令和4年12月13日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。
だいぶ寒くなってきました。それぞれに御自愛ください。以前からお知らせしておりましたとおり、武村元知事の御逝去を受けまして、改めて県政を振り返り、次世代へつなぐ企画展を今日から開催しています。先ほどオープンいたしまして、私も改めて見てきたところでございます。展示内容は武村県政での琵琶湖施策や「うみのこ」の就航、中国・湖南省との姉妹友好提携の締結といったようなことなど、様々な施策の写真パネル、当時を振り返る映像など約50点を展示させていただいております。期間は本日から12月19日の月曜日まで、土日を含む7日間となっております。時間は午前10時から午後4時まででございます。御都合が許す方は御覧をいただければと思いますし、様々に思い出されることを御記入いただいて投函いただくコーナーも設けておりますので、県政150周年を機に、また県史編さんの材料としても、ぜひ皆様方のいろいろな御記憶、お思いなどをお寄せいただければと存じます。
コロナにつきましては、今日は申し上げることはないですけれども、先ほど行われた経営会議でも(話がありましたが)、以前の波のように大きく増えないけれども、ずっと減らない状態で続いているという状況です。また、ベッドコントロールにつきましても病床使用率が70%前後で推移しております。今日からヴォーリズ記念病院での宿泊療養施設が新たに開設されます。後ほど取材の機会があるようですので、御覧をいただければと思います。このことによって、ピアザ淡海だけでしたけれども、北部地域の方などは御移動の距離もかなり短くなるということで、運用の改善が図れるだろうということでございます。また、入院中に病院だと、どうしても日常生活動作(ADL)の機能が低下される方が大勢いらっしゃるようですので、そういったことを少し改善する、克服していくための施設として有効に活用していきたいと思っております。
それでは資料に基づきまして3点申し上げます。
まず、1点目はコミュニティバスの時刻や経路もGoogleマップで検索できるようにしていますということで、今般、東近江市内のコミュニティバス運行情報の見える化が完了しましたというお知らせでございます。目的地までの移動手段、経路を調べる際に多くの方がGoogleマップを利用していらっしゃると思いますが、検索対象となっていないバス路線は存在しないとみなされて、経路の候補に挙がってこないということがございます。このため、「駅からの移動手段がないなら車で行こうか」ということになって、電車利用もなくなってしまう、利用があっても少なくなってしまっているのではないかという問題意識がございました。
そこで、コミュニティバス(コミバス)路線の多くが経路検索サービスに未対応であるため、今年度、県が主体となってデータの整備を進めております。東近江市以外の未対応の路線についても、具体的に申し上げれば、草津市、栗東市、守山市、野洲市、湖南市、近江八幡市、長浜市、高島市のコミバス路線につきましては、今年度中に経路探索ができるように取り組んでいます。この事業によってMaas(Mobility as a Service)のレベル1、まず情報の統合、すなわち利用者に料金や時間、距離など、各移動主体に関する様々な情報が提供されている状態という第一段階が県全域で達成されると考えております。
このMaasにつきましては、公共交通の利便性向上等、利用促進に向けた重要なツールの1つだと考えております。今年度中に、まずその基盤を整えて、県内全ての公共交通がGoogleマップ等の経路検索サービスで検索できるようにする。先ほどの地図にもありましたように、以前、(検索情報が)なかったときは、「ラコリーナ」から菜の花の綺麗な「あいとうマーガレットステーション」に行こうと思ったら、以前まででしたら、「ラコリーナ」から近江八幡駅まで行って、そこからものすごく遠回りなバス路線しか検索されなかったという問題点があったところ、コミュニティバスの路線も入り込むことによって「近江八幡まで行きましょう」「そこから近江鉄道に乗りましょう」「そこから先は東近江市のコミュニティバスがあいとうマーガレットステーションまで行っていますよ」という情報に変わります。そうすると、「車で行こうか」から「バス、近江鉄道、バスで行こうか」ということになることを期待しておりまして、結果、運賃なども安くなったり、所要時間も短くなったり、また何よりCO2排出という面で貢献されたりすることがございますので、こういうサービスをこれからもどんどん進めていきたいと思っております。ぜひ、Maasのレベルアップを視野に入れながら、様々な交通手段がスムーズに接続することで、県全体の交通の利便性が向上するよう、利用が促進されるよう努めてまいりたいと存じます。
