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知事定例記者会見(2024年2月29日)

令和6年2月29日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

今日もよろしくお願いいたします。能登半島の地震発生から明日で2カ月ということでございます。まだまだ厳しい生活、避難生活等されている方々に心を寄せたいと存じます。被災地では、応急復旧にかかる技術職員、またボランティアが不足しているということ、その拠点、宿泊地等ですけれども、確保できないため作業がなかなか進まないという課題があると聞いております。滋賀県では人的支援として、新たに2月24日、先週の土曜日から3月26日まで32日間、環境省の要請に応じまして、「災害廃棄物処理支援」として、県・市町職員21名を派遣することとしております。引き続き、石川県、能登町、関西広域連合をはじめ関係自治体等と連携しながら、被災地の状況に寄り添った対応を行ってまいりたいと存じます。

明日3月1日、早いもので明日から3月ですけれども、3月1日に関して小倉遊亀さん、滋賀県を代表する滋賀県御出身の、日本を代表する日本画家でいらっしゃいますが、105歳まで絵筆を取り続けられたと。この小倉遊亀さんが1895年、明治28年3月1日生まれということでございます。日本美術院で活躍され、女性として初の日本美術院理事長にもなられたという方でございます。県立美術館で約60点の作品を所蔵させていただいております。通常、常設展で20点程度を展示しておりますが、現在美術館は工事中で4月19日まで休館させていただいております。既に資料提供をさせていただいておりますが、この休館期間を活用いたしまして、御覧の日時、場所でアートイベントを開催いたします。3月2日土曜日は米原市の近江図書館で、9日土曜日は山東図書館で、17日日曜日は高島市藤樹の里文化芸術会館で、3月24日日曜日は江北図書館で開催をいたします。学芸員が出向きまして大人向けの講座があったり、子どもも一緒に楽しめるアートゲームなどもあるそうです。地域の皆様にぜひお楽しみいただければと思います。またこの機会に県立美術館を身近に感じていただければと存じます。

もう1つお出かけ情報ということで、3月2日土曜日から県立陶芸の森におきまして、「特別展 リサ・ラーソン展 知られざる創造の世界-クラシックな名作とともに」が開幕ということでございます。北欧スウェーデンで温かみのある動物や人物をモチーフとした作品で、世界中の人々を魅了する陶芸家 リサ・ラーソンさんの展示会ということでございます。今回は「Seen and Unseen」をテーマにおなじみの名作とスウェーデンの町並みや未知なる動物などで構成された創造の世界を紹介されるということでございます。ギャラリートークやグッズ販売もあるということでございます。また、この信楽高原鐵道、SKR。こちらでラッピング列車も走るということで、トレイン&ミュージアム共通割引チケットも販売されるということでございますので、ぜひ信信楽高原鐵道を利用してお出かけいただければと存じます。

それでは資料に基づきまして、あと一点だけ御紹介させてください。3月8日は「国際女性デー」でございます。女性への差別撤廃や地位向上などを目指すための大切な日であります。1908年、ニューヨークで行われた婦人参政権を求めるデモが起源となり、国連で1975年3月8日を「国際女性デー」と制定されたということでございます。毎年この日には、世界各国で性別を問わず誰もが自分らしく輝ける社会の実現を目指し、イベントを通じて社会の変革を呼びかけているということでございます。日本では総理大臣や男女共同参画担当大臣によるメッセージの発信をはじめ、全国各地で様々な取組が行われます。滋賀県でも今回初めて、県庁舎のライトアップイベントを実施することといたしました。資料に記載のとおり、この日は「ミモザの日」とも呼ばれているということでございます。黄色いミモザの花がシンボルとして親しまれていることにちなみまして、県庁舎をミモザイエローにライトアップするということでございます。ちなみに、知事室の入口にもミモザの折り紙を職員がつくってくれて、かわいく展示されておりますので御覧いただければと思います。ライトアップセレモニーは3月8日金曜日の18時15分から、県庁本館正面玄関前で行います。点灯式は18時30分頃に行う予定でございます。性別年齢を問わず御参加いただけます。御参加される方は、このイベントのシンボルカラーの黄色いアイテムを身に付けてお越しいただけると嬉しいと呼びかけているところでございます。参加者には、ミモザのミニブーケをお渡しさせていただく予定でございます。数に限りがございますので、できるだけ早くお越しください。このライトアップイベントを性別に関わらず、自分らしく輝く生き方について考えるきっかけにしていただければと思います。この件に関するお問い合わせは、黄色いストラップをした職員に聞いていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。ちなみに私は今日黄色のネクタイをしてまいりました。私からは以上でございます。

