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知事定例記者会見(2016年8月2日)

平成28年8月10日
(県政記者クラブ主催)

俳句たぎる湖 さまし いろどる 百日紅を発表する様子

8月になりました。今月の句は、「たぎる湖 さまし いろどる 百日紅(さるすべり)」この時期は長いこと百日紅の花が咲いていますよね。非常に暑い日差しを受けながらも負けずに長く咲く花に癒され励まされ過ごす日々であります。大切にしたいなと思っております。

今日は、話題を3件提供させていただきます。

まず、ミシガン滋賀友好親善使節団の派遣についてです。本県と米国ミシガン州はご案内のとおり、1968年、昭和43年に姉妹友好関係を結びまして、これまで両県州の間で、経済、生活文化、青少年等多方面にわたり相互交流を深めてきたところでございます。今回は私自身が名誉団長として使節団に参加いたしまして、使節団とともに歓迎式典に参加いたします。使節団の日程でございますが、平成28年8月24日水曜日から31日水曜日までの日程でございまして、団員は県民46名で構成されます。現地で、団員の皆さんは、8月25日木曜日から28日日曜日までミシガン州でホームステイをさせていただきます。

この間ですね、参考の数字でございますが、滋賀県からミシガン州へ今回のように使節団で参加した団員が2267名。今回の分46名は含んでおりません。そしてミシガン州から滋賀県に来られた方は882名ということでございまして、3149名の方が相互交流をされているということでございます。

また、2018年、来る平成30年には両県州の姉妹友好交流50周年となる新たな段階を迎えます。50周年に向けて両県州のトップレベルでの友好関係を一層推進するべく、スナイダーミシガン州知事と50周年記念事業に向けた合意を取り付けたいと考えております。

併せまして、今回の訪米では、シリコンバレー視察を行う予定であります。様々な新規事業を生み出し、ソフトウェアやインターネット関連の先端企業が集積するシリコンバレーを視察いたしまして、現地関係者と意見交換を行うことにより、本県の産業振興の参考とさせていただきたいと存じます。滋賀県も人口減少局面を迎えまして、新規事業を生み出す土壌を作ることにより、県内外から人が集まる仕組みを作ることが狙いです。

その他の公務としましては、デトロイト市の復興視察、また、デトロイト美術館において、来年9月に日本ギャラリーを設置することが確定しているということでありますので、お茶を提供できる場所が開設できる可能性もあるということでございまして、その場所で滋賀県のお茶を販売、その他の滋賀産品の販売につながるよう、セールスを行ってまいりたいと存じます。

続きまして「世界農業遺産」認定を目指した、キックオフシンポジウムについてです。9月24日に開催をさせていただきます。併せまして、平成31年度の認定を目指している「世界農業遺産」についてお知らせいたします。

滋賀県は、これまで全国に先駆けて琵琶湖と共生する環境に配慮した農業や生きものを育む水田づくりなどに取り組んでまいりましたが、こうした本県独自の農業システムが十分に評価されていないという状況にございます。また、高齢化の進行や土地持ち非農家の増加などにより、これまで続いてきた高度な農業技術や地域資源、生物多様性の維持が懸念されています。こうした課題を解決するための突破口といたしまして、「世界農業遺産」の認定に向けての取組を行い、この取組を通じて、県産物の高付加価値化でありますとか観光資源としての活用等につなげ、本県の農業を健全な姿で次の世代に引き継いでいくことを目指しております。

こちらのパネルをご覧いただければと思います。琵琶湖は世界有数の古代湖であり、琵琶湖を取り巻く460本の河川が曲がりくねり、途中つながりながら琵琶湖に注ぎ込み、そのまわりでは、環境こだわり農業が行われ、魚のゆりかご水田など生物多様性に配慮した水田づくりが行われています。また、周囲を取りまく山々が琵琶湖の水源となり、ひとつの小宇宙を形成しています。こうした琵琶湖と共生する「滋賀の農林水産業」は独自性がございまして、モデルとして世界に誇れるものだと考えております。

