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知事定例記者会見(2022年11月22日)

令和4年11月22日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

今日は午前中に叙勲・褒章の伝達式がございましたので、いつもと時間が変わりました。御理解いただきまして、ありがとうございます。

資料に基づいて、御案内する前に3点申し上げます。

まず、新型コロナウイルス感染症の状況でございますが、全国的にも、本県も感染者が増加傾向という状況です。今後、数週間以内に急激な感染拡大をしていくことを想定いたしまして、以前から申し上げているように、医療の体制を整えていこうと、病床ひっ迫に備える必要があるということから、昨日11月21日付けで受入医療機関に対して最大確保病床を運用できるように準備を進めるよう要請いたしました。2週間後の12月上旬には、本県の最大確保病床数を501床で運用できるよう準備を進めてまいります。コントロールセンターも運用しながら、ピーク時にも必要な方が入院できる体制を構築し、また、維持していきたいと思っております。

そういったことも含めまして、既に情報提供済みですが、明後日11月24日に開催いたします第12回新型コロナウイルス感染症対策協議会におきましても、季節性インフルエンザと同時流行を想定した保健・医療提供体制の構築、整備に向けて、認識を合わせていきたい、方針をつくっていきたいと思っております。

2点目は、昨日、第3回の総合経済・雇用対策本部を開催いたしまして、原油価格、物価高騰の影響が依然として厳しい状況であることを確認した上で、医療機関支援等の影響緩和対策に機動的に取り組んでいくことを確認いたしました。また、消費喚起の取組である「しが割」キャンペーン、全国版「今こそ滋賀を旅しよう!」について、いずれも想定を上回るペースで御利用いただいております。追加対策と今後の対応を検討するよう、関係部局に指示をさせていただきました。

いずれにしろ、コロナもそうですが、この原油価格、物価高騰の影響は長期化していきます。国の経済対策に呼応してやることと、国の経済対策にないので県として独自にやらなければならないことを、しっかりと準備して対応をつくっていきたい。また、時期を逸することなく機動的につくり、つくった施策を届けていきたいと考えております。

最後3点目は、(モニターの)スライドにもありますように、来年の3月12日に行う「びわ湖マラソン」にボランティアとして御協力いただける方を募集しています。おかげさまで、2,000名近くの方に御参集いただいているのですが、なお安全に、かつ、楽しくお出迎え、おもてなし、御案内するために、あと少し参加いただく方を募集したい、また、御参加をお願いしたいというふうに考えております。既に個人の方を含め、企業、団体、学校単位で御応募いただいている方もたくさんいらっしゃいます。ありがとうございます。

活動内容としては、スタート・フィニッシュ会場周辺での誘導ですとか、給水など、スポーツは自分たちがすること、そして、している人を見ること、今もワールドカップ・カタール大会の大変な熱狂が続いておりますけれども、見ること、そして「支える楽しみ」もあるのではないでしょうか。このボランティア募集は残り1週間、11月30日までとなっておりますので、記念すべき第1回の「びわ湖マラソン」を一緒に盛り上げていきたいと存じます。

それでは、資料に基づきまして3点申し上げます。

1点目は「県政を振り返り、次世代へつなぐ企画展」の開催についてでございます。去る9月28日、武村正義 元知事が88歳でお亡くなりになられました。謹んで御冥福を改めてお祈り申し上げたいと存じます。折しも9月29日は滋賀県政150周年を迎えました。この企画展では、故武村正義氏を偲びながら、武村県政の取組を広く周知し、次の世代に引き継いでいくという想いを新たにすることを目的に開催いたします。御遺族の御意向等も踏まえまして、また御本人の御意思として、県民葬のようなものは望まれていないのではないかと、私も考え、このような形で企画することといたしました。