2つ目は1つの話題提供にたくさんの情報が入っているのですが、カーボンクレジット、CO2ネットゼロの取組です。資料を御覧ください。県では、滋賀県産J-クレジットを「びわ湖カーボンクレジット」と称しまして、クレジットの創出・活用を促してきております。このたび、県の制度といたしまして「びわ湖カーボンクレジット登録制度」を設けまして、登録を行っていただく。また、このクレジットを創出および活用する事業者等の取組の信頼性も高め、さらなる普及促進を図っていきたいと考えております。また、登録された事業者等の取組を新設いたします県のウェブサイト「ゼロナビしが」上に掲載いたしまして、見える化を図ることでクレジットを創る人と使う人同士のマッチングも促進していきたいと考えております。
これまで御利用いただいた会社様の一部を紹介しますと、株式会社日本旅行ではJRのセットプラン、カーボンゼロということで、旅行商品にカーボンオフセットの仕組みを取り入れられているということでありますとか、日本電気硝子株式会社様とか滋賀銀行様などにも既にお取り組みいただいております。こういった事業者の取組をきちんと登録して「見える化」して、さらにマッチングを広げていきたいという趣旨でございます。
また、以前にもお伝えしておりますけれども、本日、事業者・団体を中心といたします「ネットゼロフォーラムしが」が発足いたします。午後に、第1回のフォーラムがピアザ淡海で開催されますので、御取材・御参加いただければ幸いでございます。また、資料にありますとおり、年明け1月14日の土曜日には「しがCO2ネットゼロフェスタ」を開催いたします。こちらは、いろいろと楽しいイベント、遊びからこのCO2ネットゼロのことが学べる・体感できるというようなこともありますので、多くのお子さん、また御家族にも御参加いただければと思います。1月31日までを「しがCO2ネットゼロムーブメント推進強化期間」に定めておりますので、こういった取組を実施することにより、さらに多くの方々にムーブメントを広げていきたいと考えているところでございます。
最後は、彦根城の世界遺産登録に向けた情報発信についてということでございます。先般、「風流踊(ふりゅうおどり)」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。滋賀県の宝が新たに世界に向けて発信されることにもなりました。ケンケト祭りとか、サンヤレ踊りとか、私も見たことがありますけれども、非常に風流な踊りだと思います。世界に向けて発信する遺産ということでいえば、彦根城の世界遺産登録でございますが、来年3月の推薦書素案の文化庁への提出に向けて、より一層ギアを上げて県内全体で機運を高めていきたい。その一環といたしまして、情報発信の取組について、今日は3点をお知らせいたします。
まず1点目は、世界に向けた取組として、明日12月14日から英語版ウェブサイトを公開いたします。これにより、海外の方々に彦根城の価値や取組を知っていただくきっかけとしたいというのが1つ目。
次に国内に向けた取組として、バージョンアップしたパンフレットを発行いたしました。彦根城の世界的価値を説明するために必要不可欠な彦根藩主井伊家についての記述や、地域住民との関係が伝わる彦根城写生大会の紹介を加えたところでございます。
最後に、今週末12月18日の日曜日には、「彦根城の世界遺産と地域づくり」と題したシンポジウムを開催いたします。ぜひ、多くの皆様と彦根城の世界遺産登録に向けた活動内容を共有し、本県の豊かな歴史・文化を生かした地域づくりにつなげていくきっかけとしたいと思います。滋賀に、関西に、全国に、世界に、それぞれに向けた取組を重層的に展開いたしまして、早期の登録を目指し、時期を逃さず、学術面の説明のブラッシュアップや県内の機運醸成を進めていきたいと思います。
今年の漢字が「戦」ということでしたけれども、このパンフレットを開いていただきますと書いてありますように、この時代に先駆けて彦根城というのは戦わない城としてつくられて、そして世を治めた。人々の心の安寧の中心になったのではないかと私は考えておりまして、そういった意味と価値を改めて解きほぐしながら、きちんと体系立ててまとめて説明しながら、皆様方にもお知りいただきたい、学んでいただきたい、また、後世につないでいきたいと考えているところでございます。私からは以上でございます。
[びわ湖放送]
新型コロナですけれども、明日から寒くなるということでインフルエンザとの同時流行というのが懸念されるところではありますが、現在のインフルエンザの方の状況というのは、まだまだこれから寒くなってからだとは思うのですが、いかがでしょうか?
