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知事定例記者会見(2023年3月13日)

令和5年3月13日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

今日もどうぞよろしくお願いいたします。

(飛沫防止の)アクリル板が久しぶりになくなったということで、マスクの取り扱いも今日から変更されるということですので、新たなステージに入ってきたということでございます。

まず、週末に行われた女子プロゴルフツアー「明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメント」で滋賀県高島市出身の吉本ひかる選手が見事プレーオフを制して優勝されたということでございます。プロ7年目でつかんだ初優勝ということでございまして、激戦の群雄割拠の日本の女子プロゴルフの世界で見事に優勝されたという偉業を称えたいと思います。今後の活躍も応援したいと思います。

先ほども申し上げたように、マスクの取り扱いが変わりました。滋賀県では日常生活において、基本的には「マスクを外してもいいですよ、外してよし」と三方よしに絡めて、皆さんにメッセージをお伝えしているところです。手洗いなどをしっかり行いながら、必要な場面、必要な方はマスクを着けてくださいということです。私も花粉症でグズグズすることがあるので着けますし、知事・三日月であることを知られたくないという場面ではマスクを使うこともありますので、お互いが着ける、着けない、いろいろな場面があることを尊重し合う生活を送っていきたいと思います。

昨日、「びわ湖マラソン2023」の第1回が開催されました。とてもいいお天気でしたし、多くの皆様方が御参加されたということでございます。登録は7,200人を超えていたということですけど、昨日、最終的に出走された方が6,332人、うち完走された方が5,962人と94%が完走されたということでございます。私も一部だけスターターの後、走りました。多くの方が沿道で応援やサポートしてくださり、平坦なところが多いという感想とか、琵琶湖がたくさん見られてよかったということか、応援してもらって声援が力になりました、というお声もいただいております。ただ、コースが入り組んでいて難しかったとか、出走前のトイレが少なくて困ったとか、そういうお声も一部いただいておりますので、早速いろいろな検証をしたいと思っています。

烏丸半島の第7給水所などにあった近江米のおにぎり、湖魚佃煮などが大人気だったということでした。美味しいと、とても好評だったのですが、聞いてみると、少し大きすぎて20km近く走ってきたランナーには重すぎるということもあって、ずいぶん残して置いていかれる方もいらっしゃったそうで、来年度に生かさなければならないということでございました。

私がこの大会で嬉しかったこと、誇りたいと思っているのは、3,000人以上の方がボランティアで支えてくださいました。私も一部ボランティアの運営スタッフの皆さんと、最後に到着された方にメダルを贈呈するセレモニーに立ち会いました。(モニターに映している)この方が最後に帰ってこられた方ですけど、最後のチェックポイントを2秒でくぐり抜けて、そこで全部精力を使い果たして、このゴールまでが大変だったそうです。見かねた隣の方が肩を貸してずっと最終区間を走ったという感動的なゴールのシーンで、最後に「ありがとう」と言い合っていらっしゃる、すごく感動的な場面でした。

こういうこともスポーツに親しむとか、みんなで支え合うとか、こういう場面として大事にしていきたいと思っています。いよいよ2年後の2025年には「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ大会」も開催されますし、「健康しが」をみんなでつくろう、バージョンアップさせようと申し上げておりますので、そういった機運が高まる機会として、これからも大切に、この「びわ湖マラソン大会」をつくっていきたいと思います。改めて、お支えいただいた全ての方に感謝申し上げたいと思います。

それでは資料に基づきまして2点、御紹介いたします。

1点目は、滋賀県立総合病院にコロナ後遺症外来を設置することにいたしました。3月15日の水曜日からでございます。新型コロナウイルス感染症を発症した後、療養期間が終了しても長い間症状が続く方、またそのことに悩んでいる方がいらっしゃるということをお聞きしております。こういう患者さんの診察を行うため、新たにコロナ後遺症外来を開設いたしまして、毎週1回、水曜日に完全予約制ですけれども、診療を行うことといたしました。

