つ目は高島の産物でございます。今日は高島ちぢみ、高島帆布を製造されておられます滋賀県の地場産業の一つ、高島綿織物産地の取組を紹介させていただきます。私が今日着させていただいているのも高島ちぢみのシャツでございまして、産地からも高島織物工業協同組合の中村理事長と、このシャツの生地を織られました株式会社マスダの増田社長にもお越しをいただいておりますので、後ほどお話をいただきたいと思いますが、こういった取組をこれからもPRしていこうということで、今日はこういう時間を持たせていただきました。まずは中村さん、増田さんからお話しいただけますでしょうか。

[中村理事長]

皆さん、こんにちは。高島織物工業組合の中村でございます。まず高島ちぢみと高島帆布の特徴を御説明させていただきます。高島ちぢみは「シボ」と言われる生地の表面がでこぼこしているというのが最大の特徴であります。また、高島帆布につきましては綿100%素材で11号帆布から10号、8号といったように、用途により生地の厚みが変わってきます。私達はこれまで「ビワタカシマ素材展」を38回継続して行っており、高島ちぢみ、高島帆布、特に高島ちぢみはインナー用途でずっと使われていましたが、シャツやワンピースといったアウター用途の生地開発をしてきたわけでございます。それでは知事が着られておられる生地の説明をしてもらいます。

 

[増田社長]

高島から参りました株式会社マスダの増田といいます。お世話になります。今日、知事に着ていただいているシャツの生地を開発させてもらいまして、イメージとして、琵琶湖の湖面をイメージして糸を染めて、生地に織り込みました。インナーに使われる高島ちぢみ、通常の生地よりも凹凸がちょっと少ないのですが、ハリのある、しなやかな生地にしてあります。あと、水に濡れたときに、本来ぎゅっと縮むのが高島ちぢみの特徴ですが、少し扱いにくい点もあるので、今回それを抑えた生地になっております。あと、抗菌防臭効果も付属してつけております。以上が生地の説明になります。

 

[中村理事長]

続きまして、今回のシャツの制作については、スペイン語で湖という意味で「LAGO」というブランドを展開されております矢野祥子様にお願いいたしました。これからの展開としては、高島ちぢみ・高島帆布の両ブランドはもちろんのこと、第3の高島らしいブランドを確立していこうということで、第39回、今年なんですけども「ビワタカシマ展」で新しいものを発表させていただく予定となっております。以上でございます。

 

[知事]

今御紹介いただいたとおりですが、また資料にも写真で御紹介させていただいておりますが、伝統産物である高島ちぢみですね。「シボ」という、でこぼこ、またこれ「ピケ」ともいうのですか、これが非常に通気性を持つ、肌触りも良く、夏の時期でありますとか、さっきお話のあったとおりインナーですね、ステテコとかシャツとか、そういったものにぴったりだったんですけれども、これだけの機能を持っているので、ワンピースとか、外に出すシャツとしても、もっと使えるようにしようという取組をされておられます。また、機能性だけではなくて、デザイン性も追求されているということを聞きましたので、こういうシャツをつくっていただいて、着させていただいて、これからの季節、PRをしていけたらいいなと思っているところでございます。ちなみにこのシャツのボタンには琵琶湖産のイケチョウガイの貝も使われているということですので、琵琶湖の産物をふんだんに使い、また、「LAGO」というのは湖ということですので、ぴったりだなと思っております。ぜひ皆さん、いろいろなところで御紹介いただけたら幸いでございます。また、「ビワタカシマ素材展」という展示会を開催されておられるということでございまして、新作の生地の御紹介等もされる、新たな高島ブランドとしてPRしていこうという挑戦をぜひ皆様御覧いただければと思います。県もですね、こういった新商品の開発ですとか販路開拓、こういった事々もそうですし、工業技術総合センターにおける技術的な支援などもさせていただきたいと思っておりますので、ぜひ報道・メディア機関各位の御注目もいただけたらと思います。中村さん、増田さん今日はありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

