【知事】
おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。
まずは資料も配られているかと思いますが、その前に、イクボス宣言について、冒頭、御紹介をさせていただきます。滋賀県では、平成27年度からイクボス宣言ということで、私も先頭に立ちながら、それぞれ仕事と家庭の両立をし、職員のワークライフバランスの応援をしていこうという、こういう取組をしてきております。人事も新たに、体制一新したところでございますので、改めてこのイクボス宣言をやり直し、かつ年度初めに申し上げたように、「変わる滋賀続く幸せ」のために、県庁も変わろうということを申し上げておりますので、幹部一同で改めて、この宣言をやり直した上で、取組を進めていきたいと考えております。来る4月19日(金曜日)、幹部職員研修におきまして、副知事以下、約260名の出席者で、由布副知事を先頭にこの宣言を読み上げさせていただきたいと思いますので、ぜひ御取材方よろしくお願いいたします。
また、次の話題提供は、滋賀県「平成31年度青少年広報レンジャーの募集について」、こちらの資料が皆さんのお手元にあると思います。この事業は、若者の視点や意見を県政に反映させ、県政を県民とつくり、進めるため、レンジャーを公募いたしまして、ともに県の広報広聴活動を行うものでございます。3年目となりました。今年度につきましても、「あなたの声が明日のしがを創る!!県政の現場を実際に体験し、発信しよう!」をコンセプトに、知事である私が視察する際の同行でありますとか、県政の重要課題に沿ったテーマに関する意見交換会への参加、県関連事業に自主参加いただくなど、レンジャーとして実際に現場を体験いただき、それぞれの視点から、県のSNSなどを通じて情報発信していただこうと思っております。また県でも、県関連事業や企画に関する情報提供を随時行うことによりまして、レンジャーの活動を支援するとともに、県のフェイスブックやホームページを通じて、活動の様子を発信し、活動を通じてレンジャーからいただいた意見等は今後の施策の参考にさせていただきたいと思います。
今年度は、これまで重点的に行ってきた広報活動に加えまして、広聴、広く聴くという部分にも、より一層力を入れて取り組んでいきたいと考えております。具体的には、レンジャーの皆さんを通じて、県民の皆さんから広く県政の御意見をお聞かせいただくような機会を設ける予定でございます。対象は、平成31年4月1日現在、県内にお住まいの満15歳から28歳までの方で、来年3月末まで活動いただける方を10名程度募集いたします。募集の締め切りは5月17日(金曜日)となっております。昨年度も定員を超える多くの方に御応募いただきました。活動を通じて、滋賀のこと、また住んでいる地域や取り巻く環境について、世界との繋がりにも目を向けながら、他人ごとではなく、自分ごととして考えていただいたり、発信したり、御意見を還元いただいたりすることで、ともに滋賀の未来を創っていきたいと考えているところでございますので、積極的な若者の御応募をお待ちしております。また皆さんの御報道等もよろしくお願いいたします。
それでは、もう一つ、こちらも資料があると思いますが、大戸川ダムにつきまして、私の方から意見を申し上げます。大戸川ダムにつきましては、この間、様々な御議論もいただいて参りました。また様々な御要望等もいただいております。一昨年の11月議会での決議を受けまして、大戸川ダムが滋賀県内に与える効果ですとか、影響について検証をするため、勉強会を立ち上げ、これまで検証を進めて参りました。過日、3月25日、第3回勉強会を終えまして、これまでの検証結果をまとめていただきました。この検証結果をふまえまして、私の考えをお伝えさせていただきます。
近年、全国各地で毎年のように豪雨が発生しております。計画規模を超える洪水により浸水被害も多発しております。平成27年には栃木県や茨城県を中心に、「線状降水帯」による豪雨がございました。鬼怒川が決壊し、甚大な被害が発生しております。平成29年には九州北部で豪雨がございまして、こちらでは洪水に加えて河川に大量の土砂や流木が流出いたしました。これらが被害を増大させたことが大きな問題になったところでございます。昨年、平成30年には西日本の広い範囲で長時間、雨が降り続き、倉敷市真備町におきましては、小田川とその支川の堤防が決壊し、多数の方が命を落とされたということもございました。
