令和5年1月10日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
今年も10日目となりました。今日もよろしくお願いいたします。
週末はいろいろな年賀行事、また成人式、消防出初め式などが行われました。私自身も県の幹部も手分けしながら出席いたしましたけれども、関係対応に当たってくださったスタッフの皆さんに感謝申し上げたいと思います。
コロナの状況は、まだ増加しているという状況です。聞いていますと、ピークアウトもまだではないかということでございます。病床使用率は8割前後で推移しておりますので、現場の状況はひっ迫していると言わざるを得ない。また、高齢者の療養施設、宿泊療養施設につきましては2か所目を開設し運用いただいておりますが、いずれも大変多くの方々が御利用されているという状況です。
寒くなってきて、季節性インフルエンザの感染が高まってきているという状況にあるようでございまして、(週あたりの患者報告数が)1.0を超えると流行期という状況の中で、滋賀県も0.97と1.0に近づいてきていると。既に1.0を超えている都道府県が47都道府県中30ということでございますので、この1月中旬から下旬にかけまして、季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されるという状況がございます。改めて皆様方にこれまで取っている対策と同様のものでございますが、基本的な感染対策をしっかり行うこと、高齢の方、基礎疾患をお持ちの方は特に重症化すること、また重症化して死に至ることなどもあるようでございますので、体調の悪い方は早めに受診していただくなどの対応を呼びかけたいと思います。
段々と季節性インフルエンザと変わらなくなってきたのではないのかという観測もあるようでございますが、県の担当専門家いわく、やはり以前のデルタ株ほどではないにしろ、オミクロン株であれ、季節性インフルよりもまだまだ怖いウイルスであるという認識を持たなくてはいけないということでございます。ぜひ、改めて注意・対策を皆さんに呼びかけたいと思います。
また、特に20代の感染者が増えているということが顕著であります。年末年始の移動、また成人式等の行事、こういう影響が今後1月中旬から下旬にかけて出てくることも予想されますので、この点もそれぞれの年代から、特に高齢者にうつさない配慮などについても協力して取っていきたいと思います。
ワクチン接種につきまして、現在、「年末年始ワクチン接種促進強化期間」ということで設けておりますが、これが1月16日までということでございますので、状況を確認いたしまして延長も含めて対応を検討したいというふうに思っております。また、併せて鳥インフルエンザも例年になく各地で発生し、殺処分も増加ということでございますので、この点も改めて注意喚起を現場と共有しているところでございます。
そういう中ではございますが、今日から全国の旅行支援「全国版今こそ滋賀を旅しよう!第2弾」が始まるということでございます。今日から3月30日までの旅行宿泊につきましては、3月31日のチェックアウトの旅行までを対象といたしまして最大7,000円、これは割引補助5,000円と周遊クーポン2,000円を入れた形で実施いたします。これに加えまして滋賀県では、旅館やホテルの公式ホームページ、電話による直接のお申し込みで1人1泊あたり5,000円以上の場合に、滋賀県独自で上乗せクーポン2,000円分を提供するということでございます。例年、この年末年始明け、特に1月の中下旬から2月にかけましては、観光の動きが鈍る時期でもございますし、この8波の、(陽性患者が)なかなか減らない状況を受けて冷えてくることも勘案し、この「全国版今こそ滋賀を旅しよう!第2弾」を利用しながら「シガリズム」を体感いただければというふうに思っております。
お手元資料にございますように、第4回「北部の日」を高島で実施いたします。高島での実施は昨年11月に続いて2回目ということでございます。自然環境豊かな場所、またその地域に暮らす人々、行き交う人々、生業(なりわい)にもスポットを当てながら、様々な取組を体験、交流、交歓する機会になればと思います。現地での活動は記載のとおりでございます。前回同様、北の近江振興プロジェクトチーム、秘書課等の職員が同行しながら、知事である私だけではなくて様々な交流、交歓ができるようにしたいと思いますので、お忙しい時期だと思いますが、取材活動等、御協力、御参加いただければ幸いでございます。私からは以上でございます。
[びわ湖放送]
「北部の日」ですが、これまで3回やってこられたということですけれども、その3回でみえてきたことには、どういったことが挙げられるでしょうか。
【知事】
3回のみならず、知事の短期移住もそうです。様々な取組、また、選挙期間中の活動などもございまして、北部地域には多くの課題があると思っております。ただ、その課題というのは、裏返せば先進地域であることからくる可能性でもあると思っておりまして、例えば人口減少ですとか、他の地域よりもより進む高齢化の問題ですとか、さらには生まれてくる子どもの数の問題ですとか、こういうことをどのように捉えるのか。このことがまず1つ目。
