【知事】
おはようございます。今日もよろしくお願いします。
まず私から、いくつか話題提供させていただきます。
先週の情報ですが、びわ湖ホールが第68回菊池寛賞を受賞という報に接しました。大変、名誉ある賞の受賞ということで、光栄至極に存じます。公共ホールの音楽企画としては初めての受賞ということでございますし、この間、新型コロナウイルス感染拡大を防止するために、様々な悩みの中、3月の「神々の黄昏」はWeb配信等にチャレンジされ、大変大きな反響を世界中からいただいたということもございますので、そのこととあわせて今回の受賞を励みに、さらに高みを目指して参りたい。また、受賞されるにあたっては、びわ湖ホールの山中館長はじめ、芸術監督をおつとめいただいており、オペラにおいても最高のパフォーマンスを表現されました沼尻竜典さんはじめスタッフの皆様方に心から祝意とまた敬意を表したいと存じます。
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、昨日現在、陽性患者の数が累計で524人、うち入院されている方が13名、退院された方が503名、残念ながらお亡くなりなった方が8名という状況になっております。
10月15日に、県の対策本部員会議を開催いたしまして、これまで3段階としていた感染状況の判断指標を、国の指標また医療宿泊療養施設等の拡充に合わせまして4段階の新たな基準に見直すと同時に、現在の状況については、「滋賀らしい生活三方よしステージ」、すなわちステージIに位置付けさせていただいているところでございます。引き続き、感染拡大防止に努めながら、社会経済活動をしっかりと展開していきたいと考えております。
また明日10月20日、Webでございますが、中部圏知事会議を開催することとなっております。近隣県市の皆様方と、今日の状況・課題等を確認しながら、必要な要望事項等を取りまとめていきたいと存じます。
それでは資料に基づきまして、私からは3点、御紹介させていただきます。まず1点目は、「ここ滋賀」が3周年を迎えるということでございます。平成29年(2017年)10月29日に大雨の中、東京日本橋に「ここ滋賀」を開設いたしました。間もなく3年が経過いたします。この9月末までに130万人を超えるお客様に御来館、御愛顧いただいているということでございます。
本年は新型コロナウイルス感染症により、臨時休館を余儀なくされるなど、異例の年となりましたが、今後も「新しい生活様式」を徹底・継続しながら、様々な方々に、ここに来れば滋賀の味、滋賀のいいものに触れることができるという、そんな場所になるよう、みんなで力を合わせて取り組みを進めて参りたいと存じます。
このような中、「ここ滋賀」3周年記念イベントにつきましては、お手元に冊子等もお配りさせていただいておりますが、「大感謝祭」と題しまして、10月29日から11月5日までの8日間、日頃の感謝の気持ちを込めて、イベントやキャンペーン企画を予定しているところでございます。
イベントでは、ここ滋賀2階のレストランのテーマであります発酵にスポットを当て、鮒ずしに代表される滋賀県の発酵文化や、その魅力について発酵学の第一人者で発酵文化推進機構理事長でいらっしゃいます小泉武夫先生と私の対談企画もございます。対談の模様はユーチューブにおいてライブ配信する予定でもございます。
また、県内の酒蔵と「ここ滋賀」をリモートで結びまして酒蔵見学を開催し、滋賀のおいしいお酒と料理のペアリングをお楽しみいただくイベントなど、コロナ禍で様々な制約がございますが、イベント内容を工夫し、滋賀を感じていただける企画をつくり、皆様方のお越しをお待ちしたいと存じます。詳細は配布資料で御確認をいただければと存じます。
続いて、子ども版・新しい行動様式「すまいる・あくしょん」を作りましたという御案内についてでございます。たくさんのスタッフの皆様方、かわいいTシャツに身を包まれた皆さんに御入場いただきました。
今回、滋賀県で子どもたちが、新型コロナウイルス感染症を正しく理解し、生き生きと過ごせるようにと、子どもの笑顔を増やすための新しい行動様式として、「すまいる・あくしょん」を作りました。
策定に当たりまして、まず子どもたちの実情を把握しようということで、アンケート調査を実施いたしました。県内の小中学生、高校生また小中高校生インターネットWebアンケート、未就学児の保護者また大学生、こちらもWebアンケート等を実施し、総数アンケートには3万1,320人もの子どもたちが、また青年たちが回答してくれたということでございます。
このアンケートを丁寧にスタッフの皆さんが分析をしてくださいました。この中には「休校により友達や家族の大切さがわかった」、「コロナの症状よりも風評被害の方が怖い」さらには、「今自分が思っていることを、全部書けて気持ちがスッキリした」など、子どもたちの生の声がびっしりと書き込まれていたということでございます。