[共同通信]

先日、出生数の速報値が出ました。全国的な傾向ではありますけれども、滋賀県でも過去最少という数字が出ています。知事は子育て支援に力を入れていらっしゃる中ですけれども、こうした結果の受け止めと、さらにどうしていきたいかということがあれば教えてください。

 

【知事】

まだ速報値ではございますが、出生数が過去最少、日本全国で75万人台、そして滋賀県においても9,698人と、2年連続で1万人を割るということが確実になっておりますし、婚姻、結婚の件数も5,171件。こちらも昨年を下回ると見られております。まず、この状況は状況として受け止めるとともに、引き続き、結婚や出産・子育ての希望を実現できる社会づくり、その環境づくりでありますとか、ちょっとこだわって今私もやらなければならないと思っていますのは、ジェンダーギャップの解消であります。就労環境もそうですけれども、いろいろな意識の問題を含めてこのジェンダーギャップを解消することが急がば回れ、女性も男性もそれぞれ希望を持とう、希望を実現しようという推進力にもなるのではないかと考えているところです。さらには、「子ども、子ども、子ども」と申し上げていますので、数を捉えればこういう状況なのですが、ひとりひとりを大切にする視点を持って、またそれぞれ違う子ども、比べ合う、競い合うのではなくて、ひとりひとりを大事にする視点を持った子ども施策を市町や企業団体、様々な主体と連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

 

[共同通信]

今知事がおっしゃっていたジェンダーギャップの解消、これをやっていかないといけないと思っていらっしゃるということですけれども、現時点で何か具体的なアイディアなどありますでしょうか。

 

【知事】

まず強い問題意識を持って、こういうことを言い始めています。もちろん男女共同参画の様々な計画がありますので、それに基づいた施策を進めていくということと併せて、さらにどういったことができるのか考えていきたいと思います。パートナーシップの制度づくりなどもその1つかもしれませんし、ただ、まだまだアンコンシャスな、気づかずにやっていること、見せていることなどもたくさんあるのではないかと思います。一つ一つ洗い出して変えていきたいと思います。

 

[共同通信]

ロシアのウクライナ侵攻から2年が経って、滋賀県内にも避難されている方がいらっしゃいます。一方で、この状況が常態化しすぎて、最初は多くあった寄付金であったりとか支援が減ってきているのではないかという感じを受けております。もし、滋賀県でデータ的なものがあったら教えてほしいのと、知事から呼びかけ等ありましたらお願いできますでしょうか。

 

 

【知事】

ウクライナにおけるロシアによる侵攻、それに伴う戦禍。加えてパレスチナ・ガザでも同様の戦禍が人々を襲っているということがございますので、こういったことの1日も早い収束、また現地での平和の訪れを私も祈りたいと思います。また、ちょっと常態化してしまい慣れてしまって、関心が薄らいでいるのではないかという御指摘は受け止めながら、御寄付などがどういう推移なのかというデータは今手元に持ち合わせておりませんので、またまとまりましたら提供させていただきたいと思います。いずれにしても避難されている方々への寄り添いですとか、報道で流れる情報だけではなくて、少し歴史なども紐解きながら、どういう見方をすればいいのかというリテラシーなども、ともに高める視点も必要なのではないかなという思いを持って、私はこの今の状況を眺めているところですので、ぜひ祈りつつ何ができるのかというのを一緒に考えていきたいと思います。