【知事】
心配していたのですけど、コロナと付き合い始めてから3年目になりますが、これまで1年目、2年目はほぼ季節性インフルエンザは流行ってこなかった。3年目の今年は、南半球のオーストラリアで大きい波があったので心配し、警戒し、皆様方にも注意喚起しているのですが、今のところ、流行はみられていない。また、まだ流行期にも入ってないのではないかということでございます。ちなみに、定点医療機関当たりの報告数をみますと、全国で0.13、滋賀県は0.17。1.0を超えると流行ということですけど、まだこの数字で推移している。ただ、おっしゃったように寒くなってきたり、抵抗力が落ちてきたりすると、どうしてもウイルスに負けてしまうことがございますので、基本的な感染対策を取りながら、栄養・休養を十分にとって免疫力を保っていただくということが重要ではないかと思います。
[びわ湖放送]
ワクチンですけれども、三日月知事は「もう1回だけ打ってほしい」ということを何度もおっしゃっていますが、12月11日時点でオミクロン株対応ワクチンの接種率が28.1%と公表されているかと思うのですが、この数字をどのように御覧になっていますか。
【知事】
11月に入ってから中旬以降、多くの方々が接種に来られているという状況は報告として受けていますが、1回目、2回目、3回目に比べるとまだ少ないという印象を持っています。したがって、「あと1回打ちましょう」という呼びかけをさらに粘り強く進めていく。思わぬところでかかりますので、かかると熱が出てしんどい、また周りの方にも影響する、自分の生活や仕事にも影響するということがございますので、それを防ぐためにもワクチンを打って、年末年始に、そして冬の厳寒期に備えていこうということを呼びかけていきたいと思います。
[びわ湖放送]
彦根城の世界遺産を御紹介いただきましたけれども、もう2024年の登録というのがなかなか難しいという話が出てきて、先ほど知事も早期の登録を目指してとおっしゃいましたけれども、何年を目指すとか、その後の状況というのを教えていただけますか。
【知事】
詳しいことは担当者の2人に詳しく聞いていただければと思いますが、今年度、推薦書素案(包括的保存管理計画素案)を文化庁に今年度中に提出したいと考えておりますし、来年の5月には文化庁文化審議会による2年前ヒアリングというのを受けたいと思います。そうしますと、来年の夏には国の文化審議会、世界文化遺産部会で暫定リストの審議が行われる予定。そうしますと、国から来年の秋頃にはユネスコに推薦書暫定版を提出、いわゆるエントリーが行われ、来年中には国内推薦の閣議決定が行われる予定。ここまでいきますと、令和6年(2024年)には現地調査などがイコモス(国際記念物遺跡会議)によって行われ、令和7年(2025年)には最速で登録がかなうのではないかと思っております。これはあくまでも国から示されたものではなくて、従来のスケジュールからの想定として、そういう想定を持ちながら、鋭意準備を進めているということです。
[びわ湖放送]
2025年ということですが、改めてそこに向けての決意をお願いできますでしょうか。
【知事】
彦根城が持つ文化的価値、また世界に発信する意義、こういうものをしっかりと私たちは改めてまとめ、皆様方に表現し、お伝えする努力をしていきたいというのがまず1つ目。
そして、2つ目といたしましては、これは彦根のことだけではなくて、滋賀県の大切な文化遺産、文化財資源として、改めて学び、磨き、皆の登録にするための機運醸成をしっかりと進めていきたい。こういったツールはそのための一環のものでございます。
そして、3つ目は、登録されて終わりではありませんので、むしろ登録されて、さらに取組を進めていくということが重要だと思いますので、例えば教育面の取組、観光面の取組、様々な取組を今からつくり、そして認定される前から様々に進め、認定後にぐっと上げていけるような取組が必要ではないかと思っております。そのためのストーリーやナラティブを皆にわかりやすく、改めてまとめてお伝えしようじゃないかと。それぞれの方に届くメッセージというものをまとめていこうということを呼びかけているところでございまして、取り組んでいるところです。
[読売新聞]
近江鉄道について質問させてください。近江鉄道は今、おそらく年間6億円ぐらい出して維持管理をしていると思います。上下分離になって以降は、近江鉄道線管理機構が維持管理を担うことになるかと思うのですが、現状、近江鉄道が必要最低限度の維持管理しかできない状況かと思います。管理機構の性格について確認させていただきたいのですけれども、管理機構が保有して以降、現状の近江鉄道の維持管理費を単に肩代わりするのか、あるいはプラスアルファで予算を出して施設の補修だとか、そういったことを進めるのか、その辺はどういうふうに見通しを持っていらっしゃいますか。
