文字サイズ

松下幸之助さんに学ぶ仕事への姿勢

皆さん、おはようございます。

11月に入り、随分肌寒くなってまいりました。山々、木々の葉の色づきもみられます。

まず、10月27日、三笠宮崇仁親王殿下が御薨去されました。謹んで哀悼の意を表します。

殿下におかれましては、滋賀県におきましても昭和56年の第36回国民体育大会に御臨席いただくなど、スポーツ、文化、芸術等の振興、支援にお力を尽くしていただきました。

また、先の大戦中には従軍、そして大陸への出征の御経験もあられました。戦争の愚かさと悲惨さをご存じのお方の御薨去にも深い悲しみを禁じ得ません。御安霊を心よりお祈り申し上げます。

さて、本日は、私の敬愛する松下幸之助さんの言葉を紹介させていただきたいと思います。松下幸之助発言集11巻にある松下幸之助さんの発言について書かれた文章を読ませていただきます。これは昭和36年(1961年)6月に早稲田大学で行われた松下幸之助さんのご講演であります。若干時代が違いますので、その点も含みおきいただいてお聞きいただければと存じます。

タイトルは「運と人生」です。

部長や重役になる方法

このあいだ、ある会社の方が、新入社員にちょっと話してくれんかということを頼みに来られたんで、まあ少し義理のある会社でありましたので、お受けをいたしまして入社式へ行ったんです。大学卒業生が百人ばかりの入社式です。そこで、ぼくはこういう話をしたんです。

皆さんにひとつお教えしましょう。どういうことかというと、皆さんこの会社へ入って、まあ立身出世というと語弊がありますけれども、やがて部長とも重役ともなられることは、やはり皆さんの希望と考えてよろしいでしょう。間違いなく重役、間違いなく部長になる方法を教えましょうと言うたんです。たいがい聞き耳立ててですな、(笑)何を言いよんのかいなというようなもんですな。(笑)それでですね、それはこういうことやと。

あなたがこの会社へ入ったということは、非常に縁があって、これは宿命なんだ。だからこの際ひとつあなたが一念発心して、きょう家に帰ったらお父さんとお母さんに、あるいは家族に、「自分はきょう入社式に行ってつくづく考えた。こんないい会社ないと思う」と言いなさい。まずこれや。あなたの第一声はこれやと言った。すると両親は、「そうか、そりゃよかったな」と必ずそう言う。そして、非常に安心する。まず成功の第一歩はこれだ。今度はきみが友だちに会う、「だれだれ君、きみはどこへ行った。どや、きみの会社は」「おれの会社はきみ、入ってみると思ったよりいい会社や。おれもう非常に喜んでんねん、おれはこの会社と運命を共にすることを決心したんや」「ああそうか、そんなにきみ、いい会社か」これに終始一貫しなさい。そうしたらきみ自身もやがてそうなってくる。(笑)

そういう徹底した人が重役にならずして、誰を重役にするかというんだ、ほんとうは。これしかないと私は思うんです。これさえ皆さんがやってくだされば間違いなく保証すると、私はこういうことを言うたんです。私はこれ保証していいと思うんです。そりゃ家庭の両親も喜ぶし、親戚も、「そうか、そんないい会社へ入れたんか、そんないい会社やったらその会社の品物を買うてやるか」と。(拍手)無限にお得意が広がるんですよ、たった一人の社員のためにね。(笑)

世に成功の道はたくさんございましょうけれども、私はこういうように徹底しなければダメやと思うんです。中途半端な状態では、それでも成功していく人もありましょうけれども、いったんその道に入ったならば心身ともに打ちこんで、そして言動がそうなれば、こりゃ成功せんとこうと言うても人がほっとかんですよ。これを皆さんがやるかどうかということです。

(PHP総合研究所研究本部「松下幸之助発言集」編纂室、『松下幸之助発言集11』PHP研究所、1991年、36頁-38頁)

とここまで読ませていただきましたが、時代背景も違えばこれは松下幸之助さんの一つのお考えに基づくご講演でございます。すべてその通りという訳ではございませんが、せっかくご縁がありこの県庁で県民の皆さんとともに県民の皆さんのためになる仕事をさせていただいている。このことをお互いに自覚しながら、徹底して、協力して一緒に仕事に打ち込む。そんなことを考えながら日々過ごしていきたいと思っています。

私は、明日から12日までの10日間、フィリピンをはじめ、台湾、インドネシア、ベトナム、タイの5つの国・地域を訪問します。戦没された方々への慰霊、滋賀県で始まった世界湖沼会議への出席ならびに滋賀県の魅力をPRしながらの観光振興などそれぞれの国・地域での目的は様々でございますが、より高い成果を得られるよう臨みたいと思います。

皆様も、予算編成等業務が立て込んでいることと思います。また11月になり朝・晩めっきり寒くなってまいりましたので、お互い体調に気を付けて頑張りましょう。

今月の知事談話はこれで終わります。