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知事定例記者会見(2015年2月10日)

平成27年2月10日
(県政記者クラブ主催)

「環境こだわり米」のキャンペーンの抽選の様子
「たがゆいちゃん」とのツーショット

昨夜から今朝にかけて雪がたくさん降りました。私が8日間住まいしておりました木之本杉野にも数十センチの雪が積もったと伺っております。

そして、今朝には経営会議がございましたので、雪寒対策、状況を把握しますとともに緊張感を持って、大津ではわかりませんけれども大雪の地域の対策に万全を期すように指示をいたしました。

また、いよいよ来週から始まります2月定例会議に基本構想に基づきます予算、またそれらを実施していきます条例等々を提出させていただきます。新しい豊かさが実感できる滋賀を創造していく極めて重要な年度になりますので、緊張感と使命感を新たにして望んでまいりたいと存じます。

さて、昨月来、邦人殺害テロ事件がございました。それを受けまして、既にパスポート交付窓口において、情報をしっかりと把握していただき、さらには身の安全に気を付けていただくための注意喚起や情報提供に努めてまいりました。

その後、2月3日、内閣の「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」において、「邦人殺害テロ事件を踏まえた今後の取組」が取りまとめられたことに伴いまして、消防庁から通知がありました。

通知内容は、大きく3点です。

「危機管理体制の再確認」「大規模集客施設等の警戒体制の強化」「テロ災害への未然の備え」の3点についての助言であります。

この通知を受け、2月4日、庁内各部局にこのことを徹底いたしますとともに、各市町、各消防本部・消防局に対して文書を発出しました。国民保護計画や緊急時の連絡体制等についての再確認、大規模ホール・公園・学校等に対する警戒体制の強化等について、通知いたしました。

また、先日の1月29日に、県庁および彦根市において、ご案内のとおり国や関係機関と連携した国民保護共同図上訓練を実施したところであります。

今後も、県民の皆さんの生命・財産・暮らしを守るために、関係機関と連携しながら万全を期してまいります。

2点目です。若年認知症についてです。

 「若年認知症に対する取組について」(PDF:754KB)

政府が1月27日に、関係閣僚会合を開き、国の新たな認知症の国家戦略となる認知症施策推進総合戦略、通称・新オレンジプランを策定いたしました。

そのなかで若年認知症施策の強化は、重要な柱の一つとなっております。

若年認知症とは、65歳未満で発症する認知症で、全国で約3.8万人、滋賀県では約430人と推計されています。働き盛りに発症しますと、ご本人はもとより、家族、職場等に大きな影響がありますが、高齢者の認知症よりも人数が少ないということから、なかなか顕在化しにくく、様々な課題があります。

例えば、職場でできないことやミスが増えると病気だと気づかずに、うつ状態になられてしまったり、怠けていると自分を追い込んで夜中まで働いてしまって身体的に不調になってしまうなど、認知症で困っている以上に追い込まれてしまうというケースがあると聞いております。

また、傷病手当をはじめ各種制度が活用できるのに、本人も会社も知らないために、いきなり退職に追い込まれてしまって、経済的な問題を抱える例や、若年認知症のケアの経験が少ないということから、介護サービス事業所から受入れを断られるというケースもあるそうです。

県ではこれらの課題に対応するために、平成18年度の実態把握調査を実施して以来、「調査・アンケート」、「啓発・研修」、「相談・支援」の事業を実施してきました。

特に、平成24年度から実施しております「若年認知症地域ケアモデル事業」では、守山市の医療法人藤本クリニックと連携して、本人・家族への支援に加え、ネットワーク構築や啓発、人材育成を実施しています。

そのなかの就労継続支援事業では、できるだけ今の仕事を続けられるように、産業医や職場の上司と相談し、配置転換等により本人の就労継続を支援しています。またその他、やむなく退職した後も、内職などの軽作業ができる「仕事の場」を週1回開催されております。

