平成28年11月28日
(県政記者クラブ主催)
おはようございます。今年も残すところ後一ヶ月あまりとなりました。今年も地震が多くございましたので、週末も、今朝も揺れているという報道がありましたので、朝の打合せで今一度、地震防災に対する感度を上げてほしいと、対策を点検してほしいということを指示いたしました。不断に注意喚起をしていきたいと思います。
私からは、本日は話題3点、今月のイチオシ1点ということでございます。
まず、1点目は、北陸新幹線の敦賀以西ルートの国調査結果と本県独自試算との相違点について、でございます。国、県双方の調査結果を活用しながら議論を深めていくこと、これは国にとっても私たち国民にとっても大変有益であるという観点から、今後検討すべき調査結果の相違点について整理をいたしましたでのご報告申し上げます。なお、依然、調査確認の過程でございますし、詳細については、交通戦略課にお問い合わせいただければと存じます。
まず、一つ目の資料でございますが、本県独自試算で示しました、米原ルートでございますが、こちらは投資効果、いわゆるB/Cに優れています。スライドの上段ですね。そして建設費が低廉でございます。こういう点は国も同様の結果でございます。
一方、中段の概算建設費および下段の利用者数について、本県試算と国の報告に差異がございます。概算建設費の方は、本県の調査は、平成24年度の関西広域連合試算の単価を使用しています。国は最新データによる単価を用いられているということでございまして、結果として、県の一律約1.5倍が国の概算建設費になっています。
次に、利用者数の差異の原因でございますが、二つ目のスライドにもあるんですが、交通機関の利用者数を推計する場合、人口などの推計を基に社会全体の移動者数を推計するということでございます。そして、その次の段階で交通機関ごとの所要時間、乗換え回数、運行本数などを想定して、移動する人々がどの交通機関を利用するかを予測して、交通機関ごとの利用者数を推定するという流れになっています。国の調査と県の試算とで新幹線の利用者数に差異がございます。その差異については、先ほど申し上げました、社会全体の移動者数を推計するための人口推計など、上段2つですね、これについては、国県とも同じでありますが、交通機関ごとの利用者数を推計するための所要時間の想定に差異があったものと考えられます。
この前提の差異について国土交通省と情報交換を実施いたしました。所要時間については、まず一つ目、米原の乗換え時間、二つ目、停車駅、三つ目、列車速度の相違が判明いたしました。国の報告は、総じて停車駅が少なく、列車速度が速いことから、時間短縮効果が高く、小浜-京都ルートは、国が14分、米原ルートでは20分それぞれ短くなっています。一方、米原ルートについては、米原駅での乗換え時間が、県は5分で見ていますが、国は15分でありますことから、トータルで国と県はほぼ同じ所要時間となっているということがわかります。この結果ですね、小浜-京都ルートと、舞鶴ルートにおいては、時間短縮による利便性の高さが利用者の大きさにつながっている可能性が高いということが判明いたしました。
一方ですね、4枚目のスライドですが、関西-北陸の平成26年度の鉄道利用者数は、1日あたり17,300人、国が平成24年に発表した、北陸新幹線金沢-敦賀開業後30年間の需要予測は、1日あたり平均14,600人であることから比べますと、今回示された国の調査結果、小浜-京都ルート輸送密度が41,100人となっていることは、これまでの調査、実績と比べますと約2.4から2.9倍の開きが存在しています。北陸と西日本を結ぶ航空便は、小松-福岡便と、小松-那覇便しかなくて、北陸新幹線の金沢開業時に首都圏と北陸の交通手段が航空から鉄道にシフトしたのと同様に、西日本と北陸の移動で、新幹線利用が大幅に増えるという要因は考えにくいのではないかと思います。
この点ですね、航空からの振替はないと想定しますと、自動車利用と鉄道利用の前提条件の違いあるものと推測し、現在、国土交通省に詳細の確認を行っているところでございます。
このように、我が県が独自に試算を行っていたことが、国の報告について、課題提起を行い、さらなる議論の深度化を可能にしているという面がございます。今後は、かねてから要望しておりますように、米原ルート、これは乗り入れについても同様の調査をして、あらゆる可能性を議論していただくよう、要望してまいる所存でございます。これからも、こういった観点も含めて、確認も含めて国に対しても意見を申し上げながら本県の主張を行ってまいりたいと存じます。
続きましては、話題が少し変わりまして、県公式イメージキャラクターの水の妖精「うぉーたん」が、「インスタグラム」による情報発信を開始するというお知らせでございます。