【知事】
まだ、その点はこれからです。おっしゃったように上下分離いたしまして、12月27日だったと思いますが、第3種の鉄道事業者として、いわゆる「したもの」を管理する鉄道施設管理団体を設立いたします。そして、第2種鉄道事業者の近江鉄道株式会社と上下分離で、時には上下一体で様々な運営を行っていくということになります。例えば、安全のための施設整備ですとか、サービス改善のための取組、これは運行主体である鉄道会社だけではなくて、施設を管理する主体とも密接に関わることですので、コミュニケーションを密にとりながら、かつ、何か対策を取ろうと思うと費用がかかるわけですから、そういったものをどのように分担し合っていくのか、また期間がかかるとすれば、どの段階でどのレベルまで目指していくのかということなどをよく協議して進めていくことが重要ではないかと思っております。
[読売新聞]
近江鉄道株式会社がどういう維持管理をしているのかとかを把握した上で、現状維持の費用にするのか、あるいはプラスにするのかを考えるということでしょうか。
【知事】
令和6年度からこの新しいスキームでスタートするのですが、令和3年度、令和4年度、令和5年度の3か年をかけてより良い状態にした上で令和6年度以降を迎えようということで、近江鉄道は近江鉄道で今の全てを管理する段階で様々な設備投資でありますとか、サービス改善のためのいろいろな取組をやっていただいております。それらが令和5年度でどこまでいくのかということを確認して、そして上下分離で何を管理機構に移し、何を近江鉄道が持つのかという分ける作業を鋭意行っているところです。それがどのレベルで受け継がれるのか、そして、その後、目指すレベルとの差を何年間かけて、どちらがどのように埋めていくのかという作業をこれから行っていくことが必要だと思っております。
[読売新聞]
利用促進でいろいろな取組をされていらっしゃることは承知しているのですけれども、一般にその鉄道の利用客を増やそうと思うと運賃を下げるか、運行本数を増やすかというところだと思うのですが、そのあたりの見通しといいますか、令和6年度(2024年度)以降ですけども1年少ししかない中で、調査研究とかも含めて運賃引き下げ、あるいは運行本数の増加等々の見通しというのはどういうふうにみていらっしゃるのでしょうか。
【知事】
来年度に、それぞれの自治体、そして県も含めた自治体でどういったことができるのか、予算づくりの際に精査・調整しているところです。また、近江鉄道株式会社の取組とどのようにリンクをさせてそれらを行っていくのか。そして、やはり、来年度の取組というのは再来年度の新しいスキームに向けてのホップステップジャンプのステップになってくる年でもありますので、とても重要な年になると思っています。おっしゃったダイヤもしくは運賃、サービス、そういったものの改善を来年度で全てすることは難しいですけれども、どういったことができるのかという令和6年度以降につながる年になるのではないかと思います。そのあたりよく詰めて、準備・企画していければと思っております。
[読売新聞]
ダイヤを変えればいいというものはないと思いますが、そのあたりは運賃も含めて、来年度にある程度シミュレーション等々でやるというイメージですか。
【知事】
今、私が何かここで確たることを申し上げる準備と資料はございません。ただ、かねてから運賃面の課題は指摘されておりますし、特にダイヤにつきましては、米原、彦根、近江八幡、貴生川などでJRと結節、SKRと結節しているのですけど、その辺りの結節の接続がもう少し良くてもいいのではないかということがございました。春には、毎年ダイヤ改正も行われ、いろいろな改善がされるときに、近江鉄道がどこまでついていけるのかということも1つの課題になっていくと思いますし、当然、増便すれば費用がかさむので、そういうものと利益との兼ね合いというのがバランスするのか、しないのか。そのあたりをよくみていく必要があると思います。
[毎日放送]
コロナについて伺いたいのですが、今、病床使用率が関西の中でも滋賀県が高い方になっていまして、そういったことについて理由はどのように考えていらっしゃいますか。
【知事】
滋賀県では、コロナの対策が始まったときからコントロールセンターというものを設けて、24時間、全県をセンターで一括してベッドコントロールをしています。それによって必要な方には入院して治療が受けていただける環境というのを整えておりますので、病床がむしろ使える状態にあるときには必要な方により手厚く使っていただけるようなこともできているのではないかと思っております。
[毎日放送]