今後も、気候変動の影響により、水害のさらなる頻発化、激甚化が懸念されており、これまで経験していないような大きな洪水に対する備えについて、重要性が認識されているところでございます。
次に、県で進めてきた大戸川の河川改修につきまして、大戸川の河川改修は国の将来計画に位置付けられている大戸川ダムとの整合を図りながら、ダム整備よりも、河川改修を先行するという、当時の判断のもと、概ね10年に1回程度発生する洪水に対応する河川改修を進めて参りました。この河川改修はすでに7割が完成しており、残りの区間も完成する目途が見えてきたことから、次の段階を検討する時期に来ております。昨年度、大戸川ダム予定地下流の大津市田上地区、上田上地区、ダム予定地上流の甲賀市信楽町黄瀬地区を訪問させていただき、特に大鳥居の集落跡地におきましては、下流住民のために集団移転された地元の皆様から、大戸川ダムを早く着工して欲しいという思いも受けとらせていただいたところでございます。
このような状況等を考慮し、勉強会では、大戸川流域で、これまで経験した降雨に加え、経験したことのない大雨も対象として検証を行いました。具体的には、実際に大戸川流域に降りました平成25年台風18号に加え、先の西日本豪雨をはじめ、近年全国で発生した豪雨を対象といたしました。これらが大戸川流域に降った場合、大戸川を整備することで、滋賀県内に与える効果や影響を検証したところでございます。
その結果、大戸川ダムは、滋賀県内に一定の治水効果があることがわかりました。大戸川流域においては、計画規模の洪水に対して、大戸川からの氾濫を抑制する効果、これは浸水面積を38%~60%減少するという効果や、超過洪水に対しましても被害軽減、これは浸水面積を24%~36%減らすことができるという効果、氾濫を遅らせる効果、これは8時間という数字で表現されておりましたが、そういった効果があることが明らかとなったところでございます。
一方、ダムが整備されても、支川や水路の氾濫による浸水リスクが残ることに加えまして、異常洪水時防災操作が行われると、急激に浸水範囲が拡大するため、避難計画などの事前の備えと非常時の情報伝達方法の検討が必要であることも、わかったところでございます。瀬田川洗堰操作におきましては、大戸川ダムが整備され、水が溜められることにより、その下流の天ケ瀬ダムへの流入量が低減し、全閉の開始を遅らせることができ、また全閉を含む制限放流時間が短縮できる場合が多いことが判明したところでございます。
また、琵琶湖後期放流対策としての瀬田川、鹿跳渓谷の河川改修や、瀬田川洗堰・天ケ瀬ダムと大戸川ダムの連携方法などの検討の必要性も明らかになったところでございます。全国各地で毎年のように豪雨が発生し、浸水被害が多発する中、これまで経験していないような大きな洪水に対する備えの重要性が認識されてきています。このような豪雨に対しても、大戸川ダムに一定の治水効果が期待できることが勉強会の検証によりわかりました。先行して進めて参りました大戸川の河川改修も完了する目途が見え、さらにダム上流も含めた地元の皆様の安心安全のための治水安全度を上げるためには、大戸川ダムが必要になります。
以上のことから、滋賀県知事として滋賀県には大戸川ダムは必要であると考えます。したがって、大戸川ダム本体工事の早期整備を望むものでございます。今後は勉強会の結果をふまえまして、今まで苦労されてきた皆様の思いもあわせて、また未来を生きる人々のことも考えて、滋賀県知事として、県の立場、知事の考えを国や下流府へ、しっかりと説明して参りたいと存じます。大戸川ダムは国において事業が計画されているダムであり、その実施、実施時期等については、今後、淀川水系全体を見た上で、国が中心となって検討し、判断されるものと認識しております。国の委員会では、全国的な水準や気候変動の影響も考慮の上、これまで実施してきた河川改修の進捗状況とその影響を検証されておりますが、県としては、大戸川ダム本体工事の実施時期についても早期に検討するよう、その上で河川整備計画について必要な変更手続きに着手されるよう求めて参ります。
また、大戸川ダム本体の構造、付帯する事業、環境に与える影響や問題等についても、これまでやっていただいたこと、明らかになっていることも含め、しっかり確認の上、県としての立場を述べ、対応を求めて参ります。併せまして、異常洪水時防災操作の際の情報伝達や琵琶湖後期放流時の瀬田川洗堰・天ケ瀬ダムと大戸川ダムの連携方法の検討など勉強会で明らかとなった課題についても国に検討を求めて参りたいと存じます。私からは以上です。
