平成26年11月4日
(県政記者クラブ主催)
「落ちてなほ 明日の糧へと ゆく葉かな(おちてなほ あすのかてへと ゆくはかな)」昨日たまたまプライベートで時間がとれましたので、紅葉直前の鶏足寺に行ってまいりました。735年に行基が開いた非常に風光明媚な寺だと聞いておりましたけれども、そこで落葉、紅葉を見ながら考えた句でもあります。
また、ここへ伺う前に滋賀県の文化賞等受賞者の式典にも行ってまいりました。陶芸、文芸、能楽、文化財、音楽、美術の分野で今後の活躍が期待される次世代文化賞、またこれまで長年の御功労のあった方々に対する文化賞、文化功労章、文化奨励賞を取材していただきましたけれども、その際に皆さんが口々におっしゃっていました。例えば美術の面でも音楽の面でも陶芸の面でも、「やはり滋賀の風土の中で培われてきた感性というものが大変芸術活動の色々な面で影響していると思う」という言葉が大変心に残りました。是非そういう滋賀の風土というものを大切にしていきたいと思います。
さて、今日は話題提供が2点ございます。
一つは「滋賀・びわ湖+DESIGNプロジェクト」トレーラームービーの公開についてであります。
県では、滋賀県そのもののブランド力を向上するために、産学官一体となって滋賀県の地域ブランド「滋賀・びわ湖ブランド」の構築に向けた様々な施策を展開しています。残念ながら、「琵琶湖ってどこにあるのですか?京都ですか?」とか「琵琶湖は泳げるのですか?」とか、なかなかまだまだ伝わっていない、知られていないといったことがあります。
また、滋賀のブランド力というものが、日経リサーチの「地域ブランド戦略サーベイ2013」では、全国39位と低位にあるということもありますので、今年度から、大阪を拠点にグラフィックデザインやスペースデザインなどの分野で活躍しておられる「graf(グラフ)」代表の「服部滋樹(はっとり しげき)」さんをブランディングディレクターにお招きをし、琵琶湖、その周囲の土地、そしてそこで暮らす人々が培ってきた滋賀の魅力を、調査発見し、発信するプロジェクトを展開しております。
本日、このプロジェクトの予告編となりますトレーラームービーを公開しましたので、紹介させていただきます。まずは、その映像を御覧ください。
というようなものでして、湖と陸と人々を結ぶ滋賀というようなことで、世界でも珍しい、湖の島に人が住む沖島にスポットライトをあてて「人」、「風景」、「働く人」、「生業」また「暮らし」、「祈り」、「食」というものを取り上げてトレーラームービー予告編として作ってくださいました。
今年は「祭礼」、「食」、「旅」という3つのテーマでリサーチをして、そのリサーチムービーもウェブで公開する予定ですので、是非お楽しみいただきたい、またご期待いただきたいと思います。
2点目の情報提供は、人口の問題であります。
平成26年10月1日現在の滋賀県の総人口は、1,416,500人ということで、前月に比べて198人の増加ではありましたけれども、昨年10月と比較すると、前年同月比で452人の減少ということになり、10月1日時点での前年比較では、昭和41年以来48年ぶりの減少ということになっておりますし、今年8月以降、3か月連続して前年同月比で減少となっていることから、本県においても人口減少局面に入ったと思われます。
滋賀県の人口推計を始めました昭和35年以降の10月1日時点での人口は、昭和42年からずっと増え続けていましたが、今年、マイナスに転じました。これは、特にリーマンショックの翌年である平成21年以降増加数が縮小していた社会増減がマイナスとなった、自然増というものが大きく伸びない中で、社会増減がマイナスになったことによりマイナスに転じたということです。
この推計人口は、5年ごとに実施されます国勢調査の間の推計値であるため、来年10月の国勢調査で確定値が出てきますので、それを注視したいと思いますが、人口減少というものは国でも法案の議論がされておりますように、全国的な傾向でありますことに加え、滋賀県においても避けられないものであると認識を新たに持つ必要があるだろうということで、今回改めて発表をさせていただいております。
