平成27年7月21日
(県政記者クラブ主催)
梅雨が明けました。また昨日で私が知事に就任してちょうど一年となりました。
「未来へと 世界へ流せ 今日の汗(みらいへと せかいへながせ きょうのあせ)」と自分に言い聞かせるように詠ませていただきました。
「蝉しぐれ 沸き出る思い おさえつつ(せみしぐれ わきでるおもい おさえつつ)」と詠んで始まった一年前の初日でしたけれども、多くの県民の皆様のご期待やご負託に応えるべく県民の皆さんや職員の皆さんと歩んできた一年でありましたけれども、まだ一年もう一年という思いを持ちつつ、おかげさまで夏秋冬春と一年間過ごさせていただき、基本構想をはじめ産業振興ビジョン、学ぶ力向上プランなど様々な構想・計画・プランの中に自分自身の想いを埋め込むことはできたのかなと、むしろ成果や結果はこれからであると思います。
新しい豊かさをつくろうという基本理念を具現化していくこと、さらには「一緒にやりましょう、みんなでやろう」というフレーズを対話・共感・協働というフレームの中で、より多くの県民の皆様方に実感・実践していただくということだと思います。
むしろこれからだと思いますので、気を緩めず頑張って参りたいと思います。
災害対応での緊張感、また議会対応での緊迫感、こういったものは絶えず持ちつつ、良い意味での緊張感や緊迫感を持ちながら皆さんと一緒に臨んでまいりたいと考えております。
幸い、この3連休も台風襲来・大雨等がございましたが、一部被害はございましたが、おかげさまで大きな被害なく乗り越えることができました。次の台風も近づいておりますし、引き続き降水期・台風襲来シーズンになりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと考えます。
今日は私からは大きく4点情報提供させていただきます。
一点目は「 琵琶湖博物館のリニューアル」について、いよいよスタートします。平成8年10月の開館以来、「湖と人間の望ましいあり方」を県民の皆さまとともに考える博物館として、また「琵琶湖・環境の象徴施設」として、多くの方にご利用いただき、平成27年3月末で延べ900万人の方にご来館いただきました。
これまで、より多くの方々にご利用いただく新しい博物館を目指しまして、平成24年度に「新琵琶湖博物館創造ビジョン」の策定をしたほか、平成25年度に「新琵琶湖博物館創造基本計画」の策定、平成26年度に「第1期リニューアル実施設計」の実施と取り組んでまいりましたが、この度、6月議会で第1期リニューアルの展示制作業務委託契約の締結について議決をいただきました。この夏から、いよいよ琵琶湖博物館のリニューアル工事がスタートいたします。
リニューアルの方向性といたしましては、大きく2つあります。一点目としては、「常設展示の再構築」です。体験的な展示をより多く取り入れ、琵琶湖の魅力の発信力の強化を目指してまいります。二点目としては、「交流空間・交流機能の再構築」を行い、参加と発見、対話と交流を促し、次代を担う人が育つ交流の拠点を目指したいと存じます。
リニューアルの全体スケジュールでありますが、まず、第1期リニューアルとしまして、開館20周年にあたる平成28年の夏休み前、7月14日のオープンを目指し、「琵琶湖の環境と人々の暮らし」をテーマとするC展示室、そして、淡水生物を扱う施設としては日本最大級の規模を誇る水族展示のリニューアルを行います。
次に、第2期リニューアルとしまして、平成30年度を目途に、交流空間の整備を行うこととしており、「大人のディスカバリー」として大人の興味や探究心にも応えられる知的空間の整備や、「樹冠トレイル」として琵琶湖が一望でき屋外の森を観察できる空中遊歩道を整備いたします。
最後に、第3期リニューアルとしまして、平成32年度を目途に、「琵琶湖の生い立ち」をテーマとするA展示室と、「人と琵琶湖の歴史」をテーマとするB展示室のリニューアルを行います。
なお、これらのリニューアルに要する経費については、総額で約30億円を見込んでおります。
それでは、この夏から着手します第1期リニューアルについて、その概要を説明いたします。
まず、新展示の特徴としまして、体感型・参加型展示や実物資料、交流の場の増加などにより、子供から大人まで楽しめる「驚きと感動」「学びと発見」の機会に満ちた発信力の高い展示となります。
C展示室につきましては、「琵琶湖と人々の暮らし」をテーマとしており、琵琶湖から上流部の森林までさかのぼって、琵琶湖とその流域の多様な生き物や固有種、そして、人との関わりを紹介いたします。
