平成27年8月18日
(県政記者クラブ主催)
お盆が過ぎました。戦後70年という節目の年に私は武道館で行われた戦没者追悼式に参列させていただきましたが不戦・平和の誓いを新たにさせていただいたところでありますし、戦争で亡くなられた多くの方々の想いに心を寄せたところです。
また、自分自身も先代を供養しながら家族と過ごすひと時を持ちました。また八月から九月、いろんな意味で大事な季節を迎えますので、気持ちも新たに知事として頑張ってまいりたいと思います。
さて、先般訪問いたしました中国湖南省訪問結果等について述べさせていただきます。お手元に資料も付けさせていただきました。8月9日から13日にかけて、中国湖南省とのさらなる友好交流の発展を目的として訪問いたしました。
私自身、2002年に、滋賀県の事業ですけれども「日中友好の翼」という事業に一参加者として参加させていただいた以来の湖南省訪問でした。当時と様変わりした発展ぶりに大変驚くと同時に目を見張った次第です。
今回の訪問団は、県民、経済界代表、高校生の皆さんも参加されて、総勢約100名という大規模のものとなりました。その活動も多分野にわたり充実したものとなりました。
まず、杜家豪湖南省長とのトップ会談では、32年の友好交流を継続・発展させていくこと。県民・企業の交流と次世代を担う青少年の交流を深めていくこと。洞庭湖、これは中国では2番目の大きさの湖らしいですけれども、環境保全へのさらなる協力を進めていくことを確認いたしました。湖南省においても経済発展と環境保護の両立が課題となっていますが、本県における経験・取組が湖南省においても活かしていただけるものと考えております。
その後、それらの交流を一層推進するため、省長と覚書を取り交わしました。
訪問期間中は、中国メディアからの取材もありまして、中国側ニュースサイトに両県省が長きにわたる友好関係があることや、今後交流を深めることなどが報道されました。
8月10日に行われました琵琶湖と洞庭湖の水生態環境フォーラムでは、両県省の専門家および高校生の水環境保全に関する発表をしていただき、世代を超えた対話と交流を深めることができたと感じております。
あわせまして、岳陽市において両県省の専門家が協力する洞庭湖プロジェクトの関連地域を視察いたしまして、琵琶湖の環境保全や環境こだわり農業の経験が活かされること、環境政策の重要性を感じながら、様々な場面で表明させていただいた次第です。
また、観光プロモーションでは、平和堂の現地店舗において“ひこにゃん”と一緒に本県観光PRを行わせていただくと同時に、省旅游局を訪問し、張値恒局長と観光交流および青少年交流の促進について意見を交わしました。この張局長は共産党青年団の時代に、滋賀県を訪問された経験がある私の1つ上の歳の方で、私と同世代であり、意気投合しまして、相互に観光交流を進めることを確認いたしました。
さらに、湖南省最大手の華天国際旅行社を訪問し、滋賀の観光資源についてセールスを行いました。広域周遊観光ルートの中の昇龍道でありますとか美の滋賀、関西の広域観光周遊ルートについてPRしながら、是非とも滋賀県を周遊ルートの1つに組み込んでいただくように要請させていただきました。
両県省の友好の象徴ともいえる平和堂五一広場店には、訪問団全員で訪問いたしまして、中国での繁栄を見てまいりましたし、社員教育を徹底されており大変見事なものでした。
湖南農業大学では、本県に技術研修生として来られた経験のある方々、これは総勢195名いらっしゃるんですけれども、全てではありませんが御参集いただき面会しました。その方々が同窓会を設立されており、人と人とのつながりを大切に両県省の交流の架け橋となってくださっています。皆さんの歓迎に感動しました。
同大学では、両県省の友好提携の礎を築かれた武村正義元滋賀県知事による「日中互恵友好の新しい時代」と題した講演も行われ、私も拝聴できました。
最後に、32年にわたる幅広く奥深い、このすばらしい友好交流を未来に引き継いでいくべく決意を新たにしているところです。今回ご参加いただいた方々のご意見もお伺いし、2018年の友好提携35周年、これは5年おきに滋賀県から湖南省、湖南省から滋賀県、今度は滋賀県から湖南省に行く番なんですけれども、35周年に向けたより深い交流への取り組みを進めていきたいと考えております。
最後の詩は、岳陽市から洞庭湖を見た時に詠んだ五言絶句というんでしょうかね、以上です。
[産経新聞]
知事が披露いただいた五言絶句に込められた知事の想いというものを聞かせてください。
[知事]
台風の影響が心配された湖南省訪問だったのですが、おかげさまで天気の良かった8月11日に岳陽市から洞庭湖を眺めることができました。
夏の日に洞庭湖を望む、夕陽が岳陽を照らす、水の交わりは未来へ通ずる、友の情は国境を越える。まさに現地で感じた32年の友好交流でありますし、洞庭湖と琵琶湖、水のつながりでつくられた関係を大事に次の世代に引き継いでいきたい、今回の覚書の中に青少年の交流というものを新たな一文として加え締結しました。このような想いや実績を次の世代に繋げるということで、今回は高校生も参加してくださいましたが、そのことに思いを至らせて書かせていただいたものです。
