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知事定例記者会見(2023年12月19日)

令和5年12月19日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

おはようございます。今日もよろしくお願いします。東京の(いちごの)「みおしずく」の初競りの単価、特選パック12粒入りでなんと3万円の価格がついたという速報の御連絡がございました。

先だって行われた県政経営会議で、危機管理対応について体制を徹底するように改めて指示をいたしました。特に寒波が襲来しておりますので、大雪に対する警戒、昨冬、帰宅途中に列車で長時間滞在されるという事態もおこりましたので、とりわけ民間企業との連携、情報共有ということと、大津はこういう状況ですけれど、北部、山間部は積雪しているという状況がございますので、そういった情報をこまめに共有することについて改めて指示をいたしました。

もう一つは、鳥インフルエンザの対応でございます。野鳥の糞便から鳥インフルエンザの陽性が出ていますし、大津の湖岸に多くの野鳥の死骸が打ち寄せられるという状況がございます。したがって、すべて原因や陰性、陽性分かるものばかりではありませんが、これだけ寒くなり、これだけ多くの野鳥が飛来しているということもございますので、今一度この防疫体制を徹底してまいりたいと思います。

雪に関しては、最新の気象情報、交通情報を確認してください。また、雪が降りそうな時や大雪時の外出を控えることも御検討ください。やむ得ず車で外出するときには、必ず冬用タイヤの装着、そしてタイヤチェーンの携行をしていただきたいと思います。

また、鳥インフルエンザに対しましては、「餌をあげない」ということもそうなのですが、「近づかない」、「触らない」ということも原則にしていただきたいと思います。もし仮に、触ってしまわれた場合、糞便等踏まれたということがある場合は、消毒していただくということを呼びかけたいと思います。

もう一つは、映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」が大変好評を博しているようでございます。関連する企画といたしまして、WEBアンケート『琵琶湖以外は何もないのか⁉』というものを先週末、12月15日まで行いました。総数1,500件を超える滋賀にまつわるエピソードなどをいただいたということでございます。ちなみに、県民の方から1,100名を超える、また埼玉県民の方から72名、その他で300名近くのお声が寄せられたということでございます。私もまだ詳らかに見てはいないのですが、いろいろ面白いこと、またこれからの施策づくりのヒントになるようなことも寄せられていたということですので、また共有、分析をしていきたいと思います。ちなみに、今週末22日金曜日には、このアンケート結果を埼玉県庁に持参して、両県で結果分析を進めるそのキックオフ、呼びかけなどを行う予定でございます。別紙に資料も提供されているようですので、御覧いただければと存じます。

それでは話題提供、今日は1件です。こちらも資料がございます。2025年日本国際博覧会しが推進会議、「万博しが」を先週13日に設置しましたが、第1回の会議を26日火曜日に開催いたします。この会議は、いよいよ近づく大阪・関西万博に向けた滋賀県の取組内容を共有させていただき、取組を一層広げていきたい、県全体として万博に向けた機運醸成も図っていこうという目的でございます。会議の構成メンバーは、経済会、市町行政機関のほか、教育、文化、福祉、環境、農林漁業、金融機関、放送局など多様な分野の団体から御参画をいただいています。「オール滋賀」の体制をつくりたいと思います。県としての取組は、関西パビリオンへの参加、また万博会場内で行われる催事の組み立て、観光誘客、子どもの参画、そして、県内で行われる催事、加えて、6つ目として様々な企業、事業所、産品等のマッチング、ビジネスマッチングなどを行っていく、その土台をつくっていきたいと思います。それ以外の取組も含め、それぞれの構成団体等において、万博に向けた取組状況を共有したり、拡散したりしていただくことで、それぞれ所属の団体、また関連する団体、企業などが様々な形で取組を実施いただく、また御参画いただくことによって、万博開催のメリットを最大限滋賀に引き込んでいきたい、そしてレガシーをつくっていきたいと思います。「いのち輝く未来社会のデザイン」でございますので、水のつながりを含め、最大限この万博の効果が県内においても発揮、発現できるよう努めてまいりたいと思います。私からは以上でございます。

[共同通信]

映画「翔んで埼玉」の件について、大変多くのアンケートのメッセージが寄せられたということなのですけれども、公表できる範囲で例えばどんな意見があったのかを教えていただけますでしょうか。

 

