皆さん、おはようございます。
11月になり、朝晩がずいぶん肌寒くなってまいりました。
先月は、台風の猛威が日本を襲いました。台風21号の上陸により県内にも被害が発生しましたが、私が海外出張で不在の間、西嶋副知事をはじめ関係職員で的確に対応いただき、素早い復旧活動に尽力いただいたことに感謝します。
10月29日には、かねてから準備を進めてきた本県の情報発信拠点「ここ滋賀」がオープンしました。雨の中の初日でしたが、2,000人を超えるお客様がお越しくださり、素晴らしいスタートを切ることができました。
『これから』が大切です。情報発信拠点を最大限に活用し、国内外に向けたPRに力を注ぐとともに、「ここ滋賀」を入り口に滋賀のファンとなっていただけるよう、滋賀においても、おもてなしの力を一層高めてまいりたいと思います。
さて、私は、障害者の文化芸術国際交流事業「2017ジャパン×ナント プロジェクト」に参加するため、10月20日から25日までの6日間、フランスのナント市を訪れました。
このプロジェクトは、日本の障害のある方の優れた文化芸術活動を世界中に発信するという文化庁の事業で、国内の23の構成団体からなる実行委員会に滋賀県も参画して進めてまいりました。
本県からは、5名のアール・ブリュット作家の作品の出展、「湖南ダンスワークショップ」によるダンスパフォーマンスの出演のほか、私が国際研究フォーラムに登壇し、障害のある方の芸術活動を支援する滋賀県の取組の歴史や背景、これから目指す方向について紹介する機会をいただきました。
このプロジェクトの舞台となったナント市では、造船業の衰退後、1989年に市長に就任したジャン・マルク・エロー氏が、文化政策で地域と市民の「生活の質(Quality of life=クオリティ オブ ライフ)」を高めることをめざし、約20年にわたり革新的な都市再生の実践を進めてこられました。
徒歩・バス・路面電車で移動できるまちづくり、アートが市民の中に出かけていく取組など、市民が文化や芸術にアクセスしやすい環境の整備や、市民が制作に関わる参加型の事業を増やすことなどに尽力され、現在の市長にもその志が受け継がれています。
同市では、交通政策における多様な主体との合意形成に30年という歳月をかけて粘り強く取り組まれているところであり、今回のプロジェクトがナント市において開催されることとなったのは、文化・芸術による都市の再生に長年取り組んでこられた土壌があったからこそといえます。
プロジェクトの一環で行われた日本のアール・ブリュット「KOMOREBI」展に来られた大勢の方々や、ナント島の人気者・巨大な機械仕掛けの象「レ・マシン・ド・リル」に集まる人たちが、言葉や国境や多様な世代の壁をも超え、ワクワクした表情で見入っている姿が印象的でした。
歴史に学び、新しい文化・芸術を生み出すパワーが市民の潜在力を引き出す。
それが地域の文化に対する誇りの回復、多様性を包み込む豊かな人間関係づくりやイノベーションの原動力となり、経済の好循環、生活の質や自治の力の高まりにつながっている。
人々の笑顔、ナント市の街角に、文化・芸術が与える力と可能性を感じました。そして、本県においても、人生100年時代を健康で心豊かに過ごせる持続可能な地域づくりにあたって文化政策を基軸とし、県政のあらゆる分野に文化の視点を織り込むことの重要性を再認識しました。
現在、次期基本構想の策定に向けて議論を進めているところです。
これまでの取組の充実と、従来の枠組みにとらわれない、文化の力を生かした「新しい豊かさ」の実現に資する政策を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
今月もがんばりましょう。