令和5年8月7日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。
8月になって立秋も過ぎますと、少し朝夕ともに涼しくなってきているのかもしれません。迷走する台風の進路が気になるところですが、被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、なお注意警戒していきたいと思います。明日予定されております、びわ湖の花火大会は、4年ぶりの開催ということで、開催する方向で現在準備、調整に入っていると聞いています。安全に、また皆さんに楽しんでいただけるように、みんなで努力していきたいと思います。資料の説明に入ります前に、中国湖南省に行ってまいりました。御案内のとおり、中国湖南省とは、1983年昭和58年に友好県省の協定を結び、今年が40周年という節目になります。私を団長といたします訪中団で行ってまいりました。湖南省のトップである毛省長との初めての会談、高校生、大学生交流団による書道や大学生同士のディスカッションなどの次世代の交流。また、国際平和都市の湖南省の芷江(しこう)での雨の中での平和祈念交流行事の実施。また経済交流推進に向けた湖南省平和堂店舗内、その御協力をいただいての観光プロモーションが大変盛況でありました。また現地の出版社「快楽老人報社」では、日中健康文化交流プロジェクトということで、健康長寿である滋賀に学ぼうというツアーが組まれることに対する協力、覚書への調印ということでございます。多くのことを感じる訪中でありました。私自身(訪中は)5年ぶりでしたけれども、行くたびに発展する、変わる中国。しかし変わらぬ友情ある湖南省の人たち。ということで、今回は平和祈念のための戦没された方々に対する慰霊ということも初めて行いました。現地の皆様方に多くの御協力をいただいたことに感謝したいと思いますし、希望は、高校生、大学生と一緒に参加したことであります。これからに繋げていきたいと思います。11月には中国湖南省から式典のために、来県される予定もございますので、準備を進めてまいります。海外との関係で申し上げれば、8月10日から17日、今度は米国ミシガン州を中心にその他、ニューヨーク、ニューオーリンズを訪問する予定でございます。近江の茶、近江米、近江の地酒のセールスプロモーションを行うと同時に、ホイットマーミシガン州知事との会談も予定しているところでございます。今までやってきたことを振り返りながら、これからどういう交流をしていけるのか、直接対話できることを楽しみにしているところであります。特にセールスプロモーションの関係では、コロナ禍でなかなかやれなかったこと、そして出せなかったものなどを輸出先事業ともコネクションを結びながら、今後に繋げていきたいと考えているところでございます。ちなみにミシガン州との交流は今年が55周年になります。
それでは資料に基づきまして、2つ御紹介いたします。1つは、日本財団様から美術作品を御寄贈いただくこととなりました。8月18日金曜日13時から、目録贈呈式を行います。今回御寄贈いただく作品の大半が、2011年にフランス・パリで開催された「アール・ブリュット・ジャポネ展」の出品作品とのことでございます。このパリ展の後、日本財団様が出品作品の多くを収蔵し、保存、活用されてきたところでございますが、より積極的な活用を図っていきたいとの考えから、滋賀県立美術館への御寄贈のお話をいただきました。大変光栄なことであり、感謝したいと存じます。滋賀県立美術館は国内の公立美術館で唯一アール・ブリュットを収集方針の柱の1つとして掲げておりますことから、今回のお話をぜひお受けしたいと、考えたところでございます。今回の受贈によりまして、県立美術館は、質量ともに、世界的に見ても有数のアール・ブリュットのコレクションを要することとなります。光栄であると同時に、頑張ろうという決意もみなぎっております。作者や作られた方、制作を支えてきた人たちの思いを大切にしながら、責任を持って、より多くの方々に作品の魅力を伝える活動も構築、展開してまいりたいと存じます。この寄贈作品のお披露目につきましては、来年、令和6年2024年4月に県立美術館で企画展示を予定しております。楽しみにお待ちいただければと思います。今回のコレクションの充実を生かしまして、アール・ブリュットといえば、滋賀県立美術館、またこういった個性、創作活動を大切にする滋賀県、多様性、包摂性を尊重する滋賀県といったことを、皆様方に御認識していただけるよう取組を進めてまいりたい。もって文化観光をさらに充実させていきたいと考えています。
