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知事定例記者会見(2016年7月19日)

平成28年7月19日
(県政記者クラブ主催)

就任から2年経過について会見を開く様子

明日で就任から2年ということでございます。「いくとせの 豊かさきざむ 夏の山」明日が満月なんですかね。昨夜、朽木の山で夜、月を見たときに満ちゆく月を見ました。ああいう丸い月になれたらいいなということを感じながら、まだまだでございますがしっかり役割を果たしていきたい、そういう思いでございます。2年経ってどうですかと問われ聞かれるんですが、まだ2年かと、そしてもう2年かという思い、1期4年という任期からいたしますと、あと2年ということでございます。

おかげさまで過ごせた2年でした。大きな事故、災害なく過ごせたこと、このことは、周りの方々、いろんなもののお見守りやお導きによるものだと思います。感謝をしたいと思います。特別な感慨はございませんが、この2年の節目は大切にしたいと思います。今朝行われました県政経営会議でも後ほどご紹介いたします2年間の取組、ということについて幹部と共有をいたしまして、皆様方からも今日の会議の場だけではなく、今後の過ごし方等についてご意見を賜りたいということを申し上げたところです。また、県民の皆様方とも様々な対話を重ねながら、滋賀県や琵琶湖の将来について、また知事である私の処し方等についても不断にある意味では謙虚に検証していく、そういう過程を経ていきたいと考えています。

それではお手元の資料にございますように、昨年同じ時期に知事就任後1年間の取組ということで、お示しをいたしました。その後、1年経ちどういったことを行ってきたのかということについて、加えまして2年間の取組としてまとめてさせていただきました。

資料前半の9ページまでは、私の基本姿勢を中心に、この間の主な出来事と重ね合わせながらお知らせをしています。4つ基本姿勢を入れています。

1つ目は「対話・共感・協働による県政の推進」ということで、特に、様々な機関、企業様や団体様との包括連携協定の締結ということに職員共々取り組んでまいりましたし、「こんにちは!三日月です」ということで、初年度から合計24回重ねることができました。また、4ページからは2つ目の基本姿勢といたしまして「徹底した現場主義」ということを大切にしています。昨日からの朽木短期居住もそのひとつでございますし、私自身が認知症サポーターになろうということで、その養成講座を受講したこと。また、「キラリ★スポーツ」ということで、最近少し間があいていますが、様々なスポーツ種目に自ら体を張って動かして取り組んでいるということもございます。5ページからは3つ目の基本姿勢といたしまして、「県を売り込むセールスマン」になろう、なりたいということで、法被を着ていろんなところに出かけ、滋賀のいいもの、おいしいもの、優れた取組をご紹介する、これも知事の大切な役割だと心得ているところです。6ページからは「世界から滋賀へ、滋賀から世界へ」ということで、ややもすれば、見落としがちなこの滋賀県の魅力、琵琶湖の価値等々、世界の方々との触れ合い認め合いの中であらためて良さを再確認する。そういうことでもあろうかと思います。この機会を大切にしたいと思いますし、滋賀の様々な良いものを世界にしっかりと売り込んでいく取組もしていきたいと思います。8ページ「歴史的課題への対応」ということで2つ。1つは人口減少への対応でございます。ちょうど私が知事になってから人口が減少しはじめるという局面になりました。そのことをしっかりと踏まえた取組を、具体では総合戦略の中に入れて進めはじめたところでございます。2つ目は粘り強く卒原発へということで、原発に依存しない新しいエネルギー社会を作っていくという取組をローカルイノベーションという形で進めてまいりたい。同時に、実効性ある多重防護体制をしっかりと構築してまいりたいと考えております。

