平成29年1月4日
(県政記者クラブ主催)
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今日は、仕事始めということでございまして、先ほど、職員の皆様方にも年頭の挨拶をさせていただきました。既に、ご案内のことだと思いますが、今年はおかげさまで穏やかな三が日でございました。年末は、掃除や公務の間に6日間、県内のあいさつ回りで約1000キロ走ったんですけれども、また、この年末年始は初めての挑戦ということで、黒豆づくりに挑戦いたしまして、竜王産の黒豆を調達し、しかし1回目は失敗いたしまして、もう1回買ってきて炊きなおしてようやく炊けたという、そういうことがございました。
新年は、元旦、元日は大津郵便局の年賀状の配達出発式に臨ませていただいた後に、近江神宮に初詣に出かけました。今年は非常に大切な節目だと心得てですね、大津京遷都1350年ということでございますので、歴史的にもたいへん有意義な制度の導入でありますとか、漏刻による時報の導入でありますとか、そういった時代でありましたので、その時代にも学び、実は、その後1200年後に大政奉還され、明治が開かれたということからいたしますと、その基礎を築かれた時代だったのかも知れません。そういう意味で新しい豊かさですとか、新しい文明をですね、この滋賀から作っていこうと決意を新たにした次第でございます。
また、1月2日には一念発起いたしまして、大津の新春マラソン大会に参加をいたしました。3キロでございまして、中学生の娘にも負けるという状態でございましたが、多くの市民、県民の皆様方と走り初めをさせていただいたということでございます。
1月1日の夕刻、西の空に三日月がたいへん美しく見えておりました。勝手に、個人的に励まされてですね、自分も毎日満ちていこうと決意を新たにした次第でございます。
その元旦、元日に「日を浴びて喜び遊ぶ初雀」という句を詠みました。酉年の鳥は「にわとり」でございますが、水鳥やスズメ、滋賀県・琵琶湖に飛来する鳥たちとも共生できる、そういう滋賀県を作っていきたい、という思いをいたした次第であります。毎年、版画を作るんですが、何が書いてあるのかよくわからない版画ですが、にわとりと3羽の子どもと、私的なことでございますが、我が子もそろそろ巣立つ頃に入ってきましたので、そういう家族との生活も大切にしながら知事としての公務に勤しんでまいりたいと存じます。
今日は、一点「琵琶湖新時代」を築こうということで、職員の皆さんにメッセージを発しました。私たちには、かけがえのない琵琶湖があります。お預かりさせていただいています。琵琶湖を真ん中に人の生き方だとか、生き物の生き方だとか、共生社会だとか、とかく民主主義、資本主義が問われ、求心力よりも遠心力が働く分断の時代であるからこそ、持続可能な共生社会のモデルは滋賀にあるんだと、琵琶湖にあるんだと、そういうメッセージを自信を持って発信していくような、そういう年にしていきたいと思っています。
そのための視点、視座、姿勢として二つ申し上げました。ひとつは、国連の17の持続可能な開発目標である「SDGs」で、これは国でも取組が進められておりますが、他国に比べて若干遅いようなご指摘もございますので、地方自治体として率先して、この「SDGs」の取組に参画をしていこうということがひとつ。
また、7月1日の「びわ湖の日」を県民の休日にしませんかということを正式に提案させていただき、そのための制度作りに着手をしたいと考えています。
個人的には知事として3年目から4年目に入ります。任期の仕上げの年に入りますので、全体像や将来像を俯瞰しながら現場での対話や体験を大事にした、反省として、まだまだ知事としてリーダーとして若輩ゆえ至らぬ点もありますことから、今一度、近江の先人に学び「五事を正す」という中江藤樹先生の教えを実践していきたいと決意を新たにいたしました。
なお、今日は、私からは以上のような年頭の抱負とともに、1点だけ話題提供させていただき、後の皆様方との質疑応答に答えていきたいと思います。
年末に既にご案内しておりましたが、「キャッフィー」と「うぉーたん」、そして私に年賀状の配達があるということでございまして、本日、日本郵便株式会社様の配達員の方にお越しいただきました。なかなかこんなことはないんですが。日本郵便株式会社様とは昨年5月に包括的連携協定を締結いたしまして、滋賀・琵琶湖ブランドの発信でありますとか、地域の暮らしの安全・安心の確保、女性の活躍推進といった分野で幅広い協働の取組を展開しているところでございます。その一環として、キャッフィーとうぉーたんへの年賀状募集について協力の申出をいただき、昨年11月1日の年賀状発売日に、私もキャッフィーと一緒に県庁前郵便局へ年賀状を買い求めに行きました。昨年はキャッフィーには6枚、うぉーたんには2枚と、貴重な年賀状をいただきまして、ぜひ年賀状をくださいと呼びかけをさせていただいたところでございます。