もう1つは、「幻の安土城復元プロジェクト」の柱の1つとして、安土城についてより詳しく知ってもらうために行っている歴史セミナーの御案内をいたします。こちらは、令和3年度から毎年開催をしております。今年度は、安土山図屏風研究の最前線をテーマといたしまして、長年この屏風の調査研究に携わってこられた「安土図屏風探索ネットワーク」のメンバーの1人から、最新の研究について発表していただきます。今回海外での調査研究を発表いただくのは、マーク・アードマンさんでございまして、オーストラリアのメルボルン大学で、安土城を核として、15から17世紀の日本建築および空間・絵画・建設と権力の交差点を研究されているとのことです。また、2016年からは「安土図屏風探索ネットワーク」に参加されておられ、ローマ・バチカンでの現地調査の学術監修も担当されているということで、今回の御講演内容も大変興味深いと思っております。日本語で講演していただけるということですので、お気軽に御参加いただきたいと思います。「ヴァン・ウィンゲが描いた安土図屏風スケッチの再考」というテーマでお話をしていただけるそうでございます。開催は9月16日土曜日午後1時30分から、会場はコラボしが21、定員は200名、事前申込制、先着順であります。ぜひ、お早めにお申込みいただければと思います。私からは以上です。
[NHK]
4年ぶりのびわ湖大花火大会が明日開催予定ということに関連して、実行委員会はたくさんの来場者が見込まれるということで、雑踏事故などを防止するために有料チケットを持っている方以外の御来場は遠慮してくださいという呼びかけを行っています。踏み切った発言というか、他の花火大会ではなかなかない呼びかけなのかなと思うところもあるのですが、改めて、明日行こうかなと考えている方々に向けて、知事として考えていることや呼びかけを伺ってもよろしいでしょうか?
【知事】
びわ湖の花火大会は、私も青年時代から楽しんだ大きなイベントですし、夏の風物詩の一つでありますし、楽しみにされている方も多いと思います。コロナもありましたので4年ぶりの開催ということで、より楽しみにされてる方も多いと思います。無事、安全に遂行できるように実行委員会としても努めてまいりたいと思いますし、皆様方にも御協力いただきたいと思います。その御協力いただきたい事柄の一つとして、どうしても多くの方が一時期、ひとところに集まられますので、お越しになる際は、有料席の観覧チケットをお買い求めいただいてお越しいただきたいという、こういう呼びかけをさせていただいております。まだ一部残席があるようで、当日券も大津港で販売されるということですので、そういうことも御承知の上、お越しいただければと思います。この間、国内でも花火大会での事故もございましたし、雑踏ということでいうと韓国の梨泰院の事故なども最近起こって、そういうことに対する注意・警戒・対策を私たちはしっかりとっていかなければならないと考えております。そういう意味での呼びかけと御理解いただければと存じます。
[NHK]
先週訪中されたことに関連して、一番公務として成果があったなと思う点や感じられたことを伺ってもよろしいでしょうか?
【知事】
まず、湖南省のトップである毛省長との会談は初めてでしたので、これは大変意義のある、これからに繋がるイベントだったと思っております。直接顔の見える関係を築けたことはこれからに繋がるものだったと思います。11月に滋賀県での40周年の記念式典を予定しておりますので、そこに向けたステップを踏むことができたのではないかと思います。
もう一つ大きな行事、これまでになかったものとして、芷江(しこう)での平和祈念交流事業がございました。この日、このときだけ雨でした。涙雨じゃないかとか、雨降って地固まるになればいいねとか、いろんなことを言われましたけれども、このときに述べる私のメッセージは、推敲に推敲を重ね、述べさせていただきました。途中いろいろなことを思い、私自身、図らずも声が詰まるようなところもあったのですけれども。現地の市長、また一緒に参列してくれた高校生、大学生もみんな真剣に聞いてくれましたので、気持ちは伝えることができたのではないかと思っております。これも1回で終わりということではなくて、常に平和を大切にし、共に未来へという観点で、もちろん未来に向かって歩くのですけれども、歴史を直視しながら具体の行動を起こしていく。こういうことはこれからも大事にしていきたいと思います。そこが大きかったですね。
湖南省は人口も面積も滋賀県の50倍で、人口は7,000万人を超え、面積は20万平方キロを超えている。この規模の違いですね。そういう意味で、いろいろな問題を抱えていらっしゃるのかもしれませんが、とてもダイナミックにいろいろなものが動いている、そういう実感をいたしました。
[読売新聞]
花火大会と訪中の件を伺いたいと思います。まず花火大会ですが、この花火大会は主催者に県が入っている中、4年ぶりの大会だということで、毎年多くの方が来られ、地元の方がごみ問題、渋滞、人混みなどをずっと懸念されていて、主催者に要望されてきたという歴史があると思います。このたび、(地元は)それがあまり改善されずに開催することになったという受け止めをされて、意見書を出されるような事態になってしまっていることについて、知事の受け止めをお伺いしたいです。
