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知事定例記者会見(2014年8月26日)

平成26年8月26日
(県政記者クラブ主催)

本日は5点、私から話題提供させていただきます。その前に、午前中に私ども滋賀県主催の平成26年度の平和祈念滋賀県戦没者追悼式に出席をいたしました。改めて戦争でお亡くなりになられた方々に哀悼の誠をささげながら、その後、この滋賀県や、この日本をつくってこられた遺族の方々に思いをいたし、不戦と平和の誓いを新たにいたした次第です。

それでは、まず1点目、関西ワールドマスターズゲームズ2021についてであります。関西ワールドマスターズゲームズ2021につきましては、本県での開催種目につきまして、市町や競技団体の意向等を踏まえて検討をしてまいりました。本県の特性や魅力を生かした競技や種目を中心に、一定の目途がたったことから、正式に関西ワールドマスターズゲームズ2021へ参画をいたしたいと考えております。

現在、関西ワールドマスターズゲームズ2021の準備委員会事務局におきまして、今年12月に予定されております国際マスターズゲームズ協会(IMGA)との開催地契約締結に向けまして、組織委員会設立の準備が進められているところでございまして、本県としても設立にあわせて、その組織委員会に参画してまいりたいと考えております。

そのため、今年度必要となります準備委員会負担金(1,250万円)につきまして、9月補正予算案において、盛り込んでまいりたいと考えております。

ワールドマスターズゲームズは、生涯スポーツの振興でありますとか、スポーツツーリズムをとおした地域の活性化等に、大きな意義があるものと考えておりまして、今後とも、県議会のご理解も得ながら、また、市町や競技団体、経済団体などとの協議を重ねながら、本県での開催の成功をめざし積極的に取り組んでまいりたいと思います。

次に2点目ですが、滋賀県庁舎本館の建築75周年と、国登録有形文化財へ登録されることを記念してと題した話題提供でございます。本年、滋賀県庁舎本館は建築75周年を迎えますが、このたび、国登録有形文化財へ登録されることを記念いたしまして、本年10月に記念行事を開催いたします。本日はその内容について説明させていただきます。

今回の記念行事は、登録文化財としての県庁舎本館を、広く県民の皆様方に身近なものと感じてもらうために開催をいたします。本館は、日比谷公会堂等を手掛けられ、府県庁舎を得意とされました佐藤功一先生と、建築装飾を得意とした國枝博先生が設計をされ、施工は株式会社大林組が担当されたと承っております。庁舎は、中庭を囲むロ字型で、正面側のみ左右対称に建物が伸び、重厚で堂々とした県庁舎建築の傑作といわれております。

記念行事は、10月25日の土曜日に、正面玄関ホールと県民サロンで開催いたします。内容としましては、まず「特別記念講演」として、玄関ホールでの式典に続きまして、びわ湖ホール声楽アンサンブルコンサートで花を添えていただいた後、県民サロンに場所を移し、京都工芸繊維大学の石田潤一郎教授の講演と、同教授の案内による議場と知事室を見学するものであります。

午後は、「見学ツアー」といたしまして、文化財専門職員の説明による議場、知事室のほか、旧貴賓室や中庭など魅力あふれる本館各所の見学会を予定いたしております。参加料は無料です。パソコン等でどんどんお申し込みしていただければと思います。また、記念行事とは別に、県民サロンでもパネルや模型の展示、ホームページ等でも文化財としての県庁舎本館の魅力を発信したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。

最後に、この記念行事は、滋賀県庁舎本館の文化財としての魅力を紹介し、広く県民の皆様に親しんでもらうために企画いたしましたので、県民の皆さん多数のご応募をお待ちしております。

私も知事室を整理整頓するなどの対策を講じなければなりません。

続きまして3点目、『生活』と『まちと建物』の低炭素化についてであります。

「生活」と「まちと建物」の分野における低炭素化に向けた事業として、「節電・省エネ診断」と「低炭素なまちと建物コンテスト」の2つの事業について説明します。

まず、初めに滋賀県内のCO2の排出量の現状ですが、滋賀県のCO2排出量は表のとおり、産業と運輸の分野では減少傾向が見られますが、家庭部門と業務部門(オフィス・商業系)は年々増加をいたしております。

県の目標である「2030年の温室効果ガス排出量の1990年比50パーセント削減」を実現するためには、この家庭部門と業務部門における取組を進めていくことが重要です。