このアンケート結果については、本日から県のホームページで公表いたしまして、皆さんに子どもたちの思いの一端をお届けしたいと思います。そうした思いをふまえて作った7つの行動指標「すまいる・あくしょん」は、コロナ禍で大きな影響を受けた子どもたちの未来へ繋がる行動指標であります。ここに掲げた「あくしょん」を、子どもたち一人ひとりが考えて、また時には子どもの周りにいる大人も一緒に実践しながら取組を広げていきたいと思っております。
本日は「すまいる・あくしょん」を一緒に作っていただいた、「三方よし!子どもの笑顔実行委員会」の皆さんに会場にお越しいただきました。皆さんは、7つの「あくしょん」を模ったアイコンのTシャツを着て、この取組を広げようと頑張っていただいております。
私も一緒に、このアクション策定の議論に参画いたしましたが、ぜひ皆さんと一緒に、この取組の輪を広げていきたい。また子ども目線で、子どもの声を大切に、ルールを作る、県政を作る、こういう姿勢を、滋賀県はこれからも大事にしていきたいし、日本全国にそういう考えを広げていきたいなと考えております。
なお11月の上旬に行われます全国知事会におきましても、この滋賀県での取組、また作った「すまいる・あくしょん」をPRしながら、全国展開も目指して参りたいと考えておりますので、皆様方の御注目また御取材等よろしくお願いいたします。皆さん、どうもありがとうございました。何か一言ありますか。
[三方よし!子どもの笑顔実行委員会]
子どもたちの笑顔ふやすためにということで、本当に県も応援していただき、協力していただき、よいものができたと思いますので、広めていけるよう、これから頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。
【知事】
このかわいいマスコットキャラクターも琵琶湖の真ん中に、滋賀県から飛び跳ねるというか、笑顔で活躍する、そういったところが表現されておりますので、ぜひ皆様方、御自由にお使いをいただければと思います。皆さん、どうもありがとうございました。後ほどもいらっしゃいますので、取材等あれば、お受けいただけると思います。
それでは「今月のイチオシ」ということで、3点目に御紹介をさせていただきます。私が知事にならせていただいて以降、こうした知事会見の時間の一部を利用いたしまして、県内各市町のイベントや取組をイチオシとして紹介して参りました。これまで、例えば農産物ですとか、花と緑ですとか、健康しがシリーズ、やまシリーズということで、様々なお取組等を紹介してきたんですが、今年度は、ウィズコロナを念頭に置きまして、新しい生活様式シリーズをテーマに御紹介することといたしました。
第一弾、まず最初の企画は、「湖南市みんなの夏祭り」でございます。今年は、御案内の通り、新型コロナウイルス感染症の影響で、県内のほとんどの夏祭りが中止となっております。湖南市でも同様に、市の夏祭りから自治会単位の小規模なものまで、すべてが中止になっているということでございます。湖南市長からも、こういったことをどう考えるんだという問題提起を累次にわたり、いただいているところでございます。
この状況を仕方ないなという言葉で片付けたくないと、子育て世代の仲間が集まられ、今できる形で子どもたちに夏祭りの思い出を作ってもらう方法を模索され、準備を進めていただいているのが、この「湖南市みんなの夏祭り」という企画でございます。開催日は10月31日(土)、ハロウインの日ということでございます。メイン会場は通常のお祭りのような出店や櫓がある会場ではなくて、市民皆さんの御自宅でということだそうでございます。各御家庭で夏祭り、ハロウィンパーティーを楽しんでいただくため、様々な工夫を凝らした企画が15時から20時の時間帯で実施されるということでございます。
今日は、湖南市から若手のリーダー、湖南市みんなの夏まつり実行委員会会長の中野龍馬さんと湖南市商工観光労政課藤本駿平さんにお越しいただきましたので、せっかくの機会ですので、PRをいただきたいと思います。
[湖南市みんなの夏まつり実行委員会会長]
おはようございます。「湖南市みんなの夏まつり」実行委員会会長の中野と申します。今回、湖南市では、もともとお祭りがあったんですけども、それがなくなりまして、これを民間だけではなくて、市役所も観光協会も全員一緒にできないかなと思って企画した企画がこちらの内容になっています。詳しい内容に関しては藤本の方から説明させていただきます。
