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知事定例記者会見(2024年3月7日)

令和6年3月7日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

今日もよろしくお願いいたします。いよいよ本格的に春ということで、今週末にはびわ湖開きが行われますし、10日には第2回目となるびわ湖マラソンが行われます。ぜひ皆様方にお楽しみいただければと思います。この一昨日以来の春の木の芽起こしの雨のおかげでですね、琵琶湖の水位がマイナス28センチまで回復してきているということがございます。そこで本日15時をもって渇水対策本部は解散とさせていただきます。年末以来ですね、これまでにないスピード、またこれまでにない渇水ということが起こりましたので、この渇水対策本部を設け状況を注視し、また様々な発信を行ってきました。影響の確認等を行ってまいりましたけれども、多くの方々に御関心を寄せていただいたということもございます。引き続きアユの不漁の問題、そしてまだ全層循環が起こっていないということ、また昨年も多くの琵琶湖に関する事故がありましたので、安全に琵琶湖とふれあい、琵琶湖を楽しんでいただく、そういった事々に引き続き我々関わってまいりたい。また県民の皆様方、多くの方々に情報提供をしてまいりたいと思いますので、報道各位の御協力をよろしくお願いいたします。

それでは資料に基づきまして2点話題を申し上げます。まず1点目は、近江学園の新園舎の竣工記念式典についてでございます。2022年、令和4年9月から建て替えを進めておりました近江学園の新園舎の工事がいよいよ完了いたしまして、今年4月1日から供用を開始することとなります。この新園舎の竣工を記念いたしまして、来たる3月20日春分の日水曜日に式典を開催いたします。御案内のとおりこの近江学園はですね、「日本の障害者福祉の父」といわれていらっしゃる糸賀一雄先生達によって昭和21年、1946年に大津市南郷に開設され、昭和46年、1971年に石部町・現湖南市の現在の場所に移転したというものでございます。今年で52年が経過いたしまして施設が老朽化してきておりました。そのため、現在の学園のグラウンドに新しい園舎を建設することとし、このプロジェクトを進めてまいりました。現在の近江学園は、施設設備の構造上の問題から、1集団15から20人の単位で支援を行わざるを得ず、一人ひとりの多様なニーズに応じた、きめ細かな支援を行うことが難しい状況もございました。そこで、スライドにもありますように、新園舎では、子どもたちの生活空間をユニット化することで家庭的な環境をつくろうと、かつ全ての居室を個室化することで、一人ひとりの子どもたちが安心して過ごせるように、また個別の寄り添いや支援が可能な状態になることとなります。また保護者のレスパイト、これは介護を担う方の一時的な休息等による利用ニーズの高まりにも対応できるように、短期入所の受け入れスペースも今よりも多く確保するということでございます。全体図はこのスライドのとおりでございますが、新園舎の整備に当たりましては、障害のある子どもの地域生活の実現を基本方針としてまいりました。新たな施設で県の障害児支援の中核拠点としての機能を担っていきたい。地域の方々や支援を行う方々との交流なども積極的に行いながら、役割を果たしてまいりたいと思っておりますので、ぜひ皆様方の御理解、また御紹介、さらには御支援をお願いしたいと存じます。