10ページ以降は、2年前に知事選挙で県民の皆様方とつくり、選挙の折に問いました政策提案集の中に、7つ星、7本柱で政策提案をさせていただきました。「いきる」「うごく」「はたらく」「つくる」そして「まもる」「そなえる」「ひろげる」という7つの柱に沿って、具体、県がどのような取組をしようとしているのか、していくのかということについて、まとめさせていただきました。この政策提案集の内容は、平成27年3月にまとめました基本構想の中に具体の施策として織り込んでおりますし、7月29日には基本構想審議会でご議論をいただくべく、今その進捗状況等取りまとめをしているところでございます。この資料の中には、例えば11ページの下段にございますように、点線囲みで内容の一部をご紹介させていただいております。この政策提案集の中には、260項目こういうことをやりましょう、こういうことに取り組みますということを掲げておりまして、うち249項目について取組に着手しております。琵琶湖の保全再生と活用、エネルギー政策、地域交通の活性化といったたくさんあるんですけれども、この政策提案集でお示しした方向に沿って、おおむね取組を進めていくことができているというふうに考えています。一方で例えば高専学校の誘致でありますとか、米原駅前の県有地の活用、これは検討中でございまして、具体の取組に着手できていない項目が10項目ございます。また、検討すら開始できていない項目といたしましては、新幹線新駅の必要性や負担の議論の開始が1項目残った状態になっております。北陸新幹線のルートの問題等もあり、未だ検討もできていないという状況でございます。

これから2年間も、今までと同様に、もちろん難しい課題もあります。財政制約もあります。いろんな主義主張が異なることもあるでしょう。こういった難しい課題に対しても、臆することなく立場の違いを乗り越えて主張の違いを丁寧にすり合わせる。そういった対話・共感・協働の県政を進めていきたいと考えております。特に、具体に、取り組みたい、取り組まねばと考えていることは、新しい豊かさというものを具現化する段階に入っています。今だけ、お金だけ自分だけの豊かさではなく、すべての人が、将来も持続的に心で実感できる豊かさをみんなでつくろうと。その具体はなんですか、どうすれば感じられますかといったことが問われるそういう段階にあります。例えば、琵琶湖をはじめとする環境の取組で、例えば、人の力を伸ばしていくという意味での教育、学習といった施策で、例えば、暮らしのなりわいをつくっていくという産業政策で、例えば、健康に生きながらえたいという健康に関する施策で、例えば、交通、交流、観光といった分野で、具体大きく5つの分野で、新しい豊かさとういうものを具体的に実感していただける、感じていただける、そういう施策を明示的に形作っていきたいと考えているところでございます。

いずれにいたしましても、これは私が政治活動を始めたときからそうでしたし、国会議員時代も、今、知事としても一緒に頑張りましょう、頑張りましょう共にということを多用しています。行政だけ、知事だけでやるのではなく、職員や県民の皆様方と、ご縁があって一緒に住んでいるこの滋賀を一緒に盛り上げ作っていく。そしてより良いものとして次の時代に引き継いでいく責任を果たしてまいる所存でございますので、メディア関係者の皆様方、また、県民の皆様方の格段のご協力、ご支援、ご指導賜りますことをお願い申し上げ、冒頭の私からの報告とさせていただきます。

なお、もう一つ本日付けで回答いたしました大戸川ダム建設事業の検証に係る検討に関する意見聴取について、回答ということで私の名前で、本日付けで国土交通省近畿地方整備局長あてに返信をいたしましたので、その内容についてお配りさせていただきました。私からは以上でございます。

[毎日新聞]

大戸川ダムの事業検証について、これは事業継続が妥当とする原案に対して異議はないということでしょうか。

[知事]

国がダム検証の手続にのって予断なく検証された結果と考えているところでございます。ただ引き続きまだ検証の手続がありますので、それを円滑に進めていただきたいということですし、実際ダム本体を作る工事に関しましては4府県の知事合意に基づき、意見を述べております。その内容に基づいて河川整備計画の変更がもし必要であれば、その際にはあらためて本県の意見をお聞きいただきたいということを伝えたところであります。

[毎日新聞]

先週の金曜日に、大戸川の流域住民の方からダムの本体着工について、早期着工を望むというような要望を意見書の中に含めてほしいという要望が出されておりましたが、それについては、どのように反映をされますでしょうか。

[知事]