県では、国内ユーザーに向けて、平成24年に「Twitter」を、平成25年に「Facebook」の運用を開始したところでございますが、今回新たに海外ユーザーですとか、国内の10、20代の女性をターゲットに「Instagram」の運用を開始いたします。インスタグラムは、今爆発的な広がりをみせています画像・動画特化型SNSでございまして、海外で5億人以上、国内で1,200万人以上が利用されていると言われています。
「うぉーたん」のインスタグラムのコンセプトは「水」ということでございまして、県内を飛び回り、県内の「水」にまつわる写真を撮影します。琵琶湖をはじめとする滋賀県の美しい自然や、人々の暮らしなど、滋賀の魅力を全世界に向けて発信していきたいと考えています。
本日は、「うぉーたん」に新たな役職として、「県専属公式フォトグラファー」を委嘱いたしますので、委嘱状とカメラを交付します。
(委嘱状、カメラ交付)
よろしくお願いします。頑張ってくださいね。うぉーたんはこれから撮影に旅立つんですよね。頑張って行ってきてください。
続いてですね、先週、滋賀県に飛び込みましたうれしいニュースについてでございます。トロより旨いビワマスの話題ということでございまして、琵琶湖固有種のビワマスが、日本一になりました。大変喜ばしいことであります。今日は、県漁連の皆さんのお計らいによりまして、その「天然ビワマスの親子丼」を準備していただきました。ちゃんと記者の皆さんの分も準備していただいたということでございますので、後ほどご賞味いただければと思います。これがビワマスの親子丼ということで、これがビワマスの卵ですね。
(県漁連青年会 中村清作会長)
はい。琵琶湖産の天然のビワマスの切り身と、ビワマスから採れる卵をしょうゆ漬けにしています。
いただきます。なんかもったいなくて。これはすごいよね、ビワマスの卵でしょ。
(知事試食)
ビワマスの甘みと、しょうゆ漬けの卵のぷつぷつというのがすごく合っておいしいね。これは好評を得たのがよくわかります。この丼は、隅々までこだわって作っていただいたということでございまして、後ほど、中村さんはじめ関係者の皆さんからご紹介いただければと思いますけれども、高品質冷凍機で凍結させたビワマスのみを使用されていると、米は滋賀県の誇る近江米「みずかがみ」を、炊飯用水も滋賀県産の軟水、「いわまの甜水(てんすい)」)を使っていただいているということでございます。中村さん、受賞の感想、手ごたえはいかがでしたか。
(中村会長)
ただただありがたい、嬉しかったです。
すごい勢いで出ていった、売れていったと。
(中村会長)
始まる前から並んでいただいて、僕たち漁業者は琵琶湖の魚のプロだと思っていて、自覚と自信を持っていったので、それが評価されたのは本当にうれしかったです。
漁業者の皆さんも嬉しいし、私たち県民も非常にうれしいなと思っていまして、脂の乗ったビワマスは、やはり全国の皆さんにもお勧めしたくなる「日本一」の味だということを私も試食して思いました。この親子丼を食べている写真を、報道でご覧になった方々から、私にも直接いただいたんですけど、「どこで食べられるんですか」というお問い合わせがございまして、聞きますと、ビワマスは現在禁漁期に入っていると、限られた量の在庫を残すのみとなっているんですけど、配布した資料に記載していますとおり、3つの飲食店で特別に販売していただけるということになりました。
今はまだ限定的な取組となりますが、旬の時期には取扱店舗も増やして、できるだけ多くの方々にビワマス料理を楽しんでいただきたいということでございますし、私もPRをしていきたいなと思っています。今後とも応援をどうぞよろしくお願いします。
今月のイチオシの第23弾ということでございますが、多賀町の「多賀そば」ということでございまして、多賀大社駅前にあります「もんぜん亭」でご賞味いただいた方も多いのではないかなと思います。
多賀町では、鈴鹿山系から流れ出る美しい水と山間地ならではの寒暖差からそばの栽培に適しているということで、近畿最大のそばの栽培地となっています。生産量が多いだけではなくて、日本一の品質と言われております、常陸秋そばのみをすべて無農薬で栽培し、環境こだわり農産物にも認定されており、平成20年度には農水省の全国そば優良生産表彰「全国農業協同組合中央会長賞」も受賞してされているということでございます。
受粉も、ミツバチによる自然受粉ということでございまして、9月頃に咲くということですが、可憐な花も楽しみの一つとなっています。多賀町はそばの普及にも熱心に取り組んでおられまして、そば打ち養成塾を開催され、卒業生がそば屋を開店された例もあるということでございます。この「もんぜん亭」の「石栗庵」もそうですよね。自治会や小中学校へのそば道具に貸出しや購入補助も行っておられるということでございまして、多賀そばの一層の定着普及に努めておられます。そばの収穫がちょうど今、11月中旬から12月中旬で、まさにこれからが新そばの季節ということでございまして、さっそく私もみなさんの前でいただきながら、皆様方にもご賞味いただくということでございます。本日はビワマスの親子丼に、多賀そばにとまさに盛りだくさんなんですけど。