そして、以前も言ったかもしれませんが、働く場所ですとか、働く機会、そして学ぶところといったことについて、夢や希望、ある意味では裏返せば不安を語る方がいらっしゃいますので、こういうことにどのように向き合っていくのか。
また、北陸新幹線の敦賀駅開業が間近に迫ってきまして、北東の玄関口である東海道新幹線の米原駅の徹底利活用を言っておりますが、ダイヤの減便などもございましたが、それとつながる近江鉄道や北陸本線を生かしながら、どのような活性化策をつくっていくのか。こういった事々がテーマとしてあるのではないかと思っておりますが、県だけでは進みませんので、当該地域の市町がどのような計画をお持ちになっているのかなど、様々な意見交換の中で何か一緒にできる取組をつくっていければと思っているところです。
[びわ湖放送]
何か一緒にという具体的な動きというのは、いつごろ動くのでしょうか。
【知事】
予算を今、最終の見積もりをしながら精査し、査定をかけながらつくろうとしておりますので、その公表と併せて、一定、皆様方に御提示できるものもあるのではないかと思っております。今、申し上げたようなことを中心に、何か形づくれればと考えているところです。
[京都新聞]
全国旅行支援の関係でお尋ねします。先ほど、冒頭にも「全国版今こそ滋賀を旅しよう!第2弾」が今日からというお話がありましたけれども、一方でコロナの状況もピークアウトがまだで、まだしばらく感染者の多い状態が続きそうだということですが、この感染者の状況と旅行の拡大というのと、どのように両立していくかというところで、感染者数の増加がどれぐらい、病床使用率がどれぐらいになったら「全国版今こそ滋賀を旅しよう!第2弾」を止めるとか、そういったお考えはありますでしょうか。
【知事】
感染された方々の登録ですとか、また、その治療・療養というものは、今あるシステムを、例えばコントロールセンターを含めて、しっかりと運用させながら、どれぐらいの方が感染されているのか、されていないのか。必要な医療、しっかりと提供するということに尽くしていきたいと思います。と同時に、以前から申し上げていたことですけれども、対策を取りながら経済、社会、文化活動と両立する、より両立した形で社会活動を回していく。その1つの取組として、この「今こそ滋賀を旅しよう!」というものがあると思っておりますので、感染状況を注意深くみながらも並行して運用できるようにしていきたいと思っております。現時点で病床使用率の数字に何かラインを設けて、それよりも上になればこうしようというプランを持っているものではありません。
現時点、確かに用意いただいている病床に比して、また他の都道府県に比して高いレベルで(病床を)使っていただいている状況ではございますが、もちろん関わっていただいている方々には多くの御苦労をかけていますが、必要な医療は提供できている。定時的に観測しております救急搬送の状況をみましても、今のところ、大きな支障がある状況ではございませんので、何とかこの状態を保ちながら乗り越えていければというふうに考えております。
ただ、冒頭で申し上げたように、季節性インフルエンザの感染状況が広まってきまして、同時流行の可能性が1月中旬から下旬にかけて高まってきているということをみますと、病床なり病院のひっ迫状況というのはより厳しく、よりひっ迫した状況になる可能性がありますので、この1週間、2週間の状況は注視したいというふうに思います。
[京都新聞]
病床使用率については、線(取り止める基準)というのは設けないということですが、県独自の警戒レベル、今はレベル2だと思うのですが、それを引き上げるような検討に入ってくるときやレベル3にしたときにはストップするというようなお考えもありませんか。
【知事】
病床の使用率もそうですし、救急を含めた医療アクセスの問題、これがどういう状況になっているのかというのをみた上で、レベル判断することも避けずに選択肢として考えていきたいと思います。ただ、その際に(レベルを)上げたときに何をするのか、何を言うのかということについては、そのときの状況をみて考えていきたいと思います。
[共同通信]
1月4日に、東京の小池知事が0歳から18歳までの子ども1人あたり5,000円の給付をしたいと、当初予算に組み込むというようなお話がありました。滋賀県も「子ども・子ども・子ども」ということで力を入れていこうということだと思いますが、何かこのような計画があるとか、もしくは小池都知事の施策に対する所感みたいなものがあればお聞かせいただきたいです。
【知事】
それぞれの都道府県にはそれぞれの都道府県の方針とお考えのもと、またそれらを実施することに許される財政状況等もございますので、その中での御方針ではないかと受け止めております。まず、質問にお答えしますと、現時点、滋賀県で同様のものがあるかというとございません。ただ、大きな流れとして、国もそうですし、都道府県、市町村もそうですけれども、この子どもたち、若い世代、次世代に対してどのような考えで、どのような施策をやっていくのかというのは問われ試されていると思いますので、その中で様々な知恵を絞りながら施策をつくっていくということだと思います。