【知事】
長年実施してきたびわ湖大花火大会は、近隣住民の皆様方の御理解、御協力なくしてありえない行事です。このことには、深く感謝をしたいと思います。ただ今回久しぶりに開催するということについて、有料観覧席の持ち方、また、そことそうではないところとを隔てる構造物の作り方等々で、近隣住民の皆様方とのコミュニケーション、説明も含めて図ってきたつもりですけれども、結果的にまだなお残る懸念をお示しいただくという、そういう状況になっているということは私たちも真摯に受け止めなければならない思います。したがって、今回、実行委員長も開催はさせていただきたいとおっしゃっているようですし、天候もそれを許す状況になるのではないかと思っておりますので、実行させていただいて、まずは今年の大会を無事・安全に実行すると同時に、そういった住民の皆様方からの御指摘事項について結果がどうだったのか、また皆さんと振り返って、省みて、来年度以降の大会のありようを議論、検討していきたいと思います。
[読売新聞]
訪中の件ですが、知事がどのようなスピーチをされたかということと、現地の受け止めをお聞かせいただけますか。
【知事】
私のスピーチはまた公開します。私が自分で書いて、どこを読んで、最後ギリギリでどう変えたとか。長い長い中国と日本との関係を前提にしながらも、そんなに遠くない過去において、戦争、もしくは侵略という、そういう状況があった。特に湖南省、この芷江(しこう)もそうですけれども長沙などは激戦地でもあり、滋賀県からも多く出征され、現地の住民の方々の多くの命を奪ってしまった、なくしてしまったということもございます。したがって、そのことに思いを致し、そういったことが繰り返されないように、湖南省と滋賀県との信頼関係を基礎にしながら、高校生、大学生、未来の人たちの交流も含めて積み重ねていこうという、こういった趣旨のスピーチをさせていただきました。雨の中で、みんな立ったままだったのです。途中、気分が悪くなって倒れる青年もいました。長い時間立って待ってくれていましたので。そういったこともございましたが、みんな真剣に聞いて、そしてその後、献花もみんなで、一人ひとりさせていただきました。現地の市長などからは、私の前にスピーチされましたので、その後の会談の中で、大変気持ちの伝わるメッセージだったと思うといった趣旨の御感想をいただきました。一緒に行ってくれた高校生、大学生の所感、感想などはこれからまた共有できるところを共有して、どういうふうに感じたのかということをまた確認したいと思います。
[読売新聞]
先ほど会談の中で「気持ちが伝わるメッセージだった」という言葉をいただいたということですが、これは省長ですか。市長ですか。
【知事】
懐化(かいか)市の市長です。この場には、相手方のトップは現地の市長さんが来てくださいました。
[読売新聞]
省長の会談の内容、成果はどうだったのでしょうか。
【知事】
省長とはいろいろな話をいたしました。まず、日中間のいろいろな交流のこと、そして毛省長が湖南省において取り組まれている経済政策、また自然環境豊かで自然の恵みもある中で、新たな工業・産業を発展させようとされている、そういうプロジェクトなどについて御紹介をいただきましたし、青少年の交流の可能性についても双方話をしながら可能性を確認したということと、今回私が平和交流で来たことについて省長からも深い御理解をいただいたと思っております。同行された記者さんもいらっしゃいますので、いろいろな形で報道を捕捉していただければと思いますが、今、湖南省長沙ではミルクティーが流行っているのかな。だから(会談の後の)食事会ではお酒だけじゃなくてミルクティーが並んでいて、今、長沙で大ブームになっているミルクティーだということでした。確かにそうだったのです。街へ行くと50メートルおきに店舗があって、みんな長蛇の列で、滋賀県から来た高校生、大学生もみんな飲みに行っているという。私も中国を訪問して、ミルクティーで乾杯した宴席は初めてでした。それぐらいいろいろな若い人たちの取組とか、今までにないチャレンジをされている様子も目の当たりにいたしましたので、可能性を感じました。
[日本経済新聞]
一つは事実関係の確認ですが、訪米は2年連続になりますね。
【知事】
訪米ということでいうと、昨年はシカゴに中西部会で行っていますので、(去年に)引き続き、2年連続ということです。
[日本経済新聞]
トップセールスをするということですが、具体的には資料に書いてあるようにお茶の関係者への訪問ですか。お茶とかお酒、例えば向こうでも日本食品を売っている店はたくさんあるのですけれども、知事が法被を着て店頭に立ってセールするとか、そんな場面はあるのでしょうか?