[京都新聞]
まず、このタイミングでの判断になったことについて、お伺いできますでしょうか。県議選が終わった直後ではあります。まだ新しい議会が始まってないというのがあるんですけども、このタイミングでの判断の理由をお願いします。
【知事】
3月25日ですね、前回の3回目の勉強会が、3月25日に行われました。そこで、委員の先生方の御議論の上、一定のまとめをしていただきました。その翌日、定例会見もあり、見解を求められ、その場でも申し上げておりましたが、できるだけ早く判断をしていきたいと申し上げておりました。
その3回目の勉強会の後、2週間でしたか、意見募集の期間も設定させていただきましたので、その勉強会の結果と、その結果に対する御意見も総括して、今日、私としての考えを述べさせていただくこととしたものでございます。当然、県議選もございました。この点についても様々な御意見等も私どもが十分つかみきれてない状態であったかもしれません。今後、開かれる議会等で、議会議員の皆様方もって県民の皆様方の御意見をしっかりと承って参りたいと思いますし、私どもの考えについても丁寧に御説明を申し上げていきたいと存じます。
[京都新聞]
今回は県域への影響、県内の中を見ての判断だと思うんですけど、そもそも大戸川ダムは下流、特に枚方地点の水位異常の低下とていうのが目的で始まったダムでありますけど、お金の負担なんかも下流が中心になろうかと思うんですが、その辺りはどのように説明、あるいは負担を求めていくお考えでしょうか。
【知事】
今、御質問で御指摘いただいたように、これは国の事業でございまして、この大戸川ダムは淀川水系全体を見て、効果影響等検証しながら、実施時期を決めていかれる、そういう事業でございます。
したがって、事業に係る費用負担等については、国の事業ということで下流府にも大きくゆだねるところとなる事業であります。当然、国においては、そういった観点から議論、検討が行われると思いますし、従来から申し上げておりますように、滋賀県としては、滋賀県知事としては、滋賀県内に及ぼす効果、与える影響、これらをこの間の事業進捗や、この間の環境の変化等をふまえて、しっかりと科学的に検証をしたい、その結果をもって、国や下流府県に説明をさせていただきたいということを申し上げておりましたので、今日のこの表明以降ですね、しっかりと御説明もしていきたいと考えているところでございます。
[京都新聞]
そもそも凍結になったのは、河川整備計画策定に際しての知事意見の提出で、4県知事合意っていうのが前段にありましてですね、別の下流府県がそろって凍結を求めたと思うんですけれども、その4府県知事合意を、どのように今後扱っていくのか、当然凍結を解除しろという話なので、4府県知事合意の見直しというのがいるのかなと思うんですけど、そのあたりどのように、お考えですか。
【知事】
4府県知事合意は、これは平成20年11月11日に、三重県知事代理と本県滋賀県、京都府、大阪府の当時の知事との間で、交わされた合意でございます。今回、これをどうするかっていうのは、この時点では未定です。当時の4府県知事合意におきましても、大戸川ダムは淀川水系流域委員会の報告にもあるように、一定の治水効果があることは認めるというとこから始まって、大戸川ダム等についても表現されております。しかし、施策の優先順位を考慮すると、河川整備計画に位置づける必要がないとされて、現在に至っているということがございます。私どもはこの間の時間経過、事業の進捗、さらには環境の変化をふまえて、滋賀県内に与える影響効果として、大戸川ダムは必要ではないかということを今日以降申し上げていくことになりますが、当然それぞれの府においては、それぞれの府の御見解等があろうと思いますので、この4府県知事合意と滋賀県から出されたこういった意見をふまえた今後の対応については、よく話もしていきたいと思います。
[京都新聞]
それは県から下流府県に協議を求めると、そういう理解でよろしいんですかね。
【知事】
まず、国では検証委員会で検証されてますね。そこで、それぞれの府県が当然、注視されながら、対応されるでしょうし、今日をきっかけにですね、それぞれの府、またそれぞれの議会、それぞれの府民、県民、市民、町民の皆様方から様々な御意見等にも対応されていかれるでしょうから、私どもも当然そういう対応をいたしますので、その過程の中で、必要な協議はしていきたいと思います。
