令和5年4月11日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
山の色がいろいろで山笑う季節になってきました。私はこの季節が大好きでございまして、多くのことを感じ、考えていきたいと思っております。
9日、日曜日には滋賀県議会議員選挙が行われました。先に行われた経営会議でも申し上げたんですが、二元代表制の一翼を担っていただく県議会の構成が、県民の審判により決まりまた変わりましたので1つは付和雷同、右顧左眄することなく、愚直に行政執行していこうということと併せて、この間、候補者並びに関係者当選された方含めて、県内を回られ、いろんなことを見聞してこられたでしょうから、そういったことを真摯に伺い、県政に反映していこう。また、この機に、これまでやれなかったことをやる、そういう力にもしていこうじゃないかということなども申し上げ、今後の対応をみんなで誓いあったところでございます。
後ほどいろいろと御質問もあるでしょうから、それにお答えする形で感想等は述べたいと思います。
いずれにいたしましてもこの間、選挙立候補された方、周りで戦われた方、敬意を表したいと思いますし、選挙実務あたっていただきました、まだ一部残ってると思いますが、関係各位に感謝申し上げたいと存じます。
4月13日には「2025年大阪・関西万博」の開幕2年前を迎えることとなります。この日、大阪の人工島夢洲の会場で起工式が行われる予定で、私も参加いたします。関西広域連合では今年度、関西パビリオンの建設に着工することとなります。県では昨年度策定いたしました基本計画をもとに、滋賀県ブースの展示設計を行ってまいります。
また、子どもたちの万博参加の様々な調整ですとか、県内企業の皆様方の御参画意向というのもだんだん高まってきておりますので、そういった各種調整等にもあたってまいりたいと思います。
先月23日に設置いたしました「EXPO2025関西観光推進協議会」も活用していきたいと考えておりますので、万博から関西各地域に誘い、おもてなしができるようにしていきたいと思います。
4月12日からは「ミャクミャク」の公式ライセンスグッズの販売も始まるということでございます。聞いてますとこの「ミャクミャク」というのは、生まれ、誕生が関西の中の湧水地ということでございまして、そういう意味でも琵琶湖をお預かりする本県とも繋がることがあるのではないかと考えているところです。
また話題は違いますが、秀吉公が長浜の町を開いて今年450年になるのだそうでございまして、このことを記念いたしまして、長浜市で4月1日から「長浜戦国フェスティバル」が開幕したということでございます。
今年の長浜曳山まつりは、4月15日土曜日に13基の曳山、全てが御旅所に勢ぞろいする「曳山揃い」が行われるということでございます。13日から16日にかけては子ども歌舞伎も奉納されるということでございます。
私も14日金曜日、15日土曜日に長浜に入り、滞在いたしまして、「北の近江」現場訪問といたしまして、3つの挑戦の現場を訪問し意見交換をさせていただく予定でございます。皆さんの気概に触れたいと思います。
また県としても、「北の近江振興プロジェクト」を今年度から本格的につくり、動かしていきたいと思っておりますし、県議会議員選挙でもこの北部振興というのが大いに注目もされ、期待もされ、いろんなことも発信されたと聞いておりますので、そういったことなどを承ってまいりたいと思います。
それでは話題提供、前段が長くなりましたが、3つ申し上げます。
1つ目は、「特別史跡安土城跡整備基本計画」が完成しました。令和の大調査いよいよスタートですという情報です。この「幻の安土城」復元プロジェクトはですね、平成31年度から、2019年度から動かし始めています。令和8年、2026年の安土城築城450年祭に向けて行っているものです。
(1つ目は)安土城の実像の解明と保全。令和の大調査としての位置づけです。そして2つ目はデジタル技術を使った見える化。そして3つ目は機運醸成。この3本柱で進めています。
この3月末に、令和の大調査に向けた全体計画となる「特別史跡安土城跡整備基本計画」を策定いたしました。今年度からいよいよ調査を開始することとなります。この基本計画では、特別史跡安土城跡のうち、現在公開されている範囲を中心に6つのゾーンを設定いたしまして、20年計画で事業を実施することといたしました。この20年とは令和5年、本年2023年から令和24年、2042年までとなっております。主な事業は2つです。
1つ目は、(モニター画像の)(2)のゾーン、この天主台周辺地区。ここでこの天主の「主」は、天を守るではなく、天の主というのが正しいということだそうでございまして、未調査部分の調査整備に取り組みます。天主全体の見える化を図っていきたいと考えています。
