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知事定例記者会見(2023年2月7日)

令和5年2月7日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

今日は2月7日、北方領土の日ということでございまして、滋賀県も、また、私自身もこの「北方領土返還要求運動 滋賀県民会議」の取組に賛同しながら、取組を推進しているところでございますが、2月15日の水曜日に「県民のつどい」を開催予定でございます。ぜひ、皆様方も奮って御参加いただければと思います。根室市から中学生を招き、また滋賀県として県議会議長を会長としながら、訪問団も組成しながら、運動の盛り上げを図っているところでございます。引き続き、粘り強く取組を進めてまいります。

第2弾「しが割」についてでございますが、1月23日から開始いたしました。大変好評でございまして、開始当初から多くの方に御利用いただきました。まもなく予算上限に達する見込みということでございますので、今週末2月12日の日曜日をもって終了させていただくことといたします。御協力いただいた皆様に感謝したいと思います。2月5日時点で登録店舗数は6,035店舗。利用に必要な公式LINEの友だち登録者は約70万人、延べ63万人の方に御利用いただいたということでございます。

お店からは「しが割」のおかげで新規のお客様が増えたといったお声も伺っているところでございまして、県内消費の起爆剤となり、それぞれのお店の売り上げの向上にもつながったのではないかと考えております。一方で、様々な御意見をいただいております。改善をいたしましたけれども、一部のお店に御利用が集中したのではないかとか、もっと使い勝手の面で、もっと公平性の面で改善の余地があったのではないかというようなことも伺っておりますので、今後、この事業による効果等を検証しながら、振り返りをしていきたいというふうに思っております。

それでは資料に基づきまして2点申し上げます。

まず1点目、県立病院の経営形態についてでございます。今年度、病院事業庁において検討を進めてまいりました県立病院の経営形態につきましては、現行形態である地方公営企業法の全部適用を継続することに決定いたしました。

病院事業では長年、厳しい経営状況が続いております。今後、医療を取り巻く環境変化等への迅速かつ柔軟な対応が取れないと、病院の持続的な発展はありえないとの問題意識を持っておりました。このため、経営形態の見直しも含めた最適な経営のあり方について検討を行ってまいりましたが、今回、全部適用を決めた理由としては大きく2点ございます。1つは、現行形態においてさらなる改善努力の余地、また可能性があるということでございます。もう1つは、令和7年1月に予定しております、総合病院と小児保健医療センターの統合に最大限注力する必要があるとのこと、以上2点でございます。

現行形態における経営強化の取組といたしましては、医療充実の面から医療従事者の安定確保、総合病院の診療機能の高度化等を進めますとともに、経営安定化の面からは病院統合による経営の効率化、事務職員の専門性向上、収支改善に向けた取組を着実に進め、経営の立て直しを図ってまいります。さらに、こうした取組の実効性を確保するため、組織としての目標の明確化や推進体制の確保、職員の意識改革、外部チェック機能の強化などにも取り組んでまいります。

ただし、こうした取組で十分な効果が現れない場合、経営形態のあり方について再検討する必要があると認識しておりまして、病院統合後の1年目の決算が確定いたします令和8年度にこの方針に基づく取組の状況、また成果を見極めて必要な場合には、改めて経営形態の検討を行うこととしております。ぜひ、御理解いただき、また、お力添えいただければ幸いでございます。

2点目、「アートと障害を考えるネットワークフォーラム2023」についてお知らせをいたします。チラシに記載のとおり、2月23日の木曜日、天皇陛下の誕生日・祝日に開催する予定でございます。このネットワークは「アール・ブリュットネットワーク」が約10年間の活動を経て、昨年11月に再スタートした組織でございます。「アール・ブリュット」とは、フランス人画家が提唱され、考案した言葉です。その解釈は様々ございますが、正規の美術教育を受けていない人による芸術ですとか、既存の美術教育に影響されない表現と説明されることが多く、日本では障害者が制作した作品を「アール・ブリュット」として取り上げることが多くなっております。