そのために、滋賀県低炭素社会づくり推進計画にいう「生活」分野と「まちと建物」分野の取組を一層進めていく必要があるところです。

家庭での低炭素化を進めるためには、家でのエネルギー使用状況を把握いたしまして、適切な対策を講じることが重要でありますが、そのための有効な手段として「節電・省エネ診断」があり、滋賀県では3年前から実施をしております。

節電・省エネ診断は世帯人数や住まいの規模、光熱費等の基礎データから、各家庭にあった具体的な節電・省エネ対策の提案が受けられます。

さらに対策を実施した場合の「光熱費削減額」や「費用対効果」も分かるというものでありまして、診断は環境省の認定した公的資格をもつ診断士が行っていただけます。

私も、8月12日に受診しましたので、結果を報告させていただきます。

うちは、夫婦と子ども3人の5人家族です。同じ家族構成の家庭100世帯と比較するとCO2排出量は25位という結果でありました。上位でした。CO₂排出量を平均と比較すると0.8倍であり、診断士からは「がんばっている」と評価をいただきました。

さらにCO₂を9パーセント削減することを目指して、診断士と相談し、今後取り組む具体的な対策について決めたところです。その結果選ばれた我が家の節電・省エネ対策は、このようなことを言うのも恥ずかしいんですけれども、冷蔵庫を省エネ型に買い替える、車を運転する時はエコドライブを心がける、シャワーを使う時間を1人1日1分短くする等々の対策をご指南いただいたところでありまして、これらを実践いたしますと、CO2がさらに14パーセント削減され、順位も16位まで、9つ上昇いたします。また、1年間あたり、光熱費が4万3千円お得になるということも分かりました。

省エネ機器の導入の初期投資の費用はかかりますけれども、結果的に、4、5年で元が取れるという計算でございまして、意外にこういうことは知られてはおりません。是非こういうことを、診断を受けていただくことも含めて、この節電・省エネ診断は、非常に分かりやすくて、しかも家計の節約につながる形で家庭の低炭素化に向けたアドバイスをしてくれるものでありますので、県民の皆様にはぜひ「節電・省エネ診断」を受診していただくよう呼びかけを行ってまいりたいと思います。

お手元にチラシをお配りしておりますので、是非お問い合わせをいただきたいと思います。希望される方は地球温暖化防止活動推進センターまでお問い合わせをください。

また、次の低炭素な『まちと建物』コンテストですが、家庭や業務部門で特に取組が遅れている「まちと建物」分野の低炭素化を進めるため、県では初めて低炭素な『まちと建物』コンテストを実施いたします。

これは「まちと建物」分野の県内における優れた取組を広く募集いたしまして、その取組を広く普及することを目的といたしております。

募集する取組内容は大きく二つあります、一つは、地域やまち全体の整備等により温室効果ガスの排出を抑制できる取組。

もう一つは、個人住宅を含む建物の建築や整備等により温室効果ガスの排出を抑制できる取組としております。

募集する取組内容の具体的な事例は次のとおりです。

1つ目の地域やまち全体の取組としては、省エネ住宅の整備でありますとか、緑化対策等がその地域やまち全体で行われているような取組で、いわゆるスマートシティやエコタウンのような取組を募集したいと考えております。

2つ目の建物の建築や整備等の取組としては、HEMS・BEMSの導入や屋上壁面緑化などの低炭素化の取組を複合的に取り入れて、個人住宅、マンション、商業ビル全体で実施されておる取組を募集するものであります。

取組は公募により収集することとしますが、提出いただいたエントリーシートや取組の概要が分かる資料で内容を確認するほか、必要に応じて個別にヒアリング調査を実施いたします。

このように収集した取組の中で、特に優秀な取組については表彰を予定しています。

加えて、これらの優秀な取組を普及するために、取組状況を分かりやすくまとめた事例集を作成するほか、現地見学会を開催することとしております。

こうした取組を普及させることにより、「まちと建物」分野における「低炭素社会の実現」を目指してまいります。

応募方法等につきましては、お手元の資料にもありますとおり、低炭素な『まちと建物』コンテストの取組募集期間は9月1日~10月15日までとなっております。詳細については、温暖化対策課までお問い合わせください。
続いて4点目であります。