お世話になります。「湖南市みんなの夏祭り」実行委員会に入っております商工観光労政課の藤本と申します。今回、10月31日ハロウインの日ですけれども、夏祭りと称させていただいておりますので、夏祭りに必要なコンテンツとして屋台、ステージあと花火。これを新型コロナウイルスの感染対策を講じた上でどうすれば開催できるかというようなところを実行委員会のメンバーで構想して今準備を進めております。
具体的な内容については資料に書いてあるんですけれども、かいつまんで御説明させていただきますと、まず屋台については事前予約、あとテイクアウトそしてキャッシュレスです。この3つのキーワードをポイントにしまして、インターネットからの事前予約と各地域のまちづくりセンターでのテイクアウトと、さらにそのテイクアウト時の決済についてはキャッシュレスで対応させていただくというようなことになっております。
ステージに関しては、今までステージでやっていました和太鼓の演奏であったり、そういったことをすべてオンラインで動画にすればできるんじゃないかというようなアイデアに思い至りまして、ステージイベントに関しては、すべてユーチューブライブで提供させていただこうと考えております。
最後に花火ですけれども、従来のやり方で1ヶ所で数千発の花火を打ち上げてしまいますと、人が集まって密集して新型コロナウイルスの感染リスクが高まりますので、市内複数箇所から小規模な花火を打ち上げさせていただくというような内容で検討しております。
私たちがこの祭りを開催した思いの部分では、湖南市の子どもたちみんな、年配の方も楽しんでいただけたらなという部分、そしてまた来年になっても夏祭りが行えないという時に、この形であれば人口5万人の町でも、みんなが楽しくお祭りできるよというのを資料としてまとめて、インターネット上に公開していきたいと考えています。以上です。
【知事】
ありがとうございます。大変頼もしい、また楽しみな企画を御紹介いただきました。お2人にも後程残っていただきますので、また追加取材等あれば、御対応いただきたいと思います。どうもありがとうございました。私からは、以上でございます。
[京都新聞]
話題提供にありました「すまいる・あくしょん」ですけれども、資料2ページ目に保護者の方だけではなくて、教育関係者など子どもと関わるすべての方に活用してほしいというふうに、対象は明瞭になっているんですけれども、大人と子どもがやることも資料を見ればわかるんですが、県としてはこの「すまいる・あくしょん」をどういうふうに伝えて、実際の行動に結びつけていくのかというところはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
今回、半年あまりにわたって、この新型コロナウイルス感染症の対策をみんなで行ってきていますけど、学校を休業にしたり、また、人と人との距離をとったり、3密を避けたりという、いわゆる新しい生活様式というのが言葉として使われている。しかし、子どもたちにとって、子どもたちの生活において、子どもたちとの関わりにおいて、これらをどのように実践すればいいのだろうかという戸惑いがあったことを知りまして、かつ、コロナ禍において、十分伝えられない、また、届かない子どもたちの悩みがあるだろうという問題意識に立って、子どもたちの声を聞きながら、子どもたち目線で作る。こういう新しい生活様式というものを考えないかという思いに至りました。
これも、例えば知事への手紙ですとか、そういった中で、多くの戸惑いの声をいただく中で、問題認識を持ち、今回、この実行委員会の皆さんにもお願いをして行ってきた。まずはこの過程を、このプロセスを御紹介しながら、大事にしていきたい。今後もいろいろな場面で、こうした子どもたちをまず中心に置いた、子どもの笑顔というものを作るということを中心に据えた施策の作り方、こういうことを大事にしたいというのがまず1点。
もう1つは、この「すまいる・あくしょん」はお手元の資料の通り、オレンジで囲った7つの「あくしょん」と青い四角で囲った「あくしょん」と、これも実行委員会の皆さんや専門家の方の御意見も聞きながら、子ども目線で呼びかけることと、周りにいる大人が実践することとに分けて、紹介してくれています。
私は、このことはとても大事なことじゃないかと思っていて、実は考えている過程で、「これって大人も大事だよね」と。例えば、正しく知って行動しようとか、今の気持ちを伝えようとか、何か子どもに呼びかけながら自分たちに言っているような気持ちにもなります。ですから、そういうことを「子どもあくしょん」、「大人あくしょん」ということで分けた形で御紹介をいただいております。
これをぜひ県内のいろいろな施設、いろいろな場面、いろいろな行事で御紹介していきたい。コロナを経験したからこそ、より自分たちの声が届くようになったとか、より人の繋がりが感じられるようになったとか、そういったことに繋がればいいなということを願って御紹介していきたいと思います。これが2点目。