2つ目は(モニター画像の)(1)のゾーン。大手道周辺地区でございまして、初めての方はどうなっているのかどこなのかわかりにくいかもしれませんが、この大手道周辺地区は雨水、雨の水などで荒廃が進んでおります。その遺構の保護に向けまして、整備手法を検討した上で再整備を行うことといたします。
令和5年度はこれまで未調査でありました天主台周辺の発掘調査を東側から実施いたします。具体的にはこの秋に発掘調査に着手する予定ということでございます。この地域は天主が焼け落ちたと伝えられている場所でございまして、これまで一部調査は行われていたそうでございますが、本格的に調査の手が入るのは初めてということでございます。そういう意味で、天主がどういう姿であったのか、その実像解明に繋がる資料等の発見が期待されるものでございます。天主台の建築物に関する金具などが発見されないか、私もわくわくしているところでございます。
築城460年、そしてその先の500年、という時代に繋げていくためにもこれからの20年、安土城の実像解明に取り組むための調査を丁寧にやろうと。また継続して安土城の保護活用に努めていこうと。関係者一同誓っているところでございますので、報道機関各位の御取材や御報道いただければ、幸いでございます。
2点目は栗東市にあります滋賀県工業技術総合センターというところに「デジタル高速無線通信・EMC評価ラボ」を整備することになりましたので御報告させていただきます。
生産性の向上を目的とした工場のDX化というのが進められています。そういう中、Wi-Fiに代表されます無線通信機能を産業機器等に搭載する動きが加速しておりますが、産業用の無線通信機能は家庭用に比べてはるかに高い信頼性が求められます。それはそうですね、ぐちゃぐちゃに動くと壊してしまいますので。しかし、県内にはそのような信頼性の評価を行うことのできる施設がなかった、今ないということでございまして、県内の産業機器関連企業による競争力の確保という点で大きな課題となっておりました。ある意味可能性でもありました。そこで工業技術総合センターの電波暗室、現状ある電波暗室を改修いたしまして、最新の試験規格へ対応し、迅速な評価ができる「デジタル高速無線通信・EMC評価ラボ」を整備することとなりました。
このEMC試験とWi-Fi無線通信の同時評価ができる環境の整備というものは、国内の公設試験研究機関では初めてということでございます。関西広域連合として、関経連と一緒につくっております、共創プラットフォームでも情報共有し、皆で使えるようにしていきたいと考えております。
このラボを活用して、本県の産業機器関連企業が、デジタル技術に関する開発を加速、著しく加速させることにより、産業機器の国内最大の生産拠点として、滋賀県としても大きく飛躍していきたいと考えております。このラボは今年度中に整備いたします。来年4月から供用開始予定でございます。本日、工業技術センターの所長の那須が後ろに控えておりますので詳細、もし御質問があれば承りたいと存じます。
最後3つ目は、お手元に冊子があると思います。「シガリズム体験」の新しいパンフレットができましたので御紹介させてください。
滋賀県とびわこビジターズビューローでは、令和4年度から滋賀ならではのツーリズム「シガリズム」を本格的に推進しています。滋賀県の各地域に根ざした魅力、また職人技を感じていただく体験を「シガリズム体験」として発掘し、販売できる形にコンテンツ化してまいりました。Webサイトで予約から決済・支払いまでできるものでございまして、先月末時点で67件の体験を紹介しておりますが、このたびシガリズム体験を紹介するパンフレットがこのように完成いたしました。
このパンフレットでは、webサイトにはない一覧性というものがございます。カタログのように参加してみたい体験を見比べながら、選ぶことができるというものでございます。また選んだ体験のQRコードから予約サイトに直接アクセスしていただけるということでございます。
このパンフレット版では、御覧いただければおわかりのとおり、「食べよう」「つくろう」「感じよう」「楽しもう」の4つのカテゴリーに分けて全部で59コンテンツの体験を紹介しております。聞いておりますと14ページの右下に、私もこんなことできるのか知らなかったんですけど、日本刀の材料「玉鋼」で小刀、小さい刀をつくる体験、1名様5万5,000円、中学生以上が対象。このレアな体験を南草津の駅の近くでできるということで、密かに人気だそうでございます。5万5,000円払って、小さい刀をカッチンカッチンつくるという。それ以外にもいろんな滋賀ならではのこういった体験ツーリズムが紹介されております。
このパンフレットは各市町の観光協会や道の駅等で配布しております。これは良いものですから今後は、例えば京阪神とか中京地区とか、滋賀に来る前の方々に御案内できるように工夫しようといっているところです。宿泊施設でも入手していただけるようにしようと考えております。