滋賀県も「アール・ブリュットネットワーク」の事務局メンバーとして、「アール・ブリュット」を支える環境づくりの底上げ等に取り組んできたところです。全国的に「アール・ブリュット」、あるいは障害者の創作活動に対する理解、支援、評価が浸透したという評価をいただいているところでございます。一方で、近年、その作り手は多様化しております。その多様性はもちろん、鑑賞に関する多様性の実現についても注目が高まっております。そうしたことを踏まえまして「アートと障害を考えるネットワーク」として再スタートいたしました。

今回のフォーラムは3年ぶりのライブ開催となります。「つくる」「みる」「ささえる」という3つのテーマでキュレーターや、福祉施設の関係者、研究者などを迎えまして、事例発表や意見交換を行う予定でございます。近年、ますます多様化が進みます、アートと障害に関わるそれぞれの取組の現在地、今どういう場所にあるのだろうという現在地を確認することで、かつ、様々な可能性もあると思いますので、皆さんと今後の展望を考えるきっかけにしていただきたいと考えております。ぜひ、御取材や御参加いただければ幸いでございます。私からは以上でございます。

[びわ湖放送]

「しが割」ですが、第1弾が終わって第2弾を始められるときに、第1弾の利用実績を基に、第2弾の利用者数は1週間17万人と予定されていたかと思います。結局、蓋を開けてみたら33万人と倍ぐらいになっているということで、やはり早く終わってしまったかという感じがあるのですが、この見通しについて甘かったとかありますか。

 

【知事】

結果的に想定を超える多くの御利用いただいたということからすると、私たちの持っていた見通しの甘さはあったと思います。それを超える皆様方のニーズがあったということだと思います。それには2つの要素があったのではないかと思います。例えば、コロナ禍、もしくは物価高から、少しでも安いものを、少しでも割引されるものを購入して日々の生活をしよう、暮らしを営んでいこうという状況があるということが、まず1つ。

もう1つは、第1弾の終わり方もあったと思います。こういう政策に対する期待ですとか、好評ぶり、(割引券を)取ろうと思ったけど取れなかったことから、第2弾こそは(割引券を)取って使おうという思いが、この年末から年始にかけて一定程度醸成されておりましたので、開始当初から早く取らないとなくなるというようなことがあったことも影響しているのではないかと思います。

 

[びわ湖放送]

消費者からするとすごくいいと思ったのですが、この目的はどちらかというと県内の中小企業を応援するために始められたかと思うのですが、お店側にとって「しが割」が最終的にどうだったとお考えでしょうか。

 

【知事】

このあたりは、これからよく分析したいと思います。多くのお店で御利用があったと聞いておりますけれども、実際、どれぐらいだったのか。そして、購入単価の増加等にどういう影響があったのか。普段、来られないお客様とか、なかなかお買い求めいただけない価格帯への志向がどのように変わったのか、変わっていなかったのか。こういったことをみていきたいと思います。

ただ、第1弾から第2弾にかけて改善いたしました、県外資本の、一部大手傘下のスーパー等に御利用が集中するということが、どの程度変わったのかもみる必要があると思います。一部のお店では駐車場からあふれる車があったというようなこともございますので、こういうことがどうだったのか。また、一部メディア等で、「スマホを使わないし、もっと使いやすい形でしてくれたらよかったのに」とか、「レジでずいぶん長い時間お待ちいただいた」とか、「どのようにしたらいいの」ということがあったとか、私たちは最善を尽くそうと思ってやってきましたけど、そういうことの結果がどうだったのか、よくみて、また今後に生かしていきたいと思います。

 

[びわ湖放送]

第1弾で割引利用額(の合計)が1億円以上の者が2者あったとお聞きしましたが、この第2弾ではどうだったのでしょうか。

 

 

【知事】

第2弾でも(第1弾との割引利用額の合計が)上限に達する見込みの事業者様があるやに聞いておりますので、そういった事業者については、周知に一定必要な期間を設けて、それ以降の参加を御辞退いただく要請をさせていただく予定です。