年始で忙しいキャッフィーも、今駆けつけていただきまして、今日はキャッフィーと一緒に年賀状をいただきたいと思います。なお、私もまだキャッフィーとうぉーたんには内緒なんですけれども、キャッフィーとうぉーたん宛てに年賀状を書きまして、これは自筆のものでございますので、今日、配達員の方にお渡しをして、6日までの集計を、2つのキャラクターにどれだけいただいたのかという記者会見をさせていただく予定にしておりますので、よろしくお願いいたします。
(知事宛ての年賀状を手渡し)
どうもありがとうございます。それじゃ、私からキャッフィーとうぉーたん宛ての年賀状をお渡しさせていただきます。これは彦根城の410年祭が今年行われますので。どうぞよろしくお願いいたします。たくさんの年賀状をお届けください。
(キャッフィー、うぉーたん宛ての年賀状を手渡し)
これキャッフィーに、こんなに。そうですか。じゃあキャッフィーと一緒にいただきましょうか。たくさんの年賀状ありがとうございます。良かったね。1枚1枚一緒に読んで、また今年頑張りたいと思います。
この取組をして、ご案内したところ、かわいい園児の皆さんが、みんなで出そう、ということでハガキを書いてポストに届けにいかれるようなこともあったそうでございまして、お手紙文化やお便り文化が広がりつながればいいなと思いますので、皆様方もご承知方よろしくお願いいたします。
簡単ではございますが、私からは以上でございます。
[朝日新聞]
国連のSDGsに県として積極的に参画していくということなんですけど具体的にはどういった取組を進めていくということなんでしょうか。
[知事]
今後検討します。検討するんですが、ご案内のとおりSustainableDevelopmentGoalsということで17あるんですが、貧困をなくそう、飢餓をゼロにしよう、全ての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、とかですね。ジェンダーフリーを実現しよう、また安全な水とトイレを使えるように、ということで、作る責任と使う責任ということで製造者責任と同時に消費者責任を問い直す、そういうテーマでございますので、広く県政や私たちの生活にも関わりの深いものなんですね。ですから何ができるのか、どういう関わり方ができるのかということから、行政のみならず県民の皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
[京都新聞]
朝の挨拶でもございましたけれども、びわ湖の日を県民の休日にということですが、県民の休日にすることによりまして、知事としてどのような願いとか効果、目的をお考えになられているのか。あと一点、実現していくためにどういったハードルがあるとお考えになられているのかお聞かせください。
[知事]
また懇談会などでも皆さんと議論したいと思うんですけど、私も一県民として、また知事として琵琶湖の日はいろんな意味で特別です。琵琶湖というものの意味や存在について考える、よりよくしていくための清掃活動等へ参加したりする。今、統計で10万人以上の方がびわ湖の日を中心に清掃活動をしてらっしゃるそうですし、休日にしなくともずいぶん定着してきた取組ではあるんですけど、さらにより多くの方に参加していただきたい。
また今、保全再生計画づくりをしているんですけど、具体の取組として保全再生する取組をするんですが、守る取組、活かす取組ですね。たとえばビワイチをはじめとする琵琶湖観光、湖上交通、山をよくする取組、これは何も琵琶湖に面している、日々琵琶湖が見える人たちだけではなくて、そういったつながりを再確認する、そういう取組をしていきたいと思っておりまして、そういう取組をぜひ進めていくために県民の休日にしようという提案をしたいと思います。
ハードルについては、いろいろ調べてみますと地方公共団体が休日を定めている例が2つあるようでして、一つは沖縄県の6月23日、慰霊の日。もう一つは広島市の8月6日、平和記念日でして、こういう趣旨の日が休日になっているということです。
地方自治法第4条の2、地方公共団体の休日については総務大臣の協議が必要なんですが、その総務大臣の協議は地方公共団体の意思を決定した段階で、ということでございますので、必要な条例案を作り、議会に諮り、ご決定いただいたとして、大臣との協議を経て正式決定ということになっておりますので、まずは県内で合意形成をすること、そして国との関係においてご理解いただくことでぜひハードルを越えていきたいと思います。
[京都新聞]
県民の休日にすることによって、どのような感情なり、思いをもってもらいたいと知事は思っておられますか。
[知事]