この企画展の期間は、来月12月13日の火曜日から12月19日の月曜日まで、土日を含む7日間、いずれも午前10時から午後4時まで、会場は滋賀県公館となっております。武村さんはもう御案内のとおり、知事として、滋賀県政を担われた1974年(昭和49年)から3期11年半もの間、「滋賀県琵琶湖の富不栄養化の防止に関する条例」の制定、世界湖沼会議の開催、びわ湖フローティングスクールの開設、学習船「うみのこ」の就航、中国・湖南省との友好姉妹提携協定の締結など、現在まで続く全国や世界に誇る様々な施策を展開し、多くの業績を残されておられます。

この企画展ではこうした取組を年表や写真などのパネル展示、当時の映像などで振り返ることができるようにする予定でございます。滋賀県公館正面ホールには記帳台も設置いたします。県政150年の節目、私自身も県民の皆様とともに武村県政時代の取組を再認識し、次の世代に引き継ぐ役割を果たしていきたいと考えております。

次も資料があると思いますが、ベトナム・ドンタップ省から世界農業遺産に認定された「琵琶湖システム」について視察団が来県され、意見交換をするということでございます。ベトナム国と滋賀県は様々な事業において協力関係を築いてきています。ホーチミン市と平成26年に経済・産業分野の協力に関する覚書を締結し、県内企業のホーチミン市における事業展開を支援しているところです。私自身も来日中のフック首相とお会いをし、ベトナムの今後の発展モデルを滋賀県に求めたい旨のお話を直接いただいたということもございます。

令和3年には滋賀県、滋賀経済産業協会およびハノイ工科大学の3者で覚書を締結いたしまして、ハノイ工科大学の優秀な人材に滋賀県で活躍してもらうことを促進するための連携を進めているところです。去る11月5日、6日には、県内企業7社がハノイ工科大学で開催されたジョブフェアにも出展されておられます。また、水環境分野におきましても、琵琶湖と共生してきた本県の知見や経験を生かしながら、ベトナムのハロン湾周辺における水環境問題の改善に向けて連携を強化しているところです。今月上旬から中旬にかけましても、ベトナムの行政職員に来県いただき、本県の水環境保全の取組について学んでいただいたとのことでございます。

今回、お越しいただくドンタップ省は、ベトナム国の南西部に位置し、カンボジアと国境を接する地域で人口は170万人ということで、米の栽培が盛んで、生産量はベトナム国内で第3位ということでございます。農業と水環境において課題があり、同じ水辺の都市として世界農業遺産に認定された琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業に注目いただいて御視察のお申し込みがあったということでございます。有意義な意見交換の機会になるよう努めてまいりたいと存じます。

最後3点目につきまして、琵琶湖博物館で11月20日まで開催していた第30回企画展示「チョウ展~近江から広がるチョウの世界~」の総来館者数が85,291人で歴代最高になったということでございます。御来場いただいた県内外の皆様、ようこそお越しくださいました。この企画展示では、壁面いっぱいに約12,000点にも及ぶ「布藤(ふとう)コレクション」をはじめとする、滋賀県や世界のチョウの実物標本に加え、イモムシベンチや日本の国蝶「オオムラサキ」の30倍巨大模型など、子供も楽しめる展示に大変好評をいただいたということでございます。

期間中に実施した参加型展示「B.S.P総選挙」、B.S.Pとは、Butterflies in Shiga Prefecture(滋賀県のチョウ)の略だそうでございまして、滋賀県内でみられる128種の中から参加者の皆さんが自分の気に入ったチョウに投票されたということでございます。なんと、この総選挙には総投票数19,526票もの御参加をいただいた。そこで、総選挙の結果TOP3を発表いたしますと、第3位は「サツマシジミ」1,627票。第2位は「ミヤマカラスアゲハ」得票数1,893票。そして、なんと第1位は「アオスジアゲハ」1,946票ということでございます。トンボもそうですけど、チョウも大変たくさんの種類が滋賀県にいるということでございまして、この「B.S.P総選挙」を通じて、多くの皆様に滋賀県にどんなチョウがいるのか、改めて知っていただくことができたのではないかと考えております。湖と人間をテーマに、琵琶湖博物館では展示をしていただいておりますので、今後も様々な身近な自然と人間との関わりについても表現、また展示をしていきたいと考えているところでございます。長くなりましたが、私からは以上でございます。