受診には、いわゆる、かかりつけ医やお近くの診療所等からの紹介が必要となります。予約枠は3名、対象は16歳以上、症状が2か月以上続いていらっしゃる方とさせていただいております。例えば、咳が続くとか、関節が痛い、脱毛や頭痛、味覚障害など様々な症状に応じて、総合病院の専門の診療科にもつなぎながら検査や治療などを行う予定でございます。また、抑うつがある方、睡眠障害がある方などは、県立精神医療センターにも紹介いたしまして、県立病院として連携して対応してまいります。

診療が一定終われば、また治療方針が一定定まった場合には紹介していただいたかかりつけ医のお医者様や診療所等に逆紹介いたしまして、身近なところで治療を受けていただけるよう努めてまいります。コロナにかかって療養された後に、症状が改善しないとか、こういうことで困っているけど、という方はお近くのクリニック等で医師の先生方と御相談していただければと思います。少しでも患者さんの症状緩和や治癒に寄与できればと思います。

なお、この施策は、私が知事選挙のときに出しました政策集の中に「コロナ後遺症外来の検討」を入れておりまして、それに基づいて病院事業庁等で検討していただいた1つの結果でもあります。

続いて、もう1つも資料があろうかと思いますが、オーストリア・ウィーンで3年ぶりに開催されます、オーストリア最大の旅行博、3月16日の木曜日から19日までの間、滋賀県が出展することとなりました。日本の自治体としては唯一ということだそうでございます。

御案内のとおり、オーストリアと滋賀県は一昨年の7月1日、オーストリア政府観光局東京事務所から出された「琵琶湖とオーストリアは瓜二つ」というツイートを契機に在日本オーストラリア大使に滋賀県を訪問していただくなど、交流を重ねてまいりました。その1つの産物でもあります。インバウンドの回復局面を、これから迎えてきます。より一層の誘客の促進や特産品の輸出などに向け、オーストリア現地でPR活動を展開させていただきます。

この旅行博では、日本政府観光局(JNTO)が設けるブースに出展いたしまして、シガリズム、ビワイチ、滋賀の地酒、近江のお茶などをアピールいたします。これと並行いたしまして、ウィーン市内にある旅行会社、日本食品卸会社への直接のセールスも実施する予定でございます。さらに、今後のインバウンド誘客も見据えまして、オーストリア政府観光局ウィーン本部に御協力をいただきまして、人気の観光地と聞いております「ノイジードル湖」があるブルゲンラント州政府も訪問いたしまして、今後の交流の可能性も視野に入れた関係構築を図っていきたいと考えております。

サイクルツーリズム、自転車走行環境の先進事例なども調査する予定でございます。また、在オーストリア日本国大使館に現地での今後の情報発信に御協力を得られるよう、私の親書も携えて行ってもらえるように準備する予定でございます。今後、このオーストリアと滋賀の交流、いただいた御縁を大事にしながら育み、また広げていきたいと思いますので、報道各位のお力添えや御指導いただければ幸いでございます。私からは以上です。

[中日新聞]

コロナ後遺症外来についてですけれども、いろいろな報道で、症状が長引いて新たな症状が出ると出ていますけども、県内でそういう方はどれぐらいいらっしゃるとか、そういうデータはあるのでしょうか。

 

【知事】

(県立病院では)どれぐらいいらっしゃるかわからないということですけど、多分こういうところがないからわからないということもあるのかもしれませんので、こういう外来を設置することで顕在化してくる問題などの把握、また治療などもしていければと思っております。

 

[中日新聞]

先ほども説明がありましたけど、改めてコロナ後遺症外来の設置に至った経緯というか、思いを教えてください。

 

【知事】

3年にわたって株が変異してきましたので、また年齢に応じて持ってらっしゃる体質や疾患に応じて違うのかもしれませんが、ひどい方はすごく長引いたり、そしてその後に以前にはなかった症状が現れたりということも言われています。

ただ、そのように言われることが多く、報じられることもあるけれども、よくわからないということもありましたので、こういった方々に寄り添って、もちろんコロナだけが原因ではない場合もあると思いますが、必要な治療また必要な投薬等に結びつけていくということが重要だと思いました。

したがって、知事選挙の折に、県民の皆さんに問いかけたことがあるので、病院事業庁として開設に向けて調整をしてきた結果、こういうことになりましたので、お困りの方にしっかりとお届けできるようにしていきたいと思います。そのためにもお近くの診療所ですとか、御自身でかかりつけ医を持っていらっしゃらない方も、この機会にかかりつけ医を持って、こういう症状があると御相談していただけるように呼びかけていきたいというふうに思います。