数だけをみると感染が拡大しているようにもみえてしまうと思うのですけど、やはり隣の県とか、愛知県とか岐阜県とか三重県も高くなっているので、人の往来とかも結構あるのかと思うのですが、その辺はどのように考えていますか。
【知事】
今、お尋ねいただいたようなことを結論付けるにはまだ情報が十分ではないと思います。それぞれの都道府県には、まず総数としてどれだけベッド(病床)を用意できているのか。それをどのようにコントロールして入院調整等を行っているのか。どういう年代の方がどういう症状で入院されているのかなど、様々あると思います。そこは一概には言えないと思いますが、当然、全体の感染者が増えれば、それに伴って入院が必要な方、重症化する方というのも相対的に増えますので、そういう傾向というのは注視しておく必要があると思います。
[毎日放送]
データをみますと、人口10万人あたりの感染者数が近畿では一番高くなっているのですが、そのあたり警戒感とかはありますか。
【知事】
当然、感染者が増えている、他の地域に比べて多いということであれば、そういう状況をお知らせしながら「より注意して対策をしてください」「ワクチンを打ってください」ということを呼びかける材料にしていきたいと思います。この間、わかってきたことは、段々と、かかったとしても重症化せずに自宅での待機や投薬等で何とか克服していけるということですとか、きちんとコントロールしながら、入院治療が必要な方にはそういった手当ができる。また、自分で検査して陽性・陰性の判定をして登録することもできるということも整ってきましたので、必要以上に恐れすぎることなく、冷静に対応できる環境というのは整えられつつあるのではないかと思います。そういうものを基礎にしながら、これからのインフルとの同時流行などにも対応していきたいと思っております。
[毎日放送]
今日から新しく高齢者の施設を開設しますけれども、そういったことも含めて今後に考えている対策や呼びかけたいことはありますか。
【知事】
皆さん、寒くなって、年末年始慌ただしくなって、人と接する機会が多いので、まずは基本的な対策をしっかり取ってくださいということが1つ。あと、ワクチン接種を「もう1回、皆さん接種を考えてください、してください」ということ。もう1つは、感染が広がると、どうしてもたくさんの病気を抱えていらっしゃることの多い高齢者、どうしても弱い状態にある高齢者がかかってしまい、かかってしまったがゆえに治療・入院の必要性から今までできたことができなくなる方が大勢いらっしゃいます。滋賀県では介護付きの宿泊療養施設を整えて、また拡充して対応しておりますので、御安心して治療を受けていただければ、療養していただければというふうに思っています。
[京都新聞]
知事の政務に関することでお尋ねいたします。来年4月の県議選への対応についてお尋ねしたいのですけれども、知事は今年7月の知事選で県議会の共産党を除く4会派から支援を受けて当選されました。この支援を受けた会派から応援要請などがあった場合は、知事は支援に動かれるのかということをお尋ねします。これまでは各政党とは等距離というスタンスでこられたと思いますけれども、今回も同じように対応されるのかということも含めてお尋ねしてもよろしいでしょうか。
【知事】
知事として選挙は中立。そして、政治家として、政治活動については理念と政策、人と人とのお付き合いということが、これまでの原則でしたし、これからもその原則は貫いて対応していきたいと思っています。したがって、告示となり、選挙になれば、一切、私は関わりません。ただ、毎年のことですが、事前の政治活動については、報告会などがあれば伺って、議員とともにどういう県政をやろうとしているのか、そういう政治活動はそれぞれ呼ばれて公務として対応できれば行うということです。もちろん、政党、会派との距離は全て等距離で対応させていただく予定です。
[京都新聞]
政党、会派とは等距離というのは知事選で対立候補を立てた共産党についても同じという理解でよろしいでしょうか。
【知事】
私の担わせていただいている県政に批判的、反対の方々が催される集会や懇談会などに「知事として出てきたらどうですか、そしてディスカッションしましょう」ということであれば避けずに伺って、ただその議員さんに対する物言いがいろいろあるかもしれませんけれども、そこは等距離で対応するつもりです。
[京都新聞]
この県議選で何が争点になってくるかというところを知事の視点からみてどう思われるかということをお尋ねしたいです。議論してほしいことという観点でもいいのですけれども、4年ぶりの県議選でどのような議論を望んでいらっしゃるかというようなところをお尋ねしてもよろしいですか。
【知事】
