平成27年8月4日
(県政記者クラブ主催)
大変暑い八月初旬ですが、今月の句は「共に生く 平和よ永遠に 蟬らとも(ともにいく へいわよとわに せみらとも)」
私は戦争を知らない世代ですが、おそらく終戦を迎えた頃も原爆が投下された頃も蟬がこうして鳴いていただろうと、この季節になれば思い出される方もいらっしゃるだろうと思います。そういう自然の摂理の中で、当時の風景を想像しながら平和への想いを常に胸に刻んで、そして行動していきたいと考えております。
話題提供に入る前に、皆様方にご協力いただきました高校総文が8月1日に無事終了いたしました。非常に盛会裏に終了いたしました。改めて皆様のご協力に、様々な報道等を通じて盛り上げていただきました。ご協力に感謝を申し上げたいと存じます。
高校生の表現力、パワー、写真などにも出ていましたけれども、戸惑いがちにも、悩みがちにも自分たちの想いを表現するというところに高校生の力を感じました。
今月は小学生と中学生、秋には高校生と滋賀県の将来について語る機会も用意しておりますので、これからの時代を担う世代との対話ということも意識して取り組んでいきたいと存じます。
今日は4点、私から提供します。
1点目は、この夏、高島市内の山里で、田舎暮らしというか山間暮らしを体験をさせていただくこととしました。
今年の2月に木之本町杉野に一週間居住し、県庁への通勤、地域活動や伝統行事「オコナイさん」への参加を通じて、冬の湖北地域の魅力や課題を体感しました。
まだ離村式をやって頂いておりませんので、まだ村人だということで交流させていただいているのですが、それ以来「現場主義」で知事として執務を行ってきたつもりです。8月23日の日曜日から29日の土曜日までの一週間、高島市安曇川町の中野という集落に居住させていただきます。
今回、湖西地域に決めたのは、都市から地方への移住・定住施策がこれまで以上に注目されていますが、高島市内は多くの移住者がいらっしゃいます。私が今回住まわせていただく中野にも移住で来られた方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々がNPO法人「結びめ」などの官民協働の体制をつくっていただいておりますが、そういう先進地で移住・定住に向けた取組の可能性や課題を一緒に探るということを考えております。
今回居住するのは「風結い(かざゆい)」という山里暮らし体験住宅です。これは湖北の築150年の古民家を移築・改修されたものでして、立地する中野集落は日本の原風景とも言える山里でございまして、先般も視察に行ってきましたけれども「豊かな自然」や「自然と寄り添った豊かな暮らし」が残されている魅力的な地域だと思います。
折しも地方創生が全国の課題となっておりますが、こうしたかたちで知事が実際に暮らしながら、村の皆さんとも一緒に議論しながら考えてまいりたい。反映させてまいりたいと考えております。
日程については現在調整中ですが、集落の涌き水を使った流しそうめんイベントによる都市農村交流、農ある暮らし体験、これは農業を営む移住者を訪ねて水やりをしたり、産みたての鶏の卵で朝ごはんをいただいたり、集落内のラジオ体操に参加したり、今年度末で廃校が決まっている当学区の広瀬小学校の跡地利活用について、関係の皆さんとの意見交換をしたり、「風と土の交藝」を冬の時期に高島市内一帯で開催しておりますが、その関係者の皆さんと意見交換会をさせていただく予定です。
県庁までの通勤は湖西線を利用します。駅までどうして行くか、どうして帰るのかというのが課題なんですけれども、湖西線を使っていきたいと思っております。
また、安曇川のいかだ下りの守り神でありますシコブチ信仰のお参りの場所もあるということで、そういう地域の伝統文化にも触れていきたいと考えております。
2点目は、「ココクール マザーレイク・セレクション」扇子によるPRということでございまして、私も今日持ってきましたけれども、非常に暑い時期に「ココクール マザーレイク・セレクション」のロゴ柄の扇子を試作しました。
この扇子には、3つのメッセージが込めております。
1点目は高島扇骨です。県の伝統的工芸品と地域産業資源の指定を受けており、こうした商品をPRしながら「滋賀県産業振興ビジョン」に基づきます県内における経済循環をつくっていきたいということが一つ。
2点目は、地域の資源を活かし、湖国のクールな商品を私たちはセレクトして「ココクール」としてまとめておりますけれども、まだまだ認知度が足りないという課題がありますので、こういうものをPRしていきながら滋賀ブランドを向上させていこうというもの。
そして、この扇子のデザインは、今年2月に開催しましたクリエイティブフェア「第1回勝手に滋賀PRアワード」でグランプリを獲得しました県内クリエイターがデザインしてくれました。そういう良いモノ良いサービスをいかにデザインするかというクリエイターの力も活用しながら今回試作したということですので、反響を確かめながら今後の展開に繋げていきたいと思っております。