3月に発表しました令和4年の滋賀県観光入込客統計調査の速報値によりますれば、滋賀県の観光客数は対前年22.2%の増。コロナ禍の対前年ですから、まだまだ戻りきっていないということでございますが、徐々に回復に向かっている、そういうことは感じていただけていると思います。
だんだんコロナも落ち着いてきました。皆さんの旅行意欲も高まってきております。ゴールデンウィーク前、これから計画を立てられる方々にも訴求できるように努めてまいりたいと存じます。私からは以上です。
[中日新聞]
安土城の令和の大調査について、先ほど知事がわくわくするというふうにおっしゃっていましたけれども、例えばどういう発見があるのかとか、どういうところにわくわくしてるのか、もう少し具体的に教えていただければ。
【知事】
このことを話し出すと長くなりますが、全国数多くお城もありますし、滋賀県には1,300のお城、城跡があるという全国有数のお城、お城跡存在県であります。古代中世から要衝であった、みんなが取り合った、そういう地域ですね。とりわけ、この戦国時代、いよいよ終わりにかかる織豊時代いうのですか、専門家の方から言わせると。織田豊臣の時代、この織豊時代に、例えば戦争を終わらせて町を治めよう、信長で言えば天下布武というものを掲げて、どこかに拠点をつくろうとした。統治の拠点をつくろうとした。その場所が安土だったわけですね。そこではキリスト教の学校もあったとか、楽市楽座を認めたといわれていますね。言ってみれば、この時代にあって多文化共生の拠点をここに築こうとしていたわけですね。水運も利用して。そのお城、天主たるはどういう姿であったのか。南蛮貿易もしていたということでしょうし、当然石垣というのは築く技術はありましたから、当時の一番の技術をここに駆使しようとしたでしょうから、どういうものであったのか。その威風というか、それをこの山の上からどのように世の中に示そうとしていたのかというのは考えただけでもわくわくしますね。
おそらくそういったことがその後の城のつくり方、町のつくり方、町の統治の仕方にも影響した部分もあるのかもしれません。そういうことまだわかってないことが多いので。昭和の時代、平成の時代も調査してきましたが、まだまだわからないことがたくさんありますので、この大切な特別史跡文化財、当然地域の方々の御協力もいただきながらです。当然所有者であられる摠見寺さんの御理解を御協力は欠かせませんが、丁寧に発掘をして、実像を解明し、その姿を描けるようにしていきたい。そして描いたものをきちんと保全すると同時にお祭りなどにも活用して、デジタル技術なども活用して、その時点でわかっていることを御紹介するということにつなげていきたい。もっと聞いてください。
[中日新聞]
次にデジタル高速無線通信・EMC評価ラボのことについて、これを滋賀に設置するというのはどういうふうに知事として考えていらっしゃいますか。
【知事】
先ほども申し上げたように、滋賀県は全国有数のモノづくり県です。多くのものものをつくっていただくその技術を持っている企業、事業所、工場がたくさんあるんですが、御案内のとおり、サービス化しているDXを進めていかなければならない。その際に無線で通信し、指示を出したり、加速させていけるような、そういう技術・技能が求められています。その有効な手段であるWi-Fiというものが、きちんと動く環境なり、また性能というのをどのようにつくっていけばいいのかというのは県内の事業者様からも大中小を問わず求められていた。これをテストする、試験するというラボの存在というのはもちろん自社でお持ちのところもありますが、共有できるところ、自分のところではつくれないけれども使わせてもらえるところというもののニーズは強くありましたので、国費2分の1をいただきながら、こういうことが整備できるというのは、これもとても意味があることだと思いますね。
だから、まだ1年先の話ですけど今後の投資等にも影響しますので、早めに皆さんに告知をしてですね、御利用計画などを立てていただければありがたいと思っています。
[中日新聞]
県議選について、結果としては自民が単独で過半数に届かず、チームしがが議席を減らして、維新が初議席を取るという結果になりましたけども、知事として結果等はどのように受け止めていらっしゃいますか。
【知事】
県議会議員選挙の結果は、4年に1度示される1つの重要な結果として受け止めて、おっしゃった会派構成、政党推薦・公認の状況から出てくる結果ということよりも、お一人おひとりがこの期間に聞いてこられた、見てこられた、感じてこられたことを行政や知事に届けていただける、このことを大切にしたいと思います。