そして、私は全国知事会で次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーを拝命しており、この全国知事会のWebミーティングや、政府への要望の取りまとめの際にも、随時にわたり子どものこと、青少年のこと、大学生のことを呼びかけてきたつもりです。その実践例の1つとして滋賀県はこういう子ども目線の新しい行動様式「すまいる・あくしょん」を作りましたという紹介をしながら、ぜひ全国に取組の輪を広げていきたい。このアイコンなども自由に使えるようにということで、御提供させていただいていますので、ぜひ、こういう姿勢なり目線を全国に広げていくきっかけにしていきたいという、この3点です。
[京都新聞]
菅政権が、はんこを押すことの原則廃止を全省庁に出しています。自治体でもはんこを押す業務というのは非常に多いと思うんですが、先週の定例会見で知事も、はんこに関しては見直しを指示しているということをおっしゃっています。
具体的にお尋ねしたいのは3つ、その指示したはんこの対象。一般的には1万種類以上の行政書類にはんこがあるというような話も国の方は示していまして、滋賀県で、そのはんこを見直す対象というのがどれぐらいあるのかというのが1つ。これは今も調べているということであれば、それでも結構です。
それともう1つはその見直しの手法。どういう形で見直して、どういうものをどうしていくのかということ。これも調査結果によるのかもしれませんが。
それともう1つは、タイムスケジュール。全体把握をいつぐらいまでして、いつぐらいに見直す方針を出して、いつぐらいからやっていくのか、タイムスケジュールですね。この3つを教えていただければ。
【知事】
まず、どれぐらいの書類・手続等に、はんこを要しているのか、押しているのか、この数は申し訳ございません。現時点、把握しておりません。
2点目、何をどうするのか、どういう手法でやるのかということについてでございますが、現在、12月4日を期限といたしまして、すべての部局を対象に押印見直しの指示を出しているところでございます。条例や規則に基づく手続ですとか、県と個人・企業等が行う手続ですとか、また、国の様々な法令等に沿って、というものもあるかもしれません。
これらを、12月4日を期限として出してもらい、年内に取りまとめを行います。その上で、どうやったら改められるのか、改めて検討いたしまして、年度内を目途に結論を出していきたい。必要であれば条例の改正、諸規則の見直し等も発生してくるのかもしれません。そういった方向性を年度内に出していきたいというスケジュール感で進めているところです。
[京都新聞]
そうすると、年度内に方向性を出し、おそらく条例改正、規則の改正が必要になってくると思いますが、それは来年度にされることになるのでしょうか。
【知事】
少し内容を見ます。年内に取りまとめられる内容を見て、すぐにできることは、すぐに改正する。また、必要な条例等の見直しにおいても、例えば、2月定例会議というタイミングをどのように生かすのか。また、通年議会ですので、そういったことを、どのように議会もって県民の皆様方にお諮りするのか。その辺りのことも年内に一定の方向性を出していきたいと思っております。
[京都新聞]
あと取りまとめですが、これは庁内のワーキンググループみたいなものを作られるのか、それとも外部の声も入れて行うんでしょうか。
【知事】
まずは庁内に行政経営の改革の部署がございますので、そこを中心に担当させ、検討させます。行政経営推進課です。こちらに担当させます。
[京都新聞]
はんこに関してですが、知事としては、先週も考えをお話になりましたが、どれぐらい廃止していきたいというお考えなのか、何のために廃止するのかというところをもう一度教えていただきます。
【知事】
いわゆる広い意味でのはんこ文化、押印というものについて言うと、例えば、私なども書の御指導をいただく際に、白と黒、そして朱の印の定まり具合というものが芸術になるという意味で、また、どのように彫るのか、どのようなデザインなのか、どのような材質なのかということに一定の興味関心がある。これは1つの文化でもあると思います。
行政手続文書等における押印について言うと、必ずしも押印でなければならないものばかりではなくて、署名でいいんじゃないか、なくてもいいんじゃないかというようなこともあるのではないかといったことが指摘されております。このあたり、いたずらにすべて何か一律になくせということではなくて、どういう必要性で、どういう代替の手段があるのかといったことも、一定、丁寧に見て検討する必要があるのではないかと考えているところです。したがって、まず県が持っている手続、そして県民の皆さんにお願いしている手続等で、どのようなものがあり、どのような見直しができるのか、年内・年度内、一定の区切りを持って考えていきたいと思っております。