【知事】

また別途公表するようです。今とりまとめています。ざっと見た感じだと、忍者のこととか戦国武将のこととか、石垣のこととかいろいろなことがあるようですが、改めてどういうお声があったのか、またどういうお声が多かったのかをテキストマイニングという手法で皆様方にも御覧いただける状態で公開したいと思います。

 

[共同通信]

22日に埼玉県庁に持っていかれるという非常におもしろい企画だなと思います。いただいた資料の概要のところにもアンケートの集計分析の結果報告とあるのですけれども、この日のうちに何かまとまった結果が出るのでしょうか。

 

【知事】

何かこの日に出せるように準備をするようです。

 

【担当課】

滋賀県のイメージキャラクター「うぉーたん」と埼玉県のマスコットキャラクター「コバトン」で結果を共有させていただくという形です。詳細はそちら(12月22日)の報告会でまず公表させていただきたいと思っておりますので、ぜひお越しいただければと思います。

 

[共同通信]

琵琶湖の水上バイクの関係で、条例改正をしようという動きがあると思います。水上バイクの事故が多かったということを受けてだと思うのですけれども、改正することの意義を改めて知事からお聞かせいただければと思います。

 

【知事】

琵琶湖をお預かりする本県では、たくさんの恵み、また同時に時として災いをもたらされるそういう存在でありますが、何より楽しまれる方々についても安全にお過ごしいただきたい、お楽しみいただきたいということでございます。とりわけ、この水上バイク等につきましては事故も起こっていたということもございますので、特に酒気帯び操船の禁止でありますとか薬物操船の禁止でありますとか、こういったことごとを規制強化するために改正させていただければということで現在検討しているところでございます。先週末からパブリックコメントを実施していますので、多くの御意見をお寄せいただければ、それをとりまとめた上で、来年の令和6年2月議会の上程を予定しております。安全に利用していただくために、飲酒して船を操船しないということはもちろんのこと、ルールやマナーを守っていただき、安全に琵琶湖を楽しんでいただきたいという趣旨のものでございます。それ以上でもそれ以下でもございません。

 

[共同通信]

国会で安倍派の裏金問題から発展して、かなり岸田内閣の支持率が落ちている状況です。解散を求める声も一部あったりとか、いろいろ揺れ動いている状況ですけれども、知事は今そのような状況をどういう観点で見られていますでしょうか。

 

【知事】

今日この会場に来る前に、派閥事務所に検察の捜査が入ったということが大々的に報じられていました。こういう状況は、物事を決めていく政治や国会、政府与党に対する信頼を損なわせるものになると思いますので、一日も早く収束するよう、また必要な説明が行われるよう求めたいと思います。やはり、大事なことを決める、また実行する政府・与党の信頼がぐらつきますと、政治も停滞します。国の政治の停滞は、地方にも影響、波及いたしますので、そういうことが最小限に収まるよう願っています。我々も選挙で選ばれる一員として、そのことは自戒、自律してまいりたいと思います。

 

[共同通信]

今の状況が収束するように求めていきたいとおっしゃいましたけれども、どのような形で求めていかれる御予定ですか。例えば、知事会を通してとかでしょうか。

 

【知事】

すでに指摘される事項というのは、社会的にもまた政治的にも伝えられていると思いますし、十分当事者の方も御存じいただいている方も多いと思います。今回の捜査等でまた分かってくることもあるでしょうから、分かったことに対する、明らかになったことに対する説明責任とそういったよくない事象が起こることに対する法的な手当て等を行っていくということが必要なのかもしれません。

 

[毎日新聞]

関西万博について、万博しがの42団体は具体的にどういった企業や団体で構成されるのでしょうか。

 

【知事】

委員構成としては、会長を滋賀県が務める、そして副会長を滋賀経済団体連合会と滋賀県教育委員会とで担わせていただき、その他委員につきましては、先ほども一部申し上げましたが、市町の関係、そして、産業、経済、観光などの各種団体、そして、輸送を担当される具体的には交通事業者のみなさん、そして旅行業を担当される方、教育、研究機関、さらには文化振興、環境保全、社会福祉、農林漁業、金融、放送関係の方々に御参画をいただきたいと考えております。

[毎日新聞]

昨日、大津祭がユネスコの無形文化遺産の追加申請の候補に選ばれました。今後さらに大津が盛り上がっていくことも期待されると思うのですが、知事としての受け止めを教えてください。

 