[京都新聞]
ちょっと先の話になるのですが、先ほど整備計画の変更の手続きの話までふみ込んでおっしゃっておられたんですけども、議会の承認っていうのも、県議会では確か議決する事項に入っていたと思うんですけど、今後そのあたり、議会との議論というのはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
議会でも、現在の議会議員の皆様方の任期が、今月下旬までございまして、新たな構成に伴う県議会等も、順次開催されていくということでございます。今日、一定の見解を申し上げさせていただきましたが、今後、県議会議員の皆様方、もって県民の皆様方ともしっかりと議論をしていきたいと思いますし、それぞれの過程過程、手続き手続きで、どのような議決を求められるのかということについては、県議会の御判断によるところが大きいと思いますが、しっかりと県議会の皆様方にも向き合っていきたいと思います。
[京都新聞]
手続的な話になるのですが、知事意見というのは、いつぐらいに出したいとか、そういうのはあるんでしょうか。
【知事】
それは、法定の計画を作る時、また変更する時の手続きによるところでしょうから、現時点で、いつ、どのような意見を出すということについては想定しておりません。
[京都新聞]
もう一つ、具体的なことがあればですけど、早期の建設っていうのは、例えばいつごろの着工であったりとか、あるいはいつまでの完成であったりとか、ぼんやりとイメージというのは見えているんでしょうか。
【知事】
現時点でそういう時期、イメージというものを持ち合わせているわけではありません。県としては勉強会の結果、県内河川に治水効果あり、また、琵琶湖の水位にも影響し得る洗堰の操作等にも影響ありということを受けて、大戸川ダムは必要と、したがって大戸川ダム本体工事に入って欲しいということを申し上げるということでございます。
[読売新聞]
今日、知事は、大戸川ダムについての建設容認というお考えを表明されたわけですけども、まず1点、すでに事務レベルでは下流府県にすでにお伝えされているのかということをお伺いしたいのと、下流府県に説明していくということですけど、具体的なスケジュールがないかもしれませんけども、どのような予定をされているのかというのが2点目、具体的なものがあれば。あと、知事が出向かれて、説明に行かれるというお考えであるのかというところをお伺いしたいのが3点目。あと勉強会設置時の報道で、これは報道ベースですけども、4府県知事合意の時は、大阪も京都も有効であると態度を変えていなかったと思うんですが、仮に滋賀県がそういう態度表明しても、下流府県の態度が変わらない場合についてはどのようにされるのか、4点お伺いできますでしょうか。
【知事】
まず今日、こうして会見で述べさせていただくにあたり、どのような説明をしてきたのかということでございますが、十分ではなかったかもしれませんが、今日会見の場で申し上げられるべく、事務的には一定の説明を、これは勉強会の結果の説明も合わせた形でさせていただいて参りました。
また今後のスケジュールについては、すいません、現時点で例えば下流府にどのような形で説明するのかということについては未定でございます。また、私自身が赴いて説明するのかということについても決まっておりません。必要な対応はとっていきたいと思います。
また、この勉強会を設置させていただいた時の下流府県等の御見解として報じられていたことと、今回のことと御質問がございましたが、どのように対応するのかということについては、よく話をしたいと思います。この当時の4府県知事合意もたくさんのことが書いてあります。基本的な考え方から始まって、宇治川、瀬田川、大戸川、木津川、桂川、丹生ダムそして事業費と実施時期その他と。たくさんのことが書いてあって、それが成っているものと、進んでいるものと、成っていないもの等があろうかと思います。それらを一定この時点で総括して、また新たな合意を結び直すのか結び直さないのか、国との関係等も政治的なことも含めて変わっている面があるやなしや、何より当時結んだ方々と今知事を担わせていただいている私たちが替わっているという、こういう状況等をふまえるのかということについては、よく話をしたいと思います。
[NHK]
先ほどの知事のお話で、早期に建設して欲しいということを本当にずばりおっしゃったので、事前に考えていた、予想していたお言葉よりも、かなり前に進んでいるような印象を受けました。容認というような微妙な表現をされると思ったんですが、そうではないような気がします。容認ではなくて推進なのでしょうか。