このテーマの取組は都道府県ごとの財政状況による差が出ていいものではありませんので、国全体で一律でどこまで上げていくのかということを、今、国でも財源とともに検討しようという方針が年初からはより強く打ち出されておりますので、そういう中でどのような施策がつくられてくるのかということも期待したいと思います。
[共同通信]
緊急的にお金で子育てを支援するという方法はわかりやすいものとして1つあると思うのですが、知事が少子化を止めるためにお金を給付するということ以外に大事だと考えていらっしゃる施策は何かあるのでしょうか。
【知事】
これは大変難しいテーマだと思うのですが、当然、経済的な支援、また緊急的な支援、今は物価高またコロナ禍でもございますので、こういうものが一部有効であるということは認めます。ただ、それがどの程度までお届けできるのか、そして一時的ではなくて恒常的に制度がつくれるのか。こういったことも、ワンショット(1回きり)ではなくて、課題としてあるのではないかと思います。と同時にどういうことが必要だと思うかというときに、私はよくこのテーマで「急がば回れ」と言うのですが、何人子どもがいたらいいとか、そういう考えもしくは行動というものは簡単に変わるものではありませんので、社会的な雰囲気の醸成といいますか、病気の子どもも障害のある子どもも女性も男性もその人として受け入れられる状況ですとか、また育てやすさ、育つことを応援していただく環境だとか、そういうことがすごく大事なのではないかと思います。したがって、そういうものをいかに形づくっていけるのかということが「パートナーとの間の子どもは1人だけではなくて2人いたらいいね」という行動に結びつくのではないのかと思っています。
[中日新聞]
年末からワクチン接種の推奨期間として呼びかけを勧められてこられたと思うのですが、知事は現在の接種率をどのようにみておられますか。
【知事】
1月5日登録分までで、接種率が滋賀県はオミクロン株対応ワクチンで35.1%ということで、特に65歳以上は62%と増えているのですが、例えば12歳から39歳は18.8%と20%を下回っている状況でございます。これは「かかってもそんなにしんどくないのではないか」ということでありますとか、「何回も打つのは嫌だ」とか、「打ったら副反応が出るのではないか」とか、そういったことも影響して接種率が伸びていないのではないかと思います。この強化期間設定以降、あと1回打とうということで「かかるよりかからない方がいい」「かかっても重症化しない効果もある」ということでワクチン接種を呼びかけているところであり、そのための窓口なども様々な工夫を凝らしながら充実させているところでございますので、この対策はもうしばらく続けていく必要があるのではないかというふうに思っております。季節性インフルのワクチン接種と合わせて呼びかけを強化していきたいと思います。
[中日新聞]
強化期間としては1月16日までで、一旦、終わりがみえていると思うのですけれども、新たに呼びかけを続けられるような状況というのはお考えでしょうか。
【知事】
先ほども申し上げたように、県広域ワクチン接種センターは当面、3月20日まで実施期間を設けておりますし、促進強化期間は1月16日で終わるのですが、季節性インフルエンザとの同時流行の懸念、可能性といったものが増えてきたということでありますとか、なかなかまだまだ打たれていない、打てていない方々もいらっしゃるようですので、引き続き、この促進を強化して呼び掛けていく必要があるのではないかと思います。最終、いつまでどのような形で呼びかけるのかということについては検討していきたいと思います。
[中日新聞]
医療体制についてですけれども、これまで病床使用率などを含めて医療非常事態宣言等を発令されるようなこともあったかと思うのですけれども、現段階ではお考えにはない状況でしょうか。
【知事】
この時点で医療の非常事態を宣言するということは考えておりませんし、今後の状況をみて、必要な呼びかけ、またそのための宣言は検討していきたいと思います。以前に比べまして、確かに御用意いただいている病床の使用率は8割前後で推移して、この先「大丈夫かな」「かなり多くの人が入院しているのだな」という状況はございます。ただ、コントロールセンターを中心に、もちろん施設内療養、御自宅での療養も調整、相談、コントロールしながらではございますが、運用できている状況でございますので、かつ、それ以外の救急搬送の状況などもみながら全体方向性は探っていきたいと思います。この時点で何か(宣言を)出さなければいけないという状況ではないと思います。
[朝日新聞]