【知事】

滋賀、近江の、湖国の三大祭の一つである大津祭の曳山行事がユネスコ無形文化遺産の提案候補に選定されたのは、とても喜ばしいことであると思っています。長年続く、そして特徴的なこういった行事が世界的にも認められることを願っておりますし、コロナもありましたので、こういう行事を守る関係各位に改めて敬意を表したいと思います。ぜひ、この良さを、価値魅力を多くの方に知っていただけるようみんなでPR、発信していきたいと思います。

 

[中日新聞]

先ほどの大津祭に関連しての質問なのですが、昨日に大津祭保存会の方の会見がございまして、その際にやはり無形(文化財)というからには担い手の確保というのがすごく課題となっているとおっしゃっていました。どんどんと町内の人口が減っていて、子どもが特に顕著に減っているということで、こういったところを確保していくのがすごく大変であるとおっしゃっていたのですが、ユネスコに登録されてもそういった(担い手の確保に対する)支援というのが新たに増えるわけではないともおっしゃっていまして、そこの部分というのは各お祭りの保存というのをすごくいろいろな場所で、多分大津祭以外にも苦労されているところがあると思うのですが、そういった祭りの担い手の確保について、県の方で補助をするような考えだとか、支援していくような考えはありますでしょうか。

 

【知事】

そういった課題や悩みには寄り添いたいと思います。大切な祭り、また国内、世界で認められる誇るべき祭りの担い手が細っていくという状況は、当事者のみならず地域文化の継承という観点からもとても重要な課題だと思いますので、そこは共有して一緒に考えていきたいと思います。一朝一夕に子どもが増えるわけはなく、子どもが増えて参加が望めるわけでもないですが、そういう意味でもユネスコ無形遺産への登録が実現すれば地域の方の誇りの醸成の一助にもなるでしょうし、魅力発信の材料にもなるでしょう。もちろん他府県にお住いのその地域出身の方々も戻って関わろうとか、移り住んで参加しようとか、そういったことにもつながる面もあると思いますので、この好材料をうまく使っていければと思います。

 

[中日新聞]

先日大河ドラマ「どうする家康」が終わり、いよいよ来年からは「光る君へ」が始まります。大津で紫式部が源氏物語の構想を得たのではないかということで、かなり地元も盛り上がっている状況ではあります。そういったところへの期待というのはいかがでしょうか。

 

【知事】

「どうする家康」はすべてフルタイムで見られたわけではないのですが、とても興味深く拝見しました。戦国時代のいろいろなことごとが描かれると、「近江」というのは舞台にもなりますので、そういう意味で新たな気づきや学びも得ることができました。そういう意味で今度は「光る君へ」ということで、源氏物語の着想を得られた石山寺、また紫式部というものが題材の中心に据えられるとするならば、その時代の石山寺をはじめとする滋賀、湖国、琵琶湖、京都がどういう状態であったのか、様々に描かれるでしょうから知らないことも多くありますのでとても楽しみにしています。源氏物語そのものが題材になるということはないのかもしれませんが、どのように描かれるのかいうことはとても興味深いですね。また、紫式部の生涯そのものをとっても越前に至る湖西地域、長浜、米原地域などゆかりの地域も多くありますし、源氏物語ということで言えば、北村季吟先生の「湖月抄」という解説書などもございますので、縁、関わりというのは多くあると思います。そういったことごとを絡めて皆さんに(滋賀のことを)知っていただく、そういうきっかけにしていきたいと思います。私たち自身が学んで盛り上がれるようにしたいと思います。

 

[NHK]

野鳥の糞から鳥インフルエンザが検出されたということで、昨日も対策に取り組んでいくとお話がありました。今後の対応予定と改めて県民に対してどのような注意喚起をされるのでしょうか。

 