もう1つの御紹介は、農畜水産物および食品に関係する県域の団体が連携いたしまして、輸出の促進に向けた連携を図る場として、滋賀県の農畜水産物等輸出促進協議会(仮称)を立ち上げる予定をしています。この協議会の立ち上げにつきましては、昨年度から、関係団体の皆様の御意見、御提案も伺いながら、準備を進めてきたところでございます。現在、国内における農林水産物、加工食品等の市場規模は人口減少、高齢化に伴って縮小傾向にございますが、一方で、海外の日本食市場というのは今後も拡大が見込まれます。滋賀県の農畜水産業や食品産業の維持発展を考えた場合、国内向けの取組を進めながらも、海外の市場をターゲットにした本県の農畜水産物食品の販路拡大を図ることがとても重要だと考えたところでございます。輸出に取り組むに当たりましては、国内販売とはまた異なる課題やリスクがいろいろ存在いたしますので、いろいろな主体が連携を図りながら、情報共有をして、対応していくということが重要かつ必要になってまいります。そこでこの協議会を立ち上げて、様々な連携をしていきたいと考えているところでございます。6月3日ということでございますので、ぜひ皆様方の御取材等を賜れれば幸いでございます。私からは以上でございます。

 

[朝日新聞]

世界水フォーラムについて伺います。ハイレベルパネルディスカッションで発表された内容と感想を伺いたいのと、もう1点が世界湖沼デーの制定の日付なのですが、滋賀県の提唱で始まった世界湖沼会議の第1回の日付である8月27日にすると呼びかけられたそうですが、その点についてお伺いしたいです。

 

【知事】

ハイレベルパネルディスカッションでは、琵琶湖の価値を守り継いでいくための様々な取組などについて御紹介するとともに、琵琶湖をはじめとする湖沼が湛える淡水をこれからも大切に守り、継いでいくために世界湖沼デーを定めようというインドネシアからの提案、こちらに賛同するというメッセージを出させていただきました。なお8月27日にするということについては、世界湖沼デーの制定を提案されたインドネシア政府から発意されたものだと聞いておりまして、それについて賛同するメッセージを表明させていただいたということです。ハイレベルパネルディスカッションの場においても聴衆の方がいらっしゃいましたし、いろいろな会談、そしていろいろな出展、そのような場でやり取りをさせていただいても、水フォーラムですので、海水も含めいろいろな水に関わる出展がされる中で、淡水を湛える湖沼についての注目・関心、そしてそれを日本で最大の湖の琵琶湖をお預かりするかたちで取り組んでいる滋賀県、特にマザーレイクゴールズについても御紹介いたしましたところ、大変関心を持って聞いていただいていたようです。まだどういったスケジュールで世界湖沼デーが制定されるのか明らかになっていませんが、我々も注目しながら参画していきたいと思っております。

 

[時事通信社]

地方自治法改正案についてお聞きします。現在、衆議院で重大事故発生時などに、国が自治体に必要な指示を行うことができる特例を盛り込んだ自治法改正案について審議が続いていると思いますが、一部自治体の首長などからは必要性は理解する一方で、国と地方の対等な関係が損なわれることへの懸念も示されています。そういったことに関して、改めまして知事の改正案に対する見解をお願いいたします。

 

【知事】

この地方自治法の改正案は3月に閣議決定されて、今国会で審議されているということです。御案内のとおり、大規模災害や感染症に対応するために必要な改正をされるということですので、私も必要性については強く理解をしている1人であります。ただ、いろいろと懸念される事項もありますので、知事会としても、これまで2度、国に対して提言を取りまとめ、提出させていただいておりまして、例えば、国と地方公共団体との関係で、今回改正される内容の特例として位置づけることや、閣議決定も経て、必要な限度において行使されること、また事前に地方団体に意見等を求める事々など、この間、提言したことに基づきまして一定の配慮がされているのではないかと思います。なお、残る課題や不安を払拭すべく、どのようなことが行われるのか、今なお進む国会の審議に注目していきたいと思います。

 

[共同通信社]

先日、大津市で例年の30倍となる待機児童が発生したという発表があったと思うのですが、草津市でも今年4年ぶりに待機児童が発生していて、もちろん保育施設のある各自治体の管轄にはなると思いますが、県として解消に向けてどのように支援されていくのか、お考えがあれば教えていただけますか。

 