滋賀県立安土城考古博物館が開催いたします、平成26年秋季特別展「造形衝動の一万年 -縄文の宇宙/円空(えんくう)の衝撃/アール・ブリュットの情熱-」の開催についてお知らせをいたします。

この展覧会は、人間の精神の奥底に潜みます造形への衝動を浮かび上がらせる、これまでにない新たな視点を提示する展覧会であります。人間は古来、土偶や埴輪といった、さまざまな造形物を製作してきました。その後現在にいたるまで、鉈彫(なたぼり)でありますとか、神像彫刻(しんぞうちょうこく)、円空(えんくう)作品などの木彫像、さらに近年注目を集めております、正規の美術教育を受けていない人が自発的に生み出す「生(き)の芸術」アール・ブリュット作品など、見えざるモノを感性と衝動のもとに可視化した特異な作品が作られ続けております。

そこで本展では、滋賀県では特に粘土を用いたアール・ブリュット作品が多く作られていることに注目し、人間が自由な感性のもとに創造してきた立体造形物を、はるか一万年前からたどって展示をしたいと考えております。

これまでは、考古資料や宗教美術は博物館で、アール・ブリュットは美術作品として展示されるというように、それぞれの分野において作品を集めた展覧会が開催されることが通例でした。その意味で、分野の垣根を取り払い、それら作品を生み出した人間の心そのものに迫ろうとする展覧会はたいへん珍しいと思いますし、土偶や埴輪、宗教美術などとともにアール・ブリュット作品を展示する展覧会は全国でも初めての試みです。また、滋賀の展示作品は22件65点と、件数で出展作品全体の35パーセント、点数では実に半数以上を占めており、豊かな歴史と文化を持つ滋賀ならではの展覧会と言えます。それぞれの作品が持つ力強さ、美しさ、ユーモアなど、造形への衝動が具現化した姿に、人間の精神の奥深さを感じていただければと思います。

なお、この展覧会は、近江八幡市にあるボーダレス・アートミュージアムNO-MA(ノマ)の協力を得て実施するものであります。是非、ご鑑賞いただければと存じます。
最後に5点目ございますが、人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり推進本部の設置についてであります。本県は、数少ない人口増加県でありますが、間もなく人口減少に転じると予想されておりますし、地域ごとに見ましても、南部地域の一部の市は増加が続くんですが、その他の地域は減少しておりまして、2040年には4割以上減少すると予測されている町もございます。

人口減少社会では、生産人口の減少による生産力の低下でございますとか、社会保障費の増大、農山村地域の過疎化の進展、地域コミュニティの希薄化・弱体化など、様々な問題が起こることが懸念されております。

この重要かつ喫緊の課題への対応を図ると同時に、この社会の到来は避けて通れない課題でもありまして、今、基本構想の策定、また来年度の重要政策の協議を行っておりますが、この避けられない変化というものはきちんと踏まえようということを私としても各部局に指示をしているところでありまして、将来を見据えた豊かな滋賀を、県民の皆さんといかにつくっていくのかが重要であると認識しているところでありますので、この本部を設置し、全庁を挙げて取り組むことといたしました。

当面の対策といたしましては、年度ごとの施策構築や予算編成において課題に対する取組を具体化し、部局横断で推進していくこととします。

また、地域によって人口減少や高齢化の進行の度合いは異なっております。その課題は多様であることから、現場に足を運んで対話を行うことにより実情を把握し、市町等と連携して、地域の実情に照らした滋賀らしい実効的な対策を推進したいと考えております。

折しも、国や政府におきましても、「まち・ひと・しごと創生本部」の設置が予定されております。準備も検討も行われておりますので、国等に対する提案、要請活動でありますとか、国の創生本部の動きに呼応した施策を推進いたします。

また、「地方人口ビジョン」や地方版「総合戦略」の作成を各自治体に依頼する方針が新聞報道等でなされておりますので、そうしたものについても、推進本部の中で取りまとめたいというように考えております。

これは行政だけで克服・解決は難しいことから、経済界の方々でありますとか民間団体等と連携も図りながら、各施策を検討し進めてまいりたいと考えております。

目前に迫りました人口減少・超高齢社会の課題克服に向けまして、この推進本部を通じて、積極的に対策を行うことにより、明日の豊かな滋賀をつくってまいりたいと考えております。


私から以上5点、ご報告・提案をさせていただきます。

[読売新聞]

