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知事定例記者会見(2016年11月15日)

平成28年11月15日
(県政記者クラブ主催)

記者会見に臨む様子

ずいぶん寒くなってまいりしました。まず資料に基づく報告3点の前に、先週の11月3日から12日まで海外出張に行ってまいりましたので、その報告を簡単にさせていただきます。

既に、一部は資料等でも報告していますが、まずフィリピン・マニラは戦跡巡拝にまいりました。その後、台湾の台北に国際旅行博にまいりました。その後、ご取材もいただいておりますが、インドネシアのバリ島におきまして第16回世界湖沼会議にまいりました。そののち、ベトナム・ホーチミンならびにタイ・バンコクセールスプロモーション活動に行ってまいりました。

まず、フィリピン・マニラにおきましては、マニラ東方山地で3カ所、戦跡の巡拝を行ったのちに、カリラヤの日本国の政府をして作られております、慰霊碑に巡拝をいたしました。私も私の両親も戦争を知らない世代でございますけれども、戦地であった戦跡を遺族の方とめぐらせていただくということに、深い意義を感じたところでございます。今後もこうした取組をしっかりと続けていきたいと思います。

台湾・台北では、4日間で36万人の方が来られるという、アジアで最大、おそらく世界で最大の旅行博ではないでしょうか。そこで滋賀県の出店ブースも設置いたしまして、セミナーとともに忍者、鉄道、ビワイチ、この3点のコンテンツをPRさせていただきました。昨年来築いております中華大学との人間関係の中で、多数の学生ボランティアもこのPR活動に参加をしてくれましたので、今後につながるいいプロモーション活動ができたと存じます。

インドネシア・バリ島での世界湖沼会議は、御存じのとおり、1984年に滋賀県でスタートした会議でございまして、これがずっと続いてきているということでございます。今回も新たに、子どもたちのびわっこ大使ならびにオオバナミズキンバイ駆除活動等でご活躍中の、IVUSAの学生諸君も参加をしてくれて、またさらに幅が広がったのではないかと思います。課題はビジネス等にいかにつなげていくのかということでございまして、2年後の次回、茨城県の霞ケ浦に、また国内に戻ってまいりますので、そういった取組等をさらに促進させてまいりたいと思います。

ベトナム・ホーチミン、タイ・バンコクは、昨年に引き続くセールスプロモーション、特に、タイ・バンコクは2年連続ということでございまして、人間関係を基礎とした、より中身の濃いセールス活動ができたのではないかと存じます。ベトナム・ホーチミンではベトウォーターの視察、人民委員会との交流を行ったことに加えまして、タイ・バンコクでは昨年指摘をいただいた、タイ語による琵琶湖、滋賀の案内ということが課題でございましたので、そういったパンフレットをPRさせていただきました。ぜひ、今後の活動につなげてまいりたいと存じます。

いずれにいたしましても、滋賀から世界へ、世界から滋賀へということを申し上げておりますので、今後ともグローバル社会の中で、とりわけ伸び行くアジア、関わりの深いアジア等との関わり合いをさらに広げ深めてまいりたいと存じます。

それでは、私の方から3点申し上げます。

まず、1点目は、「犯罪被害者週間」についてご紹介します。

平成17年12月に閣議決定された「犯罪被害者等基本計画」において、毎年、「犯罪被害者等基本法」の成立日である12月1日以前の1週間、11月25日から12月1日までは「犯罪被害者週間」と定められています。この期間中、犯罪被害者等が置かれている状況でありますとか犯罪被害者等の名誉、生活の平穏への配慮の重要性等について、国民の理解を深めることを目的に集中的な啓発活動が実施されます。

スライドは、警察庁が作成された今年度の啓発ポスターです。本県でも、啓発活動を予定しておりまして、「犯罪被害者週間」の初日であります11月25日(金曜日)の朝に、JR堅田駅におきまして、チラシやポケットティッシュ等を配布しながら「犯罪被害者週間」の周知、犯罪被害者の方々に対する理解や配慮の重要性について呼びかけます。この啓発には、県立堅田高校生徒会のみなさん、JR堅田駅の駅員さんにも御協力いただくということでございます。写真は昨年度の様子でございまして、JR草津駅およびJR近江八幡駅において、両駅併せて約1,500名の皆さんに啓発を行いました。昨年のJR草津駅の啓発には、光泉高等学校の学生ボランティアのみなさんにも参加していただいております。

