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知事定例記者会見(2022年8月30日)

令和4年8月30日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

おはようございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。当方の都合でいつもと時間が変わってしまいました。申し訳ございません。

8月も終わり、いよいよ秋本番ということになってまいります。滋賀県各地で稲刈りも行われております。秋の実りに感謝したいと思います。とはいえ、ウクライナ情勢もあり、気候変動もあり、食料の確保をいうことに危機感を持っている一人でございまして、庁内でもそういった食料自給、食料確保、滋賀県が果たして行くべき役割、そのための課題、またある意味での可能性、こういったものをまた皆さんと一緒に探っていきたいと考えているところでございます。

コロナの問題につきましては、まず、8月22日から28日までの1週間の新規陽性者数を前週と比較いたしますと、1.05倍と以前よりも落ち着いた状況かもしれませんが、本県の感染状況は下げ止まり、高止まりという状況が続いております。8月29日時点の確保病床に対する占有率は、7割を切りまして68%と以前よりも下がってきていますが、引き続き医療の体制は非常事態にあると言わざるを得ません。発熱外来への電話もつながりにくい状況が続いていると聞いております。

国から全数把握の見直しの方針等を示されており、それぞれの府県の方針等が報じられ始めておりますが、本県においては当面の間、全数把握を継続いたします。国でもさらに検討されるということでございますし、感染動向を今後さらに注視をする必要があると思いますが、医療機関、医師の判断による発生届は全て御提出をいただくと。また、それらを医療機関等でまかなうために、外来の負担を軽減する必要があるということで「検査キット配布・陽性者登録センター」を明後日の9月1日から開設いたします。

このセンターは、重症化リスクの低い方が御自身で抗原定性検査キットをお申し込みいただき、自ら検査し、その結果、陽性となった場合に登録を行っていただくものでございます。登録情報は自宅療養者等支援センターと共有いたしまして、支援につなげることといたします。詳しくはまた担当課から資料提供させていただきますが、今ある仕組みは保健所・医療機関で陽性者の登録を行うことになっております。御案内のとおり、感染者急増、また医療のひっ迫等がございます。したがって、それぞれ県民の皆様方で検査キットを申し込みいただき、検査していただき、その結果、陽性の場合に登録を行っていただいて、そして自宅療養者等支援センター含めて、フォロー・ケアをさせていただく。今の体制を更に広げて、強化しながら対応していくという仕組みを9月から整えることといたしました。引き続き、先ほど申し上げた全数把握の当面継続とあわせまして、誰一人取り残さない、置いてけぼりにしない、急変時の不安等に寄り添う体制を維持していきたいと考えているところです。

なお、付言ですけれども、様々な手続きの簡素化というものは今後も不断に見直し、改善し、行っていくことといたします。報告しなくてもいい情報等を切り落としながら、必要な情報を集め、そして共有し、報告をするという体制をこれからもつくっていきたいと思います。

少し話題を変えますが、学習船「うみのこ」が60万人乗船を達成いたしましたということを既に情報共有させていただいておりますが、1983年(昭和58年)以降、約40年にわたる滋賀独自の取組が1つの大きな節目を迎えました。これまで活動をつくり、支えていただいた皆様方に心から感謝したいと思います。また、この期に包括的連携協定締結企業でいらっしゃいますセブンイレブンジャパン様より、「祝60万人乗船記念うみのこカレー」が発売されるということでございます。今回、この「うみのこカレー」というのは、昨年の第1弾に続く2度目の企画ということで、今日の午後、記者発表予定と伺っております。このカレーを購入いただきますと、デジタル地域コミュニティ通貨「ビワコ」がもらえるということの他、販売個数に応じて「うみのこ」への寄付をいただけると聞いております。

「うみのこ」は、来年には就航40周年を迎えます。先般もびわ湖フローティングスクールの担当の先生方と船の上で意見交換させていただきました。何より安全な航海に腐心いただいておりますし、目下、感染症対策をしっかりと行いながら、本物体験を子どもたちにしてもらうべく、準備ですとか、学校との打ち合わせ、こういったことに大変熱心にお取り組みいただいております。ぜひ、この滋賀県が誇るフローティングスクール「うみのこ」をこれからも大切にしながら、全国に、また、世界にも広く発信していきたいと考えております。