3点目は、「滋賀県農業・農村活性化サポートセンター」の設置についてです。
今日から、新たに、農政水産部農業経営課地域農業戦略室内に「滋賀県農業・農村活性化サポートセンター」を開設いたします。
米価の低迷、担い手の高齢化、国の農政の転換など、水田農業の環境が大きく変化している状況の中で、しかしながら集落にとっては農業というものがきわめて大事な産業であるということから県では、本年3月に「地域農業戦略指針」を策定しまして集落における話合いを進めていただいております。
その集落における話合いや活性化に向けた取組を支援する目的で、「農業・農村活性化サポートセンター」を設置したものです。
このサポートセンターでは、集落の皆さんが、地域の農業をどのように持続し発展させるのか、また、活力ある農村をどう創るのかを話し合っていただき、実践する活動を支援するために、地域計画、村おこしなどの専門家によるアドバイスを行うほか、集落リーダーの養成講座などを行うこととさせていただいております。
アドバイザーの派遣を希望される集落のご相談は、県内6箇所にございます農業農村振興事務所で受け付けます。
市町等関係者の皆さんと協力しながら、このサポートセンターを活用し、集落の人々の力で、農業・農村を元気にする取組を、力強く進めてまいりたい。これは草の根自治というものを発展させていく一つの大きな取組になると考えております。
この記者会見終了後、農業経営課入口で、このサポートセンターの看板の設置を行います。
続いて、今月のイチオシです。第10弾です。
今日は「彦根梨」についてPRさせていただきます。
梨の実の季語は秋でございます。これから梨が美味しい季節となります。
彦根は「彦根城」や「ひこにゃん」で有名なんですけれども、実は梨の産地としても有名でして、荒神山の麓に位置しております曽根沼の干拓地で栽培されております。県内でも珍しい梨の産地となっております。
彦根梨生産組合21名の方が栽培されておりまして、品種は幸水・豊水の2大品種とのことです。
彦根梨の一番の特徴は完熟での美味しさ、非常に甘みのある完熟での収穫販売です。栽培研修に力を入れておられまして、月一回の栽培研修会で品質の向上ですとか収量増収を目指して活動されております。
団地をつくっていただいておりますので、農家同士がすぐに情報交換出来たり、助け合えたりということで切磋琢磨されています。
完熟梨として収穫販売されるため、市場への出荷は行わずに、近隣の直売所のみの販売ということでして、彦根の直売所である美浜館で販売されています。
収穫時期は8月下旬から9月下旬の約1か月。販売初日には販売時間までに100名以上の方が行列をつくられ、早い時には販売開始一時間で完売してしまうという売行きのものです。
また、食育の一環として、彦根市内の小学3年生を対象に梨園や選果場の研修を受け入れて、給食への提供も行っておられるとのことです。
今年の収量は昨年の15パーセント増の60万個を目標に栽培されておりますし、梨をつかった「ナチャップ」というドレッシングや焼き肉のたれも作られておりますので、6次産業化として皆様にお知りおきいただければと思います。
昨日、早速第一号の彦根梨が収穫できたそうで、それを持って来ていただきました。
(知事試食)
美味しい。非常にみずみずしい。甘いですね。
こちらはナチャップをかけたサラダです。
(知事試食)
酸味の中に甘みがあるという、梨独特のドレッシングになっていると思いますので、是非皆さんお試しください。
私からは以上です。
[日本経済新聞]
高島の居住、いろんなことを計画されていると思うんですが、特に何を一番楽しみにしておられるのか、どんなことを経験したいと期待されていますか。
[知事]
2つあります。1つは申し上げましたけれども、正に移住・定住されている方々とその地で議論させていただく取組は県全体の移住・定住の取組に必ずご示唆があると思いますので、その点が一つ。もう一つはやはり湖西線です。湖西線を使った通勤というものを実際は限られた期間ではありますけれども経験して、バリアフリーの問題ですとか、ダイヤ改善の問題をご利用される皆さんと一緒に考えていきたい。この2点です。
[日本経済新聞]
北陸新幹線の大阪への延伸の話ですが、今週6日に与党の検討委員会が発足すると。最初滋賀県選出の議員が入ってなかったとかいろいろありましたけれども、6日に発足するということですが、改めて3つのルートがありますけれども滋賀県として、また知事としてどのような考え方を持っておられるのか教えてください。
[知事]
私はかねてから申し上げておりますように、時間的なこと、何年かかってつながっていくのかということ。そして、建設の要する費用はどうなのかということ。そして波及効果はどうなのか。この3点からして関西広域連合でも結論出されておりますけれども、私は「米原ルート」というのがそういう面で効果が発現しやすく、大きく発現するルートだろうということを思っております。そういう方向で関西広域連合でも2年前に決めていただいておりますので、それを実現すべく、関係各所に働きかけをしていくということで臨んでまいりたいと思います。