【知事】

寒くなって、冷たくなって、寒冷の季節になり、こういった野鳥、家きんにおける鳥インフルエンザ対応が従来にも増して必要な状況になってきています。したがって、県民の皆様、また飼養される皆様方に改めて注意喚起をさせていただいております。特に野鳥につきましては私たちの暮らし、憩いの場などで接する機会も多くあると思いますが、えさをやったり、近づいたり、触ったりされることがないように、また死亡しているものに触れたりすることがないように御注意いただきたい。飼養する皆様方には防疫対策の徹底を改めて求めているところです。昨年度大変多くの鳥インフルエンザが発生いたしまして、殺処分等を行いました。そのことが卵等の不足にもつながったということでございますので、今シーズンも早めから対策をとり、注意喚起も行ってきました。昨シーズンよりはやや少なめで推移しているようでございますが、冬の期間は多くの野鳥が過ごす琵琶湖周辺地域でもあり、また例年にはない野鳥の死亡事例なども発見されているということを捉えて、改めて緊張感を持って対応していきたいと思います。皆様方も御心配されすぎる必要はないのですが、少しそういう季節に入ったんだ、そういうことが広がってきているんだということをお心に置いて、御対応、お過ごしいただきますようお願い申し上げます。

 

[NHK]

先日の常任委員会で「滋賀地域交通ビジョン」の素案が示されましたが、一方でバスなどの減便や廃止も報道発表されるようになりました。(バスなどは)交通ビジョンの中に掲げられている「地域交通」の主となる部分だと思います。バスが減便され地域の交通手段がなくなるという事態に対してどのような対策をお考えでしょうか。

 

【知事】

私たちは議会でも一部御説明しはじめていますけれども、2040年代を展望した「滋賀地域交通ビジョン」をつくろうということで、多くのお声を伺い、今とりまとめをしているところです。その中で4つの地域分類を行いまして、施策をつくり、また施策を実現するための財源の試算もしはじめているところであります。ですが、今お尋ねいただいたように私たちのビジョン構築のスケジュールを上回る形で、運転手不足や経営の厳しさゆえに、また思ったように乗客していただけないといったことから減便が進んでいるという実態があります。したがって今日も経営会議の場で「滋賀地域交通ビジョン」をしっかりと今年度中に完成させること。そしてそのビジョンの中で「より良い暮らし」、「健やかな日常」、「環境配慮型の生活」、「楽しい公共交通」、こういうものを時間軸と他人軸を持って示していくことについて改めて指示しました。並行してビジョンに基づく実施計画をつくろうということで、誰がどこで何をするのか、そこに国、県、市町がどのように関わるのかということを整理しようと。そして、ビジョンを実現すること、実施計画を実行するための財源をどう工面、負担をするのか議論をしようと。例えば、その一部を交通税に求めた場合、誰がどのくらい負担することが合理的なのか案を提示しよう。そして税収がどれぐらい得られ、だれが、どこで、それらをどのように使うのかを合わせて議論していこうと。「参加型税制」で丁寧に議論を積み重ねていこうということを申し上げたところでございます。やはり公共交通、日常交通、通勤・通学の手段、買物・通院等の手段というのはとても大事なものでありますが、民間事業者の経営だけに委ねていると厳しい面もあると思いますので、そのあたりを共有し、どのような方策を見出していけばいいのかということをスピード感を持って対応していきたいと思います。

[日経新聞]

(滋賀地域交通ビジョンの)素案について、これまでと違ったのは、県民へのアンケートをもとにして、3段階に分けてどういうふうに(施策を)構築していけばいいのかと想定されたことです。理想のところだと金額が結構大きく、総額でしか出ていないけれども、単純に県民1人当たりで割ると年間で9100円ぐらい。普通はこういうふうに考えずに世帯ごとにと考えれば多分3万円とか、そういう世界に入っていく。バスと鉄道だけ(の試算で)これだけの金額になると。これは知事からみて(県民の)負担が大きいなと思われますか。

 

【知事】

まず今回、県として「誰もが、行きたいときに、行きたいところに移動ができる持続可能な地域交通」という目指すべき姿を描いて、4つの地域分類を行いました。「地域交通の分担率が高く、人口密度も高いところ」ここは地域交通の積極的な利用を促していきたいと思います。ただ、それ以外の「車の分担率が高く、人口密度が高いところ」、「車の分担率が高く、人口密度が低いところ」、さらには「車の分担率が高く、人口密度が低く、車利用を主とし、(地域交通は)最低限の(サービス)レベルを確保するところ」の4つに分け、加えて現状と同じでいくのか、県民が望む最低限を確保するのか、理想として望む地域交通を施策を入れてやるのか入れずにやるのか。今おっしゃったようにバスに今回は鉄道を入れて財源の試算をさせていただいたということであります。おっしゃったように、あくまで試算ですがかかる費用というのは小さくありません。そのすべてを交通税で賄おうという議論をしているわけではないということも強調しておきたいと思います。当然、今の国の財源をどう充てるのか。また県、市町が持っている施策をどう充てるのか。さらには事業者がどうがんばるのか。利用者がどう負担するのか。というものは当然あった上で、仮に今ない交通税というものを導入するとすれば、どういう施策を打っていけるのか。ということを示していくのがおそらく来年度になるので、この議論を積み重ねていこうということです。