もちろんお仕事上関わりのある方もいらっしゃいますし、その日が休日にならなくてもその前後で関わりを持っておられる方も多いと思うんですよね。そういった取組は一定定着しているんですが、もう一段琵琶湖に対する関わりだとか、より良くするため、よりよく知っていただくための取組をもう一段上げていく必要があると考えておりまして、お仕事や様々な活動と別に自分自身の時間を作って、琵琶湖と向き合っていただく、触れ合っていただく、そういう取組が有効ではないかと考えまして、その間長年にわたり活動を積み重ねてきた礎をもとに次の展開を進めていきたい。ちょうど計画ができる初年ですので、それらの取組と合わせてと、もともと法律案を検討する段階でびわ湖の日というものを法律に入れることも検討したこともございましたので、ぜひこれを条例としてつくり、実現したいと思います。
[滋賀報知新聞]
古くなって恐縮ですけれども原発のことで、経産省が福島の第一原発の廃炉に係る費用等々が21兆5000億ですか、当初2013年時点の倍くらいかかると、おそらくもっとかかるだろうと思いますが、これを知事はどう受け止められたのかということが一つと、それとこれだけの増加でですね、新電力なんかに負担するということになると県が進められている再生エネルギーのですね、進捗にもかなり影響が出てくると思いますが、この辺どういう対応を考えられているのか一つ伺いたいのですが。
それから二つ目は「もんじゅ」がですね、正式に廃炉になったということで1兆円以上のお金を無駄金にしたわけですが、この辺のことの感想を伺えたら。
3点目は知事選がもうじき近づいてくるのですが、その政治家の公約について伺いたいのですが、昨年7月に当選された鹿児島県の三反園知事とか、あるいは新潟県の知事なりが再稼働反対で当選されてきたわけですが、御存じのとおり三反園知事は、結局私に原発を動かすかどうかは決定する権限はないということで、まあ容認されたわけですが、これではその方に期待をかけた有権者というのはそれを言われたらおしまいよという形になったと思うんですが、そこで改めて伺いたいんですが。知事は多重防護体制がないということで、高浜原発なり福井の原発の再稼働には反対の発言をされてきましたが、三日月知事はぶれるのかぶれないのかですね、この辺改めて伺いたいと思います。
[知事]
まず原発の廃炉、これは福島原発の事故収束ならびに廃炉にかかる経費が約21兆円超と発表をされました。この大変大きな負担を伴う取組だと私は改めて実感をしましたし、その当時政権与党の国会議員であった者としてこれで済むのかなという、また知事として現地に行きましたけれども、除染されたものが山積みにされていて遠目から見ても処理水のタンクが原発敷地内に並べられていて水処理さえなかなかトラブルが多くて思うように進んでいないという状況下で、果たしてこれで済むのかなというのが、正直な実感です。
ただ、事故は収束させなければなりませんし、伴う負担はこれ皆で分かち合っていく必要がある。それだけ何かあった時に人間で、また短期間で制御しきれない抑えきれなそういう副作用を伴うエネルギー源だということを強く刻まなければならない、私はこういう数字であり、局面だなと思っています。その負担を新電力を含めてという枠組みが検討されているようでございますが、私共はかねてから原発に依存しないエネルギー社会を作っていくべきだと唱え、ビジョンを作り、取組を進めているわけでございまして、そういう取組に、なにか後退させるような大きな過重な負担を伴わせるようなそういった事態や枠組みにならないように私は願いたいし、むしろそのことは、もちろん負の側面、起こった事態をまかない収束させていくためには、機能するかもしれませんが、次の時代を作る取組に果たして有効かという疑問も持ちます。もんじゅも同様でございまして、この間核燃料サイクル、また高速増殖炉によるこの核燃料サイクルを夢見て研究開発してきたわけですけれども、それが残念ながら頓挫をし、そしてもんじゅについては、廃炉という方針が政府によって決定されたということだと思います。
このことをとってもですね、私共がかねてから申し上げておりますように静脈がやはり整備されていない、これは廃棄物もそうですし、出てきたものをどう回していくのかっていうことが、このエネルギー源には整備されておりませんので、そういうことからも私どもは再稼働を容認できる環境には無いと申し上げております。実効性のある多重防護体制の構築と併せて、そのことを提起し申し上げているところでございます。この点はこのもんじゅ廃炉というこのこと1つとってもですね、私は非常に私たち自身がよく考え、改めるべきは改めていく、そういった事象ではないかなと思っています。
ただ、長年御協力いただいた福井県の西川知事は、こういった政府の方針に対して、十分に協議相談が無く、遺憾である意を表明されておりますので、いずれにしろ廃炉のプロセスを踏むにしろ、地元の理解、協力無くして、進まないわけですから、丁寧にこの点について理解形成、合意形成を図っていただきたいと、これは同じ地方自治体の長として申し上げたいと思います。