最後に、今も言及いたしましたが、7月25日からスタートいたしましたデジタル地域コミュニティ通貨「ビワコ」の現時点での利用状況、8月29日時点で95のスポット、1,368のユーザーの御登録をいただいているところです。例えば、地域のお祭りや農業のお手伝いに参加することで「ビワコ」をゲットということであるとか、「ビワコ」を使って膳所焼きのガイドツアーやビワマスの頭を食べる体験ができるなどなど、様々な体験と交換しながらお楽しみいただいているということでございます。

現時点、モデル地域としております長浜市、近江八幡市、日野町を中心に広がりをみせているということで「ビワコ」の総流通量は566万3,966ビワコとなっているということでございます。想定よりもたくさん御登録いただき、お取引いただいているという実感を持っております。国内で同種のことをやられている地域の中で3番目の多さということでございます。

それでは、あと2点、資料に基づきまして御紹介をいたします。

まずは、シガリズム体験販売サイトを始めますという情報でございます。今年度から推進しております新たなツーリズム「シガリズム」でございますが、昨日の8月29日から体験申し込みができるサイトを開設いたしました。この「シガリズム」とは、観光地を単に巡るだけではなくて、滋賀の自然に触れ、滋賀で暮らす人々と交流することで、滋賀の歴史、伝統文化といった魅力をより深く体験・体感し、ある意味では少し狂ってしまった心のリズムを整える・取り戻す滋賀らしい新たなツーリズムの考え方として、今、提示させていただいているものです。コロナ禍を経まして、「今こそ滋賀を旅しよう」などの観光需要を喚起させる施策を実施する中で改めて見出された滋賀の魅力を体験できる観光コンテンツとして掘り起こすとともに、体験を提供する事業者、利用する旅行者、各観光協会、宿泊施設などが使いやすいサイトとして構築したものでございます。

シガリズム体験サイトはびわこビジターズビューローのホームページ内に開設されております。体験を選択していただき、必要事項を入力して申し込みを行っていただきます。事前支払い制のため、決済もウェブ上で完了するということでございます。このサイトで紹介する体験は、農林水産業や地場産などを持続的な観光資源として活用し、地元の魅力的な人に着目して造成・提案させていただいているものでございます。1つを紹介いたしますと、大津市にある藤三郎紐さんというのがあるそうでございまして、こちらは組紐体験。江戸時代に考案され、現役で紐を組んでいる組台「内記台」というのがあるのですが、これを見ることができるというのは全国でもここだけ。とても興味深い歴史ある道具を使っていただいて、伝統的な技術を受け継いでいらっしゃる5代目の太田さんに、いろいろなことを教わりながら組紐作りを行うという体験ツアーでございます。

現時点での掲載は3件ということでございますが、今年度内に64コンテンツの掲載を目指しております。引き続き、滋賀の文化や営みを守る方々との交流を含めた地域資源の掘り起こし、商品化の伴走支援を進めていきたいと考えております。

もう1つの情報は、こちらも資料提供がございますが、県内の介護現場で働く外国人県民の方々の資格取得を支援する外国人介護専門職育成研修の開講についてでございます。この研修は県内の介護事業所で受け入れた外国人技能実習生や特定技能外国人の方々が、円滑に就労定着していただけるよう、日本の介護に関する知識や技能を身につけるとともに、介護の専門職を目指すための基礎を学ぶことを目的といたしまして、今年度から新たに実施するものです。研修の特徴といたしましては、日本の介護の文化的背景や介護の専門用語を学ぶ独自課程と、介護の基礎資格である介護職員初任者研修課程を合わせて学ぶカリキュラムとなっております。

また、この研修には、滋賀県国際介護・福祉人材センターと中国湖南省に開設しております県誘客経済促進センターが中心となりまして進めております滋賀県・湖南省介護人材交流事業により来日された技能実習生も参加される予定でございます。アジア各国でも今後、高齢化が急速に進むと予測される中、世界で人材獲得競争が激しくなると考えられます。来ていただいた外国人県民の方々が安心して就労できる環境をつくること、また、資格取得を支援する環境を整えていくことは、滋賀で働いていくことを選んでもらうインセンティブにもなると考えております。これらの取組によりまして、それぞれの施設が将来にわたって安定的な人材確保につなげていけるよう取組を進めてまいりたいと思います。来る9月7日の水曜日、9時半から草津市立市民交流プラザにおきまして、開講式および最初の講義を行います。受講生が研修に臨む様子など、ぜひ、御取材等いただければと思います。長くなりましたが、私からは以上でございます。