[京都新聞]
一方で、行政文書の電子化というものも今後議論になってくると思いますが、その点とはリンクさせて考えるお考えがあるでしょうか。それとも切り離して進めるお考えでしょうか。
【知事】
リンクするものも、たくさんあると思います。そもそも誰がその書面に責任を持つのかというときに、電子証明で代替できることもあるでしょうし、やはり押印でなければならないということもあるのかもしれませんので、そのあたりはリンクすることが多いと思います。
[産経新聞]
知事御自身も日々はんこをたくさん押されているということなんですけれども、そんな中でどういう性質のものは、はんこを省略できる、廃止するべきと考えていて、逆にどういったものは、そういったことは難しいんじゃないかと、現時点でどういうお考えなのか教えていただけますか。
【知事】
今の時点で明確にどの種類のものにはんこが必要で、どの種類のものにはんこが必要ではないのではないかと思って見ているわけではないです。したがって、本当に、私のはんこが、知事の押印というものが要るのか要らないのか。なくてもいいのではないかというところから、見直しの検討を始めないとなかなか難しいのではないかという観点で私は見ています。
ただ、その現物を私に至るまでに見なければいけない、例えば、すべてが電子化、デジタル化できないものも、まだまだあると聞いていますので、そういったものの確認、そういったものの決裁に、やはり実地実物、そして印鑑で行っているということであるとすれば、廃止・見直しというのは容易ではない面もあるのではないかと思っています。
[産経新聞]
2点目ですけれども、先週の金曜日に、県が発注した国宝修理工事をめぐる談合事件の初公判がありました。その際に、検察側から冒頭陳述の中で、談合自体は平成25年度からすでに行われていたといった指摘がなされています。このことについての受けとめと、前任者については刑事責任を問われないということですけれども、県としてそういった不正を把握した場合に、処分を検討されるかどうかということを教えていただけますでしょうか。
【知事】
まず、改めて先週も公判が行われたという、この文化財保護入札予定価格漏えい事件。こういうものが起こってしまった、県庁内の職員が関与する形で、行われていたということについては、県として知事として誠に遺憾であると思いますし、深くお詫びを申し上げたいというふうに思います。
その上で、現在、裁判中、公判中また結審もしたということでございますので、その内容をしっかりと見させていただいた上で、かつ、現在、県において、専門家の方々に御参集いただいて、今、この検証会議を開催しておりますので、年内にも何回か会議を開催していただく予定と聞いておりますので、その中において、例えば、この公判の中でも述べられていた組織的な課題ですとか、あとはこの分野が持つ特殊性でありますとか、あと、入札発注のあり方ですとか、また制度的なこと等々、少し語られたことを紐解きながら、咀嚼もさせていただきながら、今後の方向性を見出していきたい。いずれにいたしましても、こういったことが、再発しないよう万全を期して参りたいというふうに思います。
[朝日新聞]
国宝の談合事件に関連して、平成25年から官製談合があったと工務店側の元社長が証言していたんですが、この事実を把握しておられましたでしょうか。
【知事】
証言で知りました。その証言で、そういうことが述べられたということでもって知りました。事実であるとすれば、構造的な体質なり、課題がどういったところにあったのか。県としても、よく調べて、改めて、また対処していかなければならない課題だと思います。
[朝日新聞]
先ほどの話の中で、第三者、専門家の検証会議の中で改めて検討していくという話ではあったと思うんですけれども、どうしても今回の背景として、文化庁の承認を受けた主任技術者が、京都なら10人いる中で、滋賀は2人で、実質的に1人で御担当されている中で事件が起こり、金曜日の法廷でも、被告となった職員さん御本人、また証人として出廷されたもう1人の管理職の方も、ずっと増員を要望していたけれども、それが実現されなかったということをおっしゃっていました。
だからといって、こういった漏洩があっていいという訳ではないとは思うんですけれども、なぜ増員ができなかったのか、また今後の人員配置について知事の見解を改めてお願いします。
【知事】
