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知事定例記者会見(2022年11月8日)

令和4年11月8日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

今日もよろしくお願いいたします。

まず、新型コロナの状況は今日が9月下旬以来、1,000人を超えるということでございまして、事前にも状況を話していたのですけど、昨日の11月7日時点で直近1週間とその前週を比較すると1.33倍。全国と同様に増加傾向ということです。したがって、第8波に入ってきているという認識を皆さんと共有する必要があると思っております。改めて、マスクの着用、寒くなってきましたけど常時換気すること、そして手指消毒等をすること、この取組をお願いいたします。

ワクチンにつきまして、現在、接種会場を設け、市町にも会場があり、進めているところですけど、「もう打たなくてもいいのではないか」という風潮があるのかもしれません。オミクロン株対応ワクチンは、オミクロン株に対する発症予防効果、そして今後の変異株に対する有効性が見込まれております。これまでのワクチンで1回、2回、3回、4回接種済みの方、1回感染して回復したという方も、本格的な第8波の到来の前に、できれば年内に接種をしていただきますよう積極的な御検討を呼びかけたいと思います。担当者から言わせると「もう1回だけ打ってほしい」と。何回も打つのが嫌という方も、もう1回だけワクチンを打とうと。御案内のとおり、例えば、年明け以降はワクチンの有料化も検討されているということでございますので、今こうして大規模に打てる、無料で打てる、この時期にもう1回だけワクチンを打って、感染しない・重症化しない対策を取っていきましょう。

原子力防災訓練を11月4日から6日まで、国が美浜で初めて実施する原子力総合防災訓練と一体的に県の訓練も実施いたしました。この訓練を通じて、講評でも申し上げたのですが、事態がどんどん進展していく状況に応じて情報の収集ですとか、共有、発信、そして、様々な方針の決定をしていかなければならないということでございました。住民の皆さんにも避難訓練に参加していただきましたが、秋の好天の日曜日ということでしたので、夜間、また冬季などにつきましては、なかなか難しいこともあるのではないかということや、交通誘導の問題、ペット同伴で会場に入れないという方もいらっしゃいましたので、例えばそういった方々の避難をどうするのかといったような、今回わかったことを少し検証して、今後のマニュアルづくりや態勢・対策づくりに生かしていきたいと思います。

また、11月3日は「ビワイチの日」ということで、ビワイチ推進条例を施行してから初めて「ビワイチの日」を迎えました。記念ライドを西川貴教さんとしたり、また議員の皆さんに御参加いただいたり、式典を開催するなどいたしました。市町の御協力もあり、11月9日までの「ビワイチ週間」、まだ週間内ではございますが、様々なイベントを実施していただいております。

明後日11月10日には、国土交通省とナショナルサイクルルートのある自治体担当者が一堂に集まる初のミーティングを開催する予定ということでございます。前回、オンラインミーティングを行いましたけれども、今回はリアルで、まずは滋賀県で担当者会議を開催するということでございますので、今後の展開を一緒に考えていきたいと思います。誰もが楽しめるビワイチ、ビワイチプラスというものをつくっていきたいと思っておりますので、報道機関各位の様々なお力添えもいただければ幸いでございます。

それでは資料に基づきまして3点申し上げます。

1つ目は「しがけあプロジェクト」についてでございます。11月11日は「介護の日」。コロナ禍においても介護を必要とする方々、その御家族、地域の日常を守り、時には非日常を楽しめるように支えてくださっている介護従事者の皆さんに敬意を表し、感謝を申し上げたいと存じます。この感謝の気持ちも込めまして「介護の日」に合わせて「しがけあプロジェクト」の新たなコンテンツを発信いたします。特に今回も西川貴教さんに御協力をいただきまして、御自身の実体験に基づき、西川さん御自身の言葉で介護従事者に対する思いや考えも語っていただいております。大変貴重なメッセージをいただきましたので、ぜひ御覧をいただければと思います。

このプロジェクトは「滋賀県介護の魅力等発信部会」が中心となりまして、滋賀県と介護業界が力を合わせて若い世代の皆さんに向けて介護の仕事のイメージアップを図り、やりがいなどを伝える取組とのことでございます。昨年度から取組をスタートいたしましたが、業界団体が1つになって取り組む具体的な流れが構築されつつあるのではないか。「自分たちの仕事の意味を考えた」「誇りや愛着を感じる機会になった」など、業界内部の結束ですとか、意欲を高めることにもつながっているのではないかと捉えております。