 

[日本経済新聞]

先週末、日銀の総裁に経済学者の植田和男さんが就任することが正式に決まりました。知事としてはどのような金融政策を新総裁に期待されているのでしょうか。

 

【知事】

グローバル化する昨今において、金融政策のかじ取り役というのは極めて難しくもあるし、また重要だとも思います。そういう中で、私は改めて2018年に出された、白川元総裁の『中央銀行』という書籍を読ませていただいて、中央銀行に求められるものがどういうことなのかというのを自分なりに把握し直しました。もちろん銀行券を発行するとか、資金決済の円滑を確保するとか、以て信用秩序を守るということもあります。今般、改めて思いますのは、(1)デフレの正体をもう1回、国民との対話の中で明らかにすべきではないかということとか、あとは(2)財政政策との関係、これは中央銀行(日本銀行)の独立性を確保するということからも、今般、どのようになっているのかということ、また、(3)構造改革人口が減るとか、需要が減るとか、その金融政策だけではコントロールできないことに対する示唆、この3つのコミュニケーションがとても大事ではないかと思っています。

したがって、ここを私なりには注目したいと思いますし、もちろん日本だけで決められないことも多いと思うのですが、日銀の京都支店の支店長も定期的に私のところに来てくださいますので、ぜひ滋賀県経済の状況などをお伝えしながら、コミュニケーションを大事にしていきたいと思っています。

[日本経済新聞]

黒田総裁が進めてきた異次元緩和についての評価について伺いたいと思います。特に県内経済に与えた影響、あるいは低金利政策によって国や自治体にとって財政規律が緩んだのではないかという指摘がありますけれども、知事御自身はどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

物価目標も掲げて、低い金利を維持しながら金融緩和を進めていくということは一定経済を回す、また期待に働きかけて経済を動かすということについて一定の効果はあったのではないかと思います。そういった影響が果たしてどの程度波及したのかということについての検証はまだしなければならないでしょうし、副作用が先ほど申し上げた財政政策との関係、必要な構造改革を遅らせたということなどにおいてどういう意味があったのかということについては国会等でも今後議論になるのかもしれません。

そういう意味で直近、黒田総裁の前に総裁を担われた白川総裁のその御著書は大変示唆に富むものであったのではないかと思っております。

 

[毎日新聞]

先ほど御紹介のありましたオーストリアの交流の件で、知事は今年の年頭にミシガン州、湖南省、ブラジルのリオ・グランデ・ド・スール州に次いで第4、第5の姉妹提携も視野に入れるということでしたけども、ブルゲンラント州については今後の交流の可能性も視野に入れると御紹介ありました。やはり、同じノイジードル湖という湖の縁のあるというところで姉妹提携も視野に入れられているのでしょうか。

 

【知事】

視野には入っています。湖のつながりを大事にしたいということを申し上げていますので、これまでの3つもそうですし、第4、第5も湖のつながりということでは可能性もあるので、視野には入っています。ただ、相手のあることですし、規模が違うとか、事情が様々だということなども念頭に置きたいと思います。そのためにも、今回、ぜひ一度行って、お蔭様でいただく御縁が得られるならば、大事に探っていきたいと思っています。

 

[京都新聞]

コロナ後遺症外来のことで、知事が公約に掲げていたということですけれども、これは先進的なものなのでしょうか。他のところではやっていないのでしょうか。

 

【知事】

先進的ではないですけど、県内で掲げて開設するのは初めてになると思います。

 

[京都新聞]

少し話題を変えまして、先週、「滋賀旅(今こそ滋賀を旅しよう)」で3,000万円がホテルに詐取されたということがあったと思いますが、国の政策なのでなかなかチェックするということは難しい面もあると思うのですけれども、第3者の通報によって、はっきりしたということで、今後、何か再発防止みたいなことはあるのでしょうか。

 