 

[びわ湖放送]

 第2弾で1億円を超えたところがあったかどうか。

 

【知事】

 第2弾の2週目終了時点で(第1弾との割引利用額の合計が1億円を超えた者が)1者あったと聞いていますけど、どこの事業者様かは存じ上げません。

 

[読売新聞]

「しが割」のことで伺いたいのですが、一部の店舗で利用が集中するケースがあったと御説明がありました。ただ、これは消費者の選択の結果という面もありまして、特に小規模店舗ですと、仮に少額でも相対的な効果が大きいという場合があって、必ずしもこの消費額の多寡で効果を測れるところではないと思うのですけども、その辺はどういうふうに知事は評価されていらっしゃるのでしょうか。

 

【知事】

今、お尋ねいただいたようなことも含めて御利用実態というのが、どの程度広がっているのか、もしくは広がっていないのか。そして、それぞれの購買がどのような額で行われているのか。こういうことをよくみる必要があると思います。おっしゃったように「地域の店舗で『しが割』で買い物してくれはった。そして、以前よりも単価高く、買い物してくれはった人が多かった」というお声もあると聞いております。ただ一方で「もっと一部の店舗以外で利用してくれはったらよかったのに」という声もありますので、もう少しみてみたいと思います。まだ、速報ベースでしか伝わっておりませんので。

[読売新聞]

今回、第2弾が終了ということですけども、元々この対象として県内に中小・小規模事業者を対象としたわけですけれども、いろいろな方法・選択肢もあったと思うのですが、大規模事業者を含めるとか、一切の制限を設けないとか、設けずに県内の消費を活性化するというやり方もあるとは思うのですが、そもそもで申し訳ないですが、中小・小規模事業者に絞ったというのはどういう狙いがあるのでしょうか。

 

【知事】

いろいろな意図、目的、趣旨というのは設定のしようがあったと思います。ただ、私たちは長引くコロナ禍、そして現下の物価高、資材価格の高騰、為替の動向、こういったことの影響を強く受けられ、例えば資本力、マーケット訴求力が大企業ほど強くない県内の中小・小規模事業者の支援が必要だろうと。そのためには消費喚起、需要促進という形でやるのが有効ではないかということから、今回のこの「しが割」第1弾、第2弾を実施してきました。もちろん、制限を設けずに御利用いただくという方法もあったと思いますが、一定そういった限られた予算を有効に活用するということで、意図、趣旨、目的を設けてやってきました。ただ、繰り返しになりますけれども、その意図、趣旨、目的がそのとおりにどの程度利用されたのかということは、よく検証する必要があると思います。

[読売新聞]

第3弾という可能性はあるのですか。

 

【知事】

今の時点で第3弾を、いつからというのは考えておりません。ただ、経済状況がどのようになるのかということは、よくみて、必要な検討をしていきたいと思います。

 

[読売新聞]

全然関係ない話をお聞きしたいのですが、信楽高原鐡道ですが、2013年に上下分離に移行して、今年度が事業再構築実施計画の最終年度になるのですが、この10年間のこの上下分離による経営というのをどういうふうに評価されていらっしゃいますか。

 

【知事】

まず、信楽高原鐡道は、今お尋ねいただいたことの前に、1991年(平成3年)に大きな事故を起こし、多くの皆様方の尊い命を奪った、また失われたという線区でありますので、鉄道・公共交通の安全運行の1つの象徴として、私たちは大事にしていかななければならない線区だと考えております。

今お尋ねいただいたように、2013年に上下分離に移行しました。以降、10年間の鉄道事業再構築実施計画というものを定めて、その途中、2013年(平成25年)に大きな台風被害を受け、鉄橋が流されるというようなこともございましたけれども、そういうものも乗り越えながら、復旧も果たし、私の承知するところ、2019年度(令和元年度)まで7期連続で黒字を達成したということでございます。また、施設等を管理する第3種鉄道事業者である甲賀市が施設の更新、改良を概ね計画どおりに進捗させられたことから、経営の安定化、安全運行の維持に成果を上げられたと私は考えております。また、NHKの朝の連続テレビ小説『スカーレット』の放映等もありまして、残念ながらコロナで十分その効果を発現させることができなかったこともあるのですが、そういったことなどもあって、一部赤字も出しましたけれども、同様に赤字を出した他社と比べますと、比較的赤字額が抑えられたのではないかと受け止めております。