それと、4府県の知事合意に関しては、他の3府県に説明するのか、それともこれまでのいろんなお話の中では、下流域の府県知事というような表現があったので、大阪と京都だけかもと思ってたんですが、そうではなく三重県の知事にも説明に行かれる、というお考えがおありなのかをお願いします。
【知事】
まず、どういう考えなのかということについては、先ほど述べた通りでございます。滋賀県知事として、滋賀県には大戸川ダムは必要であると考えますと、したがって大戸川ダム本体工事の早期整備を望むものであるというのが私の考えです。
4府県知事合意を当時交わさせていただいた府県には、一定の説明がいると思います。ただ大戸川ダムの影響は淀川全域に及びますし、その淀川には木津川も桂川も繋がっておりますので、その軽重はそれぞれの府県によって、差はあるのかもしれませんが、一定説明はいるのではないかと思います。
先ほどの御質問にも重複しますが、例えばそのスケジュールですとか、知事が出向くのかどうなのかということも含めたやり方等については、まだ未定でございます。
[毎日新聞]
ダムを容認するにあたっては、治水効果もあれば、環境、費用対効果、景観問題とか、非常に多面的な問題を抱えていると思うんですけども、今回の勉強会というのはあくまでも治水効果の検証だけであって、治水効果があるのは、勉強会を開かなくても、ずっと言われたと思うんですけども、今回、治水効果ありだけでゴーサインを出すのは合理的なんでしょうか。
【知事】
私は県民の皆様方の命や暮らし、安全安心を守らせていただく立場から、その治水効果をもって、また琵琶湖の水位に影響を持ちうる洗堰に与える影響の結果をもって、大戸川ダムが必要と述べることには、合理性があると考えております。
ただ、今おっしゃったように、ダムという事業は費用面で、またある意味では、時間の面で、多くの費用と時間がかかるということをどう見るのかということ、また環境面に与える影響、景観に与える影響等についても、当然これは付随してございます。そういった総合的な観点からの検証というのは、今後国においても、これまでも一定やってこられていますが、今後さらにやられると思いますので、そういった際に、滋賀県としての立場をしっかりと申し上げていきたいと思いますし、当然、環境に与える、生態系に与える、また流砂等をどう見るのかということについても、もうすでに課題として指摘されておりますので、そういった議論の中にしっかりと入っていきながら、環境保全を守りながら治水効果を上げていくという、この両立を目指していきたいし、まとめていきたいと思います。
[毎日新聞]
知事は「やまの健康」ということをおっしゃっているわけですけども、ダムはやまの健康に対してどう影響するとかはないですか。
【知事】
この大戸川流域は、田上の砂防も含め、その時々、人知を尽くしながら、必要な構造物も作り、また必要な木々を植え育て、治水砂防等が行われてきたという、そういう歴史もございます。当然、現在を生きる私たちだけではなくて、将来を生きる世代に対しても、また私たち人間だけではなくて他の生き物に対しても、持続可能であるように、やまの健康というものが保ち高めることができるように、意を用いながらですね、この事業を見ていきたいし、必要な検討も行っていきたいと思います。
[毎日新聞]
今のところ下流府県からは、特に大戸川ダム見直しうんぬんは聞こえてこないんですけど、今回突出して滋賀から提案されると、費用負担の問題、現在は3%程度と言われていますけれども、その見直しを逆に迫られる心配はないのか。そういったことはないのですか。
【知事】
その理論的なこととして、あらゆる可能性を想定して、そういう議論があるのかないのかって言われたら、あるのかもしれませんし、ないのかもしれません。ただ前提としてあるのは、大戸川ダム事業というのは国の事業であり、その持つ効果、もたらす影響というものは、下流にある天ケ瀬ダムというものを経由いたしますが、多くの皆様方がお住まいになるその下流にも大きく影響効果を持ちうる、したがって国の事業として行われていると。で、基づく負担割合が決まってるということですので、その前提というものは、変わらないであろうと思いますし、変えるべきではないのではないかなと考えているところです。
[朝日新聞]