 

[日経新聞]

県民の方にどういうふうに説明していくかということかと。これまでの説明、県民への話の仕方というのは「あなたは電車、バスを使いますか」という受益者負担の話を中心にされてきたと思いますが、地域交通というのは多分そういうことではなくて、電車、バスがあることによって地域経済全体が振興されるかどうか。つまり商店街というものが電車があることによって存立している。電車がなくなると人が来ないから存立しなくなる。そうすると商店街の人たちの所得はなくなるし、あるいは地域が廃れるということになる。それが全国各地で起きているシャッター商店街みたいな話になってくる。ですので、やはりマクロ面からも説明していかないと、「私は使わないから公共交通はなくてもいいや」という小さな議論になってしまう。そうではなくて、地域交通があること、盛り上げることがあなたの所得にも関わってくるのだというマクロ的な説明の仕方をしないとなかなか理解を得られるような金額じゃないと思います。予算の組み替えや国からの補助金だけでは賄えないので、おっしゃるような交通税というのは当然検討していかないといけないと思います。とにかく人口が減っているので、絶対に毎年負担額は増えます。これをどう県民に説明していくのか、方法を変えていくのか、このあたりをお聞かせいただけますか。

 

【知事】

とても大事な観点です。これから1時間いただいて議論したいぐらいのテーマだと思います。今おっしゃったように、ミクロの観点とマクロの観点の両面が必要だと思います。利用者負担、受益者負担、使う人がどう思うのか。また使わない人との関係はどう考えるのか。それは先ほども申し上げた時間軸と他人軸がまさにそれでありまして、今は使わないけどいずれは使うかもしれないということ。私は使わないけど私の周りの誰かが使うかもしれないということ。住民は使わないけど観光に来られた方が使うだろうということ。こういう議論を少し視野を広く、みなさんでしていただける素材を私たちがどれだけ提供できるのかということと、やはり住んでいる町に公共交通があること、便利なことによってどう変わっていくのか。こういうこともあわせて示していくことが必要だと思いますので、いよいよそういうことが本格的になってくるということだと思います。いずれにしてもみなさんが危機感を持って御覧いただいているということもそうですし、どこかに財源があるわけではなく、何かしようと思えば誰かが負担しなければならない。もちろん民間事業者にもがんばっていただきますし、私たちも(国へ)要望もいたしますが、その民間事業者の経営の状況というのも共有した上で、滋賀県らしい解決策を見出していきたいと思います。

 

[日経新聞]

エキスポ(万博しが)のことですが、知事が会長、議長をされるのですか。

 

【知事】

会長、議長を知事がやらせていただくというのが筋だと思っています。ただ、みなさんの御賛同が得られるかどうかというのはきちんとお諮りしたいと思います。(第1回の会議で)確認することになると思います。先頭に立って旗は振りたいと思います。

 

[京都新聞]

交通税についてですが、来年度に交通税の話もしていくとのことでしたが、話をしていく前提として、たたき台というものがあると思うのですが、交通税のたたき台は知事はどのようなものをイメージされていますでしょうか。また、県民の参加を得ての議論の形というのはどういうものを想定されていて、どれぐらいのスケジュール感で行っていくのか教えてください。

 

【知事】

交通税のイメージというものを今我々が持っているわけではありません。税制審議会でも精緻な議論をしていただく必要があると思っています。ただこれまでの税制審議会の議論の中で、法定外目的税なのか住民税を活用するのか選択肢は示されはじめていますので、そういうものが基礎にはなると思います。また議論の形というのもとても大事だと思っています。行政だけというわけでなく、専門家だけでやるということでもなく、広く多くの方々が議論に参加できる、参加型税制というのを標榜していきたいと思います。スケジュールにつきましては、滋賀交通ビジョンの素案がたたき台として、形づくられつつありますので、多くの方のコメントもいただいた上で、何とか年度内に一定のビジョンをつくった上で、ビジョンを実現するために実施していく施策、プログラムなどをつくりながら、それを推進するための財源というものも新たにお示しし、その一部として交通税というものをもとめた場合にどのようになるのか。そういう議論を来年度本格的にやっていくことになると思います。常々、私は「この3期目で交通税の絵姿を県民の皆さんにお示しすることが使命だと思っています」ということを申し上げていますので、そのスケジュール感は持った上で丁寧に進めていきたいと思います。