【知事】
まだ最終の詳細を詰めているところだと思いますが、まず今回対象としている産物は、お茶とお米とお酒ということです。法被を着るかどうかとか、どういう場面作りをするかというのはまだこれからだと思います。多分、お茶についてはそういう場面もあるのではないかと思います。
[日本経済新聞]
画になる場面があるんですね。お茶はグリーンティーですか、売り込むのは。
【知事】
ほうじ茶もかな。いろいろなものを持って行くのですよね(同席している担当課に確認)。
[日本経済新聞]
紅茶も作っていますからね。
【知事】
健康ブーム、健康志向の中で、さきほどの中国のミルクティーもそうでしょうけれども、アメリカにおいても一定の嗜好もあるし、まだまだ売り出せる可能性のある市場ではないかと思います。
[日本経済新聞]
それはグリーンティーでも?
【知事】
グリーンティーでもです。
[日本経済新聞]
もう一つ、AIのことですが、8月1日に庁内での生成AIの活用指針というのが出され1か月間仮に使うということになっています。これは1か月間使用して9月から本格的に活用するということが前提と考えてよろしいですね。
【知事】
今回、庁内使用は8月1日から9月30日の2か月間です。まず使用してみます。その後のことは、状況を見て考えたいと思います。基本はいろいろなアイディアの革新とかにも活用できますので、私自身は好影響をもたらしてくれるものだと思っています。ただ、この方針の中にも書いてありますが、情報漏えいだとか倫理に対する問題だとか、そういったところの注意事項を守りながら使ってみて、実際にどうなのかというのを試して、その後考えていきたいと思います。
[日本経済新聞]
どちらかというとリスクがどれだけあるのかというのを具体的にチェックしてみる、そちらの方でしょうか。
【知事】
リスクのチェックと同時に、チャンス、可能性ももちろん実感することがあると思いますので、両面だと思います。
[日本経済新聞]
基本的にはネガティブではなくて、10月からはできるだけ使っていきたいというポジティブな方向で考えてらっしゃるということですね。
【知事】
ポジティブです。
[京都新聞]
日本財団収蔵の美術作品が県立美術館に寄贈されるという件で2点お尋ねします。まず世界有数、日本最大級のアール・ブリュットコレクションを擁する美術館になるということですが、アール・ブリュットについては今でも評価する人もいればしない方もいらっしゃると思います。知事御自身はこのアール・ブリュットの魅力についてどのように思われていますか。
【知事】
私も魅力、可能性の全てを知っているわけではないのですけれども、生きていることの表現、個人の持っている関心の発露だと思っていますので、そういう意味で、作者の方が、自分が今ここで生きてるよ、こういうことに関心があるんだよ、こういうものを作りたいんだよということをピュアに発信されているものとして、メッセージ性を持ったいろいろな可能性のある作品群ではないかなと思っています。ただ例えば学術的に確立されているか、歴史的な系統立てがまだ十分ではないのかもしれません。そういう意味でも、滋賀県立美術館の役割、今回いただくこの作品群というのは、これからに向けてもとても重要な意味を持っているのではないかと思います。
[京都新聞]
もう1点は今回の寄贈によって、県立美術館のアール・ブリュット収蔵点数がおよそ4倍になるということになるかと思いますが、かねてから県立美術館の展示室や収蔵室は狭い、ちょっと広さが足りないと言われているかと思います。今後、その点についてどのようにしていきたいか、お考えはありますか。
【知事】
まず、県立美術館に大変多くの貴重な作品を寄贈していただきますので、それらの適正管理に努めていきたいと思います。また、今お尋ねいただいた現在の県立美術館の収蔵スペース、これは一部展示スペースもそうですけれども、そういったところが少し狭いんじゃないのかというような御指摘もございますので、そういったことをどのように改善していくのかということは、並行して検討していきたいと思います。2年前でしたか、一部リニューアルして再開館させていただきましたが、今申し上げた展示・収蔵スペースの狭さという課題を残したまま再開館させていただいておりますので、今後に向けて検討していきたいと思います。
[読売新聞]