二元代表制の一翼を担われる県議会の構成を決める選挙ですので、大切な選挙です。したがって、もう一翼である県政、知事の県政・方針、こういったものにどう対峙しようとされているのか、もしくはそれらをどう後押ししようとされているのか。ここは有権者の皆様方に問われるところではないかと思います。例えば、人の健康、社会・経済の健康、自然の健康、人づくり、子ども・子ども・子ども、いろいろなものを投げかけ、やろうとしておりますが、それらをそれぞれの地域でどのようにお感じになっていらっしゃるのか。北部振興も(知事の)3期目に新たに投げかけております。そういったことをおそらく候補者なりに御自身の言葉で政策として表現され、問われるでしょうから、その結果をみていきたいというのがまず1つ。
また、どうしても地方選県議選とはいえ、所属されている政党、公認推薦を受けられる政党の評価も少しは加味されてくるのかもしれません。これは国政の影響をどうしても受けてしまわれますので、そういうものが出てくるのか、出てこないのか。ここを注目される方は多いのではないかと思います。私が注目しているかというと、私はそこまで注目していませんけど、政党のことより、地域のことという観点で私はみていますが、そこをみられる方は多いでしょう。
最後に1つ私がみたいと思っているのは、やはり若い世代の政治参画。候補者であったり、投票であったり、運動であったり、そういうものがどのように盛り上がるのか、盛り上がらないのかというのは、滋賀県の将来、自治の将来を占う意味において重要な視点になるのではないかと思いますので、自分なりには注目してみているところです。
[京都新聞]
今のテーマの1つとして北部振興がありましたけれども、県が導入を検討している交通税についてはやはりみていかれますか。
[京都新聞]
当然、他の県にはなく、滋賀が独自に提案しようとしている交通税についても大きな関心事、論点になると思います。それぞれの地域で、それぞれの候補者、議員の皆様方がどのような言葉・方針で表現されるのか、そこに有権者の御指示が、また御関心がどのように集まるのか、集まらないのか。もちろん、その1点だけを取って選挙されるわけではないので、そのことだけを(選挙で)語って、回られる方がどれぐらいいらっしゃるかということにもよりますけれども、当然、1つの関心事にはなると思います。私もみていきたいと思います。
[朝日新聞]
先日、大津地裁での原発訴訟の口頭弁論がありました。そこで、米原市長が証言をされまして、米原市は風向きによっては原発災害の場合に被災しうるということもあって、避難計画を本来作っていきたいということで市民と一緒にやっているということですけれども、UPZ圏外にあるがために情報・予算が不足していて、避難計画を作るのは非常に厳しいというような証言がありました。
高島市や長浜市については原発訓練を共同でやられたり、日々やったりしていらっしゃると思いますけれども、こういうUPZ圏外にある自治体にこのような声があることについて、知事どうお考えでしょうか。
【知事】
真摯に受け止めなければならないと思います。滋賀県では30kmだけではなくて独自のUPZということで最大43kmだったと思いますけれども、圏内を新たに設けて様々な対策を講じようとしております。それでもその圏外にある自治体、例えば以前から大津市などがその影響を受けうるのではないかということで、独自の対策に対する支援の必要性を指摘されておられましたし、米原市さんも今回の裁判の中で証言されたことなどにつきましては、やはり自治体市民の安全を統括される、責任持たれるお立場の方の発言として真摯に受け止めなければならないと思っています。どういうことができるのかを考えていきたいと思います。
[朝日新聞]
例えば、希望されているのであれば、原子力災害の防災訓練に米原市も加えるというお考えはありますか。
【知事】
それは、どの主催の、どこの何を想定した訓練かにもよると思います。ただ、当然、近いところから退避をしたり、待機をしたり、避難をするということがありますので、そういったことをまず必要性・可能性が高い方々から、まず実施をしておりますけれども、ある程度整ってきて、もう少し広げた方がいいという判断なり、また広げてほしい、参加させてほしいという御意向があるならば、それにどのように対応するのかは考えていきたいと思います。
[朝日新聞]
裁判の中で米原市長からは、小さな自治体でもあるので、予算と専門的な職員が足りないというような声がありました。県から米原市に対して予算的なサポートあるいは職員の派遣などを検討していくお考えありますか。
【知事】
予算的なサポート、職員の派遣の前にまず政策的な対話というものが、そういう懸念や思いをお持ちの自治体とどれぐらいできているのかということをまず確認させていただいた上で、どのような対応が必要なのかを考えていきたいと思います。
[朝日新聞]