流域住民の皆様方には、長年にわたり多大のご心労、ご負担をおかけしてまいりましたし、今なお河川流域にお住まいという意味においては、治水に対する他の地域にはないご心配をおかけしている状況です。そういった流域住民の皆様方、とりわけダムの水没予定地域の皆様方のお声はどれも重く、例えば昨日も北川第1ダムの地元住民の皆様方のお声をお聞きいたしましたし、知事になってからは丹生ダム地域の皆様方のご意見もお聞きしてきました。引き続きしっかりと水没予定地域の皆様方のお声については耳を傾けていきたいと考えているところです。今お尋ねのございました、先週伺いましたご意見、このことも当然踏まえた形で今回の意見は最終決定させていただいたところであります。

お手元に要望という形でお示しをいたしました。ダム本体工事を、やるやらない、進める進めないということについては、先ほども申し上げた通り国が淀川水系の中上流部の河川改修の進捗状況ですとか、その影響を検証されて判断されるものでございます。中上流部の河川改修の進捗状況とその影響の検証は、4府県知事合意においても河川整備計画についても、いずれにおいても必要とされているところでございますので、この4項目目に、この河川改修の進捗状況とその影響を適切に検証していただきたい旨を入れることで、流域住民の皆様方のお声も一部ではありますが、反映させていただいたところでございます。

[毎日新聞]

要望の5番目の中で、自然環境への影響が懸念されるので十分ご検討いただきたいとありますが、今回のダム事業検証の中ではコスト面での評価だけではなくて、自然環境面への影響についても評価をされていて特段の問題はないとのことだったと思いますがそれについてはどうお考えでしょうか。

[知事]

ダムについては一定の治水効果はございますが、ご案内のとおり土の流れまた水の流れ等々で、これは生き物を含めて環境への影響というものがございます。生態系への影響があるということでございまして、大戸川沿川を抱える県といたしまして、これは引き続き十分な検討を、また必要な対策を求めるべきであるというふうに考えているところです。

[毎日新聞]

政策提案260項目のうち、249項目に着手されたということですが、今後2年間でどうしてもこれだけは取り組んでいきたいというものがあれば教えてください。

[知事]

県民の皆様と一緒に作って、提案提示した政策提案集に基づいて、これをしっかりと県の構想や施策の中に落とし込んで着実に実施をしていくということでございますので、この中のどれを実施するということではなくて、ある意味ではすべてをしっかりと実施していくということです。

今お尋ねがありましたように、実際まだまだ十分ではない取組もございます。例えば健康づくり推進条例(仮称)の制定ということについては引き続き検討段階にございます。条例を私が提案した通り作る取組がいいのか、また、他の様々ある条例をすでにある条例を使いながら具体の施策を進めていくのがよいのか、これは県庁内のマンパワーの関係もございますのでこういったことを引き続き検討していくということでございますし、キャリア教育の推進ということで、これは新しい再生可能エネルギーに関わる技術者を育てるなど、高専学校誘致の検討ということで高専学校の誘致とセットで提案をいたしましたけれども、このことについてもまずは、キャリア教育全般をどう充実させていくのかという視点とともに、こうした地域において再生可能エネルギー導入促進を担う人材をこれは教育でつくっていくのか、またいろんな既にお持ちの技術や経験、協働でつくっていくのか、様々な観点から現在検討をしているところでございます。

あと、これは、私自身もこだわり取り組んでいるところでございますが、物流ですね。滋賀県は日本の中央にあり、交通の要衝として栄えてきた。モノづくり企業もたくさんある。そういった企業等との物流の活性化ですね。こういうことについては、昨年まだ未検討であったところから検討中といった段階になりました。企業誘致を担当する部署に、物流を担当する職員を配置しながら今後の展開の可能性について、現在探っているところです。

今いくつか申し上げたとおり、先ほど5つ申し上げました。環境面、教育面、暮らしなりわいの面、さらには健康面、交流交通観光面、こういったところが主に新しい豊かさを具現化するために私自身がしっかりとこだわってわかりやすい形で県民の皆様方に政策実行としてお示ししていきたい内容であります。

[朝日放送]

今後の政策に関連して、いただいたこの提案集によると「いきる」の政策カテゴリになるかと思いますが、一部報道でも出ております彦根球場の照明問題ですが、多額の税金を投入した中で、ほとんど活用できていない実態がある。一方で住環境への配慮も必要になってくるという問題ですが、知事はこのことについて、対応も含めどのようにお考えでしょうか。

[知事]