 

[毎日新聞]

坂本城の遺跡についてですが、宅地開発を中止することで合意する方針なのですが、県として史跡指定に向けて何か協力の面で考えていらっしゃることがあれば教えてください。

 

【知事】

大津市さんが、市長はじめ皆様方がその歴史的価値を認められ、開発の中止を求められ、保存に向けて動き出されたというその御英断に敬意を表したいと思います。県も、専門員もおりますので、学芸的なスタッフもいますので、寄り添って一緒にこの思いが実現するよう取り組んでいきたいと思います。

 

[読売新聞]

琵琶湖の水位が今日でマイナス40センチですが、今後(渇水)対策本部はどうされる予定でしょうか。

 

【知事】

マイナス40センチで、大体1日1センチずつ回復している状況です。(モニターを示しながら)グラフにするとこういう状況です。今日もこれから雨が降るようですし、山には雪が積もったりしていますので、その雪解け水でさらに水位が回復することを期待しています。以前から申し上げているとおり、マイナス30センチ程度まで見たいので、あともう少しかなと思っています。来週から3月上旬が一つの判断の時期になるのかなと思って見ていますが、いずれにしろ状況を見ていきたいと思います。

 

[読売新聞]

3月の上旬に対策本部を解散するかどうかの判断をされるということですか。

 

【知事】

そうですね。水位の状況を見て、解散をするのか判断したいと思います。

 

[読売新聞]

明日から3月ですけれど上旬ですか。

 

【知事】

 上旬というと10日間ぐらいですか。そうすると大体(マイナス30センチまで)いくんじゃないでしょうか。順調にいけば。今放流量も15トンですかね。最低レベルで下流に流れているようですので、そういったことも影響する面もあるのかもしれません。

[読売新聞]

先日伊吹山で落石があり、1人亡くなるという事故がありましたけれども、その件の受け止めと改めて注意喚起等ありましたらお願いします。

 

【知事】

まずは落石事故で亡くなられた方がいらっしゃるということですので、御冥福をお祈りしたいと思います。怪我をされた方もいらっしゃるということですので、御回復をお祈りいたします。やはり山は危険を伴うということだと思います。そのことを我々ともに認識をしながら、特に今回のコースは表登山道ではなくて、急な岩肌を登っていく「アルパイン・クライミング」と呼ばれる登山を行う上級者向けコースと聞いております。そういったコースやそういったリスクなどについても、皆様方にお伝えしていきたいと思います。また何より、伊吹山は表登山道も通行禁止にさせていただいておりますし、土地所有者でいらっしゃる地元自治会の皆さんは、麓からの登山を禁止されている状況ですので、いろいろと登りたい、極めたいという思いがあるのかもしれませんが、ぜひ今岩肌がいろいろと荒れていたりする状況もございますので、こういった呼びかけに沿った行動をお願いしたいというふうに思います。

 

[京都新聞]

ライドシェアについてお尋ねします。先日の県議会の代表質問の答弁の中で、来年の国スポ・障スポを一つの目標として、ライドシェアの実施を考えるといった答弁があったかと思いますが、なぜ国スポを目標に置くのか教えてください。

 

【知事】

まずは移動するということ。これは私達人間の基本的な欲求を充足する大切な手段、またテーマだと思います。したがって、それを可能にする交通というものについても、今、「滋賀地域交通ビジョン」という形で、誰もが行きたいときに行きたいところに移動できる滋賀を目指そうということで、様々な地域そして様々な個人の移動ニーズにどう応えていくのかということを考えているところです。そのニーズを充足しようとすると、やはり既存の公共交通だけではなかなか大変だということもわかってきましたし、昨今の運転手不足による減便、こういったことも私達は直視しなければならないと思っています。したがって、このビジョンに基づく交通計画をこれから(令和)6年度7年度の2か年かけて、みんなで議論してつくっていくことになりますが、その中にライドシェアというのも選択肢の一つとして入れるべきじゃないかと考えています。運転することができる人、人を乗せて運ぶことができる人と、乗せて運んでいってほしい人を結びつけて、どのような移動手段をつくることができるのか、もう既に福祉輸送という形でやられているところもあると思いますので、安全を第一に、滋賀らしいライドシェアというものを施行できればということを考えております。特に来年行われる「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」、こちらは当然バス等も活躍していただくことになるのですが、それだけで全ての方の移動を満たせるわけではないので、多くの方が来られ、動かれるという、こういうタイミングはぜひ捉えて、生かして、様々な試行を行っていこうじゃないかということを申し上げ、答弁の協議をさせていただいた上で、代表質問でお答えしたということでございます。