[京都新聞]
中国湖南省訪問とも関連しますが、帰国されて安倍首相の戦後70年の談話がだされました。中国や韓国からも反応は出ていますけれども、自治体レベルで交流を続ける目的や意義をお願いします。また、談話についての知事の所感をお願いします。
[知事]
もちろん外交は国と国との関係によるところが大ということですが、私は自治体間の交流というものに、大きく深い意義と可能性を感じております。それは現地の湖南農業大学でも、ある質問に答えて申し上げましたが、理由は二つあって、一つは人と人との交流で心のこもった交流ができるということ。二つ目は湖南省と滋賀県もそうなんですが環境技術協力などより具体的な関係が築けるということ。心のこもった交流ができ、具体的な関係が築けるという二つの事をもって、両国間の理解増進に、国と国との関係の中ではなかなか築けない関係構築が出来るという意味において、意義と可能性があると認識していまして、そういう意味で滋賀県はこれまで日中間の自治体間交流の中でもきわめて深い、他の地域のモデルになるような関係を築けていると思いますので、さらに高めていきたい、深めていきたいと考えております。
帰国後、閣議決定による談話を発表され、私自身も読みました。色々と考えられ、色々な方のご意見を聞かれた談話であると受け止めております。
ただ、わたしはその翌日に戦没者追悼式典に参列し、天皇陛下から深い反省というお言葉を発せられたことと対比しますと、そういう気持ちの表現がもう少しあってもよかったのかなぁと感じました。
また、総理は次の世代に謝罪というものをずっと引き継がないといった主旨の文言を述べられていましたが、私はそのことを伺って、二つの事を感じました。一つは、そうであるならば現世代の責任をより強く自覚した言動というものが求められるのであろうというふうに思いますし、むしろそういった気持ちは静かに大切に持ちながら接することが、実は次の世代もお互いの関係を大事にできることにつながるのではないかと、むしろ逆の気持ちも持ちながら今この時を迎えております。ただ、ものの考え方は様々ですので、総理は総理、政権は政権で、色々なことを考えて作られた談話だと思いますので、その趣旨を国会等でも確認いただいて、国全体でこの節目を大切に、次の世代に活かしていきたいという気持ちでいます。
[京都新聞]
話は変わりますが、北陸新幹線で京都府の山田知事も昨日発言されています。必ずしも米原にはこだわらないのかなぁというところですが、先日の広域連合でも国の動きの割にはあまり議論がありませんでしたが、改めて関西広域連合での米原の意思統一が必要なのかどうか、あるいはもう一度検討するのかどうか、知事の考えをお聞かせください。
[知事]
昨日、京都府知事が会見で述べられたことは、米原ルートの再検討という意味ではなくて、むしろ関西広域連合では「米原ルート」が一番いいという結論を出しているが、北陸からも意見が出てきているので調整が必要だと回答されたと理解をしています。そういう意味で関西広域連合では一定の定量的な数値を基準に総合的に判断するというやり方で各構成員の合意により2年前に米原ルートが一番いいという結論を出していますので、その結論と色々な意見とを協議調整していくことが良いのではないかと思います。
いずれにせよ政府与党においてもPTをつくられて検討過程に入られているわけですから、その中にこの関西広域連合の意見を、関西広域連合として述べていくということが必要だと考えております。
[時事通信]
70年談話について、反省の部分でもう少し表現があってもいいという発言がありましたが、それは過去の首相談話を引用する形だから違和感を感じていらっしゃるのか、そのあたりをお願いします。
[知事]
やはり物事には主体、誰がというところが問われますから、そういうところを明確にしたほうが良かったのではないかという、個人的な気持ちを持って受け止めさせていただいたということです。
[時事通信]
国の関係機関の地方移転についてですが、8月末が締切りとなっていたと思いますが、滋賀県は現状どのような状況でしょうか。
[知事]
国から出された方針に則って、滋賀県としてどういう機関誘致することが良いのか、いま検討中です。滋賀県らしい、滋賀県の施策とも親和性のある、滋賀ならではの機関が誘致できるよう、いま関係機関と最終調整中です。
[NHK]
東近江市の歩道橋で配水管が落下した事故がありましたが、これに対しての知事の受け止めと、今後点検スケジュールが決まっているようですが、これについての見直しなどについてのお考えはあるのでしょうか。
[知事]
申し訳ございませんが、私が詳らかに状況を把握していませんので、後ほど関係部局でお聞きいただければと思います。いずれにしても上下水道施設のみならず、高度経済成長期に整備してきた施設の老朽化対策が非常に大きな課題になっておりますので、それらを定期的に点検するということと同時に、すぐに直さなければいけない施設については、優先順位を付けて工法を工夫しながら対策を講じていくということが必要だと思いますので、先般は栗東でも水が出てご迷惑をかけたという事案もございますのでそういう対策はしっかりと取るように申し上げているところですから、それをしっかりと行ってまいりたいと思います。