具体的には、「ヨシ原を歩いてみると」や「田んぼをのぞいてみると」のコーナーでは、ヨシ原の中の世界や田んぼの中の生き物や暮らしとのつながりを臨場感あふれるジオラマで紹介する予定です。また、「生き物コレクション」のコーナーでは、これまで収集した琵琶湖やその集水域に生息する生き物の実物標本を展示し、美しさと多様さを感じられる空間を演出します。
水族展示につきましては、琵琶湖に生息する様々な生き物を展示することで、生物の多様性などを伝えるとともに、琵琶湖の価値を発信します。
具体的には、「川の生き物とその環境」のコーナーでは、水槽にヤナを再現することで、実際の魚がジャンプしたり、産卵をする生態を紹介します。また、「古代湖の世界」のコーナーでは、淡水に生息する世界で唯一のアザラシであるバイカルアザラシなどの展示を行うとともに、「マイクロアクアリウム」のコーナーでは、肉眼では見えないプランクトンなどの微小な生き物の生態をライブによる大映像で紹介します。
次に「お知らせ」でありますが、第1期リニューアルの工事に伴い、水族展示を平成27年9月1日から来年7月13日まで、C展示室を平成27年11月9日から来年7月13日まで閉館いたしまして、平成28年7月14日を第1期リニューアルオープンの予定としております。なお、その閉館期間中におきましても、A展示室、B展示室、企画展示室、ディスカバリールーム、ショップ、レストラン、屋外展示は通常どおり営業しております。
リニューアル期間中は、大変ご不便をおかけしますが、ご理解をよろしくお願いいたします。なお、その閉館期間中となる平成27年9月1日から平成28年7月13日までの観覧料につきまして、一般が750円を300円に450円引き下げます。また高校・大学生が400円を200円と、これまでより料金を引き下げいたします。
ところで、現在の琵琶湖博物館の常設展示をご覧いただけますのも今年の8月末までとなっておりますので、見納めとなりますので、是非、この夏には、多くの皆様にご来館いただきますようお願いします。
このリニューアルに先がけて、年間観覧券も「倶楽部LBM」として、新しい制度になりました。今から入会していただきますと、リニューアル後、1年間有効という先行入会特典もついています。私も、この「倶楽部LBM」に入会しました。
レストラン、ショップの1割引、会員限定イベントなど様々な特典がございます。この機会に、多くの皆さんにご入会いただければと思います。
2点目、友好姉妹省である 中国湖南省訪問について説明します。
本県と中国湖南省との友好関係は、平成25年に30周年を迎えたことを契機としまして、特に環境分野での技術協力に重点的に取り組んでおります。
現在、汚水処理技術の支援や洞庭湖環境改善のプロジェクトに本県専門家が協力しております。
このたび、8月9日から13日にかけて、知事就任後はじめて湖南省を訪問することとなりました。
省長・省人民代表大会主任との会談や友好交流・水環境ビジネスに関する覚書締結、水環境フォーラムへの参加、環境改善プロジェクトの現地視察、本県の観光PRなどを予定いたしております。
両県省の友好交流を一層推進するとともに、特に水環境分野の産業振興を推進するため、覚書を締結する予定です。
また、経済交流団、県民友好交流団、高校生交流団の各団と一緒にまいります。環境プロジェクト専門家も同時に現地を訪問し、総勢100名規模となる予定です。今回の訪問が、本県と湖南省の友好関係の促進、さらなる交流へとつながるよう努めてまいります。特に高校生の訪中団はまもなく開会されます高校総文の実行委員会のメンバーを中心に同行いただく予定としております。次代にこの友好交流関係を繋いでいきたいと考えております。
次に「JAこうか」の皆さんがつくってくださりました私の似顔絵入り「近江の茶」PR資材の作成についてです。
「近江の茶」の主生産地であるJAこうかでは、首都圏での販路開拓に力を入れておられまして、このたび3種類のお茶が味わえる「近江の茶」PR資材を作成されました。作成にあたり、県から私の似顔絵イラストを提供いたしまして、県は本年4月にJAグループ滋賀と「農業振興等に関する協定」を締結しましたので、似顔絵の提供は協定に基づく取組であります。
本日はJAこうかの山田組合長にお越しいただいております。
【組合長】
首都圏用のPR資材が出来ました。