【知事】

まず、コロナで落ち込む旅行需要を喚起させようということで行った施策で不正受領が行われたということは、私は極めて遺憾に思います。

詳しい内容等については事務的にも御説明させていただいていると思うのですが、できる限り、こうしたことが起こらない対策等も今回のことを教訓にしながら、つくっていきたいと思います。ただ一方で、皆様方もその当時のことを思い出していただくとお分かりのとおり「できるだけ早く整えよう」「複雑な手続き・登録なしで展開できるようにしよう」ということ等も求められましたので、いわば性善説で御利用いただきやすいようにするということもやってきました。そういう中でこういうことが起こったということは残念に思います。

ただ、DXでいろいろなデジタルツールもより普及してきますので、もっとわかりやすく、そして透明性のあるもの、不正等が行われない仕組みというものも、今後追及していきたいと思います。

 

[京都新聞]

また、お話が変わってもう1点。子ども条例を今やっていらっしゃると思うのですが、もう諮問をして話し合っていただいている段階ではあると思います。どういう条例というか、強制力を持たせるのがいいのかみたいなことも会議ではあったと思うのですが、知事としては、どういう条例にしたいかを改めてお願いしてよろしいでしょうか。

 

【知事】

京都大学の名誉教授の佐伯啓思(さえき けいし)先生に言わせると「大人が子どもにおもねりすぎるのは、いかがなものか」という御指摘もいただいているのですが、私は年末中に12月27日の審議会に諮問させていただいた際にも、子どもや若者のためのルール・条例をつくるから子どもや若者の声をできるだけ聞いてつくろうということを申し上げたところです。だから、ここは、ぜひ過程としてつくり方を大事にしたい。そのつくり方、過程の中で得られる、「こういう条例があったらいいね」とか、「こういうところを大事にしたいね」とか、出てこようかと思いますので、それをできる限りくみ取ってルール化したり、条文化したりするということに努めていきたいというふうに思っています。したがって、現時点で何か規制を強めるとか、何かそういう像を持っているわけではありません。子ども・若者のための条例になるように努めていきたいと思います。

[京都新聞]

子どもの声をくみ取るという意味ではルール化が必要と思っていらっしゃるのですか。

 

【知事】

おっしゃるとおり、いろいろな施策を議論して決めていく過程に、子ども・若者の声が反映されるという仕組み、ルールも十分に議論の対象になると思います。子ども県議会でもそういった類の御指摘がありました。聞いているだけで実行しているのかということとか、もっと聞いてほしいし、聞いてくれたことをちゃんとフォローできるような仕組みも必要ではないかという趣旨の御指摘もありましたので、ぜひこのあたりは大事に議論していきたいと思います。

 

[中日新聞]

子ども基本条例のことですけども、県では「滋賀県子ども条例」というのが2006年に制定されているかと思いますが、県子ども条例がある中で新たに「(仮称)子ども基本条例」をつくろうとしている意図や狙いとしてはどういうところがあるのでしょうか。

 

【知事】

今、持っている「滋賀県子ども条例」は当然のことながら、人権尊重の観点から子どもの育つ環境、子どもを育てる環境づくりについて、基本理念を定めて必要な条文を規定していると承知をしています。ただ、その条例ができてもう20年近く経ってきて時代も変わってきていますし、生まれてくる子どもの数も減ってきていますし、グローバル化またデジタル化が進んできたということなどもありますので、こういう昨今の変化状況等を踏まえて地方自治体が持つ条例というものをどのようにつくり直していくのかということだと思います。国でも法律ができたり、こども家庭庁という組織ができたりしますので、いい機会なのだと思います。

 

[朝日新聞]

環境政策と大規模開発の問題についてお尋ねします。基本的には開発については、地元市町の意向というのは大事だとは思いますけれども、とはいえ、市町の領域、あるいは府県境を超えた影響を想定すれば、広域自治体としての県として、もっと積極的な関与、あるいは意見表明が必要ではないかというふうに考えています。

例えば、今、高島市あるいは長浜市で大規模な風力発電の計画が進んでいます。長浜市のケースについては、高時川から姉川を通じて琵琶湖にまでつながっていくということで、大きな影響も考えられるプロジェクトだと思います。もちろん、許認可は国にあるわけで、県としては環境アセスのプロセスの中で意見表明をするという場はありますけども、事業の是非そのものではなくて、環境に影響があるならば事業のこういうところを計画変更すべきという通り一遍のような形での意見表明になると、今回の風力発電の場合であれば、風車の数をいくつか減らしましたというような形で開発が進んでしまうようなことも考えられます。