既にやり始めてること、やり続けてること、やりかけていることについてはこちらから丁寧に説明すると同時に、それに対する反応もあるでしょうし、いろんな御提案、御提言もあるでしょうから、そういったものを伺いながら、県の自治の進展、県政の発展のために役立てていきたいと思っています。
[中日新聞]
県議選の投票率が42.15%ということで、4回連続で過去最低という結果でしたが、知事としてはこの投票率の低さはどのように受け止められていらっしゃいますか。
【知事】
せっかくの機会ですので、また私達に与えられている権利ですので、いろんな広報にしろ、投票所のあり方にしろ、投票の仕方にしろ、いろんな工夫と改善をしながら、より多くの方々が投票していただける環境をつくろうということに努めてきました。(モニター画像を示しながら)ただ、過去最低なんですよね。この結果というのは投票しないという選択をされた1つの結果もあるのかもしれませんが、もっともっとその投票環境を改善することに努めていく必要もあるんじゃないかと思いますね。ずいぶんやっていただいてます。ショッピングセンターでも投票できるとか、期日前投票を拡大するとか、もっと投票環境を改善するということもあっていいのかもしれません。
(モニター画像を示しながら)私これぐらいからこれぐらいまで政党の一員として選挙の渦中にいましたが、時々下がるところから上がるタイミングがあったときに、どんなことがあったのかということをちょっと紐解いてみることも重要なのかもしれません。
もう少し投票率っていうのはあがればいいなと思います。
[日本経済新聞]
今回の県議選では日本維新の会のメンバーが3人当選されて、(3人の方は)交通税の導入については基本的に反対ということですが、今後の交通税の導入の検討に今回の選挙結果は影響あるとお考えでしょうか。
【知事】
県議会との関係は二元代表制ですので、定例で行われる議会もそうですし、様々なやり取りには、私はいつも緊張感をもって対応しておりますし、そこから出してこられる言葉一つひとつは県民の皆さんからの言葉、また思い、願いでもあるので、どういう顔をして、どういう前後で、どういう言葉で表現されるのかということも含めて、これをしっかりと承って、どのような反映の仕方があるのか、どのようなつむぎ方があるのかっていうのを考えてきたつもりです。
私が知事にならせていただいた2014年、平成26年はガチンコの対決でしたので。でも選挙は選挙、その後はその後ということで醸成してきた信頼関係というのもありますし、その後に行われた知事選挙で一緒にやろう、引き続きやろうという、そういう関係をつくれたところもあれば、そうじゃないところもある。これは至極当然なことだと思っています。その時々の状況、環境の中でいただける御提言や御要望、御意見というのを真摯に承っていくというこういう対応をこれからも大事にしていきたいなと思っています。ただ、言われることだけまとめて、つむいでやるのではなくて、県として県政として、その先に必要だと思うことについては、これは果敢に提案していきたい。そして当然賛否はあるでしょうし、いろんな御意見もあるでしょうから、どういったところに一致点、着地点があるのか、これを見いだしていく。この作業を例えばこの交通税に対しても、これからしていくことになるんだと思います。いずれにしても、メディアによっては、賛成ですか、反対ですか、どう思いますかっていう問い方をこの選挙期間中にやっていただいたところもあると承知しておりますが、まだまだこれからみんなでつくっていくものですので。
ただこの時点においてもこれだけ多くの方に御関心を持っていただけているとするならば、これは出発点としてとてもありがたい、心強いことだなという印象を持っています。
[日経新聞]
交通税に関しても維新の方々と話し合っていきたいということですね。
【知事】
そうですね。まず交通ビジョンをつくろうと。そのための現状認識などを、議員の皆さんとも熟議していきたいし、その現状をどのように変えていこう、変えなければならないのかという県民の皆様方の願いというものをまずはみんなで共有をしていく。その現状と願いとの間にあるギャップをどのようにして埋めますかということの議論です。この選択肢の一つに交通税があるのだと思う。
[日経新聞]
みんなで共有というのは、議会の皆さんと共有するということですか。
【知事】
県民を代表する議会の皆さんとはもちろんしっかりやります。ただ、県議会の中だけで十分汲み取れていない民意もあるのかもしれませんので、県行政、議会の外にもできる限り出かけていって、また今日的なSNSの技術等も活用しながら、様々なお声をお聞きしていくということにも努めていきたいと思っています。
[日経新聞]