滋賀県では「人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり推進本部」を9月に設置いたしまして、本日も第3回の推進本部の会合を持たせていただきましたが、この人口減少の影響を緩和し、それぞれの持つ魅力や活力を生かしながら、高めていく滋賀づくりを進めていくために、今後改めて力を入れ、取り組んでまいりたいと考えておりますので、そのことも含めて発表させていただきたいと思います。
[京都新聞]
人口の推計値ですが、資料にもありますが、増加している市町と減少している市町というのが、今後もしばらくは2極化するような傾向も考えられると思います。今、推進本部の会議もあったというお話でしたが、現時点で来年度以降の取り組みとして考えられるものがあるのかどうか教えてください。
[知事]
人口が全体的に減少に転じたから、もしくは市町によって状況が違うからとことさらに取り上げて何か事業を起こすというものではありませんけれども、今日の会合でも出ましたのは、自然増減や社会増減の傾向なり将来予測をもう少し地域ごとに精緻に分析をしようと。そして、分析に基づく対策を立てていこうということが一つです。
と同時に、滋賀県としても、国や市町との関係の中で、いろんな事業を行っています。そのことが直接に、間接的に地域の魅力を高めたり、人口減少を食い止めることに繋がっているんだと思いますけれども、そういったものをさらに関連付けて、より強く関連させて人口減少を食い止めていくということに繋げていこうということで、それぞれそういうことに視点を置いた事業というものをラインナップして、例えば重複があったら整理統合する。もしくは国の施策の中でよりバージョンアップさせる。そういうことに取り組んでいく必要がある。
3点目は、ややもすると国に地方創生の取り組みでお願いばかり、要望ばかりしがちですけれども、滋賀県では先月から国に対する政策提案の中で「滋賀県はこういうことをやっています」例えば農家民泊という取組であったり、マザーズジョブステーションという取組であったり、地域の祭り伝承という取組であったり、滋賀が取り組んでいて非常にご好評をいただいていたり、また地域の活力を維持して高めていくために有効だと思われるものは、逆にこちらから積極的に国に提案をし、単なる要望ではなくて提案型の政策づくりを行っていこうとしておりまして、先月に「ひと・まち・しごと創生本部」を訪問した時にも大変ご好評をいただいたところですので、そういう流れをより強くしていきたいと考えております。
[京都新聞]
高浜原発がいよいよ合格証となる審査書の作成局面に入りました。再稼働は来春と言われていまして、そこには地元同意というところが大きなポイントとなると思いますが、そのあたりで知事はこの前の高浜原発視察の時も安全協定というものを大きなポイントとおいていらっしゃった。そのあたりで県としての再稼働に向けてのアクション、要望などがありましたら教えてください。
[知事]
2011年の3月11日の震災および福島第一原発の事故、さらには未だ収束しない水の問題や除染の問題や、避難されている方々の問題、風評被害の問題、こういうことから得られた私たち人類、国民の教訓は、「想定外をしっかりと想定する」。そして、そのことに備えていくということだと思いますし、地形の問題や風向きの問題、気候等々の影響によって、そういった影響被害というものに県境はないんだと私は思っています。従いまして、県民の命と暮らしを守るという観点に立てば、今存在する原発に対しても、これは稼働しているしていないにかかわらず、多重の実効性ある防護体制がきちんと整えられているということが大切だと思います。そのことの確認を私たちは私たちで行う、そして、国においてもそのことがしっかりと担保されていることを保証していただく。もちろん電力事業者の皆様方にも、そのことについて体制を整えるとともに説明責任を果たしていただく、このことが大切だと思います。
当然、それぞれの原発ごとにある協定に対しても、ないところはしっかりと結んでいく、そして説明も求めていくということが必要だと考えますので、私たちはそのスタンスで、引き続き粘り強く臨んでいくということだと思います。
[京都新聞]
この局面に入ったということで、タイムスケジュールなどについて思われるものはあるのでしょうか。
[知事]
「急いてはことを仕損じる」ということは、我々人類が肝に銘じておかなければいけないことじゃないかと思います。