[朝日新聞]

武村県政の企画展を御紹介されるときに、知事は県民葬のような形は御遺族も望まれてないのではないかとおっしゃいましたが、これは知事がそういうふうに推察されていらっしゃるのか、あるいは御遺族が県民葬みたいなものは望んでいませんという遺族の意思を確認されたのですか、いずれでしょうか。

 

 

【知事】

御生前、私も様々な機会にお世話になっておりました。特にそういうもの(県民葬)を御自身が亡くなられたときにやってほしいということは聞いておりません。そして、御遺族からもお亡くなりになった後、そういったことはお伺いしておりません。私も直接お会いしましたけれども、それよりもむしろ、そっとして送ってほしいという趣旨の御意向を承っておりましたので、こういった形でやらせていただくことがいいのではないかと考えたところです。

 

[朝日新聞]

武村県政に対して、いろいろ知事としての思いもおありでしょうけども、知事も3期目をされていて、武村県政についての評価をどのように考えていらっしゃるか、教えていただけますか。

 

【知事】

大変大きなテーマですし、武村知事が県政を担われてから半世紀、よくご本人も述懐されていますけれども、多くはこれから歴史が再評価することになりますし、県史編さんの中でも大きなトピックとしてこの時代のことは記されていくことになると思いますが、浅学の私が述べるとすれば、高度成長期のちょうど折り返し地点といいますか、そういう時期に県政を担われたのではないかと思っています。琵琶湖の赤潮を見て、「琵琶湖が死んでしまったのではないか」と思ったというふうに言われておりますし、司馬遼太郎さんとの対談の中でも、こういった開発偏重の行政のあり方というものを変えていかなければならないというようなことですとか、その貴重な自然資源である琵琶湖、もしくは湖沼の価値というものを再認識するための世界湖沼会議の開催、こういったことは大変大きな意義があったのではないかと思います。

そういった事々を県内に生まれ育つ子どもたちにしっかりと教育として行っておこうではないかということで、フローティングスクール、そして「うみのこ」の就航、今も続いていますし、全国でも滋賀県の特徴ある環境学習として評価もされております。こういったことは大事にしたいと思う。また、中国との関係についても、私が知事になった後に訪中団を組成した際に武村元知事も一緒に行っていただきました。ゆかりの方々との交流をみていますと、当時、自治体と中国各省との姉妹提携の締結というのは1つの流れであったのかもしれませんけれども、例えば図書のやり取り、洞庭湖と琵琶湖のつながり故に環境人材の交流、こういったことは今も定着しています。そういったものを経た人材が育って、今、双方において35年、また40年と歩みを再確認していきたいと思っておりますが、こういう礎を築いていただいたことに敬意を表したいと思っています。

 

[朝日新聞]

続いて、先ほど、知事もおっしゃっていましたけども、「しが割」ですけれども、登録者数が30万人を大きく超えていまして、非常に好評だというふうに感じております。ただ、スマホを使ってLINEで登録するシステムなので、こうしたスマホやLINEをうまく使いこなせない高齢者の方とか、デジタルが苦手だという方がいらっしゃると思います。もちろん多くの方に使われているとは思うのですけれども、こうしたデジタル弱者について「しが割」というのは、なかなか難しいんのではないのかというところも気にはなっています。今の時代として、どんどんIT化、あるいはDXというのが進んでいて、滋賀県としてもいろいろな申込方法にスマホを使ったり、パソコン使ったり、インターネットでのいろいろやり取りをしています。これは非常に効率化も進むし、より多くの人たちが利用できるという、これからの時代にもちろん必要なことだとは思いますが、こうしたデジタルをうまく使いこなせない高齢者あるいは障害のある方などにとってみたら、なかなか難しいというところもあるのではないかというふうに思うのですけれども、こうしたところへの配慮などについてはどのように考えていらっしゃいますか。

