平成30年1月23日
(県政記者クラブ主催)
おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。
東京は大変な雪ということでございまして、「ここ滋賀」は、昨夕早目に閉店させていただいて、今朝は、雪かきからしていただいているということでございます。
なお、雪に関して申し上げれば、昨年もこの時期に県内も豪雪に見舞われたということから、また他県において、今朝の東京都区内で車がトンネル内に閉じ込められた、また先だっては新潟県で車内に乗客が長時間閉じ込められてしまったということから、この豪雪に対する対応について、もちろん通常行っている雪寒対応により緊張感を持って取り組むということと同時に、今朝の県政経営会議で、他府県で起こっている事態に遭遇したときに、滋賀県としてどうするのかということについて、備えを万全にしてほしいということを主に土木交通部長に申し上げました。
県内で同様のことが起これば、雪を警戒し、そして乗客、住民の方を救出していくということについて積極的にやろうということを、土木交通部長とも相談しているところでございます。万全を期してまいりたいと思います。
そしてまた、お手元に資料が投げ込みという形でいっていると思いますが、私のところにも急遽情報が入ってきたんですが、琵琶湖で全層循環というものが起こったそうでございます。
私も、十分確認をして皆さんにお伝えするいとまがありませんので、詳しいことは担当課に確認をしていただきたいと思います。一種の琵琶湖の循環ということでございまして、その時期を、いつ起こった、どのように起こったということを毎年見ておりますが、そのことでもって、琵琶湖がどういう状態にあるとかということを確認する一つの指標だと捉えていますので、そういうことが昨日調査をして確認されたそうでございますのでご確認いただければと思います。
また、先週1月19日の発表だと思いますが、県内で初めて琵琶湖の漁澇用具及び船大工用具というものが、登録有形民俗文化財として登録すべきという申告が文化審議会から文科大臣に対して行われたと、ほぼ確実視されているということだと承っております。
登録されることになった漁具につきましては、内水面漁澇の中でも、我が国最大の湖沼である、琵琶湖で用いられた漁澇に関する用具、そこで用いられた木造船を製作する用具を収集・整理したものでございます。琵琶湖博物館の学芸員の方のインタビューにもございましたように、漁民の皆様方にご協力をいただきながら収集し、今、保管あるいは展示をしているものでございますので、こういったものが認められた、認められそうだということについては、大変重要で、また、私達としても誇り高いものでございます。
折しも現在ですね、今月の16日から6月20日までの間、世界農業遺産の応募がスタートしたという情報がございます。本県では、琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業の世界農業遺産の認定に向けて、市、町や関係団体、県民の皆様とともに取組を進めているところでございます。
この中で、琵琶湖の伝統的なエリ漁などの内水面漁業に焦点を当てながら、関連する魚のゆりかご水田、フナずしなどの食文化、さらに、環境に配慮した環境こだわり農業、森林保全の営みなどを一つのストーリーとして申請していく予定でございます。その意味からも、今回の、漁具の文化財登録、こういったことは大いなる励みとなります。日本農業遺産認定および世界農業遺産に関する国連(FAO)認定申請にかかる承認にぜひつなげてまいりたいと考えておりますので、皆様方にご注目いただきたいと思います。
最後は、お手元に資料があろうかと思いますが、既にもう情報提供させていただいております「平成30年度県政モニター」募集について、でございます。改めてのご案内でございます。
県民の皆さんからご意見、ご提案をお聴きする県政モニター、こちらを募集し、主にインターネットを通じたアンケートへの回答を中心に活動していただく制度でございます。お忙しい方でも、また、それぞれ遠い方でも気軽にご参加いただけるというところでございます。平成30年度に活動していただく方、400名を募集しています。対象は、平成30年4月1日現在で、県内にお住まいの満15歳以上の方、前回の募集から対象年齢を18歳以上から15歳以上に引き下げ、高校生世代のご意見も反映できるようにさせていただいているところです。おおいに、奮って参加していただければと思います。若い方々、大歓迎でございます。
全ての方ではないんですが、ご希望者の中から抽選でございますが、年度内に私と直接意見交換する機会も設けておりますので、そのことはチラシに書いてあるのかな。書いたら逆に応募が減るかもしれませんので書いてないです。そういったこともPRしながら、より多くの方々のご意見が県政に反映できるようにしたいと思います。応募締め切りは、平成30年2月9日(金曜日)夕方5時ということでございますので、たくさんのご応募をお待ちしたいと思います。