そのためには、政府与党においても議論をされるということでしたので、そういったところに滋賀県選出の議員の方が、また、滋賀県ゆかりの国会議員の方が参加されるということは大変心強いと思いますので、しっかりと地域の声が届けられるよう、議論を期待したいと思いますし、努力をしていきたいと考えております。
一方、国の整備計画には、40年前の計画とはいえ、「小浜市付近」という記載があり、新幹線プロジェクトそのものには「光」の面と、そして多大なる負担や並行在来線という課題もございます。一定、関西広域連合では費用分担の面、並行在来線の面で、私たち滋賀県の主張が盛り込まれた方針になっておりますが、こういう国の計画を覆し、関西広域連合の決定事項に従って、合意形成を関係者間でしていくということには、想像も容易にできないぐらいの壁があるだろうと考えておりますので、今日の午後からの首長会議でも議論をいたしますが、そういう課題について、しっかりと議論しながら前に進みたいと考えております。
[京都新聞]
まずレイクスの問題ですけれども、先月末に12チーム(1部リーグ入りが)決まりましたけれども、bjリーグからは6チームということで残念ながら滋賀は盛り込まれませんでしたが、やはり大きなネックは本拠地問題。草津の市長もこの間の会見では、やはり5千人規模は難しいということはおっしゃいましたし、8割の開催もなかなか難しいんじゃないかというお話がありました。改めて、8月末に追加発表はあるようですが、新リーグへの思い、本拠地問題について教えていただけますでしょうか。
[知事]
いよいよ2015-2016シーズンに向けた、前シーズン3位という大きな成果をもって、次のシーズンに向けた取り組みが進められているときいておりますし、この週末も各地のお祭りを回りますとね、レイクスの選手の皆さんが精力的にオフシーズンを活用したスポーツイベントですとか、チアの皆さんがジュニアチアの方々も含めて地域を盛り上げるためにご活躍されております。改めてこのレイクスターズというものがもつ効用というものを感じた次第でもあります。
その中でリーグ改編の条件として5千人収容規模のアリーナ、しかもホームアリーナ、8割使用という条件が提示されて、草津市さんをはじめ皆さんともよく協議をしてまいりましたけれども県が補助を出しての草津市総合体育館の増設ということについては協議が整わなかったということでございます。とはいえ引き続き新リーグ1部のみならず2部、3部、リーグとして新たに再スタートを切られるわけですし、そういったところにレイクスターズも意欲を示されているわけですし、そのためには草津の体育館の増設、5千人規模の増設はかないませんでしたけれども、どこかをホームアリーナにして、ホームタウンにして活動されるという、このことは変わらないわけですからぜひそういうチームをいろんなことで応援していく、この取組を滋賀県としても8月いっぱい、ぎりぎりまで協議、準備をしていきたいというふうに思いますし、その後の活動についても展望を持って取り組んでいきたいと考えております。
[京都新聞]
2,3部を目指すということになるんでしょうか。5千は一つのハードルになっているようですし、もし1部を目指すならば5千は将来確保できるぞという県としてのビジョンがあるのかもしれませんが、そういう将来見通しを示しながら引き続き1部を目指すということでよろしいんでしょうか。
[知事]
やはりチームとして活動されている以上は、そしてそれを応援する県民としては一番高いところでしのぎを削ってプレーするという夢を持たれることは、私たちが持つことは当然のことだと思います。一方で、リーグはリーグで条件というものについての当てはめもありましょうし、チームはチームの考えがあると思います。ただ私たちは8月いっぱい引き続きリーグに対して申請し、協議するという期間として、さらには12チーム決まりましたけれども、まだ4チームなのか、6チームなのか、まだ入っていく可能性があるわけですから、その可能性をしっかりと追求していくという段階だと考えております。
[京都新聞]
今日や昨日の新聞で地元選出の国会議員が安保法制の関係で学生さんの取組に対して、戦争に行きたくないのは自己中心的とか、利己的な考え方に基づくといった発信をツイッターで、されているようですけれども、知事としてどう思われてますでしょうか。
[知事]
国会議員の皆さまのご発言に、いろんなメディアを通した発信にいちいちコメントする立場にはありませんが、私は「戦争に行きたくない」という気持ちだとか、「殺さず、殺されず、殺させず」という考え方は決して自己中心的、利己的な考えとは思いません。むしろそう強く思われる方が多い、いや全てだろうと思いますので、決して自己中心的だとは思いません。
[京都新聞]
特に国会議員さんの発言に対してはどうかというところはないですか。
[知事]