お手もとにご案内しております、このシンポジウムは、そのキックオフとなるものでございまして、県民の皆さんに「世界農業遺産」を目指す意義や、滋賀県の素晴らしい魅力あふれる自然やそれを培ってきた農林水産業。そしてそれらを昔から積み重ねてきた人の営みを感じていたただけるそういう機会にしたいと考えます。講演では、国連大学の永田明先生にお越し願い、世界農業遺産の意義やこれまでの認定地域がどのような活性化につなげているかなど、活性化の事例なども御紹介いただきます。永田さんは、これまで日本をはじめ、中国や韓国の認定地域に対して、申請に関するアドバイスを行ってこられた専門家でいらっしゃいます。また、滋賀県在住の写真家今森光彦さんに御講演いただきます。ご存じのとおり、今森さんと言えば、「里山物語」で有名です。今森さんの視点で、また違った滋賀県の魅力を語っていただきたいと思います。

このシンポジウムをきっかけに、「世界農業遺産」のことについて知ってもらい、より多くの県民の皆様方に、この取組に参加・参画していただきたいと思います。当日は、参加者の皆さんに「世界農業遺産」認定に向けての活動に加わっていただくようなお声かけもしてまいりたいと存じます。みんなで盛り上げてまいりたいと思いますので、ご協力よろしくお願いします。

3点目は、「県民と知事との県政テレビ対話」高校生が語る滋賀の魅力―本気で考えてみ~ひん?―という企画を実施するということでございます。テレビの生放送で県民のみなさんと対話をし、これを視聴する県民の皆様からの意見も紹介しながら議論を深めることを内容とするテレビ番組を昨年に続き、放送いたします。

今回は県内在住高校生24名が参加します。どうなるか分からないというワクワク感でいっぱいでございます。「高校生が語る滋賀の魅力」をテーマに、高校生のためのキャリア学習プログラムを提供するNPOカタリバ代表理事の今村さんや、県内外で活躍するゲストを交え、2時間弱の意見交換を行います。

びわ湖放送で8月7日日曜日19時から110分間の生放送でありますし、今回は再放送を8月10日水曜日の21時から行っていただくということでございます。

[毎日新聞]

ミシガンとの友好親善使節団の交流ですが、スナイダー州知事との会談の中で50周年記念事業に向けてお話されるということなんですが、知事としてはどのような事業についてお考えでいらっしゃいますでしょうか。

[知事]

スナイダー知事とは昨年に2度お会いをして、色んな手紙の交換を含めて、個人的にも大変親しい知事であります。ぜひ50年を機に、これまで50年を振り返りながら、この先100年に向けた展望を語り合いたい。具体的には、若者の交流、また、文化・芸術・スポーツ面での交流、こういったことがより広げられれば、次の時代に繋げることができるのではないかと考えておりまして、こういう視点で、何らかの合意形成が図れるよう努めてまいりたいと思います。

[毎日新聞]

シリコンバレーにも視察に行かれるということですが、新規事業を生み出す土壌ということもありますが、これはどういったことを念頭におかれているのでしょうか。

[知事]

大きく2つの視点、目的を持って臨みたいと思います。1つは私たちの琵琶湖、水環境ビジネスの強みを生かしたウォーターバレーの構想を持って、産業集積、産業連関の施策を図ろうとしております。シリコンバレー現地において、大学等も巻き込みながら、主に情報通信企業、事業が多いのかもしれませんが、どのような関わり合いを持たれているのかという視点が1つ。もう1つは、シリコンバレーは新たな起業を様々諸々生み出され、イノベーションが次々と起こっている、このシリコンバレーに行けば新たなビジネスチャンスがあるといったようなイメージや、また実績を積み重ねていらっしゃいます。滋賀の強みは製造業でありますが、そうした次の時代を作る創業ですとかイノベーションが、どういう土壌で、どういうサポートで生まれていくのか、育っていくのか、こういった現場を目の当たりにしながら、滋賀の次の時代を作る創業、起業というものの土壌を作るヒントを得たいと思っております。

[毎日新聞]

特に人口減少局面を迎えるということがありますけれども、現地は人口減少状況にあるんでしょうか。

[知事]