先般、県議会で私自身が答弁をさせていただきましたが、議員のご指摘により長年照明施設が十分活用されていなかったというこういう事態が判明いたしました。今ご質問の中にありましたように当然施設として備えているものについては、活用していくと同時に、周辺住民の皆様方との調整ですね。騒音問題でありますとか、光の問題でありますとか、こういったことでご迷惑をお掛けする可能性がある。この事態との兼ね合いの中で施設を運用していく必要があると思います。従って、引き続き十分かつ丁寧に住民の皆様方にご説明をしながら、今よりもどうすれば活用することができるのか、そういった道を模索していきたいと思います。

[朝日放送]

住民の方に色々お話を聞いていると、無駄じゃないかという声が上がっているなという印象を受けたのですが。その件についてはいかがでしょうか。

[知事]

無駄と断じることは少し早計ではないかなと考えます。むしろ夜間でも練習できる施設、これは競技力向上という観点からも必要だと考えますし、設計工事をされていた当時、どういう意図でその照明施設が造られ、また途中どういう説明をされていたかについては全て詳らかではないのですが、いずれにしろ設置されている設備を有効に活用したいという方もいらっしゃるわけですので、しっかりとその調整を県が主導しながらですね、図って参りたいなと思います。

[中日新聞]

2年経ったということで、1年目と2年目で過ごす中で違いがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。

[知事]

県庁の人たちの顔がたくさん分かるようになりました。従ってよりチームの一員になれたような、そういう印象、実感があります。ただ知事ですので、県の仕事の隅々まで分かっている訳ではありません。働き方改革もそうですし、県民の皆様方に期待される仕事というものをどう実行、実現していくのかということではですね、まだまだ足りないコミュニケーションがあると思っています。従って時間は限られていますが、しっかりと意思疎通を図りながら仕事をしていかなければならないと思っています。

[中日新聞]

就任直後詠まれた俳句で、「染まりつつ、染まらず飛ぼう、赤とんぼ」という作品がございましたけれども、そういう意味では、その辺りは上手く進められているということでしょうか。

[知事]

自己評価ですけど、染まらず飛べているのではないかなと。しかし、染まりつつある所はしっかりと顧みていかなければならないなと考えているところです。

[京都新聞]

今、都知事選挙をやっておられますけれども、同じ知事として日本の首都である知事を選ぶということで、どんな視点が欲しいか、また、誰か具体的に応援したいという方がおられれば教えてください。

[知事]

都知事選挙は都民の選択ですから、今まさに暑い中、都民の選択が行われているところですので、その経過、結果を見守りたいと思います。同時に日本の首都、4年後にオリンピック・パラリンピックが開催される都市の首長として、この数年間で複数の知事が選ばれ選挙が行われる異例のそういう状況にもございますので、ある意味ではしっかりと国の中心として、引っ張っていただけるような、リーダーシップを発揮していただけるような、東京のことだけを考えるのではなくて、日本全体のことを考えて、リーダーシップを発揮していただける、そういう方になっていただけたらいいなと考えています。

[京都新聞]

出ておられる方には国会議員出身の方もおられれば、色んな方がおられますけれども、知事としてアドバイスはありますでしょうか。

[知事]

アドバイスをする程、私自身ができていないし分かっていません。ただ知事という仕事は、やはり大変だということもある意味では実感していますので、都民の選択の結果、ご健康に留意され頑張っていただければと思います。

[滋賀報知新聞]

原発政策について、先ほど知事は多重防護体制の構築とおっしゃいましたが、原発の今の流れについてどう受け止められますか。先だっての参議院選挙、宮城とか福島、新潟は野党共闘の方が勝って、愛媛でも新人が健闘された。知事選でいくと、鹿児島では現職の原発推進の知事が負けるというような、ある意味、原発に対する県民と言うか、国民というか、厳しい選択が行われているという、この潮目についてどうお考えか聞かせてください。

それから高浜原発の差止めについて関電は差止めという手に出ている訳なんですが、この問題が2点目。3点目は、知事がいう多重防護体制は、オンサイトとオフサイトということなんでしょうけど、具体的にどう滋賀県として深めているのか。この3点について伺います。

[知事]