自戒、自省を込めて申し上げれば大きな権力をもって仕事をさせていただく人たち、者は謙虚に多くの方に寄り添って、耳を傾けるということがあってしかるべきだと思いますので、私どももそのように心がけていきたいと思います。
[時事通信]
先日の全国知事会議で、参議院を地方の府と位置付けて都道府県単位で議員を選出する憲法改正案を検討することを決めたということですが、一方で参議院選挙改革では鳥取と島根、徳島と高知が合区され、国の動きと知事会の動きが相反する状況となっていますがこれに対して知事自身のご意見を聞かせてください。
[知事]
その知事会議での議論はその後の議事概要で拝見いたしましたが、私の持論は二つでございまして、一つは国民の権利である一票の価値を整えるということ、もう一つは選び方、選ばれ方も含めて地方の声を国会に反映する、また衆参の違いを作っていくということの議論はもう少し深められてもいいのではないか、この二点の考えをもってこの議論を見させていただいております。
7月24日に知事会で参議院選挙制度改革に関する緊急アピールを実施し、今回の知事会議でも議論をされ、今後は知事会の中の総合戦略・政権評価特別委員会で議論する政策課題の中に憲法と地方自治というものも盛り込まれたということでございますので、その中での議論に私たちも必要な時期に求められれば参画をしていきます。また、アドバイザー組織として有識者による研究会を発足させることになったということも聞いておりますので、地方の声をどう反映していけばいいのかということを一緒に考えていきたいと思います。
[滋賀報知新聞]
4日に新しいエネルギー社会づくりを考える有識者の懇話会を開催しますが、改めてロードマップについての考えを聞きたいのが一点。
2点目は、例えば湖南市が自然エネルギーは地域のものという基本条例をつくっておりますが、メガソーラーでも売電益が県外に行って地元には結局は賃料だけという地域で循環しない流れもありますが、知事はどのように考えておられるのか。
3点目は、知事は以前にエネルギー会社みたいなものを考えてみたいとおっしゃっていたように思いますが、こういうエネルギー会社の設立について知事の中ではどのような位置づけにあるのか伺えますでしょうか。
[知事]
1点目、本日の午後から原発に依存しない新しいエネルギー社会をつくるための道筋づくりのための有識者会議を開催します。
私自身は首長会議と重なりましてフルタイムでは参加できないのですけれども、かける思いとしては、今年度から新しい豊かさというものを追求し、今だけ・モノだけ・お金だけ・自分だけではない、全ての人が将来も持続的に心で実感できる豊かさをつくろうということの取組を進めております。
その中で環境・エネルギーという分野は新しい豊かさを具現化する実感していただくための非常に大きな大事なテーマだと考えております。
当然エネルギー政策というものは、世界の中で、国全体で検討され決定される事項も多いテーマでございますが、いま質問でご指摘いただいたように、モノをつくる、そして自然の力を生かしてエネルギーを生み出していく、そこに新たな投資を促していくということで、このエネルギーを使う・つくる・使う量を減らすという取組は地域の経済を循環させて活性化させていく、産業創造にもつながるテーマだと思います。
同時に、防災という住民の命を預かり、琵琶湖をはじめとする自然を守る立場の自治体とすれば、廃炉を含めた静脈が整わない、実効性ある防護体制が構築されない、そういう原発に大きく依存するエネルギー政策というものについては危惧を持たざるを得ず、そういったところから出来るだけ早く卒業していくというプロセスを自治体としてもつくっていく必要があるだろうという考え方に基づいています。
また福島に訪問した際に再生可能エネルギー研究所を訪問させていただきましたが、様々な技術開発のSEEDS(種)が生まれつつあります。そういったものを滋賀県内の企業や事業所や工場や、さらには家庭において試行・導入していく、そういう可能性もあると考えております。
そういったものを取りまとめるべく、今回の道筋検討に向けた課をつくり、有識者の皆さまにもお集まりいただくこととしております。限られた時間ではありますけれども、しっかりと議論しながら私たち県民の取組を促していけたらと考えております。
2点目と3点目は関連するので一緒に答えますが、例えば湖南市内の工業団地において新しくエネルギー融通しようとする、そういう取組が行われていることも然りですし、小水力発電ですとか、そういった取組も起こってきています。
エネルギー会社をつくってやったら良いのかもどうかも含めてですね、この検討の中で、道筋の議論の中で検討を深めていきたいと考えております。
[滋賀報知新聞]
エネルギー会社をつくる場合の市民参加のありようについてはどのようにお考えになっていますか。
[知事]
対話・共感・協働の県政を推進する上において、この道筋づくりに関心を持たれている方、一緒にやろうという思いを持たれている方は多いと承知をしておりますので、そういった方々と連携してこの道筋づくりをつくっていく。このプロセスも大事にしていきたいと思います。