 

【知事】

今回、コロナ、かつ原油高、物価高の影響を受けていらっしゃる方々に対して、とりわけ事業者支援、飲食業者、県内事業者、小規模事業者、こういった方々の支援を行う消費喚起を行っていくということを、県内需要を広げていくということを目的につくり、実施しております。かつ、聞いていますと、LINEの利用者が90万人を県内で超えているということもございましたので、LINEでの割引クーポンの発行を実施させていただきました。ただ、今回、やってみて、「使えないけど」「登録してないけど」「利用できないじゃないか」というお声もいただいているのは事実です。今回、やってみて、どういう効果、また至らないところがあるのかを、よく検証しながら今後の対応に生かしていきたいと思っております。

 

[朝日新聞]

交通税の導入についてお尋ねします。知事はいろいろな機会でこのことについて聞かれますと「まず公共交通のビジョンをしっかりと示して、丁寧な議論を進めていきたい」というふうにおっしゃっています。この交通税については、今後どういう道筋を考えて、その導入に向けての話し合いや、あるいは提案に至るまで、大体どういう手続きを、どのような時期を考えて進めていこうと思っていらっしゃいますか。

 

【知事】

12年連続、県政世論調査で県民の不満足度No.1の滋賀の公共交通ですので「こうなったらいいな、すべきではないか」という願いや思いがこもった交通ビジョンというものを今年度と来年度をかけてつくっていきたいと思います。並行して、それらを実現するための財源のあり方、「幾らぐらいかかるのだろう」「どれぐらいまでなら負担可能なのだろうか」ということ、例えばそれらを交通税というもので等しく、少しずつ分担した場合、「どういうことができるのだろう、できないのだろう」ということを参加型税制の議論で、議論を積み重ねていきたいと考えております。

最初に申し上げた、交通ビジョンにつきましては、公論熟議を重ねたい。そして、それらを実現するため、民間と公が一緒につくるという民公共創でやろうというふうに考えております。6月に懇話会を立ち上げて、今年度と来年度でおおよそ5回懇話会の開催を予定しております。今週末、第2回目の懇話会が開催予定と聞いておりますし、そこでも共有されると承知をしておりますが、10月に県民の皆様に「公共交通の現状および意向に関するアンケート調査」を実施しております。こういう事々の結果を踏まえながら、滋賀県が目指す地域交通の姿についてキーとなるビジュアルですとか、動画も作って、県民や事業者等の皆さんと共有できればと考えているところです。今年度、ウェブプロモーションをやろうと、そしてそれらを生かしながら、来年度にはシンポジウムを複数回開催しようではないかというふうに予定をしております。

いずれにしても、乗る人、乗らない人、使う人、使わない人、比較的住民が多い地域の住民、少ない地域の住民等々の御意見は様々でありましょうから、丁寧につなぎ合わせながらビジョンをつくり、そのビジョンを実現するための税制のあり方を検討していきたいと思います。

[朝日新聞]

知事のおっしゃった懇話会は、前回の懇話会で示されたスケジュール案をみたところ、来年10月に5回目の懇話会が設定されていて、とりあえず、ここまでが想定されているようですけども、この辺が1つの区切りというか、この辺で大きな提案をされるというようなお考えでしょうか。

 

【知事】

今年度から議論しているビジョンですので、来年度のしかるべきときには一定の方向性を懇話会にも持っていただいて、それを基に県のビジョンの案というものをつくり、さらにどういう議論をするのか考えていきたいというふうに思います。

 

[朝日新聞]

今回、交通税として徴収される場合は、幅広く県民の理解を得るということが不可欠になってくると思いますけども、この場合、知事としては、どういうところが一番ハードルになると考えているのか。それをどのように乗り越えていこうと考えていらっしゃいますか。

 

【知事】

まず、私達の負担は小さい方がいい。税の負担なので、できればない方がいいし、あったとしても少ない方がいい。こういう思いをどう乗り越えていくのかということだと思います。目下、コロナ禍、物価高があり、生活を苦しくする負担というのは大きいより小さい方がいい。しかし、必要なものをどのように負担、分担していくのかということだと思います。これがまず1点目。