私も先般この「仕事の場」へ行きまして、先生から事情を伺い、皆さんと一緒に作業を体験させていただきました。軽易な作業でありますけれども、まわりが工夫をすれば、できることはたくさんあるのだと現場で実感いたしました。

これらの取組については、1月25日に開催いたしました「全国若年認知症フォーラム」で報告したところ、厚生労働省の担当官からは、「滋賀県における医療・介護・行政等が連携したこれらの取組は、全国で1番進んでいる」という評価もいただいきました。

早くからやっている。幅広くやっているということが評価されています。

これらの取組は、県内だけでなく、県外にも広がりつつあります。

若年認知症の課題は、実は高齢者にとっても同じことでありまして、認知症の方や家族のかかえる問題が、より明らかに現れているだけです。今後は、若年軽度認知症対策としまして、このモデル事業の成果を継続・拡充し、若年認知症を通じて認知症全体の問題の解決につなげていきたいと考えております。

つづいて、「環境こだわり米」のキャンペーンの結果についてです。

昨年度に続いて実施いたしました「環境こだわり米」のキャンペーンにつきまして、応募期間が終了しましたので、その状況を報告し、会見終了後に、私に抽選をせよということですので、抽選をさせていただきます。

県内の農業者の方々は、本県の県民や下流であります京阪神の皆さんの飲み水である琵琶湖の水をきれいに保ちたいという思いを持って、農薬や化学肥料を半分以下に減らすことはもちろんですが、周辺環境に配慮して、できるだけ泥水を流さないようにする、畦畔の草刈りに農薬を使わないようにするなど、様々な工夫や苦労を重ねて農産物を栽培していただいており、県内のお米の栽培面積のうち約4割がこの「環境こだわり米」となっております。

県民の皆さんとともに、琵琶湖の水を利用されている京阪神の皆さんにもこの取組を知って、応援していただきたいと考えまして、昨年9月から12月の新米期間に、米の卸業者やスーパーなどの小売店の御協力もいただきまして「環境こだわり米」をPRするキャンペーンシールを貼って販売していただきました。その総数は約21万枚にもなりました。

去る1月31日の消印有効にて応募期間が終了いたしまして、応募総数は11,039通。京阪神からも多くの皆さんに御応募いただきました。応募ハガキはここに箱に入っておりますが、必須記入とはしていなかったんですが、資料にもありますような、ありがたいコメントを1,533通いただきました。ちなみに昨年は625通ということですので、非常に多くの方にコメントをいただきました。

今年度のキャンペーンは終了しましたが、店頭では「みずかがみ」をはじめとした「環境こだわり米」が、まだまだ販売されております。消費者の皆さんには引き続き「環境こだわり米」を御賞味いただき、「食べることで、びわ湖を守る。」という合言葉とともに、このマーク、取組内容、生産者の思いや苦労を御理解いただきたいと思います。

併せて、こうした消費者の皆さんからのお声を生産者の方々に届け、生産拡大にもつなげていきたいと考えております。

では抽選をさせていただきます。

多賀町のマスコットキャラクターの「たがゆいちゃん」です。よろしくお願いします。

多賀町の天文台「ダイニックアストロパーク天究館」で2011年に発見された小惑星は「Tagayuichan(たがゆいちゃん)」と命名されたそうです。

今月のイチオシ、第5弾になりますが、多賀町の「多賀にんじん」です。

多賀町では30年ほど前から「にんじん」の栽培が始まったそうです。これは学校給食で子どもたちのためにということで始まったと聞いておりますが、平成17年には「多賀にんじんクラブ」が作られ、年々栽培がさかんになっているそうです。現在では、県内最大級の生産地となっています。