また、県庁本館1階県民サロンにおいて、明日11月16日から12月1日まで、万が一被害に遭われた場合に安心して相談できる「滋賀県犯罪被害者総合窓口」と「性暴力被害者総合ケアワンストップびわ湖SATOCO」などを周知するパネル展を開催いたします。県と県警では、犯罪被害者の方々の多様なニーズにきめ細かく対応できるよう専門の相談員を配置し、また、滋賀県公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」の指定を受けた県内唯一の民間支援団体である認定NPO法人おうみ犯罪被害者支援センターに相談窓口業務を委託しております。おうみ犯罪被害者支援センターでは、例えば、被害者の御命日にお手紙を出していただくといった細かな気配りで、民間ならではの支援を実施していただいております。こういった被害が無いに越したことはありませんが、万が一、犯罪の被害に遭われた場合は、安心して御相談いただければと存じます。

県民一人ひとりができる支援といたしましては、支援団体への直接的な寄付はもとより、写真のような支援のための自動販売機、これは、1本あたり一定の金額が支援団体に寄附される仕組みのようですが、街で私も見かけたら、是非ジュースを買おうと思います。皆さんも、この支援自動販売機を見かけられましたら是非ご利用いただきたいと存じます。また、スライドにもございます「ホンデリング」は、不要となりました本やDVDを寄贈いただきますと、その買い取り金が寄附されるという仕組みでございまして、ぜひ御協力をお願いしたいと存じます。このホンデリングの取組は、担当課から県職員にも協力を呼びかけたと聞いております。一人ひとりができることで支援の輪を広げていきたいと思います。

また、性暴力の被害に遭われた方をワンストップで総合的に支援するセンター「性暴力被害者総合ケアワンストップびわ湖 通称SATOCO」でございますが、滋賀県産科婦人科医会、認定NPO法人おうみ犯罪被害者支援センター、滋賀県警察、滋賀県の4者が連携し、平成26年4月から運営しております。専門の女性看護師が、24時間ホットラインで対応していただいておりますので、躊躇することなく、安心してご相談いただければと存じます。最後に、薬局店頭におけるスイングポップによる周知ですが、内閣府が平成27年3月に公表した「男女間における暴力に関する調査」では、性暴力被害者の多くは、警察、医療機関などへの相談を躊躇されるケースが多いということであります。それでも、性暴力被害に遭われた時は、望まない妊娠や性感染症など、「からだ」の心配は残りますので、滋賀県薬剤師会に御協力いただき、会員である県内薬局約550店舗の妊娠検査薬やレジカウンター近くに、スイングポップを設置していただき、安心して相談することができるSATOCOの存在を広く周知し、性暴力被害に遭われた方を支援する取組を推進してまいりたいと存じます。

この犯罪被害者週間の内容でありますとか、犯罪被害者支援の取組の詳細につきましては、県民活動生活課までお問い合わせいただきたいと思います。県民あげて支援するため、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

次にですね、今般、県では平成28年度の滋賀県職員採用上級試験特別募集、行政・機械・土木を実施することにいたしましたので説明します。

夏に実施いたしました平成29年4月入庁予定者の採用上級試験におきまして必要な人員が確保できておりません。したがって、追加で採用試験を実施いたします。行政職が5人程度、機械職が1人程度、土木職が6人程度の採用を予定しています。

今回の特別募集を実施するにあたりまして、特に行政職については、初めてということでございますが、複雑多様化する行政課題に対応するため、民間企業でありますとか、いろんな社会活動でありますとか、国際貢献活動等で様々な経験を有しておられ、そこで培われた柔軟な発想や行動力などを持った人を採用したいと考えておりまして、通常の上級試験と異なり、実務経験を期待して、年齢要件を27歳以上34歳以下と設定しております。特に、県外の民間企業などで多様な経験を積み、UIJターンをして滋賀県で活躍したいという方にもぜひ受験いただきたいと考えております。試験内容につきましても、通常の上級試験とは異なり、1次試験の専門試験は実施せず、その代わりに、アピールシートによってこれまでの社会経験の実績とその経験を県職員としてどのように活用できるかを問うものになっておりまして、専門試験の負担を減らし、社会人の方でも受験しやすいものとなっております。

