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知事定例記者会見(2021年1月4日)

令和3年1月4日
(県政記者クラブ主催)

【知事】

新年、明けましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。新年にかける思い等につきましては、先ほどメディアの皆さんにも公開させていただきましたが、職員に向けたメッセージで申し上げたとおりでございます。

 

令和3年、2021年は、県が設置されて150周年、また7月1日が「びわ湖の日」と定められて40周年、それ以外にも、希望が丘文化公園が開園して50周年、びわ湖放送が開設されて50周年、さらには瀬田川洗堰がつくられて60周年の節目になる年でございますし、東日本大震災発災から10年という節目の年でありますので、辛丑(かのとうし)の言葉のとおり、何を終わりにし、何を始めていくのかを見極め、新たな一歩、未来を変えるための一歩を踏み出していく1年にしようと決意し、皆様方に呼びかけたところでございます。

具体的には、「ひとの未来」を変える一歩として、心のケアというものを、より強化していこうと。コロナ禍もございます。フレイル・認知症対策も、より強化が必要です。なにより、自ら命を絶ってしまわれる方が、なくなるようにしていきたい。相談窓口を強化していきたいと考えております。

また、「社会の未来」に繋がる一歩ということで申し上げれば、次の世代とともに、次の世代を考える場づくりをしていこうということについて申し上げました。子どもたち、青年たちと一緒に、次の時代を考える。もっと先の時代も、一緒に考えるという場づくりをしていきたいと思います。

また、「自然の未来」への一歩といたしまして、新たに「びわ湖・カーボンクレジット」を提唱し、CO2ネットゼロの動きを加速化させていきたい。また、再生可能エネルギー利用拡大を目指し、県庁のRE100化を目指した取組を進めていきたいと考え、まずは来年度その一歩として、50%まで再生可能エネルギー利用拡大させていくという取組を行って参ります。

また、今年6月に滋賀県で開催予定の全国知事会議につきましても、カーボンニュートラルな会議になるように、このびわ湖・カーボンクレジットを利用して、知事等の移動また会議の開催による発生CO2を見える化し、それをどうオフセットするのかという、そういう試行を行っていきたいと考えております。

加えて、琵琶湖版SDGsなるMLGs(マザーレイクゴールズ)を琵琶湖に思いを寄せていただく、多くの方々と一緒に作っていきたいと考えているところです。

また、すべての土台としてのDX(デジタルトランスフォーメーション)を、より強力に加速させていきたい。そのための組織づくり、計画づくりを、今年具体を明らかにしていきたいと考えているところです。

年末年始、私のお気に入りは、この小幡人形(おばたでこ)の俵牛でございまして、現在、9代目細居源悟先生が東近江市五個荘町小幡で作成していらっしゃるものでございます。非常に伝統のある、この郷土人形ですけれども、今年は丑年、俵を重そうに担いだ牛のごとく、恵みや幸いが多い1年になりますように、コロナ禍を乗り越えて、災いが少なくなるよう、なくなるよう、願い努めるそういう1年にしていきたいと考えているところでございますので、ぜひ報道機関各位の皆様方の御協力また叱咤激励、御指導御鞭撻をお願い申し上げ、冒頭の私からの言葉とさせていただきます。ありがとうございました。今年もよろしくお願いいたします。

 

[毎日新聞]

政府が特定の都県への緊急事態宣言の発出を調整しているとありますが、知事の受けとめと、本県での対応の変化、呼びかけの変更等ありましたら、教えてください。

 

【知事】

年末年始も現場で御尽力いただきました医療福祉関係の皆様方、多くの皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。私どもから、例えば「初詣のかきくけこ」などの呼びかけをさせていただきましたが、詳細は現在集約中でございますが、参拝等につきましても、県民の多くの皆様方に、御協力いただいたのではないかと考えておりますが、年末年始も依然として感染拡大が続いているという状況下にございます。

直近で申し上げれば、病床の状況についても、大変逼迫してきておりますし、宿泊療養施設については、まだ室数に若干余裕がございますが、様々な新たに出てきた課題等に対応するためのスタッフの体制整備等ございまして、十分その機能が活かせているのかということも、現在検証しているところでございますが、なおもう一段、この対応を強化していく必要があるのではないかという視点に立って、この後、対応を協議することとしております。