また知事選挙をはじめとする選挙時の政治家、候補者の公約をどう考えるかということでございますが、すいません、私はそれぞれの地域の選挙、それぞれの方がどのような事をおっしゃってどういう評価がなされて当選されているかは報道では知ってはいますけれども、現地で存じ上げているわけではありません。しかし、その任期を全うすべく出た選挙において訴えたことについては、守って実現に向けて取り組んでいくということが基本だと思いますし、変えなければならない事態があるとすれば、その変えなければならない理由を、しっかりと有権者の皆様方に説明をされてしかるべきではないかなと思います。ぶれる、ぶれない、の御質問はあれなんですけれども、私は自分の申し上げたことについてぶれずにやっていきたいと思いますし、様々な克服困難な課題があるとすれば、丁寧に説明をし、対話をしていきたいと思います。
[滋賀報知新聞]
関連してなんですが、知事なりが私に原発を動かす権限は無いと、これは三反園知事の発言なんですが、これはかなり集約的な、ある意味では、立地県であれ、隣接県であれですね、知事はそこまでの権限が無いんだと、こう出てくると原発の再稼働反対ということに対すると、非常に切り刻む言葉だと思うんですが、ここについて改めてこれかなりリアルな言葉だと思うのですが、どういう具合に受け止めていったらいいんですかね。
[知事]
そのお言葉をどういうご質問に、どういう前後の文脈でお答えになられたかというのを私は存じ上げませんが、私共、滋賀県と異なるのは、新潟県であれ鹿児島県は立地する自治体であられるということですので、私たちには無い緊張感もあれば権限もお持ちであろうし、もちろんそのスイッチを押す押さないは、その電力事業者の最終権限なのかもしれませんが、しかしそこに立地するということ、万が一、事が起こった場合の対応対策は、避難計画もそうですけれども、協定も含めてそういった事は、我々には無い項目も含めた権限が、立地自治体にはあるわけですから、そういったところの知事が発言されることっていうのは、やっぱり重いし、これは私達以上に政府や電力事業者も、より強い力を使って聞かれる、そういう言葉だと思いますので、そこはやはり県民の皆様方の不安や、まだ十分ではないそういう対策や項目についても、しっかりと伝えていく責任があるのではないかなと思います。
鹿児島県や新潟県とは異なる滋賀県であったとしても、距離の近さや、また琵琶湖をお預かりする水源地をお預かりするその立場から電力事業者や政府に対して、モノ申し、十分現時点で、私達の想いを全て聞いていただいているとは、到底言えない状況ではございますが、これはやはり引き続き粘り強く伝えていく、また、そうだなと思っていただく方を増やしていく、そういう取組が私は必要だなと思っています。滋賀県ならではの発信をしていきたいと思います。
[共同通信]
びわ湖の日の話に戻るんですけれども、これは知事の任期中にできれば実現したいというような、期間的な目標があるのかが1点と、知事が今自治体で2つ沖縄と広島が制定しているということなんですが、そういう歴史的なメモリアルな日だと思うのですが、それと並べてびわ湖の日というものを国に認められるというのは、ハードルが高いのかという印象を受けたのですが、どう説得していくのかを改めて伺いたいのですが。
[知事]
まず、一つめの御質問ついてなんですが、現時点でいつまでにというのは定めていません。2問目にも関連しますけれども、そんなに容易なことではないと思っています。ただ、私たち県民には特別な存在である琵琶湖を守る運動としての富栄養化防止の条例制定だとか、せっけん運動だとか、色んな取組というのは参加参画する方も多いですし、多くの共感が呼べるそういう私はテーマだと思うので、私は悲観していません。従ってこの発信をですね、色んな機会にしっかりと伝えながらですね、議会に対しても御説明申し上げて、できるだけ早くそういう御理解が得られる状況を作っていきたいなと思っています。
ただ、今年が土曜日なんですかね、今年は7月1日が土曜日、来年はカレンダーがどうなるか分かりませんけれども、若干そういう年周り日周りであるとすれば、少し時間的な余裕はいただける状況かもしれません。ただ着実に前に進めていきたいと思います。おっしゃったように前の2例は少し私どもが提案する事例とは異なる趣旨のものでございます。いずれの日も大切な日であると思いますが、日本一大きな湖、琵琶湖、世界有数の古代湖の琵琶湖をですね守っていこう、またその価値魅力を発信していこうという取組は、これは例えば他の地域の湖沼、他の国々の湖沼の保全再生の取組にも繋げていける、これは行政主導というよりは、むしろ県民主導で作っていける、そういう取組だと思いますので、これからの世界の有り様として、十分御理解いただける休日の制定ではないかと考えています。