(知事試食)
まず、歯ごたえがある。張りがある。噛めば噛むほどそばの味がする。まさに今の風物詩、多賀の名産品でございますので、ぜひご賞味いただくと同時に、初詣に行かれたとき、お礼参りに多賀大社に行かれたおりなどにもご賞味いただだければと思います。長くなりましたが、私からは以上です。
[時事通信]
北陸新幹線の話ですが、このような相違点について明らかにされた理由と相違点を今後どのように活用されていくのかお伺いできればと思います。
[知事]
まず私どもは、9月の下旬でしたか、本県独自の調査結果をお示しいたしました。11月の上旬に国の調査結果が出ました。比べますと同じ点もあれば違う点もありましたので、確認するということを申し上げておりまして、全ては確認中でございますが、確認している過程で分かったことを皆様方にお知らせするべきではないだろうか。実際問い合わせも多ございますので、一部わかったこと、わかりかけたことを詳しくお知らせしたという事でございます。
かねてから申し上げているとおり、国にとっても、私たち国民にとっても、地域にとっても非常に大きな投資でございますので、開かれた議論で多くの方々の納得が得られる、そういう決め方ですとか、決定内容を作っていく必要があると考えます。そういうことで今回の差異、相違点についての見解というものもぜひ国にもお伝えしながら議論を深めてまいりたいと考えているところです。
[時事通信]
今日の夕方に県市行政会議も開かれる予定となっておりますが、ここでも話をされるんでしょうか。
[知事]
当然記者の皆様にお知らせしている内容はこういう形でお知らせしたということで、関係市の方のご関心も高いですし、市長会からもご要望もいただいているので、お届けしたいと思いますし、議会のほうも大変ご関心が高く、お問い合わせをいただいておりますので、お知らせしたいと思います。
[時事通信]
Fish-1グランプリのほうですが、お店の名前がいくつか入っていますが、細かい話で恐縮ですが、いくらでいただけるのか。現在禁漁期ということなんですが、供給体制というか、どれくらい提供できるのかわかればお願いします。
[知事]
すみません、金額については存じ上げませんので後ほどお問い合わせいただければと思いますし、お店によっても違ったり、メニューによっても違うのかもしれませんので詳しくお知らせをしたいと思います。
こういうビワマス親子丼ということで知られること、食べたいなと思っていただけることは私たちも推奨したい。と同時に琵琶湖の固有種をしっかりと守ること。禁漁期も含めて養殖も含めて固有種の安定した状態を保っていくことも大事。その両面をお知らせし、ご理解いただき、思いを持って志を共有しながら食べていただけるとありがたいなと思いますので、Fish-1グランプリをとったから食べて、というだけではない取組を展開していければいいなと思います。
[京都新聞]
新幹線の関連で、相違点がわかってきたところをお出しいただいたということなんですが、これを改めて県として想定をもう一度変えることがあり得るのかが一つ。それと先ほど最後の方におっしゃった、いわゆる乗り入れ問題なんですが、あくまで要請するだけなのか、今回のように県として試算することもあり得るんでしょうか。
[知事]
まず今回明らかになった相違点。十分解明できていないところもあるんですが、相違点を踏まえて調査なり、再想定をするのか。私はむしろそうするよりも、その前提の違いについて明らかにし、議論する方がよいのではないか。といいますのも、たとえば輸送密度の相違に影響するだろうと思われる米原駅の乗換え時間および停車駅。これらは、たとえば米原駅の乗換え時間を国は15分と見ているところを本県は、関西広域連合の設定ですが、5分。停車駅については最速達の列車タイプですと、国は敦賀駅を通過すると想定されていますが、本県は、敦賀駅は停車するとしていますし、列車速度を、最速達タイプを国では200キロと想定されていますが、本県では165キロと想定しています。
この違いを想定し直して計算すると、結果国と同じになるだけで、そのことの意味よりもむしろどこに前提をおいて大きなプロジェクトの決定をしていくのかということをしっかりと議論する方が建設的ではないかと考えます。
なお、もう一つのご質問でした乗り入れの問題は、もちろん私たちはこれまで乗換えの問題を言ってきましたし、計算もしてきました。この間いろいろな方々から提起がありましたように、リニアの開通を展望して列車ダイヤを考え、交通体系を考えてきた時に乗換えだけが唯一無二の選択肢であるのか。私は空いてくる新幹線の一つの可能性として北陸ルートからの乗り入れというのは、あり得るだろうと考えますし、関係するシステムの違いは十分乗り越えられると思います。