2年目になりました今年度は介護の仕事の魅力をより広くお届けできるように発信力のある西川貴教さんや滋賀レイクス、また、学生の皆さんなど多様な方々とのコラボ企画を新たに実施しています。今後とも、県内の介護関係者、そして私たち県とがタッグを組みまして「しがプロジェクト」というものを充実させていきたい、そして介護人材の確保に資する取組を展開していきたいと考えております。

2つ目は、ホンモロコについてでございます。この時期、琵琶湖ではホンモロコ漁が最盛期を迎えるということでございまして、そうした中、11月28日の月曜日に、滋賀県漁業協同組合連合会および滋賀県水産加工業協同組合、そして私たち滋賀県の共催によりまして「ほんもろこシンポジウム」を開催いたします。

この琵琶湖産ホンモロコの資源量は、稚魚の放流、外来魚の駆除、漁業者による禁漁などの取組によりまして、近年、資源量の回復がみられるということでございます。一方、長年、資源が低迷したことによりまして、取り扱うお店が減少いたしまして、漁師の獲り控えというものも起こり、ホンモロコを食べる文化も薄れてしまい、需要が戻らないという課題が今出てきております。

今回のシンポジウムは、需要や流通の回復に向けて、消費者が食べたい、飲食店や小売店が扱いたいと思っていただけるよう、幅広い方に本物の美味しさや魅力を伝えることを目的に開催いたします。琵琶湖でホンモロコがしっかりと育ち、それを獲る漁師の皆さんがいて、良い状態で届けてくれる流通業者、美味しく提供してくださる小売店・水産加工業者・料理人の方々がいて、私達がホンモロコをいただけると。この循環をしっかりとつくり、回す、また回復させていくことが重要だと思います。

このシンポジウムは、各分野でホンモロコに関わる方の講演ですとか、ホンモロコの持続的利用を考えることをテーマにしたパネルディスカッションを行い、このホンモロコの価値魅力を発信するということでございます。ぜひ、多くの方々にその価値や魅力が伝わるイベントとなり、その後につながるよう取り組んでいきたいと思います。

最後ですが、こちらも資料があると思います。第3回「北部の日」は高島で、また「こんにちは!三日月です」も第80回を開催しますということでございます。今週末11月13日から14日の2日間、高島に入ります。御案内のとおり、高島は琵琶湖に注ぐ3分の1以上の水源がある豊かな資源がある、米・野菜・果物、今は柿も美味しいということでございまして、農作物をはじめ、畜産、琵琶湖で獲れる湖魚、豊富な農水畜産物に恵まれているということでございます。年間通じて湿度が高い、冬は雪深いと保存食が必要であったことから、今日までお酢とかお味噌とか湖魚、漬物とか日本酒など多様な発酵食品が生まれ、人々の暮らしに食文化として育まれてまいりました。

今回の「北部の日」では、これらの豊かな自然や気候風土に育まれ、人々の生活に根ざしている豊かな「食」を切り口に活動したいと考えております。某新聞紙にも紹介されておりましたけれども、私も鮒寿司をつけて小泉武夫先生からも御評価いただいております。そういった自信も持ちながら、それぞれの地域の発酵食を味わったり、楽しんだり、また野菜や果物を収穫したり、農作業に従事したり、また、現地の皆さんと意見交換をするということなどを通じて、高島地域の食や魅力、地域振興について気づきを得る機会にしたいと思っております。

11月1日付けで設置いたしました「北の近江振興プロジェクトチーム」の職員、秘書課等の職員も同行いたしまして、皆で一丸となってこの地域のことを見て、聞いて、考える機会にしたいと思いますので、報道機関各位の御取材等、御同行等いただければ幸いでございます。長くなりましたが、私からは以上でございます。

[朝日新聞]

まず、1つ目は先ほど冒頭にお話のあった新型コロナの件です。第8波に入っているという認識ということですけども、これから、冬に向かうとインフルエンザも流行してくるということで、発熱した患者さんはかなり大量に発生してくるということが考えられると思います。そうしたときにも対応として、まず滋賀県としては検査キットを配布してそれぞれ各自でコロナに陰性か陽性かを診断してもらうことで、発熱外来がひっ迫しないような態勢を取っていらっしゃるということですけども、配布するキットの数は大丈夫でしょうか。それから、それでも大量に患者さん・発熱された方がいらっしゃると思うのですが、それに対する対応というか、態勢というのは十分に取られているのでしょうかということをお尋ねします。