私からは以上でございます。
[共同通信]
米原の風力発電についてなんですけど、滋賀県環境影響評価審査会からの意見が出まして、イヌワシ研究会が主張していたように、イヌワシやクマタカの生息を認めた上で、環境への影響が出ないよう、極力配慮を求めたような内容ですけれども、知事意見をこれから出されると思いますが、どのような内容をお考えなのか教えてください。
[知事]
これは、滋賀県環境影響評価審査会から、先週1月19日に、審査依頼をしておりました米原風力発電事業計画段階環境配慮書に対する意見をいただきました。
全般的事項並びに個別的事項それぞれございますので、内容を吟味し慎重かつ迅速に滋賀県としての意見を申し上げたいと思います。特に、この事業実施想定区域においてイヌワシ、クマタカの保護及び生息環境保全ゾーンにこの区域全域が含まれているということでございますので、イヌワシやクマタカへの重大な影響が懸念されるということなども記載されておりますので、そのことを始め指摘されていることを吟味し、滋賀県としての意見を述べてまいりたいと思います。
[毎日新聞]
先日の市長会で、琵琶湖の保全と活用のあり方の素案骨子をつくっていると思いますが、それを示して市長の皆さんに説明されたときに、一つは具体性がなくて、特にその応益負担の部分ですかね、何も踏み込んで書いてないので、実現可能性があるのかということと、もう一つ、東近江市の小椋市長から非常に、素案にもSDGsの文字があったことに非常に強いトーンで否定するような批判がありまして、内容を大まかに申し上げると、先進国を自認する日本で、滋賀県が重要施策でこんなものを出していたら見くびられるというか、そういったような趣旨のこととか、迷惑なので自分は無視しているというような趣旨のこと、世界に餓死するような子供たちがいるということがSDGsの理念、そういうためにあるのであってというような趣旨のことをおっしゃっていました。県の課長ですとかは、直接の答えを求められなかったので、そのまま終わったようなところなんですが、このこと報告を受けていらっしゃいますか。三日月知事の受けとめがあればと思いまして。
[知事]
先だっての1月17日でしたか、第5回の臨時市長会で、現在県で取り組んでいる、「琵琶湖の保全再生に向けた琵琶湖活用の推進について」というものを議題に上げていただいて、現在の進捗状況をご説明の上、さまざまなご意見をいただきたいということだと思います。
保全再生に向けた琵琶湖活用の推進ということでございますので、そのことを、県という行政主体だけではなくて、市、町、さらには琵琶湖岸の市町だけではなくて、琵琶湖の源流、山々、内陸部に至るところまで、また行政だけではなくて、県民の皆様方やさまざまな主体の皆様方との連携協働で進めていくということが趣旨でございますので、いただいたご意見も踏まえてですね、さらにどういう内容にしていくのかということをよく精査していきたいと思います。
会議の中で、私はその場にいたわけでありませんので、詳細存じ上げませんが、SDGsも話題にしていただいたということでございます。SDGsの目標については、国連で新たな目標として2015年に定め、国もこの目標について取組を進めようとしているところでありますし、滋賀県は、昔ながらの三方よしの精神でありますとか、環境の取組でありますとか、また福祉の思想でありますとか、さまざまな理念思想が早くから芽生え、その理念思想に基づく実践が行われてきた地域でもありますので、このSDGsの取組を率先して行うにふさわしい自治体ではないかと。また、17の目標169のターゲット、こういったものについても広く包含されているということからすると、総合行政である都道府県という自治体で取り組むことこそ必要なのではないかという考えのもとですね、昨年来、取組を始め進めてきているところです。
既にシンポジウムやキャンパスSDGs、経済界の取組などさまざまな動きがでてきているところですので、より多くの方々のご理解、また、ご参画がいただけるようこれからも引き続き、ある意味で丁寧な説明もし、またご理解とご納得が得られる努力を重ねていきたいと思っています。
[京都新聞]
財政健全化に関連してなんですけれども、職員給与の削減なんですが、これまでの県政を見ていましても、財政厳しい折は職員さんの給与をカットするというふうなことで、財源確保されてきた時代もあるかと思うんですけれども、今回、財源不足が厳しいという見通しの中で職員給与の削減についてはどのようにお考えになられてますでしょうか。
[知事]
どこから答えたらいいんでしょうか。今、来年度予算の編成作業は大詰めを迎えてきています。単年度のことも大事なんですが、来年度のことも大事なんですが、中長期で見て、どういう財政事情、財政収支になっていくのかということを展望しながら、単年度、来年度の予算を組むということも必要だと考えています。