昨日全国学力テストの結果が公表されまして、滋賀は小中学校とも全科目で全国平均を下回るという結果でした。それについての知事の受け止めと今後新たな対策を打っていく考えがあるのかどうかということについてお願いします。

[知事]

昨日、4月22日に小学6年生と中学3年生を対象に行われた全国学力・学習状況調査の結果が公表されました。私も全てではないですが、公表された資料を拝見させていただいておるところでして、今ご指摘のように小学校中学校とも全ての教科で全国の平均を下回ったということでありまして、いろんな取り組みをしていただいたところではありますけれども、私は非常に重い使命感を感じております。

せっかくやった調査ですから、よく分析しようと言っているんです。教育委員会とも市町教育委員会とも連携して、よくよく分析して、行政だけ、学校だけではなくて、県民運動として子供たちの夢と生きる力を育む教育をつくっていこうということをお願いいたしました。

皆様のお手元にもあったらよくご覧いただきたいと思うのですが、たしかに結果としての点数、正答率は低いところもありました。しかし、たとえば学習状況調査、生徒の皆さんに対する調査ですけれども、いろいろ詳しく見てみますと、興味深い状況があると思っておりまして、たとえば小学校児童にあてた問いの29番、「地域の行事に参加していますか」。全国の公立学校の平均が40パーセント未満であるところに対して、滋賀では50パーセント以上で、「どちらかといえばそうだ」というのも含めますと、全国平均を大きく上回る結果が出ています。この傾向は中学校生徒の問いの29番も同じ傾向がございます。

しかし一方でですね、これも興味深い、大事な調査だなと思っているのは、その上の28番という質問項目を見ていただければと思うのですが、「先生はあなたの良いところを認めてくれていると思いますか」という質問項目に対して、小学校も中学校も「どちらかといえばあてはまる」という傾向が全国平均を5ポイント以上下回っているということがございます。

したがって、全国平均と比べてどうかという比較もさることながら、子どもたちの学習状況の分析をよくよくしながら、一人ひとりの個性や能力に目を向け、できたこととできなかったことに対する目配り、できたことはほめて達成感を感じてもらいながら、できなかったことを伸ばしていく、こういうことをこれまで以上に現場において推進できるよう、たとえば体制作りでありますとか、指導状況の改善ということに一緒になって取り組んでいきたいと考えております。

同時に本当の意味での生きる力ということで言いますと、地域の行事に参加したり、いろんな方々と接する機会があるということもある意味で滋賀の強みだと思いますので、この強みを伸ばしていきたいと考えております。

その他、一部報道でも報じられておりますように、テレビやスマホとの関わりやそれぞれの家庭での学習時間の状況、そして「図書館に行きますか」「本を読みますか」「新聞を読みますか」こういうデータも非常に興味深いと思いますので、これはぜひそれぞれの報道各機関のご観点も併せて、分析等今後の対策に役立てていきたいと考えております。

[読売新聞]

同じく全国学力テストの関係なんですけど、既に議会の一般質問の答弁でもお答えされておりますけれども、市町の結果、あるいは学校ごとの結果の公表についてどのように考えておられるのか改めてお聞かせください。

[知事]

まずそれぞれの学校において、それぞれの市町において今回行われた結果を把握され、分析をされる。また、これまで行われてきた7年間の傾向を併せて分析されるのだと思います。まずは学校、それぞれの市町の検討だと思いますし、私はこの調査の結果そのものがたとえば市町であるとか、学校の序列化につながるというやり方というのは、好ましくない、本来の目的や趣旨を逸脱することにつながるのではないかという懸念をもっておりますので、そういう一覧化が可能になるような公表については行うべきではないと考えております。

[中日新聞]

午前中の追悼式なんですけど、昨年まで遺族会でやっていたものを滋賀県でというお話がありましたが、知事の強い意向が働いてそのような形にしたのか、いきさつを教えていただけますでしょうか。

[知事]

今回、県主催になったことは、私が知事になる前から決まっていました。特に私自身が述べてこうしたわけではありません。これはこの間の遺族会の皆様と県当局とのさまざまな協議の中で、今年こういうことになったのだと思います。ただ遺族会会長もお言葉の中で述べられていたように、本来ご遺族の方々や亡くなられた方々の望んでおられたことでもあるということでしたし、来年終戦70年という一つの節目を迎えますので、今後は県としてしっかりと責任をもって、追悼行事を行っていける体制作りを行っていきたいと思っております。