それではもう1点の資料があると思います。滋賀県職員の志・パーパスを議論、検討の末、決めましたということで『琵琶湖とくらしを守る 三方よしで笑顔を広げる 豊かな未来をともにつくる』ということで決定いたしました。このパーパスというのはですね、今更と言われるかもしれませんが、滋賀県庁にはありませんでしたので、昨年令和5年の年初の私からの御挨拶で、滋賀県庁で県庁職員として、誰のために、何のために、一緒に働いているのか、改めて考えてみようじゃないか、そして言語化して再確認しようじゃないか、共通認識として持とうじゃないかという投げかけをさせていただきました。もって選ばれる県庁にするということであるとか、働きがいというものを醸成できればいいねということを考え、様々な議論をしてまいりました。今なぜということで言えば、今申し上げたとおりですが、折しも生成AIなどが出現し、人にとって代わって仕事ができるのではないかという時代にあるということですとか、県庁を担う人づくりという面で、公務員、公務労働、こういったことの意義、役割というものをもう一度私達が見つめ直していきたいということであるとか、そういったことなどをともに考えながら、県民の皆さんの幸せは職員の幸せ、職員の幸せが県民の皆さんの幸せということにつながるような、そういう働き方を一緒に追求していきたいと考えているところです。この過程では、多くの職員が参画することを大切にし、約1年かけてワークショップを開催したり、様々な共感度調査を行うなど議論を行ってきました。資料にもありますとおり、特に2枚目の背景のところにアンケート調査で、主に若い主査級以下で前向きに仕事に意欲を持って取り組めているのかなということに対して、多くの過半の人たちは「どちらかというとそう思う」、「まあそう思う」なのですけれども、4割近い層が、また他年代よりも多く「そう思わない」という回答をしているところなどもとても気にかけながら、いろいろな議論を行ってきたところでございます。またこの検討過程を御覧いただければ、昨年には職員を対象に共感度調査を行いました。そして年明けには県民の方々、県外の方々を含む形で共感度調査を行いました。能登震災がございましたので、そういった影響下にあるお考えなどもあったのかもしれませんが、多くの方々に御回答をいただき、結果、『琵琶湖とくらしを守る 三方よしで笑顔を広げる 豊かな未来をともにつくる』というパーパスを改めて掘り起こし、再確認したところでございます。「三方よし」とか「琵琶湖」とか「豊かな未来」とか「ともにつくる」とか、この間私達が大事にしたいねと言っていた言葉なども反映されておりますので、言葉が、パーパスが、志が、言葉だけのものに終わらないように、実践・具体に結び付けていけるよう今後取組を進めてまいりたいと思います。ぜひ、報道機関各位の御鞭撻を、御注視を、お願いできればと思っております。長くなりましたが、私からは以上でございます。

[朝日新聞]

今日、渇水対策本部の解散ということなのですけれども、改めて解散の理由を教えてください。

 

【知事】

渇水の対策本部ですので、渇水の状況がおおむねこの時期、このレベルという、グラフを見ていただければおわかりのとおり、概ねこの時期の水位に近づいてきた、一部年によっては、それを上回る水位まで回復してきましたので、様々な影響等も解消されているのではないかと判断いたしました。それらを総合的に判断し、対策本部は必要ないだろうと解散することといたしました。

 

[朝日新聞]

1月4日に渇水対策本部が設置されてから、直近で把握している琵琶湖の水位の低下による環境等の影響を教えてください。

 

【知事】

マイナス80センチ近くまで水位が低下いたしましたので、琵琶湖の形が変わり、そしてこれまで陸地化されていなかったところ、湖水の中にあったところが地上化いたしまして、人が往来できるようになったということもございました。そのことが生態系を破壊してしまうのではないかという御心配をする方々もいらっしゃいました。また、今まで湖水であったところが浅くなったことなどによりまして、船舶の航行などに一部影響が出たということであるとか、エリ漁の深さが変わるということが漁に影響を与えたのでないか、魚類の遡上を阻害するのではないか、私達が大事にしている「うみのこ」が港に着岸できなくなったというようなこと、また今まで陸ではなかったところが陸になったので、ゴミが琵琶湖の中から漂着いたしまして、そういったものが多く見られるのではないかということがございましたが、幸い、おかげさまで取水の制限というところにまでは至りませんでしたので、皆様方が様々な御協力をいただいたことにもよるのではないかと思っております。

 

[京都新聞]

間近に迫った北陸新幹線の敦賀延伸開業についてお伺いします。福井県まで新幹線が来るということで、知事の県北部の地域振興にも力を入れてらっしゃるので、そのあたりの期待感、また滋賀に来てもらう上でどのような工夫をしていきたいかお伺いします。

 