まず原発については滋賀県のみならず全国、とりわけ立地自治体、周辺自治体を中心に厳然と不安が残る問題だと思います。したがって、そういうものに向き合うエネルギー政策が必要ではないでしょうか。とりわけ本県では1450万人の命の源泉である琵琶湖、その集水域である山々をお預かりしている、そういう立場から、これまでは立地自治体、例えば福井県にお任せしていた様々な課題をしっかりと共有しながら、国に対しても、電力事業者に対しても、物申していく、こういう姿勢が必要だと思います。

動いている原発も動いていない原発も、既に数十年経った原発、年数を重ねていく原発にしっかりと向き合っていく姿勢が必要だと思います。そういう意味で実効性ある多重防護体制の確立を求めているのでありまして、オンサイトのみならずオフサイトも、ハード対策のみならずソフト対策も、これは避難計画も含めてです。そして任意の協定ではなく、しっかりと法定化する形で立地自治体のみならず、影響を受ける周辺自治体もと提起させていただいているところです。

もちろん、滋賀県の主張が全て通ってはいません。例えば今年の1月、高浜原発の協定を締結させていただいた時には、福井県の協定とは異なる、ある意味では差のついた協定でしたが、しかしこれまでにはない滋賀県の施策に対する協力といった姿勢も一部ではありますけれども得ることができた。こういったものをしっかりと足掛かりにしながら電力事業者や国に対しても、しっかりと滋賀県の立場主張を申し上げて、これは併せて静脈も、これから廃炉という時代になれば必要になってきますので、こういったことも含めてしっかりと関与参画ということが必要だと思います。粘り強く取り組んでいかなければならない課題だと認識しております。

[滋賀報知新聞]

関電が抗告したことについてはどうでしょうか。

[知事]

冒頭申し上げたように、まだまだ多くの方が厳然と原発に対して不安の念をお持ちになっているということが、選挙もそうでしょうし、さまざまな声となって表れていると思います。そのことにエネルギー政策、電力事業者は向き合い、耳を傾ける、そういう姿勢が必要だと思います。もちろん司法の決定に対して、司法に認められた手続をすることを私がとやかく申し上げるものではありませんが、しかし厳然たる不安の声に耳を傾ける、そういう姿勢が必要だと考えます。

[読売新聞]

大戸川ダムについてお伺いしたいのですが、今後建設に向けて、河川整備計画について変更が示された場合、具体的にどんな対応をとっていきたいとお考えでしょうか。

[知事]

私たちは、まず今の段階で4府県知事合意になんら変更を加える状況にはないと考えておりますので、その段階で河川整備計画が変更されるという状況は想定しておりません。その内容等を見ながら、その時に検討し判断していきたいと思います。

ただいずれにしろ、淀川水系、淀川流域、上流から下流まで非常に長く、治水効果を生む事業には長く年数がかかりますので、いろんなことを考慮しながら、滋賀県の立場もあるでしょうし、中流・下流域のお考えもあるでしょうから、そういったものを常に、国にだけ任せるのではなく、ハードの整備だけに頼るのではなく、しっかりと治水政策のあり方について意見交換をする、また検証し合う、そういうことが必要だと思いますのでしっかりとそのことを積み重ねていきたいと思います。

[読売新聞]

例えば、4府県知事で話をするとか、機会を持つということは今具体的には。

[知事]

今の時点では想定しません。しかし、今後検証作業が行われたり状況に変化等あれば必要に応じて対応していきたいと考えています

[京都新聞]

関西広域連合でもこの問題をどう取扱うかということについては、研究会という形でされていまして、近々提言を出してくるだろうと思うんですが、河川整備計画を変える、変えないという議論が出る前の段階でも、関係府県の知事、京都以外は当初と知事も代わっておりますし、整備局が計画を変えますという段階を待たずに話し合いの場を持つという事もあり得るんでしょうか。

[知事]

今の時点で想定はしていませんが、おっしゃるように当時と知事が代わられているということもあります。一方で琵琶湖淀川水系の問題については既存の事業については十分でないかも知れませんけれども、関西広域連合の研究会の中でも広い議論をしていただいておりますので、そういった内容を共有したり、深めたりする過程で、こういった事業についても話がされるのではないかと思います。

