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知事定例記者会見(2023年3月28日)

令和5年3月28日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

今日もどうぞよろしくお願いいたします。

「さまざまなこと思い出すサクラかな」とは芭蕉の句でございますが、湖国・滋賀も桜が綺麗な季節となりました。県庁本館中庭のしだれ桜も、今ちょうど見頃を迎えているのですが、聞いていますと、この桜が、いつ、誰が、どのような経緯で植えられたのかを誰も知らないということです。わかっている人がいたら教えてくださいという御案内をホームページでしているところでございますので、皆様方のお力添えもいただければと思います。ちなみに、この写真は今朝9時に撮影された写真だということでございます。

今年度最後の定例会見となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

まず、文化庁が昨日から京都で業務開始ということでございます。私も日曜日、そして月曜日に、関西広域連合の連合長として、記念式典、そして除幕式に参加させていただきました。明治以来の中央省庁の地方移転ということで画期的なことであり、歴史の新しい起点になるということだと思っております。文化芸術の振興はもとより、文化財の保全と活用、文化観光の推進など、京都、滋賀、奈良では文化財もたくさんお預かりしておりますので、大いに文化庁と連携してこの文化行政を担い、進めていきたいと考えております。

今日は、2点の情報をお知らせいたします。お手元に資料があると思います。

まず1つ目は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の位置付けとして5月8日から5類感染症へ変更されます。そのことを踏まえた本県の対応方針についてです。いくつかあるのですが、まず1つ目。患者等への対応につきまして、5月8日以降も継続いたしますのは、(1)受診相談センターによる相談対応、(2)入院医療費の一部公費負担、(3)治療薬の公費負担。こちらは5月8日以降も継続。5月7日で終了いたしますのは、(1)患者濃厚接触者に対する外出自粛要請、(2)自宅療養者に対する食料品支援や健康観察、(3)医療機関で検査した場合の公費支援。これらにつきましては終了させていただく予定です。

次に、医療提供体制につきまして、5月8日以降も継続いたしますのは、(1)重症患者等の入院病床の確保、(2)入院搬送調整を行うコントロールセンターの運営、(3)重症化リスクの高い患者等のための宿泊療養施設や臨時の医療施設の運営。こちらは継続いたします。5月7日で終了いたしますのは感染隔離を目的とした宿泊療養施設。こちらにつきましては順次終了させていただきます。今、4つある(宿泊療養施設の)うち、2つを終了し、2つを残すという形になります。

検査体制につきましては、5月8日以降も継続いたしますのは、(1)医療機関や高齢者施設等での陽性者発生時に必要となります検査、(2)感染拡大期等における高齢者施設等の従事者等への一斉検査。これは継続いたします。5月7日で終了いたしますのはPCR等検査無料化事業。こちらは今月末で休止させていただきます。

ワクチン接種につきましては、来年度、大規模接種会場は設置いたしません。市町等との連携による出張型広域接種事業に取り組むこととし、副反応に対する相談対応や広報は継続いたします。最後でございますが、5月8日以降、定点医療機関から週1回、患者数が報告されますので、毎日行っております感染者数等の公表は終了させていただき、感染症週報で感染動向の公表を行うことといたします。

本日にお示しした対応方針は、コロナ5類への位置付け変更に伴う今後の県の対応スケジュールを、国の事務連絡に基づいて整理させていただきました。今後、幅広い医療機関で新型コロナの患者が受診できる体制への移行に向けまして、入院・医療体制や入院調整等の具体的な方針や目標を移行計画として4月中に策定する予定でございます。したがいまして、伴う本部員会議ですとか協議会もまた4月にスケジュール調整をさせていただきます。また、この間の対応についての検証、振り返りも始めているところでございまして、こちらも4月、5月にかけてまとめ、公表していきたいと存じます。

もう1つは、そろそろお茶の新茶のシーズンです。県内でお茶を生産する農家の方に向けまして、オーガニック茶を生産するための技術を研究開発いたしまして、技術カタログとしてまとめました。そのお知らせです。