ミシガン州の人口動向、私全てを詳らかに知っているわけではありませんが、例えば、訪問を予定しておりますデトロイト市、この市は財政破綻で大変厳しい浮き沈みをされている。しかし、最近になってこの間の財政改革等々が功を奏し、また新たなビジネスが生まれることによってですね、賑わい活気を取り戻しつつあるということで、そういう現場を視察することでありますとか、このシリコンバレーにおいては人口動態、私は存じ上げませんが、しかし新しい人材が入ることによって若者が色んなチャレンジをすることによるまちづくりに対する影響というものも、当然大きくあるでしょうから、そういったことをぜひ視察し、今後に活かしていきたいと思います。

[毎日新聞]

これは質問ではなく、苦情に近いものですが、現在、県の原子力安全対策連絡協議会と原子力防災専門会議の合同会議が、この時間帯行われているところで、大飯原発などの老朽化対策を国がどのように進めてきたのかということが、国や事業者からご説明が今まさにあって、残念ながらこの会見と重なって取材できない状況になっておりまして、可能であれば知事会見は重要でございますので、それとその他の重要な会議が重なることがないように日程調整していただければと思いますが、その辺りのお考えをお聞かせください。

[知事]

今のご指摘は真摯に受け止めて、今後改善をしていきたいと思います。

[京都新聞]

先月末、福岡でありました知事会議について、大きく色んな決議なりがありましたが、参院選の合区解消の決議がありまして、知事は、かねてから参院は地域代表制でということをおっしゃっておられましたが、概ねの知事の合意はある中で、憲法改正の辺りでは色んなご意見もあったようですが、知事会議を踏まえて、もう一度、知事がどういう思いでおられるかをお聞かせいただけますでしょうか。

[知事]

私は初めての参加でしたけれども、この合区問題も大変多くの時間を割いて、ほぼ全ての参加知事から意見表明がなされ、そして一晩かけて決議の合意形成をして合意に至ったという、今回大事な問題として取り上げられたものの1つです。私がその場で申し上げた意見は、一票の格差是正のために合区の手法を用いることは多くの問題を孕んでいるということで、知事会としてこういった決議を採択し、国会などに届けることには賛成という立場を明確に致しました。私自身の考えは、衆参二院制の意義を具現化すべく衆議院とは異なる代表原理で、具体的には地域代表制を採用しながら、地方の声が都道府県単位で国政に反映される仕組みを構築すべきだということを申し上げました。そのことを憲法および関連法で担保すべきだということも併せて申し上げました。具体的には選挙制度ならびに定数を増やした形で、都道府県知事との兼職兼務を可能にした形でやることもひとつだろうと申し上げました。そういったことをするために憲法第43条、これは全国民を代表する選挙された議員でという条項ならびに、第92条、これは地方自治を定めているところでありますが、これらを改正することを視野に入れ、そのことを目指しつつ、当座、法改正でできることをやっていくという二段階の方策を取るべきだということを申し上げました。その際に関連することとして2つ議論しなければならないのではないかと申し上げました。1つは都道府県知事との兼務を可能にする場合、それらを可能にする環境整備の必要性についてであります。国会の会期並びに地方の知事等が兼務する場合の国会参加の方法、処遇の問題、地方議会との関係、それらを同時に整理、整備する必要があると。2つめは、衆参両院の役割分担について、衆議院の優越というものが憲法で保障されておりますが、例えば監査、決算、特に地方自治行政に関する事項は、参議院に衆議院とは異なる形での優位性を規定することも視野に入れて検討を深めるべきではないかと、こういったことを申し上げました。それぞれの知事が、それぞれの考えに基づき、意見をされましたが、最終的には、今日お手元には付けておりませんが、「参議院選挙における合区の解消に関する決議」を採択しました。なお、付言致しますと、この決議に対しては、合区そのものが賛成だという例えば大阪府、最高裁の見解、判例が出ている以上、最高裁が求める一票の格差の是正を尊重すべきだという慎重意見もあったと思います。

[京都新聞]

詳しく発言を解説いただきましたが、知事と参議院議員の兼務のことをおっしゃいましたが、これはどういうイメージをお持ちですか。地域代表という中のひとつの在り方ということなのか、あくまで兼務ということを目指した制度にすべきということなのでしょうか。

[知事]