まず、新型コロナのことでお尋ねします。年末年始は様々な医療機関に協力を呼びかけて、発熱外来などのひっ迫に対する対応を取ってこられたということで、今のところ必要な医療が提供できているというような知事の評価だったと思います。今は通常の体制に戻っているとは思うのですけども、知事もおっしゃいましたようにこれから季節性インフルエンザとの同時流行ということもあれば土日や祝日も非常に厳しい体制になってくる可能性も考えられると思います。年末年始にやったような、一段上の医療充実させるための対策というのは考えていらっしゃいますか。
【知事】
おかげさまで年末年始、医療機関、現場の診療所等にも御協力をいただいて、何とか乗り越えることができたのではないかと思っております。ただ、この年末年始の状況をみて、今後どうするのか、直近の感染状況も前提にということについては、この3連休の後、年末年始の移動、その後の感染、そして成人式の影響等もみた上で、ここ2、3日でどう出てくるのか、出てこないのか。今週が今後の対策をみていく上で重要な期間になるのではないかと思います。全国でも過去最多を更新するような都道府県がたくさん出ていますし、医療機関のひっ迫状況も、数字で季節性インフルエンザ(の週あたりの患者報告数)が1に迫ってきているということであれば、現場では以前よりももっと高いレベルにあることも想定しながら、今週の状況をみた上で今週末から来週にどのような対応を取っていくのかを考えなければいけないと思っております。
[朝日新聞]
それと経済政策についてお尋ねしたいと思います。県の経済政策は国の経済政策とは無縁ではいられないとはもちろん思うのですけども、岸田首相の年頭の記者会見で、想定されたトリクルダウンは起きなかったということで、事実上アベノミクスから岸田首相の持論の新しい資本主義による経済政策へというふうに取り組んでいくということを首相が述べられたわけです。ちょうど、三日月知事の1期目と2期目というのが、ちょうど第2次安倍政権のアベノミクスを打ち出した時期と大体一致していると思います。知事としてはこれまでのアベノミクスについてはどのような評価をされていますか。
【知事】
2014年の選挙のときには「3本の矢、3本の矢」という、とても勢いのある初期のアベノミクス隆盛期でしたので、相当そのことがもてはやされました。その実施とその後の取組によって一定の効果はあったのかもしれませんが、例えば私たち県民感情、国民感情からすると、言い方として矢だの槍だの強硬なものよりももっと優しい政策がいるのではないかということですとか、もう少し日常の生活レベル、感情レベルに落とし込んだときにどのような言い方が必要なのかということを考えて、私は就任以降、「新しい豊かさ」を皆で追求しませんかという呼びかけ、投げかけをしてきました。今だけ、モノだけ、お金だけ、自分だけの豊かさではなくて、心で実感できる、将来も持続的に感じられる豊かさというのを滋賀からつくっていこうということを提唱してきました。
アベノミクスそのものの評価はもう少し歴史と歴史の中で出てくるものではないかというふうに思っております。滋賀県は滋賀県らしく、そういうものに、ある意味では対峙し、ある意味では独自につくっていくような視点も持っていたいと思います。何といってもマルチステークホルダー・キャピタリズムの原点は「三方よし」ですので、商人、県民中心に下流のことを思ったり、周りの人のことを考えたり、人間以外の生き物のことを考える行動様式というのは多くの方が持ち合わせ実践されておられますので、このことを再評価しながら発信強化していくということも考えていきたいと思っております。
[朝日新聞]
岸田首相の新しい資本主義としては「成長と分配」の好循環を目指すというふうに言っていらっしゃいますけども、岸田首相が掲げている新しい資本主義ということの取組については知事としてはどういうふうにみているのかということと、これにどのように滋賀県の経済政策というのを合わせて取り組んでいこうと考えていらっしゃいますか。
【知事】
成長を志向し、その成長の果実を分配で広く行き渡らせるようにする。ややもすると、それ以前の経済政策が成長重視、成長一本槍で分配が十分ではなかったという点に立脚するならば、私は成長と分配の好循環というのは、違和感なく受け入れられる方針だと思います。ただ、他の国に比べて、以前の時代に比べて成長というものが少し変わってきている、期待できないということをどのように考えるのかということが、まず1つあると思います。人口減少下での成長、以前よりも老いている国における成長というものを、どの指標で、どのように求めていくのかということの前提が変わってきていますので、ここをまず整理する必要があるのではないかと思います。そういう意味で、滋賀県はまず人づくり。あらゆる分野で、様々な産業や暮らしなどを担う人をつくること。このことにまず力点を置くということと、コロナもありましたし、例えばモノづくり産業のサービス化も進んでいる、様々な分野でGX・DXというものも求められておりますので、やはりあらゆる分野のイノベーションとチャレンジを応援していくような舞台づくり、土台づくり、こういうことをしていく必要というか、可能性というのがあるのではないかと思っています。これをぜひ来年度の施策などでも打ち出していければと思います。