米原市長は、実際、住民の避難については非常に厳しいと。というのは、避難したい全ての人たちを公平に安全なところまで避難させるために、例えばチャーターするバスの台数、あるいはそれを運転する運転手の確保を考えたら、とても実効性のある避難というのはできないのではないかということをおっしゃっていました。原発事故があった場合、立地ではないけれども、やはり滋賀県もその影響下にあるということは知事も認識されているとは思うのですけれども、こうした実効性のある避難というのは本当に実現可能なのかどうかについてはどのようにお考えですか。
【知事】
可能なのかどうかというと、乗り越えていかなければならないハードルはたくさんあるのですが、動いていようと動いてなかろうと、廃炉を目指す原発であったとしても、そこにある限り、そのリスクというのは存在するわけですから、万が一、事が起こったときにどのように安全に過ごし、また避難をするのかということを考えていくことは極めて重要な取組だと思います。それは立地自治体だけではなくて、事態が起こったときに影響を受ける自治体などは広げて対応していくことが必要だと思います。
米原市長がおっしゃったという「避難したい人」というお話が朝日新聞さんからございましたが、当然、事が起これば、そこの原因からより遠くに避難したいという思いが心理・心情だと思いますが、東日本大震災福島原発の1つの教訓は闇雲に出て避難をしてしまうと必要以上に被ばくをしてしまうということがございました。まずは、屋内退避、そして避難、ここからここまでの人が避難ということを、どれだけ時間・事態に応じて、皆が行動していけるかということが、被ばくを防ぐ意味で重要だということがわかっています。今、その実効性をどれだけ高めていけるのかという訓練を積み重ねているところだと思いますので、避難したい人が全て避難するということよりも、避難しなければならない人が避難できる体制づくりというのにまず私たちは注力をしています。そして、どこまでそのことを市民、町民の皆様方が受け止めて、聞いていただいて、行動していただけるかというのが1つの大きな鍵になると思っております。それが難しい、なかなか大変だという御指摘は受け止めて、いろいろな対応を検討していく必要があると思います。
[朝日新聞]
次に、子どもの問題ですけれども、学校で校内暴力、あるいはいじめというのがいずれも件数としては過去最高になっているという指摘があります。県議会の中でもこのような質問があって「この現状についてどう考えているか、分析しているのか」という問いに対して、教職員が全ての暴力行為について見逃さず報告するようになったことが、数が最大になっている原因だという受けとめの答弁がありました。あるいは、そのいじめについても、なぜこれだけ多いのかということについては、早期発見するため積極的に認知していることが、数が多くなっているという答弁がありました。職員の頑張りというのはもちろんあって数多く認知しているから増えているというのは確かにその一因としてあると思いますが、これだけ子どもを取り巻く環境というのが非常に厳しくなっていることを問題として捉えていかなければ改善する策につながらないのではないのかというふうに思います。こうした数が増えていることの分析はどうかということについて「認知件数が増えているからだ」という受けとめでは不十分ではないかと思うのですけども、この点、知事はいかがですか。
【知事】
校内暴力、いじめ、不登校、こういった問題行動等について、どうなっているのかという状況を把握するとともに、それらを県で行政を含めて学校教育機関と福祉機関も含めて対処していくのかは極めて重要な課題であります。したがって、今年も11月4日に、私が会長で副知事や担当部長、そして専門家の方々にも入っていただいている滋賀県いじめ問題対策連絡協議会で、状況の把握と今後の対応の方向性なども確認をしているところです。
今おっしゃったように、昨年度のいじめの状況は9,840件で過去最多となっております。その原因たるや、背景たるやということを私も答弁しましたし、今おっしゃったとおり、皆が見逃さずに把握、報告、記録、登録するようになったということもある一方で、小学校の校内暴力が相当増えているということなどがありました。例えば、ひどくぶつかられるとか、叩かれるとか、蹴られるといったことが増えている状況については、もう少しその背景や家庭的な問題、コロナのストレスというものがどのように影響・作用しているのかといったようなことなど分析をし、対策を取る必要があるだろう。また、被害を防ぎ、被害にあわれた方をフォローするということと合わせて、加害の側にどういう問題や不安、悩みなどがあるのか、ないのか。こういうことも把握して対処することが必要だということがございました。