みなさん、おはようございます。
去る9月28日、大変うれしい知らせが届きました。
国内の広告業界最大級の賞である全日本シーエム放送連盟の「CMフェスティバル」テレビCM部門で、滋賀県が製作した石田三成をPRするCMが、グランプリに次ぐ「ゴールド」を受賞したとのことです。
先月の知事談話で、失敗を恐れず、挑戦し続ける姿勢で仕事にあたってほしいと申し上げましたが、担当部局が、行政らしくない大胆な内容にチャレンジしてくれた結果です。今後もそうした意欲的な提案を積極的に支持したいと思いますし、ぜひ、各部署のリーダーの皆さんも固定観念にとらわれず、部下の「やってみよう!」という行動を評価、応援していただき、そうした風土をみんなで県庁の中につくっていきましょう。
10月1日には、第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」の総合開会式に出席し、本県の選手団とともに入場行進をさせていただきました。8年後に本県で開催する二巡目国体・全国障害者スポーツ大会を滋賀ならではの大会にできるよう、多様な分野の方々と一緒になって盛り上げていく決意を新たにしたところです。
スポーツといえば、先月開催されたリオデジャネイロ・パラリンピックにおいて、2歳の時に視力を失われた栗東市出身・競泳の木村敬一選手が、銀メダル2つ、銅メダル2つの素晴らしい成績を残され、連日の大活躍で輝く彼の姿に、私たち滋賀県民のみならず日本中が歓喜しました。本日夕方、滋賀県民スポーツ大賞「栄誉賞」をお贈りさせていただく予定で、木村選手が県庁にお越しくださいますので、世界を舞台にした素晴らしいご活躍を讃えて、みんなで歓迎したいと思います。
さて、国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環で、平成25年6月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定され、今年4月1日から施行されました。
障害者差別解消法の施行を受け、障害者差別の解消に向けた条例を制定する自治体も出てきており、本県でも条例の必要性を認識し、制定に向けた検討を進めているところです。当事者の皆さんやご家族の皆さんと十分に議論を積み重ねる過程、様々なご意見を尊重し、それらを皆さんと共有することを重視し、納得感と滋賀らしさのある条例にしていきたいと考えています。
そうした中で、7月26日未明、神奈川県相模原市の障害者施設で、多くの利用者が命を奪われたり負傷したりする大変痛ましい事件が起きました。非常に悲しく残念であり、強い憤りを感じています。かけがえのない命を、障害があることで軽く見るような考え方は、到底許されるものではありません。
常々申し上げておりますが、私は「人は人の中で人となる」という考えを大切にし、県政のあらゆる分野で、ブレずにその視点を持っていたいと思っています。
この事件で私が感じたことは、たくさんの障害のある方々が施設で暮らしていらっしゃったということを重く受け止め、地域の中で一緒に暮らしていける環境づくりを私たちがいかに進めるのか、もっとその方向に舵を切っていかないといけないのではないかということです。
事件を受けて、全国手をつなぐ育成会連合会の久保厚子会長は、「壁を高くして障害者を見えない存在にするよりも、地域の人の目も借りて安全を確保する方がいい。バランスは難しいが、今までどおり開かれた施設の形を重視してほしい」と新聞紙面で述べていらっしゃいます。また、同事件の追悼式の発起人の一人でもある脳性まひの医師・熊谷晋一郎さんは、「事件を通じて、コミュニティを閉ざすのか、それでもなお開き続けるのかが問われている。それでも他者とつながり、生きていく社会を私は選びたいと思う」と語っておられます。
県では、共生社会に向けた取組の一つとして、特別な支援、訓練が必要な人にはきちんとその環境をつくりながら、共に学ぶ、インクルーシブ教育を進めています。その中で、地域の学校にも籍があり、特別支援学校にも籍があるという副籍(副次的な学籍)を認め、障害のある子どもたちの居場所がみんなの中にもある、子どもたちが学べる場所を柔軟に選べる仕組みをつくろうと、今年度から小学校と養護学校、市町と県の教育委員会で共同研究を始めています。
一緒にいることでお互いのいろんなことがわかる。それぞれの良いところを認め合う。一方的な支援ではなく、本人が望んでいること、本人が決めることを尊重する。学ぶこと、働くこと、文化活動、スポーツなどを通じて様々な人と関わり、生きる喜びを感じる。これは、障害のある・なしに関わらず、誰にとっても大切なことだと思います。
ともに学び、ともに働き、ともに地域で生きる喜びを分かち合える滋賀をつくっていくために、どのように取り組んでいけばいいのか。今年度の職場研修の統一テーマの一つに「障害者差別解消法」が設定されているとのことですので、それぞれの職場で自分の仕事、自分の問題として考えてもらいたいと思います。
今月も一緒にがんばりましょう。これで知事談話を終わります。