ちなみに栽培面積は平成17年が120アール、平成26年が378アールということで3倍以上に増えております。

「一番嫌いな食べ物は何ですか?」と聞くと「にんじん」と答える子どもも多いんですけれども、この「多賀にんじん」は、にんじん臭が少ないということと、糖度が高くて非常に甘い。特に雪で甘みが増します。これは11月から3月が収穫期らしいのですが、ちょうどこの時期のにんじんが甘みが増しておいしいんだそうです。切り口から水がしたたるほどみずみずしくて、食べると柿のような、噛めば噛むほど柿に似てくるんだそうです。私はこれから食べるんですけれども。

それから見ていただいたらわかりますが、形、色つやもいいですよね。見た目を大切にされる和食の食材としても適していると思います。

なにより、先ほどらいPRしています環境こだわり農産物であるということ。このことも大切なPRポイントだと思います。

「たがゆいちゃん」が持っているスティックサラダ、これが一番おいしい。非常に甘くておいしいです。

生でいただくのが一番良いそうなのですが、ジュースやジャムも好評です。今週から東京のゆめぷらざでも数量限定で販売いたします。にんじん1袋で130円、ジャムは400円、ジュースも400円。多賀町ではにんじん以外にも、「多賀そば」や「秋の詩(あきのうた)」、そして「秋の詩」で作った純米酒「多賀秋の詩」も好評いただいております。

また、多賀町の木で作った御猪口もありますので、これらでお酒やご飯を楽しむということも皆さん経験していただければと思います。

[毎日新聞]

8日で湖北移住が終了したんですが、印象に残ったことと、今後にどういかしたいかということと、いろんなところから反響があったみたいですけど、他の地域とか第二弾とか考えていらっしゃるんでしょうか。

[知事]

2月1日から8日まで湖北、長浜市木之本町杉野に居住をさせていただきました。想像以上に内外から反響、お問い合わせがあり、驚いています。私自身、おそらく一生忘れないと思う。非常に自治の原点にふれるというか、人間の根源にふれるというか、そういうことを感じた8日間でした。といいますのも杉野は横山岳に起源をもつ山岳信仰の土地でありまして、古くから地域の方が山を怖れ、山の恵みをいただき、山の中で人々が力を合わせて住まいをされるという地域でした。その中で人のつながりをいただきながら生活をさせていただきました。食べる物でありますとか、語らいでありますとか、そういうことを皆さんと一緒に行えた一週間でした。

ただ、その山の集落が高齢化に伴い、若者が住めない、住まない状態になり、非常に存続も危ぶまれている状態を目の当たりにしましたし、直接お伺いもいたしました。したがって、これらの課題を解決するための方策を一緒に考えていこうということで、例えば山の資源を活かした取組、また新たな資源を作る取組、そういうことについて皆さんと一緒に意見交換をいたしました。

なお、バスとJRを使って、2時間半かけて県庁まで通勤した、この8日間も忘れえぬ経験となりました。ただ逆に言えばその岐阜県境の集落から2時間半で県庁に通勤できるという、その距離、時間的距離にあるんだということもわかったところでありまして、もちろん雪深さ等々の課題はありますが、いろんな魅力であるとか、いい面ももっともっとPRしていきたい。最後に一点、2月7日から8日にかけてオコナイに参加させていただきました。これは村の安全、五穀豊穣をお祈りされる、きわめて神聖な、また歴史的にも興味深いイベントでありましたけれども、ここに参加をさせていただき、村の方々のいろんな思いを聞かせていただいたことも貴重な経験となりました。

こういう地域に伝承される伝統文化というものをしっかりと県としても守り、そして伝えていくという責任を感じたところであります。

今後ですね、杉野に住ませていただいておりましたら、余呉、米原、高島、永源寺、甲賀、信楽等々から、「うちの村にも来て下さい」というご連絡やお問い合わせがございました。今後、知事自らが実際に住まいをして、仕事をさせていただくという取組がどう展開できるのかについては、検討させていただきます。

ただ、行って、話して感じましたことは、県が身近になったと。これから林業の問題であれ、観光の問題であれ、県政から提案されたことについて、共感をもって感じることができると言っていただいたことは非常に印象に残りましたので、今後そういうことも考えながら、この取組を深化させていきたいと考えています。