[京都新聞]

もう一点、大津港周辺に野鳥の死骸が大量に漂着しているということについて、死骸の状態から(鳥インフルエンザ)の検査ができないものがあって、原因の判明ということについては時間を要しているということですが、一方で住民の方、散歩される方が多い場所でもあるので、結構不安に感じておられると思いますし、また観光面でも死骸が漂着しているというのは景観的によろしくない状況だと思います。(鳥インフルエンザ)の検査は難しいと思うのですが、それ以外で何か対応というのは考えられないのでしょうか。

 

【知事】

私も朝散歩をしていて、いつもと違う状況に驚きましたし、少し夜明け前の薄暗い状況で歩いているとある意味異様な光景も目の当たりにしました。現に死体や羽などが散乱している状況に声を上げて避けられる歩行者の方もおられますので、このあたりどういう対応が必要なのかということについては、当該地を管理される大津市などともよく協議したいと思います。自然のものですので、なかなかすべてを除去したりするのは難しい面もあると思いますが、あまりにもひどい状況に対しては何らかの対応も必要なのかもしれません。状況をみていきたいと思います。

 

[京都新聞]

自民党派閥の政治資金パーティーの裏金問題の関係で、先ほどの幹事社の質問に対して、政府・与党への信頼を損ないかねないということで、公的な手当も必要かもしれないとおっしゃったかと思うのですが。

 

【知事】

公的、パブリックではなく「法的」な対応です。

 

[京都新聞]

わかりました。例えば立憲民主党は企業・団体献金の禁止に向けて政治資金規正法の改正も求めていますが、知事もそういった法改正を念頭におっしゃったのでしょうか。

 

【知事】

今回のことがどういう事実であったのか、またその事実をつくり出すためにどういう問題があったのか。法律の不備なのか、法律では決められているけれども、担当者がそれを遵守していなかっただけのことなのか。そこをまずしっかりと見た上で、法的な、法律でそれらを縛る必要もあるかもしれないという私の見解を申し上げただけです。あくまで、事実内容を確認しなければわからない内容もあると思います。

 

[京都新聞]

最初に(いちごの)「みおしずく」の高値が付いたという話がありましたが、どのように受け止められたか、感想を教えてもらえないでしょうか。

 

【知事】

事実や評価の前提、背景、そのときの環境は詳しくお聞きしたいと思いますが、私もこの時期に東京の市場に行ってトップセールスをすることを計画していたこともあります。やはりこの時期の最初の値段はとても大事だと思いますので、非常に高い評価をいただいたということであれば、生産者の励みにもなるでしょうし、これからの可能性を感じられる御評価だと受け止めています。ただやはり2年目になって、味とか品質とか、そういうものも生産者が増えるとどうなるのかということを見られている方もいらっしゃいますので、生産体制というのはしっかり維持・強化していく必要があるというふうに思います。楽しみですよね。

 

[読売新聞]

琵琶湖の水位について、マイナス70センチ台が続いておりますが、今後の見通しについて教えてください。

 

【知事】

今朝の時点でマイナス71センチということで、今おっしゃったようにマイナス70センチ台が続いているということです。渇水対策本部を県として副知事トップで設置するマイナス75センチには至らない状況でありますが、なお状況を注視しております。折からの雪ですとか、最近降り始めた雨でどれくらい回復するのかを見たいと思いますが、やはり限られた資源、大切な資源ですので、水の源に想いを馳せて大切に使いましょうということは繰り返しいろいろな場面で申し上げていきたいと思います。

 

[読売新聞]

想定はマイナス75センチに達さずに、これ以上の対策を講じずに済みそうだ、持ちこたえそうだという見通しなのでしょうか。

 

【知事】

前回の会見の時に今週いっぱいは見たいと申し上げ、雨・雪が降ったからなのでしょうが、ぐっとこう(琵琶湖の水位が)下がってこなかったという状況がございます。今週も寒波が来て雪が降る、また時雨れることも想定されておりますので、その状況を見たいと思います。見た上で、もし必要であれば渇水対策本部というものを設置して、さらに強めのお願いをする対策の検討などもしていきたいと思います。