また、土木職につきましては、近年、民間企業との人材獲得競争が非常に激しくなっておりますが、県の土木職は計画、設計、施工、完成、維持管理までの全てに関わるところに仕事の醍醐味があるということでございます。また、県民の皆さんの安全・安心を支えるという非常にやりがいや誇りを感じられる仕事です。ぜひ滋賀への熱い思いをもった方に多く受験していただきたいと考えています。

特別募集の受験申込受付期間は、11月21日月曜日から12月21日水曜日までとなっております。報道機関のみなさまからも、積極的な周知にご協力をお願いいたします。

最後でございますが、滋賀県のがん医療に関わる話題を提供させていただきます。

2人に1人ががんに罹患され、3人に1人ががんで亡くなられる。がんは日本人の死亡原因の第一位でございますが、滋賀県は、がん拠点病院の整備と並行いたしまして、全県的にがん医療の高度化、均てん化、医療人材の育成に取り組んでいるところでございます。

滋賀県では滋賀医科大学附属病院を「滋賀県がん診療高度中核拠点病院」として指定いたしまして、滋賀県がん診療人材育成・支援体制構築事業等を通じて、滋賀県における先進的医療の展開と高度がん医療人材の育成に取り組んでまいりました。この度、滋賀医科大学と東京大学で開発中の我が国のがん死亡の第一位である肺がんに対する免疫療法、肺がん治療用ワクチンについて、「日本医療研究開発機構(AMED)」の開発支援を受けて「医師主導治験」が滋賀医科大学附属病院で開始されることになりました。

詳細はのち程、この会見に引き続いて、滋賀医科大学腫瘍内科の醍醐教授より説明がなされる予定でございます。是非、皆様方のご取材等お願いいたします。肺がんは、我が国のがん死亡原因の第一位でございます。このような治療の難しい病気に対して、滋賀県発の新薬の開発が推進されることは、県の進める医療・健康・福祉イノべーションに寄与するのみならず、滋賀県における先進的ながん医療の推進につながることが期待されるところでございます。私も注目をしたいと思います。

長くなりましたが、私からは以上でございます。

[時事通信]

海外出張の件でおうかがいしたいんですけれども、湖沼会議でビジネスにいかに活かしていくかという課題があったということですが、これについてどう解決していけばよいとお考えでしょうか。

[知事]

これまで一部ご参加はいただいているんです。水質監視であるとか、水質浄化であるとかご参加いただいているんですが、より広げることができるのではないかということで様々な世界の課題が克服できるという視点から申し上げているところでございます。

学術的には上流と下流や、また川の中だけでなく外も含めて、川と湖、また学術者とさまざまな団体、という統合的水資源管理という概念がこの湖沼会議、ILECの中で確認されてきた。そういうことであるのでぜひビジネスの分野でも広げ共有し、さらなる取組を促進させていきたいと考えております。次回日本で行われますので、この分野では滋賀県を中心に非常に多くの企業の皆さんの経験や技術がございます。広く呼びかけをしながらご参加をいただいて、その現場でも共有できるように働きかけをしたいと思います。

[時事通信]

ちょうど出張中に公表されました北陸新幹線の国交省の試算なんですが、知事コメントでおっしゃられたように投資効果が一番高かったということなんですが、所要時間は小浜・京都に比べると長いということであるとか、料金も高いというところで、そういう課題についてはどうしていけばとよいとお考えでしょうか。

[知事]

11日に国土交通省において調査中であった敦賀~大阪間のルートにかかる調査結果が公表されました。考えはその日に出した私のコメントの通りでございます。ご質問にありましたように米原ルートというものは本県の独自試算の結果と同様建設費が最も低廉である。最も投資効果に優れているということが数字でも明らかになったところでございます。

