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世界の人々の心をつかむために大切なこと

みなさん、おはようございます。

既にご存じのことと思いますが、先日、全国的な魚料理のコンテストである「第4回Fish-1グランプリ」において、「天然ビワマスの親子丼」が第1位に輝きました。私も、先日の記者会見で試食をさせていただき、脂ののったビワマスの甘味と口の中ではじける卵の食感を楽しませていただきました。

伺いますと、淡水魚の料理が1位を獲得したのは初めてとのことであり、滋賀の豊かな自然に育まれた固有種のビワマスが高く評価されたことを、大変嬉しく、誇らしく思います。出品にご尽力された滋賀県漁業協同組合連合会青年部の皆様や応援いただきました関係者の皆様に感謝申し上げます。

受賞後、このビワマス親子丼に関する問い合わせが増えており、実は私のところにもいただきました。現在は禁漁期間のため販売店は限られていますが、今後は県内外の多くの方々に食していただき、湖魚の消費拡大や誘客へと繋げていければと思います。

さて、先月3日から12日にかけて、フィリピン、台湾、インドネシア、ベトナム、タイへ出張してまいりました。その目的は、「戦跡慰霊巡拝」、「世界湖沼会議への出席」、「『観光と食』のトッププロモーション」などであり、それぞれに今後の県政運営に向けて思うこと、学ぶことがありました。

今回はその中から、トッププロモーションで感じた、「海外の方々の心をつかむために大切なこと」についてお話しします。

台湾ではアジア最大級、世界最大級の国際旅行博「ITF2016」で、個人旅行者向けに滋賀ならではの旅の魅力を。また、ベトナムとタイでは本県企業の皆様とともに、現地の大手旅行会社や物流・小売の事業者の方々へ、近江牛、近江米、湖魚料理、和菓子などの県産食材を売り込んでまいりました。

私にとって海外でのプロモーションは昨年に続き2回目であり、今回の訪問では各国の文化や嗜好の違いを理解し、心の充足感や新しい価値観の提案など、できるだけ受け手の皆様の琴線に触れるような伝え方、見せ方をすることを心がけました。

台湾では近年、団体旅行から個人旅行に移ってきており、「深度旅遊(しんどりょゆう)」と呼ばれる、単なる観光地巡りではなく自分なりの発見や楽しみ方を求める旅が好まれています。そのため、私からは自転車でのビワイチ、ローカル鉄道、忍者といった切り口で滋賀をアピールしました。

また、東京や大阪といった、いわゆる「ゴールデンルート」以外の旅行が人気を博しているとのことであり、京都からわずか10分で雄大な琵琶湖を望める「別世界」に行けることを強調しました。

タイでは、昨年の訪問時に必要性を感じたタイ語の観光マップを新たに作成し、配布しました。小さく折りたためてスマートフォンと一緒に持ち歩けること、写真が多用されていることなど、SNS好きのタイ人のニーズに合っていることが大変喜ばれました。

一方で、タイ語とベトナム語のパンフレットを間違ってお出しするという失敗もありました。

そうした中で、今回新たに重要だと感じたことがあります。現地の観光事業者や流通事業者との連携です。

ビジネスの新天地において、現地の文化や嗜好を知り尽くした企業の方、特に先行してビジネスに取り組まれている日本の企業の存在は大変大きく、今回の訪問でも多くのご助言をいただきました。これらの方々をいかに巻き込んでいくか、パートナーとなっていただくかが、今後のビジネス展開において大変重要であると実感しました。

その現地事業者との懇談において、「滋賀県の皆さんが本気ならすぐにでもやろう。」という、こちらの覚悟を測る言葉を投げかけられたことが印象的でした。

新たな市場での挑戦、特に海外展開にはリスクが伴います。しっかりとビジョンを描き、リスクを取って進出する覚悟を持った本県の企業の皆様を、銀行や行政が一丸となって応援し、現地との信頼関係を構築していくことが大切だと考えます。

こちらの覚悟や本気度は必ず相手に伝わり、相手の心を動かすことができると感じました。

私は、「滋賀から世界へ、世界から滋賀へ」の理念のもと、世界とつながり、世界の動きの中で滋賀を見ることを意識して仕事にあたっていますが、今回のプロモーションで訪れた各国の経済成長や、人々の生活様式の変化の速さは想像を上回るものでした。

そのため、各部局・各分野において世界を見据えた事業を進めていく中でも、改めて、世界の動きや変化への感度を高め、受け手の思いを理解し、消費者や関係者の心をがっちりとつかむ丁寧なやりとりを意識していただきたいと思います。

今日から早くも師走です。

体調には十分に気をつけていただくとともに、何かとあわただしい時期であり、交通事故などの不注意にも十分に気をつけてください。

一年の締めくくりとして、気を引き締めて、力を合わせて仕事に取り組んでまいりましょう。

以上で、今月の知事談話を終わります。