 

[読売新聞]

別件で、安倍派・二階派への強制捜査の関係で、知事も自民党ではありませんが国会議員のお立場であった観点から、現状を踏まえた上で国政における派閥の必要性をどう考えていらっしゃいますか。

 

【知事】

私は自民党にいたことはありませんので、その派閥に所属したことがないのでよく分かりませんが、政策集団として志を同じくする方々と研鑽、勉強、修行を積む場として大変有用だという方はいらっしゃいました。ただそれとお金の流れ、使い方とは別の話だと思うので、やはり出したもの、もらったものは書いておくということが原則だと思いますね。もしそういうものでないお金の存在もしくは流れがあったとすれば、それらはきちんと説明するという責めを負われることになるのだと思います。ただこういう報道もそうです、事象もそうですけれども、やはりこのことが法律を決めたり予算を決めたり、また税のことを論じたりすることに対する信用を損なわせますので、みんなで協力してやろうという体制を築きにくい状況になるということがマイナスだなと思いますので、できるだけ早く収束すること、当事者が説明をされることを望みたいと思います。

 

[読売新聞]

政策集団としての有用性、功罪がある組織なのかと思います。罪の方が今クローズアップされているわけですが、こういう状況下でも野党の支持率が上がらないという意味で政治不信が強まっているのかなと思います。改めて聞きますが、派閥は必要でしょうか。お考えとしてで結構です。

 

【知事】

今回の事象だけをもって派閥が必要ないというのは、外部にいる者として私は慎みたいと思いますが、今日的にこういった政党内派閥というものについても厳しい目が向けられると思いますので、改めて皆さんがお考えになることではないでしょうか。

[NHK]

昨日、うちの社でも報じたのですが、長浜の「奥の洲」にかなり人が渡ったりしていて、観光名所のようになっています。一方で県の職員を派遣して、周りのヨシや鳥たちの住処になっているところに被害がないか注視しているということでした。この「奥の洲」を利用というか、観光のために見に行く人たちに対して知事としてどのようなお考えを持っていらっしゃるか。また県の職員を派遣したことの意図についてお願いします。

 

【知事】

水位が低下することによって普段見えないところが見えるようになり、行けないところが行けるようになるというのは、一つの自然現象に対する興味として、多くの関心を集めることについて理解をいたします。ただ同時に人間の興味・関心だけではなくて、普段あの辺りは特に冬季、野鳥が多く飛来し、生息する場所として、そのバードウォッチングをとても楽しみにされている。そういう場所でもありますので、加えてヨシの生態ですとかそういった動植物に対する配慮もしなければならない場所だと思います。その意味でどういう状態になっているのか、どういう手立てを講じなければならないのかということを長浜市さんとも協力しながら、まずは見たうえで考えていきたいと思います。

 

[NHK]

観光地として改めて整備するということはないですか。

 

【知事】

私も今どうなっているのか直接知っているわけではないので。報道等で知るだけですので、また改めて見に行った職員に確かめたいと思います。

 

[朝日新聞]

先ほどの交通ビジョンについて、7月から9月にかけて県民フォーラム、トークなどで対面とWebで集められたアンケートで、負担するとしたらいくらが妥当かという質問があり、100円からの選択肢しかなくて、あとはそれ以上という項目しかなかったということで、先日の常任委員会でも議員の方から「100円スタートが引っかかる」「0円が選べない」「意見やアンケートは公平・公正に取ってもらいたい」「(交通)税ありきと映り恣意的に感じるので、今後、税負担の議論が進めにくい」という意見も出ていました。来年度から本格的に交通税について広く多くの方が参加できる「参加型税制」を目指すとおっしゃるのですが、アンケートや質問内容をどういうふうに考えていかれるのでしょうか。

 

【知事】

そういった県民を代表される議会議員の皆様方からの御指摘というのは、真摯に受け止めなければならないことだと思います。今回取らせていただいたアンケートも決して恣意的にやったわけではないのですけれども、あらゆる選択肢が十分、十二分に確保されていたかのというと、まだまだ改善されなければならないこともあったのかもしれません。次年度以降、より本格的な議論を進めるにあたっては、いろいろな方々の思いがテーブルに載せられるように、また集約されるように議論・施策構築に生かせるようにしていきたいと思います。

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