安土城の復元プロジェクトについて、安土図屏風探索ネットワークのエリアン・ルー博士が、おそらくバチカンで今研究なさっていて滋賀県もそれに協力していくというようなお話が副知事からの(バチカン訪問後の)報告の際にあったのですけれども、現在、滋賀県のバチカン訪問から2か月程度経っていて、これまで何か聞いていることなど進捗状況などを伺いたいです。
【知事】
初夏に副知事の大杉が訪問して以降、何か今具体的に新たな情報としてここで御紹介できるものがあったかというと、まだそれは聞いておりません。ただ訪欧の際に、今日も御紹介し、お尋ねいただいた安土図屏風探索ネットワークとのコネクションが新たにできて、今お名前の出たエリアン・ルー先生を始め、今回もシンポジウムでコーディネートしていただきます新保先生など、このメンバーの方と、例えばこの9月に実施するシンポジウムなども開催できるようになりましたので、そういった先生方と情報の共有をしながら、次はこういう探索、次はこういう行動というようなことを考えていく、そういうきっかけにもなると思いますので、これからに繋げていきたいと思います。
[読売新聞]
もう一点、具体的にここを探しに行っているとか、こういうところを今重点的に探しているとか、そういう情報があれば教えていただきたいです。
【知事】
今現時点聞いているものはありません。400年経っていてその間いろいろなことがありましたので、我々の想像を超えることになっているのですが、ただこういう研究をされている方とのネットワークができつつありますし、このことで博士論文を書いていらっしゃる先生なんですね、今度来られる先生が。だからこういう学術分野の方と繋がれたことをステップとして、これからの探索に生かしていきたいと思います。
[毎日新聞]
中国の関係で、毛省長とは何分間会談されましたか。
【知事】
相当長かったです。当初の予定よりも。毛省長もしゃべられたし私もしゃべりましたし、通訳を介したということもありますが、予定を大幅に超えて1時間近く会談したのではないでしょうか。
[毎日新聞]
知事の歴史認識に繋がるのですけれども、先の大戦は侵略戦争ということで対応をされたのでしょうか。
【知事】
現地でそういう言葉を使ったか、出したかということは、私も詳らかではありませんが、先の大戦というものが日本における侵略であったということ、そして多大な損害、苦痛を与えたものであったという、そういう認識は持ちながら、いろいろなところで話をいたしました。
[毎日新聞]
台湾の統一については言及されましたか。
【知事】
何もしませんでした。
[毎日新聞]
アール・ブリュットについて、財団から(の寄贈)も、県立美術館が所蔵している作品も、全て日本人作家さんということでいいのでしょうか。
【知事】
はい、そう聞いています。
[毎日新聞]
県立美術館ではアール・ブリュットの専門の学芸員を置かれましたか。
[担当者]
はい、おります。
[毎日新聞]
今後、アール・ブリュットとしての作品の枠で購入も進めていかれるのですか。
【知事】
購入は順次やってきていますよね(同席している担当者に確認)。
[担当者]
作品の購入は継続的にしておりまして、コレクションを充実させてきているところでございます。
【知事】
これまでも69点購入してきています、アール・ブリュット関連で。今回、日本財団様から549点いただきますので、合計731点の収蔵ということになります。
[毎日新聞]
県としては作家さんの創作活動支援というのもされていくのですか。滋賀県のアール・ブリュットというイメージを高めるためにも。
【知事】
それぞれの団体をして、様々な活動をされています。その中にそういった創作活動もあります。そこでとても面白い、またユニークな作品については、こういった展示などで紹介する、もしくはそれを作られている過程も含めてアーカイブで残し、紹介するということなども行っています。例えば、やまなみ工房さんの取組ですとか。そういう形で支援をしているということですね。
[京都新聞]