早速今回行った追悼式典の反省点等があるならば、出席者等にご意見をおうかがいして、来年に向けてよりよい追悼式典にしていこうと健康医療福祉部長を呼んで、指示したところです。

[中日新聞]

もう1点は、人口減少の件でして、推進本部を立ち上げるのは全国でどれくらい先駆けたケースであるのかということと、人口増加県でありながら、こういったことに取り組む意気込みを教えていただけますでしょうか。

[知事]

大なり小なり、重い軽いは別として人口減少社会に対してどう向き合っていくのかということは各都道府県、それぞれがお考えになっていることだと思います。

調べてみますと、8月7日現在で、名称はそれぞれですが同趣旨で本部を設置されているのは23道府県だと承っております。

人口増加県である滋賀が、とおっしゃいましたが、2つありまして、1つは想定推計によれば来年からマクロで人口減少に入るということと、既に県内市町においては、深刻な人口減少局面に入っている自治体もありますので、私は知事就任以降も人口減少という局面に入っていくんだということをもっと強く意識した施策検討や推進体制がいるんだという問題意識を持っておりましたので、国のこういう流れにも呼応しながら、滋賀県としても主体的に、積極的に検討していくことで、この局面を乗り越えていこうということで、推進本部を立ち上げたところです。

[びわ湖放送]

全国学力テストの話に戻るのですが、去年も滋賀県は小学生46位ということで悪くて、その後教育委員会も成績上位の秋田であるとか、福井であるとか視察されたかと思います。でも、今回結果が悪かった。一方で沖縄県なんかは、かなり順位を上げられたということなのですが、滋賀県教育委員会の一年間の取組を知事としてどう思ってらっしゃるのか。どうお考えになっているのでしょうか。

[知事]

そこは少し分析に時間をいただきたいと思います。たしかにおっしゃったように今回も小学校は全国平均を全て下回りました。若干去年よりも国語Aですか、全国平均に近づいた、改善傾向の見られるテストもあったようですが、中学校は全国平均から全て乖離があったということでありますし、地域によってもばらつきがあるのかもしれません。

ただ同時に、皆さんのお手元に届いているかどうかわかりませんが、私がなかなか興味深いなと思ったのは、小学校で無解答率が少し減った。わからなくても何とか解こうとする努力が見られたり、テストの対策が進んだということもあったのかもしれませんが、そういう傾向もあるものですから、地域別、学校別の傾向も含めて、詳細な分析を教育委員会でしてもらおうと思っています。

一方全国平均に比べますと、放課後を利用した補充的な学習サポートという割合が滋賀県、特に小学校で低いです。これはやはり下校時の安全ということで、私の子どもなどもそうなんですけど、もう少し残りたいんだけど、皆で帰らないとあかんからということで、学校で先生に相談できなかったり、友達と遊べなかったり、学べなかったりという環境があるのかもしれません。

そういうところもよくよく見ながら、他県と比べてどうかというよりも、滋賀県に合った、学習状況というものを作っていきたいと考えています。

[産経新聞]

エコ診断で一つ伺いたいのですが、受診者として三日月家が診断を受けて、悔しいなとか、おもしろいなとか、シャワー長いなとか感想をお願いします。

[知事]

このようにクリティカルに、わかりやすく診断結果が出るということが意外でもあり、新たな発見でもありました。特にうちは冷蔵庫を妻と結婚した時に買った思い出の品で、大事に使っているんですが、そのものが消費する電力というのが非常に大きく、買換えを指南されたりですとか、たとえばシャワー時間の短縮、LEDへの付け替え、少しのことで大きな改善につながるんだ、家計にも好影響、節約にもつながるんだということはもっともっとより多くの県民の方がご存じいただいてもいいことだなあと思ったので、私の実体験をさらに広めていこうと思います。

[産経新聞]

ワールドマスターズの件なんですけど、改めてこの時期に決定した理由と、どういうことが決め手となってやろうという決定になったのかということを教えてください。

[知事]

元々滋賀県はスポーツと文化の10年ということで、10年後の国体開催、6年後のパラリンピック・オリンピックの開催等々、スポーツイベントを展望しながら、県内のスポーツ人口を増やしたり、する・みる・ささえるといういろんな観点でスポーツに関わっていこうという取組を進めているところです。とりわけこのワールドマスターズゲームズは、生涯スポーツという観点ですとか、関西一円で開催するということで、観光施設も資源もたくさんある関西一円をスポーツイベントと合わせてめぐってくださいということにもつながるイベントだということで、従来から注目をしておりました。