いよいよつくる時間軸が明らかになってきて、リニアのことも当然考えた議論展開になってくると思いますので、これまでどおり、いやこれまで以上に乗り入れという事についても主張させていただき、多くの方の理解を問う、御賛同を問うていきたいと思います。
[京都新聞]
繰り返しですが、乗り入れを独自に試算するのは難しい話なんでしょうか。
[知事]
本県の調査結果の中に参考資料で入っておりますので、それをどう使うか今後検討していきたいと思います。
[中日新聞]
国は、米原乗り入れに関しては調査結果を出していないのですが、試算では北海道新幹線が札幌開業してから北陸新幹線の敦賀以西に着工するということを言っている。その前提で考えるとリニアの大阪開業をした後に、北陸新幹線の大阪開業になると思うが、その場合、滋賀県の主張として東海道新幹線が空くから米原乗り入れも可能になるという主張もできるのではないかと思うが、その点は如何ですか。
[知事]
まずですね、私どもは必要な財源等作っていただいた上で、できるだけ早く着工していただき、早期にネットワーク効果を発現すべきだとうことをかねてから主張していますので、必ずしも国のおっしゃる平成43年着工を想定するというものと、必ずしも同じ考えをもっているわけではありません。ただおっしゃるとおり国がそう想定され、そのことが現実のものとなるとすれば、当然今おっしゃったようにリニアの開業、これは名古屋までのみならず、8年、国の支援を入れて前倒しするといわれている2037年ですか、名古屋・大阪リニア開業、こういうものと北陸新幹線敦賀以西ルートの完成時期が重なってくるというのであれば、より東海道新幹線のダイヤを考えた米原駅での乗換えだけではない、乗り入れというものも現実的になってくるというふうに思いますので、その辺りのことはスケジュールとは別に議論をしていくというのが良いのではないかと思います。
[中日新聞]
では、現段階では乗り入れを国に訴え、働きかけていくということは、もう一度与党の検討委員会、12月5日にあると思うのですが。
[知事]
そこは最終調整をします。まず繋がらないと乗り入れもできないわけですから、私たちはまず繋げようと言っているわけですから。その議論に資するのか資さないのか、テーブルに乗せた方が理解を得られるのか得られないのか、その辺りの見極めもいるのではないかなと思います。
[読売新聞]
川に架かる橋の話で、県管理の分で管理者が分からないという橋がたくさんあるということが分かったということですが、それについての知事の受け止めと、県が管理すべき河川に架かっている工作物ですので、それを今後どのように対処していこうという、お考えがあればお伺いできますか。
[知事]
早急に対処すべき課題だと思います。そもそも所有が誰のもので、管理主体が誰に責任があるのかということについては、早期に明らかにしなければならない課題だと思いますし、当然のことながら河川管理者としての責任も果たしていかなければならないということですし、ぜひ市や町、地域の方々と連携しながら、その所在を明らかにして、我々この橋のみならず構造物の長寿命化対策、取り組んでおりますので、その中でしっかりと把握をし、対処していきたいと思います。
[読売新聞]
早急にというお話だったが、ただ問題が分かってからの時間を考えますと、お言葉を返すようですが、早急にというお言葉、もう最初に分かってから3年くらい経っていますけれども、それについてもしご意見あれば。
[知事]
出来るだけ早急にやりたいと思います。限られたマンパワーの中でどう把握するのか、交通量ごとに優先順位を決めるという方法もあるでしょうし、県だけでできないところを市町の御協力をいただきながらということもあるでしょうし、やり方も含めて、工夫しながら早急に対処できるように取り組んでいきたいと思います。
[日経新聞]
一部経済人の人達の間で、小浜-京都ルートの方がかなり有利だということになっている中で、北陸新幹線以西は1本だけでいいのかと、小浜ルートもあるし、米原ルートもできるのではないかと、2本作ってもいいのではないかと、ネットワーク網として、という運動をしていった方がいいのではないかという人達もいるのですが、その点についてはどうお考えですか。
[知事]
どなたがどういう文脈でそうおっしゃっているのか、分かりませんけれども、私は慧眼だと思います。一つは、私たちはかねてから北陸圏から中部圏、近畿圏の結節点としての役割を果たしていくと、いよいよ敦賀以西をどう整備するのかということを本格的に検討する段階において、その私どもが言ってきた結節点の役割というものを、重く考えていらっしゃる方からの御発言ではないかなと思うのですが、そういうことであれば私は慧眼だと思います。
ただ、国が今どういう方向で決めようとしているのか、そういう選択肢があり得るのか無いのか、また財源面でどう整理が付くのか、また国の計画のレベルの違いがありますので、そこをどう乗り越えようとしていくのか、課題はあると思いますが、私はそういう主張については慧眼だと思います。