したがって、結論でいうと、やはり個々のアセスメントをきちんと行っていく。これを初期対応と組織対応でしっかりと行うということがこの問題の重要な要諦だと思いますので、この点をこれからもしっかり対応していきたいと思っております。そのために、学校レベルでは先生方だけではなくて、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの力も借りながら対処していくということですとか、家庭や地域の問題と絡めてということであれば、福祉的なスタッフ、専門家の皆様方の連携・協力というものも欠かせませんので、こういったものをそれぞれの地域で構築していくということが重要だと思います。
[朝日新聞]
今の知事のおっしゃることは非常によくわかるのですが、こうした現状に対する分析はどうなのかと問われたときに、しっかり認知しているから件数が増えているというだけに留まるようなことでは、例えば県議会の場などでの発信の仕方からして「こういう危機意識を持って、こういうところを改善していこうと思っている」ということを示すということが、県の意思というか姿勢というかを示す意味で必要だったのではないかと。特に、子ども・子ども・子どもとおっしゃっている三日月県政であれば、こうした子どもの問題については、「ここまでこうして、何とかこうしていこう」ということをきちんと示すということがあってもよかったのかなと思ったので、その辺はお考えいただけたらというふうに感じました。
【知事】
御指摘ありがとうございます。しっかりと受け止めたいと思います。議会で問われた際の答弁でも報告がしやすくなったから増えたということだけではないことも申し上げたつもりですけれども、まだまだそのあたりが十分ではなかったのかもしれません。また、もっと子どもに寄り添った対応・対策を体系立てて皆様方に御説明することで、協力・参画を促していくとか、安心感を皆様方に持っていただけるような取組を表現するとか、そういうことはこれからも努力していきたいと思います。
[NHK]
カーボンクレジットの登録制度について、改めてどういうふうに登録制度を活用してカーボンクレジットの普及を進めていきたいか、意気込みについてお願いします。
【知事】
当然、私達人間もそうですが、生きていれば二酸化炭素を生み出す生活、生産過程でCO2排出してしまう。それらをできるだけ減らす取組は当然行いつつ、それらをオフセットする取組、例えば吸収する森林資源をさらに活性化する・若返らしていくといった事々の価値を見える化し、そしてそれらをオフセットするような商品を開発する・サービスを生み出す事業者とそれらを使う方々とマッチングさせていく取組を進めていきたいと考えております。これまでは個々に取り組まれる事業者様と協定を結んで対応するということでしたけど、段々と関心も高まり、より多くの皆様方の御参画も得たいし得られるのではないかという機運も出てまいりました。また、そうであるからこそ信用、「これは大丈夫か」というような持続性と合わせて問われることにもなりますので、県としてまとめて登録していただき、関心のある方がつながれるようなプラットフォームをつくる必要があると思いましたので、今回、このカーボンクレジット登録制度を設けたということでございます。
[NHK]
もう1点、武村さんの企画展についてですけれども、改めて知事としての思いと、どういうところを県民に感じていただきたいのかお願いします。
【知事】
武村正義さんが知事をされていた1974年から1985年、この時代は高度成長期であったと同時に「このままでいいのか」ということが問われ始めた時代でもありました。そのサイン・異変は、赤潮の発生という形で琵琶湖に現れ始めました。それらをいち早く捉えられて、琵琶湖富栄養化を防止する条例を制定。世の中ではせっけん運動と表現される県民運動・ムーブメントが起こった、その中心にいらっしゃったのが武村知事でいらっしゃった。こういう環境の大切さを子どもたちにきちんと学んでもらおうということで「うみのこ」の造船・就航。さらには、近隣諸国との友好提携ということで中国・湖南省との友好提携を締結されたことなど、その時代、全国に先駆けて行われた様々な県政の取組があったと思います。それらを振り返りながら、次の時代に向けた歩みのヒント、知恵というものを私達が得られるきっかけになればと思っております。
私なりには自治の気概でありますとか、伝統、さらには琵琶湖をはじめとする環境を守る取組の重要性、近隣諸国との平和友好を交流の大切さ、こういうことをその時代から示していただいていたのではないかと思います。今も継続していることたくさんありますが、忘れず発展させていくことをぜひ胸に誓う場として、私はこの企画展を拝見させていただきました。