その中で、税収入の伸びを想定しながら、おかげさまで来年度の税収については若干、私たちが想定していたよりもたくさんいただける、歳入として見込める状況にあるようですけれども、そういったものも再来年度またそれ以降も見込めるかどうかが不確定不確実な中で、財政需要の伸び、社会保障もそうですし、国体を初めとする、また、さまざまな老朽化対策を初めとするインフラ整備を含むさまざまな財政需要伸びというものは、ある意味確実に見込まれるという状況の中で、財政状況、収支状況が厳しい状況が予想され、その中でどう処していくのかということの対策が求められておりますので、大規模事業についても聖域とせずに一歩踏み込んだ行財政改革を、これは一定この来年度の予算を編成させていただいた上でつくっていかなければならないということがございますので、それらを来年度検討、決定いたします次の行政経営方針の中に位置づけていくということが必要だと思います。
その中で今ご質問もあった職員の人件費、給与というものについては、当然かかる費用の1項目でありますので、それを規定どおり払うのか、それを減ずるのかということは、理論上は収支を改善する選択肢の一つにはなると思いますが、まず大前提として労働に対する対価ということからすると、それらを安易に減ずるということをどう考えるのかということがございますし、今、政府をして国を挙げて給与を上げて消費を拡大していこう、もって経済を循環させていこうというこの流れがある中で、県として、こういう人件費というものをどう考えていくのかという視点もあるでしょうから、慎重にも慎重な検討をしていきたいと思います。
[京都新聞]
あくまで理論上の可能性の一つとしては、やはりそれは選択肢であるという前提のもとで慎重に検討していかれるという理解でよろしいでしょうか。
[知事]
おっしゃるとおり支出項目の一つであります、人件費というのは。支出項目の大きな一つの項目でありますので、それらをどう扱うのかということは、テーマとしてあると思いますが、やはり、慎重にも慎重な検討が必要な項目ではないかと思います。
[京都新聞]
先ほど知事からもお話ありましたけれども、世界農業遺産の登録について改めて。県として申請を目指しているということのようですが、登録を目指す意義、知事としての考え、なぜ目指すのかというところを、もう一度お願いできませんでしょうか。
[知事]
この世界農業遺産というものは、伺いますと社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形作られてきた伝統的な農林水産業とそれに関わって育まれた文化、景観、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農業システム、ということでございまして、今、私が述べただけでも、琵琶湖との関係でその上流や下流とのつながりの中で営まれてきた農業、ある意味、一部漁業というものも、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形作られてきたものであるということを思いますし、それらの中から文化や景観、生物多様性を守る取組といったものが一体的に営まれてきた重要なシステムであると位置づけられますので、この世界農業遺産の認定を目指そうというスタートをしたところです。
一方、こういった農業、漁業を守るために営むためには、伴う労苦や、また、かかる費用というものもございますし、今、農業にしろ漁業にしろ、大変厳しい経営環境の中にあるということがございますので、この世界農業遺産を目指す取組で、もう一度私たちのこの農業や漁業というものを見直すきっかけにしたい。そして、この農業や漁業、その中でいただく生み出される産物というものに対する県内外の方々の評価というものを高めるきっかけにしていきたい。
そういう思いを持ちながら、この世界農業遺産認定への取組を進めているところですので、今回のこの漁撈、漁具の登録認定という動きもプラスにして活かしていきたいなと思っています。
[京都新聞]
公募は6月20日までということのようですけども、スケジュール感といいますか、県としてどのようにその辺は、スケジュールについてはお考えでしょうか。
[知事]
応募期間は6月20日までということでございますが、この期間内に出させていただくべく最終の準備をしたいと思っています。その後、1次審査、2次審査を経て、順調に進めば、その第1段階として、もしくは世界農業遺産に至るまでの認定として、日本農業遺産認定というものもあり、世界農業遺産について国連のFAOへの認定申請に係る承認というのが、来年の2月頃、順調であれば認定なり承認がいただけるということでありますので、そういう意味でこの1年が勝負かなという位置づけ、スケジュール感で臨んでいきたいと思います。
[NHK]
先週もお話いただいたことにはなるんですが、鳥インフルエンザについてですね、京都市で野鳥から鳥インフルエンザのウイルスが出たというニュースが伝わっています。隣の県として、先週とまた違った緊張感が出てきていると思いますので、どういう対策を立てるかという今の思いをお聞かせください。