[毎日新聞]

新年度予算についてですが、知事の公約は嘉田前県政の継承と発展というのが大きな柱であったと思うのですが、事業の内容を見ると、大部分が継続されていると。看板の架け替えというと語弊があるかもしれませんが、そういう形であると。知事自身が以前見せ方を工夫するとおっしゃっていましたが、大部分を継承されたということについて、どういうお考えなのか改めてお聞かせください。

[知事]

私は前県政からの継続と継承と発展ということを申し上げながら、選挙で問い、そして当選させていただき、活動してきました。もちろん琵琶湖政策をはじめとして、福祉政策もそうですけれども、知事が変わったからといって大きく変える必要のないものまで変えることはないと思います。

ただ、嘉田県政の時に取り組もうとしたけれどもなかなか取り組めなかった分野ややり方、例えば交通政策で湖西線に焦点を当てて、活性化プロジェクトを本格的に来年度から動かしてまいります。ここにはもちろん行政、事業者のみならず沿線企業のサポーターを募り、つなげてですね、ダイヤの改善等に結び付けていくという取組も入れております。

こういったところは、ならではの取組の一つとして打ち出していきたいと思いますし、琵琶湖博物館、新生美術館、うみのこ、これらのことについては、前県政時代に作ること、作り変えることについて意思決定していただいておりますので、それらをしっかりと進めていく。そこに私なりの味付けをさせていただいたとすると、皆でつくる美術館、ということで、交通とセットでアートバス等々と連携した取り組みを新たに付加させていただいたほか、うみのこはエコシップとして、ぜひ琵琶湖で学ぶ、湖上で学ぶ子どもたちの環境学習に資していきたいといったところはですね、一つのポイントですし、新生琵琶湖博物館についても来館者数をしっかりと目標をもって今よりたくさんの方に来ていただく、そういう博物館にしようと原課に指示をいたしまして、料金の改定についても工夫を凝らしたところです。

そういったところはさらに発展させる取組として、しっかりと打ち出してまいりたいと考えております。

[中日新聞]

若年認知症の来年度の取組についての知事の意気込みをお伺いできればと思います。

[知事]

先ほど申し上げたように、来年度、若年、そして軽度認知症総合支援事業といたしまして、相談支援体制をつくります。これはコールセンターとしてワンストップで相談できる体制をつくろうとするものです。やはり何と言っても人材なんですね。藤本クリニックでも相談に乗っていただく方、仕事のサポートをしていただく、やっぱり人材が症状のことをわかって支援していただく方を増やしていくことと、新たに各圏域に居場所、たとえば守山市の藤本クリニックをはじめ、皆さん方が日中過ごしていただく場所を確保していく。今既に高島、長浜、大津といったところで、場所づくりをしていただいておりますので、しっかりと位置付けてお知らせをしていくということ。さらにはご本人と家族に対するサポートが必要だということですので、例えばできるところまでしっかりと仕事をしながら手当や給与に結び付けていく。さらには仕事を辞めなくても配置転換等でできることは産業医の方と相談をしていく。

辞めた後、どんどんできないことが増えていくことに対して、しっかりとご本人、家族に寄り添ってサポートしていく。この取組は非常に重要だと思いますので、27年度からさらに支援強化していく予算を計上させていただいております。「早期発見」が「早期絶望」になるという言葉で表現されることが多いんだそうです、若年認知症は。決してそうではないんだということをしっかりと皆さんに思っていただけるような事業を作っていきたいと考えています。

[中日新聞]

先日、琵琶湖大橋について研究会で議論が終了して、結果的に両論併記という形になって、県で最終判断ということになったと思いますが、今後の決め方のスケジュール、手続、現時点での知事のお考えをお伺いできればと思います。

[知事]

今年度5回、研究会を開いていただいた結果、選択肢というか議論の結果として、方向性が一つではなく示されたということです。それだけ料金を巡る課題については、例えば維持修繕の必要性、その橋とつながる道路整備の必要性、さらにはその橋を通って料金を払うことの経済性等々について、非常に奥深い課題があるんだということがわかりました。