こういった中で県として、もちろん環境アセスという制度の枠組みなどがあるわけでありますけども、だからといって県として、もちろん地元市町だけに任せるわけにはいかないとは思うので、積極的な関与、あるいは県としての意見表明というのをもっと打ち出すということについて、知事としてはどうお考えでしょうか。

 

【知事】

開発と環境の問題ですね。そういう中で広域自治体である県の役割、また隣接県との関係調整というものをどのように考えたらいいのかという根源的、本質的な問いかけだと思います。とても重要なテーマだと思います。今、開発案件として提起されていて、環境アセスのプロセスにある事業などについて、配慮書、方法書、準備書の段階でそれぞれ知事の意見を出させていただく場面において、審査会での議論内容ですとか、県として出す知事意見についての協議も丁寧にさせていただいております。

その中で、これでいこうということを決めて、私自身も決裁の上、出させていただいておりますので、ここはいろいろな評価軸があって、なかなか悩ましいこともあるのですが、その時に出せる必要な意見を最大限表現できるように努めているところです。

当然、自然を改変し、開発をするということは土地の形状のみならず、生態系等にも影響を与えることがあり得るでしょうから、そういうものをどのようにみていくのか。また、広域自治体の県知事の意見を付すというときに、当該市に隣接する府県というものも当然考慮して、どのようにいうのかということもあるでしょう。私自身も知事としてこういった問題に関わり出したときに、土地を持っていらっしゃる方々が自分たちの持っているものを自分たちの生活のために使いたいという自由の原則をどのように考えたらいいのか。それを行政が法律等で、もしくはいろいろな意見等で縛るということを、どのように考えたらいいのか。

こういったようなことなど、いろいろな物差しがあって、なかなか難しいテーマだと思います。

とはいえ、滋賀県は、南方の生態系の北限にあり、北方の生態系の南限にあるので、また湖があって、山々があって、植生も含めて、非常に大事にすべき生態系・自然というものがありますので、そういうものに必要以上に改変を加え過ぎるということには慎重でありたい。また、環境県・滋賀県だからこそいえること、1450万人の水源をお預かりしており、その山の水源をお預かりしているという立ち位置からも言わなければいけないことというのもあると思いますので、このあたり丁寧にもちろん科学的知見も得ながら、議論をし、その時々意見を述べていきたいと思います。

[朝日新聞]

今、知事がおっしゃったとおりだと思うのですが、特に風力発電というのは再生可能エネルギーをつくるということで、今の時代が求めている、あるいは社会が求めている開発のあり方の1つだと思います。そのために、貴重な自然環境が失われるという関係にもあるということを考えた場合、特に滋賀県は環境保全あるいは山の健康、健康しがをメインのスローガンとして訴えていらっしゃるところで、果たしてこうした開発には本当に持続可能なのかどうかというのは非常に重要な視点だと思います。あるいは、今回の発電計画にしても、そのつくったエネルギーは関西電力や北陸電力に売電するということなので、地産地消型エネルギーのつくり方とは違っていると思います。

結局、過疎地がリスクを背負った上でつくったエネルギーを大都市で使うという形の構造というのは、今まで福島県や福井県であった原発が持っている構造と同じではないかと思えるのですけども、こういった形でのあり方というのは、今、滋賀県で進めている北部振興のあり方からして、こういう構造でいいのかということも考えてみる視点ではないかというふうに思っています。

なので、もちろんこうした開発の要件として、地元の市町の意見を踏まえた上で、最終的には国が許認可をするというわけでありますけれども、こうした形で進めている県としての考え方というのも、しっかりと明確に意思表示をしていくということも大事と思っています。例えば、去年、関西電力が東北の蔵王連峰に風力発電計画を進めていたところ、地元の宮城県の村井知事が計画には明確に反対を表明されました。蔵王というのは、宮城の、東北の、あるいは日本の宝だという認識から事業そのものに反対を明示されて、それで結局、関西電力は撤退したという形になったわけです。このように権限はないけれども、全体的な行政の責任を持って行う上での県として明確な意思表示というのは、あるべきかと思いますが、こういった事例も踏まえてどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