また、ダムのことに関連してなんですけども、あくまで今回の勉強会を通して、知事の治水に対する考え方というのは、従来のものと変わらず、ダムに頼らない治水政策を進めるっていうものなのか、それとも今回の勉強会を通じて、何か、知事の治水政策に対する考え方というのに変化はあったんでしょうか。
【知事】
ありません。私の治水に関するダム等の洪水調節施設に対する考え方は、ダムだけに依存しない流域治水を進めていこうということでございます。当然、この勉強会でわかったこととして、一定溜められることによる治水効果がございますが、それを超えて降った場合には、入った分、流さなければならない、そのことが、浸水被害を及ぼすかもしれない、広げてしまうかもしれないというそういう想定効果も出ておりました。とはいえ、一定溜められることにより、時間を持てるということから、ソフト、ハード両面で事前の備えやそういった場合の情報提供を含めて対応対策が必要だ。そういう意味では滋賀県が進めてきた、地先の安全度をしっかりと知らせ、そして川の中の基幹的対策をとると同時に、逃げることや備えることもってこれを私たちは流域治水と呼んでいますが、そういったことを進めていかなければならないというこういう考え方は、しっかりと継続して、またある意味では強化して、行っていかなければならないと考えております。
[朝日新聞]
国の直轄事業とは言えども、県の負担する部分も出てくると思うんですが、財政の健全性というか、これから国体なり大きいイベントとかも控えてますし、そこら辺はダムが早期着工したとして、ある程度発生しても、滋賀県の財政的には健全性保っていけるという見通しなんでしょうか。
【知事】
この大戸川流域だけではなくて、県内たくさんある河川、天井川も日本で一番たくさんある、下流から順次河川整備をやっている、横切る国道や鉄道との兼ね合いですとか、そういったことの対策に迫られてます。
そういった事業をしっかりと予算もつけながら、いただきながら推進していくということと同時に、それ以外の県民の皆様方の福祉やまた必要な文化スポーツの施設整備や、そういったものもやっていく。しかしそれらは前提として、財政の持続可能性、健全性というものは、絶えず見ていかなければならない。それらはすべて両立させなければならない課題として強く認識しているところでございます。
[時事通信]
国の直轄事業ということで、今後、具体的に国交省、本省とかですね、地整局なのかもしれないですが、何か具体的に要望活動に行かれる予定はありますか。
【知事】
事務的には、いろんな説明なり調整はしておりますが、今日こうして、県として知事としての考え、この時点のものとして、勉強会の結果を受けて表明させていただきましたので、今後、下流府県のみならず、国に対しましても、しっかりと説明していかなければならないと思っています。
[時事通信]
具体的な予定はどうでしょう。
【知事】
現時点で何か決まった予定はございません。
[時事通信]
県議会からは自民党会派中心にですね、以前からずっとその必要性については意見が多かったんですけれども、早期に検証して知事の2期目の選挙ですとか、あるいはこの先の県議選ですとかに態度明らかにして、県民の判断、審判を仰ぐという、そういう考え方もあったように思うんですが、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
【知事】
もちろん、いろんな立場からいろんなお考えを、これまでも伺ってきましたし、これからもしっかりと承っていかなければならないと思っています。また、この勉強会の設置については、一昨年の県議会での決議も受け、またいろんな角度からの県議会での御意見等もいただく中で設置をし、進めてきたものでございます。確かにその結果を受けた県としての考え、知事としての考えを、どの時点で述べるのかというのは、選挙の日程等も当然分かっているわけですから、そういうものを視野に入れて進めてもよかったんじゃないかという御質問は、そういう考えもあったかということで承りますけど、むしろ、そういったものとは中立的に我々は勉強会を昨年度やらせていただいた。年度末押し迫った時期になりましたけれども、3回の一定の区切りをした上で、専門家の皆様方からおまとめもいただいたと。それを受けた県の考え、判断というものについては、できるだけ早く申し上げていくことが筋であろうと考えておりましたので、そういった方針のもとに、今日に至ったということでございますので、今後、当然県議会でも議論されるでしょうし、その時々の課題として、県民の皆様方の御審判を仰ぐということもあるのかもしれません。