この年末年始の状況、直近の状況を確認した上で、本県のステージ判断を含めて、そして、今週末からまた来週にかけて、主に今月、どのように皆様方に御協力いただくのかというメッセージも含めて検討しようということを指示させていただいております。

病床につきましては、病床確保のステージを上げた上で、県内医療機関に要請をさせていただき、本日発表させていただく分も含めて、20床近い病床の上積みをさせていただいているところでございますが、それを上回る新規陽性患者の発生等もございますので、今後さらなる増床についても、強力に進めていく必要があると考えておりますし、ベッドだけ増やせばいいということではなくて、やっぱり人繰りですとか、持続性ですとか、そういったこともしっかりと整えながら、この状況を乗り越えていくということだと思います。

1都3県で緊急事態宣言を政府に要望されたということについては、報道を通じて存じあげておりますし、その1都3県の状況等についても、刻々と報道されておりますが、現場の状況等、少し私どもでは、わかりかねるところもございますので、政府での検討状況等も見ながら、本県の対応を考えていきたいと思います。

[毎日新聞]

 本日、本部員会議などは予定されていますでしょうか。

 

【知事】

本部員会議は予定しておりませんが、本部員会議の前の担当部長集めての対策協議を行う予定をしております。

 

[毎日新聞]

最後に、コロナの関連で亡くなられた方の公表について、年末の12例目の方から、以前と違って(詳細の情報は)非公表にする形での公表に変わったと思うんですけれども、これまでの死者の公表基準と、今(公表方法の変更の)検討に入った理由を教えていただきたいんですけれども。

 

【知事】

それについては、状況、内容を確認した上で、お答えさせていただいて、よろしいでしょうか。

 

[時事通信]

先ほどの緊急事態宣言ですけれども、本県としてはこの緊急事態宣言の必要性についてどのようにお考えでしょうか。また特措法の改正に関して、どのような御所見をお持ちなのか改めてお伺いします。

 

【知事】

まず後段お尋ねいただいた特措法の改正については、本県としても、論点を整理するように、担当者に指示をいたしました。昨年来、法の改正もされ、様々な対応をしてきました。そしてこの年末、特に年始にかけて、さらなる対応を検討されておりますし、その改正についても、全国知事会からも様々提起しておりますし、本県としての事情等もあるのかもしれません。そういった事々を一度整理した上で、政府に対してまた全国知事会議等の場で、ものを言っていこうということを考えているところでございます。

前段のお尋ねは、緊急事態宣言という状況に本県があるかというお尋ねだと思いますが、現時点、ステージ判断はステージII、そしてステージIIIに上げる状況なのかどうかを検討していると。もうすでに直前だというようなことを年末申し上げておりましたけれども、その後の状況を見て、ステージIIIに上げていく状況ではないかということを検討している段階でございますので、現時点、本県の状況が緊急事態宣言を発する状況にはないのかもしれませんが、さらなる冬季の感染拡大を想定して、どのようなことを言っていくのか、やっていくのかということについては、より具体に検討していく必要があると考えております。

 

[時事通信]

現在の医療提供体制の現状について、病床確保については20床近く上積みするということですけれども、この時期の見通しについてお伺いします。

 

【知事】

現在、200床余りで、それにさらにプラスでおよそ20床ということで上積みをさせていただいておりますが、もう少し多く、もう少し上積みが必要だという観点に立って、現在医療機関にその増床要請を、人繰りも含めて、手配対応していただくように要請しております。

今日、年末からの病床に加えて、約8床ほどのせられると聞いておりますけれども、医療機関は、年末も年始もなく24時間体制でやっていただいておりますが、ただ、人繰り等もございますでしょうから、そういった状況を見極めて、県が把握する数字としても、しっかりと上積みを確保したいと思いますし、できるだけ早くそういう体制を整えていきたいと思いますが、なお、時間が必要だということも聞いておりますので、そういったことをできるだけ早くお伝えしていきたいと考えております。

 

[時事通信]

現状では、救急医療含めて、県内での医療提供体制に何か問題が生じているとか、そういうことはないという理解でよろしいでしょうか。

 