[共同通信]

コロナの件で伺います。先ほど、大きな発表が2つあったかと思いますけれども、1つは全数把握を継続するということで、その判断に至った理由を教えてください。

 

【知事】

まず、昨年の夏に比べると桁違いの数の新規陽性の方が出ています。長引いていますので、医療の、また保健所の現場の状況は大変ひっ迫した厳しい状況がございます。一方で、感染症の対策というのは、どなたが感染をされて、どういう状況でいらっしゃって、また容体が変化する・しないを含めて、どういう経過でお過ごしになっているのかということを踏まえて、対応していくことが重要だと。したがって、第6波から第7波に向かう際にも保健所業務の簡素化など、ICT化など、様々な対策を講じてきましたけれども、こういうものも回しながら、全ての人をしっかりと守り、そしてケアする、支え合っていくという趣旨のもと、基本的には現時点、滋賀県においては全数把握を継続する方が良いであろうということを考えているところです。

ただ、とはいえ現場の状況、例えば医師の先生方が診断をされ、発生届を出されるお手間のことだとか、何より症状のない方も不安にかられ、医療現場を訪れられて検査を望まれるという状況を改善していくための対策もあわせて講じていく必要があるだろうということで、この「検査キット配布・陽性者登録センター」というものも運用いたしまして、これらによって、今の波を乗り越えていきたい、また、次の波にも対応していきたいと考えているところです。

 

[共同通信]

今の御紹介いただいた陽性者登録センターですけれども、例えば、熱が出て不安という方でもできれば陽性者登録センターを受けてくださいという趣旨なのか、もう高齢者ではなくて、ハイリスクの見込みが少ない人とかは基本的には陽性者登録センターということなのか、不安な方は(陽性者登録センターではなく)病院に行ってくださいというようなものなのかなど、どう捉えればいいのでしょうか。

 

【知事】

平たく言えば、どちらの方でも検査を受けて、そして診断を受けて、必要な療養・治療につなげていきやすい仕組みを整えようとしているということです。ただ、医療機関というのは基本的には症状のある方が受診されるところですけど、これだけまん延して周りに患者さんがいらっしゃると、どうしても「私は大丈夫かな」、いろいろな事情都合があって「検査して、陰性を確認してから動きたい」ということがあると、今も無料検査センターとかいろいろ回していますけど、かかりつけのお医者さんですとか近くの病院にかかるかかられることが多いですよね。それが現場をひっ迫させているという状況がありますので、あくまで御自身の症状に応じて、御対応いただくことになりますが、有症状で重症化リスクのない方については、こういった御自身で登録して、検査をし、登録していただくという仕組みいうのも動かしますので、ぜひ、御活用いただきたい。こういう趣旨です。

 

[共同通信]

関連してですけれども、この県民の方が自己検査をしようというので、申し込みをされてから実際にキットが手元に届くまで何日ぐらいを想定されていますか。

 

【知事】

基本的に翌日か翌々日にキットが届きます。すぐ検査していただければ、その場で結果がわかりますので、お申し込みいただいてから1日ないし2日で登録が完了するということです。ただ、登録していただくなどは、申し込みもそうですが、御自身の判断でありますので、そういう意味で、どこまで把握・捕捉できるのかというのが課題になってくると思います。

 

 

[毎日新聞]

この陽性者登録センターに関連してですけども、県民の方が有症状で重症化リスクがない方が登録センターに申し込むということですが、重症化リスクがないとか、有症状であるみたいなことは自己判断であるか、何か指針みたいなものでわかりやすく示されるのでしょうか。

 

【知事】

基本的に重症化リスクというのは、慢性の腎臓病をお持ちであるかないかとか、慢性呼吸器疾患、悪性腫瘍がおありなのかどうかなど、一定示しますけど、なかなか御自身で判断つかない方もいらっしゃると思いますので、そういった御相談等は受診相談センター等で受け付けていきたいと思います。

 

[毎日新聞]

これまでは医療機関とか保健所などを通して陽性者を登録していたものが、このセンターを通して登録するとなると、陽性者がすごく増えるのではないかと思うのですが、その辺りはどうお考えでしょうか。

 