[京都新聞]

要望書の中にも国の新しい水防災にビジョンがあるので、これに沿った取組をということで、これは要望書として出ているんですけど、対応方針が決定した段階で、いつどういう形で、国と一緒に進めたいのか、あるいは県としてもこの地域で独自やれることがあれば進めたいのか、について今お考えはございますか。

[知事]

既にご案内のとおり大戸川の上流の黄瀬という地区で、滋賀の流域治水に基づきます、地先の安全度といったものを共有しどう高めていくのかという、こういう取組、逃げることも含めて、住民の皆様方に協議していただいています。その意味ではまだ一部ではありますが、滋賀県独自の取組も始めているところです。

この国に対して出した要望の3項目目の「水防災意識社会の再構築ビジョン」の中に滋賀の流域治水と連動した取組をということは、私自身が掲げております「ダムだけに頼らない流域治水」という取組の中で極めて大事な要望項目です。昨年に鬼怒川の越水、決壊に見られますように、想定を超える豪雨は施設、ハード整備だけでは守れない。ある意味ダム施設だけでは防ぎきれない、そういう流水もあり得る訳でして、こういったことをしっかりと共有する取組を国もある意味では滋賀県と同じ方向を向いてきましたので、滋賀のとりわけ大戸川ダムについてもしっかりと進めていこうという、ある意味では提案であり、要望をさせていただいたところです。ですから滋賀の進めている取組と連携させて、何か国のモデル事業のような取組が展開できたらいいのではないかと考えています。

[京都新聞]

2年間の成果と課題ということになるんですが、検討中や未着手がまだあるということですけれども、これをあと2年でどのあたりまで進めておきたいということがあればお伺いします。

[知事]

やはり行政、知事、県政というのは、着手するだけではだめだと思うんですね。着手してどういう結果、成果が出ているのかが問われる3年目、また4年目になってくるんだと思います。そのあたりが今後の課題だと受け止めて、これは知事だけでなく、行政組織をしっかりと動かしながら進めていきたいと思っています。

[共同通信]

大戸川ダムの要望書5項目目の内容について具体的にお伺いしたいのですが、「自然環境への影響が懸念されるので、これについて十分検討されたい」とされていますが、知事としては具体的にどういう自然環境への影響が懸念されて、どう検討していただきたいのか、教えていただけますか。

[知事]

自然というものの営みというのは不思議で、分かっていないことがたくさんありますので、その時その時に出てきてまた検討しなければならないことがあるのだと思います。例えば、烏丸半島のハスの群生が急遽無くなったということは、専門家の皆様方も琵琶湖博物館の館長もですね、今どういう原因なのかということで考えていただいている。この大戸川流域で申し上げれば、上流に非常に脆い削れやすい山があって、明治以降その治山対策に大変苦労してきた、こういう流域でございます。当然流水により流れる土砂というものは、他の地域より多いということでございましょうし、私が政務官時代に担当した天竜川には、途中沿川に多くのダムがあってですね、発電もやり戦後の高度成長に多大なる貢献をしたそういう河川でございましたが、一方で、天竜川の河口の浜欠けといってですね、流砂が無くなり堆積土砂が少なくなることに伴う影響も出ています。今、養浜事業として、新たな公共事業をつくり興しながらですね、「浜を養う」そういう事業をされています。そういう意味でひとつ土砂の影響をとってもですね、流れを堰き止めるということに伴う影響というのは、しっかりと幅広く検証しておく必要があるでしょう。流れる土砂を排砂する設備が必要なダム等もございますし、土砂の流出というのは昨日から訪れている安曇川、北川沿いもそうですけれども、アユをはじめとする生き物の、藻、水草の生育と絡まってアユの遡上、今年はアユの生育もまだ十分ではないということでしたし、そういうことにも影響してきますので、しっかりと影響を検証、検討していただきたいということを考えています。

[読売新聞]

この2年間の取組で、未着手についてなんですが、新幹線新駅の問題、これは知事選のかなたから、前の嘉田知事との方向性の齟齬もあるのではないかという議論もありましたが、それも踏まえて、現在まだ未着手であることについてのご自身への評価と、今後2年間でどういうふうに持っていきたいかをお教えください。