したがって、この研究会の結果を踏まえて、今日も午後から市長会の皆さんとこのテーマで意見交換をさせていただきますし、来る議会でもこのテーマでご質疑していただくこともあると思いますので、さらにこの研究結果を踏まえた議論を重ねながら、県としての方向性を出していきたいと考えています。

[中日新聞]

先日、美浜原発についても関西電力で適合審査をしたいという意向を表明されたんですけど、高浜より美浜の方が県に近いということで、どう受け止めておられるのか。かなり老朽化しているという部分も含めてどうおもってらっしゃるのかうかがえればと思います。

[知事]

美浜云々という話は2月2日に示された運転方針についての話ですか。美浜で3基、大飯で4基、高浜で4基、原発があってですね、それぞれ運転開始の年月日があり、運転年数があり、そして関西電力という事業者がそれぞれどう動かすのかという方針をお持ちなのかもしれません、示されようとされているのかもしれません。これは一事業者の経営という観点からのみならず、当然地域に住む住民の安全、安心という観点も必要になっています。同時に3.11福島第一原発の事故の教訓もあるという状況の中で、40年また延長して60年というルールの中で原子炉の問題が検討されているという経過もございます。

いずれにしてもこういう教訓や経過を踏まえて、私たちは県民の命や暮らしを守るという点で実効性ある防護体制をしっかり、国においても事業者においても、もちろん自治体も協力しますけれども、つくっていく、確認をさせていただくということが大事だと思いますので、その観点で関西電力も言動していただくことを強く求めるところです。

[産経新聞]

高浜原発について、12日に規制委員会が新規制基準に適合していると結論付けた審査書を公表する見通しで、再稼働は早くとも数カ月後とみられますが、これに対する受け止めと、12日に何か要望なりアクションを起こす予定はありますか。

[知事]

12日に原子炉設置変更許可に伴う意見募集を経た許可が出されると理解していまして、その事をもって再稼働云々が決定されることではないと捉えています。

当然多くのパブリックコメントが出され、その結果を踏まえた審査書となっていると理解しますが、そのことの確認をさせていただきたい。また、その説明責任をしっかりと国には果たしていただきたい、そのように望むところであります。

なお、それ以外にも工事計画認可でありますとか保安規定変更認可でありますとか、そういう手続も同時に行われなくてはならないと承知しておりますので、いずれにしても、その過程過程で、私たち自治体、県民、国民に対する説明責任を果たしてくださるように国に対しては引き続き求めていきたい。

特段、12日にそういったものが示されたからといって、12日に何かを起こすという計画や予定は現在のところありません。

[時事通信]

今の質問に関連ですが、今後、審査書が決定するとなると、地元同意の手続になってくると思いますけれども、現段階で法律上地元というと立地地元のみとなってしまいますけれども、そういった中で滋賀県として、今後どうしていこうとしているのか、お考えをお聞かせください。

[知事]

「立地自治体だけでいいんでしょうか」という問題提起をかねてからしてきましたし、そのことについては、滋賀県民のみならず多くの地域の国民の皆様方が疑問に、不安に思っていらっしゃることだと思います。高浜原発のプロセスをどう進めていかれるのかということは、まだ説明を受けておりませんしわかりませんが、そういうことを踏まえた対応が行われてしかるべきだと思いますし、そうならないのであれば、私どもの意見をしっかりと申し上げていきたいと思います。

[時事通信]

昨日、衆議院の選挙制度改革に関する第三者機関が一票の格差を是正するために、9増9減の案を示して、その中では滋賀県が減の中に入っていましたけれども、一票の格差を是正するために都市部が増える改革案について、知事の受け止めをお願いします。

[知事]