【知事】

今もそうですけど、症状のある方、不安な方を含めて検査をしていただいて、その結果、陽性になれば、御療養いただく、また、少し症状が重ければ治療を受けていただくという仕組みは基本的に変えませんので、そういう仕組みの中で、それぞれの状況に応じた御対応をしていただくということです。ただ、医療機関に行ってもなかなか検査してもらえないのではないか、また現場は現場でたくさんの患者さんが来られて大変ではないかという状況を改善して、医師の診断とは別に、御自身の検査による陰性・陽性の結果をもって登録をしていただこうという仕組みをあわせて動かしていこうということです。県民の皆さんのニーズには一定応える状況になっていると思います。

[共同通信]

全数把握の件で、先ほど入力項目は報告しなくていい情報は切り落としていくというお話がありました。現時点で、最低限この情報は絶対入れていく、この情報は切り落としていくという具体例がもし決まっていれば教えていただきたいのと、これの運用はいつから始められるのか決まっていれば教えてください。

 

【知事】

まず、先週示された厚生労働省の通知によりますと、総数ですとか、何件出ているのか、年代別総数を毎日公表することを前提に届け出対象を限定するということになっています。したがって、何人陽性なのか、年代別に何人いらっしゃるのかという状況は毎日把握をすることになります。これはしっかりと整えていく必要がある最低限必要なものだと思っております。それ以外に、例えば居住地ですとか、性別ですとか、どういうものが必要で、どういうものが必要ないのか、どういうものに手間がかかっていて、どういうものに手間がかからずにいけるのか、今、それらを洗い出して整理しているところです。

国においても、当初はそれぞれ手挙げ方式ということでしたけども、全国一律で導入すべく検討されているようですので、そういう検討の中で示される指針なども参考にしながら、できるだけ早く整えていきたいと思います。かえって、このことで現場にこれまで以上に負担がかかることにならないようにしていきたいと思います。

 

[読売新聞]

今のコロナの件に関連して教えてください。三日月知事も従前から2類相当、5類相当の話に関して、国に対して特性に応じた運用を働きかけたいということを言及していらっしゃったと思うのですが、その理由の1つとしてこういった全数把握による現場の負担感というのもあったと私は理解していたのですが、今回、あえて当面の間は続けるという結論に至りました。

以前からは現場の負担を軽くするためにそういった運用を見直すように働きかけたと理解していたのですが、今回、その結果として、逆の当面続けるという結果に至ったのですけれども、そのプロセスの中でどういった考え方があったのか改めて教えていただければと思います。

 

【知事】

まず、大きな、急速な感染拡大がこの第7波においてありまして、とはいえオミクロン株の1つの特徴である重症化率、また、お亡くなりになる方の数がデルタ株に比べると少ない。感染力は強いけれども、重症化はしにくいという状況がある中で、医療機関の仕事、そして保健所の対応、こういったものを考えたときに、このオミクロン株の特性に合わせた、例えば分類の見直しの議論ですとか、さらには全数把握の手続きを含めた緩和、こういったものを全国知事会、特に7月に奈良県で行った会議などでも多く出され、緊急提言としてまとめ、その後、厚生労働省ともやりとりをしてきた。組閣なども行われ担当大臣が代わられ、いくつか複数で協議をしてきた経過もあるようですけれども、こういったことがありましたので、全数把握見直しをはじめとする現場の業務の緩和の方向性というのは、私は一定評価しております。

ただ、その中で、例えば緊急避難措置として、発生届を重症化リスクのある方に限定することを可能にするということでありますとか、都道府県から大臣に届け出を出して、総数把握とか、先ほど申し上げたように年代別の総数というものを毎日公表することを前提に届け出対象を限定することを可能にするということでございますので、こういう仕組みだと、そもそも、このコロナのウイルス、オミクロン株のリスクというものに対する評価が、まだ専門家の間でも、例えば定点把握だけでいいということになっていない懸念が感じられます。

したがって、そういう状況下において、国でも少し手続きが面倒な形で示されておりましたし、県においても依然として一定数新規陽性になられ、中等症、また重症化される、またクラスターも発生する状況も考え合わせますと、引き続き、全数把握というものを維持した形で、手続きは簡素化した上で全数把握を維持して、一人ひとりを守る、ケアして支え合っていく仕組みを維持した方がいいだろうと考えたところであります。とはいえ、現時点の方針ですし、この後、国の方針もまた新たに示されるということも想定しながら、準備・検討は不断に行っていきたいと考えております。

[読売新聞]

情報の簡素化ということですけれども、このスケジュール感といいますか、国の動きに連動したものになるのでしょうか。

 