近年、健康志向の広がりとともに、オーガニック茶へのニーズが高まっています。そういう中、海外輸出向けを中心に高品質なオーガニック茶が求められるようになってきています。そこで、県農業技術振興センターにおきまして、味や香りの良いオーガニック茶を安定して生産するための栽培技術について、試験研究に取り組んでまいりました。その研究成果の中から生産現場で活用できる8つの技術につきまして、技術の内容やその効果が一目でわかるよう、カタログとして取りまとめたところでございます。掲載されております技術の内容は、オーガニック栽培に適する品種、病害虫の被害を抑える技術、品質を良くするための肥料の施し方などでございます。このカタログは、農業技術振興センターのホームページからダウンロードできます。

既にオーガニック茶を栽培されている生産者やこれから栽培に取り組まれる生産者などに広く活用していただきたいと思いますし、専門的な内容が多いのですが、こうやってお茶が作られているということを知っていただくためのツールとして、販売する人やお買い求めいただく方にも御覧いただければと思います。県といたしましてはこのカタログに掲載されております技術を活用いたしまして、国内および海外の需要に応える味や香りの良いオーガニック茶の生産を拡大していきます。県内の茶生産者の経営改善につなげる取組を進めていくこととしております。私からは以上でございます。

[日本経済新聞]

コロナについて伺います。「マスク外してよし」から2週間ほど経つと思いますが、マスクの着用状況に、どのような変化があったと知事は御覧になっているのでしょうか。

 

【知事】

この部屋(会見室)でも半分ぐらいの方が外したり、また着けられていたりということだと思います。徐々に外していいということは広がりつつあるのではないでしょうか。ただ、花粉症のシーズンでもありますし、まだ不安という方もいらっしゃると思いますので、それぞれの御判断もあると思いますので、お互いの着けている、外しているというのを尊重できるような理解が必要だと思います。

 

 

[日本経済新聞]

必要な場面でのマスクを除いて、マスクをあえて外そうという意味というか、マスクを外す意味というのはどういうところにあるとお考えでしょうか。

 

【知事】

例えば、職場の同僚でも、また学校のクラスメイトでも「マスクを取った素顔を初めて見ました」という方もいらっしゃるのかもしれません。マスクを外すことで、お互いが表情全てを確認できるということからすると、やはり対人関係のいろいろな改善などにもつながればいいなと思います。特に子どもたちは、言葉を覚える、いろいろな親の表情を見て安らぎを覚える、ということもあるでしょうから、そういうことの改善にもつながることを期待したいと思います。

 

[日本経済新聞]

コロナの3年間を経て、マスクを外すというのは社会経済活動が正常化するシンボルのように思えるのですが、季節的な要因もあるでしょうけれども、マスクをなかなか外せないというのは何が原因だとお考えでしょうか。

 

【知事】

例えば、私なんかもマスクを常に持って、いろいろなところで着けたいときに着けることもありますし、それはいろいろあるのでしょう。ただ、3年間、コロナの対応をしてきましたので、もうマスクありに慣れてしまったというか、例えばのどの潤いが保てるとか、化粧がいつもと違う形で過ごせるとか、いろいろなことがあるのではないでしょうか。そういう意味で、(マスクを外すことに)あまり神経質にならなくてもいいのではないかというふうにも思います。ただ、外せるようになって、ようやくコロナも一波越えられるのかなという印象・実感はあるので、そういうことは大事にしたいと思います。

 

[中日新聞]

コロナの5類感染症への移行に伴う県の対応についてですが、コロナも3年目になってアフターコロナを見据えるというところで明るい兆しである一方、中にはまだまだ心配する方もいらっしゃると思います。そのあたり、県民の方に呼びかけたいことはありますか。

 