ただ、これ国の事業ですのでね、国の事業ですので、下流府県のお考え、お立場、また国の考え方、検証の進捗、こういったこともあるのかもしれません。
[びわ湖放送]
少しニュアンス的な先ほどの質問と重なるところがあるかもしれないんですけれども、県議会での決議、それから周辺の方々の御意見ですね、大戸川の視察に行かれた時の聞かれた御意見を基に勉強会を開かれたという前提で、先ほどお話をされたんですが、今回の発表に、そういった方々の御意見、県議会の決議というものが影響したのか、その辺りは全くフラットにして治水効果だけで、今回、意見の発表になったんでしょうか。
【知事】
どこから申し上げればいいのか分かりませんが、当然、県議会での御議論、また、いただいた決議、そういったものは1つのきっかけとして、発端としてあるでしょう。
また、様々な御要望も、これは現地も含めていただきました。そういったことも当然、前提としてふまえています。と同時に、先ほど申し上げましたが、例えば10年前に4府県知事合意をされた時以降、様々な雨の降り方で、大きなもの、新たなものが出てきた、こういったこともふまえた検証も必要であろう。さらには、ダム本体事業に優先してやるべきだと指摘され、実施してきた河川改修についての進捗がなってきた。こういったことをふまえて勉強会で治水効果の検証をさせていただきました。主には、こういった勉強会での検証結果に基づいて、さらにはそこに総合的な判断を加えた形で、この時点の滋賀県の考え方として、本日、表明をさせていただいた、というものでございます。
[びわ湖放送]
これも少しニュアンス的な質問になるんですけれども、もちろん前の知事の段階での4府県知事合意ではありましたけれども、滋賀県として県内の国の事業に対しての姿勢を、前回は凍結の段階で、今回は早期に整備を求めたいと大きく転換する意見になります。国の事業への、県内での国の事業を大きく姿勢を変えるという重みを知事としてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
【知事】
ちょっと御質問の意味を私なりに解釈し直してお答えするとすれば、何より重いのは、県民の皆様方の命であり、様々な雨の降り方と災害等にどう対応していけばいいのか、これは今を生きる私たちにとって大変重要なテーマ、何より重い課題だと思っています。
当然、施設だけ、ダムだけで守れるものではありませんが、順次、河川改修をやってきて、その上流にどう対応せねばならないのか、このことには一定方向性を出していかなければならない、その時々の決断もしていかなければならない、そういう時期に来ているのではないかと思います。その意味で、重みは自覚しているつもりです。10年前はこの4府県知事合意にもございますが、治水効果があることは認められています。そういう意味では、治水効果を改めて確認したということについては、何ら変わるものではないのかもしれません。
ただ、施策の優先順位を考慮して、その時点での河川整備計画に位置づける必要はないということでしたけれども、私どもは事業も進捗し、環境も変化したので、県として必要であると考え、必要な検証の上、河川整備計画を変えていく手続きにも入って欲しいということを申し上げるということでございます。
その意味で、この経過からすると、大きな重い表明をさせていただいてるとは思いますが、それは何も増して、県民の皆様方の将来にわたって命を守っていくということから、表明をさせていただいていると。こういったことを今後、県議会、県民の皆様方にもしっかりと丁寧に説明をしていきたいと思います。
[読売新聞]
やはり大戸川の関連ですけども、2期目に入っておられる知事ですので、失礼になるかもしれませんが、手続きも勉強会ふまえられての、こういった本当に必要であるということになったわけですけれども、前知事の嘉田さんは、変わらずダムに頼らない治水ということを唱えておられると思うんですけども、すでに知事は2期目に入られてるのですが、それとの整合性についてお考えあればお伺いしたいんですけども。
それと10年前のことでもあるわけですけれども、そういった方の思いというものをどう考えておられるか。
【知事】