 

【知事】

まさに今、この今回の第8波への移行を想定しながら準備を進めているところです。おっしゃった検査キットの数の問題を含めて、検査の態勢をしっかりつくっておくことと、それぞれ申し込めば検査キットが届き、自分で検査をすることができる、登録することができるシステムと、受診することで登録や治療につながっていくというこの流れとしっかりと動かしながら、かつ、宿泊療養施設の運用も含めて、入院が必要な方に対して提供ができる病床を確保しながら医療提供体制をしっかりとつくっておく。この体制を季節性インフルエンザとの同時流行も想定しながら、現在11月中旬が目途ですから、鋭意進めているところです。

例えば、そのためにネックとなってしまっていた病床確保料の問題などにつきましても昨日、全国知事会でまとめて政府要望、総理にも直接要望したところでございますので、近日中にその対応等を示すという見解もいただいておりますので、こういったことも併せながら対応をしっかりと行っていきたいと思います。また、私達はその検査・医療提供体制、療養体制を整えますが、一人ひとりが改めてもう1回、気をつけていくということも重要ですので、ワクチン接種や基本的な対策の実施といったことも併せて呼びかけを強化していきたいと思います。

 

[朝日新聞]

態勢を整えるということですけれども、実際に診療する立場になるお医者さんというか、医師会との連携などについてはどのように考えていらっしゃいますか。

 

【知事】

必要であれば再確認いたしますけれども、これまでのコロナの対応、そしてどんどん様々なことがわかってきて連携して対応してきたことをしっかりと糧にしながら、さらに(陽性患者の)数が増えていくということも想定して態勢をもう1回つくっていきたいと思っております。特に、昨年はそうでもなかったですけど、今回、季節性インフルエンザがどのようになるのか。まず、最初にオミクロンが来て、その後、季節性インフルエンザが来てということになるのか、同時流行で増えていくのか。こういったことは医師会とも状況・情報を共有して対応を考えていく必要があると思います。

 

[朝日新聞]

それでは次の質問をお願いしたいと思います。今、エジプトでCOP27が開催中です。滋賀県は琵琶湖を抱えている県として、環境政策については非常に前向きな取組をされていると思います。もちろん気温上昇を抑えるというCOP27で今話し合っている内容は、滋賀県だけの取組で解決する問題ではないですけども、とはいえ、各組織・団体それから個人が意識を変えていかなければ、地球規模での問題は解決していかないと思います。こうした問題意識を持って環境政策を進めていらっしゃると思いますけれども、知事の環境政策にかける考え方というか、ポリシーをお聞かせいただけますか。

 

【知事】

まずは琵琶湖をお預かりする滋賀県として、琵琶湖を私達の姿・暮らしを映し出す鏡であるとか地球環境を眺める窓として、気候変動のあり方、そして水質の問題を含めて捉える、見つめ直す、考え直す、暮らしのあり様を変えていく、そういうきっかけにしていきたいと思います。そのための1つのツールとしてマザーレイクゴールズ(MLGs)をつくり、現在様々な取組を展開しているところですので、そういったものを進化させ、そして広げていきたい。これがまず1つです。まさに、それは「シンク・グローバリー、アクト・ローカリー」「着眼大局、着手小局」。滋賀の中で日々の暮らしでできることにつながるというふうに思います。

同時に、CO2ネットゼロにつきましては、県として戦略方針をつくり、現在具体的な取組を進めています。既に県内でも米原市、湖南市などの先行地域が認められ、具体のプロジェクトを動かそうとしておりますし、ライフスタイル、また廃棄物、新たな産業をつくるという取組、カーボンクレジットの取組なども、森林資源をうまく生かしながら取り組むことをなど、今、様々な取組を実際に動かし始めております。我慢や制約、負担だけではない、投資や雇用につながる、ときには楽しく、前向きに動いていけるような取組をCO2ネットゼロ、気候変動のテーマにおいてもつくっていきたいと思っております。

 

[朝日新聞]