2点目はその必要なものということに対する認識が公共交通を度々利用される方、毎日利用される方、滅多に利用されない方、こういった濃淡、軽重ございますので、こういったことに対する共通理解というものを、例えば家族のことを考えたら、自分が車を運転できなくなったらという共通理解の土台を、どのレベルで整えることができるのか。これが次の課題ではないかと思います。

ただ、わかりませんが、丁寧に議論すれば、乗り越えられないハードルではないのではないかと考えていますが、いずれにしろ、じっくり熟議をしていきたいと思います。

 

[報知新聞]

県で開催されています政治倫理審査会(政倫審)について2点お尋ねします。先週、政倫審の5回目が県庁で開かれまして、その中で県議会議員が県職員と面談をした際に高圧的であったり執拗であったりした言動というのが事実であったと認定をされまして、その言動が政治倫理に反するという認定がされました。

まず1点目に伺いたいのが、議員から県職員にそういった言動があったということが事実認定されたことに対して、知事の御所感を伺いたいと思います。

続いて、県内の市町の自治体では、その職員が議員から威圧的な対応をされたことに対して、主に首長が議会へ対応を申し入れる例もあったと思うのですけれども、この政倫審とは別になるかもしれませんが、県職員がパワハラ的な対応があったということに対して議会に知事が何か申し入れ等をされる御予定がありましたら教えてください。この2点について伺います。

 

【知事】

一般的に、立場や権力を生かしたハラスメントというのはあってはならないことでありますので、ここは厳に慎み、また戒めていく必要があるというふうに考えております。

1つ目にお尋ねのあった件は11月17日に開催された第5回の政治倫理審査会でのやり取りだと思いますが、県職員に対する高圧的な態度、執拗な要求があったことについて政治的道義的責任があると認定されたことを、報道を通じて承知をしております。したがって、今後も政治倫理審査会を受けた具体的な措置等について、さらに検討をされるということですので、その内容をみて知事として、また県としての対応を考えていきたいというふうに思っております。

そして、2つ目にお尋ねのあった基礎自治体で、具体的に言うと長浜市において議会議員の方の様々な言動が問題になったということについてでございますが、市の問題と県の問題は議員による職員に対するやり取りということは共通しているのかもしれませんが、経緯が異なり、県では県議会で政治倫理審査会を立ち上げられて現在検討されているということがございますので、状況は異なっているのではないかというふうに思っております。現段階で、県として知事として何か申し入れをするということは考えておりません。今後、また対応が必要であれば検討したいと思います。

 

[中日新聞]

コロナに関してですけれども、先ほども受け止めとして増加傾向にあるとおっしゃっていました。病床使用率が50%も超えておりますが、この辺りについても受け止め、動向をどのように見守っておられますか。

 

【知事】

以前よりも着実に増加傾向がみられるようになってきました。ただ、以前に比べると増加傾向が少し緩やかではないかという状況もみられます。だからといって安心しているわけではなくて、病床確保の時間を、以前よりも時間がもらえますので、明後日ある対策協議会を含めて、しっかり準備したいというふうに思っております。この間、検査キットを自分でまとめて検査して自分で登録するという制度ですとか、宿泊療養施設、また自宅療養のフォローといった体制をつくってきましたので、それらをしっかりと動かせるように関係機関と連携して取り組んでいきたいと存じます。

ただ、年末年始、これから寒くなって、ワクチンの効果がより減衰してしまい、季節性インフルエンザとの同時流行、これは大変心配です。現に、季節性インフルの患者さんがそれぞれの医療機関で増えてきているというお声もいただいておりますので、年末年始あたりがピークになってくるのではないかというお見立てもあるようでございますので、しっかり準備したいと思います。そのためにもワクチン接種を「もういいか」と思っていた人も、もう1回打ってほしい。季節性インフルとの同時接種も可能ですので、引き続き、皆さんに強く呼びかけたいと思います。