北陸新幹線の並行在来線の問題でお聞きしたいです。北陸新幹線が小浜・京都ルートに決まってから、滋賀県は敦賀以西については、並行在来線は存在しないという考えでやってきているかと思います。三日月知事も参加されていたと思いますが、7月7日の中部圏知事会議で、政府への提言の中に中部圏知事会議としても北陸新幹線の並行在来線は敦賀以西は存在しないという考えで盛り込むことになったというふうにお聞きしました。敦賀以西の早期着工には三日月知事も並行在来線の解決が欠かせないというふうにおっしゃっていました。関西広域連合では既にそういう考えですが、中部圏知事会議でも並行在来線が存在しないという考えで国に要望されていくということで、中部圏知事会議でもそういう考えを共有できたことの意義を教えてください。
【知事】
並行在来線の経営分離ということが、(新幹線の)着工5条件の一つになっています。(JRと地元が)「ここが並行在来線ですね、だから私たちJRから切り離しますので、あなた方で運営してくださいね。わかりました」ということは、「では着工しよう」という条件の一つになっていますので、ここをクリアしないと、私たちが敦賀以西、早期に京都・東京・大阪までと言っていることの障害になっています。私たちは敦賀以西については並行在来線は存在しないということをずっと言ってきました。このルートが決まってからですね。ただ、特に中部圏は、富山県もそうです、石川県もそう、これから開通してくる福井県もそうですけれども、並行在来線の経営分離を第3セクターをつくって受け入れてきている、そういう経過がありましたので、関西で私たちが言うことと、中部圏で皆さんがおっしゃることの認識の差がありました。ただ我々としては、敦賀以西については並行在来線は存在しないよと。そのことを早く確認しようねと。それが早く工事を進める条件になるでしょうということを申し上げてきたところ、今回、中部圏知事会議で、あれは福井県知事だったと思いますが、滋賀県知事の言うことは私たちも賛成だと。中部圏知事会議としても盛り込んで言おうじゃないかと。そういう御意見をいただいて、皆さんに合意をいただいて、中部圏知事会議の意見としてまとまったということは、私は大きかったと思います。したがって着工条件を整えていく一つのステップになるのではないかと思います。
[京都新聞]
その背景として、やはり中部圏の方では3セクを受け入れてきたというところで、以前であればあまりそこに踏み込めなかったというのか、理解が得られていなかったというような状況があったのでしょうか?
【知事】
そうですね。ずっと富山、石川、福井、その向こうの新潟も長野もみんな(3セクを)受け入れてこられています。新幹線整備法に基づく新幹線整備においては。だから並行在来線はないよ、嫌だよということは、「そんなことをいうなら整備新幹線と言うなよ」というような議論にも繋がりかねない内容でしたので、これまでは中部圏、特に北陸圏とはすごく認識のギャップがありました。ただ、いよいよ敦賀以西のことをいうようになってきて、敦賀以西については並行在来線はないよねということについて、沿線関係自治体で共通認識を持ちつつあるのではないかなと思います。
[京都新聞]
認識を共有できたというのは、小浜・京都ルートの特殊性というのか、ルートそのものに対して並行在来線はないというような、合理的な滋賀県の説明に納得いただいているという部分でもあるのでしょうか?
【知事】
滋賀県の説明が合理的かどうかという判断はそれぞれの方がされるのでしょうけれども、少なくとも、敦賀以西の整備、敦賀の西側、京都・大阪を通るルートについては並行在来線はないよね、そのことを早期に確認しようという、こういうことについて関係沿線自治体の共通認識がつくられつつあるということだと思います。
[京都新聞]
並行在来線の議論というか動きは、特に最近は国なりJRの方も目立った発言はないように思うのですけれども、今回中部圏も同じように足並みが揃ったということで、国やJRに対する議論の進展というか期待する部分はありますでしょうか?
【知事】
整備新幹線を通していくというのは、今まさに行われている丁寧な環境アセスメントの取組、また安定財源、その区間の工事ができる財源を確保するということなども大変重要です。またもう一つの条件として、隣を走っている在来線をどうするんだという取扱いについて合意形成をすることも大変重要なテーマですので、そういうものを乗り越えて、せっかく敦賀まで来るのだったら、その先の京都・大阪を早く通そうねということで私たちは申し上げておりますので、この早くつくって通していくことに繋がる議論を期待したいと思います。