ただ一方で関西の中での協議がなかなか整わないのではないかとか、さまざまな課題があるということも聞いておりまして、私が就任後、教育委員会とも協議もやりまして、議会の皆様のご反応とかも一定確かめたうえで判断したかったということもございます。

一般質問で取り上げられた議員は、お一人でありましたけれども、委員会のみならず県議会、議員、各会派の皆様からご意見も承ったところですし、市町のご意向、それぞれの競技団体の意向というものも一定、この種目ぜひ開催したいとか、こういうことやってもいいということが一定整ったものですから、詳細の詰めはこれから組織委員会ですることになりますが、この時期に県としての意向を固めたうえで、これから県議会にもご説明申し上げ、ご議論を賜るそういう環境を整えていきたいと思ったものですから、この時期に決めさせていただきました。

[京都新聞]

今のワールドマスターズに重ねてなんですけど、7月議会の時の印象なんですけど、知事と教育長が答弁では開催の意向を示して、9月の補正で出てくるというような印象をもっていましたが、直後の委員会で議員が聞くと、まだ決めてない、意思決定はしていないと。これは庁内の手続なのかもしれないのですけれども、議会の議論をきいてわかりにくかったなあと。知事と教育長があそこまで言われているのであれば、事務方が後ろに引くような話はないのかなあと思うんですね。もちろん知事選が終わった後ですから、他府県に比べて遅かったのかもしれないんですけど、決めたタイミングが他に比べて遅かったということに加えて、庁内の議論、意思決定がどうだったのかということに少し違和感があったものですから、時系列で説明していただきたいと思います。

[知事]

時系列の前に感覚として、印象として、以前ワールドマスターズゲームズの開催を志向したことがありましたよね。しかし、なかなか合意形成がとれずにできなかったという経過があります。この経過と滋賀県だけで決められない関西広域連合の、全てではないですけどその意向の中でその調整をやっている。そして県内で意思決定するときに県議会のご理解をいただけにゃならないというこの3つのものに対する気配りや配慮があったので、より丁寧に、加えて知事が代わるタイミングだったということもあったので、より丁寧にやろうとしたがゆえの、澤田さんのご指摘にあったわかりにくさになったのかなあと思っています。

事実経過からしますと、私が知事就任後、教育委員会等々とこの議論をいたしまして、再度市町や競技団体の意向確認をもう1回やってくれということをお願いし、県議会からご意見が出ることも想定されましたので、それもしっかりと踏まえようじゃないかと。初めての広域連合の会議に7月の下旬に行くこともありましたので、そこで皆さんの感覚も承りたいということもあって、県議会の委員会での意見も承るだろうと。委員会でご意見を承る時にもう決めていますというのも、おかしな話だったので、むしろそこはいろんな意見をきいた上で判断をしようという経過の中で、議会が終わってからもう一回協議をして、確認をして決めさせていただいたということであります。

[京都新聞]

今後進めていくということになると、滋賀県でいうと過去の経過がありますので、やはりこの間、市長会の議論の中でもかなり厳しく反対をおっしゃっていた方もいらっしゃいましたし、参加する、賛成の市町だけではなくてですね、活性化するということが単に開催することが目的でないとするならば、スポーツと文化、あるいは観光というところも含めて、どういう盛り上がりが必要なのかということも温度差が出ないということが課題になってくると思うのですが、具体的にはこれからだと思いますが、これについての現時点での知事の考えをお聞かせください。

[知事]

大事な視点だと思います。ただそのイベントの時だけ、参加するアスリートの方だけがお楽しみになるイベントではなくて、その前の準備段階からいろんな方が関わる、そして競技をされる方のみならず、サポートする方や観光の方も含めて、そういう方々も関わっていけるイベントにしたいと思いますし、何よりもこの後、3年の後に予定されております国体開催、こういうことにも結び付いていく。折しも2020年にオリンピックもございますし、かなり2020年、21年、22、23、24…とスポーツイベントの4、5年となると思いますので、その時々により多くの方に関わっていただける波及効果が県内各地に、その時だけに留まらず、その後も波及していくようなイベントになるように、時間はあるようで、ありませんので、しっかりと作っていきたいと思います。