今ご指摘いただいたように、たとえば所要時分であったり、輸送密度というものであったり、便益に若干違いがあるようなことがありましたし、特に輸送密度では単純に比較はできないのですが、国が平成24年4月に公表された大阪~敦賀間の需要予測に比べますと3倍近い開きがあるということのようですので、こういった違いについては確認していきたいと思います。

[読売新聞]

北陸新幹線についていろんな報道がありますが、京都や福井の国会議員の先生の話を聞いていると、どうやっていくのかという時に政治力という言葉をよく聞くのですが、滋賀県の米原ルートが採用されるためには必要だとお考えですか。

[知事]

合理的な政治力が必要なのではないかと思います。今の時代にあった、また多くの方にご理解のいただける合理的な政治力というものが必要なのではないかと思います。

当然それぞれのルートが出てきて、その地域地域に望む声があって、全てが満たせないという状況の中で、満たせないと言い切りましたけれども、満たせる方法があったら別ですが、満たせないとするならば、何かの基準や結果に基づいて決定していかなければならない。どこかに決めていかなければならないということになると思うんです。

昭和の時代の決定プロセスと平成の時代の決定プロセス。人口が増加する時代の決定プロセスと人口が減少する局面での決定プロセス。私は高速鉄道の効果、有用性というものは認める一人でございますが、それらをどれだけのお金をかけて、どれだけの時間をかけて、どう整備をしていくのかということについては、合理的な政治力というものが求められるのではないかと思います。

今後出された調査結果に基づいて政府与党で議論されるという事でございますので、私どもも主体的に参画しながら必要なデータ、説明も求めながら、多くの方にご理解いただけるような決定プロセスを期待したいと思います。

[読売新聞]

具体的に考えておられる取組があれば教えていただけますか。

[知事]

まずは今週予定されている事だけでも関西広域連合がございますね。そして来週予定されていることで申し上げますと政府への来年度の政策や予算に関する要望がございますね。こういった機会を通じてまずは取組を行い、調査結果が出されたことを受けての検討プロジェクトチームでも再度自治体のヒアリングを行われるという事も仄聞しておりますので、それぞれの過程においては関係する本県選出の議員の皆様方ともよくよく諮りながら進めていきたいと思います。

[NHK]

全国的に外国人の旅行者が多くなり、民泊の規制緩和が検討されている中、京都市が自治体で規制できるように厚労省に要望したという報道がありました。この件についてはどのようにお考えでしょうか。

[知事]

申し訳ございません。京都市さんがどのような要望をどこにされたかということについては詳らかではございませんので、このことについてコメントするのは差し控えさせていただきたいと思います。広くこの民泊問題にどうかということについては、私のスタンスは滋賀県らしい民泊をこれまでどおり、またこれまで以上に進めていけるのではないか、進めていくべきではないか。

具体的に申し上げますと、滋賀県はおかげさまで古くから農業県でございます。今も農業をされているご家庭、地域、集落がございます。日野町や甲賀市を中心に農家民泊が非常に根付いておりますし、ご評価いただいております。各地の教育旅行等々。海外からも農家民泊を利用されていますので、こういった取組をこの機会にさらに進めていく。必要な規制等々があるとするならば、これについても検討を促していくことが必要なのではないかと思います。

[NHK]

規制があるなら促していく。どういったことには規制が必要とお考えでしょうか。

[知事]

より農家民泊を進めるための課題を整理して、可能性を伸ばす取組をしていきたい。具体的にこの法律のこの制度がネックになっているので進まないということについては持ち合わせておりません。

[中日新聞]

北陸新幹線について読売さんに関連するんですけど、再度自治体へのヒアリング調査が同委員会であるということで、与党の検討委員会の中では投資効果が優れているという滋賀県の強みもわかっていると思うんですけど、東海道新幹線に乗り換えるだとか、JR西日本と東海のシステムの違いだとか、脱線防止装置の違いだとか課題も指摘してくるかもしれないんですけど、知事としてどう短所を補おうとされているのか教えて頂けたらと思います。

[知事]

重要な視点だと思います。おっしゃったとおり米原につなぎ、乗り換えるとするならば、将来的に米原から直通乗り入れ等々を検討するとするならば、今あるJR東海と西日本の会社間の違いというものをどう考えるのか。関連するシステムの違いをどう乗り越えるのかということは重要な課題になると考えています。その際にそれがあるから合理的な路線に敷かないという方向にもっていくのか、事業効果、費用対効果の高い路線を選択し、付随する課題についてはどう乗り越えていこうとするのか問われてくるのだと思います。