したがって、この計画をつくって実施した内容、10年間の財源として基金6億円を用意してやってきましたけれども、概ねその計画および基金を活用した事業というのは当初の目的を達したのではないかと思っております。ただ、大事なことは10年間で終わりではありませんので、その後、どのようにしていくのかということについて、現在、甲賀市とも、また国にもかけ合いながら考えているところであります。

 

[読売新聞]

県も基金を通じて補助してきたと思うのですが、来年度以降に何かしらの財政支援というのを継続するおつもりがあるのか。もし、するのであれば、その理由を教えていただきたい。あと、国の補助があると思うのですが、県も要望しているとは思いますが、その辺の見通しというのは、どうでしょうか。

 

【知事】

まず、最後にお尋ねいただいた国の支援について、継続的に要望はしております。とりわけ、こういった公共交通の置かれている状況、コロナもあり、人口減もあり、しかし必要なものについては手厚く支援をすべきと。鉄道事業再構築実施期間の10年間に限らずという趣旨の要求をさせていただいております。どのようなことがなされてくるのか。今の国会で法律改正審議も予定されているようですので、それは注視したいと思います。まだ、わかりませんが、最大限、国からの財源というのは活用していきたいと思います。

その上で、私たちが今どのように考えるのかということについては3点ありまして、1つはまちづくりとの関係。甲賀市が考えられているまちづくりとの関係性において、この鉄道ネットワークがどのような役割を果たしうるのか。2つ目は、それらは鉄道でなければならないのかということの整合性です。そして、3つ目は、県と信楽高原鐡道との関係性の中で、県がどの程度支援していくのかということの合理性を見いだしていきたいと考えております。いずれにしろ、冒頭で申し上げたように、事故を乗り越えて、災害を乗り越えて、そして一定の役割を果たしうる鉄道については県としても主体的な役割を果たしていかなければならないと思っておりますので、今、積極的に検討をしているところです。

 

[日本経済新聞]

トルコとシリアで大規模な地震がありました。県として、支援あるいは対応というのはお考えでしょうか。

 

【知事】

昨日から報じられている情報で、今お尋ねのあった、トルコ、またシリア等で大きな地震被害が出ているということでございます。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。東京都消防の方で第1陣が組成され、向かわれているという報道に接しておりますが、現在、まだ被害全容が明らかではないということもございます。そういった状況等を踏まえて、県としてできることがあれば考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

県立病院の経営形態の検討結果のことですけれども、知事は一昨年の議会では、独法化も視野に見直しを進めるということを表明したと思います。今回、専門部会とかの議論を通して、こういう現状維持、全部適用を継続するということになったことに関して、知事としてどのように受けとめておられますか。最初の表明、議会で言ったことと違う結論になったかと思うのですが。

 

【知事】

まず、県立病院は、それまでの大規模投資の影響等もございまして、資本収支の面でも相当大きな課題を抱えています。これは、現に抱えておりますので、そういう状況下で年度の収支もバランスさせて持続可能な経営をしていくということには深大なる問題意識を持って臨みました。したがって、その打開策として、経営形態はあらゆる選択肢を視野に入れながら、しなければならないという使命感の下、検討をスタートさせました。もちろん、そういうことも検討の選択肢に加えていただいたと思っておりますが、同時に、それは県立病院そのものの信頼性ですとか、そこで働く医師、看護師、職員、そういった身分や働き方にも大きな影響を与える事柄であるということ、また、そもそも今とっている全部適用というものが十分なしえているのかどうかということも含めて御検討いただいた結果として、まだまだやれることがあったのではないかという方向性に至ったのだと思います。