【知事】

そう言いたいところなんですけれども、そういう状況をつくり出すために、これまでにない御負担、御苦労を現場にはおかけしていると思います。休みも減り、勤務時間も長くなり、心労も重なりということでございますので、私がここで軽々に大丈夫だという言葉を申し上げるのは控えたいと思います。これまでにない逼迫した状況の医療現場があるということを共有したいと思います。

 

[時事通信]

あと飲食店に対する時短要請に関しては、現時点ではどのようなお考えですか。

 

【知事】

現時点において、そのことは考えておりませんが、今後そのステージ判断を変える段階において、どういうことが必要なのかという、その対象の中に入ってくる事象の1つではないかと存じます。

 

[朝日放送]

先ほど滋賀には緊急事態宣言は現時点では要らないということでしたけれども、先ほど吉村知事が大阪は緊急事態宣言を要望しないと発言したんですけれども、近畿圏には緊急事態宣言は必要ないとお考えでしょうか。

 

【知事】

申し訳ございません。近畿圏全体で、そういう状況かどうかということについては、現時点、十分な情報を持ち合わせておりませんし、まだ協議もしておりませんので、この場で発言するのは控えたいと思います。いずれにしても状況に応じて、迅速な検討と対応が必要なのではないかと思います。

 

[産経新聞]

先ほど、宿泊療養施設について、数は十分ですけれども、十分にその機能を活かせているかというところで、新たな課題も出てきているというような御発言がありました。具体的にはどういう課題を指しているのか教えていただけますでしょうか。

 

【知事】

年末年始、夜間も含めて、県の職員も対応にあたってくれました。その職員と話していると、例えば、雪かきをしなければならないとか、年末年始には、せめてお弁当ではなくて外からとった美味しい年始のお料理を食べたいということで配達に応じる必要がある。防護服のまま、それを受け取るわけにはいかないので、その着脱も含めて対応するということですとか、家族が療養しているので「不憫だな」と、「せめて差し入れでも」と御家族の方が持って来られるので対応することも必要だということですとか、御家族で療養される場合に、それに適した部屋ですとか対応というものが必要にもなってきたなどなど、今日的なそういった課題等が現場で出ているようです。

県もスタッフを増強して、対応してきましたけれども、今後、第3の施設を開けに行くのか、そういう施設の能力をさらに高めるということに取り組むのか、少し状況を見極めた上で今後の対応が必要だという意味で申し上げました。

 

[中日新聞]

先ほどの挨拶の中で、MLGsを作っていきたいという話だったり、次世代の会議をやっていきたいというお話があったと思うんですけれども、このあたり、もう少し具体的なイメージといいますか、どういった方向性で進めていかれるのか教えてください。

 

【知事】

MLGs(マザーレイクゴールズ)について申し上げれば、琵琶湖の様々な対策については「マザーレイク21計画」というものがありました。その中で、関連する取組として、びわコミ会議というのがありまして、コミュニケーション、コミットメント、みんなで琵琶湖について関わろうという取組を行ってきました。その取組を行っている途中で、琵琶湖保全再生法が成立し、保全再生計画というものができてきました。

ちょうど、今年度から来年度にかけて、それらを統合して作り直していく機会にもなりますので、この機に改めて、より多くの方々が琵琶湖と関わったり、さらに自分たち自身がどういう行動をしたらいいのかということについて考える場、ゴールを作ろうと。SDGsという取組もやっているのだから、MLGsというものを作って取り組めばいいんじゃないかということを担当職員等が作ってくれて発案してくれて、現在、具体の取組を進めようとしているところでございます。ぜひ、それを今年から来年にかけて、みんなでワイワイガヤガヤ作っていくような取組をやっていきたい。みんなで一緒につくるという過程も大事にしたいということで、この新年のメッセージに入れさせていただいたところでございます。できれば県民だけじゃなくて、下流域の方々や県外の方々ともつながりながら、次の世代につないでいくための一歩にしていければと考えているところです。

また、もう1つの次世代ということで申し上げれば、新年のメッセージでも申し上げましたが、例えばこのコロナ禍においても、学校休業についてやるべきではない、やるべきだとか、県外からの多くの方々の来訪についても入れるべきだ、入れるべきでないといったように、多くの方々から御意見をいただいています。もしかすると、来る成人式についてもやるべきだ、やるべきではないという議論が今も起こっていますし、より強く起こってくるのかもしれません。