しっかりとPRしてまいりたいと思います。
「近江の茶」は、滋賀を代表する特産品のひとつです。海外からもこの茶というものには興味をお持ちいただいておりますので、積極的にトップセールスに取り組んでいきたいと思います。
会見終了後、この会場でJAこうかの皆さま方から本資材作成の経緯や首都圏での販路拡大の取組について説明いただくので引き続き取材をお願いしたい。
4点目は、配布資料はございませんが、この7月が「愛の血液助け合い運動」実施月間です。この期間中は県民の皆様へ献血に対するご理解とご協力をいただくよう広報と啓発活動に取り組んでおります。県庁でも本日は県庁献血を実施しております。私もこの後11時30分から献血に行きますので、皆様の取材活動等よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
[日本経済新聞]
中国湖南省を訪問されるとのことですが、100人の訪問団ということで、ここには経済関係も入られていると思うのですが、向こうに行かれて何か経済、あるいは観光面でどのような具体的な成果を見込んでおられるのでしょうか。
[知事]
湖南省とはこれまで30年以上にわたり息の長い、裾野の広い交流の歴史があります。こういうものを足掛かりにしながら環境技術の提供による貢献やビジネス創出、あるいは非常に観光需要も旺盛でございますので、そういった方々に滋賀の魅力を伝える取組でありますとか、平和堂さんに代表されるように滋賀県ゆかりの企業が現地に進出されて長く商売をされておりますので、そういったことの改めてのPRに繋げていくことが主眼です。
[中日新聞]
先日の県議会でチームしが県議団が、高浜原発の再稼働に関する請願について二人が退席するということになりました。意見書については塚本県議が可決を求めていた中で、同じ会派内からそういった行動者が出たことに対して知事としてどう受け止めていらっしゃいますか。
[知事]
議会の議論、議会での行動というのは、各議員がそれぞれの中で判断されていくものだと思いますので、そのように受け止めております。
[中日新聞]
チームしがは選挙で知事を支える母体となっておりました。議会と一体となって取り組むということが、会派内から退席もあり可決しなかったわけですが、残念だったなどということはありますか。
[知事]
議会でのご判断は先ほど申し上げたとおりのご判断だと思いますし、会派を超えたいろんな賛否の行動もあるのでしょうから、そういったものを見ながら、二元代表制の議会と真摯に向き合ってまいりたいと思います。
[滋賀報知新聞]
東京オリンピックの新国立競技場が2520億円に膨らんだということで首相が白紙に戻してゼロベースからとなりましたが、これについて三日月知事はどのように受け止められたのか。
[知事]
総理として、この間の世論の反発を受けられての一つのご判断だと思います。
大きいスポーツイベントの係る施設整備のあり方については、国の五輪もさることながら、国体の施設整備にも示唆教訓があろうかと思いますので、私なりの判断に資してまいりたいと思います。
[滋賀報知新聞]
県教委が県有施設の立替え等の試算をして、最少で128億円、最大で348億円かかる。ここには主会場の128億円が含まれておりませんので、合計では最大500億という金額が見えてきたが、国体の総事業費についてはどのような方向性で考えていくのか、一定の枠をはめていくようなことはあるのか。
もう一つは彦根の陸上競技場の高さの問題がある。市の条例では15m、長崎国体にあわせて23mにしようとのことですが、それでもギャップがあるがここについても考えをお聞きしたい。
[知事]
冒頭に指摘いただいた県立社会体育施設の最適な管理についての調査研究結果に基づく質問だと思いますが、いずれにしてもこの結果をしっかりと踏まえ、検討する材料にさせていただいて、そもそも整備するのかしないのか、そのスペック・規模をどうするのか検討して今後の方向性を示してまいりたい。
概ねあと9年ですので、今年度中に庁内で検討して方向性を出していきたいと思います。当然整備の方向性を固めていく過程で財源をどのように調達するのか、年度によっても多い少ないが出てきますので、そういったものを見ながら検討していきたいと思いますし、補助制度も最大限活用する。さらには、先催県より早めに寄付を募るということも始めますので、そういったものの活用やネーミングライツの導入なども入れながら施設整備に関わっていただきたいと考えております。