【知事】

4月にかけて移行計画をまとめますけど、当面、必要なことはきちんと残します。したがって、御安心いただきたいと思います。また、コロナ病院だけではなくて、広く受診していただけるように、今後、医療機関と調整いたしますので、通常の風邪やインフルエンザと同じような形で受診していただけるよう、また検査に臨んでいただけるようにいたします。そうとはいえ、高齢者の方、宿泊療養施設が必要な方に対しては、当面の間、そのための施設を維持・運営いたしますし、無料化のいつでも検査できるというのは今月で一旦休止しますけど、いろいろな施設等で一斉検査しなければならない場合も機能は残しますので、そういう意味で必要な対応は取っていきます。

8波まで乗り越えられつつありますけど、また9波、10波、違う感染症があったときにどういう対応が必要なのかということも当然想定に入れて考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

同じくコロナの5類感染症への移行に伴う対応のことでお尋ねしたいのですが、特に医療体制、外来と入院体制についてお尋ねします。

まず、外来については、今までの発熱外来という枠組みを超えて幅広い医療機関で診ていくということになるかと思います。重症度が低いとはいえ感染力は強いままであるとか、コロナがそもそもなくなるわけではないというところで、院内感染の不安といったことも聞くのですけれども、広さとか構造上、コロナの患者さんを分けられないとか、そういった医療機関についての対応などはどのように考えますか。

 

【知事】

現場のそういう実態やお悩みは丁寧に伺っていきたいと思いますが、3年経って、随分わかってきたこともあります。そして、変異によって、以前のようにECMO(エクモ)が必要で療養されるという方も随分減ってきましたので、医療機関にも以前よりも御理解いただけるのではないかと思います。

また、医療法上の医療機関に定められている応召義務といったこと等もございますので、コロナに感染された方に対する診療なども広くしていただけるのではないかと思いますが、おっしゃったように残る不安や課題があるとすれば、克服に向けて、どういうことが必要なのか一緒に考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

つまり知事は、コロナ疑いの患者だからといって、発熱をしている方を特に分けて診察することがもう必要ないのではないかというようなお考えでしょうか。

 

【知事】

基本的には、5類移行ということになれば、風邪やインフルエンザと同じような形で診察していただく、療養いただくことが基本になると思います。

[京都新聞]

入院の方ですけれども、5類移行に伴って、国は病院に支払う病床確保料の補助を基本的に半減するという対応を打ち出しているかと思います。そうすると、病床を確保する医療機関が、病床確保数が減ってしまうのではないかという懸念もあると思いますが、そのあたりはどうでしょうか。

 

【知事】

病床確保料の増減に関わらず、県でも感染が拡大している時期と比べて、今は減ってきていますので、確保していただく病床の数を減少していただいています。これはそういった補助に拘わらず、やっていくことになると思いますので、必要ないときは必要ない形で病床を確保していくということだと思います。

当然、コロナ以外の怪我や病気を診ていただく体制や病床というのも必要ですから、それも含めて通常期に戻していくというステージに入っていくのだと思います。ただ、全国知事会でも申し上げたのは、急に全てをなくすと、いろいろと当たり障りもあるので、段階的に移行していくことを求めてきましたので、一定そういったことが反映された措置だと理解をしています。

 

[京都新聞]

弊社を含み報道させていただいたのですけれども、昨日、滋賀経済団体連合会の河本会長が、県が障害者雇用の促進を求めにコラボしがを訪れたときに「障害者を雇用すると効率が落ちてしまう」といった趣旨の発言をされました。これに関して知事はどういう見解をお持ちでしょうか。

 

【知事】

どういう趣旨で、どういう前後で、そのようにおっしゃったのかというのは定かではないですけど、これから障害者雇用を拡大していこう、理解や支援を広げていこうと取り組んでいるところですので、経営者、もしくは経営者団体にそのように言われ、思われることがないような取組をみんなでしていかなければならないということを改めて実感いたしました。

まだまだ、おっしゃったようなお考えで受け止められている実態があるのではないかと思います。したがって、どういったところに課題があるのか、そして可能性があるのか、お悩みがあるのかを我々もよく伺って、さらに努力をしていきたいと思います。