【知事】

 子どもたちが過ごす場所、特に小学校に入るまでの子どもたちが過ごす場所として保育施設は大変重要で、入りたいけれども入れないという待機児童が発生している状況、その解消に向けて、それぞれの市町また施設等が大変御苦労御尽力いただいていることを、まず県としても共有いたしまして、例えば施設の整備、ならびに保育人材の確保のために役割を果たしていきたいと思います。特に施設の整備では、先般、交付金の予算措置がされているのですが、それが現場のニーズに対して不足している状況があり、今まさにおっしゃったことを解消すべく、施設の拡張や新設に対応できない状況が出てきているということを緊急で国に要請しておりますし、保育人材を確保するための取組を保育協議会の皆さんと県で今一緒にやっておりますので、それをもって現場のニーズにお応えできるように努めていきたいと思います。ただ、これから誰でも通園制度などがつくられるようですので、さらにその保育ニーズが高まってくる。とりわけ滋賀県南部地域は人口流入、また子ども子育て世代が非常に多い地域でもありますので、さらにどういうことをしなければならないのかということについてもよく議論し、取組を進めてまいりたいと思います。

 

[共同通信社]

県内全体の待機児童の数は県の方で把握されているのでしょうか。

 

【知事】

その時々の時点で把握したケースはあります。また最新のものを共有させていただきます。

 

[共同通信]

日本維新の会の共同代表でいらっしゃる吉村さんが0歳児選挙権というものを提唱されていますが、このことについて知事はどのように考えていらっしゃるか教えていただけますか。

 

【知事】

報道等でそういったことを提案されているということは承知をしております。どういった趣旨でそのことを発信されているのかというのは、定かではないのですけれども、おそらく推測いたしますに、今、選挙権がない子どもたちのことも考えた政治や行政を行っていくべきだという思いから、そういったことを発信されているのではないかと思います。そういう意味で、未来に対する責任というものを強く自覚された提案ではないかなと思います。具体どういうハードルがあるのかということについては、まだ私もわかりませんけれども、滋賀県でも「子ども・子ども・子ども」と申し上げているように、子どものために子どもとともにつくる県政、子どもの権利を保障するための条例の制定などを今考えているところですので、同様の思いを持った取組を進めようとしているのでないかなと思っています。

 

[京都新聞]

土曜日に韓国の方がゴルフツーリズムの視察に来られ、知事も対談されたようですが、ゴルフツーリズムについてどういったお話をされ、知事はゴルフを通じたインバウンド、観光の可能性というのはどのように考えておられるのか教えていただけますか。

 

【知事】

1月に関西広域連合長として韓国にセールスプロモーション活動に参りました。その際に、もちろん来年行われる大阪・関西万博、そして私達がいる滋賀県の琵琶湖のツーリズム、シガリズムなどを御紹介したんですけれども、その折に、韓国の方々が大変ゴルフに強い関心・ニーズを示されていて、ゴルフをしに日本に来られることが多いということをお聞きいたしました。ゴルフといえば滋賀県には名門コースも含めゴルフ場がたくさんありますし、LPGAでは韓国の選手の活躍なども見られる世界大会を開催している実績もありますので、そのことを御紹介申し上げ、ぜひ一度、琵琶湖・滋賀にゴルフツーリズムで御視察に来てくださいということを申し上げたところ、早速そのことが実現し、そのときに会ったお2人のメディアの記者さんに加えて韓国日報だったと思いますが、記者の方も一緒に3名でお越しいただきました。早速昨日だったと思いますがゴルフをされたり、今日だと思いますが、県内ゴルフ場の視察をされて、その周辺施設もあわせて視察されて、ゴルフツーリズムの可能性についても御検討されると聞いています。ぜひ、例えば滋賀県杯、滋賀県知事杯のようなものをやっていただければ、我々は送客、誘客等も可能ではないかという新たな提案をいただきましたので、どういったことができるのか考えていきたいというやり取りをさせていただいたところです。

 

[京都新聞]

やり取りの中でこれは発展していくだろうなという手応えはありましたか。

【知事】

まず、私自身がプロモーションに行き、お会いした方が年も跨がずにその年にもうお越しになるというのは、この手のもので極めて異例です。それだけニーズの強さ、関心の高さがうかがえる。そして県内のゴルフ場について可能性を感じていただいているのではないかなと実感いたしました。実際、私どもがお示しする資料にも非常に関心を示していただきましたし、ぜひ今回の御視察をもとにした何か新たな連携行事等が開催できたらいいなと思っております。

 

[京都新聞]