[日本経済新聞]

県内のCO2排出量の現状というところで、産業の分野は減少していて頑張っているという評価をされておりましたが、京都議定書に準じて1990年比較で減っているのは確かなんですけれども、2010年から2011年にかけては増加しているという状況ですが、県として、1990年比で減っていればオッケーとみなしているのか、それとも産業界はCO2削減条例でありますとか、夏や冬の省エネの要請でかなり汲々としておりますが、これをさらに毎年減らせという立場をとられるのか、どちらなのでしょうか。

[知事]

それぞれの当事者の御負担感というのは、確かに一方ではあると思います。ただ一方でCO2にしろ、節エネといった取組にしろ、トレードオフの関係にするのではなくて、それをうまく家庭内や事業所内の取組にしていこうという知恵や工夫も生まれつつあるのも事実で、そういう前向きなポジティブなアクションを更に応援していくようなことの一環の中で今回、この「家庭」と「まちと建物」のことを提案させていただきました。

おっしゃるとおり、業務部門であるとか運輸部門も、経済状況の変化の中で、苦しい状況もあるかもしれませんが、大きな目標としては、2030年代の排出量を1990年比で半減していこうという、この大きな目標は掲げて頑張っていきたいというふうに思っております。

おっしゃるように、その後の東日本大震災があった影響等は、この過程において詳らかに聞いていきたいと思うのですが、大きな目標としては変えず、掲げて皆さんの努力を促していく取組をしていきたいと思います。

[滋賀報知新聞]

改めて広島市の北部や、それだけじゃないですけど、土砂災害ですね、人災とも言われておりますけれど、避難勧告が後手に回ったり、あるいは警戒区域の指定が不十分だったというようなことが言われており、これは決して滋賀県も対岸の火事ではないと思うんですけれども、知事は改めてどういう具合に今回の大災害を受け止められたかですね。

それから滋賀県に目を移しますと、5千箇所ぐらい危険箇所があるわけですが、そのうち約73パーセントぐらいですか、警戒区域等の指定率ですが、そのあたりもどういう具合にお考えになっているかですね。

それと滋賀県の流域治水条例は、どちらかというと河川行政に偏りがちで、砂防とかその他のものが非常に弱いんじゃないかと、防災危機管理局も含めてですね。改めてこの広島市の土石流というか土砂災害をどう受け止められているか、それを伺いたい。

[知事]

広島の豪雨土砂災害ですね、これはきわめて甚大な災害です。まだ現在進行形です。お亡くなりになられた方に私はお悔やみを申し上げながら、多くの方々が被災をされておられますので、お見舞いを申し上げたいと思います。

それで、この土砂災害防止法は、ご記憶にあると思いますけれども、これも広島での土砂災害を契機に法整備がされたと。私も国会等々でこの法律に絡んだ諸施策の議論をしたことがございます。

これは、そういう意味で滋賀県においても、マサ土と呼ばれる非常にもろい土で構成される山や峡谷等とか、例えば田上地域でありますとか、比良山等々のふもとであるとか、これは例えば昭和50年に木戸川の土石流という被害をもたらしたり、昭和28年には多羅尾の水害ということで被害をもたらす、こういうことにつながってきますので、しっかりとこれを教訓とした対策を滋賀県においても進めてまいりたい。その旨を土木交通部に指示をしたところです。

おっしゃったように県でも危険箇所が4,910箇所あります。そのうち、特別も含めて警戒区域に指定されているところが3,612箇所、73.6パーセントとなっています。73.6パーセントというと意外に多いように思われるかもしれませんが、市町ごとの状況を見ていただくとおわかりのとおり、100パーセントを超えて指定しているところもあるんです。実際見てみると、その母集団以上に危険なところがあるということと、もう一つは、実は市町ごとに大きな差があってですね、とりわけ大津市域の47パーセント。かなり住宅地が張り付いていて、なかなか指定をすることにご理解がいただけないという、この二つの問題をしっかりと捉えて対応していくことが必要だと思いますので、私はそういう観点からも、市町と連携した対策を加速させるように指示をいたしました。

と同時に国の方でも法改正の検討が行われるようでありますので、そこにもしっかりとコミットメントしながらですね、よりよい制度構築のために努力してまいりたいと思います。