 

[京都新聞]

ただ、県としては、知事の署名のある要請書で、障害者の雇用の促進を求めに行った中で、後ろ向きの発言だったという気もします。知事としては、遺憾というか、本意でないというか、知事の率直な思いはどういったところにあるのでしょうか。

 

【知事】

障害者雇用対策本部の本部長として会議を開いたときにも申し上げているのですが、法定雇用率達成企業が着実に伸びてきている一方で、まだまだその達成ができてない企業様もたくさんいらっしゃいますので、さらに理解を広げ、協力を広げていくことが必要だと思っています。特にこれから法定雇用率が上がり、法定雇用率達成義務が課される企業もより小規模化していきますので、その理解をより広げることが必要だと考えております。

今回の御発言なり御見解というのは、そういう実態を、ある意味ではお悩みとともに吐露・披瀝(ひれき)いただいたものとして受け止めて、今後、改善・向上の1つのきっかけにしていきたいと思います。

 

[読売新聞]

先ほどの京都新聞さんの質問に関連してですけれども、経営者側の実態に関して吐露されたということですけれども、ある意味、本音みたいなものがあるかもしれないですが、なかなか公の場でこういう発言が出てしまったというところで、どういうふうに受け止めていらっしゃるかを伺ってもよろしいですか。

 

【知事】

河本会長はいつも率直で本音を言われる方ですし、ただ、私もその場にいませんでしたので、前後の背景、どういう文脈、どういう思いでおっしゃったのかは、わかりません。できることと、できないことと、みんなで分け合いながらどうやって全体の生産効率を上げていくのかということに、いつも腐心をされていらっしゃるのでしょうから、みんなでそれらを助け合っていくという我々のメッセージと経営者としての様々なお考えとに、まだまだ開きがあるというようなこともあるのではないでしょうか。だからこそ、改善・向上していかなければならないと思います。

 

[読売新聞]

特に、精神障害者の雇用のところ、メンタルの病気というのがどこまでがメンタルの病気なのかわからない部分だとか、そこを主張されても経営者側として振り回されるみたいな発言もありました。その点について、精神障害者も法定雇用率の基準に算定するように2018年に変わっているかと思います。そのあたりが現場の課題としても出ているのだと思うのですが、県としてのそういう対策へのアプローチといいますか、こういうところが大事だと思う部分があれば伺わせてください。

 

【知事】

いろいろな悩みや戸惑いというのは、障害のある方にも、一緒に働く周りのみんなにもあるのだと思います。そういう悩みや戸惑いというのを、言ってはいけない、聞いてはいけないというのではなくて、できる限りみんなで共有して、そしてできることを伸ばしていく、できないところを補い合っていくという職場や会社、社会づくりをしていくということだと思います。法定雇用率を向上させていくというのは、そういう趣旨・目的もあると思いますので、時間がかかる部分もあると思います。数字だけ達成すればいいということは、もちろん定めですから達成に向けて努力をしていきつつも、その実態をどう整えていくのかということも大事だと思いますので、そこは丁寧にやっていきたいと思います。

 

[毎日新聞]

同じく河本さんの発言に関して。この発言内容について、三日月知事は大杉副知事や県職員から何か発言内容のことについて報告を受けられたかどうかと、どのような発言を把握されていたかというのを教えてください。

 

【知事】

私が、こういうことをおっしゃったというのを知ったのは今朝です。大杉さんや同行した職員から聞いたということはありません。今朝の報道等をみた方からの情報として受けました。どういうことがあったのか、どういうことをおっしゃったのかというのを聞いた上で、今、ここに臨んでおります。

 

[毎日新聞]

 報道を見て、どういうことをおっしゃったのかというのを確認されたということですね。それはどのような発言を確認されたのでしょうか。

 