交通税に関して、おそらく今後もいろんな選挙、補選なんかの度に争点になると思います。こういった事例があると、例えば諸外国では住民投票などの手段を用いるところもあるかもしれない。交通税の導入の是非について県民の住民投票をやる可能性があるかどうか、その辺は話せますか。
【知事】
今の時点で住民投票をする・しない、その可能性について何かプランを持っているかというと、ありません。そういうものもまだゼロベースです。ただ、御質問の中にあった諸外国の例でありますとか、これからビジョンを策定し、選択肢の一つである交通税を議論する過程で、そういう御提案をされる可能性があると思います。そこは真摯に承っていきたいと思います。
[読売新聞]
県議選について伺いたい。結果的に自民党が議席を増やしましたが、今後、自民党との関係も含めて県政運営に影響あるいは変更は何かあるんでしょうか。
【知事】
特に、何かあるとも思いません。当然、自民党というのは公明党とともに国政与党を形成される政党ですので、そういったところとの日常的な対話、必要に応じた要望や提言というのは密にやっていきたいと思う。その仲間でいらっしゃる県議会の皆様方とはいろんなやり取りをしてきていますし、特段、今回の選挙でこういうことを知事に求めると、党として会派として掲げられて、何か問われたということは承知しておりませんので、この時点で選挙の結果を受けて変えなければいけないことがあるかといわれれば、特にないのかもしれません。ただ、周りの構成、自民党を含む構成が変わったということからどのような対応が出てくるのか、またこの選挙の中でどのようなことを聞いてこられたのか、見てこられたのかということは、丁寧に承らなければいけないなと考えています。
[読売新聞]
これまでも知事は各政党、共産党さんも含めて等距離でお付き合いするというスタンスをとってこられたと思うが、それ自体は変わらないという認識でよろしいでしょうか。
【知事】
変わりません。全ての政党・会派と等距離で、真摯に向き合い議論をしていきたいという。
[読売新聞]
今回、日本維新の会が県議会としては初議席を獲得されたが、これについてはどういうふうに見てらっしゃいますか。
【知事】
この間、私自身も国政や政党に身を置かせていただいた一人として、一つの政党をゼロから立ち上げて、地方・国政を含めて集団をつくられる。そして様々な政策を実現していかれる。この過程には私は敬意を表したいと思います。そういう活動、実績、積み重ねがあったからこそ、有権者の皆さんの期待が寄せられ、新たに立たれる方々に対する期待も示されるということがあるのかもしれません。こういうものには敬意を表しつつ、いずれにしろ、それぞれの政党や団体の推薦、公認を受けられた方々が当選されて議会に来られてどういうことをおっしゃるのかということに耳を傾けるということから始めていきたいと思います。
[読売新聞]
いわゆるチームしが県議団、知事も国会議員時代に所属された旧民主党系を母体、源流とするわけだが、そのチームしが県議団が議席を減らしたことについてはどういうふうに見てらっしゃいますか。
【知事】
チームしがは、2014年、平成26年に私が知事選挙に出させていただくときに一緒につくって、既存政党だけではない支持の受け皿、第二の民意の受け皿としてみんなでつくってきたものでありますが、知事になってからは各政党・会派ともお話をしなければならないので、その役職等を辞して今、知事としての仕事をさせていただいているところです。そして今お尋ねいただいたように、私が元いた政党、今はありませんけれども民主党に端を発する、源を持つ方々も大勢いらっしゃいますので、そういった方々が所属される会派の数が減ってしまったということについては、それぞれの政党・会派において分析されるでしょうけれども、どういうお声があったのか、どういう御評価があったのか、こういうことについては共有していきたいと思います。
国政において政党が分かれていると、なかなか一緒に支持を集めにくいということもあるのかもしれません。国政と地方はまた違いますからね。例えば政権交代の受け皿となり得るのかということは、地方においては、土台になるとはいえ争点・イシューになるかというとそうでもないので、ちょっと違った要素もあるのかもしれませんが、いずれにしろ、よく選挙でいわれる地域での組織力、支持基盤がどうかとか、日頃の活動がどうなのかということが問われ、試された、そういう機会だったのかもしれません。
[読売新聞]
交通税について、去年日本維新の会は反対と言っていて、自民党でも明確にまだ決めてないが慎重論が根強いかと思う。いざ交通税を導入しようとする場合に、議会の議決が必要になると思うが、その辺のハードルについてどう感じてらっしゃるでしょうか。
【知事】