【知事】

基本的には国の動きに連動したものになりますが、医師の診断で出されたものについては全数届け出、さらにはもう1つのルートとして、それぞれの県民の方々が検査して登録される仕組みとの兼ね合いの中で、どのような情報が必要で、またどのような情報が必要ではないのか。また、数の振り分けがどの程度になってくるのかと。その結果、医療機関の負担がどの程度緩和されるのかということなどもみていきたいと思いますので、国の方針もできるだけ早く示されるでしょうから概ね9月中に整えられるといいなという想定をもっています。

 

[朝日放送テレビ]

安倍元首相の国葬について、知事の方にもし招待状などが届いた場合、知事がどのような対応をとられる御予定か、現時点でのお考えを教えていただけたらと思います。

 

【知事】

安倍元首相の国葬が9月27日に予定されていると聞いておりますが、現時点、国から案内状等は届いておりません。その内容にもよりますが、こういった国葬というものが行われ、招待されるということになれば、公務で出席することになると思います。ただ、情報の詳細を確認した上で対応を検討したいと思います。

 

[京都新聞]

旧優生保護法下で行われた強制不妊手術の関係でお尋ねいたします。本紙が今朝、報道しているのですけれども、県が京都新聞社に開示した公文書によりますと、1970年の強制不妊手術で当時の今津保健所長が県の方に手術を申請していた資料が見つかったということでして、保健所から当調査書を審査会に出すというのは他府県では行われていない滋賀ならではと言いますか、滋賀独自のシステムだったようです。他府県では民間の医師が審査会に申請するということになっていまして、保健所からの調査書も出されていた、出す必要があったというのはあまりないそうです。そういったことから、この強制的な不妊手術においては、県として組織ぐるみで行われていたという側面があるのではないかというふうに考えているのですが、現在の知事としてどのように受けとめられますか。

 

【知事】

この優生保護法に基づく強制不妊の手術ですとか、取り扱い等につきましては、当時、法律に基づくもので行われていたということでございますが、今となって回顧的にみれば反省すべきことも多々あったのではないかというのが、私の今の考えです。

今、御指摘の点につきましては、情報公開請求に基づく公開情報として、御確認され、報道されたことだと承知をしております。当時、法律に基づく対応として、優生保護相談所が保健所には設置されておりまして、保健所長ではあるものの、この診療所の医師が診断されたものでありまして、診断書自体に問題はないと思われますが、他の府県との比較などにつきましては、現在行われております訴訟の中で提起された情報ということもございますので、その点についてはコメントを控えさせていただきたいと考えております。

 

[京都新聞]

京都新聞社と県の訴訟については、始まってから2年という期間が経っておりますけれども、この間、その公文書の開示について、県の方で何か変化・検討されていらっしゃること、2年経ったということについてのお考えなどはありますでしょうか。

 

【知事】

まず、この件に限らず公文書の作成、管理、保存、公開というものについては条例もございますし、しっかり真摯に適正に対応していくというのを原則に行っていきたいと思います。また、旧優生保護法に基づく強制不妊手術の問題につきましては情報公開請求も出されておりますので、この請求に基づき、これも公正かつ適正に判断し対応してまいります。

一部、御本人の特定ですとか、そういった周りの方々の心証も考え合わせて、一部公開とさせていただいている件につきまして、訴訟を提起されている方との見解の相違というものがございますので、私どもは私どもの考え方をしっかりと述べさせていただき、司法の判断を仰いでいきたいというふうに思います。

 

[中日新聞]

全数把握について、現時点で既に見直すと言っている県もありますが、自治体ごとに差があることについて、全国一律で見直すべきとお考えか、各県ごとに委ねられるので良いとお考えか、その辺りの御意見をお願いしたいです。

 

【知事】

全て整うのであれば、全国一律でやるというのが望ましいのかもしれませんが、都道府県ごとによって感染状況も違いますし、医療、保健、そして感染された方々に対するフォローやケア、その仕組みなどについてもそれぞれのやり方というのがあると思いますので、そこは一定、その都道府県の状況に応じて方針を立てていかれるというのも致し方ない面もあるのだと思います。

ただ、この感染状況をみながら、変異株の特性などもみながら、例えば法律を変えるとか、法律に基づく新たな対応というものが定まってくるとするならば、県としても、揃えていかなければいけない面もあるのだと思います。現時点においては、そういう考えで臨んでおります。

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