流域治水条例をはじめとするその取り組みは、むしろ、私たち県民のこういう水害や土砂災害を、もちろんハードでも守るが、ハードだけではなくて、今どれぐらい雨降っているんだろう、うちの隣の山はどういう状態なんだろう、川はどういう状態なんだろうという、その意識、そしてそのことにどう備えたらいいんだろう、どう逃げたらいいんだろうということを知る知識、この意識と知識を高める意味において、私はこの条例というのは、むしろうまく活用しながらですね、雨、風、そして土砂災害に対応していくというふうに取り組んでまいりたいと思います。

もちろんハードも大事ですが、ハードだけでは防げない災害が今多発しておりますので、そのことに私はさらに心を砕いております。

[滋賀報知新聞]

土砂災害に関連してなんですけれども、市町が住民さんに土砂災害の危険箇所や避難場所を周知するために作成しているハザードマップなんですが、市町によっては、県の警戒区域の追加指定があってもなかなか更新が進まない地域もあるんですが、これに対して、県は市の裁量に任せて、そのまま自由にさせるのか、それとも、これだけゲリラ豪雨で土砂災害の頻発が予想されている中で、一歩踏み込んで指導するリーダーシップをやるのか、そのあたり知事の意見をお伺いしたいのですが。

[知事]

状況を見ます。それぞれの地域によって違うんで、一概に県が強制をすれば良いという問題でもありません。地域、市町によって状況が様々ですので、それはしっかり丁寧に状況を把握し、いずれにしても、危険な箇所ですよ、何かあった時に逃げなきゃならない可能性がありますよ、ということを住民の方々に知っていただく。そしていざそういう状況になったときにより早くそのことを告知するということがやっぱり大事だと思って、そのための対策を極力協議してまいります。

[中日新聞]

先ほど人口減を見据えた推進本部の設置についてですが、人口が減る中でも豊かな滋賀をということでお話しされていましたが、先日の基本構想の会議でも弱点を克服して豊かな滋賀県をつくっていきたいと挨拶されていましたが、知事が考えられている、「人口が減っていく中でも豊かな滋賀」というのはどのようなものなのでしょうか。

[知事]

国会議員時代から人口減少問題対策で議論するときに、心掛けていたことなんですが、まず不可避の人口減少というものを必ず施策の中にビルトインすること。初めてですよね、人類で。人口減少局面でインフラ設備をつくるとか、人口減少局面で学校施設や予算の事を考えたりというのは初めてです。ですから、このことを必ず踏まえた政策議論をしようということが一つ。

もう一つは、減少・縮小というと何となくシュリンクする、小さくなる、低下する、衰退するイメージがありますが、実はこれまで我慢してきたことを、これまで出来なかったことを広げることにもつながるのではないか、例えば緑を削って町にしてきたところを緑に戻すことができるのか、できないのか。道が狭くて困っていたけれども、道を広げることができるのか、できないのか。今まで狭い家に住んでいたけれども、一人ひとりの居住空間・スペースをもう少し広げることができるのか、できないのか。私はこういうプラス面を見ながら、この変化に対応したまちづくりをしようということがありましたので、この危機感と希望感というものを、うまく織り交ぜながら、施策の議論をしていきたいと思っております。

[中日新聞]

ということは、豊かな滋賀というのは、特に希望感というものを前面に押し出してということなのでしょうか。

[知事]

これも二つあって、なかなか自然増というものを短期的に求めることは難しいのかもしれません。

しかし、社会増、色々な施策を変えることによって、色々な取組を進めることによって、移り住んでこられる方が増えてくる、少しずつでも出生率が回復する、移住者の方々も戻ってくるという取組に繋げられる面もあるでしょうし、やはり減ったから広がった、もしくは減ったけれども街自体が元気で、そこに住んでいらっしゃる方々の満足度が上がった。他市、他県から羨まれるような、そういう地域にもなっていますよねということ、まだまだ可能な分野というのは沢山あると思いますので、そういうことも追求していきたい。

また、滋賀の特性からいうと、定住人口は減るかもしれませんが、非常に交通・地の利が便利なので、交流人口、通過人口を上手く立ち寄っていただいて、消費に繋げること、観光に繋げることがまだまだできる余地があると思います。そういう施策を進めることによって生み出される価値もあると思いますので、そういうことにも挑戦をしていきたいと思っております。

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