これは誤解なきように説明しなければならないですが、都道府県単位で国政に地方の声を反映する、地域代表制の1つの選択肢として、都道府県知事による参議院議員の兼務ということもあり得るのではないかと申し上げました。

[京都新聞]

かなり大胆な提案というか思いと思いますが、これは、そう思われるに至った理由というか、思い出されるのが、前知事が国政に動かれた時に色々なご意見があったり、知事が国政をというご意見があったのが浮かびましたが、参議院議員と知事との兼務というところに何か思いを致される理由というか。

[知事]

従前から私は衆参両院の二院制の意義をきちんと国政において活かすべきだという考えの持ち主でしたし、その観点に立った意見を申し上げました。今回の合区が緊急避難的な措置として行われたとういうことでありますが、かなり多くの問題を、例えば投票率の減少でありますとか、都道府県代表を国政に送れなかったという都道府県に対する考え等々で、このままでいいのだろうかとと強く思うに至りました。もちろん人口割ではない都道府県単位の地域代表制度というものが別の選択肢で措置されれば、今の問題意識は解消されるのですが、そうならない段階において例えば法改正や、憲法改正の議論をするのであれば、地方代表をしっかり入れるという観点で、例えば知事による兼務というものも、選択肢の1つではないかと考えるに至ったところです。

[京都新聞]

知事が国会議員を兼ねる具体的なメリットと、また、やはり知事はこれを目指しておられるということでしょうか。

[知事]

例えばアメリカの上院は各州人口に関わらず2人ですし、色んな民意の反映の仕方、例えば今イタリアにおいては国会の在り方をめぐることも含めた憲法改正が国で議論をされているところであります。とりわけ、例えば憲法や地方自治のことを議論する際に、多様な意見をきちんと国政に反映させていくための1つの方策として、私は総合行政、地方自治を担っている知事の意見をそういった場に入れていくということは、多様な意見の反映ということにも大きな効果を持つのではないかと思います。

[京都新聞]

知事としては、そういうふうに就任されてやってみたいと思われているわけでしょうか。

[知事]

私自身がということよりも、私は今知事2年目として、この滋賀県の県政を一生懸命担い、動いているつもりですし、ただ、この私が滋賀で行っている様々な取組が知事という立場で、国政により強く反映されるのであれば、それは意義のあることではないかと思います。

[京都新聞]

例えば知事会の場では少数意見という形でしょうか、比較的賛同されている知事もおられるのでしょうか。

[知事]

私が述べた知事が兼務することについて、同種の意見を述べられた方というのは、今回は無かったのではないかと思います。ただ、合区を解消すべきだということは大変多くの意見として出ましたし、参議院は都道府県単位の地域代表制とすべきという意見も、都道府県知事が集まる会議ですから、大勢を占めたのではないかなと思います。ただ一方で道州制というものの捉え方、考え方をめぐる話や、最高裁の判例と今回の決議との関係を述べる方もいらっしゃいましたので、それぞれが折り合って最終的にはま決議としてまとまりました。

[京都新聞]

知事会の中で沖縄県の基地負担軽減ということで、研究会設置ということで了承がありましたけれども、そこでも知事は発言をされているということを現地の地方紙からも伺ったのですが、知事の思い等を改めてお伺いできますでしょうか。

[知事]

沖縄県知事からは、在沖基地問題について現状をお知らせいただき、また沖縄の自己決定権、また自治、ある意味では民主主義というものがないがしろにされているといった趣旨の提議が行われました。知事会からはこういった沖縄の現状をしっかりと知り、今後の方向性を作っていく研究会を設置してはどうかという提議がございましたので、私からはこの研究会の設置には賛成ということを申し上げた上で、日本国土の0.6%しかない沖縄県土の、面積にして74%を超える米軍基地が存在している、この問題ですね。しかも1879年ですか、琉球処分を行った当時の県令は、元滋賀県の県令(知事)であられた松田道之さんという方だと承知をしておりますが、滋賀県とも縁がない訳ではない方によって行われた処分、その後、太平洋戦争、そして唯一、地上戦が行われ、10万人の沖縄県民を含む20万人の方々が、この戦争で亡くなられた。近江の塔で供養しておりますが、滋賀県からも多数の兵士が戦争に従軍され、尊い命を失われたということでございます。その後、8月15日に敗戦を迎え、サンフランスシコ講和条約で日本は、独立をある意味では保障確立されたんですけれども、その間も1972年まで、沖縄はアメリカの統治下にあった。ある意味では27年間無国籍状態であった。これは知事も述べられております。その間、民有地を多く強制収用され、現在の沖縄の在沖米軍基地になっているということも、この問題の難しさを表しているということも教えていただきました。従って日米地位協定の改善も含めて、沖縄の置かれている現状をぜひ知り、方向性については皆で議論しようじゃないか、日本の民主主義であるとか地方自治が問われる問題だと、これは山田知事会長が言われたことでありますので、私もそういう観点でこの問題をしっかりと考え議論していきたいと思います。