【知事】

まずは多くの大きな期待感とともに、少しだけの危機感を申し上げたいと思います。多くの大きな期待感ということでいうと、この高速鉄道、北陸新幹線が金沢から西、敦賀まで繋がるということでございますので、より多くの方がより短い時間で到達されることになる。そしてそのことが滋賀県の隣県の福井県の最も近い敦賀市において発現するということですので、観光や文化交流、様々な面での多くの効果が期待できるのだと思います。折しも、私達は今言及いただいたように北部振興に取り組んでおりますし、湖西線も今年(開通)50周年でございますので、様々な観光振興に結び付けていきたい。(大河ドラマの)「光る君へ」も今やっておりますので、もうすぐ越前の方に紫式部も行かれるのでしょうか。そういった事々などを絡めて訴求していければと思っています。少しばかりの危機感ということでいうと、元来近畿圏と北陸圏、越前の地域は非常に密接な結びつきがある地域、今もそうですが、そういったところが東京から繋がる高速鉄道はあるのですが、こちらから伸びていく特急が運行見直しをされたり、相対的に新幹線とは劣る到達時分でしか繋がらないということになると、北陸の方々が東京に向いて移動される、働かれる、学ばれるということにならないようにですね、できるだけ早く敦賀以西、京都、大阪に繋いでいくということでありますとか、北陸新幹線の敦賀までと近畿圏等を結ぶ様々なネットワークを構築していく、改善していく、こういったことが重要ではないかと思いますので、今後関係機関と連携しながら取組を進めてまいりたいと思います。

 

[京都新聞]

せんだって関電の方から福井県の原発に使用済核燃料の乾式貯蔵施設を設置したいという説明があったかと思います。今のところ報道で仄聞する限り貯蔵量は増やさないというような説明も他県ではされているようですけれども、一方で中間貯蔵施設が建設される見通しが立たない中で貯蔵量が増えるんじゃないかといったような懸念もされているところです。その辺り「(原子力の)静脈」についても御関心のある知事の御見解を伺えればと思います。

 

【知事】

今お尋ねいただいたとおり、2月の8日ですか。原子力安全協定に基づきまして、乾式貯蔵施設の設置について関西電力株式会社から事前の説明がございました。また、一昨日ですか、(県の)第2回の原子力防災の専門会議も開催されまして、その内容等を共有されたところでございます。乾式の貯蔵ですので、プール内の貯蔵と比べますと、一定その災害リスクが低くなるのではないかという御見解もあるようでございますが、まだまだその存在とか、リスクの面で知らないことも多いのではないか、もっと知識を持つべきではないかという御指摘とともに承っているところでございますので、本県としては県民の不安を払拭するために、この乾式貯蔵施設の使用期間中の安全性の確保、また説明責任を果たしていただくことを求めるべきではないかというふうに考えています。

 

[京都新聞]

実際に関西電力に求めていかれることになるということでしょうか。

 

【知事】

そうですね。まずはその当該地である福井県さんがどのようにおっしゃるのか、受け止められるのかということはよく見たいと思います。長年原発施設の立地を御理解御受忍いただいている、その当該地域の御判断というのは尊重したいと思いますが、いずれにしろ隣接県、そしていざ事が起これば被害を受ける可能性のある県としての行動は考え、また実践していきたいと思います。

 

[NHK]

明日3月8日は国際女性デーということで県庁のライトアップも予定されているところだと思います。先週の知事(定例記者会見)の出生率の話のときに、ジェンダーギャップ解消についても触れられていましたが、改めて国際女性デーを前に県内のジェンダーギャップがどういったところにあり、県庁内の行政の分野でもそうですし、民間企業もそうだと思いますが、どのように感じておられるかということを伺ってもよろしいでしょうか。

 

【知事】

まず私はジェンダーの問題、男性と女性がともに役割を果たしていくというテーマは、30年前、鉄道員として仕事をし始めたときからのテーマでございまして、ともに役割を担い、果たしていける社会をつくろうという行動をしてきたところでございます。とりわけ今知事として社会情勢、政治、行政の状況を見るにつけ、あらゆる分野において特に様々な方針、意思決定過程において女性の参画が少ないということが課題であると認識しております。直近、日本のジェンダーギャップ指数というものが146か国中125位。直近発表された(英誌)エコノミストですか、先進諸国の中でも最下位から2番目という状況も報じられているところでございます。特に働く場におけるジェンダーギャップの解消というのが喫緊の問題ではないかと考えております。近年M字カーブは少し改善、解消に向かっているのではないかと、また女性役員も増えているんじゃないかということが指摘されていますが、例えば出産を契機に、非正規雇用化、(非正規)労働化するようなこともあるということで、M字ではなくてL字カーブの解消というのが新たな課題ではないかということでございます。また滋賀県においても管理職に占める女性の割合が14.4%、これは全国で37位という低さでございます。とりわけ女性有業者に占める非正規雇用の割合が53.1%で全国で1位という状況になっております。多く働かれるようにはなりましたが、非正規雇用で働かれている方、いろいろな選択、事情の結果とはいえ、こういう状況があるということでございます。背景にはいろいろな要因等があるのかもしれませんが、やはり固定的な性別役割分担意識ですとか、アンコンシャス・バイアスという「女性はこうあるべき、男性がこうすべき」という考えに縛られているようなところ、いってみれば意識の問題というものも根強くあるのではないかと思っておりますので、こういったことを解消するための様々な取組をしようということで、私の方からジェンダーギャップ解消という発信をすると同時に、明日の国際女性デーでミモザイエローに県庁を染める取組などもぜひ啓発の一環として行っていければと思っています。