先ほど申し上げたように当座、この小児保健医療センターとの統合、一部スケジュールの見直しをさせていただきましたけれども、大きなプロジェクトも控えておりますので、こういうものも乗り越えながら、引き続き県民の皆様方の御期待、御負託に応えられるような病院のあり方、病院経営というものを追求していくことが必要だと思います。

[京都新聞]

もう1点、この病院のことでお伺いしたいのですけれども、独法化に対して、県の方でも専門部会とかの意見も参考にして、全部適用の継続を選択したということですが、その利点というのは、独法化に対して、現状の全部適用の方がどういうところで上回っていたと考えて、この選択をしたというのは言えますか。

 

【知事】

全てをわかりやすく、詳らか(つまびらか)に言えるかどうかわかりませんけど、メリット・デメリット(長所・短所)はそれぞれにあると思います。簡単に一言で言うと、県の関与、県としての主体性・責任性というものをより明確にしながら、引き続き経営するという面においては、独法化よりも全部適用の継続でさらなる追求ということの方があるのではないかと考えております。

とかく独法化にすると、何となく収支、採算、バランスが今よりも取れるという考えをお持ちになりますし、もちろん、そういう面もあるのかもしれませんが、県立病院というのはそれだけで回していけばいいのか。もちろん、医療そのものがそういうテーマの経営にはなると思うのですが、不採算、全県医療、政策医療、そういうことに対するニーズをくみ取りながら、かつ医療の高度化を図る、そのための設備投資をする、人材も確保しながら経営を回していくという面において、県の関わりということが独法化よりもより残るという面があるのではないかと思います。その分、担う、背負う責任も大きいので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 

[京都新聞]

今の県立病院について、もう1点だけお尋ねしたいのですが、昨年11月に専門部会が今回の検討結果に至る結論を導いたときに、知事は「現行の経営形態のまま経営の効率化とか機能向上を図るのは不可能ではないが、ハードルは非常に高いと思う」といった趣旨の発言をされたかと思うのですが、それは今回の検討結果を導いてくるにあたって変わられたのか、それともそうではないのか、そのあたりの御認識を教えていただけませんか。

 

【知事】

今、お尋ねいただいた、答申を受けたときの「現行の経営形態のままで改善を図ることはハードルが高い、また病院の経営改善が容易ではない」という思いは変わっていません。むしろ、正式にそういう表明をしたからには、この高いハードルをどうやって乗り越えていくのかということの思いの方が強いです。これは、ある意味では現行の経営形態を持ちながらやるということに対する県民さんの安心感・信頼感というのもあるのかもしれません。働くスタッフの皆さんの安心感というものも継続できたのかもしれませんが、一方、緊張感とか改革性とか先進性という面でどうだったのかということもございます。ただ、大きなプロジェクトを控えています。小児保健医療センターとの統合による統合メリットを最大限生かしながら、スタッフの専門性も上げていかなければならない。医療も高度化してニーズに応えられるようにしなければならない。もちろん、この3年はコロナでずいぶんの経営に好影響も与えましたし、経常収支は改善した面もあるのかもしれませんけれども、それを経た後の経営というものもまた考えていかなければなりませんので、さらにギアを上げて取組をしていかなければいけないというそういう思いです。

 

[京都新聞]

4年後に見直しの再検討をするということですが、その場合の検討方法も今回と同じように専門部会を立ち上げて検討されるようなことになるのでしょうか。

 

【知事】

その時にどのような形で検討するのかというのを考えたいと思いますが、こういった検討をする際には、部内・庁内だけの検討ではなくて、専門性ですとか、客観性を持たせるということは重要だと思いますので、そういう視点に立って検討のあり方についても考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

別のことでお尋ねさせてください。岸田文雄首相の首相秘書官がLGBTの方への差別的な発言で更迭されました。男性同士、女性同士の婚姻、同性婚を巡っては各地の裁判で法の下の平等が認められていないということで、違憲状態という判断が出ていて、国会での議論がすごく求められていると思います。