[滋賀報知新聞]

相模原市の障害者施設の殺傷事件から一週間。前回の知事会見でも県内の24施設には電話等で状況確認、あるいは夜間体制の充実などの注意喚起をされていたと聞きましたけれども、改めて1週間経った状況で、どのような対応をとられているのかお聞きしたい。

[知事]

大変痛ましい事件であり、全容が明らかになってくればくるほど許せない凶行であるという認識を強くしています。何より問題なのは障害のある方の住まいであるとか、暮らしであるとか、こういったことが不安に陥れられないようにすることが大事だと思いますので、全国の手をつなぐ育成会からは当事者の皆様に充てたメッセージが発せられたところであります。滋賀県を代表して全国の会長になっていただいている久保会長から発出をされました。

県としては、先般はまずは緊急的な連絡を行って、安全対策に万全を尽くすようにということでございましたし、施設によってはさまざまな訓練、不審者が入ってきた時の対応でありますとか、連絡通報体制などを確認されている施設があるということは承知しています。

なお、もう少し対応方針等を確認することが必要ですので、今後さまざまなことが明らかになってき次第、対策を講じてまいりたいと思います。

[滋賀報知新聞]

前回はバタバタされていたと思うんですが、植松容疑者の動機が少しずつ解明されつつあるということで、新聞にも出ていますように2月には衆議院議長への手紙に「障害者は不幸をつくることしかできない。安楽死を」という障害者に対する差別意識とかナチスにも通じるものもあるんですけど、滋賀県は障害者福祉の先進県として糸賀さんをはじめとして、最近でもアール・ブリュットに力を入れられている中で、他府県とは受け止め方が違うと思うんですね。障害者福祉の先進県として、どう受け止められているのか改めて。

[知事]

ご紹介いただいたように滋賀県は、糸賀一雄先生、田村一二先生をはじめ日本の障害者福祉をつくってきた、先進的に担ってきた、そういう自負がございますし、関係する施設や団体等、その自負を体現すべく努力してくださっている方が大勢いらっしゃいます。その方々からしても今回の事件というのはある意味では信じられない、許されない蛮行凶行であったのではないかと思います。

同時に少し深く洞察をしながらこの問題をとらえ、付和雷同することなく発信したり、制度を作ったり、ある意味では守ったり、ということが必要なんだと思うんです。

したがって今一週間ですので、報道により知らされることが多い状況でありますので、実態を踏まえた上で滋賀県の取るべき対応を模索構築していきたいと思います。

[滋賀報知新聞]

この4月から障害者差別解消法が施行され、県は3月に既に対応要領を作られていますけど、この障害者差別解消法と今回の事件を含めてどう施策に反映されていくのか。

[知事]

この障害者差別解消法が唱える事柄というのは大変広く、ある意味根源的なことが沢山あると思っております。合理的配慮と漢字で表せば5文字ですが、その言葉が意味するところは大変広範にわたりますので、たとえば交通の問題、たとえば就学就労の問題、たとえば情報通信、またコミュニケーションといったことを含め、現在当事者の方々も入った形で、共生社会滋賀を作るためのさまざまな検討を行っていただいておりますので、そういう中で出てきたことを差別解消法を受けた施策の展開として、例えば条例に盛り込むべきは条例に、施策構築し予算化することは予算化に、と整理をして、お示しできるようにしていきたいと思います。