今、お話があったとおり、非常に滋賀らしさということを踏まえた、いろいろな施策を今やっていらっしゃると思います。こうした取組というのをもっと世界に発信していくというような取組、例えば今回もCOP27には東京都の小池知事も参加されているということですけども、こういうふうに例えば国際会議の中でプレゼンテーションしていくというような取組などについては、お考えはありますでしょうか。

 

【知事】

機会を見つけて積極的に発信していきたいと思います。今回のエジプトのシャルム・エル・シェイクには伺えませんでしたけれども、どういったことが話し合われているのかというのは注目して、ウォッチしていきたいと思いますし、4月でしたか、熊本で行われた「アジア・太平洋水サミット」ではプレゼンテーションさせていただいて、滋賀の取組に共感をいただいたというようなこともございました。今週、日本に駐在される10数カ国の大使等をお招きする機会・企画などもございますので、環境問題だけではございませんけれども、県内を様々巡っていただく、また知事主催のレセプションなども開催させていただく、そういう機会に滋賀県の取組を発信できればと思っております。

 

[朝日新聞]

こうしてCO2ネットゼロの取組とか気温上昇を抑えるような取組を進めている一方で、このエネルギー危機という問題の中で、この取組とは逆行するような動きが出てきていると思います。例えば、ガソリンとかガス代の補助金を出すとか、今の環境施策と逆行するような動きというのが出てきていると思いますけれども、こうした施策の必要性というのは知事としてお考えになっていらっしゃいますか。

 

【知事】

御質問の言葉の中で逆行というお尋ねの仕方がございましたが、必ずしも逆行すると私は思っておりません。当然、エネルギーのカーボンフリー、ネットゼロに向けた再エネへのシフト、こういったことも別の施策の中でつくっているということもあります。加えてこの電気料金やガス料金の支援の問題は、目下の物価高騰に、非常に厳しい状況にある国民の皆様方に対して何らかの支援を行うという施策でございますので、逆行とまでは言えない必要な施策ではないかと思います。ただ、中長期にみて、エネルギーシフトが起こっていくような取組というのは不断につくり進めていかなければならないと考えております。

[朝日新聞]

それと同様にエネルギー危機という問題を根拠にして、例えば原発の依存度を高めていくような方向性に施策の転換がなされているように見受けられます。今回、原発の運転期間の上限を取り払うような法改正などがありますけれども、原発依存度を低くしていこうというふうにお考えになっている知事としては、今こういう動きに対してはどのように受けとめていらっしゃいますか。

 

【知事】

政府をして総理をしてエネルギー当局をして安全に動かせる原発を動かしながら、エネルギー需給をまかなっていこうとされているのではないかと思料いたします。安全に動かせる原発を動かすべきだという方針については一定理解をいたしますが、私どもとしては中長期でみたときに、先般も訓練をやりましたけれども、万が一事態が起こったときの被害が及ぶ自治体との連携、実効性ある多重防護体制の確立、これはまだまだ道半ばではないかということや、動かせば必ず出てくる廃棄物の回し方、持っていき方というのが確立されていない現状において、この原子力エネルギーに頼り続けるということはなかなか難しいのではないか。「もんじゅ」「ふげん」を入れて、既に若狭湾に15基ある中で7基が廃炉ということからすると、もう既に以前よりも原発ではないエネルギーにシフトチェンジしてきているということもございますので、こういったことを念頭に置いた対策というのが必要なのではないかと思っています。滋賀県としては以前のような原発に依存するエネルギー社会から変えていく取組というのを動かしていきたいと思っております。

 

[びわ湖放送]

新型コロナですけれども第8波に入ってきているということですが、現在、レベル1ですが、このレベルの引き上げについてはどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

現在、レベル1です。直近の病床の占有率等がこのような状況になっておりますので、この現時点において変えなければいけないという状況にはないと思っていますが、今後の状況をみて判断していかなければいけないと思っております。

 

[中日新聞]

改めてですけど、11月に入りまして全国旅行支援の現在の状況と現在の感染拡大の状況を踏まえた今後の対応等で考えられていることがあればお願いします。

 