結審したとは言え、まだ公判中ですので、多くを申し上げませんが、いずれにいたしましても、この公判・裁判の中で明らかにされること、そして並行して行っております検証会議で指摘されること。こういうことをよくふまえて、県としての対応方針を考えていきたいと思います。
お預かりしている文化財をしっかりと調べて、また修復していく事業は、今を生きている私達世代に、かつ、この滋賀県という行政に課された大きな使命・責任だと思っております。しかし、そういった事業等が、こういった事案でゆがめられてしまうこと、また疑念を持たれてしまうということは決してあってはならないことでありますし、しかし、その構造的要因というものが、どういったところにあったのか。単に個人の責任だけでということではなくて、組織的な事、制度的な課題、こういったことを深掘りして、要因を探求することが必要であるのではないかと考えております。したがって、しっかりとこの状況をふまえて今後の対応を考えていきたいと存じます。
[朝日新聞]
こうした情報漏洩をしないようにという、県庁の内部での職員さん向けの研修についてなんですけれども、これは今回の件を受けて改めてされたのか、また今後、例えば毎年必ず行うように、今後頻度を増やされるのか、そのあたりはいかがでしょうか。
【知事】
まずベーシックな部分として公務員としての規範また法令順守、この研修はさせていただいております。
とりわけ入札発注業務というものについては、この間、県においてもそうですし、全国においても様々な課題等が指摘され、そのたびに法律改正等が行われてきた。そういったものをしっかりと周知徹底する必要があると思いますので、今回のこの事案を受けて、どのように研修を強化していくのかということについては、今後考えていきたいと思います。
[びわ湖放送]
先週発表されました都道府県の魅力度ランキングなんですが、滋賀県は37位ということで前回より2つは上がったんですけれども、これについての受けとめをお願いします。
【知事】
もちろんランキング調査ですから、低いより高い方がいいんでしょう。前回より良くなればよかったねということになるんでしょうけど・・・以上です。いや、どう答えたらいいのかな。
いろいろ調べると認知度とか、魅力度とか、情報接触度、観光意欲度、居住意欲度、産品購入意欲度、食品想起率、食品以外想起率、訪問率、地域資源評価偏差値、こういうことまでランキング化されて、競わされるんだなあと。
1つの指標として、糧、励みにはしたいと思うけれども、このランキングに汲々として、何かあくせくするということではなくて、むしろ今住んでいる私たちが、この滋賀をどう思うのかということですとか、この秋も、この週末もたくさんの方が滋賀県に来訪していただいておりました。「ええとこやな」、「来てよかったな」、「美味しかったなあ」と思っていただける、そういった満足度、おもてなしの充実を、しっかりと図っていくことが重要じゃないかと思いますので、この相対としてのランキングよりも、ぜひそのミクロの現場をもっと見て充実させていくことに努めていきたいと考えております。
[びわ湖放送]
コロナの中で、みんなの価値観というのも、新しい生活様式などで、だんだん変わってくるかと思うんです。そういった中で、この魅力度を上げていくということについて、どのように進められるお考えでしょうか。
【知事】
滋賀県はおかげさまで琵琶湖をはじめ、豊かな自然環境がございます。こういったものを大切にしながら、そういったものに触れていただく機会をつくる、そういう機会があるということをしっかりと発信していく。あわせて滋賀県は、ただ一時的に楽しんでいただいて、帰ってはい終わりではなくて、「来たからには水は汚さないで帰っていってくださいね」、「ごみはせずに、できればごみを拾って帰ってくださいね」と、そういった共生型の持続可能な、そういう過ごし方を大事にしているということを御理解いただいて、次の世代に引き継いでいくということを大事にしたいと思います。
あとは例えば中部圏からもそうですし、近畿圏からもそうなんですけど、ほどほど田舎で、ほどほど都会で、そして近距離にそういった大都市圏があるということからすると、来やすいですよと、交通も便利で気軽に来れますよということも、多くの皆様方に訴求していける材料じゃないかと思います。
私が大事にしたいなと思うのは、例えば外国から来られた方や、よそから来られた方に対してフレンドリーな地域だということです。松尾芭蕉もそうでした。ヴォーリズ先生もそうでした。司馬遼太郎先生もそうでしたけれども、やっぱり、必ずしも滋賀出身じゃない方が、ふと立ち寄られる、ふと訪れられたときに、「ようこそ、ようこそ」「おおきに、おおきに」と言って仲良く接することのできる、そういう地域だということを醸成していけたらいいなと考えております。