三日月知事は同性婚に対して、政治家としても賛成か反対かというのをお尋ねしたいのですが、どうでしょうか。

 

【知事】

憲法では定められている第24条ですか、定めはあると思うのですが、現状のそれぞれの皆さんの思いに鑑み、大きな流れとして、私はこういうことは認められてしかるべきだと思います。世界的にみても、社会的にみても、認められるように皆で考えていくというのがあるべき姿だと思います。したがって、今、それを乗り越えられない課題があるとすれば、どうやったら乗り越えられるのか。これは国政レベルでもそうですし、法律的な観点もそうでしょう。そして、国が動かないときに、地方レベルでどういったことができるのか。こういったことを考えていくということは重要だと思います。

 

[京都新聞]

いろいろな考え方がある中でも、三日月知事としては同性婚には賛成だという理解でよろしいでしょうか。

 

【知事】

私のスタンスは、包摂性のある多様性を尊重するということですので、この(性的指向・)性自認に関するテーマ、その婚姻、結婚というものに対する考え方についても、私個人の考え方としては、そういうものに対して寛容な、むしろそれを認めるべきだという考え方です。ただ、社会全体で様々な考え方があるということは、そうだと思いますので、その理解をどのように広げ、醸成していくのかというテーマだと思います。

 

[京都新聞]

今、県内の自治体でも彦根市をはじめ、近江八幡市でも同性パートナーシップ宣誓制度というものの導入を目指していますが、県としてこうした制度導入を後押ししていくようなお考えはありますか。

 

【知事】

私もこの3期目の政策提案の中で、社会・経済の健康の中に、人権尊重の社会づくり、その中にLGBTQに関する理解促進というものを入れて、県民の皆さんに信を問いました。3期目を当選させていただいて以降、ファミリーシップ制度のあり方、パートナーシップ制度のあり方、一部県内自治体でそれを認める動きがあることを踏まえて、県としてどのようなことができるのか考えようということで、担当部局等に指示をしているところでございますので、今後検討を進めていきたいと思います。

[朝日新聞]

今、新年度予算案をつくっていらっしゃって、さらに議会も控えて、職員の皆さんは非常に日々の業務が大変な上に、この年明けから大雪被害があったり、鳥インフルエンザの発生があったりして、深夜にもいろいろな業務が及ぶようなことが多々あったかと思います。報道機関も人のことを言えないですけども、帰りがけに見ると県庁に明かりがついていることがよくあります。こうして業務が非常に多く、日々を頑張ってこなしていらっしゃる県庁職員の皆さんの姿勢に非常に頭の下がる思いではあるのですけれども、こうした働き方改革というのは、もちろん今言われていますし、業務のあり方については、時代的に、あるいは社会的に求められるものというのはあって、職員の皆さんに対してもメンタルヘルスの重要性というのもあるかと思います。こうして働くことが求められつつ、しかもこういう働く人の健康を守らなくてはいけないという非常に難しいところであるかとは思うのですけども、こういう問題に関して知事としてはどういうふうなことをお考えになって、もしも変えるべきところがあれば、こういうところを変えねばならないという思いがあればお聞かせいただけますか。

 

【知事】

大変重要なテーマだと思っています。「健康しが」を追求する滋賀として、県民の皆さんとともに、県民の皆さんのために仕事をする県庁、とりわけ職員、これは会計年度任用職員も含めて、全ての職員が健康でやりがいを持って仕事ができるというのは重要なことだと思っています。したがって、2018年(平成30年)に「滋賀県庁健康経営宣言」を発しながら、関連する取組等を充実させているところです。例えば、職員アンケートも取りながら、どのような状況にあるのかということを踏まえた取組ですとか、(知事から職員への)メッセージですとか、イクボス宣言とかそういったものを今、具体進めているところです。