チャイルド・デス・レビューについて、2020年度から国のモデル事業を県でも取組をされていますが、現在取り組んでいるのは10都道府県くらいとお聞きしています。滋賀県で熱心に取り組まれているこの事業について現時点での県での取組の評価、今後の展開についてお聞かせください。

 

【知事】

チャイルド・デス・レビュー、CDRについては、私どもも今お尋ねいただいたように、当初このことが提唱されたときから、(国のモデル事業に)手を挙げ、1人1人の大切な命をきちんと尊重するという立場に立って、悲しくも起きてしまった「死」というものを直視しながら、どういう原因があったのか、そしてその原因を防ぐためにどういう手立てをすることができたのか、これを検証する事業として、例えば御遺族の方に御理解いただいて御遺体を検死する。また、いろいろな事例をヒアリングをもとに検証するという取組を行ってきました。おっしゃったようにいろいろな毎年レビューの結果を共有させていただく中で、例えば安全対策ですとか、様々な行政福祉との連携ですとか、そういった事々の改善事項もいただいておりますので、一定の成果が出てきているのではないかと思います。ただ、例えばそういった御理解をより広く得られるようにするための啓発、そして行政とのさらなる連携。特になかなか悲しい思いをされた御遺族の御理解を得ることが難しい。それを医療機関もしくは大学等とだけやるというのは難しいところがあるので、もっと連携してできるようにならないかとか。もちろん個人名は伏せた形で、情報というものを個人情報保護法に触れない形で共有させていただくといったことの限界をどう越えていくのかということなどに課題があるようです。それらの課題を克服するための提言を、明日、近畿ブロックの知事会などでも議論をし、国への要望事項をまとめようじゃないかという予定もしていますので、さらに事業が進むように取組を行っていきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

滋賀県農畜水産物等輸出促進協議会について、具体的な活動は情報交換、あるいは6月3日にあるようなセミナーが中心になるのでしょうか。

 

【知事】

今おっしゃった情報共有、そしてセミナー以外のことでいうと、フェアの開催のような実際にエリアターゲット、品目を絞ってPRする企画も予定されております。

 

[日本経済新聞]

知事の立場から言いにくいと思うのですが、例えば近江牛や地酒など、どのような品目が中心になるとお考えでしょうか。

 

【知事】

時期や相手先にもよりますが、例えば昨年行ったアメリカ東部地域ニューヨークでのPRなどでは、米や地酒についてもニーズがあったということは確認できました。しかし、例えば食べ方や飲み方の提案、ストーリーの紹介、また出し方について、実際に輸出をするとなるとどれぐらいのロットで、どこから、どれぐらいの時間をかけてお届けすることができるのかということの調整等も必要ですので、そういったことを行うことが大事ではないかと思いました。

 

[日本経済新聞]

外国の市場の開拓方法として、通常、新しい国に輸出するという場合には「ここの処理場で処理した肉は輸出してもよい」あるいは「ここの港の農産物、魚介類は輸出してよい」という細かな協定を結びますが、この協議会のカウンターパートは農林水産省、または相手国そのものなのか、この点についてはいかがでしょうか。

 

【知事】

ものにもよりますが、両面あります。我々協議会レベルでカウンターパートになりうるものもあるでしょうし、国レベルで協議、交渉をしなければいけないようなことは国に対して言っていくといった、両睨みで対応できればと思います。

 

[日本経済新聞]

設立の背景として人口減少、あるいは高齢化で国内市場がシュリンクするということで、滋賀県産の農産物がその影響を受けて販売が伸び悩んでいるといったことを感じているのか、それとも将来的にこうなるのは確実なので今のうちに手を打つという予備的な企画なのか、そのあたりいかがでしょうか。

 

【知事】

そこも両面あると思いますが、つくる人、食べる人、買っていただく人が国内市場において減少していくということは、現に今も影響を受け始めていると思います。これは単に数の問題だけではなくて、ニーズの変化というのもあると思います。こういったものを機敏に捉えながら、どのようなつくり方や出し方をしていくのかということが大事だと思います。これからは、インバウンドも戻ってきましたし、日本は人口減少しますが世界各国は人口が増えているという時代にあって、どういうつくり方、出し方をしていくことができるのかということは、これからの農畜水産業を考える上でとても重要なことだと思います。さきほどおっしゃった、例えば、と畜の仕方の問題やどこの港でどういう基準をクリアしていくのか、このこともやはり輸出というものを視野に入れて取り組むからこそわかる課題だと思いますので、そういうことを乗り越えるための1つのプラットフォームになるようにしていきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