ややもすると、何か大人が、行政が、権力を持っている人が、一方的に強くメッセージを発しがちですけれども、本当にそれでいいのかという問題意識も持ちながら、やはり次の世代のことは次の世代の人たちも多く参画しながら考えていく仕組みを作るべきじゃないか。また、声なき声に耳を傾けようということを、現在、県の重要な施策方針として、広報課長を先頭に頑張ってくれています。そういうものの一環として、次世代会議となるような場をつくり、例えば気候変動の問題、例えば様々な環境の問題、例えば公共交通やまちづくりなどについても、次の世代の方々が中心になって、かつ、それは俺が俺が、私が私がと手を挙げて、何か立場を持って選ばれる人ではなくて、無作為に選ばれた方々も含めて参画していくような場を作ることができないだろうかということを考え、新年に発議、発案させていただきました。まだ、こちらについては、詳細が煮詰まってないところもありますので、今後、よく検討の上、具体が固まれば皆様方にお知らせをしていきたいと考えております。

[中日新聞]

MLGsですけれども、これはあえて和訳するとしたらどうなるんでしょうか。SDGsの場合だと「持続可能な開発目標」ということになりますけれども、琵琶湖目標というのは、ちょっと何をどうするのかわかりづらいかとは思うんですが、例えば、どういうことを目指すのかという意味で和訳するとしたら。

 

【知事】

考えます。母なる湖を大事にする目標・・とかになるのかもしれませんけど、何か考えますよ。今、聞かれて、そういえば和訳を作ってなかったなと思ったんです。ありがとうございます。皆で考えてみたいと思います。

 

[中日新聞]

ざっくり言うと、琵琶湖を持続可能な形で後世に引き続くために考えていくゴールということでいいですか。

 

【知事】

おっしゃる通りです。それを単なるゴールのままで終わらせることなく、その実現達成に向けて、どうみんなが行動していくのかということを宣言したり、掲げたり、作ったりするということじゃないかと思っているのですが。

 

[読売新聞]

先ほど、お話があった二酸化炭素についてですが、カーボンクレジットの取組について具体的にどういう進め方を考えておられるのかということと、本庁舎の再生可能エネルギー100%に向けた取組と、全国知事会議をカーボン・ゼロ会議としたいということをおっしゃったと思うんですが、それぞれちょっと具体的にどう進めるのかをお聞かせ願えますか。

 

【知事】

まず、このカーボンクレジットのことで申し上げれば、琵琶湖の森林資源、この森林をCO2の吸収源として設定して、それを使ったカーボンオフセット商品を開発し、その商品を購入していただくことで排出されるCO2を埋め合わせするという仕組みを作っていきたいと考えております。

まだ具体は、これからのところもあるのですが、民間企業等とも連携しながら、例えば、旅で排出されるCO2をクレジットで埋め合わせし、そのカーボンオフセット付き商品の購入により、県内の森林整備が進むというような取組を作れないだろうかとか、そういった事々を、今後、様々生み出していくプラットホームにしていきたいと考えております。

2つ目の県庁のRE100については、かねてから県庁内でこうして使わせていただくエネルギー源を再生可能エネルギーにすることができないだろうか、できれば100%でできないだろうかということを、原発に依存しない新しいエネルギー社会を志向する滋賀県として目指してきましたけれども、なかなかそう宣言することも含めて、難しいことがございましたが、この機にやろうじゃないかと。ただ一足飛びにはいかないので、まずは来年度、本庁の使用エネルギーの半分を再生可能エネルギーにするところから始めようじゃないか。そのことを契約に明記した上で、発注、入札をかけていくことになると思いますので、若干コストアップ要因もあるのかもしれませんが、そういった事々をしっかりと乗り越えていく取組を推進していきたいと考えております。