まず私どもが申し上げていますのは、滋賀県の地域の公共交通のビジョンをみんなで描こうと。そのビジョンというのは現状とのギャップの中で描かれていくものですので、その現状とのギャップとの間を埋める手段として、もちろんそれぞれ利用者の負担、事業者の努力、国からの補助、こういうものもいただきますが、私たち県民が等しく少しずつ負担をするという交通税というものがあった場合にどういうことになるのかということ。これを逃げずに問うていきたい。
ただ現時点、まだ交通税なるものはどういう負担で、どういう使途でということを示せているわけではありませんので、むしろこれからつくっていくものです。だからその時点で賛否はと問われても、一体どんなものかわからないから賛否もわからないというのが、これは私が逆の立場でもそうだなと思います。ただ、こういうものがあったらどうかということは投げかけていますし、皆さんが考え始めていただいていますので、選挙を受けた結果はこれまでとは違ったお声として承れると思います。そこはしっかり聞いていきたいと思います。
[読売新聞]
県庁内である程度、交通税の姿というのを明確にして、議会に投げかけて議論をということになるのですよね。
【知事】
議決機関である議会の承認なき税はあり得ませんので、まずは私どもとして県民の皆さんと一緒に素案、成案をつくり、そして県民の代表である議会の御判断をいただく。これが筋だと思います。
[京都新聞]
県議選について2点お尋ねしたい。まずチームしが県議団を構成する旧民主党系の後退について知事がどう考えるかということをもう少しお尋ねしたい。県政において同じ知事の与党的立場をとる自民党との違いを打ち出せなかった点ですとか、新しく立候補を立てた維新の直撃を受けたとか、いろんなことが考えられると思うが、三日月県政誕生を支えたグループの後退を知事はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
【知事】
そういったそれぞれの会派の数の増減があったことも含めて、この時点での県民の皆さんの審判、判断の結果ですね。もうそれに尽きると思います。それぞれ総体として見たときの数はそうなのだと思いますが、それぞれの地域の選挙区において候補者が置かれている状況、なさってこられた事々は違いますので、そこを一概に評価するというのは、もう少しいろいろ聞いてこられた声なども伺って総合的に見ていく必要もあるのではないかと。おっしゃったように、同じように立たれた方々との違いをどのように打ち出せたのか、新たに出てこられた勢力との力の差がどうだったのか。そういうことはもう少しいろいろなものの分析なども加味して考えていきたいと思います。
[京都新聞]
もう1つは女性の当選者の人数が減ったことについて、全国の統一地方選全体の結果では女性の当選者が過去最多という状況になっているが、滋賀県政では1人減の6人にとどまって、女性比率も13.6%に後退しました。これは選挙の結果だが、女性の立候補者さん自体が10人で、前回と変わらなかったということで、やはり女性の政治参画が進んでいないということだろうと思う。知事は、ジェンダー平等を掲げていらっしゃる立場から、どのような取組が今後必要なのかということを教えていただけないでしょうか。
【知事】
おっしゃったように、ジェンダー平等、男女共同参画という観点からすると、県民の代表者で構成される県議会に男性も女性も、等しく参画していくというのは大変重要なテーマだと思う。まず候補者がいなければ、当選する人が比率も数も整ってこないということもありますし、候補者になろうという機運の醸成、そもそも私達が立候補してもいいのだろうかということを描いてしまうジェンダーバイアスのようなものがあるとするならば、そういうものを取り除いていくことが重要だと思いますので、少し時間はかかるかもしれませんが、そういう努力を私たちは積み重ねていく必要があると思っています。
例えば、子ども県議会の構成などでそういったことに意を用いたり、登壇・答弁する当局側も、「こういう仕事が私達もできるんだ」ということ(イメージ)をできるだけ早いうちからみんなが持てるような取組を広げていったりすることも重要だと思います。ただこれも、おっしゃったように全国では増え、滋賀県では減り、ということですので、どういうことが背景や要因としてあったのか、皆さんといろんな議論を重ねていければと思います。
[朝日新聞]
奈良県の知事が維新公認として当選されました。関西の知事では兵庫県の知事が維新の推薦を受けた知事です。(維新関係は)関西広域連合のメンバーとしてのリーダーの皆さんも10人中5人になるでしょうか、大阪府知事、大阪市長、堺市長も入れると。関西のリーダーで維新の支援を受けたり公認を受けたりしている人たちが増えているということをどのように受け止めてらっしゃるか。また、関西広域連合で維新としての主張をされる方がリーダーとして増えてきていることを受けて、関西広域連合として方向性なり、政府の対応の中で何か変わっていくことなど、考えられることがあるならば御説明いただきたい。