協議会のメンバーは、個々の企業や生産者個人ではなくて基本的には団体なのでしょうか。

 

【知事】

基本的には資料にも記載のとおり、賛同団体、賛同自治体という形が構成の骨組みになります。今後、まずこれでスタートしてみて、中には、個人、また一企業として様々な取組やチャレンジをされている方もいらっしゃると思いますので、そういった方々とどのように連携していくのかということも考えていきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

こういった団体は既に輸出に取り組んでいる部署や担当者がいますが、そういった人たちが集まって、新しい協議会をつくってさらにブラッシュアップしていくという捉え方でよろしいですか。

 

【知事】

そういう面もあると思いますが、今おっしゃったように、こういった団体の方々には輸出を担当されている部署もあってということを前提にお尋ねいただきましたが、必ずしもそうではない団体もいらっしゃって、むしろそういう団体を巻き込んで一緒になってやってみる。そしてやるためにはどういう課題と可能性があるのかということを考えてみる。こういうことで理解していただければと思います。

 

[読売新聞]

外国人材の受入について、育成就労という新しい制度を導入するために出入国管理難民認定法の改正案が衆議院を通過しました。技能実習は帰国が前提でしたが、育成就労は長期就労が可能な在留資格への移行を促すといった国内の人手不足解消に繋げていこうという制度かと思います。その制度が今国会で成立する見通しですが、まずは制度自体の評価をお願いします。

 

【知事】

世界に開かれた国をつくり、世界の方々と一緒に働き、例えばものづくり、そして社会をつくっていくということだと思いますので、私は必要な、かつ重要な法律改正だと理解しています。しかし、常々申し上げていますが、労働力不足の観点からのみこのことを思考するのではなく、やはり社会の一員として、どのように一緒に暮らしていくのか、また支え合っていくのかという視点が常に求められると思います。そのことは、制度をどうするのかという国の議論ではなく、現に今一緒に住んでいる自治体が担う分野や部分が多くありますので、具体のどういうことがこの法律において定められ、変えられ、自治体にその責務が求められるのかというのをよく確認させていただいて、具体の取組が進むよう努めていきたいと思いますし、足りないことがあるとすれば、国に対して申し上げていきたいと思います。

 

[読売新聞]

県内にはベトナム人の方が近年増えているということを含めて、既に外国人の方が一定数住んでおられます。一方、人口減少が全体として進む中で、今後この制度、新しい制度も含めて、県内に外国人材を受け入れていくことを考えるときにどうあるべきなのか、知事のお考えをお願いします。

【知事】

まず、大きく言うと外国の方々と一緒に働いて、住んでいく、そういう多文化共生の滋賀をつくるため、ウェルカムな姿勢を示しながら(入口を)開いていきたいと思います。現に、例えば介護の分野もそうですし、様々な生産現場においても多くの国籍の方々がお仕事をしていただいておりますので、それらをさらに制度的にも担保して広げていくということには積極的に対応していきたいと思います。しかし、先程申し上げた伴う課題が課題として残るのではなくて、それにもきちんと目を向けて手当がされるように、そういう県として選ばれるようにしていきたいと思います。

 

[読売新聞]

新しい制度については、分野を限ることなどからして、いわゆる移民政策ではないということですが、移民政策の是非について知事のお考えをお願いします。

 

【知事】

一口に移民と申し上げても、従来行われた移民政策や、そしてそれぞれの方、それぞれの国が思う移民の捉え方というのは、様々だと思います。そこに今一概に賛否を申し上げることは難しいと思いますが、先般行われた人口戦略のビジョンの提示、そしてその場に参画した我々も、そもそも外国人人材を一部的、部分的に認めるというやり方だけでいいのか、それとも国籍そのものも自由に取りやすく、そして一緒に、それぞれの自治体で権利も義務も保障し合いながら住んでいくといった環境の議論を逃げずに行うべきではないかという提議を多くの方がされたと思います。そういう議論を始め、そして積み重ねていく時期に来ているのではないかと私は思います。

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