したがって、簡単に申し上げれば利用者利便が高い、費用対効果が高い事業を選択して、会社間、システム間の違いというものはむしろ国をして、関係者間の協力を得て乗り越えていくべきではないか。この主張は以前の与党検討委員会でもさせていただいておりますので、さらに強調したいと思います。

[中日新聞]

11日に国交省が発表された調査結果には、注釈の所に平成43年度着工と書かれてて、西暦でいうと2031年度になると思うのですが、30年度に北海道新幹線札幌開業の翌年着工ということになります。これを知事はプラスに受け止めてらっしゃるのか、マイナスに受け止めてらっしゃるのか。まだ正式に決まったわけではないと思いますが、受け止めをお願いします。

[知事]

プラスにもマイナスにも受け止めてません。フラットに受け止めています。この札幌までは財源があるんですけど、札幌開業以降は財源がまだないので、貸付料を前借りして整備財源をつくっていくという仕組みで担保されている財源は2030年までですので、これについてはおそらく国交省も財源がないので、着工をその時期に設定しているのだと思います。したがって私の受け止めはフラットです。仮にそうなるとすれば、その後着工され、整備される北陸新幹線の敦賀以西については名古屋までリニアが通ってますし、8年前倒して整備されるという大阪までのリニアについても開業された後に新幹線がつながってくるということを想定しなければならないと考えます。

[中日新聞]

その面に関してはプラスになるんですか。マイナスになるんですか。

[知事]

フラットです。

[びわ湖放送]

政府の試算の中で米原ルートの費用対効果が一番良いと出ました。その一方で小浜京都ルートの費用対効果は1を超えていましたし、おっしゃったとおり県の試算とのずれは少しずつはあったのかと見ているのですが、米原ルートを進めていく上で国の試算の発表はプラス、前進になったととらえられているんでしょうか。

[知事]

こっちにプラスになっているかどうかについては、コメントで発表させていただいたとおり、独自に試算しました計算とある意味では米原ルートが費用対効果の面で最大であるという意味においては、評価していますので、プラスになったと思います。ご質問にあったとおり違いがあったり、他の路線の評価が我々と違うことについては、なお確認をしなければならない。

[びわ湖放送]

米原ルート実現には少し近づいたとは捉えられていないですか。

[知事]

もうちょっと見極めたいと思います。

[共同通信]

2点ありまして、まず、北陸新幹線の建設費用の負担の関係ですが、今の制度だと、国が2/3、地方が1/3という制度になっていると思うんですが、これはもし米原ルートになる場合は関西全体で負担していくという考えで進めていかれるのか、そこら辺をどう説得していくのかということをまず1点伺います。

[知事]

私どもは一貫して、負担については受益に基づく負担の分担ということがあって然るべきではないかと、関連致しまして、この整備新幹線のスキームになって以降、整備している整備新幹線については、今おっしゃったように1/3の地方負担、それ以前に作っている新幹線については、地方負担というものは無かった。この時代の違いによる地方の負担が過重すぎるのではないか、この負担に合理性があるやなしやという視点から国と地方の負担割合についても見直しが必要なのではないかと、こういったことを提起してきました。従ってこの北陸新幹線のルートが決定された際に、その地方負担についてはですね、受益に基づく負担分担というものを主張していきたいと思います。ただそのルールというものは、これまで整備してきた地域の整備新幹線では採用されてこなかった、そういうルールですので、その意味においてはですね、国にもですね、このルールの見直しというものを提起して、そこにご理解をいただかなければならないと思っております。

[共同通信]

つまり、まずは地方負担を減らして、かつそれは関西全体で分担していくよう関西広域連合でもやはり進めていくということでしょうか。

[知事]

それが私たちの主張だし、それが私たちの求める理想ですね。

[共同通信]

整備新幹線の前の、昭和の新幹線の時は国の負担が多かったと思うんですけれども、またそのやり方を変えるというのには政治力がまた問われるのかと思いますが、そこら辺はどう説得していかれるおつもりですか。