【知事】
それぞれの県・市における選挙の結果というのは、それぞれの県・市の有権者の判断、審判、選択の結果です。その方がどの政党の支持、支援、公認を受けてらっしゃるのかということについて、私はあんまり考えません。外から見ていて客観的に見て、事実はそうなのかもしれません。ただ、おひとりおひとり、全ての方と、私は今、広域連合長の立場でもあり、滋賀そういう思いです。
ただ、年代が近い方が増えてきましたので、いろいろなことが話しやすくなる環境もあるなと思います。またいろいろな経験を持って知事、市長に就かれますので。国会議員を20年以上されて知事をされるとか、基礎自治体の首長を経て知事になるとか、そういったことから出てくるいろいろなお声や言葉もあると思います。そういうやりとりができること、その中で化学反応を起こしていけることを楽しみにしたいと思います。
そういった方々が新たに加わってこられたから何か国との関係で、また広域連合の運営で変わることがあるかというと、私はないと思います。むしろ関西広域連合として13年目を迎えていますので、新たなステージをつくっていこう、分権の受け皿になるぞ、そして双眼構造の日本をつくるぞと。そのために、担う関西、動く関西、つながる関西をつくろうという思いでやっております。まだ机を並べておりませんので当選してこられた方がどういうことをおっしゃるかはわかりませんけれども、基本的に変える必要はないのではないかと思っています。ただ、広域連合そのものに対する向き合い方も、それぞれ立候補されて、府県市民の選択を受けられる際におっしゃってこられたこと、聞いてこられたことなどがあるとすれば、それらは真摯に承る必要があると思っています。総じて楽しみにしています。
[NHK]
安土城の調査がいよいよ始まるということで非常に楽しみですが、同時に安土城の屏風絵の探索プロジェクトも進めてらっしゃると思う。これの進捗状況はどうでしょうか。
【知事】
現時点、直近、速報としての屏風絵の探索状況については資料を持ち合わせておりません。またこの間の状況等も調べて、お答えをしたいと思います。いろいろな機会をとらえて情報提供を求めたり、情報提供の糸口になるようなものを探したりという活動は続けていきたいと思います。今回のこの令和の大調査を行うという発信も、そういう情報をいただける一つのきっかけになるのではないかと思いますし、大杉副知事なども折に触れ、いろいろな機会を捉えるべく、情報収集やいろいろな取組を模索しておりますので、努力、挑戦を続けていきたいと思います。むしろ、国内、国際的にも情報ネットワークをお持ちのNHKさんに期待するところも大きくありますのでよろしくお力添えいただければと存じます。
[京都新聞]
統一地方選に絡んで、京都新聞で県議選の立候補者に告示前にアンケートを行い、北陸新幹線の延伸計画についても問わせていただきました。京都府内を縦断する現行の小浜・京都ルートの着工が遅れていることに関連して、かつて滋賀県が要望していた米原ルートを再考すべきかどうかについて問わせていただきました。その回答で、告示前の立候補予定者の集計ですと、「そう思う・再考すべき」と答えた方が39人の6割ぐらいいらっしゃいまして、「そう思わない・どちらでもない」がそれぞれ2割ぐらいいらっしゃいました。今回当選された方で集計しましたら、「再考すべき・そう思う」と答えた方が44人の定数のうち24人、55%おられまして、三択なので当選者の方がどういう考えでそう答えられたかはわからないが、一定、米原ルートを検討していくべきではないかという方が多いのかなと受け取っております。知事は現行ルートを進めることに力を入れるべきというお立場かと思うが、今回の選挙結果で米原ルートも県として考えていくべきではないかという議員の方が多くなるのかなと思う。そのあたりの知事のお考えというのはありますでしょうか。
【知事】
申し訳ございません。特にありません。ただ、今おっしゃったように、こういうアンケートを通じて、また選挙期間中を通じて、そのテーマでどんなことを聞いてこられたのか、考えてこられたのか、そして当選してこられたのか、そういったことはよく話してみたいと思います。これからいろんな事々が動く、動かないという局面があるときに、どのようにおっしゃるのか。基本は、もう決まったルートがあるとすれば、それを進めるということに周辺も含めて力を合わせていくということが私は合理的だと思います。それが進まない理由があるとすれば、それを取り除いていく、克服していくためにみんなで努力をしていくということだと思います。