 

[京都新聞]

不足するであろう公共交通を補う一つの手段として、ライドシェアを考えてみようと、そういう御趣旨なんでしょうか。

 

【知事】

そうですね。補うというか今ある公共交通だけでは足りない。そういった供給を、移動手段というものを、このライドシェアというもので賄うことができれば、どういうことが可能なのかというのを考えていこうということです。

 

[京都新聞]

試行とする場合、例えば国スポ・障スポにどれぐらいの人が訪れるのかとか、全国から選手や監督や応援の方が来られるというところで、どういうふうに組み立てていくのか、なかなか難しいところもあるのではないかなと思うのですけれども、約2週間の開催期間の国スポ・障スポに向けて今から準備をしていくということなのでしょうか。

 

【知事】

もちろん、試しに行うことは国スポ・障スポ大会時だけではなくて、いろいろなところ、いろいろな機会を捉えて、やることになると思いますが、一つの象徴的なイベントとして、国スポ・障スポというのはあると思います。当然そこで様々なライドシェアの取組をしようと思えば、準備は今年から進めていかなければならないと思っていますので、着実に検討や準備を進めていきたいと思います。

 

[読売テレビ]

北陸新幹線が敦賀まで延伸開業されますが、滋賀県としての受け止めをお願いします。

 

【知事】

北陸新幹線が延伸され石川県から福井県、そしていよいよ敦賀まで来ることになります。そのことは、歓迎し、新しい新幹線、新しい駅を活用して多くの方々が来訪されることを期待したいと思います。滋賀県としてはそこから繋がる湖西線、開業50周年の節目を迎えますし、北部振興という形で北の玄関口である長浜市や高島市、米原市の振興を今やろうとしているところですので、観光を含め、そして様々な関係人口を含め、多くの方々がお越しいただけるように、来年度の予算の中にもいくつかそういったメニューを入れておりますので、それらを使いながら、人の流動、滋賀県への流入を促していきたいと思っています。

 

[読売テレビ]

敦賀以西の延伸については、小浜・京都ルートが現在決まっていますが、改めてそのルートに関する知事の御意見を伺いたいと思います。

 

【知事】

やはりこういった高速鉄道ネットワークというのは、都市と都市、駅と駅が繋がって、その機能をより発揮できる状況になると思いますので、敦賀以西につきましても、1日も早い延伸と、そして延伸された区間の開業を願いたい、求めたいと思います。累次にわたる要請活動もさせていただいております。ただ、様々な課題がありますので、そういった課題克服に向けて、着実な、例えば環境影響評価ですとか、そのことを丁寧に住民の皆様方に説明する、そういった取組もあわせてお願いしたいと思います。

 

[読売テレビ]

今「課題」とおっしゃいましたが、知事が認識されている課題というのは具体的にどういったものがありますか。

 

【知事】

たくさんあると思いますよ。まだまだ。そもそも財源をどう工面するのかということもありますし、トンネル、地中を走行するということになれば、それを掘ったときに出る土をどこでどう処理するのか。また、どこを掘るのかということによりますが、水脈、水というものがあるとすれば、そういった懸念をどのように解消するのかといったような課題が、今想定されているだけでもあると思っていますので、そういった事々を乗り越えていく必要があると思います。

 

[読売テレビ]

湖西線が並行在来線になるのではないかという見方もくすぶっていると思いますが、それについてはどうお考えでしょうか。

 