RE100という認定そのものは、行政、自治体に対してはないようでございますが、ぜひ社会に対して、問題提起する意味においても、さらなる民間の行動変容を促していく意味においても、力強く進めていければと考えております。その一環として、今年6月に全国知事会議が本県大津市で開催される予定です。多くの知事また随行するスタッフの皆さんが本県に来訪されます。移動により排出されるCO2、会議を開催することで排出されるCO2、これらを計算し、見える化し、これをどう減らしていくのかということも含めて、私どもが作り出そうとしているカーボンオフセット付き商品での埋め合わせにより、どの程度、排出削減することができるのか。このことに取り組んでみようということでございます。そうすることによって全体を減らそうという行動変容とともに、もし減らせない、どうしても出てしまうものがあるならば、それをどう埋め合わせするのかという次の仕組みづくりにもつながるのではないかと考えておりますので、ぜひそういうことを滋賀県から発信していければと考えているところです。

 

[読売新聞]

カーボンオフセットの部分ですが、商品で考えていらっしゃるのは、旅とおっしゃいましたか。

 

【知事】

例えば、ツーリズムのようなものを、そういったことで作り出すことができないか、というようなことも現在検討しております。

どうしても旅により出されてしまうものを、旅の商品の価格の中にそれを上乗せして、それを森林の吸収源によって、吸収していく、埋め合わせしていく。そういうことを旅の商品を購入される方も含めて協力するような仕組みというものを作れないかということです。どうしても私たちが活動していると出てしまうものを、どう埋め合わせしていくのかという取組、仕組みを作っていこうと。

 

[読売新聞]

森林の手入れをしたら、すなわちそれはCO2の吸収が進むということだから、その費用を上乗せしたような商品を作って、その費用で森を整備してCO2を吸収したことにするという話ですね。

 

【知事】

簡単に言えばそうです。

 

[読売新聞]

県庁のエネルギー源の話ですが、発注をかけるというのは、電力会社から電力を買う手段を変えるということですか。

 

【知事】

そういった条件の中に入れていくということです。もともと電力を年度ごとに、どのような条件で、どこから購入するかというのは、発注入札によって決めていますけれども、その条件の中に、来年度は半分(を再生可能エネルギーとする)、そしてどの時点かで100%にしていくことを目指していくということです。

 

[読売新聞]

少なくとも、2021年度に県庁に提供する電力については、半分を再生可能エネルギーでまかなってくださいという契約条件で発注するという話ですか。

 

【知事】

そうです。

 

[読売新聞]

それを何か年か契約すると思うんですが、何年かまでに100%実施しなさいよという契約でやっていくということですか。

 

【知事】

ざっくり言えば、そういうことですけど、それをどのレンジで、どれぐらいの年数をかけてできるのか、そうしていくのかという詳細は、さらに検討していく必要があると考えています。

 

[京都新聞]

冒頭のところで、DX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に進めていくというお話だったと思うんですけれども、どのようなイメージ、どのような将来像を描いているかというのをちょっとお聞かせいただけたらと思います。

 

【知事】

まずデジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)は言葉だけが独り歩きしているようなところもありますが、私たち県民の暮らしをより良くしていくためのもの、私たちの幸せを拡大していくためのもの、と明確に位置付けて、何年までにどこまでをということをしっかりと計画を作って、具体的に進めていきたいと考えております。

そのための計画をまず県として、できれば国の計画よりも先に県としての計画を作り、具体を進めていくということにしたいと思います。

そのための推進体制を県庁に作り、そして、部署等もそれに合わせて、必要であれば、検討を加えて変えていくということにも取り組んでいきたいと考えております。と同時に、県庁行政の様々なデジタル化やDXも進めていく必要があるだろうと。

現在、「行政経営提案箱」でもいろんな御意見を承っておりますし、すでに検討を指示しておりました押印につきましては、約2,000ある県の事務の押印をしているものの中で約1,200の押印の省略が可能だという方向性を出してくれておりますので、一部規約を改正したりする必要があるものもあるようですので、その中からすぐにできること、すぐにできるものについてはすぐにやろうということで、先ほど申し上げました県に提出していただく一般的な請求書等については、押印を省略するところから始めようということを考えているところです。

したがって、県庁内外、教育分野やビジネス分野や、様々な分野のDXを、幸せを高めていくために、また、私たちの暮らしを豊かにするための取組として形づくり、進めていきたいと考えているところです。

[滋賀報知新聞]