[時事通信]

日曜日に新しい都知事が誕生しました。まず受け止めと要望がありましたらお願いします。

[知事]

都民の選択が示されました。小池さんが知事になられるということですので、都政初の女性知事という意味では期待も大きいと思います。がんばっていただきたいとエールを送るものでありますし、小池さんの方が長い、大臣も経験されたキャリアをお持ちですけども、国会議員を経て知事になった者同士、いろんな苦労や経験を分かち合いたい、あえればいいなと思っています。

同時に日本の首都であり、オリンピックパラリンピック開催都市の知事であられますので、今の地方創生の流れでありますとか、オリパラを機にこうだとか、日本の活性化だとかのある意味旗振り役として、リーダーとしてけん引役を果たしていただければいいなと期待しております。

[時事通信]

昨日中教審で英語教育を5年生からするという話がありました。県は教育は関係ないのかもしれないですが、これに対するお考えがあればお願いします。

[知事]

私は大いにあると思っていまして、教育行政にも影響があると思って重大な関心を寄せています。私も総合教育会議には毎回出席し、教育行政には深く、強く参画しているつもりですし、2020年から2022年度の年限で小中高順次始めていくというプロセスですので、時間がないので早速今日この会見に先立つ教育長と教委の中で、今回出された新学習指導要領についてしっかりその中身を確認した上で、早めの備えを講じていく旨の指示をお願いしたところであります。現場に混乱が無きよう、趣旨がしっかりと具現化できるよう努めたいと思います。

[時事通信]

先ほど出ました障害者施設の殺傷事件なんですが、措置入院のあり方が問われておりますが、それについておうかがいできればと思います。

[知事]

この事件の容疑者が措置入院をされていたということで、措置入院のあり方についても報道されているところです。もちろんご本人の治療や更生等にまず必要な措置だと思いますが、一方で隔離だけをすれば、排除だけをすれば社会が安全になるかのような誤解は逆に危険だと思っておりまして、社会全体でとらえ、考えるべき課題だと思っております。

今まさに総理から措置入院のあり方について検討するように指示が出されていると承知をしておりますので、国の動向を注視しながら必要な対策を講じてまいりたいと思います。

[共同通信]

隣で原子力防災専門会議が開かれていまして、改めて知事から意見をおうかがいできますか。滋賀県の屋内退避に関する考え方について。

[知事]

申し訳ございません。さきほど幹事社からもありましたが、同時刻に重要な会議が行われ、取材等が手薄になってしまったことについておわび申し上げ、今後改善してまいりたいと思います。

原発施設が滋賀県に隣接する福井県において多数、そして以前から立地する状況がございますので、立地自治体のみならず琵琶湖をお預かりする、その水源の山々の木々をお預かりする立場から稼働、非稼働にかかわらず実効ある多重防護体制を構築するためにしっかり役割を果たしていきたいと思いますし、万一の事態が起こらないための監視、万万が一の事態が起こった時の避難のあり方、このことについてもしっかりとした計画、対策、機器の設置等していく必要があると思います。その避難のあり方という意味で申し上げますと、今回全国知事会議でも私から意見を提起いたしましたが、熊本震災から得られる教訓をどう活かすかが大事だと思いまして、5キロから先の屋内退避を前提とした避難計画の実効性ですね。元々福島を経験した後の原発災害で屋内でとどまって下さいということが果たしてどの程度担保できるのかという課題が前提でありますし、仮にそれでも屋内退避だということであったとしても、相次ぎ揺れる屋内で安全に過ごしていただけるのかということは大きな課題だと思っておりますので、国においても研究検討がなされ、必要なマニュアルの変更を求めているところでございますので、こういったことも会議の中で議論されるのではないかと思います。

[中日新聞]

この会見の直前に専門会議が終わりまして、県から当面の考え方の案が示されたと思うのですが、熊本地震を受けて、以前から知事がおっしゃっていますように揺れが続く中で屋内退避を懸念する方が出るんじゃないかということに加えて、合計7つの国が解決すべき課題を挙げていまして、どの項目もおっしゃるとおりというか、的を射た指摘だと思うんですが、非常に多くの課題がある中で県を預かる知事として、不足する部分の多い国の指針に最後はしたがって、県なり市なりが判断するということなんですが、そのあたりの意見を聞かせていただけますでしょうか。