【知事】

その見方というのは、どなたがどこでどのようにされているのかということは承知していませんけれども、私どもは敦賀以西新幹線延伸に伴う並行在来線は存在しないということを申し上げ、これも累次にわたり各種要望などに入れているところでございます。特にその新幹線ルートが通らない県において、これが並行在来線だと指定された例はありませんので、かつ今の制度では、並行在来線経営分離の同意というのが着工条件の中に入っていますので、1日も早い着工をするためにも、そういった条件に沿った取組をしていくことが肝要かと思います。

[読売テレビ]

その件に関してJR西日本さんからは何か返答があるのでしょうか。

 

【知事】

今ここで御紹介できるような形でのこの件に関する御返答等はございません。

 

[読売テレビ]

米原ルートの再考を求める声が隣の京都市長選とかでは出ていたと思いますが、それについてはどうお考えでしょうか。

 

【知事】

選挙のときに、それぞれの方が何をおっしゃるのかということにまで私どもがいちいちコメントすることは控えたいと思います。北陸新幹線敦賀以西の米原ルートというのは、私どもも当初はこのルートを検討する際に関西広域連合の同意に基づいて主張をいたしましたし、限られた財源(の中で)、より早く延伸、接続ということでいえば米原ルートが最適ではないかということを申し上げ、検討に付してきましたけれども、その検討と最終的な判断の結果、小浜・京都ルートを決められたのであれば、そのルートをできるだけ早く開業させていくということに心血を注いでいくべきだと思います。ただ、ここでも申し上げたことがあるのかもしれませんが、その先にある例えば中京新幹線など、新たなネットワーク、これは基本計画などでも書かれていますので、そういった中で、この北陸と中京圏を結ぶ滋賀県の位置というものをどのように保ち高めていくのかという視点は常に持って検討に参加していきたいと思います。

 

[中日新聞]

2点伺います。まず1点目、ダイハツの問題で昨日コメントもいただきましたが、(滋賀工場が)一部再開ということで喜ばしいことであるかとは思いますけれど、約2か月間操業が止まっていたということもあってかなり影響があるかと思います。その点も含め、改めて知事としての御意見をお伺いできればと思います。

 

【知事】

ダイハツ工業の生産出荷再開という報を聞きました。まだまだ一部の車種ということでございますが、このように再開が決定したということであれば、これは信頼回復に向けても大きな一歩だと思います。またその信頼回復の先にあるそれぞれの方の生活ですとか事業そして経済、こういったことにも大きな一歩になると思いますので、その流れが続くよう、また広がるよう期待したいと思います。

 

[中日新聞]

2点目、東近江市でベトナム人の方が殺害される事件がありました。詳細についてはまだ捜査中で情報があまり出ていませんが、今、県が高度理系人材としてベトナムの方との交流を進めている中でこういった事件が起こり、もちろん理由はわかりませんし、この事件が直結するかわかりませんが、文化の違いということはあるかと思います。文化の違いを乗り越えるために、知事としてはどのようなことが必要か、お考えを知りたいです。

 

【知事】

他国から来られ、暮らされ、働かれている方が県内の事件において県内において亡くなられたということに対しては心を痛めております。個別の事件に関するコメントは控えたいと思いますが、今お尋ねいただいたように、外国籍の方も夢と志を持って一緒にこの地域で住み、そしてそれぞれの方が能力を生かして働かれているわけですから、そういった方々に対する思いやり、一緒に過ごしていくのだという多文化共生の視点というのは、私達は大切にしなければいけないと思います。先般も第20回の「びわこ日本語ネットワーク外国人による日本語スピーチ大会」に私も参加いたしまして、12名のスピーカーから様々な視点での御提言なりお話を伺いました。とても感銘を受けました。その12名のうち、ここに来るまでも相当数セレクトされていらっしゃるらしいのですけれども、ベトナムから来られた方が4名いらっしゃいました。おそらく一番多くのスピーチだったと思います。インドネシアの方も3名いらっしゃいましたので、そういう意味で多くの方が今、滋賀県内で先般発表があったように外国人県民の中で国籍別でいうとベトナムの方が一番多くなってもいますので、単に「来てください、一緒に働きましょう」ということだけではなくて、寄り添いというのも大事にしながら多文化共生の具体の取組を進めていきたいと思います。