[知事]

一つは関西広域連合という広域自治体の中で、今申し上げた負担分担については、一定の合意形成をしてきています。およそ高速鉄道というのはそうなんですけれど、その敷く当該自治体にもたらす便益と負う負担、得る受益というのは違った形で発生してきます。とりわけこの近畿圏に北陸新幹線敦賀以西ルートが入ってくる場合、お客様がどう動くのか、以て便益がどこにもたらされるのか、ということについては、やはり精緻な分析がいるでしょう。そういった点から主張してきましたし、この主張そのものについては、ルールを見直すというレベルにまでは達していませんけれども、そういった主張そのものには多くのご理解をいただいているところでございますので、なお、ハードルは高いと思いますが、新しい時代の整備新幹線の整備の在り方として、当然財源のことも議論されなければならないでしょうし、こういう負担分担、見直しについても、私は俎上にあげていただいて然るべき話ではないかと思っております。

[共同通信]

もう1点ありまして、並行在来線の問題もやはり残っていると思うんですけれども、湖西線が経営分離されないようにしていきたいというのが、知事のお考えだと思うんですけれども、米原ルートにあげるから、並行在来線にするよっていうことも、もしかすると言われかねないかと思うんですけれども、そこはどう説得されていくのですか。

[知事]

私どものスタンスは湖西線のみならず県内の在来線、JRの線区については、並行在来線は認められない、引き続きJRとして経営をして欲しいと、どのルートになったとしてもということが私どもの主張です。これまで北陸新幹線をずっと延伸してこられたそれぞれの自治体においては、県ごとに第三セクターを作られて、特急が代替される在来線については並行在来線と指定され、それを順にしてこられた経緯がございます。従ってこれまで北陸新幹線を敷いてきたエリアとはまた違う主張をすることになると思っております。ただ私どもは開業して10年を迎えますけれども、県として湖西線は一部ですけれども、北陸線については直流化事業に多額の費用を投じてですね、関西圏とのネットワーク、直通列車というものを整備してきたこういう経過もございますので、そういう特殊事情等々も勘案しながらですね、私はこの並行在来線というものも、ある意味では整備新幹線以上に大切な日常交通、滋賀県の公共交通だと思っておりますので、その辺りのことはしっかりと踏まえて、今後、ルート決定後についてでもですね、主張をしていきたいと。

[毎日新聞]

話題が変わって恐縮なんですけれども、美浜原発の運転延長の認可が明日にも出るのではないかと言われているところなんですが、今日、美浜原発の廃炉を求める市民団体の方々が、滋賀県知事にも廃炉を表明して欲しいというような要望書を持って、署名2万5千通余りを添えてこられたわけですけれども、知事として美浜原発の運転延長について、今現在どのようなお考えなのか教えてください。

[知事]

まず、この問題については、大きなスタンスとして、私どもは立地の自治体ではございませんが、立地自治体と隣接する自治体として、琵琶湖をはじめ集水域である山々をお預かりする自治体として、実効性のある多重防護体制の構築を求めていく。併せて静脈ですとか、廃炉ですとか、そういった処分のことも含めて、使用済み核燃料の管理、処分、といった対策も必要なのではないかということも提起していきます。これらの環境が整わない現段階においては、原発の稼働、再稼働というものは容認する環境にはないということを申し上げております。今般、高浜1・2号機に続いて美浜の3号機、1970年代に稼働をスタートし40年を超えてくるこの原発について運転延長が認められるかもしれないということを受けて多くの住民の皆様方が行動を起こしてらっしゃると思います。この会見等で問われ答えておりますとおり、古い原発を十分な対策と説明が無いまま動かし続けるということについては、より強い大きな不安を持たれることが多いと思いますので、そういったことに寄り添った対応、対策というものが求められるのではないかと思いますので、そのお気持ちとしてしっかりと受け止めたいと思います。

[産経新聞]

北陸新幹線の話題に戻るのですが、先程北陸新幹線の今後の取り組みとして、今週の関西広域連合で表明するというような事をおっしゃいましたが、最近の関西広域連合では特に話題にはあげておられなかったと伺っているんですが、次の関西広域連合でどういったことを提起していかれるか、一度支持されていた米原ルートを、また支持するようにという提案をされるのかどうかというのを教えていただけますか。