まだ検討段階でありますので、しかるべき時期に、意見を求められることがあるのかもしれませんが、いずれにしても衆参ともに憲法で保障されている国民の権利という観点から、一票の価値の平等をしっかりと保障するということは、私は必要だと考えておりますし、むしろ2012年の選挙以降、再びそのことが是正されないまま総選挙が行われたということすら、このことに対する向き合い方が十分であったのかという問題提起をしたいと思います。

いずれにせよ、どこが減るから、滋賀が減るから、どこが増えるからこの問題に賛成反対ということではなくて、国民一人ひとりの一票の価値の平等性をできるだけ早く整理をするという原則で進めていただきたいと期待しております。

[滋賀報知新聞]

政府与党は9日にJA全中の改革案を決定したということで、一般社団法人化や地域農協への監査や指導権限を撤廃するということですが、県内では16ほどの農協があるわけですけれども、このことをどのように受け止められていて、県として農業再生に向けた取り組みを強化していこうとされているのか、この2点をお願いします。

[知事]

議論を経て農協改革の一定の方向性が取りまとめられたと報じられております。むしろ、組織の表立った改革を重視されるがあまり、地域の実態や農業の本質をより良くしたりする改革だったのかという疑問は、私は持っています。

滋賀県は滋賀県として農業・林業・水産業といった1次産業の産業としての強化をしていくということ。一つは6次産業化。もう一つはブランド化。大規模化ということもあろうかと思います。産業競争力をしっかりと強化するということが一面。もう一つは私が居住した木之本杉野もそうですけれども、地域産業としての農業、集落維持機能としての農業という位置付けをしっかりととらまえた対応や対策が必要だと考えておりまして、国の農村まるごと保全向上対策という事業を活用した例えば水路保全や、環境教育、食育などの取組を県としてもしっかりと応援していくことも必要だし、こういった2面から滋賀県農業・林業・水産業を応援していきたいと考えております。

むしろ、政争の中に巻き込まれることの無いように、地域の単位農協としっかり連携して支援していきたいと考えておりますし、杉野もそうでしたが、JAの支店と郵便局だけでしたよ、地域の金融機関は。生命線ですよね、農協と郵便局は。そういうことをわかっていらっしゃるとは思うのですが、どうもそのことに思いをいたさないメッセージや改革案が先走るということについては、むしろ県は防波堤としてしっかり皆さんと連携して頑張ってまいりたいと考えております。

[京都新聞]

予算関連です。琵琶湖博物館や美術館など、いかに県民の方に参加してもらうかという話と、もう一方では財政負担ということを考えると、国体の施設整備も含めてハード事業ですので、それ相応の負担が出てくると思います。

これが今からある程度の期間で同時に進んでいって、国体は2024年という時期も決まっていますし、財政負担が今後どうなっていくかということについて知事はどう考えているんでしょうか。

[知事]

今年度もそうでしたし、来年度以降、ずっと財政需要が増えてくる社会保障負担、見かけ上消費税率引き上げに伴う財政規模は膨らみますけれども、そういうものが他のハード整備等に充てられるかというとそうじゃないという状況が一つ。もう一つは、地方交付税含め、滋賀県に、国から回ってくるお金というのは、比較的他の地域の財政指標に比べますと相対的に滋賀は良いものですから、そういうものがあまり多く期待できないという状況。税収等についても、県内企業、事業所はじめ、もう少し多くなるのではないかという見積りもあった中で、アベノミクス効果等々で。そういうものがなかなかまだ効果として表れていないという状況からすると、一方でハード整備を進めていくという、このバランスの中で非常に厳しい財政運営を強いられるという認識は、私は持っています。だからこそ、この事業を多くの方々に、メリットがあるというか、参加していただくというか、県外からも多くの方々が来ていただく、そういう事業として育てていく必要があると考えておりまして、単に作る、新しくするということではない取組を進めていきたいと考えています。

ですから来年度以降も、今年度、初年度としてつくらせていただいた以上に、財政の厳しさを念頭に置いた予算づくりというものが求められてくると思います。

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