当然、大戸川ダムについては、広く言えば、琵琶湖淀川水系の治水というものについては、長年の経過があります。この大戸川ダムをどうするかということ以前から、おそらく私たちが十分その文字として資料として知る以前から、上流と下流、右岸と左岸、利水と治水、様々なせめぎ合いの中で、今日があるんだと思います。
とりわけ、この昭和から平成に入ってきたこの半世紀ですね、この半世紀、大戸川ダム事業についてはどう取り扱えばいいのかということについて、様々な議論が行われてきたということでございます。
当然、いろんなお考えがあると思います。私はある意味10年前、ああやって4府県の知事等が集まって、国に対してもしっかりとその時点での考えをまとめていったということについての意義は、私は一定あったと思っています。
ただ先ほど来、申し上げておりますように事業の進捗あり、雨の降り方も含めた環境の変化あり、そして滋賀県で改めてこの時点での検討、検証をさせていただいたということの結果をもって、滋賀県知事としてどう言っていくのかということについては、やはり責任があると思っています。
その責任というのは、今の知事を担わせていただいてるのは私であるという、こういう責任をしっかりと果たしていかなければならないのではないかというふうに思っておりますので、今日述べただけで終わりということでありません。先ほどから御質問にお答えしておりますように、今後、国や下流府県、また県議会、県民の皆様方にもしっかりと御説明をさせていただきながら、理解を醸成していきたいと考えています。
[読売テレビ]
改めて、費用対効果の部分でですね、まだこれから、この前の勉強会においては、やはり治水効果の部分に特化していらっしゃったような印象を受けてるんですけれども、知事として現時点で、どれほどの費用対効果といいますか、もちろん10年前の検証をされたかと思うんですが、現時点においてどういうふうに、そのあたりを見ていらっしゃるのかというところを聞かせいただきたい。
そして、やはり10年間経ってですね、この先、もちろんその建設が完了するのはまだまだ先だと思うんですが、そこにおいて人口減少というのももちろんあると思います。その県内で流域において暮らす人の人数が減った中で、やはりその部分というのを考えていかないと、もちろんいけないと思うんですが、その辺りも含めてどういうお考えでしょうか。
【知事】
まず、費用対効果については、国の検証フローに基づいて、検証が行われ、そういった観点から、検証したとしても、この大戸川ダムを整備することが有効であるという結論が示されているところでございます。したがって費用対効果はあるのではないかと考えます。
2点目にいただきました、今後、人口減少局面に入ってくるやないかと、こういうことも当然あろうかと思います。その時々、将来も含めて環境の変化というものは想定されると思いますが、例えば大戸川ダムをどうするのか、またその他、宇治川、淀川含めて、どう水を治めていくのかということに、例えば、大きな影響を与え得るような人口の減少というものが、この延線にあるのかどうかということについても、よく考えていかなければならないのではないかなと思います。
したがって、一定程度、将来を見通したとしても、私どもは、滋賀県としてもそうですし、今後、国において検証されると思いますが、琵琶湖淀川水系において必要なダム等の整備についてはしっかりとしていく必要があるのではないかなと思います。
まだまだ先、時間がかかるのではないかと、決めたとしてもやったとしてもっていうことはあると思いますが、だからといって今決めない、考えないということではなくて、今考えて決めたことは、当然後で考えて決めるよりは、早期に効果を発現し得ると、そういう面もあるのではないかと思います。
[読売放送]
県独自に今後、そう言った面を、もちろんダム以外のそう言った今まで進めてきた治水政策だったりとか、様々あるとは思うんですが、その辺りを改めて勉強会など形は分からないですが、そういった事を検証される御予定というのはありますか。
【知事】
特に大戸川以外に何か場をもって治水効果の検証というものをする予定はありません。ただ、私どもも、たくさんある河川、様々ある課題、とりわけ治水の課題にどう向き合っていくのかっていうことは、県政においても大変重要な課題でございますので、県議会や予算審議の中においてもですね、しっかりと私どもも説明をしていきたいし、様々な御意見等も伺っていきたいと、もって滋賀が進めてきた、まさに国よりも先んじて進めてきた流域治水のこういった趣旨・精神はしっかりと広げていけるように努力していきたいと思います。