 少し抽象的な質問になってしまって申し訳ないんですけど、先ほどの新年の挨拶も、この会見の冒頭でも、今年は辛丑(かのとうし)ということで、終わりと始まりを見極めて次なる一歩を、というお話をいただいたんですけれども、知事として、この三日月県政を見極める終わりと始まり、どのような思いで臨んでいかれるのかなというのを伺えたらと思います。

 

【知事】

 辛丑(かのとうし)、いろいろと紐解きますと、痛みを伴う幕引きと、そして、新たな希望、いのちの息吹、すなわち始まりというものが共存するという年回りなんだそうですね。したがって、終わりにすべきこと、新たにつくること、変えること、昨年来のコロナもあるので、こういった事の見極めをしっかりとおこなう1年にしようじゃないかというメッセージを出したところでございます。

変わらずに続けるものとして、具体的に御社とも関わりの深いところで例に挙げるとするならば、近江鉄道については、変わらずに全線存続させて皆様方のお役に立てるようにしようという枠組みは作りました。そのために、民間事業者任せではなく、上下分離でやろうというところまでは決めました。しかし、まだまだ乗り越えなければならない課題・壁もございますので、そういったことをしっかりと乗り越えていく、そういう1年にしなければなりませんし、政治の面で申し上げれば、今年は確実に総選挙が行われ、様々な課題等について、何を終わりにし、何を始めにするのかというような議論も広く行われるのではないでしょうか。

そういったことをしっかりと我々は敏感にキャッチする、また、県政に取り入れていくことも必要ではないでしょうか。先ほどDXの文脈の中で申し上げた押印などについても、これまでは当たり前のようにやってきたけれども、もういいじゃないか、止められるんじゃないかというようなことも、終わりにする事象なのかもしれません。

ただ、これらはあまり痛みを伴う幕引きではないのかもしれませんので、すいません、具体はこれから考えていきたいと思います。ただ痛みを伴うから止めるのを止めにしようということではなく、そういったことにも果敢に挑戦できるような県政を作ろうという決意を込めて申し上げました。

 

[産経新聞]

カーボンクレジットについて、この取組によって大体いくらぐらいの資金を集めたいのかというところと、そういった資金をもって適切に山林を管理することによって、どのくらいのCO2が削減できると見通しているのかというところを教えていただけないでしょうか。

 

【知事】

金額面、そしてどれぐらいの量のCO2の削減かという具体は、今後さらに具体の制度設計をする中で御紹介できるようにしたいと思います。例えば1つだけ例を挙げるとすれば、私が理事長を務めております造林公社は、すでに150tのクレジットを保有しております。この造林公社が持っているクレジットはすぐに使えるクレジットとして、有効活用したいと考えておりますし、来年度以降も毎年300tのクレジットを創出する方向で計画を作っていると聞いておりますので、そういうものを、こういった具体の使う側の仕組みの中で、活用できるようにしていきたいと考えております。

また少し前の数字になるんですけれども、例えば参考として、2015年に関西広域連合の、9月に行われる委員会と12月に開催される委員会2回をカーボン・ゼロ会議で行ったという経過がございます。この際には、計算いたしますと、2回の会合の合計でおよそ2t分をオフセットしたということがあるそうです。

ただ、これは関西広域連合の2回の会議ですので、現在考えております次の6月の全国知事会議に向けては、最新の知見で、また、多くの知事、職員の皆さんが移動してこられるということを前提に、どういう計算の仕方とオフセットの仕方があるのかということについてお示しをしていきたい。ただ、そのためにも、このコロナを克服していくことが必要になってくるんだろうと思っています。

 

[産経新聞]

こういったクレジットを導入されることによって、消費者の目線から立つと、新しい負担が生じるわけですけれども、そのことについて一定理解を得ていく必要があると思います。

そういったクレジットの利用を推進する上で、どういった部分について、理解を得ることが大事だというふうに考えられていますか。

 

【知事】

私たちが生きるために必要な、例えば水というものを、よりよい状態で守るもしくは確保するということですとか、人間が今知る限り、宇宙の中で生きていられるこの地球というものをよりよい状態で保つということと、現在、上乗せしようとする負担との見合いというものをどのように考えるのかということだと思います。