[NHK]

新年度に向けて、今後どのようにジェンダーギャップ解消のために具体的に動いていかれるのか、滋賀県のリーダーとしてのお考えを伺ってもよろしいでしょうか。

 

【知事】

まず来年度は、なぜこうなっているのかいう要因分析をしようということと、先程も申し上げました、女性の参画を進める、女性管理職の登用を拡大するということに向けた男性や管理職層、また女性自身の意識改革をしようという取組をすることにしています。例えば企業経営者層向けのシンポジウムの開催ですとか、事例集を作成し、共有する取組、また女性管理職向けにマネジメント力を向上するセミナーを来年度新規で開催することでありますとか、異業種交流会、女性の経営管理者層が交流することによって様々なモチベーションを上げたり、悩みを共有したり、大変御好評いただいているこのような場を継続して開催することにしております。また教育の現場では、副読本を作成し、それらを配布しながら教育活動の場においても、何となく知らない間にそういうものだと刷り込まれる意識を、そうならないように変えていくという取組をぜひ促していきたいと思います。同時に私を含めて男性の働き方の見直しも、これは継続的に進めていかなければならないと思いますし、職場だけではなくて家庭、社会全体でこのジェンダーにとらわれた固定的な性別役割分担意識を変えていく様々な取組をぜひ進めていけるよう、取組を行っていきたいと思っております。

 

[NHK]

来週の月曜日で東日本大震災から13年ということですが、東日本大震災の影響で滋賀県に避難してこられた方の現況や県としての支援状況等について伺ってもよろしいでしょうか。

 

【知事】

平成23年、2011年3月11日からまもなく13年という月日が経ちます。多くの方が被災され、多くの方が避難された原発の問題を含めて、様々なことを刻まれた東日本大震災でございます。当地滋賀県は発生当初から福島県をカウンターパートで支援するという取組を進めてきました。職員を始め、様々な専門家の現地派遣でありますとか、多くの物資の支援を行ってきました。また避難者の方も最大では400名を超える方がいらっしゃったということですが、直近では140人近くの方が避難をされているということがございます。また、県職員の福島県への派遣は現在も続けているところでございまして、これまで80名を超える職員が福島県の仕事、また復旧支援に関わっているということですので、福島を始め、この東日本大震災を忘れない取組はこれからも大切にしていきたいと思います。

 

[NHK]

元日に能登半島地震も起き、来年度の予算にもトイレトレーラーの購入費や湖上運送計画の調査を行うなど、様々な災害に対する対策を行っていかれますが、知事として改めてどう取り組んでいきたいか伺ってもよろしいでしょうか。

 

【知事】

やはり、いつどこで起こるかわからないということと、必ず起こりうるということ、起こったときに弱い立場の方がより弱くなったり、例えば非常に寒いとき、夜間お体が不自由な方々がより苛烈な状況に追いやられてしまうというは東日本大震災のときもそうでしたし、今回の能登半島地震においてもそうだったということですので、引き続き能登半島、東日本大震災もそうですけれども、石川県、とりわけ能登町の支援を継続しながら、大きく4つのことが大事じゃないかということを申し上げています。道路等が寸断したときの複数の輸送手段をいかに確保するのか。道路啓開や湖上輸送をぜひ検討しようということ。また、ライフラインが長期途絶したときにどのように災害関連死を生まずに過ごしていけるのか、生き延びていけるのか。例えばトイレの問題ですとか、それぞれの集落の自活能力を高める、こういった取組。また高齢化が進展する中での被災。それらを助ける「自助」「共助」をどのように高めていくのかということで、住宅耐震化の問題ですとか、自助を促すための公助の仕組みですとか、こういったことを追求していきたい。最後4つ目は、受援含めてですね、応援を受け入れることを含めて県の災害対応能力を高めるための取組が必要だということで、少し時期を変えて防災プラン、地域防災計画見直しの作業を既に始めているところですので、こういったことにきっちり盛り込んでいきたいと考えております。