こちらも大変重要な御指摘だと思います。そういった視点をきちんと受け止めたいと思います。宮城のことを例に出されましたけど、当然、いろいろな背景、いろいろな事情などもあり、それをどのように決定され、どのように表現されるかということについて、いろいろな考え方がありますので、一概に参考になるというものではありませんが、自治体として明確に意見をいう姿勢というのは、あってもいいと思います。

それと同時に、大きな流れとして再生可能エネルギーを広げていく、さらには大規模集中電源に頼るのではなくて、地域分散型の持続可能なエネルギーシステムを追求していくということは(世界的な)大きな流れとして必要かつ有効なことだと思いますので、滋賀県もそういった方向でいろいろなプロジェクトを進めていきたいと思っています。

特に、風力発電とか太陽光発電は再生可能エネルギーのツールとして期待されている一方で、(風力発電の羽が)鳥に当たってしまうとか、大規模にパネルを貼ることが景観や環境に影響を与えるということもありますので、そういったものとの兼ね合いをどのように調整していくのかということが必要な課題ではないかと思っています。

同時に大規模にやった方が経済性に優れているとか、収益性もあるということがあるとすれば、もう少し小規模分散型のエネルギーシステムが可能になる制度や、仕組み、システムというものを構築していく必要もあるのではないかと思います。このあたりは、我々も研究し、必要な提言・要望等を国に出していきたいと思います。

 

[京都新聞]

再びコロナ関連でお尋ねしたいのですが、先日、政府がコロナの5類移行に伴う医療費の公費支援ですとか、医療体制の見直し案を決定しました。5月8日から医療費の原則自己負担を求めるであるとか、行政が行っていた入院調整を段階的に医療機関に移行していくことであるとかが示されました。こういった方針をまず知事がどのように評価されているかということと、もう2か月ないですけれども、どのように準備を進めていかれるかということをお願いいたします。

 

【知事】

5類移行に伴う、いろいろな取り扱い、措置、手続きを含めた段階的な移行の内容が先週3月10日に示されております。5月8日に位置付けを変更した後も少し期間に幅を持ってほしいということで全国知事会からも求めたことですけれども、一律に変えるのではないということです。まずは9月末をめどにしながら入院調整本部、病床の確保、治療薬にかかる医療費の公費支援などは現行制度を一定継続するとか、一定、地方の実態にも寄り添った方針が示されております。したがって、今示されている内容については私ども地方の声を反映したと、また今般のコロナの状況をみての決定だという理解のもと、私は一定評価させていただいております。

ただ、一部まだ内容の詳細が明らかではないこと、明日から自治体向けの説明会が行われるなどと聞いておりますので、詳細内容等を把握した上で県としての移行準備を抜かりなく進めていこうということを事務方には指示しております。その内容を確認でき次第、決定次第、県民の皆様方、特に医療機関の皆様方にもお伝えしていきたいと思っています。

 

[京都新聞]

高額な治療費については支援を継続するということですけれども、やはり診察代がかかってくるということで受診控えであるとか、それによる感染の拡大で混乱が生じるのではないかとか、そういった心配も聞くのですが、そのあたりはどのように県民に伝えていかれようと思っていらっしゃいますか。

 

【知事】

負担を一部していただくので受診控えが出るのか、感染が検査によって確定されれば休むことに伴ういろいろな負担があるので、そういった行動に出られないのか。この3年余りでいろいろなことがありました。基本はどういう感染症が、どういう症状で社会的にまん延するのか。どういう対策が最もその時々に有効で、それを社会的に法的に決定して実施していくのかということに尽きるのだと思います。

したがって、今お尋ねいただいたような副作用とか反作用というのも一定あるのかもしれませんが、そういうものも十分に踏まえた上で、大切な命が守れる、社会のいろいろな活動がより円滑に行われるという体制をつくっていくことが重要だと思います。

とりわけ、こういう移行期はいろいろな混乱が生じます。一部の期間に大きな負担が集中するというようなことも起こり得ますので、いろいろなことを想定しながら検討も重ね、混乱なくより円滑に移行ができるように努めていきたいと思います。

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