そのためにも、人と自然の未来を考えるための一歩として提起をしていこうということです。ただおっしゃるとおり、そのための理解を得て、そして共感をいただいて、行動につなげていただくということが必要ですので、そのあたりの分かりやすさ、見える化、効果的な説明、こういったことはしっかりと行っていきたいと考えております。

 

[産経新聞]

冒頭、自殺対策について言及がありました。窓口を強化するというところなんですけども、現状の認識ですね、どういった状況でどういった課題があるかというところと、それについて、SNSなんていう話もありますけど、どういった形で強化されるか、対応されるかというところをお聞かせいただけますか。

 

【知事】

まず自殺対策ですね。これはこのコロナ禍で、直接的な影響分析はまだ子細これからのところがございますが、やはり残念ながら自ら命を絶ってしまわれる方が増えている。特に女性で、以前よりも増えているという傾向がございます。そういったことに、より細かく対応していくということが必要だという問題認識を持っています。

加えてこのコロナ禍が長期化することにより、影響が広範囲化してきます。生活ですとか、また働くこと、資金繰り、それらがより苦しい状況にある方により苦しい状態で続いてしまうという、こういう傾向を見通して、この自殺対策についても、きめ細かに対応していく必要があるだろうということで、SNSを活用した相談窓口を設けることで、そういったことに寄り添える体制を作っていきたい。

また、直接自殺だけではないんですけれども、不登校ひきこもり対策についても、これは以前から、中学校を卒業した後の高校との連携、情報のやりとり、こういった問題提起、御要望等も受けて担当部局で検討してくれておりました。その中で、すべての市町ではないんですけれども、県内の多くの市町で、一緒にやろうという、そういう枠組みが一定つくれましたので、福祉と教育、県と市町が協力した新たな仕組みをスタートさせるということもやっていきたい。やはり命にしっかりと寄り添える県政というものを作っていく必要があるという観点から、このことを申し上げているところです。

 

[時事通信]

先ほど知事からの発言もありましたが、今年の成人式について、もし御所見ありましたらお伺いしたいんですけども。

 

【知事】

多くの方が御心配・御懸念を持たれているイベントの1つではないかと思います。若い世代が、県外からも多く帰ってきて、そして式のみならず、同窓会や飲み会や懇親会、こういったことの機会も増えるでしょう。このことの感染リスクを御心配される方もいらっしゃる一方で、大切なその時期のイベント、また、晴れ着ですとか、そういった事々もございますので、軽々に何かメッセージを発するべきではないのではないかという、そういう問題意識も持ちながら現在考えているところです。

多くの方がおっしゃっていますし、私も年末年始思ったんですけれども、コロナ感染症対策はしっかりとやらなければいけないという前提のもとに、コロナにかからないために生きているわけではないという思いも発露される方、発言される方も、ここに来て多くいらっしゃいます。

私たちが生きる、多くの人たちと生きていくということについて、どのようなことを考え、また行政として知事としてどのようなメッセージを皆さんに投げかけていかなければならないのか。今年はこれまでの反省もふまえて、より熟慮した発言というものを心がけていきたいなと思って、広報課長にも、いろんな悩みや宿題を投げかけているところでございます。

[時事通信]

実施主体は市町の方になるかと思うんですけども、市町の方もかなり悩まれる部分ですけども、何か専門的な見地なり、助言なりがあれば。

 

【知事】

実施主体は市町ですし、ただ感染症対策は主に県ですので、県としてどう考えるのか、また現在の状況をどう見るのか。さらには国で、一部の都県で緊急事態宣言の発令を政府に提案されるなど、そういった地区から帰省される新成人の皆さんもいらっしゃるわけですから、そういったことをどう考えればいいのかというような非常に難しい状況は共有しています。

すでに市町からいろんな相談も、担当レベルで受けているところでございますので、今週、できるだけ早く一定のメッセージを出していく必要があるのではないかと思います。

ただ、式そのものについて申し上げれば、会場を分散させたり時間をずらしたり、いろんな工夫の中で、その節目の大事な式典だけはやる方向で考えていますという市町も多いと聞いておりますので、そういったことを前提に、メッセージというものも考えていく必要があるのではないかと思います。

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