[中日新聞]

レベルの引き上げというのは現段階でどのようにお考えでしょうか。目安とする指標、数字というのはどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

今日、この時点でレベルの引き上げというものを、ここで発表できるものはないのですが、今週中にも対策本部員会議を開催すべく、現在準備をしております。国からいくつか示された指標を基に、7波が終わってから下がりきっていなかったので、十分に指標の見直しができてなかったのですが、国が示した指標なども参考にしながら、県としての指標・基準をつくって、レベルの判断というものを示していく必要があると思っております。

あとは、その際にどういうことをみるのかということですけど、確保している病床、また最大確保できる病床に対する占有率使用率というのは当然みることになると思います。その中の、とりわけ重症者の方を入れている病床というのがどうなのか。また、この8波に対して、こういうことをみないといけないのではないかと言われているものの1つに発熱外来のひっ迫状況を指標としてみていく必要があるのではないかということがございますので、こういったことを参考にしながらレベル判断をしていきたいと思います。

 

[中日新聞]

現在の指標にも表れている数字だと、現在の状況と異なってきている部分もあると思うのですが、その指標自体も見直しが必要になってくるというお考えでしょうか。

 

【知事】

今、持っている指標そのものを見直す必要もある。見直した指標に基づくレベル判断というものをしっかりと行って、県民の皆さんに呼びかける必要があると思います。

 

[中日新聞]

年末にかけて、忘年会など人が集まる機会も増えてくるかと思います。今後、県民の方への呼びかけとか、何か考えられておられることありますでしょうか。

 

【知事】

まずは基本的な対策です。会話が激しいとき、また近いときなどはマスクをしたり、換気をしたり、さらには手洗いやうがいをするということ。この徹底は呼びかけていきたいと思います。現時点でレベルを上げたときに、どういったことをお願いするのかということについては検討中ですが、旅に出掛けていただいたり、旅行に来ていただいたり、人と人とが集い、会食をしていただくことについては、現時点制限をかける予定はございません。そういったものは、むしろ行っていただいた上で、免疫力を保ちながら、人との交流も行いながら、この感染を乗り越えていくということだと思います。

 

[京都新聞]

資料提供いただいた武村県政の企画展についてお尋ねします。今回、御遺族の意向も踏まえて、県民葬というものを見送って、こうした企画展を開催されるということですけれども、次の世代に引き継ぐということで県民葬のような本人を弔うものというよりも、知ってもらう・つないでいくというところに重点を置かれたのかと思います。安倍元首相の国葬もずいぶん話題になりましたが、長く公職を勤めた人を送るにあたって、こうした企画展のようなものが今後のスタンダードのような形になっていくのでしょうか、その辺りをお聞かせいただけないでしょうか。

 

【知事】

いや、それはわかりません。武村知事だからこそこういうことができるという面もありますし、県政150年だから、ぜひこういうことをやってみようということで、こういう企画につながったということもありますし、昭和のある意味では成長期、激動期、転換期に知事をなさったということだからこそ、こういうことになったのかもしれませんし、安倍元総理のあのようなお弔い方があったからこういうことになったのかもしれません。一概に言えないですけど、いずれにしろ、武村元知事がこういった顕彰なり企画展を行うに、大変多くのテーマを県政時代、知事時代に残されていたということはあると思います。

そして、県政150年の節目を迎えたので、改めていろいろな情報、私たちが持っている情報以外にも、ゆかりの県民の方々が、例えばこの写真にもありますように、せっけん運動、富栄養化防止条例のキャラバン隊、今ではこういうことはあまりしませんけど、一緒に参加された方はよく私にもお話してくださいますので、例えばそういう思い出なんかを少ししたためて残していただくようなこともして、この時代を記しておくということも重要ではないかという声が上がりました。一度、きちんとやらせていただいて、どうだったのか、御評価は受けていきたいというふうに思います。

 

[共同通信]