【知事】

「共生社会の実現は大事だと思うが、今以上に企業に負担をかけるというのは、やはりなかなか難しい面があるのではないか」ということだとか、「小規模企業が多くいらっしゃって、法定雇用率の引き上げについてまだ知らない企業も多い」というようなこともあったと聞いておりますので、そういったこと事などは、これから県が経済団体と一緒にさらに組んでいかなければならない課題だと思っております。

 

[朝日新聞]

今月末までに政府が異次元の少子化対策のたたき台をまとめるということで、それに先立って岸田首相が基本的な考え方を会見で表明されました。それについて、知事はコメントで検討を進めることを歓迎するということをおっしゃった上で、地方が要望している各種事項が盛り込まれることに期待するというふうにおっしゃっています。

この中で、どのようなものをたたき台に盛り込まれるかが、いろいろと報道もされているところでありますけれども、知事としては、まずどういう政策を優先的に国として提示していくことが望ましいと考えていらっしゃいますか。

 

【知事】

年度末から年度初にかけて、どういうものを打ち出されるのかということとあわせて、財源の裏付けも含めて提示されるであろう骨太の方針、この2つは注目しています。その際に、どういう言い方なり内容になるのかというのは、今後でしょうけど、私どもで言えば「子ども・子ども・子ども」、政府の言い方を借りれば「こどもまんなか」という、子どものために、子どもと共に、様々な政策を総動員していく、予算等を拡充していくという社会的機運を確実につくることというのはとても大事なことだと思います。

大きく言って、まずそのことが必要だと思いますし、子育てにかかる様々な負担、また悩みなどを軽減するための措置、経済的負担もそうでしょう、教育費などもそうでしょう、種々言われている事々を改善・解決していくための措置というものが盛り込まれてくるのか、また一時的なものではなくて、財源の裏づけとともに提示されてくるのかということは注目したいと思います。

[朝日新聞]

先ほど、知事が冒頭に文化庁の京都移転のお話をされました。この中央省庁の地方移転に関して、以前に関東と関西、あるいは東京と大阪という双眼化が日本全体の浮揚につながるという発言もされています。今回のこの文化庁移転について、隣県の知事としての評価と、関西広域連合の連合長としての評価、それぞれお聞かせいただけますか。

 

【知事】

まず、隣県の知事としては、記念式典の中でも一部申し上げましたけど、京都、滋賀、奈良という古くからいろいろな都が置かれた地域というのは多くの文化財をお預かりしていますので、その保存・活用の行政や技術者の確保・育成という面では、文化庁と手を携えてやらなければいけないことはたくさんありますので、今までもやってきていますけど、さらに力を入れて取り組んでいきたいと思います。彦根城の世界遺産、また安土城の調査発掘事業などもまさに佳境を迎えてきていますので、そういう事々なども連携して進めていきたいと、これはまず隣県として言えることです。

関西広域連合としては文化芸術の振興、そして日本文化、伝統の発信、これは東京からではなく、京都から関西から世界に向けて行っていけるというのはとても画期的なことだと思います。ちょうど2年後の大阪関西万博もありますので、そこに向けていい起点ができたのではないかと考えています。

 

[朝日新聞]

今回の文化庁の移転は、全面的な移転には至らず、半分とは言えませんけども、部分的な移転に留っています。このことについてはどうお考えでしょうか。

 

【知事】

そこはステップバイステップだと思います。東京に国会があって、官邸も含めて中央省庁の多くが東京にあると、どうしても全てを持ってくるということがいかなかったことも理解をいたします。そこはステップバイステップで、また次に生かしていけばいいのではないでしょうか。

 

[朝日新聞]

知事は、中央省庁を日本各地に分散していくという考え方は推進すべきだというお考えでしょうか。

 

【知事】

推進すべきだと思います。もっと推進すべきだと思います。

 

[朝日新聞]

提唱されてから10年近く経って、ようやく省庁の移転としては文化庁がようやく移転したと。その前の段階では、消費者庁の一部、それから総務省の一部が、徳島と和歌山に行っていると。まだ、これしか進んでないということがありますが、なぜ、こんなに進まないのかというのはどうお考えですか。