御質問の中にもありましたけれども、今新しい行政経営方針を立てる時期ですので、またコロナもあって、ポストコロナを志向している時期ですので、またDX等もずいぶん進んできている時期ですので、業務の見直し(そもそもしなければならないのか、しなくてもいいのか、しなければならないとしたら、やり方はこれでいいのかということ)を皆で考えているところです。例えば、小さい話ですけど、毎週、開催している県政経営会議は、以前は8時半から開催していましたけど、始業時間から開催する会議だと、始業時間前から準備して仕事をするということ前提でしたので、そういうものを変えてみる。まもなく、議会が始まりますが、答弁協議も時間外に行うことが前提でしたけれども、時間内でやるために議会側にもお願いして1日早く質問をいただいて答弁の調整をする。そして、それらを印刷するのではなくて、紙ではなくICTのツールで読めるようにする、これも議会にもお認めいただきながら、実施しているところです。

こういうことなど、小さい積み重ねかもしれませんけれども、業務のやり方・あり方の見直しを今行おうとしているところです。もっともっとできることがあると思いますので、それらを積み重ねて健康的な働き方ができるようにしていきたいと思います。

 

[朝日新聞]

業務の見直しですけれども、従来から県庁としてやるべきことというのは非常にたくさんあると思いますが、その見直しのやり方として、例えば市や町に全部任せてしまっていいのではないかとか、あるいは民間にアウトソーシングするとか、あるいは市民団体にお任せした方がいいという形で、ドラスティック(抜本的)に見直していくという考え方についてはいかがでしょうか。

 

【知事】

大きな方向性は、今おっしゃったようなことはあると思います。県が、また県の職員がやるべきことなのか、市町でできるのではないか、民間でできるのではないか、またDXで変えられるのではないかとか、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の仕組みも入れながら、人ではなくて、デジタルでできるようなことというのもあると思いますので、これはケースバイケースだと思います。ただ、総じてそういう視点に立って業務の見直しをするということは、これからもより強く志向していきたいと思います。

 

[朝日新聞]

職員の采配の問題ですけども、例えば何かプロジェクトがあったら、そこに職員当てればならないという形でやっていらっしゃると思いますが、例えばプロジェクト単位で、期間限定で正規の職員として雇用するという考え方というのは、県庁としては難しいのでしょうか。

 

【知事】

プロジェクト単位で人を当てて、一定年次ごとに仕事をしていくというやり方は県としてもやっています。ただ、そのために雇用する、それが終われば雇用を解くというようなやり方というのは、県としてはあまりやっていない。そういうものが、公務労働として適切なのかどうかというのはあるのかもしれません。

ただ、全て公務員でやることではなくて、推進協議会のようなものを立ち上げて官民共同でプロジェクトとして組成し、実施していくというやり方はあるのかもしれないと、今、御質問を聞きながら思いました。

 

[朝日新聞]

今、終身雇用制度からすごく流れも変わってきて、職業的にも流動化してきているわけなので、例えば大きなイベント、植樹祭とか、国体とかという年次が決まっているものについて、県の職員として異動してやらせるより、例えば3年間という形で経験やノウハウを持っている人、専門的な人にやってもらうというあり方があると、職員を増やさずに適正な業務ができるという、今までと違う形も考えられるかと思ったのですが。

 

【知事】

今、御質問を聞きながら、そういうやり方というのもあるのかというふうに思いました。ただ、コアになる部分を公務員が担いながら、外部に委託発注できる部分は外部に出していく。そして、また一緒にプロジェクト全体として説明責任を果たしていくということも必要なのかもしれませんので、そのことがどれだけ人を多く雇わずしてプロジェクトを完遂できるのかということに資するかは、今、明確に答えを持ち合わせていません。

いずれにしろそういう視点に立った仕事のやり方というのはたくさんの分野であると思います。今回のコロナ対応もこの第8波まで、いろいろとそういう視点も入れながらやってきました。保健所の業務を、人を増やしてやるのではなくて、外部でお願いをしながらやるということも経ながら乗り越えてきましたので、これからもそういう視点を持って仕事のやり方を変えていきたいと思います。

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