【知事】

こういった感染再拡大期に入ってきておりますが、これまでのこともあり、「旅行には行きたいね」「久しぶりに出かけたいね」という動きというのは広まってきている、高まってきていると思います。それを受けて、旅行支援というものも大変好評をいただいているところでして、具体の数字、直近の数字は、担当に確認していただければと思いますが、例えば10月11日から全国旅行支援が実施されていますが、中小旅行業者分というのはもう10月21日をもって新規受付が中止という状況です。大手旅行会社に配分されている分については各社で枠の管理がされているということでございますが、37社あるうち、既に割り当てられた予算が終了とされている社が12社。今、販売できるという社が22社。これから販売しますという社が3社あるということでございます。

国に対して予算を追加してくださいという要請していますが、今の時点で追加予算されておりませんし、11月1日には追加予算は困難との回答もございました。ただ、昨日も政府と全国知事会が議論した時に、この旅行支援の継続もしくは拡充の必要性を要望いたしました。総理からも、今後の感染動向を踏まえて対応を考えたいというようなこともございましたので、ここは一定の期待を持っております。

いずれにいたしましても、この感染動向をみながらの対応というのが必要になってくると思いますし、多いときに支援して動いてもらうというよりも、少しまた下がったときにテコ入れをするということなども知恵としてあるのではないかと思っています。滋賀県の「今こそ滋賀を旅しよう」については、例えば平日に人を動かすとか、今度少なくなったときに動いていただけるきっかけにするとか、こういったことを今考えながら内容を検討しているところです。

 

[読売新聞]

県立病院について質問させてください。県の病院事業は基本的に収支が芳しくなくて、県の予算だとか決算にも影響が出ているかと思うのですが、そもそも論で恐縮ですけれども、今は病院事業の経営上あるいは運営の効率化といった点にどういう問題があって、だからこそ何かしらの見直しが必要だったと、どういう点が問題だというふうに知事は認識していらっしゃるのでしょうか。

 

【知事】

県民の皆様方が県立病院に抱いていただく期待や願いというものは県立病院ですから、全県どこにいらっしゃる県民の皆様方に対しても必要な医療を提供する、例えば、不採算であったとしても、高度な治療方法であったとしても、難治性であったとしても県立病院なら診てもらえる。精神もそうです。小児の様々な障害、重症、重度の心身障害の方々もそうです。そういったものが診てもらえる医療機関、この期待には応えていきたいというのが1つ。

ただ一方で、収支の問題。これは回るフローの収支だけではなくてストック、これまで行ってきた借金の返済、資本収支のバランスも含めて持続可能かどうかという問題。人の確保の問題、これは働き方改革が2年後に迫っているというこういう状況を受けて回るのかということですとか、単年度の収支をみたときにもっと効率的な経営のあり方があるのではないかといったことを、期待に応えつつ課題を克服していくために、より良い経営のあり方・やり方というのがあるのではないかということで、現在、検討会をさせていただいているところです。年内には一定の方向性をもって県民の皆さんにお示ししていくということが必要ではないかと思っております。

[読売新聞]

県立病院の期待という部分ですけども、県内の医療というのは県立病院以外の公的病院ですとか準公的病院、あるいは民間病院も支えていて、民間病院が必ずしも別に不採算をやってないかというとそうでもなくて、不採算をやった上で黒字化を確保するケースもあるかと思うのですが、その中では県立病院だから安心感があるというお声というのはあるのですけれども、その点はどういうふうに考えてらっしゃいますか。

 

【知事】

あの県立であれ、私立・民間立であれ、全ての医療機関が安全な医療、そして安心していただける医療の提供に御尽力いただいていると私は思います。例えば、今おっしゃった不採算の医療を、採算の取れる医療でまかなうということの中でバランスをされている。ただ、その地域ごとの病床の急性期、慢性期、このバランスをそれぞれの地域ごとに取っていくという課題ですとか、誰もやらない、引き受けられない医療をどこが診るのかというときに、やはりこれは公立、とりわけ県立で診てほしい、診るべきだということに応えていかなければならないということですとか、2年前にコロナが最初に感染拡大したときに感染者病床を増やす取組に、やはりまず県立が最初に行ってほしいということもございました。今はもう多くの病院に御協力いただいておりますけども、例えばこういったことというのは県立が担っていかなければならない1つの大きな課題ではないかと思っております。その際には必ずしも収支が一時的にバランスする・しないとか、そのもの自体が儲かるとか儲からないということだけではない対応が求められますので、少し収支が厳しくなってくるということはあります。ただ、その収支もいつまでもその状態、赤字がどんどん膨らみ、資本収支が悪化するということを見過ごすわけにはいきませんので、その兼ね合いの中で方針をつくっていくということだと思います。