 

[日本経済新聞]

3点ばかり伺います。パーパスについて、これを導入した目的は先ほどおっしゃったとおりですが、主に若手・中堅職員のエンゲージメントが低いという、このあたりをターゲットとしていると理解してもよろしいですか。

 

【知事】

それも大きなポイントですけれど、それだけではなくて、どの年代の人たちも意欲と働きがいを持って働くことができるようにしようということですね。それらを体現化して、こういうところで一緒に働いてみたいとか、こういうところに住んでみたいとか思ってもらえるような、そういう滋賀県庁をつくっていきたいというふうに思ったからです。

 

[日本経済新聞]

若手・中堅のエンゲージメントの低下は滋賀県だけではなく日本各地の企業やいろいろな団体・組織、先進国全体でもいろいろな統計を見るとやはりそうなっています。だからどう解消するかということはすごく大きな課題で、一つ大きな解消策としてやられてるのは権限を委譲すること。つまり若手に大きな仕事をさせるとか、あるいはいわゆるできるやつを早めに昇進させるとか、そういうことを特に民間企業でやっていますね。滋賀県庁の場合、人事はやや硬直的なところがあるのではないかなと思いますが、飛び級とか、あるいは権限を下に渡すとか、そういったことを大胆にやっていく考えはありますか。

 

【知事】

私は43歳で知事になって間もなく10年経つのですけれど、同年代の職員がどういう立場で、どんな顔をして、どんな仕事をしているのかというのを見たときに、そういうことがもっとあっていいのではないかなと思った時期はありました。ただ、よくよく話をしてみて、県庁職員と一緒に仕事をしていますと、必ずしも立場だけではなくて、権限だけではなくて、やはりその人に合った、その人のやりたい仕事をどのような形でできているのか。そのことが、社会を変えることや県民の皆さんの幸せにどのように繋がっているのかということの実感がすごく大事なのだということがわかりましたので、おっしゃったことも一つ重要な要素だと思いますが、ただそれだけではない働きがいというのを追求することが、むしろ持続可能な職場をつくっていくという意味でいいのではないかなというふうに思っています。

 

[日本経済新聞]

もう一つは、少し早いのですが4月1日に近江鉄道が上下分離となります。昨日ちょっと残念な発表があってやや出鼻をくじかれたところがあると思いますが、信楽高原鉄道も上下分離から10年ぐらい経って、未だ県の方から間接的に補助金を出していてなかなか抜けられない。上下分離は交通機関を再生させる一つの大きな手法だと思いますが、今の段階で近江鉄道について期待と、それから少しの不安、こういったものをどう考えてらっしゃるのか。感想という形でいただけますか。

 

【知事】

まず、(近江鉄道が)長年にわたり制度で決められたこと、認められたことをお客様に実行・遂行することができていなかったということは問題だと思います。会社をしてきちんと正していくことを求めていきたいと思います。この4月からは、近江鉄道の歴史的にも大きな転換点になる公有・民営、上下分離による新しい経営方式がスタートするということですので、むしろ多くの方々が経営に関わることによって鉄道が活性化する、利便性が向上する、もって街が元気になるような、暮らしがより良くなるような、そういう取組をみんなで進めていきたいと思います。そういう意味で期待というよりも決意の方が大きいと思います。ただ、繰り返し申し上げていますが、0番の役割として「安全」というのがあると思いますので、施設のこと、運行のこと、一にも二にも安全性確保ということを大切に念頭に置きながら、事業者としての役割を私達自治体も果たしていかなければなりませんので、県を含め5市5町、大変多くの自治体が関わる新たなプロジェクトになりますので意思疎通、連携を密にしながら役割を果たしていきたいと思います。

[日本経済新聞]