[知事]

まだ検討中なんですけれども、と同時に関西広域連合でどのようなテーマ、アジェンダ設定がされるのかというのは、まだ明後日の会議を前に、事務的には決まっているのかもしれませんが、まだ私も確認しておりませんので、それを見て最終判断をしたいと思います。ただ、いずれにしても前回の関西広域連合でも予定はされていたけれども議論されなかったということがございましたし、今回この調査結果が出たことを踏まえて、関西広域連合でどう対応していくのかということは当然求められることだと思いますので、その辺りのことを滋賀県知事として確認をするということはメインになるのではないかと思います。

[中日新聞]

先程の原発の話なんですが、住民の方に寄り添った対策を求めるということをおっしゃったのですが、知事としては明確に反対を表明するとか国に求めるとかそういう行動を伴う段階にはないんでしょうか。例えば国に対して40年超の運転はとか。

[知事]

私は実効性のある多重防護体制を求めて国に行動をしてきましたし、これからも引き続きしていきます。

[中日新聞]

今回に関して特別ということはない。

[知事]

私どもの主張がきちんと受入れられるよう取組を継続していきたいと思います。

[時事通信]

財務省が地方財政計画を見直すように求めているのですが、これに関しまして知事の所見をお伺いしたいのと、もう1点、TPPについてトランプ氏が当選して先行き不透明になっているのですが、これについての見解、やはり批准すべきかどうなのか、この辺りについてお伺いできればと思います。

[知事]

まず財務省において、これは財政制度等審議会においてこの地方財政計画の歳出規模が実際の決算額を上回っている、見直すべきだと指摘され議論されているということを受けての見解だと思うのですが、私地方行政の現場を預かっている者とすれば非常に財務省の見解と違い、そういったことが議論されていること自体、憂慮しています。そもそもですね、近年の決算額というのは経済情勢ですとか、国の経済対策に対応するということで作ってきているものですので、この滋賀県でも一般財源総額が伸びない中で、社会保障関係費等の増分を事業を見直すとか選択と集中による投資的経費の重点化ということを徹底する形で作ってきているものでございますので、国と比較して余裕があるという状況ではございません。また、財源調整的な基金の積み立てが地方において増加しているというご指摘もございましたけれども、これも不測の事態に対応するためです。税収等の減収もある中、国の交付金等も十分にいただけない中、県として積立額を一定額確保することは、僕は財政運営上当然のことだというふうに考えております。従って国全体で財政の問題が議論されること、このこと自体は否定しませんが、半ばその責任を地方に押し付ける形で、実態を知らずして無責任に、もし取りまとめられることは無いと信じておりますが、されるとすれば私どもは地方一丸となってこの方法に対応、対抗して参りたいと思います。

トランプ氏が当選されたことについては、私はベトナムでその報に接しました。長年米国と争ったベトナムの地において、トランプ氏当選の報を受けたことに私は私なりの特別な感慨を持って受け止めました。ベトナム国内においては、特に大きな情緒的な反応があったわけではございませんが、個人的にそういう感情を持っていました。その現大統領オバマ氏、次期大統領トランプ氏が米国においてこのTPPをどう取り扱われるのかについては、私は定かではありませんが、いずれにしてもこのTPPについては、私はある意味では挑戦的なルール作りだと思っています。農業のみならず非常に多岐に渡る通商、契約等のルールを作っていくということですし、市場規模の大きなある意味では可能性を秘めた私はルール作りだと思いますが、情報が十分に開示されない中でマイナス面の影響等々がこれは十分に伝わってないということがございますので、今参議院においても議論がされているということでございますが、もう少し中身についてですね、政府の影響プラスとマイナスについて、もう少し詳らかになることを期待したいと思いますし、本県としては、やはりしっかりと本県の持っている例えば畜産業や農業に対する影響を今出されている情報を元に、そういう限定つきではございますが、負の影響を受けることがないようプラスの影響を伸ばすことができるように必要な対応を取って参りたいと思います。

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知事公室 広報課 報道係
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