 

[読売新聞]

病院事業庁がつくっている専門部会でいろいろ議論されて、その中で独立行政法人(独法)が選択肢の1つに挙げられています。一般的に独法のメリットとして、人事の柔軟性というのがあって、年度途中の異動ですとか、そういったことで医師とか看護師の確保がしやすいという利点があるというふうにされると思うのですが、一方で専門部会での県側の説明を聞いていると今でも一定それは確保できているということもおっしゃっていて、いまいち独法へのスタンスというのが少しわかりにくいです。どういう利点あるいはデメリットを持って選択肢の1つとして考えているのかよくわからないのですけども、その辺はどのように認識されていらっしゃるのでしょうか。

 

【知事】

今おっしゃったように独法化すれば、利点として一般的に、今、御指摘のあったような年度途中の予算執行の切り替えですとか、人材確保、人の採用・異動などが行えるという意味で裁量が広がって経営の自由度が上がるということはあると思います。自由度と不安定感というのは裏腹で、働く人たちからするとそういったことに対して不安を覚えられたりするデメリットもあると思います。また、こういう経営の自由度を持った組織に対する私たち県民のガバナンスというものをどのようにみればいいのか。独立行政法人が運営する県立病院と不採算医療も担う県立病院の経営のあり方というときのガバナンスの問題を不安視される方がいらっしゃいます。経営の自由度が高まる分、県民を代表する県議会に説明が十分だろうかというようなことを疑問視される声もありますので、その中でどのような方針を持っていくのか。現在、地方公営企業法の全部適用ということでやっております。この全部適用というのが今の時点で十分運用されているのか、まだ運用改善の余地があるのかといったようなことも十分に検証されなければならない課題であり、可能性ではないかと思っております。

 

[読売新聞]

ある程度、病院事業庁という形で自由度があることはあるけども、そこは今の体制がいいのか、あるいはもう少し変えた方がいいのかということを今検証しているというような感じでしょうか。

 

【知事】

まずは今現時点、病院事業庁というものがあって、全部適用という形でやらせていただいておりますが、例えば独立行政法人というものにした場合、どのようなメリットがあって、どのようなデメリットがあるのか。こういったことも議論していただいていると承知をしております。ただ、様々な御意見もお寄せいただいておりますので、そういったものも踏まえて県としての方針を持つ必要がある。何より冒頭で申し上げたように、この県立病院に対する期待、県民の皆さんの願いというのは以前から強くありましたし、高齢化に従ってより多くなってきておりますし、癌や様々な障害に対してしっかりと対応する医療機関であってほしい、不採算医療も含めて担ってほしいということに応えなければいけないという使命に対してどういう組織の形態がいいのかというのは一番念頭にあるところです。

[京都新聞]

コロナの警戒レベルのことからお尋ねさせてください。先ほどレベル2への引き上げは、今のところ考えていないというお話があったかと思うのですけれども、第8波に入り感染対策の呼びかけを強化していく・ワクチンはできるだけ打ってほしいというお話と、引き上げないというのに少し温度差があるように感じられたのですが、現時点でその引き上げを考えていない理由をもう一度お聞かせいただけないでしょうか。

【知事】

今後の状況をみて判断します。今日、この時点、今この時点で上げるという判断はしないということですので、今後さらに高まり、病床の運用が厳しくなるということであれば、当然レベルを引き上げてさらなる別のお願い、より強いお願いをしなければならない場面というのも出てきつつあるということです。

 

[京都新聞]

そうであれば、どうなったときに引き上げるかというところですけれども、前回、レベルを2から1に引き下げたときに病床の占有率が20%を下回らない段階で引き下げたと思います。レベル1から2に引き上げるときというのは、10万人あたりの感染者数が10人以上というふうにあるのですけれども、もう大幅に上回っている状況かと思うのですが、今後どうなったときにレベルは引き上げるのかというのはどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

以前も申し上げていますけど、命を守る、大事な場所、最終の砦になってくるであろう医療機関の病床というのは一番注目しなければならないことだと思います。重症化がどのように広がってくるのか、広がってこないのか。今はまだどちらかというと現場の状況は厳しい状況もありますが、比較的余裕のある状態で入院は必要ないけれども、他の病気・症状なども勘案して入院されている方々もいらっしゃるように聞いておりますので、そういった運用が可能な状況というのは一定踏まえる必要があると思っています。