武村県政の企画展の件ですけれども、そもそもこれは知事の御提案というか、発案をされたのでしょうか。

 

【知事】

皆で考えて、ここまできました。これは正直なところです。

 

[共同通信]

御遺族が県民葬のようなものを求められていないだろうという出発点があってですか。

 

【知事】

求められていないだろうというよりも、私も大変お世話になっておりましたので、お亡くなりになって御自宅を伺ったり、御遺骨のあるお寺を伺ったり、ゆかりの方々といろいろなお話をすることもございました。それはそれできちんとお話しつつ、今の知事として、県としてどういった形で武村元知事の御逝去を受け止めていけばいいのか。「どうしたらいいですか」と、もっと生前に話しておけばよかったと思います。ただ、担当の儀典長には、いずれ旅立たれたときにどのようにするのかというのを考えておくようにと、大変失礼な話しながら1年前ぐらいから、やはり歴代の先輩方が旅立っていかれたときにどのように受け止めなければならないのかというのを常に想定して考えておこうということをよく言っていました。そのときに、ここまではできていませんでしたけれども、皆で考えてここまできました。

[中日新聞]

この企画展で細かいことになるかもですが、動画ですとか、ゆかりの品展示とありますけど、大体何点ぐらいの規模になるか、点数の規模とかは。

 

【知事】

最終整理している段階です。たくさんあります。御著書を含めてたくさんありますが、それらを少し整理しながら限られたスペースですので、たくさんのものを見ていただくことというのは難しいのかもしれませんが、何か武村県政を偲び、それぞれの皆さんの心に残る、届くものになればと思っております。

 

[中日新聞]

先ほども国葬との関連という趣旨の質問があって、お伺いしたいのですけれども、元知事の方がお亡くなりになるという機会がこれからもあるかもしれないのですが、その場合に、武村さんの場合は7日間のこういう展示をしました。こういうのは、例えば事前に基準みたいなものがあって、今回こういう御判断になったのでしょうか。

 

【知事】

今の時点で基準というものはないです。ですから、今回、こういったことをやってみて、例えばそういう基準のようなものがいるのか、基準をつくってまでやるというよりも、むしろ人による時期によるということで、県民の皆さんの御理解をいただきながら進めていくのがいいのか。今回、やらせていただいて、その御評価なんかも受けながら、今後の対応は考えていきたいと思います。ただ、おっしゃったように、皆、いずれ旅立っていくわけですから、私達はタブー視することなく死を直視しようという死生懇話会をやっている県ですので、こういったときにどうするのかということについても、避けることなく、逃げることなくしっかり考えていきたいと思います。

 

[京都新聞]

11月定例会議に提出される補正予算案の関係でお尋ねしたいのですけれども、今回も原油価格高騰・物価高騰対策に9億円ほど確保されたということで可決されれば、5月補正から数えて合計53億円余りになるということですけれども、やはり今後も燃料高とかは続いていくものと思われますが、こういった物価高騰対策、価格転嫁できないような業者に対しての光熱費の支援とかは継続的にされていかれるのでしょうか。

 

【知事】

今回、11月補正までやらせていただいて、そして、現在、国の総合経済対策を受けた対応もさらに追加検討させていただいて、間に合えば、この11月議会で出させていただいて、その後の状況にもよりますけれども、2月の議会にどういう対応が必要なのかというのを検討させていただきたいと思っております。例えば、今月から2月までは来年度の当初予算の取りまとめの時期になってきますので、そういったものを補正でやるのか、来年度でやっていくのかというのを財源との調整もしながらすみ分けて、整理して、お示しするということになると思います。おっしゃったように、短期で終わる、1回実施してということではないテーマであれば、継続的な構造的な対策をどのように講じていくのかという視点も大事だと思います。また、恒常的な財源というものをどういったところに求めていくのかということもあろうかと思いますので、ここも慎重な議論と見極めが必要なのではないかと思います。

 

[京都新聞]