連携というのは県と近江鉄道、それから下の部分を扱う新しい団体ですね。

 

【知事】

管理機構という新たな鉄道事業者がスタート、発足いたしますし、そこには県、5つの市、5つの町が関わる形になりますし、そういう施設等を持つ機構と運行を担当する近江鉄道との意思疎通も、これまでは一つの会社でしたけれども、より密にしなければ、ややもすると責任が曖昧になったり、やらなければいけないことが抜け落ちたりすることになる恐れもありますので、そうならないようにしていきたいと思います。

 

[日本経済新聞]

具体的に関わっていくということですね。もう一つは、琵琶湖の水位について、先ほどスライドのデータに「マイナス7センチ、平均値」とあったのですが、これは3月7日の平均が大体マイナス7センチという意味ですか。

 

【知事】

この平年値というのは何年かとったときの値ですが。

 

[担当課]

30年間の平均です。

 

【知事】

(スライドのグラフを指しながら)この濃い青い線。30年間の平均だとマイナス7センチ。

 

[日本経済新聞]

過去30年間という形でよろしいですか。

 

【知事】

平成5年から令和4年度の平均です。

 

[京都新聞]

前の理事長から性暴力やセクハラを繰り返し受けたということで元職員さんが民事訴訟されている社会福祉法人グローの件でお尋ねします。昨日、元職員さんを支える「考える会」というグループから、県が再指定した県立2施設の指定管理の見直しや、指定管理の選定基準にハラスメント対策を、実質的なものを選定基準に入れるようにという書面の提出がありました。宛先は知事になっていますがどのように受け止められますでしょうか。

 

【知事】

今朝、担当から署名を受け取りました。今手元にございます。私(宛)の名前で2,921筆の署名をいただいております。この中には、指定管理者の選定、女性活躍推進企業の認定の基準に関わることを御指摘されておられますし、ハラスメント相談窓口を設けてほしいという、この対策の強化のことなども言及いただいております。また、こういったことについて文書による回答も求められておりますので、内容を十分検討した上で回答させていただくべく、取組を行っていきたい、検討していきたいと考えています。

 

[京都新聞]

告発から2回目の指定管理の更新時期を迎えて、前回と同じような疑念を持たれ続けているということだと思います。県の方では毎年監査でハラスメント対応状況を確認されているということですが、私達県民にとってはそれを確認できるすべがないのです。グローはこの件では一度も記者会見を開いていませんし、現在のハラスメントの対応状況を聞いても、訴訟に関わるから答えられないというその一点張りです。そんな中で、職員の人権さえ守れていなかったかもしれない法人に障害者福祉を任せ続けてもよいのかどうかという思いを持たれるのは仕方がないことなのではないかと思います。県の方で第三者委員会を設置させて、結果の公表をすべきだという指導をすべきだったのではないでしょうか。

 

【知事】

まず今お尋ねいただいたときに述べられた御見解というのは受け止めたいと思います。当該事案は今も個人宛、法人宛に民事で争われている訴訟の途上にありますので、その中身等が十分それぞれにおいて語れない、語ることがなかなか難しいというこういう御事情も一方ではあるのだと思います。県ではグローに対して様々な監査また実地指導、モニタリングを行いながら、その実践内容を確認した上で、指定管理等の相手先として問題ないと判断し、そのことを去る11月の県議会に提案させていただいて、一部御指摘等ございましたけれども議決もいただいたということでございます。したがいまして、こういった内容等がきちんと実践されるように私達は引き続き指導していきたいと思いますし、この裁判の状況というのは絶えず注視していきたいと思います。

 

[京都新聞]

行為の有無については司法の判断に委ねているということで、言えないということはわかるのですけれども、県はグローに対して本年度だけでも4億5,000万円の事業を委託しています。グローにとっては大口の取引先であると思います。そういう公共事業を扱っているところに不法行為が疑われるような事案があったときというのは、裁判の結果はいつわかるかわからないものですから、県の方で積極的にイニシアチブをとって調査をしなさい、それを公表しなさいというべきなのではないかなと思います。この件に限らず指定管理者に不法行為が疑われる場合というのは、調査をして公表させるという、そういうルールを作るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

【知事】

今の御指摘を拝受した上で、どのような対応が必要なのかというのは引き続き考えていきたいと思います。

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