 

[滋賀報知新聞]

あえて周知の事実について確認をさせていただこうと思います。この6日に県議会の大野議員控え室に対して大津地検が家宅捜索を行い、議会事務局次長が1時間、それに立ち会われたと承知しています。知事は御存じであるのか、もし御存じならそれに対してどういうような受け止めをされたのか、あわせて伺いたいと思います。

 

【知事】

県議会に地検による家宅捜索が行われたというのは存じ上げております。ただこういった個別の案件、捜査に関わる案件についてコメントすることは控えたいと思います。

 

[朝日新聞]

先ほどお話が出た公共交通の財源の問題について、これから県民に理解を求めていくことになると思いますが、その考え方をどのようにしていくかということを知事にお伺いしたいと思います。今考えていらっしゃるように税という形で求めていくのであれば、受益と負担を一体化するとか、応益性ということは基本的な原則になると思います。知事はこうした財源について県民に対してどのような考え方で理解を求めていこうと思ってらっしゃいますか。

 

【知事】

まず公共交通をどのように維持また利便性を向上させていくのか、サービスを向上させていくのかというのは、私達の暮らしにとって極めて重要な課題だと思っています。今日も県政経営会議で議論したのですが、防災にもつながる、健康にもつながる、環境面でも重要だなどなど様々な副次的な効果もございますので、県庁として総合的な視点に立ってこのビジョンづくりに取り組んできました。このビジョンもいよいよ取りまとめの時期を迎えて、ビジョンに基づく具体の施策を考える計画づくりに今度入っていきます。あわせてこのビジョン、計画を実現するための財源についても一緒に、並行して考えていこうと。この財源につきましては、従前から申し上げておりますようにそれぞれ利用したときに利用者が払う料金、これが事業者の収益としてありますので、こういったものから捻出されるものと、そして既存の国・県・市町から払われる補助金とがございますので、そういったものをどのように組み合わせて施策を実施していくのかというのがベースになると思います。ただ、それだけでは足りない場合に他にどのような財源を求めていくのか、つくっていくのかという議論も逃げずにやっていこうということで、例えばその一つの選択肢として交通税というものがあり、広く負担・分担をするとすればどれぐらいの財源が生まれ、どのような施策が可能になるのかということも一緒に考えていければと思っています。

[朝日新聞]

利用する人が負担をするというのが原則的な考え方だと思いますが、パブリックコメントを見ている中で、利用する人は払う、利用しない人は払わないという考え方でいいのかなと感じるところがあります。知事としても受益者が負担するという考え方での負担の求め方というのを想定されているわけですか。

 

【知事】

私の考え方はですね、最近広く一般的になりつつあるのではないかと思っていますが、当然利用者すなわち受益者は負担をされるというのはあると思いますが、それだけではなく受益というものを広い意味で捉えて、クロスセクター効果というものも見ながら、そこに線があったり、そこに交通があるということがもたらす効果というものを広くとって、利用しない人も含めて、今利用しない人も含めて、私は利用しないけれども家族は利用するという人も含めて、負担をしていくということも一つの考え方ではないかという、そういう視点に私は立っています。

 

[朝日新聞]