[知事]

いずれにしろ原発という施設は、またテーマは今もご質問の中で指摘頂いたように多くの課題を持っているということの証左だと思いますし、災害の経験、歴史の中で次々と明らかになってくる、こういう課題を乗り越えていくべきテーマだと思います。したがって今回相次ぎ断層が揺れる、そして熊本県知事からも報告がありましたけれども数千回に亘る余震が続く。そのことが復興や復旧を妨げた経験ですね。こういうことを踏まえたこの屋内退避のあり方ですね。じゃあどの時点で出てください、逃げてくださいといえるのか。またどういう方法でそれを伝えるのかということについても大きな課題があると思います。それらをどういう基準で明確にしていくのか。今回改めて私たちがこういう会見等でお答え申し上げてきたことを整理し、専門家の方々の意見を聴いて、原連協を通じて自治体の方々と議論して、国に対しては提起をしたいと思っておりますので、そういう観点でまとめています。

[中日新聞]

やはり県を預かる知事としては国の指針がより明確に具体的にならなければ県民に対して責任をもった判断というのは行いづらいというのはあるんでしょうか。

[知事]

従来から申し上げていますとおり、県民の皆様方の生命財産、また安心安全を守る、命を守る、その立場からも私はこの課題は極めて深い、広い課題だと思っておりますので、そういった観点で向き合っていきたいと思っております。

[朝日新聞]

専門家会議で国が解決してほしい課題として、たとえば屋内退避を避難に切り替えるタイミングであるとか、UPZ圏外に屋内退避を指示する目安を国に対して示してほしいと要望されるということなんですけど、国の会議を経験されている委員からの意見ですけど、国の動きを見ていると非常に遅くて、明確な答えが出てくるのは期待できないのではないか。そこで県として原子力災害指針が根幹にあった上でのいろいろな動きになると思うんですけど、国の指針の判断を超えて、独自に基準を設ける必要があるのではないかという意見があったんですけど、知事として屋内退避も含めて基準なりを県としてつくっていこうというようなお考えがあるかお聞かせください。

[知事]

専門家の方々からどういうご意見ご指摘があるかというのは少しきちんと見た上で、咀嚼し、また反芻し、反映したいと考えています。それでご指摘があったように、国の検討を待っている暇はないのではないかという趣旨の、ある種焦りのような、ある種自治体が率先してやらなければならないのではないかという責任感を私も持っています。

一方で国が責任をもって、原発災害と向き合っていく。また国の権限で自衛隊の要請等々、国と連携した安全対策や避難措置を講じていかなければならないことも事実実際にありますので、自治体だけで何か事をつくって、全て不安や問題を解消するだけのことが備えられるのかどうかということもあわせて考えていかなければならないのではないかと思います。

いずれにしてもこういったご指摘を踏まえた検討はしっかりと進めたいと思います。

[NHK]

ろうあ協会の方が入店拒否があって障害者差別の問題が浮き彫りになっている中、8月10日に手話言語の条例の請願がろうあ協会から出されるかと思うんですが、手話言語の条例の制定について、現段階でお話できる部分でのお考えについてうかがえればと思います。

[知事]

私も障害を理由に予約を拒否された案件があったということを報道で知りました。非常に憂慮すべきことだと思います。関連しまして、ろうあ協会の皆様方から手話を言語とする条例の制定について、これは私が知事になって以降も複数回ご要望を承っております。したがって当事者の皆様方がご要望を強く持たれていることは承知しております。私自身も手話というものもしっかりと広まる、理解される、こういうことは進められるべきだという観点の首長連合に所属いたしまして、理解が広がる取組は各地方自治体と連携して行おうとしているところです。

条例化については、前回の会見や議会でお答えしたかもしれませんが、手話のみならず、さまざまな障害をお持ちの方のコミュニケーションのあり方について、今まさに当事者の方々と議論を重ねているところでございますので、そのなかで検討を進めていただき、一定の結論が出されれば対処対応をしていきたいと思います。

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