[中日新聞]
電源立地交付金の件ですが、原発の動いているところは増やして、動いていないところは減らすなどの動きがあるようですが、それについてはどのようにお考えですか。
[知事]
その制度、原発が動いているところと動いていないところでどう変えようとされているのかということについて、私が国やその他から正式に説明いただいたことはございませんので、いまコメントできるものはございません。
[中日新聞]
アメとムチで動いたところには増やすということなんですが、これについてはいかがですか。
[知事]
その方針を詳らかに承知しておりませんので、そのことについて申し上げられませんが、一般的に、動いていようと動いてなかろうとリスクは存在するわけですし、そのことの見合いで交付されている交付金であるならば、動いている・動いていないということが、なにか要件の変更というものを要請しているものではないと思いますので、そういう地域の事情は国等にもしっかりと伝えていきたいと思います。
[滋賀報知新聞]
川内原発が再稼働しましたが、桜島の噴火の影響もあるかと思いますが再稼働に関しての受け止めを。
また、高浜原発は使用前検査ということですが、改めて高浜原発についての再稼働に関するお考えを伺いたい。
[知事]
8月11日鹿児島県の川内原発が再稼働したということですが、そのことについては11日に私自身のコメントを発信しました。もちろん鹿児島県ならびに薩摩川内市など地元の意向も踏まえて判断されたものだと認識しておりますが、かねてから申し上げております実効性ある多重防護体制の確立であるとか、いわゆる静脈部分の課題が解決されていない状況下においては、まだまだ不安な部分がある。同時に国民の過半数が原発の再稼働に反対しているとの報道もあり、私自身は現世代と次世代に責任を果たしうるかという観点で、大いなる不安と強い疑問を感じる。政府および電力事業者には原子力発電所の安全対策について誠意と責任を持って対応していただくことを強く求める、ということでございます。
その後、鹿児島県桜島の警戒レベルが引き上げられたということでございまして、一定この新規制基準の審査過程で川内原発と桜島等の噴火の影響、関係については議論されたということでしょうけれども、私は不安に思われる方が多いのではないかと認識しております。
また、高浜の問題は司法の場でも様々な提起がなされ、審査が行われている過程でもありますので、そういうものを踏まえた対応というものが必要だと思いますし、福井県をはじめ京都府または私たち滋賀県それぞれの立場で規制当局および電力事業者等々にも申し上げていることがございますので、そういうことにしっかり対応していただくことが大切だと考えております。
[滋賀報知新聞]
川内原発の避難計画は10km圏ということなんですが、これでいいのかということと、滋賀県は原発事故の訓練をされて色々な問題が出てきたと思いますが、改めて訓練から導かれた課題は何なのでしょうか。
[知事]
川内原発でどう避難計画が立てられ、どう備えられているのかということについて私は詳細を存じ上げませんけれども、私どもの対応で関連して申し上げるとすれば、いざ万が一事故が起こった際に、屋内退避含め誰がどうとどまるのか、どう逃げるのか、どう動くのか、またはどう運ぶのか、そういった方々にそれらをどう伝えるのかという課題がまだまだ広く大きくあるんだということが浮き彫りになりました。加えて私どもの訓練ではスクリーニング等も行いましたが、そういったことを行う人、資機材、こういったことに十分対応できるのかどうかという検証が要りますし、私たちは足りないのではないかというふうに考えておりますし、運ぶ車についてもその車を運転する運転手についてもその業務命令の発し方、権限そのもの、責任体制の整理など含めてまだまだ整理しなければならない課題がありますので、私どもは他の地域の事例も参考にしながら、福島原発の事態も教訓にしながら、若狭湾に集中立地する原発で万が一でもことが起こったときにどう県民の安全を守るのかという視点での訓練を不断に行ってまいりたいと思います。
[京都新聞]
高島市の饗庭野での跳弾事案について、自衛隊の訓練についての県の判断はどのような状況なのでしょうか。
[知事]
先般の会見でも問われ、私はこの事態は大変遺憾な事態である、そして今回は幸いお人にお怪我等はなかったですけれども、人の命に係わる重大な事案であるというふうに受け止めております。今回の事態については一定自衛隊が再発防止策を取られました。そのことは承知しております。その後それを受けてどうするかということについては、付近の住民の皆様方の意向も踏まえた地元高島市がどうご判断されるのかということがまず一義的にはあると思いますので、県としても高島市の意向も良く踏まえながら、自衛隊とも対峙していきたいと思います。
[京都新聞]
自衛隊に対して県が何らかの行動、要請などを行う予定はあるのでしょうか。
[知事]
今予定はありませんが、自衛隊からのご説明に対して地元高島市でも住民の皆様方に対するご説明等々が行われていると思いますので、そういったことを受けて、今後事態の変化に市と連携して対応していきたいと思います。