むしろ新幹線のルートを引っ張ってくるということになれば、それが通る自治体がしなければならない負担があります。平成25年、26年当時にいわれていた米原ルートというのは、敦賀から先をどこに持っていこうかと(いう状況で)。まだ決まらない、いつまでも決まらない、早く決めよう。そして通らないけれど、周りも負担してもいいという状況、合意の中で出てきた米原ルートでしたね。今そういうものがあるかというと、ありません。そういう中で、米原ルートが果たして滋賀県民の合理的な選択になり得るのかということもよく考えていく必要があると思います。
それよりもむしろ、北陸新幹線のルートはルートで決まったことを進捗させつつ、この供用開始めどを立てた上で、その先にある、今は基本計画になっている北陸・中京というものの可能性を探っていきながら、高速鉄道網ネットワークというものを日本国として整備していくことのほうが私は将来性があるのではないかと思いますが、いずれにしろ皆さんそれぞれ考え方がおありでしょうから、そこは丁寧に承っていければと思います。
[共同通信]
統一地方選の関係で伺いたいことがあります。女性の議員が減った話がありましたが、滋賀県において私がもう1つ特徴的だと思ったのが、30代の候補者の方はいらしたのですが、実際に当選された方では30代はいなくて、40代以上の方で議会を構成されていると認識しています。全国的に見れば20代、26歳とか27歳とか、30歳の前半とかの若い方も立候補されている方が多いですが、滋賀県ではそういう若い方が手を挙げられることも少ないのかなと思いまして、知事の受け止めをお聞かせいただきたいです。
【知事】
そういう観点に立って概観したことがなかったのですが、今回当選された方ではおひとり、野田さんが39歳。立候補された中では片岡さんも30代。他県と比べてどうなのか、これまでと比べてどうなのか。被選挙権もあるわけですから、県民の代表者である議会を構成する議員さんの年齢層が一定年齢以上の方に偏っている構成とういのは、確かにもっと若い人がいてもいいのにと思われる一つの側面だと思いますね。私は32歳から衆議院議員をやらせていただきましたが、(32歳)だから言えたことと、もっと経験を積んでからやった方がよかったなと思ったことと両面ありました。ただ、これから挑戦する人たちにはその年齢がハードルにならないような激励なり、いろいろなことをしてあげられたらいいなと思う。もっと若い人の挑戦を促せるような土壌、環境が必要かもしれません。
[読売新聞]
工業技術総合センターについてですが、県外の企業さんとか事業所にも使ってもらってオープンイノベーションといいますか、そういった形を図っていくことは考えてらっしゃるんでしょうか?
【知事】
関西広域連合で共創プラットフォームをつくってますので、情報の提供、また共有させていただいて、県外企業であっても当然事前予約費用負担というのは伴いますが、使っていただける環境というのはつくっていきたいと思うし、そのことによるオープンイノベーション、むしろ起こしていけるように努めていきたいと思います。
[京都新聞]
先ほどの議員に若い方が手を挙げられないということについて、考え方として市町特に町村などは報酬が低いというような指摘もあったりするかと思うのですが、一方で専業でやるというのではなく、兼業で他の職業を持ちながら、土日だったり夜間の議会でというような二つ大きい方向性があるんですけれども、知事としては市町村と都道府県ではまた違うかもしれないですけれども、議員として専業でしっかりやっていくのがいいのか、兼業を前提にしたような取り組みやすい議会の方がいいのか、そのあたりお考えはありますでしょうか?
【知事】
私自身明確な今お尋ねいただいたテーマに関する考えがあるわけではありません。ただこの時期、統一地方選しかも人口が減って、長生きできるようになって高齢者の割合が増えて、コロナもあって、いろんな状況の変化の中で迎える地方選ですから、なり手不足とか無投票当選とかいろんなことが報道機関に言われてますよね。だから今回の県議選、そしてこれから行われる市町議選などを経て、どういう状況になるのか、またどうそれぞれが考えられたのか、また機会を見ていろんな議論をしてみてもいいのかなと思いますね。
専業なのか併業というかいろいろ一緒にやってもいいのか、例えばもっと子供さん連れでも来られる議会にすべきじゃないかとか、そういう御意見もありますし、報酬はどうすればいいのかとか、私はどちらかというと、なったらのめり込む方なので、徹底的にやる方なんで、あまり他との掛け持ちというのは私の性分には合ってないのかもしれませんが。
ただ、そうなった方がもっと多くの方がなれる、担えるという面もありますよね。なって、担っていただければいろんな声も出てきますので、議会というのは本来そういうところなのかもしれません。だからそこも含めて自治のありようが問われるところです。何か一様にこうじゃなきゃならないというよりも、「俺たちの町はこうする」というところがあってもいいんだと思う。