そういうお考えなのですが、例えば社会保障の受益と負担の問題については、受益をするのは高齢者が多くて、主に負担を担っているのは働く世代だということで、このギャップが今いろいろ問題になってるわけですよね。若い世代に対していずれ歳をとってあなたも受益者になりますよという、そういう説明はあったとしても納得感はなかなか難しいのかなと思います。こうした受益と負担をなるべく一体化させるということで、受益の対象者を極力広げる。知事もおっしゃいましたように、例えば自分が利用しなくても家族とか、あるいは将来車が運転できなくなったとか、あるいは怪我をしたときには公共交通を利用するのではないかという可能性を含めて、受益者としての広がりを広くとって、受益と負担の一体化を進めるという考え方はわかるのですが、それは結局、利用する人が負担をして、利用しない人は負担をしないという、何かしら利用する人と利用しない人とを分けてしまうような考え方、あるいは結局利用しないのに税負担をするというのは損をする、損得みたいな考え方になってしまうのではないかとか、あるいは県外の人はどうするのだというような考え方になってくると、知事が日々おっしゃる「誰も取り残さないでみんなでつくる社会」という考え方からするとどうなのかなと感じているところです。

パブリックコメントを見ても、結局誰が負担するのかという話や100円ぐらいならいいよという議論になってきているようですが、むしろこうした公共交通に対する財源のあり方を考える上では、受益と負担という考え方よりも、みんなでどういう社会を望んでいるのかと。望む社会をつくるために皆さんで力を合わせてやっていきましょうという意識というか考え方を共有していくということの方が、これから新たに公共交通をつくっていく上で、県民として支えていこうという形で理解や納得感が得られる方向に行くのではないかと感じます。だから通常の受益と負担を一致させればいいという、一番究極のところは施設を使った費用を払う手数料のようなことではなくて、誰が使う・使わないではなくて、より良い社会を築くためにみんなで参加しましょうと。むしろ負担というよりはみんなで参加してこの社会をつくっていくのだというような形での説明、理解を求めていく方がこの考え方にはふさわしいのではないかと感じるのですが、いかがでしょうか。

 

【知事】

既にお尋ねになりながら、私が答えようとしてることも含めておっしゃっていただいてるなと思って今お聞きしました。当然、受益と負担、その合意形成というのは大事な話だと思います。同時に難しい話だと思いますが、自治の問題でもあります。自分たちの地域をどのように負担し合って支え合っていくのか。と同時に、この公共交通の議論をすると「交通はどうなるんですか」「財源どうするんですか」「じゃあ負担ですか、税ですか」ということだけが注目されるのですけれど、私達が今ビジョンをつくり、どんな暮らしがしたいのか、またどんな社会をつくりたいのか、そのために私達がどんな関わり方ができるのかということを問い、一緒に考えようとしておりますので、まさに今おっしゃったように、私達が住んでいる地域、またこれからも住んでいく地域をどうしたいのかという議論が盛り上がるように、中身が充実するように、その一つのテーマとして交通というものがあるのだと私も思います。

 

[朝日新聞]

そこはすごく大事なところだと思っていて、もちろんそんなに悠長にやっている場合ではないのかもしれないですけれど、どうやって負担するのかみたいな議論が先行してしまうとちょっと違うかなと。去年だったかの年頭に知事が「本当の豊かさとは何か、幸せとは何かということをみんなで考えていこう」ということをおっしゃったと思いますが、そういうことが非常に大事だと思います。そういうことがあってはじめて、その次にそれをみんなでつくっていくのだったらどうしますかと進めて行くあり方というのが大事かなと思います。知事がよくおっしゃっているとおりなのですが。制度設計はもちろん大事だし、進めていかねばならないのはよくわかるのですけれども、進めていく前提として、どういう社会をみんなで共有し、みんなが参加してやっていくのだという意識づくりということを非常に丁寧にやっていっていただきたいなと思っておりますのでよろしくお願いします。

 

【知事】

今の御指摘は胸にしかと受け止めたいと思います。これからの議論の中でも。とかくそうなんです。目の前の交通、確かに悠長なことをいっていられない課題もあるのです。どんどんバスが減便になるとか、まだまだバリアフリーができてないとか、行きたいけれどもなかなか行けないのだという、そういったことがあるので、そういう思いも受けつつ、しかし、拙速にならないようにもっとどういう社会に、どういう暮らしにという大きな視点も大事にしながら議論をしていきたいと思います。ぜひ一度また、朝日新聞の特集などで議論しませんか。大事な視点だと思います。

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