[知事]

ご案内のとおり色んなご意見がありました。そしてこの問題については経過がございました。しかもこの10年来で大きく動いた経過がございましたので、大変多くのご意見をすり合わせた上でこの政策提案集にリニア中央新幹線の開通を展望した広域交通鉄道網の再整備も視野に、東海道新幹線「米原・京都間に新幹線新駅」の必要性や負担などを県民参加で議論開始と書きました。その意味では、今まさにリニア中央新幹線についでですね、名古屋までではなく、大阪までもできるだけ早期に開通すべきであるということや、これはまさに国家プロジェクトとして動き始めています。ルートについても色んなご意見が出始めていますけれども、このリニア交通にどう滋賀県からアクセスするのかという課題もあります。当然、北陸新幹線が、間もなくどういうルートで整備しようということが一定結論づけられてきたときに、その新幹線については、どういう駅の在り方がいいのかという議論が出てくるでしょう。従って、今の時点ではまだ検討もできておりませんが、今後、事態の推移を見ながら、少なくともやはり何らかの検討を開始するステージには持っていきたいなと考えております。

[読売新聞]

県民参加の議論をあと2年間で始めたいなということでしょうか。

[知事]

県民の皆様方と共に、検討、議論するそういうステージに持っていきたいと考えております。

[朝日新聞]

大戸川ダムについて教えていただきたいのですが、淀川水系河川整備計画の変更の話が出ていましたけれども、近畿地方整備局自体もまだ河川改修が進んでいないという認識で、当分河川整備計画を変更する段階に無いという認識ということで、三日月知事を同じような認識なのかなと思うのですが、やがて期間については未定ということですが、河川改修が進んで整備計画が変更する段階に移ったとした場合、先程ダムだけに頼らないということでしたが、やがてはダムという選択肢も、当然あるなというお考えなのでしょうか。

[知事]

仮定の話ですのでお答えしにくいのですが、私の基本スタンスは「ダムだけに頼らない流域治水」を進めるということでございます。同時に一般論ですけれどもダムというものの持つ治水効果というものも、全否定する立場ではございません。しかし、この大戸川ダムについては、まだ整備計画に位置付ける段階ではないというのが我々4府県知事の合意内容であり、それは変える必要はなく、また事業主体である国も同様の認識だと考えておりますので、それがどう変更されようとしているのかということについては、それをみて私たちの意見を言っていきたいと考えています。

[中日新聞]

先程から出ていた原発の問題ですとか新幹線の問題ですとか、昨日の新聞の一部朝刊でも知事がインタビューに答えておられたと思うんですが、県内の課題には、ほぼコミットできているんだけれども、広域的な問題になると難しいこともあると出ていたんですが、その辺り2年経っての受け止めとですね、北陸新幹線のお話で、ルートが決まるのに対して、色々と働きかけはしておられると思うが、今後、例えばお隣の京都が「リニアを京都へ」ということで、行政も民間も巻き込んで、動きを表に見せて世論を動かす形でされていますけれども、そういう世論を巻き込んで北陸新幹線を米原にという動きをやられるつもりはあるのか、それとも、また違った形でされるのか、その辺りをお教えいただければと思います。

[知事]

滋賀県だけで完結しない、滋賀県だけで決められない、変えられないという意味では、今例に挙げられた原発防災の取組もそうですし、新幹線ルート問題などもそうだと思います。その意味で大変難しい課題ではございますが、滋賀県の将来を考えて、滋賀県の立場、希望、主張をしっかりとしていくということだと思います。動かず動く、禅問答のようで恐縮ですが、動かず動く形で滋賀県にいい回答を作っていきたいと思いますし、決して望まない回答になったとしても被害影響を最小限に食い止める、そういう努力をしていきたいと思います。

[中日新聞]

「動かず動く」をもう少し詳しく教えていただけますか。

[知事]

戦わずして勝つ、動かず動く、何も動いていることを見せるだけが動いているということではなくて、様々な機会を通じてお知らせをする、またすべてお知らせをした段階では、ある意味静かな環境で選択をしていただいて、ご決定いただくという、こういう過程も必要ではないかと思っています。

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