[日本経済新聞]
2年前に大飯原発が夏に暫定的に再稼働した際に、県は京都府と一緒に政策提案というものを国に出していますが、今回も京都府と一緒に何かやるという考えがあるのか。
また、その際に県民や経済界の意見を聴かずに、政策提言をしたので結構反発の声が上がりましたけれども、そういった県民や経済界の意見を聴く場をつくる予定があるのかどうか、そこについてお願いします。
[知事]
まず1点目は、当然、どの原発であれ、とりわけ先般私が視察に行った高浜の原発は非常に近くに京都府のエリアを持っていますので、隣県・京都府との連携というものは非常に大切だと思います。したがってこれまでも関西広域連合の会議の折、もしくは京都府知事との様々な場での面会協議の中で絶えずそのことは話題にさせていただいておりますので、今後それぞれの時期において、どういったことができるのかということは模索してまいりたいと考えております。
もう1点、その際に産業界のみならず、県民の生活にも不可欠なエネルギー源というものを、どこからどうやって賄っていくのかということにも直結するテーマですので、それぞれの主体の皆さま方との丁寧な意見交換というものも私は大切だと思います。折しも基本構想の原案に対するパブリックコメントをいただいているところ、さらには関連する産業振興ビジョンへのご意見もいただいているところですし、そのことに対するご意見もいくつか聴いておりますので、そういったことも生かしながら、皆様方の御意見も承ってまいりたいと考えております。
[朝日新聞]
この金曜日に川内原発の再稼働の地元同意がされるという中で、安全協定は置いておいて、現在の再稼働に向けた手続というのは原子力規制委員会は安全対策の審査以外に現在の同意の手続ということに関しては、たとえば自治体に権限が無いとか国の責任などの項目が法的に盛り込まれていないという問題があることについて、どうお考えになっているのかということと、住民避難対策を再稼働の審査対象に入れるべきという知事もいらっしゃったんですけど、三日月さんも住民避難計画対策というのは大事だと常日頃おっしゃっている中で審査対象の中に避難計画というものも入れるべきだとお考えになっているのか、最後に福井県との関係でもそうなんですけど、立地自治体と周辺自治体というと、今まで構造的に立地自治体は立地自治体で事実上の同意権限をもち、これまで政府から厚い処遇を受けていたという経過の中で、協力すべき立地と周辺というものが分断されているという印象を受けることが多かったんですけれども、今回の件に関しても福井県というのは同意が必要な地元というのはあくまでも自分たちと立地している市町であると主張する中で、知事さんだったら福井県と今後どういう関係を築いていくのかというのが教えていただければと思います。
[知事]
最後の御質問からお答えしますと、おっしゃるとおり、これまでの原発政策、また立地政策というのは、その実際に立地する市町、それを含む県のみを立地自治体として、ある意味ではお願いをし、そしてその見返りで優遇をし、さまざまな交付もあって、一部御理解いただき、御迷惑もかける中で御協力もいただくといった政策もあったということを一定理解しつつ、ただ、先ほども申し上げたように3.11の事故の教訓は生かした形で、万が一のことが起これば、その被害は県境を越えて及びかねないということに対する対策や法的措置を整えていく必要があると私は考えます。
冒頭にいただいた質問に答えるとするならば、かねてから申し上げているようにプラント内、オンサイトの対策のみならず、オフサイト、プラント外の対策、とりわけソフトの面、言及していただいた避難対策、避難する時の担い手は誰がどのような形で輸送を担うのかを含めて、また費用負担をどうするのかということも含めて、しっかりと整備され、構築されることが必要だと思いますが、そういう状況にはなっていません。
したがって、そういうことを含めて私たちは、安全協定の必要性、実効ある多重防護体制の必要性ということを訴えているのであって、そのことは一定電力事業者の皆さんや実際に立地されている自治体の皆様も全く全否定される話ではないと思います。したがってそういうことをご理解いただき、制度化できるよう粘り強く働きかけていくものであって、それは川内がどうであろうと、しっかりと進めていくことと思います。