[知事]
この時期になりますと緊張感は常に持っています。しかも鳥ですので、空中、空気中を、ウイルスとともに飛び交じるということでございますので、かつ国内で、また近隣で発生したということですので、緊張感を緩めず情報収集をし、必要な対応をとっていきたいと思います。
[NHK]
先週と違って、昨日の状況から対応するに至った何か違いというか、この数日で変わったことはないでしょうか。
[知事]
まず一つあるのは、近隣でも発生が確認されたという情報提供を関係者にやっぱりきちんと行うことで、例えば鳥を飼われている方々、鳥を見ることの多い方々に対する注意喚起をより高いレベルで流していくということは行っておりますので、我々の行政の目だけではなくて、広く県民の皆様方や関係者の皆様方の注意をもって状況確認し、迅速な対応につなげていくということが肝要ではないかと思いますので、絶えず起こったことを、他府県のことを伝えていくという努力を、より高いレベルで行っていきたいと思います。
[時事通信]
ちょっと県政から離れて申し訳ないんですが、昨日、安倍首相の施政方針演説がありまして、働き方改革というものを最重要課題に挙げられておりまして、例えば時間外労働の上限規制というものを、罰則つきですかね、入れたいというようなこと言われていたようなんですが、県も働き方改革をやっていると思うんですが、その上限規制に関しましてはまずどのようにお考えになってますでしょうか。
[知事]
まず、昨日から、第196国会が、通常国会が開会されたということでございます。雪降る、積もる中での国会開会ということでございまして、大変だと思いますが、衆参国会議員の皆様方にはですね、まさに天皇陛下のお言葉ではございませんが、私たち国民の信託に応える国会審議を精力的に行っていただきたいと思いますし、我々も強い関心を持ってこの国会の状況を見ていきたいと思います。
その中で、安倍総理ご自身もこの国会は「働き方改革国会」だと位置づけられており、昨日の演説の中でも、私は全てを見て読んでいるわけではありませんが、そのご決意が随所に見られたというふうに思います。
その中で、労働法制の改正法案の審議が行われる、その中の一つに、そういった残業時間の上限、ただ一方で、そういった残業手当というものを払わなくてもいい職種というようなこともあわせて議論をされるということでございますので、少し全体像を見てですね、その法案の全体像を見て判断する必要があろうかと思いますし、いずれにしろ長時間労働を少なくしていくという、是正していく、もって働き方、これは生き方にもつながると思うんですけども、生き方を見直していこうという、このことは大変重要な私はメッセージだと思います。
滋賀県でもご指摘いただいたように、県庁においてもそうですし、県内企業、事業者の皆様方も働き方改革を、何とか働きやすい環境をつくろうということで行われているわけですから、そういったことに資する法律の改正につながるように私たちも努力をしていきたいし、また、私たちも、今、県庁内で進めている働き方改革というものが、実効性をもって進んでいるのかということを不断に検証していきたいと思います。
[時事通信]
もう1点が憲法改正なんですけれども、今国会で発議するかどうかというのはちょっと分かりませんけれども、憲法の改正についてですね、どのようにお考えか、特に憲法9条に関しましてですね、どのようなお考えをお持ちなのかお伺いできればと思います。
[知事]
日本国憲法というものは最高法規でありますので、大変重要な法律の中の法律であるということをもって、より多くの皆様方のご理解が得られる丁寧な審議というものが必要ではないかと考えます。衆参両院に憲法審査会が置かれているわけですから、現行の憲法の課題等についても、私も一時期議論に参画しておりましたが、この間重ねられてきていると認識をしています。よく議論の上、必要な手続が取られることを期待したいと思います。
ただ一方、この憲法というものの成り立ちは、戦後さまざまな経過を経て日本国憲法が作られ、また、特に戦争の放棄ということからすると9条というものが設けられていると。そのことに強い想いを持つ方々も大勢いらっしゃるということでございますので、その想いも含め、よく議論をし、そして、次の段階に進めるということであれば、それは次の段階に進められればと思いますが。決して憲法も不磨の大典ではございませんのでね。現実の世界の中で、どう作っていくのか、変えていくのかという議論は大いになされるべきだと思いますが。しかし、それぞれの条文なりこの憲法というものに想いを持つ方々の想いをよく踏まえながら議論されることも必要なのではないかと思います。
その意味で、51対49の多数決でもって決めるとか、何か拙速に期限を区切ってやるというようなことは、馴染まない議論ではないかなという印象を持っています。