 

【知事】

なぜ、こんなに進まないのかという方からみればそうかもしれませんけど、10年経ってこれだけ進んだということです。消費者庁の徳島移転、統計センターの和歌山移転、そして滋賀県は小さいですけど、国立環境研究所の琵琶湖分室ができたということとか、あとは文化庁の今回の大きな移転いうことですので、やはりやればできるということがまず1点あります。

コロナもあって、遠隔でいろいろな会議や面会ができるということも大きく手伝って、昨日の総理訓示などもリモートでできるとするならば、おそらく、今、弊害になっている国会とのやり取り、さらには中央省庁間のやり取りなども地方にあってもできるということの1つの事例が示せていくのだと思います。だから、今回のことをきっかけに、さらに他にもっと移せるものはないのか、どこに移すのが一番いいのだろうかという議論が起こることも仕掛けていきたいし、期待したいと思います。

 

[朝日新聞]

滋賀県として、今の中央省庁で滋賀県にぜひ移転を進めていこうというお考えなどはあるのでしょうか。

 

【知事】

現時点、何かまとまったものがあるわけではありませんけど、滋賀県としても、そういう可能性は探っていきたいと思います。

 

[京都新聞]

旧優生保護法関係の強制不妊手術に関する公文書の開示に関して、先週、大津地裁で、滋賀県が非開示にした公文書に関して京都新聞が開示を求めて起こした訴訟の大津地裁判決が出たかと思います。判決では県の非開示の判断に対して、もっと多くの開示部分があるのではないかという内容だったと思いますが、知事もコメントを出していただきましたけれども、改めて判決内容に対する知事の受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。

 

【知事】

判決自体は県の主張が一部認められなかったということですので、残念に思っています。ただ、どうするかということは出された判決文を精査した上で考えたいと思っていますが、当然のことながら旧優生保護法に基づく様々な対応は当時あった法律に基づく対応とはいえ、人権を著しく侵害するものであり、私は省みて改めていかなければならないテーマだと思っています。

ただ、その経緯、経過、内容がどうだったのかということの開示につきましては、やはり個人情報の保護というものとの兼ね合いの中で十分な手当が行われて公開されていくべきだと思いますので、県はそう考えて「ここまでは出せる」「ここは出せないのではないか」ということを申し上げていますが、訴訟の一方の当事者の方との見解の相違、そして裁判所の判断というものもございますので、どこまでが、どのような対応が必要なのか可能なのか、さらに考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

今後の対応というのはもう少し時間がかかるということでしょうか。

 

【知事】

期限がありますので、期限内には決めていかなければなりませんが、この時点でどうというよりも、もう少し時間をいただきたいというところです。

 

[京都新聞]

裁判では一審の判断になるかと思うのですが、県庁の中でも第三者機関の諮問機関でもっと開示せよという答申が知事に出されていたかと思います。県の第三者機関の判断に加えて、今回大津地裁の判断でももっと情報公開をした方がいいという判断が出ているかと思いますが、それを踏まえても、知事のお考えは、非開示という判断を開示すべきだというふうに変わってないということでよろしいのでしょうか。

 

【知事】

これから、まだ詳しくみなければならないところではありますが、いただいた第三者機関の答申は尊重するように求められているのですけれども、異なる裁決をしてはいけないという義務付けではないといった趣旨の見解も示されていますので、尊重はしますけど、必ずしも答申のとおりでなくてもいいということがあると思います。

それを決定づける理由は、やはりどこまでを開示すれば特定されずに、当時の事実として共有できるのか。これ以上は個人や置かれていらっしゃった状況が特定されてしまうのではないかという見解、判断も一方でありますので、県としては、そこは丁寧に対応すべきだと考えています。

[京都新聞]