ただ、今後、より感染者が増えれば、当然一定の割合で重症化してこられる方が出てきますので、重症化の割合が多かった波と少なくなってきた波とがあります。そういう状況も見極める必要があるのではないかと思っています。病床は一番注目するところです。

 

[京都新聞]

もう1点お尋ねしたいのですけれども、滋賀県内で大規模な風力発電施設が2か所で計画されていて、環境影響評価というのがなされているかと思います。昨日は高島市と福井県の境で計画されている大規模風力発電事業について環境影響評価審査会がありましたけれども、やはり少なからず自然を改変するということで動物や、特に鳥類の研究者の方からイヌワシ、クマタカの生息ゾーンであるということで非常に懸念の声が示されていました。先ほど県のCO2ネットゼロの話もありましたけれども、やはり再生可能エネルギーの施設をつくるということは一定大切だと思うのですが、そこと自然保護というのをどのように両立させていくか。この計画については知事意見を今後出されると思うので、まだ検討中だと思うのですけれども、知事がどのように風力発電事業と自然保護の両立を考えておられるかというのを教えていただけないでしょうか。

 

【知事】

再生可能エネルギーを増やしていくということと、大切な自然資源を、その土地による自然資源を守るということをどのように考えればいいのかということについては両立を考えていくということだと思います。かつ、地形や環境の改変により重大な影響が及ぼされる場合については、そのことをしっかりと踏まえて、どのように事業を行うのか行わないのかということを考えていくということだと思いますので、この環境影響評価のプロセスの中で、(事業者が)調査し(環境への影響を)評価する、また(それに対して県は)必要な意見を述べていくということだと思います。

 

[京都新聞]

この2つの計画とも、山の尾根沿いに大きな風車を建てるということで、鳥が当たったりとか渡り鳥が来るときの障害になったりするのではないかという声もありますが、滋賀県内で計画されている、その2つの大規模風力発電事業について知事はどのようなお考えでしょうか。

 

【知事】

すみません。最新の資料を私も今、手元に持っていませんので、この時点で両事業に対する私個人の見解を申し上げるのは控えたいと思いますが、山の上に風を受けて回るものがあれば、当たるものもあるのかもしれません。ただ、それが生態系保全の観点から多様性保全の観点からどのような影響が生じるのかということについては、よくみて対応する必要があると思います。ただ、可能なところにそういったものを設置していく、また可能な形で重大な影響を及ぼさない範囲内で対応するということをどこまで認めていくのかということだと思います。このことは、一緒にみていきたいと思います。

 

[滋賀報知新聞]

話題を変えさせていただきまして、県民手帳について伺います。11月1日に来年版の県民手帳が発行されたのですが、これで県民手帳の発行というのが最後になるというお知らせも出ていました。1955年(昭和30年)から68年間発行されてきて、県民にも長い間親しまれてきた県民手帳というのが、これで終わりになるということに対するコメントと、この県民手帳に代わる何か施策等の御予定があれば教えてください。

 

【知事】

1955年版から68年にわたって発行させていただいた、多くの方々に御愛顧いただいた県民手帳が、今、発売しております2023年版をもって発行終了ということでございます。この間の御愛顧に感謝したいと思います。「県民手帳、よく頑張ったね」と労いたいと思います。そして、これを作るに尽力したスタッフや関係者の皆さんにも思いを寄せたいと思います。今後についてはまだ考えていません。

県民手帳、直近では去年のもの(の販売数)が7500冊。私が知事を担わせていただいた平成26年(2014年)のときは1万冊を超えていたということですので、こういった手帳の御利用、県民手帳の御利用というのが大きく減ってきていると。皆さんもそうじゃないですか、もう手帳使わなくなったとか。こういった時代の流れで、こういうものをどう出していくのか、出していかないのかということだと思います。

 

[滋賀報知新聞]

毎年、楽しみにしていらっしゃる方もまだいらっしゃると思うのですが、その方とかに何かメッセージはありますでしょうか。

 

【知事】

楽しみにされていらっしゃる方々がどれぐらいいらっしゃるのか。今回の発行終了で、そういったお声がどれぐらい顕在化してくるのかというものも受け止めて、そういうものがあるとするならば、また考えていきたいと思います。

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