燃料高騰に関しては、県庁の電気代とかそういう部分も高騰していて、適時、積み増しをしていると思うのですけれども、こういった物価高騰対策というのは国の交付金を活用したものが主だと聞いていますので、そうではないかと思うのですが、県の財政を圧迫するような要因にはなっていないでしょうか。

 

【知事】

そういう面はあると思います。そういう面はありますが、かかる費用をきちんと支弁をしていく。これは賃金もそうです。電気代や資材費もそうですけれども、このことはやはり回りまわって、働かれている方、事業を営まれている方にきちんと対価を支払っていくということですので、ある意味では正常な経済循環、誰かがどこかで犠牲になって泣いて負担をするということではない経済循環をつくっていくものだと思います。

課題は、そういうものが海外に流れすぎて、国内で循環するのではなく、どんどん資源が流出するということにならないような、例えばエネルギーもそうでしょう、いろいろな働き方とか、資材の調達の仕方というのもそうだと思うのですが、そういう視点も持ちながら、経済施策・産業施策などを動かしていくことも重要なのではないかと思います。

[中日新聞]

先ほど、年末に向け県民の方に具体的な行動制限の呼びかけはされないというふうな御発言だったかと思うのですが、今後、感染状況によってはそういった呼びかけをされる可能性があるのか、それともウィズコロナを進めていくのか、どのような認識で考えておられますか。

 

【知事】

今日、発したメッセージは、現時点で申し上げています。おっしゃったとおり、これから年末に向けて、さらに感染再拡大とかその再拡大したときに病床がひっ迫して回らないとか、どんどん重症化される方が増え、尊い命が失われていくということなど、変異の状況や同時流行の状況というのは注意深くみる必要があると思います。その都度、状況をみて判断し、メッセージを出していきたいと思います。ただ、段々といろいろなことわかってきましたので、以前と同じように何か止めて、宣言を出して、行き来を止めてということでない対応というのも模索していかなければならないのではないかと思います。

 

[朝日新聞]

物価高対策のことでお尋ねします。今、いろいろと打ち出された対策は燃料費に対する支援とかあるのですが、逆に燃料費を使わないことに対しても支援をする。こういう時期でなかなかむしろ使うということを支援するよりは、燃料費を使わないような形でやっていくことに対する支援をする考え方は、むしろ持続可能な生活への転換とか、あるいは環境重視という知事が目指しておられる方向性としてもかなり親和性があるというふうに考えます。こういうふうに燃料費を使うことで大変だから燃料費を使うことに対する支援だけではなく、むしろそういうときだからこそ、燃料費をより使わないような形での何かしら活動に対する支援ということなどについても考えていらっしゃるかと思うのですけど、その辺はどうでしょうか。

 

【知事】

重要な視点だと思います。だからこそ、この(モニターに映した資料の)1番右側の未来を見据えた投資の促進というものと、3本柱での政策でそういった投資する取組を支援するなどの取組をしています。加えて、使う人の支援だけということじゃなくて、これだけ価格が上がってくれば、当然、それぞれの施設もそうです、事業所もそうです、節電や節ガスをなさっていると思いますので、こういう状況下でもなお動かさなければならない、使わなければならないものに対する下支えするというのと、投資とをセットで実施していきたいと思います。

 

 

[朝日新聞]

武村県政の企画展のことで、知事のお考えをお聞きしたいのですけれども、知事としては、安倍さんのような国葬を持って弔ってもらうということと、武村さんのような企画展をもって県民にまた偲んでもらうという、三日月知事としては、もし亡くなった場合はどちらを望まれますか。

 

【知事】

武村知事は偉大でしたから、そういった方の企画展を前に自身の死後のことまで申し上げるのは甚だ僭越だと思いますので、そこは控えたいと思います。ただ、武村さんはやはり発想力も豊かでしたし、お人柄もユーモアがありましたので、記者の皆さんとか、それはよく御存知だと思いますが、あれだけの人はなかなか出てこないだろうと、今、改めてこういう企画をしながら感じております。

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