今回、訴訟に関わっている公文書ですけれども、やはり強制不妊手術の実態解明ですとか、被害救済に名乗り上げられる方が出てくるかもしれないという、大変公益性のある資料だというふうに指摘する声があります。開示する・しないという県の判断が先延ばしになると、その公益性も損なわれてくる部分があると思いますが、その辺の時間との兼ね合いのお考えはありますか。

 

【知事】

おっしゃったとおり、公文書というのは公共性・公益性のあるものですし、したがって、みんなのものです。とりわけ、こういった過去を省みながら、これからの新しい歴史をつくっていかなければならないという意味においては、当時どうだったのか、どういうことが、どれぐらい行われていたのかということを示す資料というのは極めて意味を持つものだと思います。同時に私もそうだったのかということで、おっしゃったように、救済や相談の申し出につながる資料にもなり得るものだと思います。

ただ一方で、当事者の方以外にも知られていく可能性のある情報でもありますので、どこまで出せるか・出せないかという判断については、我々は我々の見解も検討した上でもって示してきたつもりでありますが、そこは社会的合意というものを取っていく過程にあるのだと思います。司法の判断というものも求めていきたいと思います。

 

[びわ湖放送]

先ほどのしだれ桜の話ですが、今回、これを探される目的と結果によると思いますが、それをどのように活用されるお考えでしょうか。

 

【知事】

(モニターの桜を見て)これ綺麗でしょう。この時期、特に、正面から入ったステンドグラスから眺めるしだれ桜とか、県庁に来庁された方もすごく喜ばれていますし、県庁職員も癒しの材料になっているのですけど、「そもそもこんなに綺麗な桜を誰が植えたの?」「いつ、何で植えたの?」と聞かれたときに、みんな「・・・」になっていたということです。だから調べてみようと。いろいろな調べ方があると思います。実は皆さんに知っていますかと聞いたのに、県庁内の文書に残っていたということがあるのかもしれません。庁内でも調べたいと思いますが、もし御存じの方がいらっしゃったら教えてください。

出てきた情報にもよりますけど、また、さらに県政150周年の節目も昨年に迎えましたので、新たな情報として蓄積して、皆さんと共有できたらいいなと思います。BBCさんに記録は残っていませんか。

 

[びわ湖放送]

調べてみます。

 

[朝日新聞]

WBCですけども、知事も御覧になったかとは思いますが、特に栗山監督のリーダーシップのあり方については、知事はどんなことを感じられましたか。

 

【知事】

WBCを観ました。特に準決勝ですか、テレビでちょうどライブで観られる時間でしたので、久しぶりに連れ合いと大声出して抱き合って喜びました。劇的なドラマだったと思います。特に、その時の栗山監督の采配、選手起用はいろいろ考えました。信じることというか、結果が出ていなかった選手も含めて信じ抜かれましたよね。代打ではないのかとか、バントではないのかとか、僕らも素人ながら観ていて、皆さんもそうだと思いますけど、「大丈夫か、村上」とか言いながら観ていたと思いますが、見事、打ちましたよね。だから、やはり信じることを信じ抜くことかなと思いました。「言うは易く行うは難し」をやって結果を残した栗山さんはやはりすごいと思います。改めて、昨日、会見されていましたが、ああいうリーダーのいろいろな言動というのはなかなか真似できないですけど、何か得られるものがあれば吸収して体現できたらいいなと思います。

 

[中日新聞]

コロナのことですけども、4月中に移行計画を策定するということですけども、改めてどういうことが盛り込まれるのでしょうか。

 

【知事】

基本的に今日お知らせしたようなことも書きます。書きますが、なお残る課題とか、どの時点で、何をどうする、いつまでにどうするということを詳しく書いて、国にも4月21日までに出します。もちろん、県民の皆さんにもお知らせする必要があります。今日は今の時点で決まっている方向性、内容をお示ししました。特に、先ほどもお尋ねになった幅広い医療機関でどれだけ診られるのかということをお示しするということがメインになるということです。

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