[朝日新聞]
確認なんですが、個別の安全協定と別に手続をちゃんと作るべきだというお考えでよろしんでしょうか。
[知事]
今回、原子力規制委員会が安全基準に基づいて行われていることはまだプラント内のことに限定されているし、そのことすらいろんなことに疑問を呈される方もいらっしゃいます。ですからルール化も含めて費用負担、責任分担も含めて、私は整理が必要なのではないか、一定の制度構築が必要なのではないかというふうに考えております。
[朝日新聞]
たとえば他の周辺県と連携して働きかけるという構想は。
[知事]
当然、さきほどの京都の話もそうですし、単に同様のそういう地域や悩みがあるとすれば、そういうところとの連携は必要だと思います。
[滋賀報知新聞]
もう一つ廃炉の問題。関電の美浜の1号機、2号機、まもなく高浜の1号機、あるいは2号機も40年超えてくるということで、三日月知事の築40年を超えるものの廃炉について賛成なのか、反対なのかが一つ。関電が美浜の1、2号機の検討にはいっているようですけれども、それに伴う使用済み核燃料の処理とか、あるいは保管とかいうものが福井県以外でやるべきだというような意向が福井から出れば、どう対応されるのか、この2点をうかがいたい。
[知事]
今の質問の2点については、私の方に何か責任ある立場の方から説明や打診があったわけではありませんので、コメントは、そのことについては差し控えたいと思います。
ただいずれにしても静脈なきシステムは限界があるということが一つと、廃炉も含めてこれは人類の挑戦だと思っています。頼ってきたエネルギー源をどう収束させていくのか、使ってきたものを環境への影響も含めて安全に管理をしながら、どう処理していくのかというのは人類の挑戦であり、むしろこれまでは電気を起こすこと、送ることに使ってきたエネルギーや知見というものを収束のために、静脈を整えるためにしっかりと使っていく必要があると私は考えています。
[滋賀報知新聞]
福井県の知事と三日月知事と先ごろお話されたんですかね。
[知事]
福井県の知事とは10月31日に行われました中部圏知事会議の折にも話をさせていただきましたし、先般9月9日に東京で私の時間もありましたし、福井県の知事も時間があったという機会を利用して、面会をさせていただきました。
[滋賀報知新聞]
再稼働などについて何らかの話し合いをされましたか。
[知事]
大きく2つの話をいたしました。1つ目は原発のこととは関係なく、以前から知事とは整備新幹線の問題を含め、いろいろつながりがあったものですから、そういうつながりの中で知事としての心得のようなものをいろいろとご指南をいただいた、また観光や交通に対する意見交換をさせていただいたというのが一つ。
もう一つは原子力の防災体制について福井県は長年立地自治体として行政の中にも培ってこられた知見と経験がありますので、そういうことに対するお話をして、ぜひ隣県なので協力してやっていこうということについて話をさせていただきました。
[共同通信]
先月、高島のセシウムの汚染された木くずの問題がありまして、関係者3人が書類送検されまして、1人は起訴という形になったんですけど、前の知事が撤去の業者が誰かということや搬送先は時期が来たら知事の説明責任でというお話もあったんですけど、捜査が進んでいるという状況の中で結論からいうと、一部伏せたままで退任されたというのが現状なんですけど、三日月知事になられて、この辺りの情報公開をどうしていかれるのかということをお答えいただければと思います。
さきほどお伝えしたとおり、現状としては、1人は起訴され、2人は不起訴という現状なんですけど、どう対応されるのかご所見をお願いします。
[知事]
どの部分の情報公開をおっしゃってますか。
[共同通信]
第三者が撤去されていると思いますけど、選定も不透明なままだったと思いますけど、どこに持って行っているかもどなたも知らない状況だと思います。そのあたりをどうされるのか。
[知事]
非常に悪質で残念な事態であり、起こったことそのものも遺憾だと思います。今ご指摘があったことについてさまざまなご意見があることは私も承知をしておりますが、いみじくもご質問の中でいただいたように公判中の案件でありますので、そのことについてコメントは控えさせていただきたいと思います。