彦根の主会場が約180億ということですが、いま基本計画のまとめをして今後その計画の熟度を高め、説明をしっかりと行っていくことだと思います。
その過程において彦根城とのバランスも彦根市とよくよく協議をしていきたいと思います。
[びわ湖放送]
先日の一年を振り返っての記者会見で知事は「及第点はいただけるのかな」とおっしゃっていましたが、私どもが取材すると嘉田前知事は「90点」だと。自民県連の佐野幹事長は「70点」という点数を付けられましたが、これをどのように受け止められますか。
[知事]
非常に高い評価をいただいているということについては、一つの評価として受け止めたいと思いますが、まだ一年ですし、まだまだだと思いますし、報道を通じて目に見える行動・活動として一生懸命活動しているなという印象はお持ちいただいているのかもしれませんが、一部議会の方からも指摘されているように、色々なものが結果で問われてくるでしょうし、難しい課題や大きな課題もありますので、そういうものをしっかりと進めていくことだと思います。
[毎日新聞]
先週、高島市の民家に銃弾が発見された事件がありましたが、県から銃器の運用方法などの見直しなどを要請する予定はあるのでしょうか。
[知事]
16日に饗庭野演習場における12.7mm重機関銃の実弾射撃中に民家の屋根が弾頭により破損するという事案が発生しました。高島市は17日に、県は18日に遺憾の意を伝え、そして事案の究明と報告、そして再発の防止を徹底し、県民の安全と日常生活に支障をきたすことのないように要請しました。
まずはどういう理由でこういうことが起こったのか、原因を究明していただき報告を求めたいと思います。今後の対応はそれからです。
[京都新聞]
関連ですが、高島の事案が起きて県に説明が入った経過、知事はどのように知ったのかという経緯と、18日の土曜日に県が伊丹に要請に行ったということですが、万が一を考えれば陸自から県に来て説明があってしかるべしだと思うのですが、そのあたり陸自から説明ができるはすだと思うのですが、陸自から積極的な説明がないように思えるが、知事はどのように感じておられるのか。
[知事]
私が知ったのは17日の朝刊でしたし、その後に詳細な報告を受けたのは18日です。県としては16日午後11時頃に陸上自衛隊大久保駐屯地広報室からFAXで発生連絡を受けております。そういう情報のやり取りを含めて少し検証をする必要があると思っています。
[中日新聞]
関連しますが、9月に日米共同訓練が予定されていますが、この訓練について、今回の事件の原因が究明されるまでやらないように求めるなどといったことは考えていらっしゃるのでしょうか。
[知事]
私どもの立場とすれば、県民の皆様の安全と安心ということだと思いますので、そのことを旨としながら、高島市とも連携しながら情報の開示や説明を求めてまいりたいと思います。
[京都新聞]
連休中に獣害対策用の電気柵に触れて亡くなられるという事故があったが、県内も使っておられる農家の方多いと思うが、県として何か対応される部分があれば教えてください。
[知事]
まず静岡県の西伊豆町ですか、ご家族で遊びに来られた方だと思いますけれども、私の同世代の方がご家族連れでお亡くなりになられたということですので、まず哀悼の意を表したいと思います。
今おっしゃったように、獣害対策ということで電気施設ということでいうと、県内にも同様の施設がございます。いまわかっている範囲内で、平成22年から26年の5年間で国事業で整備したのが約51キロ、県事業で整備したのが約93キロ。その事業だけでも約150キロあって、加えてそれ以外の個人所有の施設がございますので、こういう施設というのは非常に多くあるのだと思います。ただ一定、こういう施設は電気事業法によってですね、実行防止のための漏電遮断器の設置であるとか、危険表示を行うこととされておりますので、それらの施設にはそういう表示なり機器の設置がされているものと思いますが、改めて今回の事案を受けてですね、本日付で改めて今申し上げた漏電遮断装置や危険表示の点検などの注意喚起の文書を市町、県関係機関に発出したところでございます。
同様のこういう事故は平成23年に兵庫県で発生しているようですので、この時も同様の注意喚起をしておりますが、今後ですね、電気柵が適切に設置・管理されているのか、今週中にも農業農村振興事務所にパトロール調査を指示したところでございます。しっかり対応取ってまいりたいと思います。